説明

二輪車用ボディーカバー

【課題】下部開口部の全部又は一部の周縁に沿って筒状の収納部を形成して絞り紐を収納し、二輪車に被せた後に収納部に設けた操作口から絞り紐を引き出して開口部を収縮させるようにした二輪車用ボディーカバーにおいて、カバーの下部の周縁と底面との中間部分に大きな空間を形成させないようにすること
【解決手段】絞り紐の全部又は一部を伸縮材料で形成し、操作口から引き出した絞り紐をボディーカバーの外側から車体に引っ掛けられるようにした

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口側下部の全部又は一部に筒状の収納部を周方向に形成して絞り紐を収納し、二輪車に被せた後に収納部に設けた操作口から絞り紐を引き出して開口部を収縮させるようにした二輪車用ボディーカバーに関するもので、二輪自動車や自転車用のカバーとして使用される。
【背景技術】
【0002】
この種のボディーカバーとしては、特許文献1に開示されたものがある。
一般に、車体用のボディーカバーは、防水処理を施した合成繊維製の生地や、その裏面に不織布を積層させた生地で形成されたものが多い。
上記の公知のカバーは、その下端周縁部に紐挿通部を設けてそこに紐部材を挿通させ、自転車などに被せた後に紐を引き寄せてカバーの下方周縁部を絞り込むことによって車体に固定するようにしたものである。
しかしながら、この固定状態では、ボディーカバーは天面側をハンドルや荷台に、開口縁を車輪に接触させた状態となり、その中間部分に大きな空間が形成されることになる。そのため、強風時にはカバーが膨れそれに起因してカバーがバタついて騒音を発生させる不都合があり、軽量車両ではそのバタツキに煽られて車体が転倒してしまうこともあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3112350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、開口側下部の全部又は一部に筒状の収納部を周方向に形成して絞り紐を収納し、二輪車に被せた後に収納部に設けた操作口から絞り紐を引き出して開口部を収縮させるようにした二輪車用ボディーカバーにおいて、車体の外側でカバーが膨らむのを抑制できるようにすることを課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための第一の技術的手段は、イ)絞り紐の全部又は一部を伸縮材料で形成し、ロ)操作口から引き出した絞り紐をボディーカバーの外側から車体に引っ掛けられるようにしたこと、である。
第二の技術的手段は、筒状の収納部に複数の操作口を設けたことであり、第三の技術的手段は、筒状の収納部をカバーの前後にのみ形成したことである。
第四の技術的手段は、操作口から引き出される絞り紐の全部又は一部を伸縮材料で形成し、収納部側に残留する絞り紐を非伸縮材料で形成したことである。
また、第五の技術的手段は、操作口の外側で絞り紐にスライド式の固定具を取り付けたことであり、第六の技術的手段は、固定具の外側に予め絞り紐を突出させその外側に緩衝部材を配置したことである。
【0006】
第一の技術的手段では、絞り紐の全部又は一部が伸縮材料で形成されているから、操作口から絞り紐を引き出すと、ボディーカバーの外側へ絞り紐を長く引き出すことができる。引き出された絞り紐は、ボディーカバーの外側から車体に引っ掛けられるから、カバーは、絞り紐によって車体に押し付けられた状態となり、車体との間に空間が形成されていても、風によってカバーが膨らむことを抑制することができる。
【0007】
第二の技術的手段では、筒状の収納部に複数の操作口が設けられているから、選択した一又は二以上の操作口から絞り紐を引き出すことが可能となり、車両の種類や形態、さらには荷台や付属品の有無などの相違があっても、それらに対応して絞り紐を車体に引っ掛けることが可能となる。
また、第三の技術的手段では、筒状の収納部をカバーの前後の開口縁に沿ってのみ形成されているから、前後の絞り紐を独立させて引き出すことができる。そのため、前部の操作口から引き出した絞り紐をハンドルに引っ掛け、後部の操作口から引き出した絞り紐をサドルに掛けることができる。また、前部側から引き出した絞り紐を車体の後部に、後部側から引き出した絞り紐を車体の前部にそれぞれ引っ掛けることによって、交差させることも可能となる。なお、前後の筒状の収納部は、カバーの長さに対し、左右それぞれに1/3〜1/5程度の長さにしておくことが望ましい。
【0008】
第四の技術的手段では、操作口から引き出される絞り紐の全部又は一部が伸縮材料で形成され、収納部側に残留する絞り紐が非伸縮材料で形成されているから、絞り紐を引き出して形成したボディーカバーの開口部の収縮状態を安定させることができる。同時に引き出した絞り紐の伸縮性が保証されるから、車体への引っ掛け作業を円滑に行なうことができる。
【0009】
第五の技術的手段では、操作口の外側で絞り紐にスライド式の固定具が取り付けられているから、絞り紐を引き出した際に操作口の近傍で絞り紐を固定し、ボディーカバーの開口部の収縮状態を安定させることができる。この固定具は、引き出された絞り紐が収納部へ戻ることを規制するから、絞り紐を車体へ引っ掛ける作業をゆっくりと行なうことができるし、絞り紐を車体から外す際に絞り紐が急に収縮して不用意に跳ねるのを防止できる利点もある。
