付着スケール除去装置
【目的】 ノズルの先端に生成付着する付着物を自動的に除去するための除去装置を提供する。
【構成】 ダクト2の途中部に中和用ガス吹込み管5を垂設し、このガス吹込み管5の側面に開口するノズル6から中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管5にそってこれと平行に回転軸10を縦設し、この回転軸10に前記ガス吹込み管5のノズル6の上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーアーム15,15を各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸10には前記スクレーパーアーム15,15を前記ノズル6の先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段18を設けてなり、回転軸10の回動により前記スクレーパアーム15,15でノズル6に付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする。
【構成】 ダクト2の途中部に中和用ガス吹込み管5を垂設し、このガス吹込み管5の側面に開口するノズル6から中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管5にそってこれと平行に回転軸10を縦設し、この回転軸10に前記ガス吹込み管5のノズル6の上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーアーム15,15を各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸10には前記スクレーパーアーム15,15を前記ノズル6の先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段18を設けてなり、回転軸10の回動により前記スクレーパアーム15,15でノズル6に付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラ装置等の燃焼ガスを導いて排出させるダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口する多数のノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させる際にノズルに付着する中和反応生成物等の付着物を自動的に除去する付着スケール除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばボイラ装置では、図13にその概要を示すように、ボイラ1において燃焼した燃料の排ガスはダクト2、集塵機3、煙突4を通じて大気中に放出されるが、亜硫酸ガスSO2 の排出による大気汚染を防ぐためボイラ1に近い位置のダクト2内でアンモニア等の中和用ガスを吹込み、中和させて硫酸アンモニウムに変え、大気汚染を防ぐようにしている。
【0003】上記中和用ガスの吹込みは、ダクト2内に複数本の中和用ガス吹込み管5,5…を互いに所要の間隔をおいて上方から垂設し、この中和用ガス吹込み管5,5…の周面に下流に向けて突出するよう上下方向に多数列設したノズル6,6…から中和用ガスを排ガス中に吹込むようになされている。
【0004】上記のような方式により中和用ガスを吹込む場合、中和反応時に生成される生成物7(硫化物)が前記中和用ガス吹込み管5,5…のノズル6,6…の先端から発生して図14に示すようにその周囲にダストを含んで付着し、これが次第に成長してノズル6,6…間を橋絡し、ダクト2内を流れる排ガスの通気抵抗を増大させて燃料効率を低下させ、そのまま放置すると遂にはダクト2が閉塞し、トリップに至る。これは低質燃料を使用した場合に特に顕著に現われる。
【0005】上記付着物7の除去には、従来ダクト2の上面に設けられたマンホール8の蓋を開け、そのマンホール8から棒状物を挿入して付着物を取り除くか、あるいは高圧空気(または高圧水)を吹付けて付着物を飛散させるか、さらには音波発生機による音波により付着物を剥離除去することによっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記いずれの除去手段によっても、中和用ガス吹込み管5,5…の上下方向に多数のノズル6,6…が下流側を向いて同方向に列設されているので、最上位乃至はその付近のノズルへの付着物の除去は可能であっても下方のノズルへの付着物の除去ができなかった。またマンホール8を通じての作業では、ダクト2内の熱風を防禦しながら作業を勧めなければならず、過酷な条件下での作業となり、その作業が容易でないうえ、きわめて非能率であった。
