説明

仮設設備用エアコン装置

【課題】 テントなどの仮設設備で主として冷房に使用する仮設設備用エアコン装置として、最適な構造を提案する。
【解決手段】 室外機2が取り付けられたベース6から室外機2よりも背が高い固定部材7を立ち上げ、固定部材7の上部には室内機1を室外機2の反対側に向けて取り付け、室内機1と室外機2との連結配管8類を取り付けて、エアコン装置Aを構成する。室外機2よりも高い位置の仮設設備Bの壁面9に開口10を設け、固定部材7に取り付けた室内機1を開口10から仮設設備Bの空間Cに差込むことで、エアコン装置Aを仮設設備Bに設置し、開口10に備える閉止手段11によって開口10の開口縁を閉止して、仮設設備Bの密閉状態を確保する。また、ベース6の前部とベース6の後縁から立ち上げた固定部材7とを連結する逆L字状の支持枠12の水平部12aの上に、他のエアコン装置Aのべース6や脚13を乗せて、積み上げ保管することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はテントなどの仮設設備で主として冷房を行うことができる仮設設備用エアコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の仮設設備のほぼ密閉された室内空間を冷房暖房するエアコン装置としては、外部に冷暖房機を設置して、仮設設備の空調空気吹き込み口から冷風や温風を吹き込んで冷房や暖房を行う方式が一般的であった。そして、室外空気をそのまま使って、冷風や温風となるように冷却・加熱して仮設設備に吹き込むから、仮設設備内の空気は吹き込まれた空気によって外部に追い出されており、非常に効率が悪く、また、強力な送風機によって空調空気を仮設設備に送り込むために、その騒音が大きく、結局、仮設設備では快適な空調空間が得ることができなかった。
【0003】
このような欠点を無くすために出願人は特許文献1の構造を提案した。このエアコン装置は冷房と暖房が兼用できるヒートポンプエアコンで実現しており、このエアコンの基本構成は床置き室内機を使い、一つのベース上に床置き室内機と室外機を取り付けて、室内機を仮設設備の内部に位置させることで、通常の室内と同様に室内空気を取り込んで冷却・加熱して冷風・温風を作り出しており、温風は床面に沿って吹き出され、冷風は上方に向けて吹き出されるものであり、一台で冷房と暖房が可能な機器を提案した。
【0004】
【特許文献1】特開2003−139383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最近の市販のエアコン装置の室内機は、横長の壁掛けタイプが主流となって、床置きタイプの室内機を製造するための熱交換器は汎用品がほとんど無く、特注品となって極めて高価格であり、価格の点で普及が阻害される恐れがある。このため、特許文献1では他の実施例として、伸縮する支柱に汎用の壁掛けタイプの室内機を取り付け、冷房運転時には支柱を伸ばして室内機を高く配置する提案を合わせて行ったが、この機構を実現するためには冷媒配管に可撓性のパイプを使用しなければならず、このパイプは高価な部品であり、壁掛けタイプの室内機の使用はこの構造でも製造し易さの点で解決すべき課題がある。
【0006】
この発明は簡易パネルを使用する最近の仮設設備であっても、人が出入りする開口部を作るために側壁の一部をテント用生地などで構成し、この部分にファスナーで開閉する出入口を設ける簡易方式の提案もあることから、テントを含むこのような側壁を持つ仮設設備に対象を絞ることによって、使い勝手を良くした仮設設備用のエアコン装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を解決するもので、室内機1と室外機2とで構成する主として冷房に使用するエアコン装置Aであって、そのエアコン装置Aの室外機2は後面に空気吸込み口3、前面に空気排出口4を備えており、その後面の空気吸込み口3と間隔5を介して、前記室外機2が取り付けられたベース6から室外機2よりも背が高い固定部材7を立ち上げ、この固定部材7の上部には前記室内機1を前記室外機2の反対側に向けて取り付け、
