説明

人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セット

【課題】 ヘアクリンパーに固定した状態の毛髪から水が蒸発し易く、波形の毛髪を迅速且つ簡便に得ることのできる実用性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットを提供する。
【解決手段】 複数の凹部と凸部からなる挟着面を備えた一方の挟持部21と、前記一方の挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の挟持部22とからなり、各挟持部の挟着面は表面積に対して10%以上の通孔3を有してなり、水の適用によって変形させた状態を乾燥させることによって固定できる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー1、及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットに関する。更に詳細には、水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具に適用される人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水の適用により自在な形に変形させ、乾燥により変形した状態を長期間固定でき、必要に応じて固定した形を元の状態に復元したり、別の形に変える機能を備えた玩具用毛髪が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、前記玩具用毛髪は、水の適用後、早期に変形した状態を固定することができると共に、乾燥により変形した状態を長期間固定できる機能も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−289525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水の適用によって変形した状態を保持できる毛髪に利用するヘアクリンパーであって、即ち、ヘアクリンパーに固定した状態の毛髪から水が蒸発し易く、波形の毛髪を迅速且つ簡便に得ることのできる人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる樹脂からなる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具に適用する人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーであって、前記ヘアクリンパーは複数の凹部と凸部からなる挟着面を備えた一方の挟持部と、前記一方の挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の挟持部とからなり、各挟持部の挟着面は表面積に対して10%以上の通孔を有してなる人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーを要件とする。
更には、前記挟持部の凹部と凸部の高低差が1mm以上であること、前記挟持部の隣り合う凸部の頂点間の距離が20mm以下であること、前記凸部の頂点の曲率半径(R)が5mm以下であること、前記凸部の厚みが10mm以下であること、前記一方の挟持部に他方の挟持部が枢支されてなること、前記各挟持部の凹部と凸部が噛み合った状態を保持する掛止具を設けてなること、前記挟持部に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなること等を要件とする。
更には、前記人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーと、水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる樹脂からなる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具とからなる人形又は動物形象玩具セットを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ヘアクリンパーに固定した状態の毛髪から水が蒸発し易く、波形の毛髪を迅速且つ簡便に得ることのできる実用性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーの一実施例の正面図である。
【図2】図1の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーのA―A断面図である。
【図3】図1の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーに人形の毛髪を挟持した状態を示す説明図である。
【図4】本発明人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーの他の実施例の正面図である。
【図5】本発明人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーの他の実施例の正面図である。
【図6】図5の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーのA―A断面図である。
【図7】図5の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーに人形の毛髪を挟持した状態を示す説明図である。
【図8】比較例の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーの一実施例の正面図である。
【図9】図8の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーのA―A断面図である。
【図10】図8の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーに人形の毛髪を挟持した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のヘアクリンパーは、複数の凹部と凸部からなる挟着面を備えた一方の挟持部と、前記一方の挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の挟持部とからなり、各挟持部の挟持面間に毛髪を挟着することにより毛髪をウェーブさせることができる。
前記挟持部の材質は特に限定されるものではなく、プラスチック、金属、ガラス、木材、石材等が用いられる。
前記各挟持部の挟着面は表面積に対して10%以上の通孔を有する。よって、水が付着した毛髪を各挟持部の挟持面間に挟着した状態、或いは、乾燥状態の毛髪を各挟持部の挟持部面間に挟着した後に水を付着させた状態から通孔を通して水が蒸発し易く、毛髪の乾燥性を向上させて早期にウェーブした毛髪を備えた玩具を得ることができる。
