説明

仕切パネル用の固定具

【課題】 仕切パネルの左右の振れを抑制することができる仕切パネル用の固定具を提供する。
【解決手段】 仕切パネル下部の一側端に設けた側面視略コ状の切欠き部が天板の長手辺の側縁部を上下から挟む態様で当該天板上に載置される仕切パネルをその天板に固定する固定具である。その固定具が、パネルにおける切欠き部の天板の下面側に位置する下辺部に固定される部位が、正面視大略T状をなす固定辺を有して形成された固定具本体と、固定具本体の固定辺が含まれる横向き部に下辺部を挟むように形成された第1固定部と第2固定部と、第1固定部及び第2固定部に下方から縦向きに螺装し進退可能に設けた第1締緩部材と第2締緩部材とを備え、締緩部材を進出させて天板下面に直接又は間接に当該締緩部材の先端側を圧接させることにより、コ状切欠き部の上位内面を天板上面に圧接させて仕切パネルを天板に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関や公共施設等で使用されるカウンターやデスク等の天板上を仕切る仕切パネルを天板に固定する仕切パネル用の固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関や公共施設等では、来訪者と接客者がカウンターやデスク等の天板を挟んで対面することが行われている。このようなカウンター等の天板では、複数の来訪者が隣り合ってそれぞれの接客者と対応することも多いが、来訪者相互のプライバシーなどの確保のため、天板上に仕切パネルを設置するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
仕切パネルの下部の一側端すなわち来訪者側の側端には、天板の長手辺の側縁部が挿入される切欠き部が形成されている。仕切パネルにおける切欠き部の天板の上面側に位置する下面(仕切パネルの下面)には、仕切パネルの下面から突出して天板上面に当接する当接板が設けられている。当接板は、仕切パネルの下面の幅(厚さ方向(左右)の長さ)より狭い幅の細長の板状に形成され、かつ、仕切パネルの下面からの突出長さが調節可能に取り付けられている。この当接板を天板上面に当接させる、すなわち、当接板を天板上面に押し付けると、仕切パネルの下辺部の上面が天板下面に押し付けられて、この当接板と下辺部の上面との挟持力により仕切パネルが天板に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−279035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されている仕切パネルは、仕切パネルの下面に設けた当接板を天板上面に押し付けて、この当接板と下辺部の上面との挟持力により天板に固定されるが、しかし、仕切パネルを挟持力によって天板に固定するための当接板と下辺部の上面の左右の幅が狭い、特に当接板の左右の幅は仕切パネルの下面の幅より狭いので、仕切パネル(特に来訪者側の端部)が左右に振れるという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、仕切パネルの左右の振れを抑制することができる仕切パネル用の固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る仕切パネル用の固定具は、仕切パネル下部の一側端に設けた側面視略コ状の切欠き部が天板の長手辺の側縁部を上下から挟む態様で当該天板上に載置される仕切パネルをその天板に固定する固定具であって、その固定具が、前記パネルにおける切欠き部の天板の下面側に位置する下辺部に固定される部位が、正面視大略T状をなす固定辺を有して形成された固定具本体と、前記固定具本体の固定辺が含まれる横向き部位に前記下辺部を挟むように形成された第1固定部と第2固定部と、前記第1固定部及び前記第2固定部に下方から縦向きに螺装し進退可能に設けた第1締緩部材と第2締緩部材とを備え、前記締緩部材を進出させて前記天板下面に直接又は間接に当該締緩部材の先端側を圧接させることにより、前記コ状切欠き部の上位内面を天板上面に圧接させて前記仕切パネルを天板に固定することを特徴とする。
【0007】