かつ室内機1と室外機2との連結配管8類を前記固定部材7に沿わせて取り付けて、エアコン装置Aを使用可能状態で保持すると共に、前記ベース6に設置した室外機2よりも高い位置で固定部材7に取り付けられた室内機1の、後方もしくは室内機1よりも低い位置の仮設設備Bの壁面9には、横幅寸法を固定部材7の横幅よりも大きくした開口10を設け、この開口10には固定部材7を開口縁との間に介在させながら前記開口10を閉ざす閉止手段11を備え、前記固定部材7に取り付けた室内機1はこの開口10から仮設設備B内の空間Cに差し込まれ、仮設設備B内の高所に室内機1が、仮設設備B外に室外機2が配置されることを特徴とする。
【0008】
また、前記エアコン装置Aの室内機1の高さ寸法は、室外機2の高さ寸法よりも小さく設定すると共に、前記固定部材7は前記ベース6の後縁から立ち上げられ、この固定部材7と前記ベース6の前部とを連結する逆L字状の支持枠12を設置し、該支持枠12の上部を構成する水平部12aは前記室外機2よりも高い位置の前記固定部材7と接続しており、この水平部12aの上に他の仮設設備用エアコン装置Aにおけるベース6もしくはベース6に取り付けた脚13を載架して、エアコン装置Aを積み上げ保管できるようにしたから、災害などで不意に使用しなければならないときまで、狭い倉庫でも沢山の仮設設備用のエアコン装置を積み上げて保管できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
この発明はベース6の室外機2の後方から背高の固定部材7を立ち上げ、この固定部材7の上部に室内機1を取り付けており、この室内機1と室外機2とはあらかじめ配管類や電気配線類の連結配管8の取り付けを済ませており、この状態で室外機2に電源を供給すれば直ちに起動できる状態にあり、災害時などで不意の使用要求があっても、エンジン発電機などで電源を接続するだけで使用できる特徴がある。
【0010】
また、この装置を仮設設備Bに取り付けるときには、あらかじめ、仮設設備Bの壁面9には室外機2よりも高い位置に開口10を設け、前記固定部材7に取り付けた室内機1をこの開口10から仮設設備Bの室内側に差込み、前記開口10は開口縁同士、また、開口縁と固定部材7との間で閉塞できる閉止手段11を設けたから、仮設設備Bの密閉状態を確保でき、かつ、固定部材7による高い位置に設置した一般家庭用などに使われる横長で冷風を下吹出しする形態の室内機1を使って、効率よく仮設設備Bの室内空間を空気調和できるようになった。
【0011】
また、室内機1を設置する固定部材7は室外機2を設置するベース6の後縁から立ち上げており、一方、ベース6の前縁から上方に立ち上がりながら後方の前記固定部材7に接続する逆L字状の支持枠12を取り付け、この逆L字状の支持枠12の水平部12aの上に、他のエアコン装置Aのベース6や脚13を乗せて保管することができたから、前後の狭いスペースに効率よく積み重ねて倉庫などに保管することができる。
【0012】
先行する特許文献1もエアコン装置Aを積み重ねることができるが、この発明のような横長で下吹き出しの室内機1を使うときには伸縮機能を追加して高さを低くした状態にしなければ二段積みによる保管はできなかったが、この発明ではすぐに使用できる状態で二段積み、三段積みが可能になった。また、ベース6から固定部材7の高さを二段積みした状態で汎用コンテナーの内部高さに設定すれば、コンテナーによる大量保管が可能になる。
【0013】
また、本願発明のエアコン装置Aは災害時に使用される仮設設備Bの空気調和を主眼としており、このような災害時には機械の使用が制限され、人手による搬出は三段積みでは無理であるから、倉庫に上部空間があっても二段積みでの保管が前提となる。この発明のエアコン装置Aは上側の室内機1の高さを積み上げる下側の室外機2よりも高くなる位置関係に設定すれば、実質的に室外機2だけの床面設置スペースで2台が保管できるようになり、大量保管が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は使用可能状態で保管できるエアコン装置の設置状態を示す一部切欠断面図であって、Aはエアコン装置、Bはこのエアコン装置Aによって空気調和できる仮設設備、Cは仮設設備Bの室内の空間であり、この種の仮設設備Bは安価な石油ストーブなどでも暖房できるから、仮設設備Bの利用者からは冷房需要を望まれ、エアコン装置Aは冷暖房タイプではなくて冷房専用であってもよい。
