説明

位置検出部付き監視装置

【課題】簡単な構成かつ低コストで、侵入者の通過位置を検出できる位置検出部付き監視装置を提供する。
【解決手段】警戒領域Aに検知波からなる警戒ラインSを設定する対向式警戒ライン遮断検知センサ2のトランスミッターTとレシーバーRが、側面視で検知波S1、S2が略水平の伝送路をもち、平面視で互いに斜めの伝送路をもつ少なくとも2本の検知波S1、S2を含む警戒ラインSを形成するように相対向して配置され、警戒ラインSの遮断により侵入を検知し、侵入者Hを監視するもので、侵入者Hによる前記斜めの警戒ラインSの遮断に基づいて、侵入者Hの通過位置を検出する位置検出部7を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警戒領域へ侵入した侵入者の位置を検出して、侵入者を監視する位置検出部付き監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の監視装置では、警戒領域へ不法に侵入した侵入者を対向式警戒ライン遮断検知センサ等で検知したときに警報を発するとともに、侵入者の通過位置に監視カメラを振り向けて侵入者を映像で捉え、侵入者を監視する。
【0003】
前記対向式警戒ライン遮断検知センサとしては、例えば投受光された検知波の遮断による光量変化を検知する遮断式のセンサで、警戒領域の長手方向(侵入方向に直交する方向)の両端側に、略水平面内で長手方向に互いに平行な光軸を有するトランスミッターとレシーバーを相対向させて設け、侵入者の検知波遮断により、侵入者の通過方向および大きさを判別するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−334351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の対向式警戒ライン遮断検知センサでは、単に侵入者の通過方向および大きさを判別するにすぎず、侵入者の通過位置を検出してこれに基づいて監視カメラを振り向けることができなかった。一方、物体の位置検出をするために、警戒領域を区分化して対向式警戒ライン遮断検知センサを各区域に配置することが考えられるが、センサが多数必要となり、設備が大型化するとともに、複数の設置に要する費用等で高コスト化する。
【0006】
また、複数の警戒領域に単一の監視カメラを設置して低コスト化を図る場合、この複数の警戒領域による広い区域に対して、侵入者の位置を容易に検出できることが必要となる。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、簡単な構成かつ低コストで、侵入者の位置を容易に検出できる位置検出部付き監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明にかかる位置検出部付き監視装置は、警戒領域に検知波からなる警戒ラインを設定する対向式警戒ライン遮断検知センサのトランスミッターとレシーバーが、側面視で検知波が略水平な伝送路をもち、平面視で互いに斜めの伝送路をもつ少なくとも2本の検知波を含む警戒ラインを形成するように相対向して配置されて、前記警戒ラインの遮断により侵入を検知し、侵入者を監視する監視装置であって、侵入者による前記斜めの警戒ラインの遮断に基づいて、侵入者の通過位置を検出する位置検出部を備えている。
ここで、平面視で互いに斜めの伝送路とは、平面視で検知波(警戒ライン)が互いに平行ではない状態をいう。
【0009】
この構成によれば、侵入者による少なくとも2本の斜めの警戒ラインの遮断、つまり警戒ラインが斜めであることから警戒領域の侵入位置に応じて変化する警戒ラインの遮断の時間差に基づいて、侵入者の通過位置を検出するので、簡単な構成かつ低コストで、侵入者の通過位置を容易に検出することができる。
【0010】
好ましくは、前記対向式警戒ライン遮断検知センサは、2組のトランスミッターおよびレシーバーが警戒領域の長手方向の両端に設置され、この警戒領域の一方端に、それぞれ各組のトランスミッターまたはレシーバーの一方が前記長手方向と直交する方向に離間して配置され、他方端に、各組の他方が互いに近接して配置されて、2本の斜めの警戒ラインが形成されている。したがって、侵入者による2本の斜めの警戒ラインの遮断の時間差を検出することにより、簡単な構成かつ低コストで、侵入者の通過位置を容易に検出することができる。
【0011】
