説明

伝送線路の電気的特性の最適値取得方法

【課題】 仮想的にグランドプレーンを追加することにより、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得することができるようにする。
【解決手段】 電源/グランド層を持たない二層基板(両面基板)4の配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体2の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンである仮想の電源/グランド層6を配設し、基板体2の配線パターンa,bの電気的特性の最適値をたとえば電磁界解析ソフトによって解析するようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝送線路の電気的特性の最適値取得方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、プリント基板の伝送線路である配線パターンの電気的特性を求める場合、各種計算式が用いられたり電磁界解析等が用いられたりしている。ここで、電気的特性を求める場合、特性インピーダンス、伝搬遅延、自己/相互インダクタンス、自己/相互キャパシタンス等が加味される。
【0003】ところで、このようなプリント基板の伝送線路である配線パターンの電気的特性を求める場合、最低一方向に電位の基準となるべき電源/グランド層が必要となる。
【0004】この場合、たとえば図12に示すような多層基板1では、基板体2内に電源/グランド層3を含むため、その電源/グランド層3が電位の基準となり、部品面及び半田面に形成される伝送線路である配線パターンa,bの電気的特性を求める場合に何ら不都合を生じない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、たとえば図13に示すように、基板体2内に電源/グランド層を含まない二層基板(両面基板)4の場合には、電位の基準となるものがないため、伝送線路である配線パターンa,bの電気的特性を求めることが極めて困難となっている。
【0006】この場合、たとえば部品面の所定の領域の周囲や、たとえば図14に示すように、二層基板(両面基板)4の周囲をグラント5で囲んで解析したり、デフォルト値を当てはめることで、伝送線路である配線パターンa,bの電気的特性を求めるようにしている。
【0007】ところが、このように、たとえば部品面の所定の領域の周囲や基板の周囲をグラント5で囲んで解析したり、デフォルト値を当てはめるたりすることにより、伝送線路である配線パターンa,bの電気的特性を求めるようにする方法では、実際に製造した二層基板(両面基板)4の電気的特性とはかけ離れた値となる。
【0008】このため、電位の基準となるものがない場合に、たとえば部品面の所定の領域の周囲や基板の周囲をグラント5で囲んで解析したり、デフォルト値を当てはめるたりする方法では、配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得することが困難となっている。
【0009】本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、仮想的にグランドプレーンを追加することにより、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得することができる伝送線路の電気的特性の最適値取得方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法は、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンを配設する第1の工程と、基板体の伝送線路の電気的特性の最適値を所定の手法により取得する第2の工程とを備えることを特徴とする。また、第1の工程には、電源/グランド層を持たない伝送線路と仮想的なグランドプレーンとの間に、空気又は空気に近い特性を有する部材を介在させる第3の工程が含まれるようにすることができる。また、第1、第3の工程には、伝送線路を、基板体内に電源/グランド層を含まない二層基板の配線パターンとする第4の工程が含まれるようにすることができる。また、第1、第3の工程には、伝送線路を、ケーブルとする第5の工程が含まれるようにすることができる。また、第1、第3の工程には、伝送線路を、差動回路とする第6の工程が含まれるようにすることができる。また、第2の工程には、所定の手法として電磁界解析ソフトを用いるようにすることができる。請求項7に記載のプリント基板は、請求項1〜6の何れかに記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法によって得られたものである。請求項8に記載の電子機器は、請求項7に記載のプリント基板を実装したものである。本発明に係る伝送線路の電気的特性の最適値取得方法においては、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンを配設し、基板体の伝送線路の電気的特性の最適値を所定の手法により取得するようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する図において、図13と共通する部分には同一符号を付すものとする。
【0012】図1は、本発明の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法の一実施の形態に係る二層基板(両面基板)の一例を示す図、図2〜図9は、図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図、図10及び図11は、図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する他の方法を説明するための図である。
【0013】図1に示す二層基板(両面基板)4は、基板体2内に電源/グランド層が含まれていないものであり、部品面及び半田面には伝送線路である配線パターンa,bが形成されている。また、半田面から所定の位置に仮想的なグランドプレーンである仮想の電源/グランド層6が配設されている。
【0014】ここで、その半田面からの所定の位置とは、二層基板(両面基板)4の部品面及び半田面の配線パターンa,bの電気的特性の値がそれぞれ限りなく近い箇所である。また、基板体2と仮想の電源/グランド層6との間には、空気又は空気に近い特性を有する部材を介在させることができる。空気に近い特性を有する部材としては、比誘電率が空気の1に近い特性を持ったものを用いることができる。
【0015】また、図1において、二層基板(両面基板)4の配線パターンa,bの電気的特性は、配線パターンa,bの厚みや幅、基板体2の厚み、基板体2の比誘電率、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離等によって決定される。
【0016】次に、伝送線路の電気的特性の最適値取得方法について説明する。
【0017】まず、図2に示すように、二層基板(両面基板)4の半田面側に仮想の電源/グランド層6を配設するとともに、配線パターンa,bの厚みt(=0.018mm)、パターン幅w(=0.5mm)、基板体2の厚みtp (=1.6mm)、基板体2の比誘電率εr(=4.7)、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hとしている。ここで、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを、2mm〜50mmの間で変化させ、部品面の配線パターンaと半田面の配線パターンbのそれぞれ一本の電気的特性を、たとえば電磁界解析ソフトによって解析した結果を図3〜図9に示す。また、配線パターンa,bの厚みt(=0.018mm)、パターン幅w(=0.5mm)、基板体2の厚みtp (=1.6mm)、基板体2の比誘電率εr(=4.7)等の値は、何れも一例であり、これらの値に限るものではない。
