説明

伸縮性シートの製造方法

【課題】伸縮性シートの柔軟性が向上するとともに伸縮性も向上し、材料費を節減できる伸縮性シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、帯状シート50,60の間に糸状弾性体7をy方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する製造方法である。本発明の製造方法は、糸状弾性体7を弾性体巻回手段14に導入する供給工程と、弾性体巻回手段14により糸状弾性体7を糸搬送用長手構造体12,13に連続的に巻回しながら搬送する搬送工程と、糸状弾性体7を帯状シート50,60間に固定する一体化工程と、帯状シート50,60を延伸する延伸工程と、延出している糸状弾性体7を切断する切断工程とを備えている。延伸工程は、大径部173,175及び小径部174,176が交互に形成された一対の凹凸ローラー171,172を用いて、帯状シート50,60を延伸する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
資材をできる限り省き、廃棄物をできる限り抑え、環境に優しく、コストを抑えるという観点から、ファスニングテープを備えたウエストパネル材を別工程で製造しておき、吸収体を含む長方形状の吸収性本体にこのウエストパネル材を付加して製造される展開型の使い捨ておむつが知られている。ウエストパネル材は、装着性の観点から、伸縮性の部材であることが好ましく、ウエストパネル材としては、一般的に伸縮性のフィルムを用いて形成されたものが用いられる。しかし、伸縮性のフィルムはコストがかかるため、汎用の弾性部材である所謂糸ゴムを用いてウエストパネル材を形成することが好ましい。但し、糸ゴムを用いてウエストパネル材を得る工程と、そのウエストパネル材を吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを得る工程とを一連の流れで連続して行う場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材の伸縮方向は、一般的に吸収性本体の搬送方向と同方向となり、展開型の使い捨ておむつの着用時に求められるウエストパネル材の伸縮方向と直交する方向となる。従って、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材をインライン工程で吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを製造する場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材を90度反転させて吸収性本体に付加する必要がある。このようにウエストパネル材を90度反転させる装置が別途必要となるため、設備投資の増大を招いてしまう。
【0003】
上述のような90度反転させる装置を使用しない方法として、例えば、特許文献1,特許文献2には、長さ方向に走行中の透水性シートに接着剤を塗布し、該接着剤塗布面に、テンションの与えられた糸状弾性体を、走行するシートのシート面に沿って且つシート走行方向に向けてジグザグ状態で平行移動させ、該糸状弾性体を伸長させた状態でシートに接着する工程と、前記糸状弾性体を両端で切断する工程とを行う伸縮性シートの製造方法が記載されている。また、特許文献1には、ジグザグ状態の糸状弾性体を、平行に配置し直す方法も記載されている。
【0004】
使い捨ておむつなどの身体に装着して用いる製品の構成材料として用いられる場合、一層の柔軟性や伸縮性を要求される場合があるが、特許文献1及び特許文献2には、柔軟性及び伸縮性を向上させる方法について、何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2602221号公報
【特許文献2】特開2010−22588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、
前記糸状弾性体を連続して繰り出し、繰り出された該糸状弾性体を弾性体巻回手段に導入する供給工程と、該弾性体巻回手段を用いて前記糸状弾性体を、糸搬送用長手構造体に連続的に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、該糸搬送用長手構造体の長手方向に搬送する搬送工程と、搬送された該糸状弾性体を前記帯状シートの間に固定する一体化工程と、一対の前記帯状シートを延伸する延伸工程と、一対の前記帯状シートの幅方向両端部それぞれから延出している前記糸状弾性体を切断する切断工程とを備え、前記延伸工程は、大径部及び小径部が交互に形成された一対の凹凸ローラーを用いて、一対の前記帯状シートを延伸する伸縮性シートの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の伸縮性シートの製造方法によれば、製造される伸縮性シートの柔軟性が向上するとともに、伸縮性も向上する。また、このように伸縮性が向上すると、従来と同じ伸縮性能、伸縮力を発揮するのに、従来よりも少ない材料で伸びることとなり、材料費を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の伸縮性シートの製造方法により得られる第1実施形態の伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつの平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施態様により図1に示す展開型の使い捨ておむつのウエストパネルを製造する製造装置を示す概略図である。
【図3】図3は、図2に示す回転アームに糸状弾性体を導入する弾性体供給手段を示す概略図である。
【図4】図4は、図2のX1−X1線の要部拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の伸縮性シートの製造方法により得られる第2実施形態の伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつの平面図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施態様により図5に示す展開型の使い捨ておむつのウエストパネルを製造する製造装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法を、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
第1実施態様で製造する伸縮性シートは、図1に示すように、例えば、展開型の使い捨ておむつ1のウエストパネル3Aに用いられる。従って、先ず、本実施態様により製造される伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつ1について説明する。
【0011】
