説明

什器

【課題】複数の商品を上下方向に積み重ねて収容する什器において、商品を水平方向に押し出すことなく所定数ずつ払い出す。
【解決手段】什器は、商品を上下方向に重ねて収容する収容部10と、払出操作を受け付ける払出操作部(第1払出操作部21、第2払出操作部22)と、商品を保持する商品保持部(第1保持部材30、第2保持部材40により構成される)を有する。商品保持部は、常態においては、収容部10の商品のうち最も下に位置する第1商品を下支えすることにより商品を保持する。払出操作が行われると、第1商品よりも所定数上に位置する第2商品を下支えすることにより第2商品及びその上に位置する商品を保持した状態で、第1商品の下支えを解除し、第2商品よりも下の商品を下方へ落下させて払い出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品を収容する什器に関し、特に、商品の払出しが可能な什器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどの店舗では、様々な商品がいわゆる什器に収容されている。
【0003】
多様な商品のうち、例えばたばこ商品などの特定の商品を収容するための什器は、電子キャッシュレジスタなどの販売処理装置が載置されたレジカウンタ上又はその周辺に配置されることが一般的である。
【0004】
なお、ここで云うたばこ商品とは、実際に喫煙される紙巻たばこではなく、複数の紙巻たばこを収容している直方体状のパッケージを意味している。
【0005】
什器は、複数の商品を、水平方向(例えば奥行き方向)に並べて収容したり、上下方向に積み重ねて収容したりする。後者のタイプの什器では、商品を上端のものから順次取り出すタイプのものと、下端のものから順次取り出すタイプのものがある。
【0006】
特許文献1には、商品を上下方向に積み重ねて収容するコラムと、選択ボタンにより商品が選択されたときに商品の払い出し動作を行う商品搬出装置と、払い出された商品の取出口と、を備える什器が記載されている。この什器の商品搬出装置は、商品を押し出すプッシャ等からなり、選択された商品が収容されているコラムにおける最下段の商品を水平方向に押し出して、払い出し動作を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−098714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の什器では、積み重ねられた商品のうち最下段の商品を水平方向に押し出すようになっているため、水平方向の寸法の大型化を招く。
しかも、商品の払出に際して、商品に対して不要な摩擦力が作用する。なぜなら、上に多くの商品が積み重なっている状態において、商品を水平方向に押し出すからである。一般に、たばこ商品などの商品はフィルム包装されているため、商品どうしの摩擦力はある程度大きい場合がある。特に、コンビニエンスストア等の店舗では、おでんなどの蒸気の発生を伴う商品を販売していることも多いため、その湿気によって、上下に隣接する商品どうしの摩擦力が増大する可能性がある。
【0009】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の商品を上下方向に積み重ねて収容する什器において、商品を水平方向に押し出すことなく所定数ずつ払い出すことが可能な什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の商品を上下方向に重ねて収容し、且つ、前記商品をガイドしながら流下させる流下路を構成する収容部と、
払出操作を受け付ける払出操作部と、
前記商品の保持及び払い出しを行う商品保持部と、
を有し、
前記商品保持部は、
常態においては、前記収容部の前記商品のうち最も下に位置する前記商品である第1商品を下支えすることにより、前記第1商品及びその上に位置する前記商品を保持し、
前記払出操作部に対して前記払出操作が行われると、前記第1商品よりも所定数上に位置する前記商品である第2商品を下支えすることにより前記第2商品及びその上に位置する前記商品を保持した状態で、前記第1商品の下支えを解除することにより、前記第2商品よりも下の前記商品を下方へ落下させて払い出す払出動作を行うことを特徴とする什器を提供する。
【0011】
この什器によれば、商品保持部は、常態においては、収容部の商品のうち最も下に位置する商品である第1商品を下支えすることにより、第1商品及びその上に位置する商品を保持する。そして、払出操作部に対して払出操作が行われると、商品保持部は、第1商品よりも所定数上に位置する商品である第2商品を下支えすることにより第2商品及びその上に位置する商品を保持した状態で、第1商品の下支えを解除することにより、第2商品よりも下の商品を下方へ落下させて払い出す払出動作を行う。すなわち、複数の商品を上下方向に積み重ねて収容する什器において、商品を水平方向に押し出すことなく所定数ずつ払い出すことができる。
これにより、什器の水平方向における寸法の大型化を抑制できるし、商品に不要な摩擦力を与えることなく払出動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の商品を上下方向に積み重ねて収容する什器において、商品を水平方向に押し出すことなく所定数ずつ払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る什器の正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る什器の背面図である。
【図3】第1の実施形態に係る什器の左側面図である。
【図4】第1の実施形態に係る什器の右側面図である。
【図5】第1の実施形態に係る什器の平面図である。
【図6】第1の実施形態に係る什器の正面図であり、正面パネルを取り外した状態を示す。
【図7】第1の実施形態に係る什器の第1保持部材を示す正面図及び側面図である。
【図8】第1の実施形態に係る什器の第2保持部材を示す正面図及び側面図である。
【図9】第1の実施形態に係る什器の流下路内から第1保持部材及びその周囲の部分を見た側面図である。
【図10】第1の実施形態に係る什器の第1保持部材及びその周囲の部分の斜視図である。
【図11】第1の実施形態に係る什器の第1保持部材及びその周囲の部分を下から見た図である。
【図12】第1の実施形態に係る什器の流下路内から第2保持部材及びその周囲の部分を見た側面図である。
【図13】第1の実施形態に係る什器の第2保持部材及びその周囲の部分の斜視図である。
【図14】第1の実施形態に係る什器の動作を示す一連の機構図である。
【図15】第2の実施形態に係る什器の流下路内から第1保持部材及びその周囲の部分を見た側面図である。
【図16】第2の実施形態に係る什器の動作を示す一連の機構図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0015】
〔第1の実施形態〕
図1乃至図6は第1の実施形態に係る什器を示す図であり、このうち図1は正面図、図2は背面図、図3は左側面図、図4は右側面図、図5は平面図、図6は正面パネル4を取り外した状態での正面図である。図7は第1の実施形態に係る什器第1保持部材30を示す図であり、このうち図7(a)は正面図、図7(b)は右側面図である。図8は第1の実施形態に係る什器の第2保持部材40を示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は左側面図である。図9は第1の実施形態に係る什器の流下路11内から第1保持部材30及びその周囲の部分を見た側面図である。図10は第1保持部材30及びその周囲の部分の斜視図である。図11は第1保持部材30及びその周囲の部分を下から見た図である。図12は流下路11内から第2保持部材40及びその周囲の部分を見た側面図である。図13は第2保持部材40及びその周囲の部分の斜視図である。図14は第1の実施形態に係る什器の商品払出動作を示す一連の機構図である。
【0016】