好ましくは、前記対向式警戒ライン遮断検知センサは、4組のトランスミッターおよびレシーバーが、警戒領域の長手方向の両端に設置されて、この警戒領域の両端に、それぞれ各組のトランスミッターまたはレシーバーが前記長手方向と直交する方向の各端部に配置されて、前記4本の警戒ラインは、側面視で略水平の伝送路をもち、その2本の警戒ラインが平面視で前記長手方向に平行の伝送路をもち、他の2本の警戒ラインが平面視で互いに警戒領域の略中央で交差するように斜めの伝送路をもつように形成されている。したがって、2本の平行の警戒ラインの遮断と2本の斜めの警戒ラインの遮断の時間差を検出することにより、侵入者の通過位置をより正確かつ迅速に検出することができる。
【0012】
好ましくは、警戒領域を撮像する監視カメラが設けられ、前記監視カメラが前記検出された侵入者の通過位置に振り向け可能に設定されている。また、前記位置検出部による検出結果に基づいて、前記監視カメラを侵入者の通過位置に振り向けるための通過位置情報信号を出力する。したがって、侵入者の位置検出に基づいて容易に侵入者を映像で捉えることができる。
【0013】
好ましくは、複数の警戒領域に、単一の監視カメラが設けられている。したがって、単一の監視カメラで侵入者の位置検出に基づく監視が可能となり、装置の低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、少なくとも2本の警戒ラインが斜めであることから警戒領域の侵入位置に応じて変化する警戒ラインの遮断の時間差に基づいて、侵入者の通過位置を検出するので、簡単な構成かつ低コストで、侵入者の通過位置を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置検出部付き監視装置を示す構成図である。
【図2】図1の監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の位置検出部付き監視装置を示す構成図である。
【図4】第3実施形態の位置検出部付き監視装置を示す構成図である。
【図5】図4の位置検出部付き監視装置の一例の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4の位置検出部付き監視装置の他例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る位置検出部付き監視装置1を示す構成図である。この監視装置1は、例えば平面視で細長い警戒領域(区間)Aの長手方向、つまり侵入(進入)方向yに直交する方向xの両端に設けられて、y方向に延びる一対のセンサ設置場所4(4A、4B)にそれぞれ配置された、赤外線のような投光ビームの2本の検知波S1、S2を投光し受光する2組のトランスミッターT1、レシーバーR1およびトランスミッターT2、レシーバーR2からなる対向式警戒ライン遮断検知センサ2と、侵入者(人体)Hの通過位置に振り向け可能に設定されて、警戒領域Aを撮像する監視カメラ3と、侵入者Hを検知し、その通過位置を検出する制御を行う制御部5とを備えている。対向式警戒ライン遮断検知センサ2と制御部5とにより侵入検知ユニットUを構成する。
【0017】
前記監視装置1は、右端のセンサ設置場所4Aにおけるy方向の略中央部4A0に互いに近接して対向式警戒ライン遮断検知センサ2の2つのトランスミッターT1、T2が、左端のセンサ設置場所4Bにおけるy方向の上端(奥)部4B1と下端(手前)部4B2に離間して、それぞれトランスミッターT1、T2からの2本の検知波を受光するレシーバーR1、R2が相対向するように配置されている。この2本の検知波S1、S2が警戒ラインSを形成する。2本の警戒ラインS1、S2は、側面視で略水平の伝送路をもち、かつ平面視でそれぞれセンサ設置場所4Aの略中央部4A0とセンサ設置場所4Bの両端部4B1、4B2との間をy方向に対して角度θa(x方向に対して角度π−θa)、角度θb(x方向に対して角度π−θb)をなす(斜めの)伝送路をもつ。この例では、θa=θb=θとする。前記側面視で略水平の伝送路には、若干傾いた伝送路も含まれ、人体Hが検出できる範囲に検知波が存在すればよい。
【0018】
なお、センサ設置場所4Aの略中央部4A0に互いに近接してレシーバーR1、R2を、センサ設置場所4Bの上端(奥)部4B1と下端(手前)部4B2に離間してトランスミッターT1、T2をそれぞれ相対向させて配置してもよいし、いずれか一組のトランスミッターとレシーバーを互いに入れ替えて配置してもよい。また、センサ設置場所4Aの上下端部に離間してトランスミッターまたはレシーバーの一方、センサ設置場所4Bの略中央部に互いに近接して他方を配置してもよい。
【0019】