展開型の使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、装着時に装着者の腹側に位置する腹側部A、背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cを有する吸収性本体2と、背側部Bの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル3A,3Aとを有する。おむつ1は、図1に示すように、腹側部Aの左右両外方に連設された左右一対のパネル材4,4を有している。尚、おむつ1の吸収性本体2は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。また、おむつ1のパネル材4は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において、台形状であり、長さの長い下底側が、接着剤や融着等の手段により吸収性本体2に固定されている。
以下の説明では、吸収性本体2の長手方向(おむつ1の長手方向でもある)をY方向、吸収性本体2の幅方向(おむつ1の幅方向でもある)をX方向として説明する。
【0012】
一対のウエストパネル3A,3Aそれぞれは、平面状に拡げた状態において、矩形状である。各ウエストパネル3Aは、2枚のシート5,6と、2枚のシート5,6の間に伸長した状態で配された複数本の糸状弾性体7とを有している。各ウエストパネル3Aは、一対のシート5,6の間に糸状弾性体7をY方向と交差する方向に伸長した状態で固定された伸縮性シートからなる。具体的には、各ウエストパネル3Aは、図1に示すように、同形同大の矩形状の2枚のシート5,6の間に、Y方向と直交する方向(X方向)に伸長した糸状弾性体を、Y方向に略等間隔を空けて配して、接着剤や融着等の手段により一体的に固定して形成されている。このように形成された矩形状のウエストパネル3Aには、そのX方向外方側の端部にファスニングテープ8が接着剤や融着等の手段により固定されている。また、矩形状のウエストパネル3Aは、そのX方向内方側の端部が接着剤や融着等の手段により吸収性本体2の背側部Bに固定され、背側部BのX方向外方に連設されている。尚、本実施態様で製造されるウエストパネル3A(伸縮性シート)の有する糸状弾性体7は、Y方向と直交する方向に伸長されているが、Y方向と交差する方向に伸長されていればよい。
【0013】
また、本実施態様で製造されるウエストパネル3A(伸縮性シート)は、図1に示すように、Y方向の全域に亘ってX方向への延伸加工が施されている。即ち、図1に示すように、延伸加工領域30Aが、ウエストパネル3AのY方向の全域に亘って形成されている。ウエストパネル3A(伸縮性シート)は、坪量が10〜50g/m2程度であることが好ましく、厚みが0.1〜1mm程度であることが好ましい。ウエストパネル3A(伸縮性シート)のX方向への伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が30〜250cN/25mmであることが好ましく、50〜200cN/25mmであることが更に好ましい。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、ウエストパネル3A(伸縮性シート)の曲げ剛性は、15g/30mm以下であることが好ましい。曲げ剛性は、JIS L−1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量8mm、スリット幅10mmの条件において、Y方向及びX方向にそれぞれ曲げた際の平均値として得られる。
【0014】
吸収性本体2は、図1に示すように、液透過性の表面シート21と、液不透過性又は撥水性の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在された液保持性の吸収体23とを有している。吸収性本体2は、図1に示すように、おむつ1の内面をなす表面シート21と、おむつ1の外面をなす裏面シート22とを、これら両シート21,22間に吸収体23を介在させて接合することにより形成されている。また、吸収性本体2は、図1に示すように、Y方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート24,24を配設してなる。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2のY方向両側部に沿って表面シート21に固定されている。各立体ガード形成用シート24は、X方向内方側の端縁近傍に沿って立体ガード形成用の弾性部材25を有しており、着用時には、その弾性部材25の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート21から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体2の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材26が配されている。着用時には、弾性部材26の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【0015】
おむつ1の形成材料について説明する。
ウエストパネル3Aを構成するシート5,6及びパネル材4としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート5,6及びパネル材4としては、不織布、織物、フィルムまたはそれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート22としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。糸状弾性体7及び立体ガードを構成する弾性部材25としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明における糸状弾性体には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも用いることができる。糸状弾性部材の幅(又は径)は、例えば、0.1〜3mmであり、好ましくは1mm以下である。ファスニングテープ8としては、例えば、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【0016】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい第1実施態様を、上述したおむつ1のウエストパネル3A(伸縮性シート)を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
図2は、第1実施態様のウエストパネル3A(伸縮性シート)の製造方法に好適に用いられる製造装置11Aを模式的に示したものである。
【0017】