本実施形態に係る什器は、複数の商品(例えばたばこ商品60)を上下方向に重ねて収容し、且つ、商品をガイドしながら流下させる流下路11を構成する収容部10と、払出操作を受け付ける払出操作部(例えば、第1払出操作部21、第2払出操作部22)と、商品の保持及び払い出しを行う商品保持部(例えば、第1保持部材30、第2保持部材40により構成される)と、を有し、商品保持部は、常態においては、収容部10の商品のうち最も下に位置する商品である第1商品(例えば第1たばこ商品60a)を下支えすることにより、複数の商品を保持し、払出操作部に対して払出操作が行われると、第1商品よりも所定数上に位置する商品である第2商品(例えば、第2たばこ商品60b)を下支えすることにより第2商品及びその上に位置する商品を保持した状態で、第1商品の下支えを解除することにより、第2商品よりも下の商品を下方へ落下させて払い出す払出動作を行う。以下、詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、什器は、例えば、基台1と、この基台1上に立設された左右一対の側壁部2、3と、正面パネル4(図1)と、背面パネル5(図2)と、を有している。
【0018】
収容部10は、左右一対の側壁部2、3と、正面パネル4と、スペーサ部材12(後述)又は背面パネル5と、により囲まれた、上下方向に長尺な角柱状の領域である。この収容部10内に、同一の形状及び寸法の複数のたばこ商品60を上下方向に重ねて陳列及び収容できるようになっている。
【0019】
ここで、たばこ商品60は、実際に喫煙される紙巻たばこではなく、複数の紙巻たばこを収容している直方体状のパッケージである。
【0020】
たばこ商品60は、例えば、収容部10内において傾斜状態で上下に積み重ねられるようになっている。
より具体的に説明すると、扁平な直方体形状のたばこ商品60をその薄手方向が上下方向となるように水平に寝かせた状態から、該たばこ商品60をその長手軸(このように寝かせた状態において、該長手軸は水平方向に延在する)周りに回動させることにより、たばこ商品60の上面及び下面を水平面に対して傾斜させた姿勢で、上下に積み重ねられる。よって、たばこ商品60の外面の6つの面のうち、2つの面(例えば手前側の面及び奥側の面)が鉛直面となり、残りの4つの面が鉛直面に対して傾斜する状態となる。
このような傾斜状態で、各たばこ商品60の左右幅と、収容部10の左右幅とは、ほぼ等しい。
【0021】
収容部10内のたばこ商品60は、最下位置のものから順に、下方に払い出されるようになっている。そして、最下位置のたばこ商品60が払い出されると、残りのたばこ商品60は、順次、収容部10によりガイドされながら、該収容部10内を流下する。すなわち、収容部10は、たばこ商品60をガイドしながら流下させる流下路11を構成する。
【0022】
収容部10に収容できるたばこ商品60の個数は任意の複数であるが、例えば、10個以上であることが好ましく、14個以上であることが更に好ましい。
具体的には、例えば、15個のたばこ商品60を収容部10に収容できるようになっていることが挙げられる。たばこ商品60は、一般的に、カートン単位でまとめて包装され、1カートンのたばこ商品60は一般的に10個である。このため、収容部10内のたばこ商品60の残数が、減ってきたとき(例えば、残り個数が1〜5個となったとき)、或いは、ゼロになったときに、1カートン分(つまり10個)のたばこ商品60を余すことなく収容部10に補充することができる。
【0023】
収容部10の上端部は開口しており、その開口より、たばこ商品60を収容部10内に投入し、補充することができるようになっている。
【0024】
例えば、基台1の上面は平坦に形成されている。基台1は、その上面が水平となるように配置される。払出操作が行われると、たばこ商品60が基台1の上面に払い出されるようになっている。すなわち、基台1の上面は、たばこ商品60の取り出し部を構成する。
【0025】
基台1は、例えば、下向きに開口する半筐体状に形成されている。基台1の平面形状は、例えば、矩形状である。基台1の材質は特に限定しないが、例えば、金属が挙げられる。基台1は、例えば、金属板の周縁部を下方に向けて折り曲げ加工することにより構成されている。
【0026】
側壁部2は、例えば、収容部10を基準として外側に位置する外壁部6と、内側に位置する内壁部7と、を有する2重構造となっている。例えば、側壁部2は、前後対称に形成され、外壁部6及び内壁部7もそれぞれ前後対称に形成されている。
【0027】
外壁部6は、基台1の上面から什器の上端部に亘って上下方向に延在している。外壁部6の側面形状は、例えば、矩形状である(図3参照)。
より具体的には、外壁部6は、例えば、本体部6a(図3)と、前縁部6b(図1)と、後縁部6c(図2)と、上縁部6d(図5)と、第1下縁部6e(図1、図5)と、第2下縁部6f(図1、図5)と、第3下縁部6g(図2、図5)と、を有している。
これら本体部6a、前縁部6b、後縁部6c、上縁部6d、第1下縁部6e、第2下縁部6f及び第3下縁部6gは、例えば、それぞれ平板状に形成されている。
なお、本体部6a、前縁部6b、後縁部6c、上縁部6d、第1下縁部6e、第2下縁部6f及び第3下縁部6gの各々の板面の形状は、例えば、矩形状となっている。
本体部6aは、基台1の上面に対して垂直に起立し、該本体部6aの板面が左右方向を向いている。
前縁部6bは、本体部6aの前端縁から右方に向けて延出している。前縁部6bは、本体部6aに対して直交し、該前縁部6bの板面が前後方向を向いている。
後縁部6cは、本体部6aの後端縁から右方に向けて延出している。後縁部6cは、本体部6aに対して直交し、該後縁部6cの板面が前後方向を向いている。
上縁部6dは、本体部6aの上端縁から右方に向けて延出している。上縁部6dは、本体部6aに対して直交し、該上縁部6dの板面が上下方向を向いている。
第1下縁部6eは、本体部6aの下端縁から左方に向けて延出している。第1下縁部6eは、本体部6aに対して直交し、該第1下縁部6eの板面が上下方向を向いている。
第2下縁部6fは、前縁部6bの下縁部から前方に向けて延出している。第2下縁部6fは、前縁部6bに対して直交し、該第2下縁部6fの板面が上下方向を向いている。
第3下縁部6gは、後縁部6cの下縁部から後方に向けて延出している。第3下縁部6gは、後縁部6cに対して直交し、該第3下縁部6gの板面が上下方向を向いている。
第1乃至第3下縁部6e、6f、6gがそれぞれビスなどの止着部材によって基台1の上面に対して固定されることにより、外壁部6は、基台1上に立設されている。
外壁部6の材質は特に限定しないが、例えば、金属が挙げられる。外壁部6は、例えば、金属板の周縁部を折り曲げ加工することで前縁部6b、後縁部6c、上縁部6d、第1下縁部6e、第2下縁部6f及び第3下縁部6gを形成することによって構成されている。
【0028】
内壁部7は、例えば、収容部10の下端部から什器の上端部に亘って上下方向に延在する配置で、外壁部6に対して固定されている。内壁部7の側面形状は、例えば、矩形状である。
より具体的には、内壁部7は、例えば、本体部7a(図9)と、前縁部7b(図6)と、後縁部7c(図11)と、上縁部7d(図5)と、下縁部7e(図11)と、先端縁部7f(図11)と、を有している。
これら本体部7a、前縁部7b、後縁部7c、上縁部7d、下縁部7e及び先端縁部7fは、例えば、それぞれ平板状に形成されている。
なお、本体部7a、前縁部7b、後縁部7c、上縁部7d、下縁部7e及び先端縁部7fの各々の板面の形状は、例えば、矩形状となっている。
本体部7aは、外壁部6の本体部6aにおける下部を除く部分に対して平行に対向するように配置され、該本体部7aの板面が左右方向を向いている。
前縁部7bは、本体部7aの前端縁から左方に向けて延出している。前縁部7bは、本体部7aに対して直交し、該前縁部7bの板面が前後方向を向いている。
後縁部7cは、本体部7aの後端縁から左方に向けて延出している。後縁部7cは、本体部7aに対して直交し、該後縁部7cの板面が前後方向を向いている。
上縁部7dは、本体部7aの上端縁から左方に向けて延出している。上縁部7dは、本体部7aに対して直交し、該上縁部7dの板面が上下方向を向いている。
下縁部7eは、本体部7aの下端縁から左方に向けて延出している。下縁部7eは、本体部7aに対して直交し、該下縁部7eの板面が上下方向を向いている。
先端縁部7fは、下縁部7eの延出方向における先端縁から下方に向けて延出している。先端縁部7fは、下縁部7eに対して直交し、該先端縁部7fの板面が前後方向を向いている。
【0029】
外壁部6と内壁部7とは、例えば、次のように組み付けられている。
すなわち、内壁部7の前縁部7bが外壁部6の前縁部6bの前面に接触し、内壁部7の後縁部7cが外壁部6の後縁部6cの後面に接触し、内壁部7の上縁部7dが外壁部6の上縁部6dの上面に接触するように、内壁部7を外壁部6に対して外嵌することにより、外壁部6と内壁部7とが組み付けられている。
このように組み付けた状態において、内壁部7の下縁部7e及び先端縁部7fは、外壁部6の前縁部6bと後縁部6cとの間の空間に入り込み、先端縁部7fは外壁部6の本体部6aの内側の面(右側の面)に接している。