【0015】
1は仮設設備Bの内部の空間Cに配置される室内機、2は仮設設備Bの外部に設置される室外機、8は室内機1と室外機2とを連結する冷媒配管や電機配線などの連結配管である。14は室外機2に設置した冷媒圧縮機、15は室外熱交換器、16は吸込み側に室外熱交換器15を配置させた送風ファン、3は室外機2の後面側に設けて室外熱交換器15と対向させた空気吸込み口、4は室外機2の前面側に設けて送風ファン16の空気を室外機2の外へ排出するための空気排出口であり、前記送風ファン16が回転すると室外機2の外の空気は空気吸込み口3から室外熱交換器15を通過して吸込まれて、この室内熱交換器15を冷却したあとで、送風ファン16によって空気排出口4から室外機2の外へ排出される。前記冷媒圧縮機14によって加圧されて高温になった冷媒は室外熱交換器15に送られ、送風ファン16によって取り込まれた空気が室外熱交換器15を通過するときに放熱して液体となり、前記連結配管8をへて室内機1に送られる。室内機1ではこの液状の冷媒が気化する時に仮設設備Bの空間Cを冷房しており、この室内機1で気化した冷媒は再び室外機2に送られて冷媒圧縮機14で加圧される循環を行っており、仮設設備Bの空間Cを冷房することができる。
【0016】
6は室外機2を設置するための枠で構成したベース、7はベース6の後端部から垂直に立ち上げた固定部材であり、このベース6は室外機2が設置できれば平板状のものや四角枠などで実施でき、図1はこの兼用型であり、設置する室外機2の両側に位置する平行部分のあるベース横枠6aとその上に差し渡された平板で構成され、この平板の上に室外機2が設置されている。また、固定部材7はベース6の後端の両側から立ち上げた縦枠7aとその上端部を連結する上枠もしくは連結枠によって構成されており、この上枠もしくは連結枠には前記室外機2とは反対側に向けて前記室内機1が取付けられ、この室内機1の設置位置は室外機2の高さよりも高い位置であり、このような位置に設置することによってエアコン装置Aは後記する不使用時の収納に便利となる。
【0017】
13はベース6に取り付けた脚であり、エアコン装置Aの使用状態によってはベース6の下面をそのまま脚13の働きをさせても良い。実施例の脚13は前記固定部材7の縦枠7aを更に下方に伸ばして後部脚としており、また、ベース6を構成するベース横枠6aから下方に伸ばして取り付けられた脚13を前部脚としている。そして、脚13を構成するそれぞれの後部脚と前部脚は下端同士を連結脚13aで略コ形になるように連結されており、このような連結脚13aを脚13に形成することによって、前記ベース6を地面に直接設置するときに、この地面が不整地であっても、エアコン装置Aの重量が連結脚13aによって分散できるから、傾きなく正しく設置することができる。
【0018】
7bは設置された室外機2の後方で固定部材7の2本の縦枠7aを差し渡すように配置された横部材、5はこの横部材7bと前記室外機2との間に形成される間隔であり、前記室外機2の送風ファン16が作動する時にこの間隔5から室外機2の後面の空気吸込み口3へ空気を吸引することができる。後記するようにこのエアコン装置Aは仮設設備Bのテント生地で作られた側面に接近して設置されるが、この横部材7bによってこのテント生地の動きが止められて、テント生地が室外機2の後面の空気吸込み口3に吸い付いて、空気不足の状態を発生させることを防いでいる。
【0019】