製造装置11Aは、図2に示すように、ウエストパネル3A(伸縮性シート)を連続的に製造する装置であり、シートの搬送方向(y方向)と直交する方向(x方向)に離間した一対の搬送ベルト12,13に、糸状弾性体7を連続的に巻回する弾性体巻回用の回転アーム(弾性体巻回手段)14とを備えている。また、製造装置11Aは、図2及び図3に示すように、糸状弾性体7を連続して繰り出し、回転アーム14に糸状弾性体7を導入する弾性体供給手段15と、前述の一対の搬送ベルト12,13により糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60の間に搬送する搬送手段16と、一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体7を固定する一体化手段17と、一対の帯状シート50,60を延伸する延伸工程18と、帯状シート50,60の幅方向両端部それぞれから延出している糸状弾性体7を切断する切断手段19とを備えている。
本実施態様においては、一対の搬送ベルト12,13が、本発明における糸搬送用長手構造体であり、該糸搬送用長手構造体の長手方向は、両搬送ベルト12,13の延設方向(y方向)である。
【0018】
シートの搬送方向は、一対の搬送ベルト12,13に巻回された糸状弾性体7の搬送方向又はその糸状弾性体7と一体化されたシート(帯状シート50及び/又は60)の搬送方向である。
図2中矢印のy方向は、シートの搬送方向である、糸状弾性体7や一対の帯状シート50,60の搬送方向を示し、最終的に本実施態様により製造されるウエストパネル3A(伸縮性シート)の搬送方向及び該ウエストパネル3A(伸縮性シート)を取り付けたおむつ1の連続体の搬送方向とも同じ方向である。
また、図2中矢印のx方向は、帯状シート50,60の幅方向であり、シートの搬送方向と直交する方向である。また、図2中矢印のz方向は、後述する一対の凹凸ローラー171,172どうしが対向する方向である。
【0019】
搬送手段16の搬送ベルト12は、図2に示すように、無端状の回転ベルトであり、上下2段の上段搬送ベルト12aと下段搬送ベルト12bとからなる。上段搬送ベルト12aは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー121,122間に架け渡されている。下段搬送ベルト12bは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー124,125間に架け渡されている。プーリー121は、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸する一対の凹凸ローラー171,172の下流側に位置し、プーリー122は、凹凸ローラー171,172の上流側に位置している。プーリー124は、凹凸ローラー171,172よりも下流側に位置し、プーリー125は、凹凸ローラー171,172の上流側に位置している。プーリー121,124は、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー122,125も、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー121(プーリー124)及びプーリー122(プーリー125)は、帯状シート50,60のx方向端部よりもx方向外方に位置している。プーリー121及びプーリー124それぞれには、その駆動部にサーボモーター(不図示)が連設されており、上段搬送ベルト12a及び下段搬送ベルト12bそれぞれの回転速度を変更することができる。
【0020】
搬送手段16の搬送ベルト13は、図2に示すように、搬送ベルト12と同様に、無端状の回転ベルトであり、上下2段の上段搬送ベルト13aと下段搬送ベルト13bとからなる。上段搬送ベルト13aは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー131,132間に架け渡されている。下段搬送ベルト13bは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー134,135間に架け渡されている。プーリー131は、一対の凹凸ローラー171,172の下流側に位置し、プーリー132は、凹凸ローラー171,172の上流側に位置している。プーリー134は、凹凸ローラー171,172よりも下流側に位置し、プーリー135は、凹凸ローラー171,172の上流側に位置している。プーリー131,134は、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー132,135も、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー131(プーリー134)及びプーリー132(プーリー135)は、帯状シート50,60のx方向端部よりもx方向外方に位置している。プーリー131及びプーリー134それぞれには、その駆動部にサーボモーター(不図示)が連設されており、上段搬送ベルト13a及び下段搬送ベルト13bそれぞれの回転速度を変更することができる。
【0021】
図2に示すように、上述のように配されたプーリー121,122及びプーリー124,125に架け渡されることにより搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)は、一対の凹凸ローラー171,172の上流側から下流側に亘って配される。また、上述のように配されたプーリー131,132及びプーリー134,135に架け渡されることにより搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、一対の凹凸ローラー171,172の上流側から下流側に亘って配される。更に、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、帯状シート50,60のx方向外方に位置し、互いに左右対称に配されている。搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、それぞれの外周側がy方向に移動するように回転する。搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、何れもタイミングベルトであることが好ましい。搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の回転速度、即ち、プーリー121及びプーリー124並びにプーリー131及びプーリー134それぞれの駆動部に配されたサーボモーター(不図示)の回転速度は、製造装置11Aの備える制御部(不図示)により、制御されている。
【0022】