【0007】本発明はこれに鑑み、付着物がノズルの先端から発生して次第に成長することに着目し、そのノズル先端での発生段階においてすべてのノズルから付着物を確実に除去することができる付着スケール除去装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する問題点を解決する手段として、本発明は、ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管のノズルの先端近傍に該先端に付着する付着物を掻き取るスクレーパーを移動自在に配設したことを特徴とするものであり、請求項2では、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、この回転軸に前記ガス吹込み管のノズルの上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段を設けてなり、回転軸の回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたものである。また、ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、前記ガス吹込み管のノズルにスクレーパーを摺動可能に外嵌し、前記回転軸には前記スクレーパーに係合するアームを固設するとともに前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲にわたり前記アームを旋回させる駆動手段を設けてなり、前記回転軸の往復回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを請求項3とし、さらにガス吹込み管にそってこれと平行に軸を縦設し、この軸に前記ガス吹込み管のノズルの先端面直近位置を上下に移動するスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲上下動させる駆動手段を設けてなり、前記軸の上下動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを請求項4とするものである。
【0009】
【作用】請求項1では、駆動手段を駆動してスクレーパーを移動させることによりノズル先端に生成付着した付着物(中和反応生成物)を自動的に掻き取ることができる。請求項2では回転軸を旋回駆動すると、回転軸に各ノズルに対応して上下対をなして突設されたスクレーパーが所要角度範囲往復旋回動し、このスクレーパーがノズルの先端の上下位置を通過する際にノズルの先端に生成付着した付着物が掻き落される。掻き落されて落下した付着物は再びノズルに付着することはなく、排気流に乗って下流側へ運ばれ、集塵機等により捕捉回収される。
【0010】請求項3では、回転軸の往復回動によりアームが水平面内で旋回し、これに係合しているスクレーパーがノズルにそってその先端を含む範囲往復摺動し、ノズルに付着した付着物が掻き取られる。
【0011】請求項4では、軸が上下動することによりスクレーパーがノズルの先端面の直近位置を上下に移動し、ノズルの先端に付着した付着物が掻き取られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照し、図13と共通する部材にはこれと同一符号を用いて説明する。
【0013】図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、ダクト2内に配設される中和用ガス吹込み管5は、従来と同様にダクト2の上面から下面にかけて複数本が横並びに縦設されるもので、図1、図4では便宜上その1本を取出して示している。
【0014】この中和用ガス吹込み管5にそって下流側にこれと平行に回転軸10がダクト2の上部外面に取付く基板11に設けられた軸受12と前記中和用ガス吹込み管5の下方部に取付具13により固着されたダクトシール付きの軸受14とより回転自在に支持して設けられ、この回転軸10には前記吹込み管5の側部にダクト2の下流側に向け水平方向に突出するノズル6と対応しかつこのノズル6の先端上下に僅かの間隔をおいて挟むように上下一対のスクレーパー15,15の基部15a,15aが固着されて水平方向に突出されている。
【0015】このスクレーパー15,15の構造は、図4R>4にその一組を示しているように平板状の部材を用いてもよいが、図8にその一組を示すように回転軸10に固着される丸棒材16の先端に平板状部材17を溶接等により固着し、この平板状部材17がノズル6の先端部6aの直近位置を通過するようにして付着物の掻きとり性を高めるようにするなど、適宜な構造を採用することができる。
【0016】前記基板11には、回転軸10を所定角度範囲往復旋回動させる駆動手段18が設けられている。この実施例における駆動手段18は、減速機付きで断熱処理されたモータ19(200W程度)と、このモータ19により回動される駆動軸20に一端が固着されたアーム21と、このアーム21の先端と前記回転軸10に一端が固着されたクランクアーム22の先端とを連結するクランクロッド23とで構成されており、前記駆動軸20の回転によりアーム21が回転し、クランクロッド23を介してクランクアーム22を往復旋回動させるようになっている。このときクランクアーム22の旋回角度θを20°とする場合、アーム21の回転半径をr、クランクアーム22の回転半径をRとするとき、およそr=R/6の関係とすればよい。これは極力ノズルから大きく逃がすようにした方が好ましいためである。
【0017】次に上記実施例の作用を説明する。
【0018】駆動手段18のモータ19を駆動すると、減速機を介して駆動軸20が毎分1回程度の緩速で回転し、その回転によりアーム21が回転し、クランクロッド23を介してクランクアーム22が角度θの範囲で往復旋回動する。これによりクランクアーム22が固着されている回転軸10が同角度往復回動し、これに伴いスクレーパー15,15が同角度の範囲を往復旋回動する。
