説明

低抵抗電気加熱システム

加熱されるべき殆ど全ての領域を覆う二つの平面スパイラル部分(10a)と(10b)の内部に電気加熱素子(10)に成型されている低抵抗導電材料を含み、かつ発熱するに充分な抵抗を有する低抵抗導電材料を含む低抵抗電気加熱システム。熱を生成する電流が平面スパイラル部分(10a)と(10b)の各々において反対方向ではなく同じ方向に流れるように、電気加熱素子(10)の平面スパイラル部分(10a)と(10b)は渦巻状に構成される。電気加熱素子(10)の平面スパイラル部分(10a)と(10b)の各々の中心(10c)は互いに電気的に直列に接続される。平面スパイラル部分(10a)と(10b)は制御電源(11)に平面スパイラルの外側部分(10d)で接続され、回路を完結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気エネルギーによる熱発生は良く知られている。それは発熱素子を必要とし、その発熱素子はその両端での電位差によって電源から電流が流れるとき熱を発生するための充分な抵抗を有する導電材料から成っている。熱を発生するために必要な電力Pワットは発熱素子を流れる電流Iアンペアと、抵抗Rと、それに加わる電位差Vボルトに関係し、次の関係式によって示される。
【0002】
【数1】

【0003】
上式は電気エネルギーが完全に熱に変換されるときのエネルギー遷移温度で生成される熱である。エネルギー遷移温度は多くの導電材料の溶融温度よりも高いので、溶融温度に到達する前にエネルギー遷移温度に良好に到達する高抵抗の合金を含む加熱素子を必要とする。そのような合金のエネルギー遷移温度は希望する温度よりもずっと高いので、その温度が希望する温度に制御されることが必要である。そして、加熱素子の高抵抗は適当な加熱速度を有しており、要求される温度をできるだけ一定に近く保つように感温スイッチが時間応答をもつのを可能にしている。問題は、加熱素子の抵抗が高くなればなるほど、電流を供給し、熱を発生するために、ますます多くの電流と電位差を必要とすることであり、熱を発生するために多くの電力、従って多くの電気エネルギーを必要とすることである。
【0004】
加熱されるべき表面に熱を供給する効果的な方法は出来る限り完全にその加熱表面を覆う加熱素子を有することである。これは充分な長さを持つ金属箔で達成することができる。問題は加熱素子の抵抗は抵抗率と幾何形状に直接的に関連し、そして電流加熱素子に使用される合金は既に高抵抗を有しているので、高い抵抗率を有するということである。金属箔はまた非常に低減された断面積を有することになり、長さを増やすことは抵抗をさらに増加し、さらに多くの電力、したがって熱を発生させるための電気エネルギーを必要とする。この加熱素子形状の制限は熱を供給するために使用することができる手段を制限している。水や油はもっと効果的に熱を分配し、そして水や油の比較的遅い温度立ち上がり速度がサーモスタット時間を温度変化に対しての応答を可能にし、結果として安全な表面温度にするので、水や油のような第二の媒体が加熱素子から、例えばパネル・ラジエータの表面に熱を伝えるために用いられるのはこの理由のためである。
【0005】
殆ど全ての家庭用および多くの工業用電気加熱利用は、銅やアルミニウムのような低抵抗導電材料の溶融温度よりも低いところに存在する。次の関係P=IR=VIワットは、もし加熱素子の抵抗が低減できるならば、熱を発生させるのに必要な電力は低減されることを暗示している。銅やアルミニウムのような低抵抗導電材料に付随する問題は、それらが非制御電源に接続されたときに非常に急速に溶融温度にまで加熱上昇するということである。それらがヒューズ線として用いられるのは、この理由による。
【0006】
もし、電気加熱素子に対する印加電圧及びこれを通して駆動される電流である、制御電源が電力の制限された量を供給するように制御されるならば、無損失容量の形で純容量性インピーダンス成分を挿入することによって、そしてそれを通して送出される任意の電流を次の方法で急速に制御し、以下の通りとなる。
【0007】
【数2】

