説明

仕分装置

【課題】安定した仕分作業ができる仕分装置を提供する。
【解決手段】仕分装置1は、物品Wをスラット5に載せて搬送方向Aに搬送するスラットコンベヤ6を備える。スラットコンベヤ6の各スラット5には、移動シューである押出体7を搬送方向Aと直交する方向に移動可能に設ける。搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7は、搬送方向Aと直交する方向に移動し、物品Wを平面視略ハ字状をなす押出面12の間に前後から挟んだ状態でスラット5上をスライドさせてスラットコンベヤ6外へ押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した仕分作業ができる仕分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、仕分情報に基づいて物品を仕分ける仕分装置として、スラット型仕分装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このスラット型仕分装置は、例えば複数のスラット上に物品を載せて搬送方向に搬送する搬送手段であるスラットコンベヤと、各スラットにそのスラットの長手方向に沿って搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた複数の移動シュー等の押出体とを備えている。そして、スラットコンベヤのスラット上に載せられてこれら複数のスラットにて搬送中の物品は、その物品の大きさに応じた数の押出体の移動によりこれら複数の押出体と当接してスラットコンベヤ外の側方へ押し出されて仕分けられる。
【特許文献1】特開平11−255326号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の仕分装置では、押出体による物品の押し出しの際に、スラットコンベヤのスラット上の物品が押出体との当接に基づく滑り等によって搬送方向前方または後方にずれてしまい、安定した仕分作業ができないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安定した仕分作業ができる仕分装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の仕分装置は、物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に移動可能に設けられた複数の押出体とを備え、前記搬送手段にて搬送中の物品が、前記複数の押出体の移動によりこれら複数の押出体間に挟まれた状態で前記搬送手段外へ押し出されるものである。
【0006】
請求項2記載の仕分装置は、物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に移動可能に設けられ、前記搬送方向に並んで位置する複数の押出体とを備え、前記搬送手段にて搬送中の物品が、前記搬送方向に隣り合う2つの押出体の移動によりこれら両押出体間に挟まれた状態で前記搬送手段外へ押し出されるものである。
【0007】
請求項3記載の仕分装置は、請求項2記載の仕分装置において、搬送方向に隣り合う2つの押出体は、物品の押出方向に拡開する平面視略ハ字状に位置してそれぞれの間に物品を挟んで押し出す押出面を有するものである。
【0008】
請求項4記載の仕分装置は、請求項3記載の仕分装置において、各押出体は、搬送方向に対して前後対称形状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、搬送手段にて搬送中の物品が複数の押出体の移動によりこれら複数の押出体間に挟まれた状態で搬送手段外へ押し出されるため、物品が搬送方向前方または後方にずれる不具合を防止でき、安定した仕分作業ができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、搬送手段にて搬送中の物品が搬送方向に隣り合う2つの押出体の移動によりこれら両押出体間に挟まれた状態で搬送手段外へ押し出されるため、物品が搬送方向前方または後方にずれる不具合を防止でき、安定した仕分作業ができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、搬送方向に隣り合う2つの押出体は、物品の押出方向に拡開する平面視略ハ字状に位置してそれぞれの間に物品を挟んで押し出す押出面を有するため、物品が搬送方向前方または後方にずれる不具合を効果的に防止でき、より一層安定した仕分作業ができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、各押出体は、搬送方向に対して前後対称形状に形成されているため、各押出体が前後非対称形状である場合に比べて、効率よく仕分作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の仕分装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、1は仕分装置で、この仕分装置1は、物品Wを水平な搬送方向Aに搬送する主搬送部2から、この主搬送部2の両側方にこの主搬送部2に対して交差状、すなわち例えば直交状にそれぞれ並列配設された複数の分岐シュート等の分岐搬送部3に仕分情報に基づいて物品Wを仕分けるスラット型仕分装置である。なお、物品Wは、例えば丸ものつまり外形が円形状であり、仕分装置1はその円形状の物品Wの仕分けに最適である。