【0019】このスクレーパー15,15の旋回動によりその先端が図7に示すようにノズル6の先端部6aの上下直近位置を通過する際にノズル6の先端に生成付着した中和反応生成物が掻き落される。こうしてスクレーパー15,15の絶間ない旋回動により生成物が成長するいとまを与えず、ノズル6の先端はもとより、ノズル6の周面に生成物が付着堆積することが防がれる。
【0020】掻きとられて落下した生成付着物は、再びノズル6に付着することなくダクト2内を流れる排気流に乗って下流側へ運ばれ、集塵機3により回収される。
【0021】なお回転軸10を旋回駆動させる駆動手段18は、図示の実施例に限られる必要はなく、要すれば回転軸10を緩速で旋回動させ得るものであれば他の構成によってもよいことはもちろんである。またボイラ1の排ガスに限らず、他の排ガス処理装置に対しても同様に適用可能である。
【0022】図9、図10は本発明の他の実施例を示すもので、前記実施例の図4、図6と対応している。
【0023】この実施例においては、ノズル6,6の先端直状部分に筒状のスクレーパー15′,15′が可及的密に嵌合されて軸方向に摺動可能に設けられ、回転軸10にはアーム24の中央部が固着されて水平面内で旋回可能とされている。
【0024】上記アーム24の端部には所要の長さのスリット25,25(長孔でもよい)が形成され、このスリット25,25に前記スクレーパー15′,15′の上面に突設されたピン26,26が嵌挿されていて、前記回転軸10の所定角度範囲往復回動することによりアーム24が旋回してそのスリット25,25とピン26,26を介してスクレーパー15′,15′がノズル6,6の先端を含む範囲にわたり往復摺動するように構成されている。
【0025】なお回転軸10の駆動手段18は、図4、図5と同じ構造であり、これらと共通する部材には同一符号を付すに留める。また、図9において27,28は、回転軸10の軸受部分を被覆する耐食カバーである。
【0026】この実施例においては、駆動手段18のモータ19を駆動して回転軸10が往復回動すると、その回転によりアーム24が図10において矢印B方向に旋回往復動し、このアーム24の旋回動によってそのスリット25,25にピン26,26を介して係合されているスクレーパー15′,15′がノズル6,6上をストロークSの範囲にわたって往復移動し、その移動によりノズル6,6の先端部に付着した付着物が掻き落される。
【0027】図11、図12は本発明のさらに他の実施例を示すもので、この実施例では前記回転軸10とは反対の位置に軸10′がダクト2の基板11上の軸受12と中和用ガス吹込み管5に固定の軸受14にスプライン29またはキー等により不回転にかつ上下方向にはスライド可能に支持され、この軸10′に平面形状が略C字状をなすスクレーパー15″の基部15a″が固着されており、このスクレーパー15″の左右の腕部15b″,15b″間に中和用ガス吹込み管5が位置されている。
【0028】上記スクレーパー15″の腕部15b″,15b″の先端の互いに向き合う方向に屈曲された先端部15c″,15c″がノズル6,6の先端面に対し小許の間隔をおいてその直近を上下に垂直移動するよう構成され、軸10′の上下動によりスクレーパー15″の先端部15c″,15c″が図11の実線図示と鎖線図示との範囲にわたり昇降されるようになっている。
【0029】前記軸10′を上下動させる駆動手段18′は、モータ19の回転を軸10′に上下動として伝達するもので、ダクト2の基板11上に設置されたモータ19の軸にアーム21の一端が固着され、このアーム21の先端にクランクアーム22の一端がピン30で連結され、さらにクランクアーム22の他端が軸10′の上端にピン31で連結されていて、前記アーム21の回転によりクランクアーム22を介し軸10′を所定のストロークにわたり上下動させるようになっている。
【0030】この実施例においては、駆動手段18′のモータ19を駆動すると、アーム21が回転し、このアーム21に連結されたクランクアーム22が上下動する。このクランクアーム22の上下動により軸10′が上下動し、この軸10′に固定されたスクレーパー15″が図11の実線図示位置と鎖線図示位置との間にわたり上下動し、その際にスクレーパー15″の先端部15c″,15c″がノズル6,6の先端面直近位置を通過することによりノズル6,6の先端の付着物が掻きとられる。なお上記スクレーパー15″の形状構造に関しては適宜な形態を選択することができ、また軸10′の駆動手段18′に関しても他にシリンダその他の機構を採用することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、排ガズ中に中和用ガスを吹込み、排ガスを中和させて排出させるような場合、ガス吹込み用のノズルの先端乃至はその周辺に付着する中和反応生成物等の付着物を自動的に取り除くことができるので、この生成付着物が成長してダクトの通路断面積を減少させることがなく、燃料効率を著しく高めることができる。また人手を介する必要が全くないので省力化が図れ、かつ重労働を強いることがないなどの種々優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図。
【図2】図1の上方部の側面図。