【0018】また、ここでの電磁界解析ソフトとしては、たとえば米国Innoveda社製のXFXを用いている。また、電磁界解析を行う場合、Maxwell方程式を用いている。
【0019】また、図3〜図9において、<i,j>は、配線パターンa,bを示す。<Lij>は、インダクタンス (a,aとb,bは自己で、a,bは相互)を示す。<Cij>は、キャパシタンス (a,aとb,bは自己で、a,bは相互)を示す。<Ze>は、 イーブン(配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合)の特性インピーダンスを示す。<Zo >は、オッズ(配線パターンa,bにそれぞれ反対方法に電流が流れた場合)の特性インピーダンスを示す。<Se>は、イーブン(配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合)の伝搬時間を示す。<So>は、オッズ(配線パターンa,bにそれぞれ反対方法に電流が流れた場合)の伝搬時間を示す。<Fwdx>は、フォワード・クロストーク係数(進行方向のクロストークノイズを与える比率)を示す。<Rvsx>は、リバース・クロストーク係数(反対方向のクロストークノイズを与える比率)を示す。
【0020】そこで、まず半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを2mmとした場合の図3において、たとえば<Lij>を見てみると、配線パターンaの自己インダクタンスは7.949(nh/cm)、配線パターンa−bの相互インダクタンスは2.455(nh/cm)、配線パターンbの自己インダクタンスは6.766(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの自己インダクタンスの差は、7.949−6.766=1.183 (nh/cm) である。
【0021】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaの自己キャパシタンスは0.433(pf/cm)、配線パターンa−bの相互キャパシタンスは0.184(pf/cm)、配線パターンbの自己キャパシタンスは0.490(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの自己キャパシタンスの差は、0.433−0.490=-0.057(pf/cm)である。
【0022】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaの特性インピーダンスは145.37(ohms)、配線パターンa−bで204.50(ohms)、配線パターンbの特性インピーダンスは126.51(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの特性インピーダンスの差は、145.37−126.51=18.86(ohms)である。
【0023】また、<Se>を見てみると、配線パターンaの伝搬遅延は5.47(ns/m)、配線パターンa−bで5.09(ns/m)、配線パターンbの伝搬遅延は5.35(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの伝搬遅延の差は、5.47−5.35=0.12(ns/m)である。
【0024】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを3mmとした場合の図4において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで8.437(nh/cm)、配線パターンa−bで3.064(nh/cm)、配線パターンbで7.576(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、8.437−7.576=0.861 (nh/cm) である。
【0025】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.425(pf/cm)、配線パターンa−bで0.198(pf/cm)、配線パターンbで0.461(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.425−0.461=-0.036(pf/cm)である。
【0026】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで154.48(ohms)、配線パターンa−bで224.77(ohms)、配線パターンbで140.92(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、154.48−140.92=13.56(ohms)である。
【0027】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.46(ns/m)、配線パターンa−bで5.12(ns/m)、配線パターンbで5.38(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.46−5.38=0.08(ns/m)である。
【0028】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを5mmとした場合の図5において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで9.156(nh/cm)、配線パターンa−bで3.907(nh/cm)、配線パターンbで8.597(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、9.156−8.597=0.559 (nh/cm) である。
【0029】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.413(pf/cm)、配線パターンa−bで0.212(pf/cm)、配線パターンbで0.436(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.413−0.436=-0.023(pf/cm)である。
【0030】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで168.47(ohms)、配線パターンa−bで254.94(ohms)、配線パターンbで159.18(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、168.47−159.18=9.29(ohms)である。
【0031】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.43(ns/m)、配線パターンa−bで5.12(ns/m)、配線パターンbで5.40(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.43−5.40=0.03(ns/m)である。
【0032】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを10mmとした場合の図6において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで10.280(nh/cm)、配線パターンa−bで5.148(nh/cm)、配線パターンbで9.981(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、10.280−9.981=0.299 (nh/cm) である。