そして、内壁部7の先端縁部7fは、外壁部6の本体部6aに対し、ビスなどの止着部材によって固定されている。
また、このように組み付けた状態において、前縁部7bと前縁部6bとがビスなどの止着部材によって固定され、後縁部7cと後縁部6cとがビスなどの止着部材によって固定され、上縁部7dと上縁部6dとがビスなどの止着部材によって固定されている。
【0030】
側壁部2は、このように構成されており、外壁部6の本体部6aと内壁部7の本体部7aとの間の空間が中空となっている。そして、後述するように、この空間内において、第1保持部材30が軸支されている。
【0031】
側壁部3は、例えば、収容部10を基準として外側に位置する外壁部8と、内側に位置する内壁部9と、を有する2重構造となっている。例えば、側壁部3は、前後対称に形成され、外壁部8及び内壁部9もそれぞれ前後対称に形成されている。
【0032】
側壁部3は、側壁部2に対してほぼ左右対称に形成されている。
すなわち、側壁部3の外壁部8は、本体部8a(図4)、前縁部8b(図1)、後縁部8c(図2)、上縁部8d(図5)、第1下縁部8e(図1、図5)、第2下縁部8f(図1、図5)及び第3下縁部8g(図2、図5)を有し、これらは、側壁部2の外壁部6の本体部6a、前縁部6b、後縁部6c、上縁部6d、第1下縁部6e、第2下縁部6f及び第3下縁部6gとそれぞれ同様の形状となっている。
また、側壁部3の内壁部9は、本体部9a(図12)、前縁部9b(図6)、後縁部9c(図2)及び上縁部9d(図5)を有し、これらは、側壁部2の内壁部7の本体部7a、前縁部7b、後縁部7c及び上縁部7dとそれぞれ同様の形状となっている。
なお、内壁部9は、内壁部7の下縁部7eに相当する構成、並びに、内壁部7の先端縁部7fに相当する構成を有していない。
内壁部9は、上下寸法が内壁部7よりも小さく、内壁部9の下端は、内壁部7の下端よりも上に位置している。
【0033】
外壁部8と内壁部9とは、例えば、次のように組み付けられている。
すなわち、内壁部9の前縁部9bが外壁部8の前縁部8bの前面に接触し、内壁部9の後縁部9cが外壁部8の後縁部8cの後面に接触し、内壁部9の上縁部9dが外壁部8の上縁部8dの上面に接触するように、内壁部9を外壁部8に対して外嵌することにより、外壁部8と内壁部9とが組み付けられている。
また、前縁部9bと前縁部8bとがビスなどの止着部材によって固定され、後縁部9cと後縁部8cとがビスなどの止着部材によって固定され、上縁部9dと上縁部8dとがビスなどの止着部材によって固定されている。
【0034】
側壁部3は、このように構成されており、本体部8aと本体部9aとの間の空間が中空となっている。そして、後述するように、この空間内において、第2保持部材40が軸支されている。
【0035】
正面パネル4は、収容部10の前面側を覆う平板な板状部材である。正面パネル4は、例えば、ビスなどの止着部材によって側壁部2の前面及び側壁部3の前面に固定され、一対の側壁部2、3間に亘って架設されている。
例えば、正面パネル4の左右方向における中央部には、上下方向に延在する開口部4aが形成されている。この開口部4aは、例えば、収容部10の上端部の前方位置から、収容部10の下端部の前方位置に亘って延在している。
【0036】
なお、什器の前方から正面パネル4を介して収容部10内のたばこ商品60を視認できるように、正面パネル4は、透明樹脂などのような透明な材質により構成されていることが好ましい。これにより、収容部10内のたばこ商品60の残数や銘柄を容易に確認できる。
このように、収容部10には、複数のたばこ商品60を上下方向に重ねて、外部より視認可能な状態で陳列及び収容することができるようになっている。
【0037】
背面パネル5は、収容部10の背面側を覆う平板な板状部材である。背面パネル5は、例えば、ビスなどの止着部材によって側壁部2の背面及び側壁部3の背面に固定され、一対の側壁部2、3間に亘って架設されている。
例えば、背面パネル5の左右方向における中央部には、上下方向に延在する開口部5aが形成されている。この開口部5aは、例えば、収容部10の上端部の後方位置から、収容部10の下端部の後方位置に亘って延在している。
【0038】
収容部10の左側の側壁は、内壁部7の本体部7aにより構成され、収容部10の右側の側壁は、内壁部9の本体部9aにより構成され、収容部10の前側の壁部は、正面パネル4により構成されている。
【0039】
什器は、例えば背面パネル5に対して着脱可能に設けられるスペーサ部材12を更に有している。このスペーサ部材12の有無によって、収容部10の後側の壁部の位置を変更し、収容部10の寸法(例えば奥行き)を調節できるようになっている。
【0040】
スペーサ部材12は、例えば、背面パネル5の前方において背面パネル5と平行に配置される平板状の本体部12a(図6)と、この本体部12aの左右両端縁からそれぞれ後方に延出している後方延出部12b(図5(a))と、本体部12aの上端部に形成された第1フック部12c(図5(a)、図2)と、本体部12aの下端部に形成された第2フック部12d(図6、図2)と、を有している。
【0041】
スペーサ部材12は、例えば、第2フック部12dを背面パネル5の下端縁に係止し、且つ、第1フック部12cを背面パネル5の上端縁に係止することによって、背面パネル5に取り付けられる。スペーサ部材12は、例えば、第1フック部12cが背面パネル5に係止された状態で、背面パネル5にぶら下がる。この状態で、後方延出部12bの後端が、背面パネル5の前面に当接又は近接する。そして、本体部12aは、後方延出部12bの奥行き寸法に相当する距離だけ背面パネル5よりも前側の位置において、位置決めされる。
【0042】
スペーサ部材12を背面パネル5から取り外すには、先ず、スペーサ部材12を上に持ち上げることにより第1フック部12cと背面パネル5の上端縁との係合を解除し、次に、第1フック部12cが背面パネル5よりも前方に移動するようにスペーサ部材12を前傾させ、次に、第2フック部12dと背面パネル5の下端縁との係合が解除するようにスペーサ部材12を下に降ろす。
逆に、スペーサ部材12を背面パネル5に取り付けるには、先ず、スペーサ部材12を前傾させた状態で、第2フック部12dを背面パネル5の下端縁に係合させ、次に、スペーサ部材12を上に持ち上げるとともに鉛直に立てる。次に、スペーサ部材12を下に降ろすことにより、第1フック部12cを背面パネル5の上端縁に係合させる。
【0043】
収容部10の背面側の壁部は、スペーサ部材12を背面パネル5に取り付けた状態(図5(a))ではスペーサ部材12の本体部12aにより構成され、スペーサ部材12を背面パネル5から取り外した状態(図5(a))では背面パネル5により構成される。
【0044】
従って、スペーサ部材12を背面パネル5に取り付けることにより、収容部10の内寸(奥行き寸法)を狭め、背面パネル5からスペーサ部材12を取り外すことにより、収容部10の内寸を広げることができる。
そして、例えば、スペーサ部材12を取り付けた状態では、収容部10にキングサイズのたばこ商品60をジャストサイズで収容可能となり、スペーサ部材12を取り外した状態では、収容部10にキングサイズよりも長いスーパーキングサイズ(ロングサイズとも称される)のたばこ商品(図示略)をジャストサイズで収容可能となる。
このように、什器は、複数種類のサイズのたばこ商品の収容に兼用できるようになっている。
【0045】
什器は、更に、互いに対向して配置された第1及び第2保持部材30、40を有し、これら第1及び第2保持部材30、40の協働により、収容部10内の商品の保持及び払い出しを行うようになっている。
【0046】
図7に示すように、第1保持部材30は、例えば、本体部31と、本体部31の下端部に形成された第1爪部32と、本体部31の上部に形成された第1支保部33と、本体部31の上部において第1支保部33と背中合わせの位置に形成された第1払出操作部21(図7(a))と、を有している。
図7(b)に示すように、第1保持部材30は、例えば、前後対称に形成されている。
【0047】
第1保持部材30は、例えば、互いに同一形状の複数(例えば3つ)の第1爪部32と、互いに同一形状の複数(例えば3つ)の第1支保部33と、を有している。
【0048】
第1爪部32は、常態において第1たばこ商品60aの一端部を下支えする。
第1爪部32は、本体部31から垂下する垂下部32aと、この垂下部32aの下端部から横方向(第2保持部材40側(図7(a)において右側))に突出する横突出部32bと、を有し、その全体形状は、正面視L字状となっている。なお、正面視において、垂下部32aと横突出部32bとのなす角度αは、例えば、90°よりも大きいことが挙げられる。