なお、前記通孔は好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上有すると通孔からの水の蒸発を向上させることができるため、毛髪の乾燥性をいっそう満足させることができる。
【0009】
前記ヘアクリンパーの挟持部は、凹部と凸部の高低差が1mm以上、好ましくは3mm以上であることにより、毛髪に良好な視認性を有するウェーブを付与することができる。
凹部と凸部の高低差が1mm未満では、ウェーブを視認し難く、毛髪の変形性を付与でき難くなる。
また、挟持部の隣り合う凸部の頂点間の距離は20mm以下、好ましくは10mm以下であることにより、毛髪に良好な間隔のウェーブを付与することができる。
前記挟持部の隣り合う凸部の頂点間の距離が20mmを越えると、良好な間隔のウェーブを付与し難く、毛髪の変形性を視認し難くなる。
更に、前記凸部の断面形状が曲形の場合、頂点の曲率半径(R)が5mm以下である、好ましくは2mm以下であることにより、毛髪に良好な屈曲性を有するウェーブを付与することができる。
曲率半径(R)が5mmを超えると、屈曲性が得られ難く、毛髪の変形性を視認し難くなる。
また、凸部の断面形状が矩形の場合、前記凸部の厚みが10mm以下、好ましくは5mm以下であることにより、毛髪に良好な屈曲性を有するウェーブを付与することができる。
前記凸部の厚みが10mmを超えると、屈曲性が得られ難く、毛髪の変形性を視認し難くなる。

【0010】
前記挟持部は、一方の挟持部に他方の挟持部が枢支されることにより、簡便に毛髪を挟持することができ、利便性を満足させることができる。
また、各挟持部の凹部と凸部が噛み合った状態を保持する掛止具を設けることにより、毛髪を挟持した状態で固定できるため、実用性を満足させることができる。
前記掛止具は、ヘアクリンパーの挟持部間に毛髪を介在させて挟持した状態を保持する部材であって、形状は特に限定されるものではない。
【0011】
前記各挟持部には、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けて、毛髪が濡れた状態、或いは、乾燥した状態を判別する機能を付与することもできる。
前記多孔質層について説明する。
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記多孔質層の下層には一般染料や一般顔料を含む着色層を設けることもできる。
【0012】
前記水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる毛髪は、吸水により軟化し、乾燥により硬化する樹脂、例えば、ポリアミド樹脂又はアルコール可溶性樹脂を含む樹脂により構成される。
前記ポリアミド樹脂又はアルコール可溶性樹脂が水の適用により柔軟性を示して変形し、前記変形した形状を水が乾燥することにより固定されるのは、前記樹脂が親水性に富むため吸水により結晶性構造が崩れ、柔軟性を有して曲げ弾性率が低下し、乾燥によって再び結晶化して曲げ弾性率がアップし、硬化性を有して変形した状態が保持されるためと推察される。
前記アルコール可溶性樹脂としては、繊維形成性に優れた熱可塑性のアルコール可溶性ナイロンが好適に用いられる。特にアルコール可溶性ナイロンのうち、6,6ナイロンを少なくとも含む共重合ナイロン、6ナイロンと6,6ナイロンを少なくとも含む多元共重合ナイロン、6ナイロンと6,6ナイロンと610ナイロンを少なくとも含む多元共重合ナイロン、或いは、6ナイロンと6,6ナイロンと610ナイロンと12ナイロンを少なくとも含む多元共重合ナイロンはホルマリン等の有害物質を用いることがないため、製造時や使用時の安全性を高めることができる。
前記フィラメントを構成する樹脂としてアルコール可溶性樹脂のみを用いる他、アルコール可溶性樹脂と異なる樹脂をブレンドして用いることもできる。
前記アルコール可溶性樹脂と異なる樹脂としては、繊維形成性を有する樹脂が好ましくは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記ポリアミド樹脂としては、6ナイロン、6,6ナイロン、6,9ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6−12共重合ナイロン、6,9−12共重合ナイロン、ポリアミドエラストマー等が例示され、ポリエステル樹脂としては、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、飽和脂肪族ポリエステル、ポリエステルエラストマー等が例示され、前記ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン−エチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレンラバー等を例示できる。なお、これらの樹脂は単独又は併用して用いてもよい。
なお、前記アルコール可溶性樹脂と別の樹脂を併用する場合、樹脂中にアルコール可溶性樹脂を1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上含有することにより、水の適用による変形性と乾燥により変形した状態の固定性を満足させることができる。
ここでアルコール可溶性樹脂としてアルコール可溶性ナイロンを用いる場合、併用する樹脂としては共重合ポリアミド樹脂が好適である。これは同じポリアミド構造により相溶性が良いと共に、ブレンドした樹脂は吸水率が大きく、柔軟性にも優れるためである。
【0013】
更に、水の適用により自在な形に変形させた状態を早期に固定するためには、50℃以下の温度で塑性変形性を有する樹脂からなる芯部と、ポリアミド樹脂又はアルコール可溶性樹脂からなる鞘部とから構成される芯鞘型複合繊維により毛髪を構成することが好ましい。
前記芯部を構成する樹脂は、50℃以下の温度で塑性変形する樹脂により形成される。
前記樹脂としては、少なくともガラス転移温度が0乃至50℃の範囲にある熱可塑性樹脂を含有するものが挙げられ、前記樹脂を単独で用いるか、或いは、化学構造が異なる熱可塑性樹脂を混合して用いることもできる。
前記ガラス転移温度が0乃至50℃の範囲にある熱可塑性樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂(未硬化物)、炭化水素樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂等を挙げることができる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