【0033】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.402(pf/cm)、配線パターンa−bで0.229(pf/cm)、配線パターンbで0.412(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.402−0.412=-0.01(pf/cm)である。
【0034】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで189.04(ohms)、配線パターンa−bで298.37(ohms)、配線パターンbで184.34(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、189.04−184.34=4.7(ohms)である。
【0035】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.44(ns/m)、配線パターンa−bで5.17(ns/m)、配線パターンbで5.41(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.44−5.41=0.03(ns/m)である。
【0036】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを20mmとした場合の図7において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで11.521(nh/cm)、配線パターンa−bで6.455(nh/cm)、配線パターンbで11.365(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、11.521−11.365=0.156 (nh/cm) である。
【0037】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.392(pf/cm)、配線パターンa−bで0.242(pf/cm)、配線パターンbで0.396(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.392−0.396=-0.004(pf/cm)である。
【0038】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで211.94(ohms)、配線パターンa−bで346.05(ohms)、配線パターンbで209.63(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、211.94−209.63=2.31(ohms)である。
【0039】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.44(ns/m)、配線パターンa−bで5.19(ns/m)、配線パターンbで5.42(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.44−5.42=0.02(ns/m)である。
【0040】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを30mmとした場合の図8において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで12.280(nh/cm)、配線パターンa−bで7.239(nh/cm)、配線パターンbで12.175(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、12.280−12.175=0.105 (nh/cm) である。
【0041】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.387(pf/cm)、配線パターンa−bで0.248(pf/cm)、配線パターンbで0.389(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.387−0.389=-0.002(pf/cm)である。
【0042】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで225.86(ohms)、配線パターンa−bで374.91(ohms)、配線パターンbで224.49(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、225.86−224.49=1.37(ohms)である。
【0043】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.44(ns/m)、配線パターンa−bで5.21(ns/m)、配線パターンbで5.42(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.44−5.42=0.02(ns/m)である。
【0044】次に、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを50mmとした場合の図9において、上記同様に、<Lij>を見てみると、配線パターンaで13.258(nh/cm)、配線パターンa−bで8.238(nh/cm)、配線パターンbで13.195(nh/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、13.258−13.195=0.063 (nh/cm) である。
【0045】また、<Cij>を見てみると、配線パターンaで0.379(pf/cm)、配線パターンa−bで0.254(pf/cm)、配線パターンbで0.382(pf/cm)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、0.379−0.382=-0.003(pf/cm)である。
【0046】また、<Ze >を見てみると、配線パターンaで244.87(ohms)、配線パターンa−bで414.80(ohms)、配線パターンbで242.94(ohms)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、244.87−242.94=1.93(ohms)である。
【0047】また、<Se>を見てみると、配線パターンaで5.41(ns/m)、配線パターンa−bで5.18(ns/m)、配線パターンbで5.43(ns/m)となっていることが分る。ここで、配線パターンaと配線パターンbとの差は、5.41−5.43=-0.02(ns/m)である。
【0048】以上のようなことから、配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合のインダクタンス<Lij>における配線パターンa,bの差がもっとも小さいのは、図9のように、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを50mmとした場合であることが分る。
【0049】また、配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合のキャパシタンス<Cij>における配線パターンa,bの差がもっとも小さいのは、図8のように、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを30mmとした場合であることが分る。