回転アーム14は、図2に示すように、軸部142、周回部143及び連結部144を有するアーム部141と、軸部142の中心線を回転軸として、アーム部141を回転させる駆動機構147とを備えている。連結部144は、軸部142及び周回部143のそれぞれに対して角度をなして結合しており、周回部143と軸部142とは略平行となっている。軸部142は、その一端に糸状弾性体7の導入口145を有し、周回部143は、その一端に、糸状弾性体7の導出口146を有しており、導入口145から導入された糸状弾性体7が、軸部142、連結部144及び周回部143を通って導出口146からスムーズに導出される。アーム部141の屈曲部や導出口146等には、糸状弾性体7との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材(従動ロールや低摩擦部材等)を配置することもできる。
【0023】
周回部143は、導出口146の位置が、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部より下流側に配されている。回転アーム14は、その駆動部(軸部142)にサーボモーター148が取り付けられており、該サーボモーター148の回転により、周回部143が、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周を周回する。導出口146が回転する軌跡の直径は、一対の搬送ベルト12,13の外面間の距離より大きい。
このような回転アーム14により、取り込んだ糸状弾性体7を、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部であって且つそれぞれの外周側に連続的に巻回することができる。回転アーム14の回転速度、即ち、サーボモーター148の回転速度は、製造装置11Aの備える制御部(不図示)により、制御されている。
【0024】
弾性体供給手段15は、図3に示すように、糸状弾性体7のボビン70の下流側に位置して糸状弾性体7にブレーキによりテンションをかけるテンサー151と、テンサー151の下流側に位置する繰り出しローラー152と、繰り出しローラー152の下流側に位置するテンション測定器153とを備えている。繰り出しローラー152は、その回転軸方向がx方向に配されている。繰り出しローラー152には、その駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられている。繰り出しローラー152は、その外周に糸状弾性体7が1回又は複数回(好ましくは2回)巻き付けられて使用される。製造装置11Aの備える制御部(不図示)により、テンション測定器153による検出出力に基づき、サーボモーター(不図示)の回転速度、即ち繰り出しローラー152の回転速度やテンサー151のブレーキを制御し、所定のテンションで糸状弾性体7をボビン70から巻き出すことができる。
【0025】
弾性体供給手段15は、図3に示すように、繰り出しローラー152の下流側に位置するフィードローラー156を備えている。フィードローラー156は、回転アーム14と繰り出しローラー152との間に配され、その回転軸方向がx方向に配されている。フィードローラー156は、その駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられている。サーボモーター(不図示)の回転速度、即ちフィードローラー156の回転速度は、製造装置11Aの備える制御部(不図示)により、制御されている。
【0026】
製造装置11Aにおいては、一体化手段17及び延伸手段18は、図2,図4に示すように、共通の一対の凹凸ローラー171,172を備えている。一対の凹凸ローラー171,172としては、金属製やゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。尚、凹凸ローラー171,172が、ゴム製のローラーであれば、延伸時の材料の滑りを抑えることができると言う効果を奏する点で有効である。ゴムの素材としては、例えば、ウレタン、シリコン等が挙げられる。一対の凹凸ローラー171,172は、何れか一方の駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられており、製造装置11Aが備える制御部(不図示)により回転速度が制御されている。一対の凹凸ローラー171,172それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この駆動手段(不図示)により、伸縮性シートの生産速度に基づき、サーボモーター(不図示)の回転速度、即ち一方の凹凸ローラー171,172の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、他方の凹凸ローラー172,171にも駆動力が伝達され、一対の凹凸ローラー171,172を回転させることができる。一対の凹凸ローラー171,172の軸受け部分には、一方又は双方の凹凸ローラー171,172をz方向に変位させる公知の昇降機構(不図示)が取り付けられており、凹凸ローラー171,172間の間隔を調整可能になっている。
【0027】
凹凸ローラー171,172は、図4に示すように、大径部及び小径部が交互に形成されている。製造装置11Aの凹凸ローラー171においては、後述するニップ部177,177の間に、大径部173及び小径部174がx方向に交互に配されており、大径部173及び小径部174それぞれが、図2に示すように、凹凸ローラー171の一周に亘って形成されている。製造装置11Aの凹凸ローラー172も、凹凸ローラー171と同様に、後述するニップ部178,178の間に、大径部175及び小径部176がx方向に交互に形成されており、大径部175及び小径部176それぞれが、凹凸ローラー172の一周に亘って形成されている。大径部173,175の直径は、小径部174,176の直径よりも大きく、後述するニップ部177,178の直径よりも大きく形成されている。従って、大径部173,175は凹凸ローラー171,172の凸部となり、小径部174,176は凹凸ローラー171,172の凹部となる。図4に示すように、一方の凹凸ローラー171の大径部173が、他方の凹凸ローラー172の大径部175,175間に遊挿され、他方の凹凸ローラー172の大径部175が一方の凹凸ローラ171の大径部173、173間に遊挿されるように噛み合わせ、その状態の凹凸ローラー171,172間に、伸長状態の糸状弾性体を一対の帯状シート50,60の間に挟んだ複合シートを挿入して、一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体を固定しながら、一対の帯状シート50,60を延伸することができる。
【0028】
一方の凹凸ローラー171と他方の凹凸ローラー172とが噛み合った状態において、凹凸ローラー171の大径部173と他方の凹凸ローラー172の大径部175とのピッチP(図4参照)は、施工後の伸縮性シートの肌触りの向上の観点から、0.5〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることが更に好ましい。同様な観点から、凹凸ローラー171の大径部173と他方の凹凸ローラー172の大径部175との噛み合い深さQ(図4参照)は、0.5〜5.0mmであることが好ましく、1〜3mmであることが更に好ましい。