前記化学構造が異なる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂(6−ナイロン、6,6ナイロン、12−ナイロン、6,9ナイロン、612ナイロン、6−6,6共重合ナイロン、6−12共重合ナイロン、6−6,6−12共重合ナイロン、6,9−12共重合ナイロン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニルデン−塩化ビニル共重合体、共重合アクリロニトリル樹脂、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合樹脂等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン−エチレンプロピレンラバーブロック共重合樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、或いはエチレン−酢酸ビニル系共重合体等の熱可塑性エラストマーの何れかより選ばれる重合体等を挙げることができる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を併用して用いることもできる。
前記化学構造が異なる熱可塑性樹脂のうち、経時変化により硬質化して性能が低下する(しなやかさや柔軟性が損なわれる)ことを防止できる熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
【0014】
前記ガラス転移温度が0乃至50℃の範囲にある熱可塑性樹脂のうち、ガラス転移温度は好ましくは10℃〜50℃、より好ましくは20℃〜40℃、更に好ましくは30℃〜40℃のものが効果的であり、中でも、飽和ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン樹脂等が好適である。
前記ガラス転移温度範囲にある熱可塑性樹脂を選択することにより、生活温度範囲の温度或いはその近傍でヘアクリンパーの適用により、任意形状の髪形に変形し、保持する機能を有し、幼児等が簡易に髪形を変えて遊ぶことができる。
【0015】
前記化学構造が異なる熱可塑性樹脂との混合物を用いる場合、樹脂中にガラス転移温度が0乃至50℃の範囲にある熱可塑性樹脂を5質量%以上含有することが好ましい。
ガラス転移温度が0乃至50℃の範囲にある熱可塑性樹脂が5質量%未満では、変形処理時における曲げ弾性率の低下によって所望の機能を発現でき難くなる。
【0016】
また、前記50℃以下の温度で塑性変形する樹脂として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、ポリノルボルネン樹脂、結晶性ジエン共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリイソプレン樹脂等を主体とする形状記憶性樹脂を用いることもできる。
【0017】
更に、前記50℃以下の温度で塑性変形する樹脂として、形状記憶性を有さない一般のポレオレフィン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂や、ポリオレフィン、スチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブタジエン等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
【0018】
鞘部を構成する樹脂は、吸水により軟化し、乾燥により硬化する樹脂であって、前記と同様のポリアミド樹脂又はアルコール可溶性樹脂を含む樹脂を例示できる。
また、前記と同様にアルコール可溶性樹脂のみを用いる他、アルコール可溶性樹脂と異なる前記樹脂をブレンドして用いることもできる。
前記複合繊維は、50℃以下の温度で塑性変形する樹脂からなる芯部と、吸水により軟化し、乾燥により硬化する樹脂からなる鞘部とが接合され、一体化された芯鞘型の複合繊維である。
よって、吸水により軟化し、乾燥により硬化する樹脂によって、50℃以下の温度で塑性変形する樹脂が被覆されているので、水の適用により自在な形に変えることができ、水が乾燥する前では芯部の50℃以下の温度で塑性変形する樹脂により、外力を加えない限り変形した状態を固定することができ、鞘部の樹脂が乾燥することによりパーネントウェーブのように変形した状態が固定される機能を有する。
【0019】
前記のようにして得られる毛髪中には一般顔料、蛍光顔料、熱変色性マイクロカプセル顔料、フォトクロミック材料等を添加して種々の色調の繊維を得ることもできる。
前記熱変色性マイクロカプセル顔料は、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたものが有効である。
前記マイクロカプセルは粒子径1〜30μm、好ましくは5〜15μmの範囲のものを適用でき、樹脂中に0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%含有させる。
0.5重量%未満の配合量では鮮明な熱変色効果を視覚させ難いし、40重量%を越えると、過剰であり、消色状態にあって残色が生じることもある。
前記フォトクロミック材料は、スピロオキサジン系化合物、スピロピラン系化合物、ジアリールエテン系化合物等のフォトクロミック化合物が有効である。
【0020】
前記毛髪は、人形又は動物形象玩具に植毛ミシン等の適用により植毛したり、接着剤により貼着される。
前記のようにして得られる人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーと、人形又は動物形象玩具は、組み合わせることによって簡易にウェービングの遊戯を可能とした人形又は動物形象玩具セットを得ることができる。
【実施例】
【0021】
本発明の人形又は動物形象玩具のヘアー用クリンパー及びそれを用いた人形又は動物形象玩具セットを以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の配合は質量部を示す。
実施例1
毛髪の作製
6−12共重合ナイロン70部、アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)24部、茶色の着色剤1部を混合し、汎用の溶融紡糸装置を用いて24孔の吐出孔を有するダイスから180℃で紡出し、延伸処理することにより直径80μmのフィラメント24本からなる茶色のマルチフィラメント(玩具用毛髪)を得た。
【0022】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛ミシンを用いて植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0023】
ヘアクリンパーの作製(図1乃至3参照)