これにより、仕切パネルの切欠き部側の端部に第2固定部から第1固定部方向に力が作用すると、この力は、下辺部に固定された固定具本体の箇所から第1固定部を介して第1締緩部材に伝わり第1締緩部材の先端の天板の下面への押し付け力となる。この第1締緩部材は、第2固定部とで下辺部を挟むように形成されていることで下辺部の表面から突出するように設けられた第1固定部に取り付けられているので、仕切パネルの切欠き部側の端部が第2固定部から第1固定部方向に横振れすることが抑制される。また、仕切パネルの切欠き部側の端部に第1固定部から第2固定部方向に力が作用すると、この力は、下辺部に固定された固定具本体の箇所から第2固定部を介して第2締緩部材に伝わり第2締緩部材の先端の天板の下面への押し付け力となる。この第2締緩部材は、第1固定部とで下辺部を挟むように形成されていることで下辺部の表面から突出するように設けられた第2固定部に取り付けられているので、仕切パネルの切欠き部側の端部が第1固定部から第2固定部方向に横振れすることが抑制される。従って、仕切パネルの左右のぶれが抑制されることになる。
また、固定具本体の天板への固定は、第1締緩部材及び第2締緩部材を第1固定部及び第2固定部からそれぞれ突出させて先端を天板下面に圧接させることによって、コ状切欠き部の上位内面を天板上面に圧接させることにより行われるので、同じ厚さの天板だけでなく、仕切パネルの下面と第1締緩部材及び第2締緩部材との間に位置させられ、かつ、第1締緩部材及び第2締緩部材を突出させて固定具本体の天板への固定を行える厚さであれば異なる厚さの天板に固定具本体を固定することができ、汎用性に富んだものとなる。
【0008】
この場合において、固定具本体におけるT状の固定辺が含まれる縦向き部位に、第1固定部及び第2固定部から下方に向けてコ状切欠き部の下辺部を含む位置に、固定辺を含む第1脚部と第2脚部を連設し、固定部の間に、コ状切欠き部の上面に載る載置部を形成すると共に、少なくとも一方の脚部に当該脚部から進退する第3締緩部材を横向きに螺装して備え、第3締緩部材を進出させてこの第3締緩部材の先端側を下辺部の側面に圧接させることにより、脚部を前記パネル下辺部に固定することができる。
【0009】
また、この場合において、下辺部の上面及び載置部の一方に、係合凸部を設け、下辺部の上面及び載置部の残りの他方に、係合凸部に係合する係合凹部を設けることができる。さらに、第1脚部及び第2脚部の高さ方向の長さを、第1脚部及び第2脚部の下端の位置が下辺部の下端と同じ位置かその近傍に位置される寸法で形成し、第3締緩部材を、他方の脚部の高さ方向に間隔をあけて複数設け、これら第3締緩部材の少なくとも1つを他方の脚部の下端部寄りに位置することができる。
【0010】
また、この場合において、第1脚部と第2脚部を、平面から見て両脚部と連結部が水平断面略コ字状に形成されてなることができる。さらに、第1締緩部材及び第2締緩部材と天板の下面との間に、高さ方向にのみ移動可能に固定具本体にガイドされる当接板を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、仕切パネルの左右の振れを抑制することができ、かつ、汎用性に富む仕切パネル用の固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る一実施形態の仕切パネル用の固定具により仕切パネルが固定された状態を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態の仕切パネル用の固定具により仕切パネルが固定された状態を示す概略斜視図である。
【図3】本実施形態の仕切パネル用の固定具により仕切パネルが固定された状態を示す概略斜視図である。
【図4】本実施形態の仕切パネル用の固定具の一例を示す図で、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【図5】本実施形態の仕切パネル用の固定具に用いられる固定具本体の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は(c)中のA−A線矢視断面図である。
【図6】本実施形態の仕切パネル用の固定具に用いられる当接板の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図7】本実施形態の仕切パネル用の固定具により固定される仕切パネルの一例を示す側面図である。
【図8】本実施形態の仕切パネル用の固定具により固定される仕切パネルの他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る仕切パネル用の固定具の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態の仕切パネル用の固定具1は、金融機関や公共施設等で使用されるカウンターやデスク等の天板10上を仕切る板状の仕切パネル11を天板10に固定するものである。仕切パネル11は、一方の端部11aの下部の一側端に設けられた側面視略コ状の切欠き部14に天板10の長手辺の一側縁部を上下から挟む態様で当該天板10上に載置されて天板10上を仕切るものであれば、特に限定されず、来訪者と接客者とが椅子に掛けて対面するローカウンターや両者が立姿勢で対面するハイカウンター等に用いられるものがある。
