説明

二重チューブ容器

【課題】強アルカリ性の染毛1剤等を収納できる二重チューブ容器。
【解決手段】口部、肩部および胴部が一体的に形成されたアルミチューブ容器に、ポリエチレン等の合成樹脂で造られる、口部、肩部および胴部が一体的に形成される内袋が嵌装され、該内袋の口部先端は、アルミチューブ容器の口部先端を包み覆うように外方に折り曲げられ、上方から中栓体が嵌合される二重チューブ容器において、中栓体又は内袋の天面に、天面シールを溶着すると共に裾部にライニング部を設けることを特徴とする二重チューブ容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重チューブ容器に関し、さらに詳しくは、強アルカリ性の染毛1剤等を収納できる二重チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤チューブ容器は、通常1剤と2剤とが、各々別のチューブ容器に収納され、対になってセットとして販売されている。第1剤は塩基性酸化染料が主剤であり、気体および液体を通さない密閉されたアルミチューブ容器内に収納され、第2剤は第1剤の染料を酸化重合させる目的をもった、過酸化水素を主成分とする内容物が主剤であり、金属製のアルミチューブ容器の内側に、気体を通すが液体を通さない性質を有する、ガス透過性に優れた合成樹脂製の内袋が嵌装されている。これはクリーム状の過酸化水素を主成分とする内容物が、直接金属製のアルミチューブ容器の内面に接触した場合、アルミチューブ容器内面と過酸化水素を主成分とする内容物とが反応し、アルミチューブ容器内面が腐食するためである。
【0003】
図9(a)は、第1剤を収納するアルミチューブ容器50を示す一部切欠き断面図である。このアルミチューブ容器50は、アルミニウムスラグをインパクト成形することにより製造され、封緘蓋51を有する口部52、肩部53及び胴部54が一体的に形成されている。このアルミチューブ容器50には、第1剤が収納された後、口部52の雄ねじ部52aには、針体(図示せず)を有するキャップ55が螺合され、口部52が封鎖されている。そして、このアルミチューブ容器50の封緘蓋51を開孔する場合は、このキャップ55の針体で突き破ることにより開孔していた。このように封緘蓋51付のチューブ容器に収納する理由は、簡単に外気の流入によって変質してしまうからである。
【0004】
又図9(b)は、第2剤を収納する二重チューブ容器60を示す一部切欠き断面図である。図中、60は、口部、肩部および胴部が一体的に形成されたアルミチューブ容器である。このアルミチューブ容器60の内側には、ポリエチレン等の合成樹脂で造られ、口部、肩部および胴部が一体的に形成された内袋61が嵌装されている。そして、図9(b)に示すように、内袋61の口部62先端は、アルミチューブ容器60の口部62先端を包み覆うように外方に折り曲げられ、その上から中栓体63が圧入されている。そして、この中栓体63にはキャップ64が螺合されている。このように、口部62先端を外方に折り曲げて覆うことにより、内容物が金属部分の口部62に付着し、口部62が腐食するのを防止している。