挟着面の凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が5mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mmである金属製挟持部21と、前記挟持部A21の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の金属製挟持部B22(前記挟持部A21と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が5mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔3を設け、挟持部同士を末端で枢支して人形又は動物形象玩具用クリンパー1を得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して30%の面積を有してなる。
【0024】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、前記ヘアクリンパーに挟持して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はヘアクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をクリンパーで挟持した後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0025】
実施例2
毛髪の作製
共重合ポリアミド樹脂(融点155℃)60部、ガラス転移温度36℃のポリエステル樹脂39部、茶色の着色剤1部を混合して芯部を構成する樹脂を得た。
鞘部を構成する樹脂としてアルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)100部を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=5/5(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから190℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなる茶色の毛髪(複合繊維)を得た。
【0026】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛ミシンを用いて植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0027】
ヘアクリンパーの作製(図4参照)
挟着面の凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が5mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mmである金属製挟持部21と、前記挟持部A21の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の金属製挟持部B22(前記挟持部A21と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が5mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔3を設け、挟持部同士を末端で枢支し、金属製挟持部21の両端部に可動式の掛止具4を設けて人形又は動物形象玩具用クリンパー1を得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して30%の面積を有してなる。
【0028】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、この状態で手触により36℃以上に加温すると、毛髪はより柔軟性を有した。前記毛髪をヘアクリンパーに挟持し、掛止具により固定して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をヘアクリンパーにはさんだ後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。ここで、水を付着させた後、手触により36℃以上に加温すると、容易にストレート状態に戻すことができた。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0029】
実施例3
毛髪の作製
ポリアミドエラストマー(融点160℃)70部、ガラス転移温度40℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度−20℃のポリエステル樹脂の3:1混合物(混合後のTg=25℃)29部、黒色の着色剤1部を混合して芯部を構成する樹脂を得た。
アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)10部、アルコール可溶性樹脂と異なる樹脂(6−12共重合ナイロン)90部を混合して鞘部を構成する樹脂を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=8/2(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから190℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなる黒色の毛髪(複合繊維)を得た。
【0030】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0031】
クリンパーの作製
挟着面の凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が7mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1.5mmであるプラスチック製挟持部と、前記挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方のプラスチック製挟持部(前記挟持部と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が7mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1.5mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔を設け、挟持部同士を末端で枢支して人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して15%の面積を有してなる。
【0032】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、この状態で手触により25℃以上に加温すると、毛髪はより柔軟性を有した。前記毛髪をヘアクリンパーに挟持して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をヘアクリンパーにはさんだ後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアークリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。ここで、水を付着させた後、手触により36℃以上に加温すると、容易にストレート状態に戻すことができた。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0033】