【0049】
第1支保部33は、払出動作のときに第2たばこ商品60bの一端部を支える。
第1支保部33は、本体部31における第2保持部材40側の面から、第2保持部材40側に向けて突出するように形成されている。第1支保部33における第2保持部材40側の面33aは、平坦面であることが好ましい一例である。
【0050】
本体部31において、第1支保部33と第1爪部32との間の位置には、本体部31を前後に貫通する軸支孔34が形成され、軸支孔34よりも上方の位置には、本体部31を前後に貫通する連結孔35が形成されている。
【0051】
第1保持部材30は、水平方向、且つ、前後方向に延在する直線状の棒状部材である第1回動軸36(図1、図2)により、側壁部2に軸支されている。これにより、第1保持部材30は、第1回動軸36の軸周りに回動可能となっている。
第1回動軸36は、例えば、正面パネル4と、側壁部2の内壁部7の前縁部7b及び後縁部7cと、背面パネル5と、を前後に貫通し、その前端部が正面パネル4に固定され、後端部が背面パネル5に固定されている。
なお、第1回動軸36は、例えば、少なくともその両端部が雄ネジ形状に形成され、第1回動軸36の両端部には、それぞれ雌ネジが螺合され、これら雌ネジによって、第1回動軸36が正面パネル4及び背面パネル5から抜け止めされている。
第1回動軸36は、側壁部2の中空内(例えば、前縁部7bと後縁部7cとの間の空間)において、第1保持部材30の軸支孔34に挿通されて、該第1保持部材30を回動可能に軸支している。
【0052】
第1払出操作部21は、側壁部2の外壁部6の本体部6aに形成された開口部37(図3)を介して、側壁部2の中空内より側壁部2の外側(左側)に突出している。
また、各第1爪部32は、図9乃至図11に示すように、側壁部2の内壁部7の下端部に(例えば、本体部7aの下端部から下縁部7eに亘って)形成された開口部38を介して、側壁部2の中空内から側壁部3側に突出し、収容部10の下方に位置している。なお、各第1爪部32は、奥行き方向に一列に並んで配置されている。
また、図9及び図10に示すように、各第1支保部33は、側壁部2の中空内において、側壁部2の内壁部7の本体部7aの下部に形成された開口部39を介して収容部10に臨む位置に配置されている。なお、各第1支保部33は、奥行き方向に一列に並んで配置されている。払出動作のときには、各第1支保部33は、それぞれ対応する開口部39を介して、側壁部2の中空内より収容部10内に突出する(流下路11の側壁を介して流下路11内に突出する)(図14(d)参照)。
【0053】
図8に示すように、第2保持部材40は、例えば、本体部41と、本体部41の下部に形成された第2爪部42と、本体部41の上部に形成された第2支保部43と、本体部41の上部において第2支保部43と背中合わせの位置に形成された第2払出操作部22(図8(a))と、を有している。
図8(b)に示すように、第2保持部材40は、例えば、前後対称に形成されている。
【0054】
第2爪部42は、常態において第1たばこ商品60aの他端部を下支えする。
第2爪部42は、第2保持部材40の奥行き方向の両端間に延在している。第2爪部42は、例えば、本体部41の下端部から横方向(第1保持部材30側(図8(a)において左側))に突出するように形成されている。第2爪部42の上面42aは、平坦面であることが好ましい一例である。
【0055】
第2支保部43は、払出動作のときに第2たばこ商品60bの他端部を支える。
第2保持部材30は、例えば、互いに同一形状の複数(例えば3つ)の第2支保部43を有している。第2支保部43の上面43aは、上に凸の円弧状の曲面となっていることが好ましい一例である。
【0056】
本体部41において、第2支保部43と第2爪部42との間の位置には、本体部41を前後に貫通する軸支孔44が形成され、軸支孔44よりも下方の位置には、本体部41を前後に貫通する連結孔45が形成されている。
【0057】
第2保持部材40は、水平方向、且つ、前後方向に延在する直線状の棒状部材である第2回動軸46(図1、図2)により、側壁部3に軸支されている。これにより、第2保持部材40は、第2回動軸46の軸周りに回動可能となっている。
【0058】
第2回動軸46は、例えば、正面パネル4と、側壁部3の内壁部9の前縁部9b及び後縁部9cと、背面パネル5と、を前後に貫通し、その前端部が正面パネル4に固定され、後端部が背面パネル5に固定されている。
なお、第2回動軸46は、例えば、少なくともその両端部が雄ネジ形状に形成され、第2回動軸46の両端部には、それぞれ雌ネジが螺合され、これら雌ネジによって、第2回動軸46が正面パネル4及び背面パネル5から抜け止めされている。
第2回動軸46は、側壁部3の内部(例えば、前縁部9bと後縁部9cとの間の空間)において、第2保持部材40の軸支孔44に挿通されて、該第2保持部材40を回動可能に軸支している。
【0059】
第2払出操作部22は、側壁部3の外壁部8の本体部8aに形成された開口部47(図4)を介して、側壁部3の中空内より外側(右側)に突出している。
また、第2爪部42は、図12及び図13に示すように、内壁部9の本体部9aの下端部と外壁部8の本体部8aとの間に形成された開口部48を介して、側壁部3の中空内より側壁部2側に突出し、常態においては収容部10の下方に位置している。
また、各第2支保部43は、側壁部3の中空内において、側壁部3の内壁部9の本体部9aの下部に形成された開口部49を介して収容部10に臨む位置に配置されている。なお、各第2支保部43は、奥行き方向に一列に並んで配置されている。払出動作のときには、各第2支保部43は、それぞれ対応する開口部49を介して、側壁部3の中空内より収容部10内に突出する(流下路11の側壁を介して流下路11内に突出する)(図14(d)参照)。
【0060】
なお、第1爪部32と第2爪部42とは、互いに対向し、第1支保部33と第2支保部43とは、互いに対向している。
【0061】
什器は、更に、第1保持部材30と第2保持部材40とを連結するリンク(例えば、第1リンク71(図1)及び第2リンク72(図2))を有している。そして、これら第1及び第2リンク71、72を介して第1及び第2保持部材30、40が連動するようになっている。
第1及び第2リンク71、72は、例えば、それぞれ平板で且つ一方向に長尺な板状部材である。第1リンク71は、例えば、正面パネル4の前面に沿って配置され、第2リンク72は、例えば、背面パネル5の背面に沿って配置されている(図3、図4参照)。
【0062】
第1リンク71の一端部(左端部)は、第1連結軸73(図1)を介して、第1保持部材30(図7)の上部(連結孔35)に連結され、他端部(右端部)は、第2連結軸74(図1)を介して、第2保持部材40(図8)の下部(連結孔45)に連結されている。
同様に、第2リンク72の一端部(左端部)は、第1連結軸73(図2)を介して、第1保持部材30の上部(連結孔35)に連結され、他端部(右端部)は、第2連結軸74(図2)を介して、第2保持部材40の下部(連結孔45)に連結されている。
【0063】
第1連結軸73は、水平方向、且つ、前後方向に延在する直線状の棒状部材であり、例えば、第1リンク71、正面パネル4、側壁部2、背面パネル5及び第2リンク72を前後に貫通している。
側壁部2の前縁部7b、6bには、第1連結軸73の前部が挿通される開口部75(図6、図10)が形成され、同様に、後縁部7c、6cには、第1連結軸73の後部が挿通される開口部(図示略)が、開口部75と前後対称の位置に形成されている。
更に、正面パネル4において、開口部75の前側に位置する部位には、弧状の第1ガイド溝76(図1)が、正面パネル4を前後に貫通して形成されている。同様に、背面パネル5において、後縁部7c、6cの開口部の後側に位置する部位にも、第1ガイド溝76(図2)が、背面パネル5を前後に貫通して形成されている。正面パネル4の第1ガイド溝76と背面パネル5の第1ガイド溝76とは、前後対称に配置されている。
そして、第1連結軸73は、第1リンク71の一端部(左端部)に形成された貫通孔(図示略)と、正面パネル4の第1ガイド溝76と、前縁部7b、6bの開口部75と、後縁部7c、6cの開口部と、背面パネル5の第1ガイド溝76と、第2リンク72の一端部(左端部)に形成された貫通孔(図示略)と、を前後に貫通している。
この状態で、第1連結軸73は、側壁部2の内部において、第1保持部材30の連結孔35に挿通されている。