【0014】
仕切パネル11としては、具体的には例えば、図1及び図7に示すように、ローカウンターに用いられるものがあり、その天板10の上面10aの天板10の前後方向(来訪者と接客者とが対面する方向)の全域や一部に下面11cが接触し、この一方の端部11a(来訪者側の端部)に切欠き部14が設けられているものである。この仕切パネル11の他方の端部11bには、仕切パネル11の他方の端部11bを天板10の上面10a上に押し付けて固定する固定具20が係合する係合部12が設けられている。
【0015】
また、仕切パネルとしては、具体的には例えば、図1及び図8に示すように、ハイカウンターに用いられるものもある。ハイカウンターは、ローカウンターの天板10上にハイカウンターの天板(以下、ハイ天板16ということがある。)と天板10の一方の端部10c寄りに接客者側を覆うように立設された前板17とを有するハイカウンターユニット18を設けたものである。ハイカウンターに用いられる仕切パネル15は、ハイ天板16、前板17及び天板10(前板より接客側の天板10)の前後方向の全域に接触するように下面がクランク状に形成され、この一方の端部(来訪者側(天板10側)の端部)に切欠き部14が設けられている。仕切パネル15の他方の端部には、仕切パネル15の他方の端部をハイ天板16の上面上に押し付けて固定する固定具が係合する係合部19が設けられている。このハイカウンターに用いられる仕切パネル15の一方の端部も本実施形態の仕切パネル用の固定具1を用いて天板10に固定することができるが、本実施形態では、仕切パネルとして、ローカウンターに用いられる仕切パネル11を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
【0016】
固定具1は、図2〜図5に示すように、仕切パネル11における切欠き部14の天板10の下面10b側に位置する下辺部13に固定される部位が正面視大略T状をなす固定辺を有して形成された固定具本体2と、固定具本体2の固定辺が含まれる横向き部位に下辺部13を挟むように形成された第1固定部21と第2固定部22と、第1固定部22及び第2固定部21に下方から縦向きに螺装し進退可能に設けた第1締緩部材3と第2締緩部材4とを備えている。なお、本発明における正面視大略T状をなす固定辺とは、固定具本体2を天板10及び下辺部13に固定する箇所が正面視大略T状に形成されていることであり、固定具本体2の全体の形状を特定するものではない。
【0017】
固定具本体2を下辺部13に固定する固定手段は、その構造は特に限定されず、例えば、螺合部材を下辺部13に螺合させて螺合部材の締め付けにより行うようにしてもよいが、固定具本体2におけるT状の固定辺が含まれる縦向き部位に、第1固定部21及び第2固定部22から下方に向けてコ状切欠き部14の下辺部13を含む位置に、固定辺を含む第1脚部23と第2脚部24とを連設し、これら脚部の一方又は両方の脚部、例えば、第1脚部23に、下辺部13の側面に接触する接触面27を設け、例えば、残りの他方の脚部である第2脚部24に、第2脚部24から進退する第3締緩部材5を横向きに螺装して、第3締緩部材5を第2脚部24から進出させて第3締緩部材5の先端を下辺部13の一方の側面に圧接させていることにより、下辺部13の他方の側面を第1脚部23の接触面27に圧接させて固定具本体2を下辺部13に固定するようにすることが好ましい。
【0018】
第3締緩部材5としては、特に限定されないが、例えば、第2脚部24のネジ穴24bに螺合するとともに先端が下辺部13の側面に当接し、かつ、第2脚部24に対してL型の角レンチ等の工具、例えば、L型の六角レンチ7により回転させ得る角レンチ穴付螺合部材が用いられる。第3締緩部材5の先端面は、第3締緩部材5が延びる方向に対して直交する面に平行な平面に形成されていることが好ましい。
【0019】
固定具本体2の第1固定部21と第2固定部22との間には、コ状切欠き部14の上面である下辺部13の上面13a(図7参照。)に載置される載置部25が設けられている。すなわち、載置部25の両側には、下辺部13の側面に対して直交する方向に延びる第1固定部21及び第2固定部22が一体に設けられている。第1固定部21、載置部25及び第2固定部22は、細長の扁平の略直方体状に形成されている。
【0020】
第1固定部21及び第2固定部22の基部(載置部25側の端部)には、第1脚部23及び第2脚部24の上端が一体に連接されている。すなわち、第1固定部21と第1脚部23とが略L字状に一体に形成され、かつ、第2固定部22と第2脚部24とが略L字状に一体に形成されている。なお、第1固定部21と第1脚部23、及び第2固定部22と第2脚部24は、それぞれ略L字状に一体に形成されていることが好ましいが、これに限定されず、それぞれ三角状や矩形状等その他の形状で一体に形成してもよい。