【0005】
従来の第2剤を収納する二重チューブ容器は、過酸化水素を主成分とする内容物が分解して発生する酸素を、二重チューブ容器の開口部及び中栓体とアルミチューブ容器の隙間(図10のイ)及びチューブ容器裾部(図10のロ)から外部へ意図的に放出することにより、二重チューブ容器が酸素で充満・加圧されて、膨張し破裂するのを防止していた。そして、従来の染毛剤用チューブ容器においては、使用時において1剤と2剤をトレイの中に、各々一定量を抽出して混合し、頭髪に塗布することにより毛染めを行っていた。従来の文献としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭55−51232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の第1剤を収納するアルミチューブ容器50にあっては、第1剤は塩基性酸化染料であり、アルカリ性の内容物であるため、アルミ等のアルミチューブ容器の内面には、内面塗料が塗装されているが腐食のおそれがあった。特に近年、染め上がりを美しくするために、第1剤の成分に、ソルビトールが5%以上配合されるものにあっては、第1剤が強アルカリ性であり、従来の内面塗料では、アルミチューブ容器内面の腐食を防止することが不可能であった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、強アルカリ性の染毛1剤等を安定的に収納できる、従来の二重チューブ容器を改良した二重チューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、
口部、肩部および胴部が一体的に形成されるアルミチューブ容器に、ポリエチレン等の合成樹脂で造られる、口部、肩部および胴部が一体的に形成される内袋が嵌装され、該内袋の口部先端は、アルミチューブ容器の口部先端を包み覆うように外方に折り曲げられ、上方から中栓体が嵌合される二重チューブ容器において、中栓体又は内袋の天面に、天面シールを溶着すると共に裾部にライニング部を設けることを特徴とする二重チューブ容器である。
【0009】
この課題を解決するため、請求項2記載の発明の解決手段は、前記天面シールの構成が、アルミ箔とポリオレフィン系樹脂の多層構成である二重チューブ容器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二重チューブ容器によれば、強アルカリ性の染毛1剤を収納した場合、アルミニウム表面と直接接触しないので、アルミニウム表面等が腐食するのを完全に防止できる効果がある。そして、口部及び裾部からの外気の侵入を完全に遮断できるので、染毛1剤が使用前に、外気の流入によって変質するのを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る二重チューブ容器の実施例1を示す一部切欠断面図。
【図2】本発明に係る二重チューブ容器の実施例2を示す一部切欠断面図。
【図3】本発明に係る二重チューブ容器の実施例1の裾部を示す断面図。
【図4】本発明に係る実施例1の裾部を溶着した状態を示す断面図。
【図5】本発明に係る二重チューブ容器の実施例2を示す裾部の断面図。
【図6】本発明に係る実施例2の裾部を溶着した状態を示す断面図。
【図7】本発明に係る二重チューブ容器の実施例3を示す裾部の断面図。
【図8】本発明に係る二重チューブ容器の実施例4を示す裾部の断面図。
【図9】従来の染毛1剤用チューブ容器及び染毛2剤用二重チューブ容器を示す一部欠断面図。
【図10】従来の染毛2剤用二重チューブ容器から、酸素が外部に逃げている状態を示す一部欠断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1を示すチューブ容器を示す図面である。1はアルミニウム等の金属材料で造られ、口部2、肩部3および胴部4が一体的に形成されたアルミチューブ容器である。このアルミチューブ容器1の内側には、ポリエチレン等のポリオレフィン系合成樹脂等で造られ、口部2、肩部3および胴部4が一体的に形成された内袋5が嵌装されている。そして、内袋5の先端6は、アルミチューブ容器1の口部2先端を包み覆うように外方に折り曲げられ、その上から中栓体7が嵌入されている。そして、この中栓体7にはキャップ(図示せず)が螺合されている。このように、内袋5の先端6を外方に折り曲げて覆うことにより、内容物がアルミチューブ容器1の金属の口部2に付着し、口部2が腐食するのを防止している。
【0014】
この実施例1を示すアルミチューブ容器1は、中栓体7の天面に、天面シール8が溶着されている。この天面シール8の層構成は、例えば、中間層がアルミニウム等の金属層で、その上下にポリオレフィン系樹脂層等の合成樹脂層が積層されている。この天面シール8は、図1に示す実施例1では、中栓体7の天面に溶着され、口部2からアルミチューブ容器1内へ外気が侵入するのを完全に遮断することができる。又この実施例1は、図3に示すように、実施例1のチューブ容器1の内袋5の末端部に連続して、ライニング部11が形成されている。このライニング部11は内袋5の末端部から一定の部位にかけて塗布されており、塗布される長さSは3mm≦S≦20mmである。又塗布されるライニング部11の肉厚は、0.005〜0.02mmであり、好ましくは0.01mmである。さらに、ライニング部11の材質はクロロプレン系合成ゴム、ポリエステル樹脂、特殊変性ポリエチレン樹脂、水溶性アクリル樹脂等が好ましい。図4に示すように、ライニング部11同士を折り曲げて圧着し裾部10を形成した場合、このライニング部11により、外気がアルミチューブ容器1内へ侵入しない。
【実施例2】
【0015】
図2は、本発明の実施例2を示すチューブ容器を示す図面である。実施例1と異なるのは、実施例1が、中栓体7の天面に天面シール8が溶着されているのに対して、図2に示すように、実施例2は内袋5の先端6を外方に折り曲げて、アルミチューブ容器1の先端部が覆われるように構成し、内袋5の口部天面に、天面シール18が溶着されている。これにより、口部2からアルミチューブ容器1内へ外気の侵入を完全に遮断することができる。又図5に示すように、実施例2のチューブ容器1の裾部10には、ライニング部21が形成されている。このライニング部21は、内袋5の末端から一定の部位にかけて、一部内袋5の上に重ねて塗布されている。塗布長さtは、3mm≦t≦20mmである。又塗布されるライニングの肉厚は、0.005〜0.02mmであり、好ましくは0.01mmである。さらに、ライニング部21の材質は、同様にクロロプレン系合成ゴム、ポリエステル樹脂、特殊変性ポリエチレン樹脂、水溶性アクリル樹脂等が好ましい。図6に示すように、ライニング部21同士を折り曲げて圧着し裾部10を形成した場合、このライニング部21により、外気がアルミチューブ容器1内へ侵入しない。
【実施例3】
【0016】
図7は、本発明の実施例3を示すチューブ容器を示した図面である。実施例1、2と異なるのは、実施例1、2は内容物の充填後に、ライニング部11、21同士を折り曲げて圧着し、裾部10を形成するのに対して、実施例3及び4では、内袋の末端部5同士及びライニング部31同士を折り曲げて圧着し裾部10を形成する実施例である。図7の実施例3では、ライング部31が裾部10の折曲部の大部分を占めているが、図8の実施例4では、内袋の末端部5が裾部10の折曲部の大部分を占めている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明に係る二重チューブ容器によれば、染毛1剤等の強アルカリ性の内容物を収納しても、腐食を防止でき、かつ外気を遮断できるので、染毛1剤の他、薬剤、食品等の内容物を充填するチューブ容器として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 アルミチューブ容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 内袋
6 口部先端
7 中栓体
8 18 天面シール
10 裾部
11 21 31 ライニング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部および胴部が一体的に形成されるアルミチューブ容器に、ポリエチレン等の合成樹脂で造られる、口部、肩部および胴部が一体的に形成される内袋が嵌装され、該内袋の口部先端は、アルミチューブ容器の口部先端を包み覆うように外方に折り曲げられ、上方から中栓体が嵌合される二重チューブ容器において、
中栓体又は内袋の天面に、天面シールを溶着すると共に裾部にライニング部を設けることを特徴とする二重チューブ容器。
【請求項2】
前記天面シールの構成が、アルミ箔とポリオレフィン系樹脂の多層構成である請求項1記載の二重チューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−35858(P2012−35858A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176049(P2010−176049)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】