前記制御部5は、装置全体を制御するとともに、侵入検知部6、位置検出部7、警報出力部8、カメラ操作用出力部9およびメモリ10を備えている。前記侵入検知部6は、トランスミッターTから投光されてレシーバーRで受光する検知波が、侵入による警戒ラインS(伝送路)の遮断によって光量が変化して所定基準レベルを下回る出力レベルのとき、侵入者Hを検知する。
【0020】
前記位置検出部7は、侵入検知された侵入者Hによる斜めの警戒ラインSの遮断に基づいて、侵入者Hの通過位置を検出する。前記警報出力部8は、侵入者Hの通過を検出したとき、警備システムへの通報や、音声や点灯表示などによる警報を発するための検出信号を出力する。前記カメラ操作用出力部9は、侵入者Hの通過位置を検出したとき、監視カメラ3を起動させてその略水平および垂直角度などをリモートコントロールで操作して、前記検出された侵入者Hの通過位置に自動的に振り向けるための通過位置情報信号を出力する。前記メモリ10は、警戒ラインSの角度や侵入者Hの検出位置など各種データを記憶する。
【0021】
以下、前記位置検出部7について詳細に説明する。まず、警戒領域Aのx方向の警戒距離L(m)と、y方向の幅W(m)とから、斜めの警戒ラインS1およびS2がそれぞれy方向に対してなす角度θa=θb=θ(°)が予め得られる。警戒距離Lは、装置設置時に設定スイッチ等で選択されるが、トランスミッターとレシーバーの光軸調整時に角度センサ等からの角度情報θa、θb(°)に基づく演算により得てもよい。
θ(°)=tan−1(L/(W/2))
【0022】
侵入者Hの通過位置を演算するための、侵入者Hの移動速度v(m/sec)は、警戒ラインS1、S2を遮断したときに検出されるもので、例えば、レシーバーR1が受光する警戒ラインS1の伝送路の予め設定された赤外線受光幅wb(m)および侵入者Hの厚み(人体の平均厚み)wh(m)と、侵入者Hの警戒ラインS1における遮断時間ts(sec)とに基づいて、侵入者Hの移動速度v(m/sec)が算出される。
v(m/sec)=(wh(m)−wb(m))/ts(sec)
【0023】
そして、警戒ラインS1の遮断から警戒ラインS2の遮断までの時間t(sec)と、前記移動速度v(m/sec)とから、遮断された警戒ラインS1と警戒ラインS2の間の距離Y(m)が算出される。時間tは、斜めの警戒ラインS1と警戒ラインS2における遮断の時間差であり、斜めの警戒ラインS1、S2間の距離Y(m)は、警戒領域Aにおけるy方向位置に対応するので、侵入者Hのy方向の検出位置が特定される。
Y(m)=v(m/sec)×t(sec)
【0024】
前記した距離Y(m)と角度θ(°)とから、警戒領域Aの右端のセンサ設置場所4Aの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X(m)が算出される。
X(m)=(Y(m)/2)×tanθ(°)
なお、警戒領域Aの左端のセンサ設置場所4Bの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離はL−X(m)である。
【0025】
図2は、監視装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、x方向の警戒距離L(m)とy方向の幅W(m)とから得られた警戒ラインS1、S2のy方向に対する角度θ(°)が、予めメモリ10に記憶される(ステップS1)。つぎに、侵入者Hが警戒領域Aに侵入し、y方向に警戒ラインS1を遮断したとき、その遮断時間に基づいて、侵入者Hの移動速度v(m/sec)が算出される(ステップS2)。
【0026】
侵入者Hのy方向移動に伴って、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS2の遮断開始までの時間t(sec)と、前記侵入者Hの移動速度v(m/sec)とから、遮断された警戒ラインS1と警戒ラインS2間のy方向の距離Y(m)が算出される(ステップS3)。そして、距離Y(m)と角度θ(°)とから、警戒領域Aのセンサ設置場所4Aの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X(m)が算出される(ステップS4)。最後に、侵入者Hの距離X、Y(m)によるx、y方向の位置検出に基づく警報が出力され、当該x、y方向の検出位置が出力される(ステップS5)。
【0027】
これにより、警戒ラインS1、S2が斜めであることから警戒領域Aの侵入位置に応じて変化する警戒ラインS1、S2の遮断の時間差に基づいて、侵入者Hの通過位置を検出するので、簡単な構成かつ低コストで、侵入者Hの通過位置を容易に検出することができる。