【0050】また、配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合の特性インピーダンス<Ze >における配線パターンa,bの差がもっとも小さいのは、図8のように、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを30mmとした場合であることが分る。
【0051】また、配線パターンa,bに同じ方法に電流が流れた場合の伝搬時間<Se>における配線パターンa,bの差がもっとも小さいのは、図7〜9のように、半田面から仮想の電源/グランド層6までの距離hを20mm〜50mmとした場合であることが分る。
【0052】よって、このように仮想の電源/グランド層6を、二層基板(両面基板)4の半田面から20mm〜50mm程度離した位置に配設することで、基板体2内に電源/グランド層を含まない二層基板(両面基板)4の場合であっても配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得することができる。
【0053】このように、本実施の形態では、電源/グランド層を持たない二層基板(両面基板)4の配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体2の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンである仮想の電源/グランド層6を配設し、基板体2の配線パターンa,bの電気的特性の最適値をたとえば電磁界解析ソフトによって解析するようにしたので、電源/グランド層を持たない基板体2の配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得することができる。
【0054】なお、本実施の形態では、仮想の電源/グランド層6を、二層基板(両面基板)4の半田面側に配設した場合について説明したが、この例に限らず、仮想の電源/グランド層6を、二層基板(両面基板)4の部品面側に配設するようにしてもよい。
【0055】さらに、電源/グランド層を持たない基板体2を筐体に実装すると、筐体を電源/グランド層とみなすことができるので、このような場合には図10に示すように、半田面及び部品面の両方に配設するようにしてもよい。
【0056】なお、本実施の形態では、電源/グランド層を持たない基板体2の伝送線路である配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得する場合について説明したが、この例に限らず、たとえば図11(a),(b)に示すように、差動回路において、行き帰りの配線パターンa−a、配線パターンa−bが平行になっている場合は、斜線で示す一方の配線パターンa,bを仮想のグラウンドとみなすことができる。
【0057】また、本実施の形態では、電送線路である配線パターンa,bの電気的特性の最適値を取得する場合について説明したが、伝送線路をケーブルとしてもよい。
【0058】
【発明の効果】以上の如く本発明に係る伝送線路の電気的特性の最適値取得方法によれば、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンを配設し、基板体の伝送線路の電気的特性の最適値を所定の手法により取得するようにしたので、電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法の一実施の形態に係る二層基板(両面基板)の一例を示す図である。
【図2】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図3】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図4】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図5】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図6】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図7】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図8】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図9】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する方法を説明するための図である。
【図10】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する他の方法を説明するための図である。
【図11】図1の二層基板(両面基板)における伝送線路の電気的特性の最適値を取得する他の方法を説明するための図である。
【図12】従来の多層基板の一例を示す図である。
【図13】従来の二層基板(両面基板)を示す図である。
【図14】従来の二層基板(両面基板)を示す図である。
【符号の説明】
2 基板体
4 二層基板(両面基板)
6 仮想の電源/グランド層
a,b 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源/グランド層を持たない伝送線路の電気的特性の最適値を取得するに際し、基板体の少なくとも一方向に仮想的なグランドプレーンを配設する第1の工程と、前記基板体の伝送線路の電気的特性の最適値を所定の手法により取得する第2の工程とを備えることを特徴とする伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項2】 前記第1の工程には、前記電源/グランド層を持たない伝送線路と前記仮想的なグランドプレーンとの間に、空気又は空気に近い特性を有する部材を介在させる第3の工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項3】 前記第1、第3の工程には、前記伝送線路を、基板体内に前記電源/グランド層を含まない二層基板の配線パターンとする第4の工程が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項4】 前記第1、第3の工程には、前記伝送線路を、ケーブルとする第5の工程が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項5】 前記第1、第3の工程には、前記伝送線路を、差動回路とする第6の工程が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項6】 前記第2の工程には、前記所定の手法として電磁界解析ソフトを用いることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法。
【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の伝送線路の電気的特性の最適値取得方法によって得られたプリント基板。
【請求項8】 請求項7に記載の前記プリント基板を実装した電子機器。

【図1】
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【図13】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2002−250748(P2002−250748A)
【公開日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−51170(P2001−51170)
【出願日】平成13年2月26日(2001.2.26)
【出願人】(301007700)株式会社マイクコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】