【0010】
第六の技術的手段では、固定具の外側に予め絞り紐を突出させてその外側に緩衝部材が配置されているから、絞り紐を車体に引っ掛ける際に絞り紐とカバーや車体との間に緩衝部材を介在させることができる。そのため、風よって絞り紐やボディーカバーが動いたとしてもカバーや車体に傷をつける心配はない。
この緩衝部材としては、公知の軟質素材や弾性素材を使用でき、軟質の合成樹脂、布、発泡プラスチックなどを好適に使用することができる。絞り紐の外側に巻き付け、あるいは予めチューブ状に形成したものを絞り紐に被せるようにして用いればよい。
【0011】
上記いずれの技術的手段においても、絞り紐は、それが非伸縮素材、伸縮素材のいずれであっても、平紐、丸紐などの公知の形態の紐を使用することができる。
また、絞り紐は、引き出す前の状態において、その一部が操作口から外方へ突出させた状態であってもよい。この場合には、引き出した絞り紐を一層長くすることができるから、車体への引っ掛け方の自由度を高めることができる。
ボディーカバーの下部中間部に係止帯を取り付けて左右の下部同志を係止固定し、カバーの車体への取り付けに際し絞り紐と併用するようにしてもよい。
【0012】
本発明における絞り紐用のスライド式固定具としては、一般に使用されている公知のものを用いることができる。
例えば、a)一端を把持部とし他端挟持部としたピンチの中央部で把持部と挟持部間を連通する孔を設けて絞り紐を挿通させる形ピンチ式固定具、b)特許文献1に示しているような、筒体に直交する方向に穿設された挿通孔と外方へ付勢させて筒体内に収納したストッパーとからなり、ストッパーを押圧すると挿通孔に挿通させた絞り紐の圧迫が解除されて固定具のスライドが可能となり、ストッパーを元の位置に復帰させると絞り紐が圧迫されて固定具の位置が固定する筒型固定具、さらには、c)一方の開口部を狭く、他方を広く形成した案内枠の中央部に移動駒を装置し、開口部から導入した絞り紐を移動駒の左右と案内枠との間に分かれて挿通させ、移動駒が広い開口部側に位置するときは固定具のスライドが可能となり、狭い開口部側に位置するときは紐を圧迫すると共に固定具の位置が固定される枠型固定具(例えば特開平8−169241号公報参照)、などを使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
車体の外側でカバーが膨らむのを抑制できる結果、強風時であってもカバーのバタツキが発生することはない。したがって騒音が生じることもないし、軽量車両がそのバタツキに煽られて転倒するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カバーを掛けた状態の二輪自動車の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、二輪自動車の車体1にボディーカバー2を掛けた実施例における斜視図である。
本実施例では、カバー2の下部開口縁に沿って筒状の収納部3が全周にわたって設けてあり、その中にゴム製の伸縮可能な絞り紐5を収納している。
カバー2の後部側に収納部の操作口4が形成してあって、そこから絞り紐5をわずかに外方へ臨ませて筒型固定具(前記b参照)6を取り付けている。
【0016】
図1は、絞り紐5を操作口4から引き出して固定具6で固定し、引き出した部分をカバー2の外側から車体1のフロント部分に引っ掛けた状態を示している。したがって、カバー2は絞り紐5で車体1に押し付けられた状態となっている。
【符号の説明】
【0017】
1二輪自動車、 2ボディーカバー、3筒状の絞り紐収納部、 4収納部の操作口、 5伸縮性の絞り紐、 6絞り紐の筒型固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口側下部の全部又は一部に筒状の収納部を周方向に形成して絞り紐を収納し、二輪車に被せた後に収納部に設けた操作口から絞り紐を引き出して開口部を収縮させるようにした二輪車用ボディーカバーにおいて、絞り紐の全部又は一部を伸縮材料で形成し、操作口から引き出した絞り紐をボディーカバーの外側から車体に引っ掛けられるようにした二輪車用ボディーカバー。
【請求項2】
筒状の収納部に複数の操作口を設けた請求項1に記載の二輪車用ボディーカバー。
【請求項3】
筒状の収納部をカバーの前後にのみ形成した請求項1に記載の二輪車用ボディーカバー。
【請求項4】
操作口から引き出される絞り紐の全部又は一部を伸縮材料で形成し、収納部側に残留する絞り紐を非伸縮材料で形成した請求項1、2又は3に記載の二輪車用ボディーカバー。
【請求項5】
操作口の外側で絞り紐にスライド式の固定具を取り付けた請求項1、2、3又は4に記載の二輪車用ボディーカバー。
【請求項6】
固定具の外側に予め絞り紐を突出させその外側に緩衝部材を配置した請求項5に記載の二輪車用ボディーカバー。


【図1】
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【公開番号】特開2011−57093(P2011−57093A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209487(P2009−209487)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(502239678)アラデン株式会社 (3)