【0028】
図3は、第2実施形態の位置検出部付き監視装置1Aを示す構成図である。第1実施形態では、対向式警戒ライン遮断検知センサ2は、2本の検知波S1、S2を投光し受光する2組のトランスミッターT1、T2およびレシーバーR1、R2をそれぞれ相対向させて配置していたが、第2実施形態では、対向式警戒ライン遮断検知センサ2は、検知波の伝送路を広げて投光する単一のトランスミッターTと、その検知波Sを受光する2つのレシーバーR1、R2とをそれぞれ相対向させて配置することで、実質的に警戒ラインS1、S2を構成している。
【0029】
この場合、警戒領域Aのx方向の警戒距離L(m)と、y方向の幅W(m)とから、斜めの警戒ラインS1およびS2がなす角度θ(°)が求められる。
θ(°)=2・tan−1((W/2)/L)
第1実施形態と同様に、侵入者の移動速度v(m/sec)と、遮断された警戒ラインS1と警戒ラインS2間の距離Y(m)とが算出された後に、警戒領域Aの右端のセンサ設置場所4Aの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X(m)が次式により算出される。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
X(m)=(Y(m)/2)÷tan(θ/2)(°)
【0030】
第2実施形態は、単一のトランスミッターTから2つのレシーバーR1、R2への赤外線ビームの伝送路の広がりを利用するもので、侵入者Hの移動速度v(m/sec)の演算には、単一のトランスミッターTから投光されて伝送路が広がった赤外線ビームのうち予め設定されたレシーバーR1、R2の受光幅である警戒ラインS1、S2の赤外線受光幅wb(m)が用いられる。
【0031】
これにより、単一のトランスミッターTと2つのレシーバーR1、R2とを相対向させて配置し、侵入者Hによる斜めの警戒ラインS1、S2の遮断の時間差を検出することにより、簡単な構成かつ低コストで、侵入者Hの通過位置を容易に検出することができる。
【0032】
図4は、第3実施形態の位置検出部付き監視装置1Bを示す構成図である。第3実施形態は、第1実施形態と異なり、対向式警戒ライン遮断検知センサ2は4本の警戒ラインS1〜S4を構成し、それぞれ投光し受光する4組のトランスミッターT1〜T4とレシーバーR1〜R4とが、警戒領域Aのx方向の両端に設けられてy方向に延びる一対のセンサ設置場所4(4A、4B)にそれぞれ相対向して設置され、このセンサ設置場所4のy方向両端部にそれぞれ各組のトランスミッターまたはレシーバーが配置されている。
【0033】
前記監視装置1Bは、トランスミッターT1が左端のセンサ設置場所4Bにおける上端(奥)部4B1に、レシーバーR1が右端のセンサ設置場所4Aにおける上端(奥)部4A1に配置されて警戒ラインS1に投受光し、トランスミッターT2が右端のセンサ設置場所4Aにおける下端(手前)部4A2に、レシーバーR2が左端のセンサ設置場所4Bにおける上端(奥)部4B1に配置されて警戒ラインS2に投受光し、トランスミッターT3が右端のセンサ設置場所4Aにおける上端(奥)部4A1に、レシーバーR3が左端のセンサ設置場所4Bにおける下端(手前)部4B2に配置されて警戒ラインS3に投受光し、トランスミッターT4が左端のセンサ設置場所4Bにおける下端(手前)部4B2に、レシーバーR4が右端のセンサ設置場所4Aにおける下端(手前)部4A2に配置されて警戒ラインS4に投受光する。この4本の警戒ラインS1〜S4で警戒ラインSを形成する。
【0034】
前記警戒ラインSは、4本の警戒ラインS1〜S4が側面視で略水平の伝送路をもち、その2本の警戒ラインS1、S4が平面視でx方向に平行の伝送路をもち、他の1本の警戒ラインS2が平面視でセンサ設置場所4Aの下端(手前)部4A2とセンサ設置場所4Bの上端(奥)部4B1との間をy方向に対して角度θc(x方向に対して角度π−θc)をなす(斜めの)伝送路をもち、他の1本の警戒ラインS3が平面視でセンサ設置場所4Aの上端(奥)部4A1とセンサ設置場所4Bの下端(手前)部4B2との間をy方向に対して角度θd(x方向に対して角度π−θd)をなす(斜めの)伝送路をもって、2本の警戒ラインS2、S3は互いに警戒領域Aの略中央AOで交差する。この例では、θc=θd=θとする。
【0035】
なお、対向式警戒ライン遮断検知センサ2の4組のトランスミッターT1〜T4とレシーバーR1〜R4のうち、1組または2組以上のトランスミッターとレシーバーとをそれぞれ左右逆の位置に入れ替えて配置するようにしてもよい。