【図3】図1のA−A矢視図。
【図4】図1の一部を省略して駆動手段の具体例を示す斜視図。
【図5】図4の駆動手段の作動状態を示す説明図。
【図6】図4のスクレーパーの作動状態を示す説明図。
【図7】スクレーパーとノズルとの位置関係を示す正面図。
【図8】スクレーパーの変形例を示す斜視図。
【図9】本発明の他の実施例を示す図4相当図。
【図10】図9のスクレーパーの作動状態を示す説明図。
【図11】本発明のさらに他の実施例を示す図4相当図。
【図12】図11のスクレーパー部分の平面図。
【図13】本発明を適用する対象例としてのボイラ装置を示す構成図。
【図14】ノズルに付着物が付着した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 ボイラ
2 ダクト
3 集塵機
5 中和用ガス吹込み管
6 ノズル
7 生成物(付着物)
10 回転軸
10′ 軸
11 基板
15,15′,15″ スクレーパー
18,18′ 駆動手段
19 モータ
21 アーム
22 クランクアーム
24 アーム
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラ装置等の燃焼ガスを導いて排出させるダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口する多数のノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させる際にノズルに付着する中和反応生成物等の付着物を自動的に除去する付着スケール除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばボイラ装置では、図13にその概要を示すように、ボイラ1において燃焼した燃料の排ガスはダクト2、集塵機3、煙突4を通じて大気中に放出されるが、亜硫酸ガスSO2 の排出による大気汚染を防ぐためボイラ1に近い位置のダクト2内でアンモニア等の中和用ガスを吹込み、中和させて硫酸アンモニウムに変え、大気汚染を防ぐようにしている。
【0003】上記中和用ガスの吹込みは、ダクト2内に複数本の中和用ガス吹込み管5,5…を互いに所要の間隔をおいて上方から垂設し、この中和用ガス吹込み管5,5…の周面に下流に向けて突出するよう上下方向に多数列設したノズル6,6…から中和用ガスを排ガス中に吹込むようになされている。
【0004】上記のような方式により中和用ガスを吹込む場合、中和反応時に生成される生成物7(硫化物)が前記中和用ガス吹込み管5,5…のノズル6,6…の先端から発生して図14に示すようにその周囲にダストを含んで付着し、これが次第に成長してノズル6,6…間を橋絡し、ダクト2内を流れる排ガスの通気抵抗を増大させて燃料効率を低下させ、そのまま放置すると遂にはダクト2が閉塞し、トリップに至る。これは低質燃料を使用した場合に特に顕著に現われる。
【0005】上記付着物7の除去には、従来ダクト2の上面に設けられたマンホール8の蓋を開け、そのマンホール8から棒状物を挿入して付着物を取り除くか、あるいは高圧空気(または高圧水)を吹付けて付着物を飛散させるか、さらには音波発生機による音波により付着物を剥離除去することによっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記いずれの除去手段によっても、中和用ガス吹込み管5,5…の上下方向に多数のノズル6,6…が下流側を向いて同方向に列設されているので、最上位乃至はその付近のノズルへの付着物の除去は可能であっても下方のノズルへの付着物の除去ができなかった。またマンホール8を通じての作業では、ダクト2内の熱風を防禦しながら作業を勧めなければならず、過酷な条件下での作業となり、その作業が容易でないうえ、きわめて非能率であった。
【0007】本発明はこれに鑑み、付着物がノズルの先端から発生して次第に成長することに着目し、そのノズル先端での発生段階においてすべてのノズルから付着物を確実に除去することができる付着スケール除去装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する問題点を解決する手段として、本発明は、ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管のノズルの先端近傍に該先端に付着する付着物を掻き取るスクレーパーを移動自在に配設したことを特徴とするものであり、請求項2では、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、この回転軸に前記ガス吹込み管のノズルの上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段を設けてなり、回転軸の回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたものである。また、ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、前記ガス吹込み管のノズルにスクレーパーを摺動可能に外嵌し、前記回転軸には前記スクレーパーに係合するアームを固設するとともに前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲にわたり前記アームを旋回させる駆動手段を設けてなり、前記回転軸の往復回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを請求項3とし、さらにガス吹込み管にそってこれと平行に軸を縦設し、この軸に前記ガス吹込み管のノズルの先端面直近位置を上下に移動するスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲上下動させる駆動手段を設けてなり、前記軸の上下動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを請求項4とするものである。