実施例4
毛髪の作製
ガラス転移温度36℃のポリエステル樹脂99部、茶色の着色剤1部を混合して芯部を構成する樹脂を得た。
アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)10部、アルコール可溶性樹脂と異なる樹脂(6−12共重合ナイロン)90部を混合して鞘部を構成する樹脂を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=5/5(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから190℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなる茶色の毛髪(複合繊維)を得た。
【0034】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0035】
クリンパーの作製
挟着面の凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が7mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1.5mmであるプラスチック製挟持部と、前記挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方のプラスチック製挟持部(前記挟持部と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が7mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1.5mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔を設け、挟持部同士を末端で枢支して人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して40%の面積を有してなる。
【0036】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、この状態で手触により36℃以上に加温すると、毛髪はより柔軟性を有した。前記毛髪をヘアクリンパーに挟持して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をヘアクリンパーにはさんだ後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアークリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。ここで、水を付着させた後、手触により36℃以上に加温すると、容易にストレート状態に戻すことができた。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0037】
実施例5
可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン2部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン6部、カプリン酸ステアリル50部からなる可逆性熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミンの界面重合法によってマイクロカプセル化して平均粒子径10〜20μmの可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
前記マイクロカプセル顔料は34℃以上で無色、28℃以下でピンク色に可逆的に色変化した。
【0038】
毛髪の作製
前記マイクロカプセル顔料3部、共重合ポリアミド樹脂(融点155℃)60部、ガラス転移温度36℃のポリエステル樹脂37部を混合して芯部を構成する樹脂を得た。
鞘部を構成する樹脂としてアルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)100部を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=5/5(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから190℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなる毛髪(複合繊維)を得た。
前記フィラメントは34℃以上で無色、28℃以下でピンク色に可逆的に色変化した。
【0039】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0040】
クリンパーの作製
ヘアクリンパーの作製
挟着面の凸部と凹部の高低差が15mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が15mm、凸部の頂点の曲率半径Rが3mmである金属製挟持部と、前記挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の金属製挟持部(前記挟持部と同様に凸部と凹部の高低差が15mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が15mm、凸部の頂点の曲率半径Rが3mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔を設け、挟持部同士を末端で枢支して人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して15%の面積を有してなる。
【0041】
前記人形の毛髪は25℃の室温下でピンク色を呈すると共に復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、この状態で手触により36℃以上に加温すると、毛髪はより柔軟性を有すると共に無色になった。前記毛髪をヘアクリンパーに挟持して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はピンク色を呈してクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をヘアクリンパーにはさんだ後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアークリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。ここで、水を付着させた後、手触により36℃以上に加温すると、無色になると共に容易にストレート状態に戻すことができた。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0042】