17は室内機1に接続したドレン配管であり、前述の冷媒配管や電気配線類などからなる連結配管8と同様に、ドレン配管17も前記固定部材7の2本の縦枠7aに沿わせて取り付けられ、この2本の縦枠7aの片側に一緒に、もしくは両側の縦枠7aの夫々に固定されている。このドレン配管17は仮設住宅B内の空気を冷却した時に除湿された水分が排出されるように室内機1に接続されており、このドレン配管17の他端は室外機2付近に開口してあれば、仮設設備Bの外へ排水することができる。したがって、エアコン装置Aは図2に示すように前記ベース6と固定部材7とによって一体化された状態で、室内機1と室外機2とを連結する連結配管8も固定部材7に固定されているから、電源さえ供給すれば直ちに使用可能な状態になっており、不意に発生する災害時においてもエアコン装置の設置のための業者による工事は不要となり、だれでも直ちに使用することができる。
【0020】
図3に示す実施例において、18はテント生地や簡易パネルなどで作られた仮設設備Bの屋根部材、9は仮設設備Bの側壁である側面であり、実施例の仮設設備Bはテント生地で屋根18や側面9を構成する一般的なテントの事例を開示しているが、その他の実施例としては簡易パネルを連結して作る仮設設備Bであっても良い。そして、この発明のエアコン装置Aを利用するためには、簡易パネル方式の仮設設備Bであっても、少なくとも側面9の一部についてはテント生地で構成した側面9を使うこととする。10はこのテント生地で構成した側面9に前記エアコン装置Aの前記ベース6に設置した室外機2よりも高い位置に形成した開口であり、この開口10の横幅寸法は前記固定部材7の縦枠7aの間隔よりも広くなっており、図1に示すように前記ベース6から立ち上げた固定部材7の上部に設置した室内機1は、この開口10から仮設設備Bの空間C内に差し込むことができる。
【0021】
このため、仮設設備Bの室外側のベース6に室外機2が配置され、また、前記仮設設備Bの室内側の高い位置に前記固定部材7の高所に取り付けた室内機1が配置されるから、仮設設備Bのための専用エアコン装置Aであっても、家庭用の壁掛けエアコンに使われる各種部品を流用して室内機1が構成できるようになって室内機1は安価に製造できるようになった。このため、災害時などで使用する仮設設備B用のエアコン装置Aであっても、販売価格を抑えることができたから、災害対策として多くのエアコン装置を購入して対応することができるようになった。
【0022】
前記開口10は室内機1の後方に開けられた時にはこの室内機1の投影面積に対応する大きさにすると良く、この開口10から直接室内機1を仮設設備B内の空間Cに差し込むことができる。11はこの開口10を封鎖するためのテント生地で作られた閉止手段、11aは開口10の周縁と閉止手段11との間で密着手段を構成する面ファスナーであり、図1及び図3の実施例ではテント生地の閉止手段11は開口10の上部で縫い合わされており、前記面ファスナー11aは開口10の側方と下方の周縁に取り付けられている。このため、仮設設備Bの側面9に屋外からエアコン装置Aのベース6を接近させると、固定部材7に設置した室内機1は開口10から仮設設備B内に差し込むことができ、その後、閉止手段11は開口10の周縁の面ファスナー11aと密着させ、このとき、密着部の左右には前記固定部材7の縦枠7aを挟み込むので、仮設設備Bの室内と室外はほぼ密封することができ、外部から隙間風が入るのを防止することができる。また、他の実施例として、前記面ファスナー11aを固定部材7の縦枠7aにも接着しておけば、一方で固定部材7と仮設設備Bの側面9、他方で固定部材7と閉止手段11とが密着するので、仮設設備Bは更なる密封性能が向上する。
【0023】