【0015】
主搬送部2は、複数のスラット5上に物品Wを載せて搬送方向Aに搬送する搬送手段であるスラットコンベヤ6と、このスラットコンベヤ6の各スラット5に搬送方向Aと交差、すなわち例えば直交する方向(スラット5の長手方向)に移動可能に設けられ互いに等間隔をおいて搬送方向Aに並んで位置する複数の移動シュー等の押出体7とを備えている。
【0016】
そして、スラットコンベヤの6スラット5にて載置搬送中の物品Wは、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7の搬送方向Aと直交する方向への移動、すなわち例えばスラット5に対するそのスラット5の長手方向への移動により、これら両押出体7間に搬送方向A前後から挟まれた状態で、スラットコンベヤ6外へ、つまり搬送方向A側方に押し出されて仕分情報に応じた分岐搬送部3に仕分けられる。
【0017】
スラットコンベヤ6は、所定距離を介して互いに離間対向する回行可能な一対のチェーン等の無端体11を有している。各無端体11は、複数のスプロケット等の回転体(図示せず)に掛け渡され、モータ等の駆動源からの動力に基づいて回行する。また、互いに離間対向する一対の無端体11には、上面に物品Wを載せて搬送方向Aに搬送する複数の搬送体であるスラット5が互いに等間隔をおいて平行に架設されている。すなわち、複数のスラット5は互いに平行状でかつ無端状に配設されており、各スラット5は搬送方向Aと直交する方向に長手方向を有する略板状に形成されている。
【0018】
各押出体7は、スラットコンベヤ6のスラット5にこのスラット5の長手方向にスライド可能に設けられている。各押出体7は、いずれも同一形状のもので、平面視で搬送方向Aに対して前後対称形状に形成され、例えば平面視で略六角形状である。
【0019】
そして、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7は、物品Wの押出方向に拡開する平面視略ハ字状に位置してそれぞれの間に物品Wを搬送方向A前後から挟んでスラットコンベヤ6外へ押し出す傾斜状の押出面12を有している。すなわち、各押出体7のスラット5に対する移動方向端部は平面視で略三角形状の凸状部13にて構成され、この凸状部13の前後の平面状の傾斜面の各々が物品Wと当接して物品Wを搬送方向A側方へ押し出す押出面12となっている。つまり1つの押出体7は、両側に2つずつ、計4つの押出面12を有している。
【0020】
また、各押出体7は、下部に上下方向のガイド軸部(図示せず)を有し、このガイド軸部にはガイドホイール(図示せず)が回転可能に取り付けられている。ガイドホイールは、スラットコンベヤ6内に配設されたガイドレール15により案内される。ガイドレール15は、スラットコンベヤ6の幅方向両端部内に配設された直進用レール(図示せず)と、押出体7をスラット5に対して移動させる搬送方向Aに対して傾斜状の仕分用レール16とを有している。仕分用レール16は、各分岐搬送部3ごとに対応して2本ずつ配設されている。また、図示しないが、押出体7による物品Wの押し出しの際にガイドホイールを直進用レールから仕分用レール16に導くための切換手段が設けられている。
【0021】
そして、図1に示されるように、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7は、物品Wの押し出しの際には、搬送方向A側方への移動を同時に開始し、一方が他方に対して移動することなく、両方が前後に真っ直ぐ向き合ったまま、対応する2本の仕分用レール16にて案内されながらスラット5の長手方向に沿ってスラットコンベヤ6の幅方向一端側から幅方向他端側に向って移動する。
【0022】
次に、仕分装置1の作用等を説明する。
【0023】
スラットコンベヤ6の無端体11が回行し、スラット5が無端体11とともに回行すると、スラット5上に載せられた物品Wが搬送方向Aに向って搬送される。
【0024】
物品Wがその物品Wを仕分けすべき分岐搬送部3付近に到達すると、その物品Wの側方に位置している搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7は、物品Wに向って搬送方向Aと直交する方向へ同時に移動を開始する。そして、両押出体7は、搬送方向Aと直交する方向に平行に移動して搬送中の物品Wと同時に当接し、その物品Wを平面視略ハ字状をなす押出面12の間に前後から挟んだ状態でスラット5上を搬送方向A側方へスライドさせてスラットコンベヤ6外へ押し出し、分岐搬送部3に仕分ける。
【0025】