これにより、第1連結軸73は、第1保持部材30と、第1リンク71の一端部並びに第2リンク72の一端部と、を連結している。
ここで、第1連結軸73は、正面パネル4の第1ガイド溝76と、前縁部7b、6bの開口部75と、後縁部7c、6cの開口部と、背面パネル5の第1ガイド溝76と、の何れに対しても、該第1連結軸73の軸周りに回動自在となっている。しかも、第1連結軸73は、連結孔35内において該第1連結軸73の軸周りに回動自在となっているか、又は、第1リンク71及び第2リンク72に対して該第1連結軸73の軸周りに回動自在となっている。
なお、第1連結軸73は、例えば、少なくともその両端部が雄ネジ形状に形成され、第1連結軸73の両端部には、それぞれ雌ネジが螺合され、これら雌ネジによって、第1連結軸73が第1リンク71及び第2リンク72から抜け止めされている。
【0064】
第2連結軸74は、水平方向、且つ、前後方向に延在する直線状の棒状部材であり、例えば、第1リンク71、正面パネル4、側壁部3、背面パネル5及び第2リンク72を前後に貫通している。
側壁部3の前縁部8bには、第2連結軸74の前部が通される切欠形状部77(図6、図13)が形成されている。同様に、後縁部8cにも、第2連結軸74の後部が通される切欠形状部77(図12)が形成されている。
更に、正面パネル4において、切欠形状部77の前側に位置する部位には、弧状の第2ガイド溝78(図1)が、正面パネル4を前後に貫通して形成されている。同様に、背面パネル5において、後縁部8cの切欠形状部77の後側に位置する部位にも、第2ガイド溝78(図1)が、背面パネル5を前後に貫通して形成されている。正面パネル4の第2ガイド溝78と背面パネル5の第2ガイド溝78とは、前後対称に配置されている。
そして、第2連結軸74は、第1リンク71の他端部(右端部)に形成された貫通孔(図示略)と、正面パネル4の第2ガイド溝78と、前縁部8bの切欠形状部77と、後縁部8cの切欠形状部77と、背面パネル5の第2ガイド溝78と、第2リンク72の他端部(右端部)に形成された貫通孔(図示略)と、を前後に貫通している。
この状態で、第2連結軸74は、側壁部3の内部において、第2保持部材40の連結孔45に挿通されている。
これにより、第2連結軸74は、第2保持部材40と、第1リンク71の他端部並びに第2リンク72の他端部と、を連結している。
ここで、第2連結軸74は、正面パネル4の第2ガイド溝78と、前縁部8bの切欠形状部77と、後縁部8cの切欠形状部77と、背面パネル5の第2ガイド溝78と、の何れに対しても、該第2連結軸74の軸周りに回動自在となっている。しかも、第2連結軸74は、連結孔45内において該第2連結軸74の軸周りに回動自在となっているか、又は、第1リンク71及び第2リンク72に対して該第2連結軸74の軸周りに回動自在となっている。
なお、第2連結軸74は、例えば、少なくともその両端部が雄ネジ形状に形成され、第2連結軸74の両端部には、それぞれ雌ネジが螺合され、これら雌ネジによって、第2連結軸74が第1リンク71及び第2リンク72から抜け止めされている。
【0065】
このようにして、第1及び第2保持部材30、40は、第1及び第2リンク71、72と、第1及び第2連結軸73、74と、により、相互に連結されている。
【0066】
このため、例えば、第1保持部材30が第1回動軸36を中心として時計回りに回動すると、第1保持部材30の回転動力が、第1連結軸73、第1及び第2リンク71、72、及び、第2連結軸74を介して、第2保持部材40に伝達され、第2保持部材40が第2回動軸46を中心として反時計回りに回動する。
同様に、第1保持部材30が第1回動軸36を中心として反時計回りに回動すると、第2保持部材40は第2回動軸46を中心として時計回りに回動する。
【0067】
また、第2保持部材40が第2回動軸46を中心として反時計回りに回動すると、第2保持部材40の回転動力が、第2連結軸74、第1及び第2リンク71、72、及び、第1連結軸73を介して、第1保持部材30に伝達され、第1保持部材30が第1回動軸36を中心として時計回りに回動する。
同様に、第2保持部材40が第2回動軸46を中心として時計回りに回動すると、第1保持部材30は第1回動軸36を中心として反時計回りに回動する。
【0068】
このように、第1及び第2保持部材30、40は、これらのうち何れか一方が回動されるのに応じて、他方も回動する。すなわち、第1及び第2保持部材30、40は、第1及び第2リンク71、72を介して互いに連動する。
【0069】
第1及び第2保持部材30、40が回動する際に、第1連結軸73は、第1リンク71の第1ガイド溝76内、側壁部2の前部の開口部75内、側壁部2の後部の開口部内、及び、第2リンク72の第1ガイド溝76内において弧状に移動する。
同様に、第1及び第2保持部材30、40が回動する際に、第2連結軸74は、第1リンク71の第2ガイド溝78内、側壁部3の前部の切欠形状部77内、側壁部3の後部の切欠形状部77内、及び、第2リンク72の第2ガイド溝78内において弧状に移動する。
ここで、第1及び第2保持部材30、40の回動範囲は、第1及び第2ガイド溝76、78が弧状に延在する範囲により規定されている。例えば、図1に示すように第1連結軸73が第1ガイド溝76の左端部に接し且つ第2連結軸74が第2ガイド溝78の左端部に接する状態から(図14(a)の状態に対応)、図示は省略するが第1連結軸73が第1ガイド溝76の右端部に接し且つ第2連結軸74が第2ガイド溝78の右端部に接する状態(図14(d)の状態に対応)まで、第1及び第2保持部材30、40は回動可能となっている。
【0070】
図2に示すように、什器は、例えば、第1回動軸36と第2連結軸74とを互いに引っ張り合うバネ80を更に有している。このバネ80は、引っ張り型のコイルスプリングであり、例えば、その一端部が第1回動軸36の後端部(第1回動軸36において背面パネル5よりも後側の部位)に固定され、他端部が第2連結軸74の後端部(第2連結軸74において第2リンク72よりも後側の部位)に固定されている。
このバネ80は、第1爪部32が第2爪部42へ近づき且つ第1支保部33が第2支保部43から遠ざかる方向へと第1保持部材30を付勢し、第2爪部42が第1爪部32へ近づき且つ第2支保部43が第1支保部33から遠ざかる方向へと第2保持部材40を付勢している。
【0071】
このため、常態においては、図1に示すように、第1連結軸73が第1ガイド溝76の左端部に位置し、且つ、第2連結軸74が第2ガイド溝78の左端部に位置し、第1爪部32及び第2爪部42が収容部10の下方に位置する。この状態で、第1支保部33は、側壁部2内に入り込んでおり、収容部10(流下路11)へ突出していない。また、第2支保部43は、側壁部3内に入り込んでおり、収容部10(流下路11)へ突出していない。
【0072】
常態においては、第1及び第2保持部材30、40の第1及び第2爪部32、42によって、収容部10の複数のたばこ商品60のうち最も下に位置するたばこ商品60である第1たばこ商品60aを下支えすることにより、第1たばこ商品60a及びその上に位置するたばこ商品60を保持する。
第1及び第2爪部32、42は、たばこ商品60の6つの面のうち、2つの面(例えば手前側の面及び奥側の面)が鉛直面となり、残りの4つの面が鉛直面に対して傾斜する状態で、第1たばこ商品60aを保持する。収容部10内において、第1たばこ商品60aの上に積み重ねられているたばこ商品60も、第1たばこ商品60aと同じ姿勢となる。
【0073】
什器に対する払出操作は、例えば、第1払出操作部21を開口部37内に押し込む方向へ移動させる操作、又は、第2払出操作部22を開口部47内に押し込む方向へ移動させる操作である。
何れかの払出操作がオペレータ(例えば、コンビニエンスストアなどの店員)により行われると、バネ80の付勢に抗して、第1保持部材30が第1回動軸36を中心として回動(正面視において時計回りに回動)するとともに、第2保持部材40が第2回動軸46を中心として回動(正面視において反時計回りに回動)する。このため、第1爪部32と第2爪部42とが互いに遠ざかり、且つ、第1支保部33と第2支保部43とが互いに近づく。
【0074】
この払出操作が行われると、第1たばこ商品60aよりも所定数上(例えば1つ上)に位置するたばこ商品60である第2たばこ商品60bを第1及び第2保持部材30、40によって下支えすることにより、第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を第1及び第2保持部材30、40により保持する状態へ移行するとともに、第1たばこ商品60aの下支えを解除することにより、第2たばこ商品60bよりも下のたばこ商品60(例えば、第1たばこ商品60a)を下方へ落下させて払い出す払出動作を行う。