実施例6
毛髪の作製
イソフタル酸35モル%変性ポリブチレンテレフタレート(融点168℃)60部、ガラス転移温度35℃のアクリル樹脂39部、ブロンド色の着色剤1部を混合して芯部を構成する樹脂を得た。
アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610−12四元共重合ナイロン)25部、アルコール可溶性樹脂と異なる樹脂として6−12共重合ナイロン75部を混合して鞘部を構成する樹脂を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=8/2(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから190℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなるブロンド色の毛髪(複合繊維)を得た。
【0043】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0044】
ヘアクリンパーの作製
挟着面の凸部と凹部の高低差が10mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が10mm、凸部の頂点の曲率半径Rが2mmである金属製挟持部と、前記挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の金属製挟持部(前記挟持部と同様に凸部と凹部の高低差が10mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が10mm、凸部の頂点の曲率半径Rが2mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔を設け、挟持部同士を末端で枢支し、金属製挟持部の両端部に可動式の掛止具を設けて人形又は動物形象玩具用クリンパー1を得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して30%の面積を有してなる。
【0045】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、この状態で手触により35℃以上に加温すると、毛髪はより柔軟性を有した。前記毛髪をヘアクリンパーに挟持し、掛止具により固定して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をヘアクリンパーにはさんだ後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアークリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。ここで、水を付着させた後、手触により36℃以上に加温すると、容易にストレート状態に戻すことができた。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0046】
実施例7
毛髪の作製
芯部を構成する樹脂として、ガラス転移温度10℃のポリウレタン系形状記憶樹脂100部を得た。
アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610−12四元共重合ナイロン)100部、茶色の着色剤1部を混合して鞘部を構成する樹脂を得た。
前記芯部を構成する樹脂を芯部成形用押出し機に、前記鞘部を構成する樹脂を鞘部成形用押出し機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部/鞘部=5/5(体積比)になるように、20孔の吐出孔を有するダイスから200℃で紡出し、延伸処理することにより直径90μmのフィラメント20本からなる茶色の毛髪(複合繊維)を得た。
【0047】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0048】
ヘアクリンパーの作製
挟着面の凸部と凹部の高低差が5mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が12mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mmであるプラスチック製挟持部と、前記挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方のプラスチック製挟持部(前記挟持部と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が5mm、凸部の頂点の曲率半径Rが1mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔を設け、挟持部同士を末端で枢支し、金属製挟持部の両端部に可動式の掛止具を設けて人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して50%の面積を有してなる。
【0049】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、前記ヘアクリンパーに挟持し、掛止具により固定して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はヘアクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をクリンパーで挟持した後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0050】
実施例8
ヘアクリンパーの作製
実施例1で使用したヘアクリンパーの挟着部に、湿式法微粒子シリカをウレタン系エマルジョンで合成紙に固着させた水発色性シールを貼着した。この水発色性シールは乾燥状態では白色を呈し、水が付着すると青色に変化し、再び乾燥すると白色に戻るものであった。
【0051】
実施例1で得られた人形の毛髪に噴霧器を用いて水を付着させ、前記ヘアクリンパーで挟着すると、水発色性シールは青色となった。再び水発色性シールが白色に戻ってからクリンパーを取り外すと毛髪は乾燥しており、ヘアクリンパーと同一の形状でクリンプした状態となってパーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持でき、毛髪の乾燥状態を目視で確認できる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアカーラーを得ることができた。
【0052】
実施例9
毛髪の作製
6−12共重合ナイロン70部、アルコール可溶性樹脂(6−6,6−610三元共重合ナイロン)24部、茶色の着色剤1部を混合し、汎用の溶融紡糸装置を用いて24孔の吐出孔を有するダイスから180℃で紡出し、延伸処理することにより直径80μmのフィラメント24本からなる茶色のマルチフィラメント(玩具用毛髪)を得た。