このように、仕分装置1によれば、スラットコンベヤの6スラット5にて搬送中の物品Wが、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7の搬送方向Aと直交する方向への移動により、これら両押出体7の略ハ字状をなす押出面12間に搬送方向A前後から挟まれた状態で、スラットコンベヤ6外へ押し出されて仕分情報に応じた分岐搬送部3に仕分けられるため、押出体7による物品Wの押し出しの際に物品Wが搬送方向A前方または後方にずれる不具合を防止でき、仕分けミス等がなく、安定した仕分作業ができる。
【0026】
また、各押出体7が搬送方向Aに対して前後対称形状に形成されており、前後の区別がないため、各押出体が前後非対称形状である場合に比べて、効率よく仕分作業ができる。すなわち、すべての隣り合う前後2つの押出体7の離間対向する押出面12が物品Wの押出方向に拡開する平面視略ハ字状となっているため、任意の押出体7について前側の押出体7として割付けができ、非対称の場合のように略ハ字状の押出体7が到着するまで割付けができないという不具合がなく、効率よく仕分作業ができる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7が2本の仕分用レール16によって搬送方向A側方(搬送方向Aと直交する方向)へのスラット5に対する移動を同時に開始し、一方が他方に対して移動することなく、両方が前後に真っ直ぐ向き合ったまま、搬送方向A側方に移動する構成について説明したが、例えば図2に示すように、2つの押出体7が1本の仕分用レール16によって搬送方向A側方への移動を順次開始し、前側の押出体7が後側の押出体7に対して物品Wの押出方向にずれた状態で、搬送方向A側方に移動する構成でもよい。
【0028】
この図2に示す仕分装置1であっても、スラットコンベヤの6スラット5にて搬送中の物品Wが、搬送方向Aに隣り合う前後2つの押出体7の搬送方向Aと直交する方向への移動により、これら両押出体7の略ハ字状をなす押出面12間に搬送方向A前後から挟まれた状態で、スラットコンベヤ6外へ押し出されて仕分けられるため、物品Wが搬送方向A前方または後方にずれる不具合を防止でき、安定した仕分作業ができる等、図1に示す仕分装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
また、いずれの実施の形態においても、押出体7の押出面12が平面状の傾斜面である場合について説明したが、例えば図3に示すように、物品Wとの間の摩擦を増大させるために、凸凹状の傾斜面で押出面12を構成してもよい。また、図4に示すように円形状の物品Wに対応した円弧面状の傾斜面で押出面12を構成してもよく、さらに図5に示すように物品Wの押出方向に凸の円弧面状の傾斜面で押出面12を構成してもよい。
【0030】
さらに、主搬送部2の一側方のみに分岐搬送部3を配設した構成でもよく、この場合、押出体7の分岐搬送部3側の端部のみに押出面12を形成すればよい。
【0031】
また、隣り合う2つの押出体7で物品Wを挟む構成には限定されず、例えば隣り合わない2つの押出体7で物品Wを挟む構成や、前後2つずつで計4つの押出体7で物品Wを挟む構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係る仕分装置を示す平面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る仕分装置を示す平面図である。
【図3】押出体の変形例を示す平面図である。
【図4】押出体の他の変形例を示す平面図である。
【図5】押出体のさらに他の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 仕分装置
6 搬送手段であるスラットコンベヤ
7 押出体
12 押出面
A 搬送方向
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に移動可能に設けられた複数の押出体とを備え、
前記搬送手段にて搬送中の物品が、前記複数の押出体の移動によりこれら複数の押出体間に挟まれた状態で前記搬送手段外へ押し出される
ことを特徴とする仕分装置。
【請求項2】
物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段に前記搬送方向と交差する方向に移動可能に設けられ、前記搬送方向に並んで位置する複数の押出体とを備え、
前記搬送手段にて搬送中の物品が、前記搬送方向に隣り合う2つの押出体の移動によりこれら両押出体間に挟まれた状態で前記搬送手段外へ押し出される
ことを特徴とする仕分装置。
【請求項3】
搬送方向に隣り合う2つの押出体は、物品の押出方向に拡開する平面視略ハ字状に位置してそれぞれの間に物品を挟んで押し出す押出面を有する
ことを特徴とする請求項2記載の仕分装置。
【請求項4】
各押出体は、搬送方向に対して前後対称形状に形成されている
ことを特徴とする請求項3記載の仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−260608(P2008−260608A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103982(P2007−103982)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】