【0036】
以下、第3実施形態の位置検出部7について説明する。まず、警戒領域Aのx方向の警戒距離L(m)と、y方向の幅W(m)とから、斜めの警戒ラインS2およびS3がそれぞれy方向に対してなす角度θc=θd=θ(°)が求められる。
θ(°)=tan−1(L/W)
【0037】
侵入者Hの移動速度v(m/sec)は、警戒ラインS1を遮断したときに検出される。上記と同様に、
v(m/sec)=(wh(m)−wb(m))/ts(sec)
【0038】
そして、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS2の遮断開始までの時間t1(sec)と、前記移動速度v(m/sec)とから、遮断された警戒ラインS1と警戒ラインS2の間のy方向の距離Y1(m)が算出される。
Y1(m)=v(m/sec)×t1(sec)
また、警戒ラインS2の遮断開始から警戒ラインS3の遮断開始までの時間t2(sec)から、遮断された警戒ラインS2と警戒ラインS3の間のy方向の距離Y2(m)が算出される。
Y2(m)=v(m/sec)×t2(sec)
さらに、警戒ラインS3の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t3(sec)から、遮断された警戒ラインS3と警戒ラインS4の間のy方向の距離Y3(m)が算出される。
Y3(m)=v(m/sec)×t3(sec)
時間t1、t2、t3は、斜めの警戒ラインS2、S3を含む警戒ラインにおける各遮断の時間差であり、斜めの警戒ラインS2、S3を含む各警戒ライン間の距離Y1、Y2、Y3(m)は、警戒領域Aにおけるy方向位置に対応するので、侵入者Hのy方向の検出位置が特定される。
【0039】
前記したy方向の距離Y1、Y2、Y3(m)と角度θ(°)とから、警戒領域Aの左端のセンサ設置場所4Bの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X1、X2、X3(m)がそれぞれ算出される。
X1(m)=Y1(m)×tanθ(°)
X2(m)=(W(m)/2)×tanθ(°)−(Y2(m)/2)×tanθ(°)
X3(m)=Y3(m)×tanθ(°)
なお、警戒領域Aのx方向中心線(中央位置)から侵入者H位置までのx方向の距離は、それぞれL/2−X1、L/2−X2、L/2−X3(m)である。
【0040】
図5は、第3実施形態に係る監視装置1Bの一例の動作を示すフローチャートである。まず、x方向の警戒距離L(m)とy方向の幅W(m)とから得られた警戒ラインS2、S3の角度θ(°)が、予めメモリ10に記憶される(ステップS11)。そして、侵入者Hが警戒領域Aに侵入し、y方向に警戒ラインS1を遮断したとき、その遮断時間に基づいて、侵入者Hの移動速度v(m/sec)が算出される(ステップS12)。
【0041】
つぎに、侵入者Hのy方向移動に伴って、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS2の遮断開始までの時間t1(sec)と、侵入者の移動速度v(m/sec)とから、遮断された警戒ラインS1と警戒ラインS2間の距離Y1(m)が算出される(ステップS13)。このとき、同様に、警戒ラインS2の遮断開始から警戒ラインS3の遮断開始までの時間t2(sec)から、遮断された警戒ラインS2と警戒ラインS3の間の距離Y2(m)が、警戒ラインS3の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t3(sec)から、遮断された警戒ラインS3と警戒ラインS4の間の距離Y3(m)が、それぞれ算出される。
【0042】
そして、距離Y1、Y2、Y3(m)と角度θ(°)とから、センサ設置場所4Aの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X1、X2、X3(m)がそれぞれ算出される(ステップS14)。最後に、侵入者Hの距離X、Y(m)によるx、y方向の位置検出に基づく警報が出力され、当該x、y方向の検出位置が出力される(ステップS15)。
【0043】
これにより、2本の平行の警戒ラインS1、S4の遮断と2本の斜めの警戒ラインS2、S3の遮断の時間差を検出することにより、侵入者Hの通過位置をより正確かつ迅速に検出することができる。
【0044】