【0021】
第1脚部23及び第2脚部24は、第1固定部21の幅と略同じ幅の板状であって、間隔をあけて互いに対向するように形成されている。第1脚部23と第2脚部24との間隔は、仕切パネル11の下辺部13の厚さより厚い寸法、例えば、少し厚い寸法で形成されていることが好ましい。第1脚部23及び第2脚部24の外表面(互いに対向する表面と反対側の表面)の両側部側には、それぞれ表面から突出するリブ23a、24aが設けられている。すなわち、第1脚部23及び第2脚部24は、水平断面略凹状に形成されている。このようにリブ23a、24aを設けることにより、第1脚部23及び第2脚部24の各強度が高くなるようになっている。
【0022】
第1脚部23及び第2脚部24の側端部のうち天板10の長手辺の一側縁部である端部10cと反対側の側端部は、連結部26によって連結されている。なお、第1脚部23及び第2脚部24は、連結部26によって連結されていなくてもよいが、連結部26によって連結されていることが好ましい。これにより、第1脚部23、連結部26及び第2脚部24は、水平断面略コ字状に一体に形成され、第1脚部23及び第2脚部24の各強度が高くなるようになっている。また、連結部26の上端は、載置部25に連接されている。これによって、第1固定部21、載置部25、第2固定部22、第1脚部23、第2脚部24及び連結部26が一体に形成され、略T状の固定具本体2が構成されている。なお、固定具本体2の形状は、略T状に限定されず、略逆三角形状、矩形状等その他の形状で形成してもよい。この固定具本体2は、例えば、アルミダイカスト等を用いて成形される。この固定具本体2の第1脚部23と第2脚部24との間に仕切パネル11の下辺部13の先端部を挿入するように位置させ、下辺部13の先端面を連結部26に接触又は近接させた状態で載置部25を下辺部13の上面13aに載置するか又は近接させ例えば載置し、第3締緩部材5を第2脚部24から突出させて第3締緩部材5の先端を下辺部13の側面に当接させ、下辺部13を第1脚部23の接触面27に押し付ける。これによって、下辺部13の側面に接触した第1脚部23の接触面27と第3締緩部材5との挟持力により固定具本体2が仕切パネル11の下辺部13に固定されるようになっている。
【0023】
第1脚部23及び第2脚部24の高さ方向の長さは、固定具本体2を下辺部13に固定するとともに、仕切パネル11の一方の端部11aの左右の振れを抑制することができるならば特に限定されず、例えば、固定具本体2を下辺部13に固定したときに、第1脚部23及び第2脚部24の下端の位置が下辺部13の略中央の位置から下方に位置される寸法で形成されていることが好ましく、特に、下辺部13の下端と同じ位置かその近傍に位置される寸法で形成されていることが好ましい。また、第3締緩部材5の個数及び位置は、固定具本体2を下辺部13に固定するとともに、仕切パネル11の一方の端部11aの左右の振れを抑制することができるならば特に限定されず、複数例えば図示例では2個で、少なくとも1つが第2脚部24の下端部寄りに位置されていることが好ましい。
【0024】
第1固定部21及び第2固定部22には、第1締緩部材3及び第2締緩部材4が螺装されている。第1締緩部材3及び第2締緩部材4は、第1固定部21及び第2固定部22からの突出長さがそれぞれ個別に調節可能すなわち進退可能で、先端を天板10の下面10bに圧接することにより、仕切パネル11のコ状切欠き部の上位内面である下面11cを天板10の下面10bに圧接させて仕切パネル11を天板10に固定するものである。第1締緩部材3及び第2締緩部材4としては、特に限定されないが、例えば、第1固定部21の頭部収容部を有するネジ穴21a及び第2固定部22の頭部収容部を有するネジ穴22aに螺合するとともに先端が天板10の下面10bの表面に(本実施形態では当接板6を介して)当接し、かつ、第1固定部21及び第2固定部22に対して工具、例えば、第3締緩部材5に用いたものと同じL型の六角レンチ7により回転させ得る頭部に角レンチ穴が設けられた螺合部材がそれぞれ用いられる。第1締緩部材3及び第2締緩部材4の先端面は、第1締緩部材3及び第2締緩部材4が延びる方向に対して直交する面に平行な平面にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0025】