なお、この際、第1支保部33は、本体部7aに形成された開口部39を介して、側壁部2内から流下路11内に突出し、第2支保部43は、本体部9aに形成された開口部49を介して、側壁部3内から流下路11内に突出する。
【0075】
その後、第1払出操作部21又は第2払出操作部22に対する払出操作が解除されると、バネ80の付勢に従って、第1保持部材30が第1回動軸36を中心として回動(正面視において反時計回りに回動)するとともに、第2保持部材40が第2回動軸46を中心として回動(正面視において時計回りに回動)する。このため、第1爪部32と第2爪部42とが互いに近づき、且つ、第1支保部33と第2支保部43とが互いに遠ざかる。
このように、払出操作が解除されると、バネ80は、第1及び第2保持部材30、40を常態の姿勢に復帰させる。
【0076】
次に、図14を参照して、什器の動作をより詳細に説明する。
【0077】
先ず、図14(a)は、常態を示している。このとき、第1保持部材30の第1爪部32により第1たばこ商品60aの一端部(左端部)を下支えし、第2保持部材40の第2爪部42により第1たばこ商品60aの他端部(右端部)を下支えすることにより、第1たばこ商品60a及びその上に位置するたばこ商品60が収容部10内に保持されている。
より具体的には、第1爪部32は、第1たばこ商品60aにおいて斜め下を向く第1及び第2面61、62のうち、第2面62の一端部(左端部)を下から支えて保持すると共に、第1面61と第2面62との間の角を保持する。
また、第2爪部42は、第2面62の他端部(右端部)を下から支えて保持する。
また、第1爪部32よりも第2爪部42の方が上方に位置し、各たばこ商品60は、例えば右肩上がりに傾斜している。
【0078】
図14(b)乃至図14(e)は、一連の払出動作を示している。
【0079】
先ず、オペレータが何れかの払出操作を開始すると、第1及び第2保持部材30、40が回動し始め、第1爪部32と第2爪部42とが互いに遠ざかるとともに、第1支保部33と第2支保部43とが互いに近づく(図14(b))。
【0080】
更に払出操作を進めると、第1及び第2保持部材30、40が更に回動し、第1爪部32と第2爪部42とが更に遠ざかるとともに、第1支保部33と第2支保部43とが更に近づく(図14(c))。
【0081】
このとき、第1支保部33は、第2たばこ商品60bにおいて斜め下を向く第1及び第2面61、62のうち、第1面61に当接し、該第1面61を支え始める。この段階では、例えば、第1支保部33の下端部が第1面61に当接し、第1支保部33においてそれよりも上の部位と第1面61とは離間している。
【0082】
また、第2支保部43は、第2面62の端部(右端部)の下に入り込み、該第2面62を支え始める。
ここで、収容部10の各たばこ商品60が傾斜しているため、第2たばこ商品60bの第2面62の一端部(右端部)は、第1たばこ商品60aの上面から側方に突出し、第1たばこ商品60aに接していない。このため、第2支保部43によって、容易に、第2面62の一端部を支えることができる。
また、第2支保部43の上面43aは上に凸の円弧状の曲面となっているため、第2支保部43がたばこ商品60の角に引っ掛かることが抑制される。よって、第2支保部43は、スムーズに第2面62の下に入り込むことができる。
【0083】
このように、第1支保部33と第2支保部43とにより、第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を保持する状態へ移行する。
【0084】
なお、図14(c)の段階では、例えば、未だ、第1爪部32と第2爪部42とによって、第1たばこ商品60aが下支えされていることが挙げられる。すなわち、未だ第1たばこ商品60aが第1及び第2保持部材30、40によって保持されている状態で、第1及び第2保持部材30、40による第2たばこ商品60bの保持が開始される。
なお、図14(c)の段階で、既に、第1爪部32と第2爪部42とによる第1たばこ商品60aの下支えが解除されていても良い。
【0085】
更に払出操作を進めると、第1及び第2保持部材30、40が更に回動し、第1爪部32と第2爪部42とが更に遠ざかるとともに、第1支保部33と第2支保部43とが更に近づく(図14(d))。
【0086】
このとき、第1支保部33の平坦な面33aが第1面61に対して平行に当接し、該面33aによって第1面61がより安定的に支えられた状態となる。
また、第2支保部43は、図14(c)の段階よりも深く第2面62の下に入り込み、該第2支保部43によって第2面62がより安定的に支えられた状態となる。
【0087】
ここで、第2支保部43の上面43aの位置は、第1支保部33の面33aの上端よりも低く、且つ、面33aの下端よりも高い位置であることが好ましく、このようにすることにより、第1支保部33と第2支保部43とによって、バランス良く第2たばこ商品60bを保持することができる。
【0088】
例えば、図14(d)の段階で、第1爪部32と第2爪部42との間隔が、これら第1及び第2爪部32、42によってたばこ商品60を保持できる間隔よりも広がり、これら第1及び第2爪部32、42による第1たばこ商品60aの下支えが解除される。
よって、図14(d)及び図14(e)に示すように、第1たばこ商品60aが落下し、基台1(図1)上に払い出されるので、オペレータは、その払い出されたたばこ商品60を手で取り出すことができる。
【0089】
なお、第2たばこ商品60b並びにその上のたばこ商品60は、第1及び第2支保部33、43によって保持されているため、収容部10内に収容された状態に維持される。
【0090】
このような払出動作が完了した後、オペレータが払出操作を解除すると、バネ80の付勢に従って、第1及び第2保持部材30、40が常態の姿勢に復帰するとともに、残りのたばこ商品60が流下路11に沿って1段下がる。
【0091】
すなわち、払出操作が解除されると、第1回動軸36と第2連結軸74とを連結しているバネ80の付勢に従って、第1及び第2保持部材30、40が、払出操作のときとはそれぞれ反対方向に回動し始める。よって、第1爪部32と第2爪部42とが互いに近づくとともに、第1支保部33と第2支保部43とが互いに遠ざかる(図14(f))。
【0092】
引き続き、バネ80の付勢に従って、第1及び第2保持部材30、40が更に回動し、第1爪部32と第2爪部42とが更に近づくとともに、第1支保部33と第2支保部43とが更に遠ざかると、第1支保部33と第2支保部43との間隔が、これら第1及び第2支保部33、43によりたばこ商品60を保持できる間隔よりも広がり、これら第1及び第2支保部33、43による第2たばこ商品60b及びその上のたばこ商品60の保持が解除される(図14(g)、図14(h))。
【0093】
すると、第2たばこ商品60b及びその上のたばこ商品60が流下路11に沿って下方に落下し、第2たばこ商品60b及びその上のたばこ商品60が第1爪部32及び第2爪部42により保持された状態、すなわち図14(a)に示すのと同様の常態に移行する(図14(h))。
【0094】
ここで、第1及び第2支保部33、43は、それぞれ側壁部2、3の中空内に退避し、流下路11内に突出していない状態となるため、第1及び第2支保部33、43が第2たばこ商品60bの落下を阻害しないようにできる。
【0095】
図14(a)〜(h)で説明したような動作を繰り返すことにより、収容部10内のたばこ商品60を順次に払い出すことが可能である。
【0096】
なお、万一、収容部10内におけるたばこ商品60の列が乱れた場合(例えば、上下に隣接するたばこ商品60が面と面とで接触せず、面と角とで接触した状態となるなど)、オペレータが正面パネル4の開口部4aから手を収容部10内に差し入れて、たばこ商品60の列を直すことができる。
【0097】
本実施形態に係る什器は、上述のように、収容部10の下端よりたばこ商品60を払い出す構成である。このため、例えば、天井などの高所から吊り下げて用いた場合にも、高所作業がオペレータ(店員)の負担になりにくい。
なお、本実施形態に係る什器は、当該什器を天井などの高所に吊り下げ固定するための固定部(図示略)が、例えば什器の上端部に設けられていることも好ましい。更に、この固定部が収容部10へのたばこ商品60の投入を阻害しないように、固定部には、商品投入用の開口が形成されていることも好ましい。
【0098】