【0009】
【作用】請求項1では、駆動手段を駆動してスクレーパーを移動させることによりノズル先端に生成付着した付着物(中和反応生成物)を自動的に掻き取ることができる。請求項2では回転軸を旋回駆動すると、回転軸に各ノズルに対応して上下対をなして突設されたスクレーパーが所要角度範囲往復旋回動し、このスクレーパーがノズルの先端の上下位置を通過する際にノズルの先端に生成付着した付着物が掻き落される。掻き落されて落下した付着物は再びノズルに付着することはなく、排気流に乗って下流側へ運ばれ、集塵機等により捕捉回収される。
【0010】請求項3では、回転軸の往復回動によりアームが水平面内で旋回し、これに係合しているスクレーパーがノズルにそってその先端を含む範囲往復摺動し、ノズルに付着した付着物が掻き取られる。
【0011】請求項4では、軸が上下動することによりスクレーパーがノズルの先端面の直近位置を上下に移動し、ノズルの先端に付着した付着物が掻き取られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照し、図13と共通する部材にはこれと同一符号を用いて説明する。
【0013】図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、ダクト2内に配設される中和用ガス吹込み管5は、従来と同様にダクト2の上面から下面にかけて複数本が横並びに縦設されるもので、図1、図4では便宜上その1本を取出して示している。
【0014】この中和用ガス吹込み管5にそって下流側にこれと平行に回転軸10がダクト2の上部外面に取付く基板11に設けられた軸受12と前記中和用ガス吹込み管5の下方部に取付具13により固着されたダクトシール付きの軸受14とより回転自在に支持して設けられ、この回転軸10には前記吹込み管5の側部にダクト2の下流側に向け水平方向に突出するノズル6と対応しかつこのノズル6の先端上下に僅かの間隔をおいて挟むように上下一対のスクレーパー15,15の基部15a,15aが固着されて水平方向に突出されている。
【0015】このスクレーパー15,15の構造は、図4R>4にその一組を示しているように平板状の部材を用いてもよいが、図8にその一組を示すように回転軸10に固着される丸棒材16の先端に平板状部材17を溶接等により固着し、この平板状部材17がノズル6の先端部6aの直近位置を通過するようにして付着物の掻きとり性を高めるようにするなど、適宜な構造を採用することができる。
【0016】前記基板11には、回転軸10を所定角度範囲往復旋回動させる駆動手段18が設けられている。この実施例における駆動手段18は、減速機付きで断熱処理されたモータ19(200W程度)と、このモータ19により回動される駆動軸20に一端が固着されたアーム21と、このアーム21の先端と前記回転軸10に一端が固着されたクランクアーム22の先端とを連結するクランクロッド23とで構成されており、前記駆動軸20の回転によりアーム21が回転し、クランクロッド23を介してクランクアーム22を往復旋回動させるようになっている。このときクランクアーム22の旋回角度θを20°とする場合、アーム21の回転半径をr、クランクアーム22の回転半径をRとするとき、およそr=R/6の関係とすればよい。これは極力ノズルから大きく逃がすようにした方が好ましいためである。
【0017】次に上記実施例の作用を説明する。
【0018】駆動手段18のモータ19を駆動すると、減速機を介して駆動軸20が毎分1回程度の緩速で回転し、その回転によりアーム21が回転し、クランクロッド23を介してクランクアーム22が角度θの範囲で往復旋回動する。これによりクランクアーム22が固着されている回転軸10が同角度往復回動し、これに伴いスクレーパー15,15が同角度の範囲を往復旋回動する。
【0019】このスクレーパー15,15の旋回動によりその先端が図7に示すようにノズル6の先端部6aの上下直近位置を通過する際にノズル6の先端に生成付着した中和反応生成物が掻き落される。こうしてスクレーパー15,15の絶間ない旋回動により生成物が成長するいとまを与えず、ノズル6の先端はもとより、ノズル6の周面に生成物が付着堆積することが防がれる。
【0020】掻きとられて落下した生成付着物は、再びノズル6に付着することなくダクト2内を流れる排気流に乗って下流側へ運ばれ、集塵機3により回収される。
【0021】なお回転軸10を旋回駆動させる駆動手段18は、図示の実施例に限られる必要はなく、要すれば回転軸10を緩速で旋回動させ得るものであれば他の構成によってもよいことはもちろんである。またボイラ1の排ガスに限らず、他の排ガス処理装置に対しても同様に適用可能である。