第1締緩部材3及び第2締緩部材4の個数は、それぞれ1つでも複数でもよく、例えば、1つである。第1締緩部材3及び第2締緩部材4は、例えば、第1固定部21及び第2固定部22の先端部寄りに取り付けられている。仕切パネル11の下辺部13に固定具本体2を固定した後に、第1締緩部材3及び第2締緩部材4を第1固定部21及び第2固定部22から進出させて第1締緩部材3及び第2締緩部材4の先端を天板10の下面10bにそれぞれ圧接させ、天板10上の仕切パネル11の下面11cを天板10の上面10aに押し付けて天板10上の仕切パネル11の下面11cを天板10の上面10aに圧接することによって、仕切パネル11のコ状切欠き部の上位内面である下面11cが天板10の下面10bに圧接されて、固定具本体2が天板10に固定されるようになっている。
【0026】
また、第1脚部23と第1固定部21とが略L字状に形成されていることにより、下辺部13に作用する第2脚部24から第1脚部23方向への力が、第1脚部23から第1固定部21を介して第1締緩部材3に伝わり第1締緩部材3の先端の天板10の下面10bへの押し付け力となるようになっている。また、第2脚部24と第2固定部22とが略L字状に形成されていることにより、下辺部13に作用する第1脚部23から第2脚部24方向への力が、第2脚部24から第2固定部22を介して第2締緩部材4に伝わり第2締緩部材4の先端の天板10の下面10bへの押し付け力となるようになっている。なお、第1固定部21及び第2固定部22の長手方向(延在方向)の長さ及び第1締緩部材3及び第2締緩部材4の取付位置は、固定具本体2を天板10に固定するとともに、仕切パネル11の一方の端部11aの左右の振れを抑制することができるならば特に限定されず、任意に設定される。
【0027】
さらに、仕切パネル11の下辺部13と固定具本体2とは係合手段8によって互いに係合して固定具本体2の第1脚部23と第2脚部24と間から下辺部13が抜け難くなっていることが好ましい。係合手段8としては、その構成は特に限定されないが、例えば、係合凸部81と係合凹部82を用いることが好ましい。係合凸部81は、例えば、載置部25の下辺部13の上面13aに接する載置面25aに設けられている。係合凸部81は、断面略台形状で第1固定部21及び第2固定部22の長手方向に延び、かつ、中央より連結部26とは反対側の端部寄りの載置面25aに形成されている。係合凸部81と係合する係合凹部82は、下辺部13の上面13aであって下辺部13の上面13aに載置部25を載置したとき係合凸部81に対応する位置に設けられている(図7及び図8参照。)。係合凹部82は、下辺部13の厚さ方向全体に設けられている。なお、載置部25に係合凸部81を設けるとともに下辺部13に係合凹部82を設けたが、載置部25に係合凹部を設けるとともに下辺部13に係合凸部を設けるようにしてもよい。
【0028】
第1締緩部材3及び第2締緩部材4と天板10の下面10bとの間には、例えば、鋼板
等を折り曲げて形成された例えば1枚の当接板6が設けられていることが好ましい。当接板6は、図4及び図6に示すように、第1固定部21、載置部25及び第2固定部22からなる固定具本体2の上面2aの細長の矩形状と略同じ矩形平板状の当接部61と、当接部61の両側(第1固定部21及び第2固定部22の延びる方向に平行な端部)が下方に直角に折り曲げられてなる両側部62とからコ字状に形成されている。両側部62の長手方向の長さは、第1固定部21、載置部25及び第2固定部22の長手方向の長さより短い寸法で形成されている。両側部62の高さ方向の長さは、第1固定部21及び第2固定部22の高さ方向の長さより長い寸法で形成されている。これにより、当接板6の当接部61で固定具本体2の上面を覆うとともに当接板6の両側部62で第1固定部21、載置部25及び第2固定部22の両側部を覆うようになっている。また、第1固定部21及び第2固定部22の両側部の先端部近傍には、当接板6を高さ方向にのみ移動可能にガイドするガイド部29がそれぞれ突出して設けられている。なお、当接板6は、第1締緩部材3及び第2締緩部材4と天板10の下面10bとの間に1枚設けたが、これに限定されず、第1締緩部材3及び第2締緩部材4と天板10の下面10bとの各間に1枚ずつすなわち2枚設けるようにしてもよい。また、当接板6のガイドは、ガイド部29に限定されず、他の構造や手段によって行うようにしてもよい。
【0029】
当接板6の固定具本体2の連結部26と反対側の側部(第1側部)62には、当接板6を固定具本体2の上面2aを覆うように固定具本体2に載置したとき、第1脚部23、載置部25及び第2脚部24によって形成される空間に対応したすなわち第1脚部23と第2脚部24との間に下辺部13を挿入するときに当接板6の側部62が邪魔にならないようにするために矩形状のパネル用切欠き63が設けられている。