本実施形態に係る什器は、単体で用いても良いが、複数個を横方向などに並べて配置し、各什器の収容部10内に、互いに異なる銘柄のたばこ商品60を収容することが挙げられる。
【0099】
以上のような第1の実施形態によれば、第1及び第2保持部材30、40は、常態においては、収容部10のたばこ商品60のうち最も下に位置する商品である第1たばこ商品60aを下支えすることにより、第1たばこ商品60a及びその上に位置するたばこ商品60を保持する。そして、第1及び第2払出操作部21、22の何れかに対して払出操作が行われると、第1及び第2保持部材30、40は、第1たばこ商品60よりも所定数(例えば1つ)上に位置する商品である第2たばこ商品60bを下支えすることにより第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を保持した状態で、第1たばこ商品60の下支えを解除することにより、第2たばこ商品60bよりも下のたばこ商品60b(例えば、第1たばこ商品60a)を下方へ落下させて払い出す払出動作を行う。すなわち、複数のたばこ商品60を上下方向に積み重ねて収容する什器において、たばこ商品60を水平方向に押し出すことなく所定数ずつ払い出すことができる。
これにより、什器の水平方向における寸法の大型化を抑制できるし、たばこ商品60に不要な摩擦力を与えることなく払出動作を行うことができる。
【0100】
ところで、一般的な什器は、例えば、多段の棚を有し、各棚には、上方に向けて開口した半筐体状の商品トレイ(マガジンとも呼ばれる)が設置され、各商品トレイには、複数の商品を搭載できるようになっている。そして、商品トレイには、商品を順に前方へ押し出す前送り機構が設けられている。
コンビニエンスストアなどの店舗においては、スペースの制約から、例えば、天井などの高所から吊り下げる吊り下げ型の什器しか設置できない場合が想定される。この場合に、上述のように、多段の棚のそれぞれに前送り方式の商品トレイを設ける什器を設置したのでは、商品の取り出しに際して店員が高所作業を余儀なくされ、非常に不便である。
これに対し、本実施形態では、収容部10のたばこ商品60を下方に落下させて払い出す方式であるため、作業の負担を軽減できる。
【0101】
また、什器には、上下方向に積み重ねたたばこ商品60のうち最下部のものを手作業で取り出す方式のものもある。
ところで、一般的に、たばこ商品60などの商品は、包装フィルムに被覆されている。そして、その包装フィルムには、開封時に該包装フィルムを破断する開封テープ(カットテープ)が仕込まれており、この開封テープの先端は、開封時に開封者の指で摘まれる開封つまみとして包装フィルムの外面に露出している。
このため、上下方向に積み重ねたたばこ商品60のうち最下部のものを手作業で抜き取る方式の什器の場合、取り出し時にたばこ商品60を指で摘んで引っ張る際に、開封つまみが引っ張られ、包装フィルムが破断してしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態では、第1及び第2保持部材30、40によってたばこ商品60を下支えして保持しておき、この下支えを解除することによって、重力に従ってたばこ商品60を落下させて払い出しを行う。このため、たばこ商品60の手作業で抜き取る方式とは異なり、払出動作のときにおける包装フィルムの損傷を抑制することができる。
【0102】
〔第2の実施形態〕
図15は第2の実施形態に係る什器の流下路11内から第1保持部材30及びその周囲の部分を見た側面図、図16は第2の実施形態に係る什器の商品払出動作を示す一連の機構図である。
第2の実施形態に係る什器は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態に係る什器と相違し、その他の点では、第1の実施形態に係る什器と同様に構成されている。
【0103】
図15に示すように、第2の実施形態に係る什器は、流下路11の側壁、すなわち、側壁部2の内壁部7の本体部7aに貼り付けられることにより固定された弾性シート90を有している。
この弾性シート90は、その上部が第1支保部33の上方において本体部7aに固定され、その下部が少なくとも第1支保部33の下端部に達する長さで、下方へ垂下している。弾性シート90は、例えば、樹脂の薄膜により構成され、側面視において矩形状に形成されている。弾性シート90は、可撓性を有しているとともに、その板面が湾曲する方向に弾性変形及び弾性復帰が可能である。
【0104】
図16(a)に示すように、常態においては、弾性シート90は本体部7aに沿って配置されている。
【0105】
そして、払出動作のときには、第1支保部33により弾性シート90が押されることによって、弾性シート90が本体部7aより第2支保部43側へ浮き上がり、弾性シート90において第1支保部33との接触部位91の上方に位置する部分(押込部92)が弾性的に第2たばこ商品60bを第2支保部43側に押し込む。つまり、第2たばこ商品60bが、第1支保部33によって直接的には支えられておらず、且つ、内壁部7の本体部7aに接していない状態で、第2たばこ商品60bを第2支保部43側に押し込むことができる。これにより、第2たばこ商品60bの第2面62を第2支保部43上により確実に載せることができる(図16(b))。
【0106】
その後、第1及び第2保持部材30、40が更に回動し、上記の第1の実施形態における図14(d)及び(c)と対応する状態となると、弾性シート90の下部が第1支保部33と第1面61とに挟まれて、これらに沿って当接した状態となるため、実質的に、第1の実施形態における図14(d)及び(c)の状態と同様の状態となる。
【0107】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、一連の払出動作をより確実に行うことができるという効果が得られる。
【0108】
上記の各実施形態では、1回の払出操作によって、1個のたばこ商品60が払い出される例を説明したが、1回の払出操作によって、複数個のたばこ商品60が払い出されるように、什器を構成しても良い。
【0109】
また、上記においては、払出操作が行われると、第2たばこ商品60bを下支えすることにより第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を保持する状態へ移行するとともに、第1たばこ商品60aの下支えを解除することにより、払出動作を行う例を説明した。すなわち、第2たばこ商品60bの保持状態への移行タイミングと、第1たばこ商品60aの下支えを解除するタイミングとが同期する例を説明した。
ただし、本発明は、この例に限らず、予め第2たばこ商品60bの下支えを行うことによって、第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を保持しておいてから、第1たばこ商品60aの下支えを解除することにより、払出動作を行うようにしても良い。例えば、常態において、第2たばこ商品60bの下支えを行うことによって、第2たばこ商品60b及びその上に位置するたばこ商品60を保持するようにしても良い。
【0110】
また、上記においては、基台1の上面が平坦である例を説明したが、基台1の上面が受け皿状に形成されていても良い。
或いは、基台1上に受け皿が配置されていても良い。更に、その受け皿が基台1に対して相対的に、手前に引き出せるようになっていることも好ましい。更に、その受け皿を手前に引き出すと、受け皿上のたばこ商品60を手前側に取り出しやすいように、受け皿が前傾するようになっていることも好ましい。加えて、その受け皿が基台1から脱落しないように、受け皿と基台1とが係合(連結)していることも好ましい。
【0111】
また、上記においては、什器がたばこ商品60を外部より視認可能に陳列及び収容する例を説明したが、たばこ商品60を外部より視認不能に収容するようにしても良い。この場合、例えば、収容部10内のたばこ商品60を識別するための識別用表示部(例えば、たばこ商品60の正面の外観を模したカードなど)を収容部10と対応付けて配置(例えば、収容部10の正面に配置するなど)しても良い。
【0112】
上記においては、店員が第1払出操作部21又は第2払出操作部22を操作してたばこ商品を取り出す例を説明したが、上記の什器は、購入者が第1払出操作部21又は第2払出操作部22を操作してたばこ商品の取り出しを行うセルフ什器として用いることもできる。
【0113】
また、上記においては、什器がたばこ商品を収容及び払い出しする例を説明したが、什器は、たばこ商品に限らず、定型、軽量、小型の各種の商品を収容及び払い出しするのに用いることができる。