【0022】図9、図10は本発明の他の実施例を示すもので、前記実施例の図4、図6と対応している。
【0023】この実施例においては、ノズル6,6の先端直状部分に筒状のスクレーパー15′,15′が可及的密に嵌合されて軸方向に摺動可能に設けられ、回転軸10にはアーム24の中央部が固着されて水平面内で旋回可能とされている。
【0024】上記アーム24の端部には所要の長さのスリット25,25(長孔でもよい)が形成され、このスリット25,25に前記スクレーパー15′,15′の上面に突設されたピン26,26が嵌挿されていて、前記回転軸10の所定角度範囲往復回動することによりアーム24が旋回してそのスリット25,25とピン26,26を介してスクレーパー15′,15′がノズル6,6の先端を含む範囲にわたり往復摺動するように構成されている。
【0025】なお回転軸10の駆動手段18は、図4、図5と同じ構造であり、これらと共通する部材には同一符号を付すに留める。また、図9において27,28は、回転軸10の軸受部分を被覆する耐食カバーである。
【0026】この実施例においては、駆動手段18のモータ19を駆動して回転軸10が往復回動すると、その回転によりアーム24が図10において矢印B方向に旋回往復動し、このアーム24の旋回動によってそのスリット25,25にピン26,26を介して係合されているスクレーパー15′,15′がノズル6,6上をストロークSの範囲にわたって往復移動し、その移動によりノズル6,6の先端部に付着した付着物が掻き落される。
【0027】図11、図12は本発明のさらに他の実施例を示すもので、この実施例では前記回転軸10とは反対の位置に軸10′がダクト2の基板11上の軸受12と中和用ガス吹込み管5に固定の軸受14にスプライン29またはキー等により不回転にかつ上下方向にはスライド可能に支持され、この軸10′に平面形状が略C字状をなすスクレーパー15″の基部15a″が固着されており、このスクレーパー15″の左右の腕部15b″,15b″間に中和用ガス吹込み管5が位置されている。
【0028】上記スクレーパー15″の腕部15b″,15b″の先端の互いに向き合う方向に屈曲された先端部15c″,15c″がノズル6,6の先端面に対し小許の間隔をおいてその直近を上下に垂直移動するよう構成され、軸10′の上下動によりスクレーパー15″の先端部15c″,15c″が図11の実線図示と鎖線図示との範囲にわたり昇降されるようになっている。
【0029】前記軸10′を上下動させる駆動手段18′は、モータ19の回転を軸10′に上下動として伝達するもので、ダクト2の基板11上に設置されたモータ19の軸にアーム21の一端が固着され、このアーム21の先端にクランクアーム22の一端がピン30で連結され、さらにクランクアーム22の他端が軸10′の上端にピン31で連結されていて、前記アーム21の回転によりクランクアーム22を介し軸10′を所定のストロークにわたり上下動させるようになっている。
【0030】この実施例においては、駆動手段18′のモータ19を駆動すると、アーム21が回転し、このアーム21に連結されたクランクアーム22が上下動する。このクランクアーム22の上下動により軸10′が上下動し、この軸10′に固定されたスクレーパー15″が図11の実線図示位置と鎖線図示位置との間にわたり上下動し、その際にスクレーパー15″の先端部15c″,15c″がノズル6,6の先端面直近位置を通過することによりノズル6,6の先端の付着物が掻きとられる。なお上記スクレーパー15″の形状構造に関しては適宜な形態を選択することができ、また軸10′の駆動手段18′に関しても他にシリンダその他の機構を採用することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、排ガズ中に中和用ガスを吹込み、排ガスを中和させて排出させるような場合、ガス吹込み用のノズルの先端乃至はその周辺に付着する中和反応生成物等の付着物を自動的に取り除くことができるので、この生成付着物が成長してダクトの通路断面積を減少させることがなく、燃料効率を著しく高めることができる。また人手を介する必要が全くないので省力化が図れ、かつ重労働を強いることがないなどの種々優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図。
【図2】図1の上方部の側面図。
【図3】図1のA−A矢視図。
【図4】図1の一部を省略して駆動手段の具体例を示す斜視図。
【図5】図4の駆動手段の作動状態を示す説明図。
【図6】図4のスクレーパーの作動状態を示す説明図。
【図7】スクレーパーとノズルとの位置関係を示す正面図。
【図8】スクレーパーの変形例を示す斜視図。
【図9】本発明の他の実施例を示す図4相当図。
【図10】図9のスクレーパーの作動状態を示す説明図。
【図11】本発明のさらに他の実施例を示す図4相当図。
【図12】図11のスクレーパー部分の平面図。
【図13】本発明を適用する対象例としてのボイラ装置を示す構成図。
【図14】ノズルに付着物が付着した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 ボイラ
2 ダクト
3 集塵機
5 中和用ガス吹込み管
6 ノズル
7 生成物(付着物)
10 回転軸
10′ 軸
11 基板
15,15′,15″ スクレーパー