図4は仮設設備Bに使用する他の開口10の実施例に係るものであり、この開口10は室外機2よりも高く室内機1よりも低い高さの仮設設備Bの側面9に、前記固定部材7の横幅よりも幅広に水平方向に切り開かれており、更に、水平方向に切り開かれた両端から垂直方向にも切り開かれている。そして、先の実施例のように仮設設備Bの側面9に取り付けられて開口10を閉ざす開閉手段11は、この実施例ではコ字状の切断線で形成される開口10の内側のテント生地部分がその開閉手段11を構成しており、この開閉部分を跳ね上げることにより開口10は四角形の空間として形成できる。11bは切り開かれた開口10の切断線部分に配置した端接続タイプのスライドファスナーであり、実施例では水平方向に切り開かれた部分を閉ざす横方向のスライドファスナー11bと、その両側の垂直方向に切り開かれた部分を上から下に閉ざす縦方向の二つのスライドファスナー11bによって開口10が閉ざされる。このため、コ字状の切断線で形成される開口10から前記室内機1を仮設設備Bの室内側に差し込まれた状態で、水平方向のスライドファスナー11bを閉ざすと、前記固定部材7の縦枠7aは垂直方向に切り開かれた部分に位置するから、この状態で両側の垂直方向のスライドファスナー11bで残った開口10を閉ざせば、縦枠7aの周りの空間が閉ざされて、仮設設備Bの室内をほぼ密封することができる。
【0024】
図4(b)の実施例はこの密封状態を更に向上する構成を開示しており、11cは前記縦枠7aに嵌め込まれるリング状の密封板、11dはこの密封板11cの縦枠7aを嵌め込む孔の周縁に形成した締め付け部材であり、この締め付け部材11dは結束紐で構成されているから、この結束紐で縦枠7aを縛ることによって縦枠7aと密封板11cとの密封は確実にできる。また、この密封板11cには面ファスナー11aが取り付けられ、また、対応する仮設設備の側面9にも面ファスナー11aが取り付けられているから、図1の面ファスナー11aだけで密封するときや、図4(a)のスライドファスナー11bで密封するときに、十分な密封が得られないときにはこの密封板を使用すれば更に密封が確実になる。
【0025】
12は前記固定部材7の縦枠7aと前記ベース6のベース横枠6aの前部とを連結する逆L字状の支持枠、12aは該支持枠12の上部で構成する水平部であり、この水平部12aは前記室外機2よりも少し高い位置の前記固定部材7と接続している。このように、この支持枠12は室外機2の側外方に位置するから、ベース6に設置した室外機2を保護する効果を得ることができる。
【0026】
一方、前記ベース6の後縁から立ち上げられた固定部材7に設置される室内機1は、前述のようにベース6に設置した室外機2よりも高い位置で固定部材7に取り付けられており、更に、この室内機1の背の高さを室外機2の背の高さよりも背を低く設定すれば、前記支持枠12の水平部12aの上に他の仮設設備用エアコン装置Aにおけるベース6もしくはベース6に取り付けた脚13を載架することが可能になり、下に位置するエアコン装置Aの室内機1の上方に、上に載架したエアコン装置Aの室内機1が位置できるようになった。このため、本願発明のエアコン装置Aは、室外機2及び室内機1の上にもうひとつのエアコン装置Aの室外機2及び室内機1が位置できるから、いつ発生するかわからない災害時に備えて、エアコン装置Aを積み重ねて保管できるようになったものである。そして、保管スペースが狭くとも多くのエアコン装置Aが保管できるという、仮設設備のため最適なエアコン装置を提供することができた。
【0027】
また、この固定部材7に設置する室内機1の高さ位置を、図5に示すように積み重ねた時に上になる室外機2の高さ、即ち、室内機1の横幅が固定部材7の横幅に匹敵するときには、積み重ねた上になるエアコン装置Aの水平部12aよりも高い位置に室内機1の下端部が位置するように、室内機1を固定部材7に取り付けたときには、二つ積み重ねたエアコン装置Aの室外機の上方に次のエアコン装置Aの室内機1が位置できるから、実質的にベース6の投影面積さえあれば2台のエアコン装置Aが保管できるようになり、更に効率的な保管ができるようになった。
【0028】