しかも、警戒ラインS2とS3を交差させているので、警戒ラインの角度が大きくなって、遮断時間が長くなるから分解能を高くできる。また、警戒ラインS2、S3の交差により、侵入者Hが侵入して警戒ラインS1からS2へ遮断するとき警戒領域Aの左側を通過していること、侵入者Hが警戒ラインS1からS3へ遮断するとき警戒領域Aの右側を通過していることを、警戒ラインS2またはS3の遮断時に判別できるので、侵入者Hの正確な位置検出前に、侵入者Hの概略の通過位置を検出できる。また、警戒ラインS2またはS3の遮断時に直ちに、監視カメラ3を侵入者Hが通過している警戒領域Aの右側または左側の位置に振り向けることもできるので、侵入者Hの正確な位置検出前に、迅速に侵入者Hの概略の通過位置に監視カメラ3を振り向けるための通過位置情報信号を出力することができる。
【0045】
つぎに、第3実施形態に係る監視装置1Bの他例について説明する。前記した侵入者の移動速度v(m/sec)を、警戒ラインS1を遮断したときに検出するのと異なり、この他例は、侵入者の移動速度v(m/sec)を、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t(sec)もしくは、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS2の遮断開始までの時間t1(sec)、警戒ラインS2の遮断開始から警戒ラインS3の遮断開始までの時間t2(sec)、および警戒ラインS3の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t3(sec)の合計時間t(sec)=t1+t2+t3(sec)と、警戒領域Aのy方向の幅W(m)とから求めている。その他の構成は、前記監視装置1Bの一例と同様である。
v(m/sec)=W(m)/t(sec)
【0046】
図6は、第3実施形態の監視装置1Bの他例の動作を示すフローチャートである。まず、x方向の警戒距離L(m)とy方向の幅W(m)とから得られた警戒ラインS2、S3の角度θ(°)が、予めメモリ10に記憶される(ステップS21)。つぎに、侵入者Hが警戒領域Aに侵入し、y方向に移動するとき、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t(sec)もしくは、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS2の遮断開始までの時間t1(sec)と、警戒ラインS2の遮断開始から警戒ラインS3の遮断開始までの時間t2(sec)と、警戒ラインS3の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t3(sec)とが算出される(ステップS22)。
【0047】
つぎに、侵入者の移動速度v(m/sec)が、警戒ラインS1の遮断開始から警戒ラインS4の遮断開始までの時間t(sec)もしくは、各警戒ラインS1、S2、S3を遮断する時間t1、t2、t3(sec)の合計時間t(sec)と、警戒領域Aのy方向の幅W(m)とから算出される(ステップS23)。つぎに、時間t1、t2、t3(sec)と、侵入者Hの移動速度v(m/sec)とから、距離Y1(m)、距離Y2(m)、距離Y3(m)が算出される(ステップS24)。
【0048】
そして、距離Y1、Y2、Y3(m)と角度θ(°)とから、センサ設置場所4Aの側縁から侵入者H位置までのx方向の距離X1、X2、X3(m)がそれぞれ算出される(ステップS25)。最後に、侵入者Hの距離X、Yによるx、y方向の位置検出に基づく警報が出力され、当該x、y方向の検出位置が出力される(ステップS26)。
【0049】
この他例では、前記合計時間t(sec)と幅W(m)とから侵入者Hの移動速度v(m/sec)を正確に得ることができる。侵入者Hの位置検出が警戒領域Aを通り過ぎた後となるので、主として、警戒領域Aを出た後の侵入者Hの監視に使用される。なお、移動速度v(m/sec)を、この合計時間t(sec)と幅W(m)に基づく演算と、第3実施形態における警戒ラインSの1つの遮断時間に基づく演算とを併用して取得するようにしてもよい。
【0050】
なお、上記各実施形態では、対向式警戒ライン遮断検知センサ2は、検知波として赤外線を使用しているが、レーザやマイクロウェーブなどライン状に警戒することを可能とするデバイスを使用してもよい。
【0051】
なお、上記各実施形態では、単一の警戒領域Aとしているが、x方向に長い警戒距離に対してx方向に複数区間の警戒領域を設けた場合に適用してもよく、この場合、監視カメラ3を単一としてもよい。これにより、装置の低コスト化が図れる。