【0029】
一対の凹凸ローラー171,172は、図2に示すように、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の内周側と搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の内周側との間に位置している。一対の凹凸ローラー171,172それぞれは、図2,図4に示すように、製造装置11Aにおいては、x方向の両端部それぞれに、帯状シート50,60の幅方向への縮みを防止するニップ部177,178を有している。ニップ部177,178は、図4に示すように、上述のように一方の凹凸ローラー171の大径部173と他方の凹凸ローラー172の大径部175とが噛み合った状態において、帯状シート50,60のx方向の端部を押さえつけるように平滑に形成されている。帯状シート50,60の端部を押さえつける観点から、ニップ部177,178の幅は、5〜50mmであることが好ましい。一方の凹凸ローラー171のニップ部177と他方の凹凸ローラー172のニップ部178との間で、帯状シート50,60のx方向の端部を押さえつけることにより、帯状シート50,60の幅方向への縮みを防止しながら、一対の帯状シート50,60を延伸することができる。尚、製造装置11Aにおいては、ニップ部177,178の周面は平滑に形成されているが、帯状シート50,60のx方向への縮み防止や横滑りを更に防止するために、ニップ部177,178の周面に、溶射等の滑り止め加工を施してもよい。
【0030】
切断手段19は、図2に示すように、搬送されてくる糸状弾性体7が当たる部分が先鋭な切断刃となされたカッター190を備えている。カッター190は、支持体(不図示)により、糸状弾性体7が当たる位置に配置されており、糸状弾性体7が、搬送ベルト12,13により搬送されてカッター190に押しつけられることにより切断される。切断手段19は、y方向においては、一対の凹凸ローラー171,172と、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)のローラー123,126又は搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)のローラー133,136との間に位置している。切断手段19により糸状弾性体7を切断するx方向の位置は、凹凸ローラー171,172と搬送ベルト12,13との間であっても良いし、搬送ベルト12,13それぞれの内周部と外周部との間であっても良いし、搬送ベルト12,13それぞれの外周部の外側であっても良い。また、切断手段19としては、糸状弾性体7を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッター等を用いることもできる。レーザーや熱によるカットでもよい。製造装置11Aは、カッター190により切断された糸状弾性体7の不要部分を吸引する吸引部(不図示)を、ニップ部178のx方向両外方に配している。
【0031】
次に、上述した製造装置11Aを用いて伸縮性シートを製造する方法について説明する。
【0032】
先ず、図3に示すように、糸状弾性体7を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体7を弾性体巻回用の回転アーム14に導入する(供給工程)。詳述すると、繰り出しローラー152を用いて糸状弾性体7のボビン70から糸状弾性体7を連続して繰り出す。繰り出す際には、テンション測定器153による糸状弾性体7のテンションの検出出力に基づき、製造装置11Aの備える制御部(不図示)によって、巻き出しローラー152の回転速度を制御し、所定のテンションでボビン70から糸状弾性体7を繰り出す。
【0033】
次いで、回転アーム14に糸状弾性体7を導入する。導入する際には、テンサー151及び繰り出しローラー152により所定の伸長応力に伸長された糸状弾性体7を、回転アーム14により糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13に巻回させる巻回速度以上の速度で、フィードローラー156により回転アーム14に供給する。ここで、「巻回速度」とは、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周側に1周周回された糸状弾性体7の長さを、1周周回させるに要した時間で除することにより得られる値を意味する。
【0034】
次いで、図2に示すように、回転アーム14を用いて糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13に連続的に巻回し、一対の搬送ベルト12,13により糸状弾性体7を搬送する(搬送工程)。詳述すると、伸長状態で回転アーム14内に供給された糸状弾性体7は、導入口145から、アーム部141内に導入され、軸部142,連結部144及び周回部143内を通って、導出口146から導出される。導出口146から導出される糸状弾性体7は、回転アーム14が回転しながら導出されることによって、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の上流側の端部における外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部における外周側に巻回される。ここで、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の回転走行により、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周側に糸状弾性体7を連続的に螺旋状に巻きかけられる。この連続的に巻きかけられた糸状弾性体7を下流側の一対の帯状シート50,60の間に搬送する。
【0035】
ここで、一対の搬送ベルト12,13に巻きかけられた糸状弾性体7は、y方向と交差する方向に伸長しており、y方向と直交する方向には配されていない。巻きかけられた糸状弾性体7をy方向と直交する方向(x方向)に修正するには、例えば、図2に示すように、糸状弾性体7が巻きかけられている場合には、搬送ベルト12においては、上段搬送ベルト12aの回転速度を下段搬送ベルト12bの回転速度よりも遅くし、搬送ベルト13においては、下段搬送ベルト13bの回転速度を上段搬送ベルト13aの回転速度よりも遅くすることにより、y方向への搬送中に糸状弾性体7の傾きを徐々に変化させ、一対の帯状シート50,60の間に搬送するまでに、糸状弾性体7の傾きをy方向と直交する方向(x方向)に修正することができる。
【0036】