本願発明のエアコン装置Aは仮設設備Bの空気調和を可能とするものであり、このような仮設設備Bは通常はパーツに分解したり、テント装置にあっては折り畳んで保管しておき、災害などが発生したときに、人の居住空間としたり災害活動を指揮する場所を提供するものである。このため、常時は保管されていることが前提条件であり、また、災害発生時が春・秋のように空気調和を必要としないときには、エアコン装置Aは保管したままの状態となり、仮設設備Bだけの使用となる。本願発明の仮設設備Bには開口10が設けられており、この開口10は閉止手段11によって密封できるから、エアコン装置Aが不使用時には閉ざした状態となっている。また、この開口10は開閉手段11を設けたから時々開いて風を入れ、仮設設備Bの換気が可能となる。一方、エアコン装置Aが使われるのは主として夏の災害時であり、本当に必要とする期間は短いから、結局この種のエアコン装置Aは如何に狭いスペースで数多く保管できるかが最重要課題となる。しかも、災害時には機械よりも人手に頼る他はなく、倉庫に保管されたエアコン装置Aは2段積みが扱い易さから好まれる。本願発明は特に2段積みで保管したときに非常に効率よく保管できる特徴があるから、仮設設備用のエアコン装置として、最適な構造を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明のエアコン装置の市場状態を示す一部切欠断面図である。
【図2】この発明の実施例を示すエアコン装置の斜視図である。
【図3】この発明の実施例のエアコン装置を使用できる仮設設備の斜視図である。
【図4】仮設設備に構成する開口の他の実施例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施例のエアコン装置を積み上げた保管状態の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
A エアコン装置
B 仮設設備
C 空間
1 室内機
2 室外機
3 空気吸込み口
4 空気排出口
5 間隔
6 ベース
7 固定部材
8 連結配管
9 壁面
10 開口
11 閉止手段
12 支持枠
12a 水平部
13 脚


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機1と室外機2とで構成する主として冷房に使用するエアコン装置Aであって、そのエアコン装置Aの室外機2は後面に空気吸込み口3、前面に空気排出口4を備えており、その後面の空気吸込み口3と間隔5を介して、前記室外機2が取り付けられたベース6から室外機2よりも背が高い固定部材7を立ち上げ、
この固定部材7の上部には前記室内機1を前記室外機2の反対側に向けて取り付け、かつ室内機1と室外機2との連結配管8類を前記固定部材7に沿わせて取り付けて、エアコン装置Aを使用可能状態で保持すると共に、
前記ベース6に設置した室外機2よりも高い位置で固定部材7に取り付けられた室内機1の、後方もしくは室内機1よりも低い位置の仮設設備Bの壁面9には、横幅寸法を固定部材7の横幅よりも大きくした開口10を設け、この開口10には固定部材7を開口縁との間に介在させながら前記開口10を閉ざす閉止手段11を備え、
前記固定部材7に取り付けた室内機1はこの開口10から仮設設備B内の空間Cに差し込まれ、仮設設備B内の高所に室内機1が、仮設設備B外に室外機2が配置されることを特徴とする仮設設備用エアコン装置。
【請求項2】
前記エアコン装置Aの室内機1の高さ寸法は、室外機2の高さ寸法よりも小さく設定すると共に、
前記固定部材7は前記ベース6の後縁から立ち上げられ、この固定部材7と前記ベース6の前部とを連結する逆L字状の支持枠12を設置し、
該支持枠12の上部を構成する水平部12aは前記室外機2よりも高い位置の前記固定部材7と接続しており、
この水平部12aの上に他の仮設設備用エアコン装置Aにおけるベース6もしくはベース6に取り付けた脚13を載架して、エアコン装置Aを積み上げ保管することを特徴とする請求項1に記載の仮設設備用エアコン装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−183891(P2006−183891A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375259(P2004−375259)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)