【0114】
また、上記においては、払出操作部が第1保持部材30と第2保持部材40の双方にそれぞれ形成されている例を説明したが、払出操作部は、第1保持部材30と第2保持部材40とのうちの何れか一方にのみ形成されていても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 基台
2 側壁部
3 側壁部
4 正面パネル
5 背面パネル
6 外壁部
6a 本体部
6b 前縁部
6c 後縁部
6d 上縁部
6e 第1下縁部
6f 第2下縁部
6g 第3下縁部
7 内壁部
7a 本体部
7b 前縁部
7c 後縁部
7d 上縁部
7e 下縁部
7f 先端縁部
8 外壁部
8b 前縁部
8c 後縁部
8d 上縁部
8e 第1下縁部
8f 第2下縁部
8g 第3下縁部
9 内壁部
9a 本体部
9b 前縁部
9c 後縁部
9d 上縁部
10 収容部
11 流下路
12 スペーサ部材
12a 本体部
12b 後方延出部
12c 第1フック部
12d 第2フック部
21 第1払出操作部
22 第2払出操作部
30 第1保持部材
31 本体部
32 第1爪部
32a 垂下部
32b 横突出部
33 第1支保部
34 軸支孔
35 連結孔
36 第1回動軸
37 開口部
38 開口部
39 開口部
40 第2保持部材
41 本体部
42 第2爪部
43 第2支保部
44 軸支孔
45 連結孔
46 第2回動軸
47 開口部
48 開口部
49 開口部
60 たばこ商品(商品)
60a 第1たばこ商品(第1商品)
60b 第2たばこ商品(第2商品)
71 第1リンク(リンク)
72 第2リンク(リンク)
73 第1連結軸
74 第2連結軸
75 開口部
76 第1ガイド溝
77 切欠形状部
78 第2ガイド溝
80 バネ(付勢部)
90 弾性シート
91 接触部位
92 押込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を上下方向に重ねて収容し、且つ、前記商品をガイドしながら流下させる流下路を構成する収容部と、
払出操作を受け付ける払出操作部と、
前記商品の保持及び払い出しを行う商品保持部と、
を有し、
前記商品保持部は、
常態においては、前記収容部の前記商品のうち最も下に位置する前記商品である第1商品を下支えすることにより、前記第1商品及びその上に位置する前記商品を保持し、
前記払出操作部に対して前記払出操作が行われると、前記第1商品よりも所定数上に位置する前記商品である第2商品を下支えすることにより前記第2商品及びその上に位置する前記商品を保持した状態で、前記第1商品の下支えを解除することにより、前記第2商品よりも下の前記商品を下方へ落下させて払い出す払出動作を行うことを特徴とする什器。
【請求項2】
前記払出操作部に対して前記払出操作が行われると、前記第2商品を下支えすることにより前記第2商品及びその上に位置する前記商品を保持する状態へ移行するとともに、前記第1商品の下支えを解除することにより、前記払出動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記商品保持部は、互いに対向して配置され、前記商品を協働により保持する第1及び第2保持部材を有し、
前記第1保持部材は、前記常態において前記第1商品の一端部を下支えする第1爪部と、前記払出動作のときに前記第2商品の一端部を支える第1支保部と、を有し、
前記第2保持部材は、前記常態において前記第1商品の他端部を下支えする第2爪部と、前記払出動作のときに前記第2商品の他端部を支える第2支保部と、を有し、
前記常態においては、前記第1爪部と前記第2爪部とにより前記第1商品及びその上に位置する前記商品を保持し、
前記払出動作のときには、前記第1支保部と前記第2支保部とにより前記第2商品及びその上に位置する前記商品を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の什器。
【請求項4】
前記第1及び第2保持部材は、前記払出動作のときに、前記第1支保部と前記第2支保部とが互いに近づき、且つ、前記第1爪部と前記第2爪部とが互いに遠ざかるように動作することによって、前記第2商品を下支えするとともに前記第1商品の下支えを解除することを特徴とする請求項3に記載の什器。
【請求項5】
前記第1保持部材は、水平に延在する第1回動軸周りに回動可能に軸支され、
前記第2保持部材は、水平に延在する第2回動軸周りに回動可能に軸支され、
前記第1爪部が前記第2爪部から遠ざかり且つ前記第1支保部が前記第2支保部へ近づく方向へと前記第1保持部材が回動するとともに、前記第2爪部が前記第1爪部から遠ざかり且つ前記第2支保部が前記第1支保部へ近づく方向へと前記第2保持部材が回動することにより、前記払出動作が行われることを特徴とする請求項4に記載の什器。
【請求項6】
前記第1保持部材と前記第2保持部材とを連結するリンクを有し、
前記払出動作のときに、前記リンクを介して前記第1及び第2保持部材が連動することを特徴とする請求項5に記載の什器。
【請求項7】
前記払出動作の完了後、前記第1爪部が前記第2爪部へ近づき且つ前記第1支保部が前記第2支保部から遠ざかる方向へと前記第1保持部材が回動するとともに、前記第2爪部が前記第1爪部へ近づき且つ前記第2支保部が前記第1支保部から遠ざかる方向へと前記第2保持部材が回動することにより、前記第1支保部及び前記第2支保部による前記第2商品及びその上の前記商品の保持が解除されて、前記第2商品及びその上の前記商品が下方に落下し、これら商品が前記第1爪部及び前記第2爪部により保持された状態へ移行することを特徴とする請求項5又は6に記載の什器。
【請求項8】
前記第1爪部が前記第2爪部へ近づき且つ前記第1支保部が前記第2支保部から遠ざかる方向へと前記第1保持部材を付勢し、前記第2爪部が前記第1爪部へ近づき且つ前記第2支保部が前記第1支保部から遠ざかる方向へと前記第2保持部材を付勢する付勢部を有し、
前記払出操作部に対する前記払出操作が解除されると、前記付勢部による付勢に従って、前記第1爪部が前記第2爪部へ近づき且つ前記第1支保部が前記第2支保部から遠ざかる方向へと前記第1保持部材が回動するとともに、前記第2爪部が前記第1爪部へ近づき且つ前記第2支保部が前記第1支保部から遠ざかる方向へと前記第2保持部材が回動することにより、前記第1支保部及び前記第2支保部による前記第2商品及びその上の前記商品の保持が解除されて、前記第2商品及びその上の前記商品が下方に落下し、これら商品が前記第1爪部及び前記第2爪部により保持された状態へ移行することを特徴とする請求項7に記載の什器。
【請求項9】
前記付勢部はバネであることを特徴とする請求項8に記載の什器。
【請求項10】
前記商品は、直方体形状をなし、
前記商品保持部は、前記商品の外面の6つの面のうち、2つの面が鉛直面となり、4つの面が鉛直面に対して傾斜する状態で、前記商品を保持し、
前記払出動作のときに、前記第1支保部は、前記第2商品において斜め下を向く2つの面のうち第1面を支え、前記第2支保部は、前記第2商品において斜め下を向く2つの面のうち第2面を支えることを特徴とする請求項3乃至9の何れか一項に記載の什器。
【請求項11】
上部が前記第1支保部の上方において前記流下路の側壁に固定され、下部が少なくとも前記第1支保部の下端部に達する長さで下方へ垂下し、前記常態において前記側壁に沿って配置されている弾性シートを更に有し、
前記払出動作のときに前記第1支保部により前記弾性シートが押されることによって該弾性シートが前記側壁より前記第2支保部側へ浮き上がり、当該弾性シートにおいて前記第1支保部との接触部位の上方に位置する部分が前記第2商品を前記第2支保部側に押し込むことにより、前記第2面を前記第2支保部上に載せることを特徴とする請求項10に記載の什器。
【請求項12】
前記第1及び第2支保部は、前記払出動作のときに、それぞれ、前記流下路の側壁を介して前記流下路内に突出して、前記第2商品を支えることを特徴とする請求項3乃至11の何れか一項に記載の什器。
【請求項13】
前記払出操作部は、前記第1保持部材と前記第2保持部材とのうちの少なくとも何れか一方に一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−42772(P2013−42772A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180165(P2011−180165)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】