図2に示すように、帯状シート50は、予め、セーラー(不図示)等により、x方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上段側から一対の凹凸ローラー171,172の間に供給されている。また、図2に示すように、帯状シート60は、予め、セーラー(不図示)等により、x方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の下段側から一対の凹凸ローラー171,172の間に供給されている。尚、帯状シート50及び/又は帯状シート60は、一対の凹凸ローラー171,172の間に供給される前に、その内面側に接着剤が塗布されている。接着剤の塗布は全面にスパイラル状に塗布されていてもよいし、ベタ状に塗布されていてもよい。
【0037】
次いで、本実施態様においては、後述する切断工程の前に、大径部173,175及び小径部174,176が交互に形成された一対の凹凸ローラー171,172を用いて、該凹凸ローラー171,172の凹凸部で噛み込むことにより、シートの搬送方向と直交する方向(x方向)に一対の帯状シート50,60を延伸する(延伸工程)。例えば、延伸工程を切断工程の後に行うと、伸縮性を向上させる観点からは、切断により縮んだシートを拡げ直して延伸をかける必要があり、拡げ直す工程が増えるのに対し、本実施態様のように、延伸工程を切断工程の前に行うと、拡げ直す工程が必要でなく、効率的に延伸をかけることができる。また、本実施態様においては、一対の凹凸ローラー171,172を用いて、搬送された糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60間に固定する一体化工程と延伸工程とを同時に行い、搬送された糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60間に固定(一体化工程)しながら延伸している。詳述すると、連続的に巻きかけられた糸状弾性体7が一対の帯状シート50,60の間に配された連続体を、大径部173及び小径部174が交互に形成された凹凸ローラー171と大径部175及び小径部176が交互に形成された凹凸ローラー172との間に搬送し、図4に示すように、一方の凹凸ローラー171の大径部173及び他方の凹凸ローラー172の小径部176の間、並びに一方の凹凸ローラー171の小径部174及び他方の凹凸ローラー172の大径部177の間においては、糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60間に固定するとともに、一方の凹凸ローラー171の大径部173及び他方の凹凸ローラー172の大径部175の間においては、y方向の全域に亘って、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸する。このように、共通の凹凸ローラー171,172を用いて、一体化処理と延伸処理を行うため、設備をコンパクトに抑えるとともに、設備費用を抑えることができる。また、一体化処理と延伸処理とを同時に行うと、前述した延伸工程を切断工程の前に行う場合と同様に、拡げ直す工程が必要でなく、効率的に延伸をかけることができる。
【0038】
また、本実施態様においては、図4に示すように、帯状シート50,60の縮み防止手段を用い、一対の帯状シート50,60の幅方向への縮みを防止しながら、一対の凹凸ローラー171,172により一対の帯状シート50,60を延伸する。詳述すると、一対の凹凸ローラー171,172のx方向の両端部それぞれに備えられたニップ部177,178間で、帯状シート50,60のx方向の端部を押さえつけ、帯状シート50,60のx方向の縮みを防止しながら、一対の帯状シート50,60を延伸する。このように、帯状シート50,60の幅方向への縮みを防止しながら、一対の帯状シート50,60を延伸するので、製造される伸縮性シートの伸縮性が更に向上する。
【0039】
次いで、一対の帯状シート50,60の幅方向(x方向)両端部それぞれから延出している糸状弾性体7を前述したカッター190で切断する(切断工程)。
【0040】
次いで、外面側に折られた帯状シート50,60それぞれのx方向の両端部を、セーラー(不図示)等により、折り直し、一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7をy方向と交差する方向に伸長した状態に固定した帯状の伸縮性シートを連続的に製造する。この製造された伸縮性シートは、y方向の全域に亘ってx方向への延伸加工が施されているので、伸縮性シートの柔軟性が向上する。具体的には、凹凸ローラー171の大径部173及び凹凸ローラー172の大径部175の間において、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸するため、帯状シート50,60を構成する繊維が塑性変形して延ばされ細くなったり、繊維や繊維間の接合を破断されて伸長性が付与されるため、製造される伸縮性シートの柔軟性が向上する。
また、製造される伸縮性シートは、糸状弾性体7の収縮で襞状となるが、特に、帯状シート50及び/又は帯状シート60の内面に、y方向に延びるように、ストライプ状に、接着剤を塗布していれば、襞状が顕著となり、凹凸ローラー171,172で延伸されることにより、襞状がさらに細かくなり、非常に細かな凹凸パターンの伸縮性シートとなる。
【0041】
また、この製造された伸縮性シートは、y方向の全域に亘ってx方向への延伸加工が施されているので、帯状シート50,60のx方向への伸び止まり位置が伸びており、伸縮性が向上する。具体的には、上述したように、凹凸ローラー171の大径部173及び凹凸ローラー172の大径部175の間において、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸するため、帯状シート50,60を構成する繊維の結合状態が部分的に破壊されると共に繊維が塑性変形して延ばされているため、製造される伸縮性シートの伸縮性が向上する。
【0042】
この製造された帯状の伸縮性シートを、公知の切断手段(図示せず)により、間欠的にx方向に亘って切断する。間欠的に切断する間隔は、おむつ1の備えるウエストパネル3Aの寸法と同じである。これにより、図1に示すような、ウエストパネル3A(伸縮性シート)を連続的に製造することができる。このようにして製造されるウエストパネル3A(伸縮性シート)は、伸縮性が向上しているので、従来と同じ伸縮性能、伸縮力を発揮するのに、従来よりも少ない材料で伸びることとなり、材料費を節減することができる。具体的には、上述したように、凹凸ローラー171,172の大径部173,175間において、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸することによって、製造されるウエストパネル3A(伸縮性シート)は、伸縮性が向上するので、ウエストパネル3A(伸縮性シート)の伸縮方向(X方向)の幅を狭くすることができ、材料費を節減することができる。
【0043】