また、固定具本体2の載置部25の厚さ(高さ方向の長さ)は、固定具本体2を仕切パネル11の下辺部13に固定するとともに第1締緩部材3及び第2締緩部材4の押し付け力により固定具本体2を当接板6を介して天板10に固定したとき、当接板6と固定具本体2の上面2aとの間に六角レンチ7を挿入し得る長さ以上の隙間があくような寸法で形成されていることが好ましい。
【0030】
固定具1は、図2、図4及び図5に示すように、第1締緩部材3、第2締緩部材4及び第3締緩部材5の締緩作業を行うL型の六角レンチ7を着脱可能に保持する工具保持部9をさらに備えていることが好ましい。工具保持部9は、例えば、六角レンチ7の短辺部7aが挿入される挿入部91と、固定具本体2の挿入部91の下方で高さ方向に延びる保持部93と、保持部93上に設けられ、短辺部7aの挿入部91への挿入方向と反対方向へ移動するのを防止して六角レンチ7の挿入部91からの脱落を抑制する脱落抑制部92とを有している。
【0031】
挿入部91は、固定具本体2に設けてもよいが、固定具本体2の上面2aと当接板6とで形成するようにしてもよい。すなわち、当接板6の第2側部(第1側部とは反対側の側部)62には、当接板6を固定具本体2の上面2aを覆うように固定具本体2に載置したとき、後述する保持部93が挿入される矩形状の保持部用切欠き64が設けられている。保持部用切欠き64の中央部には、六角レンチ7の幅より若干長い幅を有する挿入部91を形成するためのレンチ挿入用切欠き94が高さ方向に延びて設けられている。これにより、固定具本体2を仕切パネル11の下辺部13に固定するとともに第1締緩部材3の押し付け力により固定具本体2を当接板6を介して天板10に固定したとき、固定具本体2の上面2aと当接板6のレンチ挿入用切欠き94とで挿入部91が形成されるようになっている。
【0032】
保持部93は、挿入部91の下方であって固定具本体2の連結部26の外表面及び載置部25の表面(連結部26の外表面に連なる表面)から突出して形成されている。保持部93は、連結部26の外表面の幅方向の中央に位置され、かつ、固定具本体2の上方近傍から連結部26の下端までの位置に例えば六角レンチ7の幅の約3倍の幅を有して形成されている。この保持部93上で例えば挿入部91の近傍に脱落抑制部92が設けられている。
【0033】
脱落抑制部92は、例えば、一方の固定部例えば第2固定部22側が開口した水平断面L字状に形成されている。保持部93の表面と対向する脱落抑制部92の脱落抑制片92aは、挿入部91の下方の一部を覆うように形成されている。すなわち、短辺部7aが挿入部91に挿入された六角レンチ7の長辺部7bが自重で下方に垂下したときに、脱落抑制片92aと保持部93の表面との間に六角レンチ7の長辺部7bが位置されるように脱落抑制部92が形成されている。脱落抑制片92aは、保持部93の表面との間隔が六角レンチ7の幅より長い寸法例えば若干長い寸法をあけて形成されている。これにより、短辺部7aが挿入部91に挿入された六角レンチ7は、短辺部7aが挿入部91から抜ける方向に移動したときに、長辺部7bが脱落抑制片92aの内表面に当接して六角レンチ7(短辺部7a)が挿入部91から脱落するのが抑制され、かつ、L型の六角レンチ7が着脱可能に保持されるようになっている。
【0034】
脱落抑制部92の基片92bの内表面は、六角レンチ7の2辺が着座するような中央が凹んだ断面屈曲状に形成されていることが好ましい。また、保持部93の脱落抑制部92より下方の中央には、六角レンチ7の幅より若干大きな幅のレンチ挿入溝95が脱落抑制部92の下端まで設けられている。これにより、挿入部91に短辺部7aを挿入しかつ長辺部7bを脱落抑制部92内に位置させた六角レンチ7が自重により長辺部7bの下方が保持部93の表面側に移動(傾斜)してレンチ挿入溝95に挿入されるようになっている(図2参照。)。
【0035】
さて、この本実施形態の仕切パネル用の固定具1を用いて仕切パネル11の一方の端部11aを天板10に固定するには、まず、固定具本体2の第1脚部23と第2脚部24との間に仕切パネル11の下辺部13の先端部が挿入されるように例えば固定具本体2を移動させ、下辺部13の先端面を連結部26の内表面に接触又は近接させた状態で載置部25を下辺部13の上面13aに載置する。このとき、載置部25の係合凸部81と下辺部13の係合凹部82とが係合するようになっている。この状態のまま、六角レンチ7により第3締緩部材5を第2脚部24に対して回転させて第2脚部24から進出させ、第3締緩部材5の先端を下辺部13の側面に圧接させて下辺部13を第1脚部23の接触面27に押し付ける。すなわち、第3締緩部材5による締付作業を行う。これにより、固定具本体2が下辺部13に固定される。
【0036】