18,18′ 駆動手段
19 モータ
21 アーム
22 クランクアーム
24 アーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガスの吹込み管のノズルの先端近傍に該先端に付着する付着物を掻き取るスクレーパーを移動自在に配設したことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項2】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、この回転軸に前記ガス吹込み管のノズルの上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段を設けてなり、回転軸の回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項3】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、前記ガス吹込み管のノズルにスクレーパーを摺動可能に外嵌し、前記回転軸には前記スクレーパーに係合するアームを固設するとともに前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲にわたり前記アームを旋回させる駆動手段を設けてなり、前記回転軸の往復回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項4】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に軸を縦設し、この軸に前記ガス吹込み管のノズルの先端面直近位置を上下に移動するスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲上下動させる駆動手段を設けてなり、前記軸の上下動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項1】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガスの吹込み管のノズルの先端近傍に該先端に付着する付着物を掻き取るスクレーパーを移動自在に配設したことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項2】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、この回転軸に前記ガス吹込み管のノズルの上下に所要の間隔をおいて挟むよう上下一対のスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む角度範囲水平面内で旋回させる駆動手段を設けてなり、回転軸の回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項3】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に回転軸を縦設し、前記ガス吹込み管のノズルにスクレーパーを摺動可能に外嵌し、前記回転軸には前記スクレーパーに係合するアームを固設するとともに前記回転軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲にわたり前記アームを旋回させる駆動手段を設けてなり、前記回転軸の往復回動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【請求項4】ダクトの途中部に中和用ガス吹込み管を垂設し、このガス吹込み管の側面に開口するノズルから中和用ガスを吹込んで排気を浄化させ、大気中に放出するものにおいて、前記ガス吹込み管にそってこれと平行に軸を縦設し、この軸に前記ガス吹込み管のノズルの先端面直近位置を上下に移動するスクレーパーを各ノズルに対応して水平方向に突設し、前記軸には前記スクレーパーを前記ノズルの先端位置を含む範囲上下動させる駆動手段を設けてなり、前記軸の上下動により前記スクレーパーでノズルに付着した付着物を掻き取るようにしたことを特徴とする付着スケール除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図9】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図9】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開平7−127838
【公開日】平成7年(1995)5月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−278605
【出願日】平成5年(1993)11月8日
【出願人】(593203804)株式会社シグマ (1)
【出願人】(591063280)鹿島北共同発電株式会社 (3)
【公開日】平成7年(1995)5月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)11月8日
【出願人】(593203804)株式会社シグマ (1)
【出願人】(591063280)鹿島北共同発電株式会社 (3)
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