ウエストパネル3Aを備えるおむつ1の製造方法としては、公知の方法により、表面シート21の連続体、裏面シート22の連続体、及び両シート21,22の連続体間に、搬送方向(y方向)に間欠的に複数個の吸収体23,23・・・を配し、表面シート21の連続体の搬送方向(y方向)の両側部に伸長した複数本の弾性部材25及び立体ガード形成用シート24の連続体を配した吸収性本体2の連続体を別工程で製造する。この製造された吸収性本体2の連続体を、搬送方向(y方向)に搬送しながら、x方向両外方に突出するように一対のウエストパネル3Aを、吸収性本体2の連続体に含まれる吸収体33毎に配したおむつ1の連続体を製造する。ここで、吸収性本体2の連続体の搬送方向(y方向)と、ウエストパネル3A(伸縮性シート)を製造する際の搬送方向(y方向)は、同方向であり、ウエストパネル3A(伸縮性シート)を90°反転する必要はない。その後、その連続体を、公知の切断手段(不図示)により、個々のおむつ1の寸法に切断して、おむつ1を製造することができる。
【0044】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい第2実施態様を、おむつ1のウエストパネル3B(伸縮性シート)を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
ウエストパネル3B(伸縮性シート)については、ウエストパネル3Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、ウエストパネル3Aと同様であり、ウエストパネル3Aの説明が適宜適用される。また、図5において、図1と同じ部分には同じ符号を付してある。
【0045】
第2実施態様で製造されるウエストパネル3B(伸縮性シート)は、Y方向の全域に亘って延伸加工が施されているウエストパネル3Aと異なり、図5に示すように、Y方向の両端部分それぞれにのみ、X方向への延伸加工が施されている。即ち、図5に示すように、ウエストパネル3Bは、Y方向の両端部分それぞれに、延伸加工領域30Bを有している。このような位置に延伸加工領域30Bを有していると、肌にあたり易いウエストパネル3Bの端部が柔軟となり、付け心地感が向上する。
【0046】
図6は、第2実施態様のウエストパネル3B(伸縮性シート)の製造方法に好適に用いられる製造装置11Bを模式的に示したものである。
第2実施形態の製造装置11Bについては、製造装置11Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、製造装置11Aと同様であり、製造装置11Aの説明が適宜適用される。また、図6において、図2と同じ部分には同じ符号を付してある。
【0047】
製造装置11Bは、図6に示すように、製造装置11Aと同様に、一体化手段17及び延伸手段18が、共通の一対の凹凸ローラー171,172を備えている。製造装置11Bの凹凸ローラー171,172は、それぞれの大径部173,175が、凹凸ローラー171,172の一周に亘って形成されておらず、凹凸ローラー171,172の周方向の一部に形成されている。凹凸ローラー171,172に設ける大径部173,175の位置は、大径部173,175どうしが対応するように調整するとともに、凹凸ローラー171,172の円周の長さとウエストパネル3BのY方向の長さとの関係により適宜調整する。例えば、凹凸ローラー171,172の円周の長さとウエストパネル3BのY方向の長さとが一致している場合には、凹凸ローラー171,172それぞれに一対の大径部173,175を設け、例えば、凹凸ローラー171,172の円周の長さがウエストパネル3BのY方向の長さの2倍である場合には、二対の大径部173,175を設ける。
【0048】
次に、上述した製造装置11Bを用いて伸縮性シートを製造する方法について説明する。第2実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0049】
先ず、第1実施態様と同様に、糸状弾性体7を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体7を弾性体巻回用の回転アーム14に導入し(供給工程)、次いで、回転アーム14を用いて糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13に連続的に巻回し、一対の搬送ベルト12,13により糸状弾性体7を搬送する(搬送工程)。次いで、切断工程の前に、一対の凹凸ローラー171,172を用いて、搬送された糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60間に固定しながら、一対の帯状シート50,60を部分的に延伸する。詳述すると、連続的に巻きかけられた糸状弾性体7が一対の帯状シート50,60の間に配された連続体を、一部に大径部173が形成された凹凸ローラー171と、凹凸ローラー171の大径部173に対応する位置に大径部175が形成された凹凸ローラー172との間に搬送し、一対の帯状シート50,60を部分的に延伸する。即ち、前記連続体を一対の凹凸ローラー171,172間に搬送して、y方向の一部領域毎に、一対の帯状シート50,60をx方向に延伸する。次いで、第1実施態様と同様に、一対の帯状シート50,60の幅方向(x方向)両端部から延出している糸状弾性体7をカッター190で切断し(切断工程)、次いで、外面側に折られた帯状シート50,60それぞれのx方向の両端部を、セーラー(不図示)等により、折り直し、一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7をy方向と交差する方向に伸長した状態に固定した帯状の伸縮性シートを連続的に製造する。
【0050】
この製造された帯状の伸縮性シートを、公知の切断手段(図示せず)により、延伸加工が施されている各前記一部領域の中間位置を通るように、間欠的にx方向に亘って切断する。これにより、図6に示すような、ウエストパネル3B(伸縮性シート)を連続的に製造することができる。
尚、この製造された帯状の伸縮性シートの切断位置を変更することにより、例えば、ファスニングテープ8からX方向内方に延在するウエストパネル3Bの部分に、延伸加工領域を設けることもできる。このような位置に延伸加工領域を設けると、装着時や装着中に、ファスニングテープ8が引っ張られても、伸縮性が高いので、装着感が向上する。
【0051】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、上述の第1,第2実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0052】
例えば、第1,第2実施態様の製造方法においては、切断工程の前に、一対の凹凸ローラー171,172を用いて、一体化工程と延伸工程とを同時に行っているが、凹凸ローラー171,172とは別に、一対のニップローラーを用いて一体化した後に、一対の凹凸ローラー171,172を用いて延伸工程を行い、その後に切断工程を行うようにしてもよい。
【0053】