次に、下辺部13に固定された固定具本体2の上方に当接板6を被せ、この当接板6と仕切パネル11の下面11cとの間(切欠き部14)に天板10の一方の端部10cが挿入されるように仕切パネル11を移動させつつこの仕切パネル11の位置を所望の位置に位置決めする。仕切パネル11の位置決め後、六角レンチ7により第1締緩部材3及び第2締緩部材4をそれぞれ個別に第1固定部21及び第2固定部22に対して回転させて第1固定部21及び第2固定部22から進出させ、第1締緩部材3及び第2締緩部材4の先端で当接板6を押し上げて当接板6を天板10の下面10bに圧接させる。その結果、天板10に対して固定具本体2を介して下辺部13が下方に押し下げられる。すなわち、天板10上の仕切パネル11の下面11cが天板10の上面10aに圧接される。これにより、仕切パネル11のコ状切欠き部の上位内面である下面11cが天板10の下面10bに圧接されて、固定具本体2が天板10に固定される。さらに、仕切パネル11の他方の端部11bを固定具20を用いて天板10に固定する。
【0037】
これによって、仕切パネル11が天板10の所望の位置に固定される。この仕切パネル11の一方の端部11aに第2固定部22から第1固定部21方向へ力が作用すると、この力は、第1脚部23と第1固定部21とがL字状に一体に形成されているので、第1脚部23から第1固定部21を介して第1締緩部材3に伝わり第1締緩部材3の先端の当接板6を介する天板10の下面10bへの押し付け力となる。第1締緩部材3は、下辺部13の表面から突出するように設けられた第1固定部21材に取り付けられているので、仕切パネル11の一方の端部11aが第2固定部22から第1固定部21方向へ振れることが抑制される。また、仕切パネル11の一方の端部11aに第1固定部21から第2固定部22方向への力が作用すると、この力は、第2脚部24と第2固定部22とがL字状に一体に形成されているので、第2脚部24から第2固定部22を介して第2締緩部材4に伝わり第2締緩部材4の先端の当接板6を介する天板10の下面10bへの押し付け力となる。この第2締緩部材4は、下辺部13の表面から突出するように設けられた第2固定部22に取り付けられているので、仕切パネル11の一方の端部11aが第1固定部21から第2固定部22方向へ振れることが抑制される。よって、仕切パネル11の左右のぶれが抑制されることになる。
【0038】
また、固定具本体2の天板10への固定は、第1締緩部材3及び第2締緩部材4を第1固定部21及び第2固定部22からそれぞれ突出させて先端を当接板6を介して天板10の下面10bに当接させることによって、第1締緩部材3及び第2締緩部材4と仕切パネル11の下面11cとの挟持力により行われるので、同じ厚さの天板10だけでなく、仕切パネル11の下面11cと第1締緩部材3及び第2締緩部材4との間に位置させられ、かつ、第1締緩部材3及び第2締緩部材4を進出させて固定具本体2の天板10への固定を行える厚さであれば異なる厚さの天板10に固定具1を固定することができ、汎用性に富んだものとなる。
【0039】
したがって、本実施形態の仕切パネル用の固定具1は、仕切パネル11の左右の振れを抑制することができ、かつ、汎用性に富んだものである。また、固定具1は、天板10の下面10bに固定されて天板10上に設置されていないので、天板10上の外観が良好である。
【0040】
載置部25の載置面25aに係合凸部81が設けられているとともに、下辺部13の上面13aに係合凸部81に係合する係合凹部82が設けられていることで、固定具1の第1脚部23と第2脚部24との間から下辺部13が抜け難くなっているので、固定具1の仕切パネル11の下辺部13への固定を確実に行える。さらに、係合凸部81が設けられている載置部25は、係合凹部82が設けられている下辺部13の上面13aに第3締緩部材5によって押し下げられるので、一層固定具1の第1脚部23と第2脚部24との間から下辺部13が抜け難くなっているので、固定具1の仕切パネル11の下辺部13への固定をより確実に行える。
【0041】
固定具1の天板10への固定は、第1締緩部材3及び第2締緩部材4の圧接により行われているので、第1締緩部材3及び第2締緩部材4の圧接力を弱めることで簡単に仕切パネル11の位置を調節することができる。また、第1締緩部材3及び第2締緩部材4と天板10の下面10bとの間に、例えば1枚の当接板6を設けることで、天板10の下面10bへの圧接が当接板6の全体で行われるから、第1締緩部材3及び第2締緩部材4が直接天板10に接触することによる締緩部材が天板10に食い込んだりして締緩部材の押し付け力が弱くなることがない。また、当接板6は、固定具本体2にガイドされているので、仕切パネル11を天板10の所望の位置に位置決めするときや第1締緩部材3及び第2締緩部材4を回転させるときに、当接板6が固定具本体2と天板10との間からずれることがない。