【0052】
また、対向式警戒ライン遮断検知センサ2を増設して、警戒ラインSの数を増加させることにより、位置検出精度を向上させてもよい。この場合、側面視で対向式警戒ライン遮断検知センサ2を上下方向に多段にしてもよいし、高さ調節可能としてもよい。これにより、人体と小動物や鳥などとを容易に判別できる。
【0053】
なお、上記各実施形態では、センサ設置場所4と制御部5は分離配置されているが、一体型であってもよい。また、センサ設置場所4は一体型でなくてもよく、各検知センサ2のユニットを任意の位置に設置できるようにし、各検知センサ2のユニットからの情報を制御するユニットを設けてもよい。
【0054】
なお、上記各実施形態では、カメラ操作用出力部9は、侵入者Hの通過位置を検出すると、監視カメラ3がその位置に自動的に振り向けられるための通過位置情報信号を出力するが、カメラ操作用出力部9からの位置検出情報に基づいて、警備員などが監視カメラ3を手動で振り向けるようにしてもよい。また、監視カメラ3を省略して、警備員などへ侵入者の位置検出の警報を報知させるだけでもよい。この場合、警報の報知により警備員などが当該検出位置に駆けつけることができる。
【符号の説明】
【0055】
1:位置検出部付き監視装置
2:対向式警戒ライン遮断検知センサ
3:監視カメラ
5:制御部
7:位置検出部
8:警報出力部
9:カメラ操作用出力部
A:警戒領域
H:侵入者
S:警戒ライン
T:トランスミッター
R:レシーバー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒領域に検知波からなる警戒ラインを設定する対向式警戒ライン遮断検知センサのトランスミッターとレシーバーが、側面視で検知波が略水平の伝送路をもち、平面視で互いに斜めの伝送路をもつ少なくとも2本の検知波を含む警戒ラインを形成するように相対向して配置されて、前記警戒ラインの遮断により侵入を検知し、侵入者を監視する監視装置であって、
侵入者による前記斜めの警戒ラインの遮断に基づいて、侵入者の通過位置を検出する位置検出部を備えた、位置検出部付き監視装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対向式警戒ライン遮断検知センサは、2組のトランスミッターおよびレシーバーが警戒領域の長手方向の両端に設置され、この警戒領域の一方端に、それぞれ各組のトランスミッターまたはレシーバーの一方が前記長手方向と直交する方向に離間して配置され、他方端に、各組の他方が互いに近接して配置されて、2本の斜めの警戒ラインが形成されている、位置検出部付き監視装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記対向式警戒ライン遮断検知センサは、4組のトランスミッターおよびレシーバーが、警戒領域の長手方向の両端に設置されて、この警戒領域の両端に、それぞれ各組のトランスミッターまたはレシーバーが前記長手方向と直交する方向の各端部に配置されて、
前記4本の警戒ラインは、側面視で略水平の伝送路をもち、その2本の警戒ラインが平面視で前記長手方向に平行の伝送路をもち、他の2本の警戒ラインが平面視で互いに警戒領域の略中央で交差するように斜めの伝送路をもつように形成されている、位置検出部付き監視装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
警戒領域を撮像する監視カメラが設けられ、
前記監視カメラが前記検出された侵入者の通過位置に振り向け可能に設定されている、位置検出部付き監視装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記位置検出部による検出結果に基づいて、前記監視カメラを侵入者の通過位置に振り向けるための通過位置情報信号を出力する、位置検出部付き監視装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
複数の警戒領域に、単一の監視カメラが設けられている、位置検出部付き監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−58880(P2012−58880A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199635(P2010−199635)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】