また、第1,第2実施態様の製造方法に用いられる製造装置11A,11Bにおいては、凹凸ローラー171,172のx方向の両端部それぞれに、帯状シート50,60の縮みを防止するニップ部177,178を有しているが有していなくてもよい。ニップ部177,178を有さない場合の帯状シート50,60の縮み防止手段として、帯状シート50,60のx方向両端部それぞれを吸引しながら搬送する吸引コンベアを用いることができる。吸引コンベアは、凹凸ローラー171,172のx方向の端部と搬送ベルト12の内周側との間、及び凹凸ローラー171,172のx方向の端部と搬送ベルト13の内周側との間にそれぞれ配され、凹凸ローラー171,172の上流側から下流側に亘って配されることが好ましい。
【0054】
また、第1,第2実施態様の製造方法に用いられる製造装置11A,11Bにおいては、一対の凹凸ローラー171,172を用いて、搬送された糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60間に固定する一体化工程と延伸工程とを同時に行っているが、延伸工程は、切断工程の後に行ってもよい。
【0055】
また、第1,第2実施態様の製造方法に用いられる製造装置11A,11Bにおいては、一対の凹凸ローラー171,172を用いて、シートの搬送方向(y方向)と直交する方向(x方向)に一対の帯状シート50,60を延伸しているが、y方向に対して斜めに向いた刃溝を有する凹凸ローラーを用いて、直交以外の交差する方向に一対の帯状シート50,60を延伸してもよく、刃溝がローラーの円周方向に亘って設けられた凹凸ローラーを用いて、y方向に一対の帯状シート50,60を延伸してもよい。
【0056】
また、弾性体巻回手段としては、回転軸部分に糸状弾性体の導入部を有する円盤と該円盤からy方向の下流側に突出するアームとを有し、該アームが、搬送ベルト12,13の周囲を周回して、糸状弾性体を搬送ベルト12,13の周囲に巻回させるもの等を用いることもできる。また、フィードローラー156としては、図2に示すように、材料(糸状弾性体)を巻き掛けて該材料を送るものに代えて、ニップロールで材料を挟んで該材料を送るもの等を用いることもできる。
また、一対の凹凸ローラー171,172間に、幅方向両端部をそれぞれの外面側に折り返して細幅にした帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定するのに代えて、一対の凹凸ローラー171,172間に、幅方向両端部が折り返していない帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定しても良い。
【0057】
また、搬送ベルトとしては、一対の搬送ベルトではなく、WO2005/060910に開示のようなコンベアベルトを用いてもよい。この場合、用いられるコンベアベルトは1本でよい。また、糸搬送用長手構造体として、特開2002−192641号公報の図4〜6に記載されているスクリュー溝が設けられた糸支持部材を用いてもよい。
【0058】
また、上述の第1,第2実施態様の製造方法により製造される伸縮性シートは、図1に示す、展開型の使い捨ておむつ1のウエストパネル3A,3B以外に、使い捨ておむつの胴周り部、パンツ型使い捨ておむつの胴回り部、パンツ型の生理用ナプキン、使い捨ての下着、使い捨てマスクの耳掛け部、お掃除用シート、包帯などにも使用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 展開型の使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 立体ガード形成用シート
25,26 弾性部材
3A,3B ウエストパネル
30A,30B 延伸加工領域
4 パネル材
5,6 シート
50,60 帯状のシート
7 糸状弾性体
70 ボビン
8 ファスニングテープ
11A,11B 製造装置
12 搬送ベルト(16 搬送手段)
12a 上段搬送ベルト
121,122 プーリー
12b 下段搬送ベルト
124,125 プーリー
13 搬送ベルト(16 搬送手段)
13a 上段搬送ベルト
131,132 プーリー
13b 下段搬送ベルト
134,135 プーリー
14 回転アーム
141,142,143 ガイド
15 弾性体供給手段
151 テンサー
152 繰り出しローラー
153 テンション測定器
156 フィードローラー
17 一体化手段(18 延伸手段)
171,172 凹凸ローラー
173,175 大径部
174,176 小径部
177,178 ニップ部
19 切断手段
190 カッター
A 腹側部,B 背側部,C 股下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、
前記糸状弾性体を連続して繰り出し、繰り出された該糸状弾性体を弾性体巻回手段に導入する供給工程と、該弾性体巻回手段を用いて前記糸状弾性体を、糸搬送用長手構造体に連続的に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、該糸搬送用長手構造体の長手方向に搬送する搬送工程と、搬送された該糸状弾性体を前記帯状シートの間に固定する一体化工程と、一対の前記帯状シートを延伸する延伸工程と、一対の前記帯状シートの幅方向両端部それぞれから延出している前記糸状弾性体を切断する切断工程とを備え、
前記延伸工程は、大径部及び小径部が交互に形成された一対の凹凸ローラーを用いて、一対の前記帯状シートを延伸する伸縮性シートの製造方法。
【請求項2】
前記延伸工程は、前記一体化工程と同時に行い、一対の前記凹凸ローラーを用いて、前記糸状弾性体を一対の前記帯状シートの間に固定しながら一対の該帯状シートを延伸する請求項1に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項3】
一対の前記凹凸ローラーそれぞれの有する前記大径部は、該凹凸ローラーの周方向の一部に形成されており、一対の前記帯状シートを部分的に延伸する請求項1又は2に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項4】
前記延伸工程は、前記帯状シートの縮み防止手段を用い、一対の該帯状シートの縮みを防止しながら、一対の前記凹凸ローラーにより一対の該帯状シートを延伸する請求項1〜3の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項5】
前記延伸工程は、前記切断工程の前に行う請求項1〜4の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項6】
前記延伸工程は、一対の前記凹凸ローラーを用いて、シートの搬送方向と交差する方向に一対の前記帯状シートを延伸する請求項1〜5の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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