【0042】
当接部61の上面に摩擦係数が大きい滑り止め部材65を設けることで、固定具1の天板10への固定を当接板6が天板10に対してずれることなく確実に行える。また、下辺部13と対向する仕切パネル11の下面11cと天板10の上面10aとの間、例えば、この下面11cに摩擦係数が大きい滑り止め部材を設けるようにしてもよい。これにより、固定具1の天板10への固定を当接板6が天板10に対してずれることなく確実に行え、かつ、仕切パネル11の一方の端部11aに左右方向の力が作用しても仕切パネル11の下面11cが天板10の上面10a上を滑りに難いので、仕切パネル11の左右の振れを一層抑制することができる。
【0043】
第1脚部23及び第2脚部24の高さ方向の長さが、第1脚部23及び第2脚部24の下端の位置が下辺部13の下端と同じ位置かその近傍に位置される寸法で形成され、かつ、第3締緩部材5の少なくとも1つが第2脚部24の下端部寄りに位置されていることで、仕切パネル11の左右の振れを一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 固定具
2 固定具本体
3 第1締緩部材
4 第2締緩部材
5 第3締緩部材
6 当接板
8 係合手段
10 天板
11 仕切パネル
13 下辺部
14 切欠き
21 第1固定部
22 第2固定部
23 第1脚部
24 第2脚部
25 載置部
26 連結部
27 接触面
81 係合凸部
82 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切パネル下部の一側端に設けた側面視略コ状の切欠き部が天板の長手辺の側縁部を上下から挟む態様で当該天板上に載置される仕切パネルをその天板に固定する固定具であって、
その固定具が、前記パネルにおける切欠き部の天板の下面側に位置する下辺部に固定される部位が、正面視大略T状をなす固定辺を有して形成された固定具本体と、
前記固定具本体の固定辺が含まれる横向き部位に前記下辺部を挟むように形成された第1固定部と第2固定部と、
前記第1固定部及び前記第2固定部に下方から縦向きに螺装し進退可能に設けた第1締緩部材と第2締緩部材とを備え、
前記締緩部材を進出させて前記天板下面に直接又は間接に当該締緩部材の先端側を圧接させることにより、前記コ状切欠き部の上位内面を天板上面に圧接させて前記仕切パネルを天板に固定することを特徴とする仕切パネル用の固定具。
【請求項2】
前記固定具本体におけるT状の固定辺が含まれる縦向き部位に、前記第1固定部及び前記第2固定部から下方に向けて前記コ状切欠き部の下辺部を含む位置に、前記固定辺を含む第1脚部と第2脚部を連設し、
前記固定部の間に、前記コ状切欠き部の上面に載る載置部を形成すると共に、少なくとも一方の脚部に当該脚部から進退する第3締緩部材を横向きに螺装して備え、
前記第3締緩部材を進出させてこの第3締緩部材の先端側を前記下辺部の側面に圧接させることにより、前記脚部を前記パネル下辺部に固定するようにしたと請求項1に記載の仕切パネル用の固定具。
【請求項3】
前記下辺部の上面又は前記載置部の一方に、係合凸部を設け、前記下辺部の上面または前記載置部の残りの他方に、前記凸部に係合する凹部を設けた請求項2に記載の仕切パネル用の固定具。
【請求項4】
前記第1脚部及び前記第2脚部の高さ方向の長さを、前記第1脚部及び前記第2脚部の下端の位置が前記下辺部の下端と同じ位置かその近傍に位置される寸法で形成し、
前記第3締緩部材は、前記他方の脚部の高さ方向に間隔をあけて複数設け、第3締緩部材の少なくとも1つを前記他方の脚部の下端部寄りに位置させた請求項2又は3に記載の仕切パネル用の固定具。
【請求項5】
前記第1脚部と前記第2脚部は、平面から見て両脚部と連結部が水平断面略コ字状に形成されてなる請求項2〜4のいずれかに記載の仕切パネル用の固定具。
【請求項6】
前記第1締緩部材及び前記第2締緩部材と前記天板の下面との間に、高さ方向に移動可能に前記固定具本体にガイドされる当接板を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の仕切パネル用の固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106860(P2013−106860A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255539(P2011−255539)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【出願人】(390005452)伊藤喜オールスチール株式会社 (35)
【Fターム(参考)】