【0053】
人形の作製
前記毛髪をプラスチック材からなる人形の頭部に植毛ミシンを用いて植毛し、胴体部と連結して人形を得た。
【0054】
ヘアクリンパーの作製(図5乃至7参照)
挟着面の凸部と幅広の凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が10mm、凸部の厚み3.0mmであるプラスチック製挟持部21と、前記挟持部A21の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方のプラスチック製挟持部B22(前記挟持部A21と同様に凸部と凹部の高低差が3mm、隣り合う凸部の頂点間の距離が10mm、凸部の厚み3.0mm)とからなり、挟着面の表面に複数の長方形の通孔3を設け、挟持部同士を末端で枢支して人形又は動物形象玩具用クリンパー1を得た。
前記通孔は、挟着面の外表面積に対して35%の面積を有してなる。
なお、
【0055】
前記人形の毛髪は復元性を有し、ヘアクリンパーにセットして挟持しただけではウェーブできなかった。この毛髪に噴霧器を用いて水を付着させると、毛髪は柔軟性を有し、塑性変形が可能となり、前記ヘアクリンパーに挟持して乾燥させた後、クリンパーを取り外すと、毛髪はヘアクリンパーと同一の形状でウェーブした状態となり、パーマネントウェーブと同様に長期間その形状を保持できた。
なお、前記毛髪をクリンパーで挟持した後、15分後に取り外すと毛髪は内部まで乾燥しており、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることができる利便性に富む人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーを得ることができた。
次に、ウェーブした状態の毛髪に再度噴霧器を用いて水を付着させ、ストレートに伸ばしながらブラッシングすると、毛髪は初期のストレート状態に戻った。
また、前記毛髪は水を付着させてからヘアクリンパーで挟持する他、乾燥状態の毛髪をヘアクリンパーで挟持した後、水を付着させることもできる。
【0056】
比較例1
ヘアクリンパーの作製(図8乃至10参照)
実施例1と同様の形状のヘアクリンパーであって、表面に通孔を設けない以外は同様の方法により人形又は動物形象玩具用クリンパー1を得た。
【0057】
実施例1と同様の人形の毛髪に水を付着させた後、前記ヘアクリンパーを用いて挟着して15分後に取り外したものの、毛髪は内部に巻きつけた部分まで乾燥しておらず、毛髪から水が蒸発する迄に30分以上の時間を要し、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることはできず、遊戯性を損なうものであった。
【0058】
比較例2
ヘアクリンパーの作製
実施例2と同様の形状のヘアクリンパーであって、表面に通孔を設けない以外は同様の方法により人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
【0059】
実施例2と同様の人形の毛髪に同様に水を付着させた後、前記ヘアクリンパーを用いて挟着して15分後に取り外したものの、毛髪は内部に巻きつけた部分まで乾燥しておらず、毛髪から水が蒸発する迄に30分以上の時間を要し、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることはできず、遊戯性を損なうものであった。
【0060】
比較例3
ヘアクリンパーの作製
実施例9と同様の形状のヘアクリンパーであって、表面に通孔を設けない以外は同様の方法により人形又は動物形象玩具用クリンパーを得た。
【0061】
実施例9と同様の人形の毛髪に同様に水を付着させた後、前記ヘアクリンパーを用いて挟着して15分後に取り外したものの、毛髪は内部に巻きつけた部分まで乾燥しておらず、毛髪から水が蒸発する迄に30分以上の時間を要し、ウェーブした毛髪を迅速且つ簡便に得ることはできず、遊戯性を損なうものであった。
【符号の説明】
【0062】
1 人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー
2 挟持部
21 挟持部A
22 挟持部B
3 通孔
4 掛止具
5 毛髪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる樹脂からなる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具に適用する人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーであって、前記ヘアクリンパーは複数の凹部と凸部からなる挟着面を備えた一方の挟持部と、前記一方の挟持部の凹部と凸部に嵌合する凹部と凸部からなる挟着面を備えた他方の挟持部とからなり、各挟持部の挟着面は表面積に対して10%以上の通孔を有してなる人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項2】
前記挟持部の凹部と凸部の高低差が1mm以上である請求項1記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項3】
前記挟持部の隣り合う凸部の頂点間の距離が20mm以下である請求項1又は2記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項4】
前記凸部の頂点の曲率半径(R)が5mm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項5】
前記凸部の厚みが10mm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項6】
前記一方の挟持部に他方の挟持部が枢支されてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項7】
前記各挟持部の凹部と凸部が噛み合った状態を保持する掛止具を設けてなる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項8】
前記挟持部に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパー。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の人形又は動物形象玩具用ヘアクリンパーと、水の適用によって変形させた状態を、乾燥させることによって固定できる樹脂からなる毛髪を備えた人形又は動物形象玩具とからなる人形又は動物形象玩具セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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