【0008】
何故ならば、抵抗およびインダクタンスを有していないからである。それはトランスと結合して昇圧または降圧して電気加熱素子への所望の印加電圧にすることができる。電気加熱素子はこのとき充分な量の電力だけを受け取り、適切な加熱速度で、ある温度で熱を生成するが、溶融温度よりも低くて安全である。加熱素子の抵抗は低抵抗導電材料を用いることによって低減できる。加熱領域を覆うために、または加熱する面領域を増加させるために、電気加熱素子はこのとき導電材料箔から作ることができ、加熱素子の抵抗をさほど増加させることなく、熱効率を増加させ、それによって電力を低減し、その結果熱を発生させるのに必要な電気エネルギーを低減することができる。
【0009】
電流が電気加熱素子に流れこむとき、エネルギー遷移温度に到達するまで電磁界をつくる。もし電気加熱素子が反対方向の電流を有するように構成されると、発生する電磁界は反対になり、電流の加熱効果を減少させ、これによって電気加熱素子の効率を減少させる。それ故に、電気加熱素子は、加熱電流が同じ方向に流れるように、電磁界が互いに反対ではなく熱生成の効率を増加させるように、構成されなければならない。熱生成電流によって生成される熱を減少させながら加熱素子から引き出されるので、いくらかの発生された電磁界もまた失われる。電磁界偏向器を付けることによって誘導漏洩した電磁界は電気加熱素子に引き戻されて熱発生電流を増強させ、電気加熱素子の熱効率を増加させることができる。
【0010】
本発明は熱を発生させるために電気加熱素子に形成される低抵抗導電材料を含む低抵抗電気加熱システムである。低抵抗導電材料は、非制御電源に接続されることによって電気加熱素子として使用されるとき、その導電材料はエネルギー遷移温度に到達するまえに溶融温度に到達して溶けてしまうような抵抗の導電材料として定義されている。電気加熱素子は、それを流れる電流は同じ方向に流れ、それ故に発生する電磁界は反対ではなく、それによって加熱効率を増加させるような方法で構成される。電気加熱素子は制御電源に接続され、電気加熱素子に印加される電圧と電気加熱素子を流れる電流は電気加熱素子への電力を制限するように制御される。制御電源は電気加熱素子への電力の量を制御し、それ故に電気加熱素子の温度を、電気加熱素子を形成する低抵抗導電材料の溶融温度よりも低温で安全にエネルギー遷移温度に制限し、それによって所望の温度またはその近傍で熱を発生するために必要なエネルギーを低減するものである。低抵抗電気加熱システムは誘導漏洩した電磁界を再誘導するための導電材料から形成される電磁界偏向器を備えており、これは加熱電流を増強し、それによって電気加熱素子の加熱効率を増加させている。
【0011】
本発明を以下の図によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る制御電源に接続された低抵抗電気加熱システムの構成要素を互いに離して描いた透視図を示している。
【図2】本発明に係る制御電源回路の第一の実施態様を示している。
【図3】本発明に係る制御電源回路の第二の実施態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は加熱される殆ど全ての部分を覆う二つの平面スパイラル部分10aと10bにある電気加熱素子10に形成されている低抵抗導電材料を含み、熱を発生するのに充分な抵抗を有する低抵抗導電材料を含む、低抵抗電気加熱システムの構成要素を透視的に示している。電気加熱素子10の平面スパイラル部分10aと10bは渦巻き状に構成されており、それ故に平面スパイラル部分10aと10bの各々では熱生成電流は同じ方向に流れ、反対方向には流れない。電気加熱素子10の平面スパイラル部分10aと10bの各々の中心10cは電気的に互いに直列に接続されている。平面スパイラル部分10aと10bは好都合なことに平面スパイラル10dの外縁部で制御電源11に接続されており、回路を完結している。このスパイラル部分10aと10bがこのように接続されているので、制御電源11に電気加熱素子10を接続する接続手段が電気加熱素子10の平面スパイラル部分10aと10bを横断することはない。低抵抗電気加熱システムは電磁界偏向器12として一枚の導電材料を備えている。電磁界偏向器12は電気加熱素子10の二つの部分10aと10bによって囲まれており、熱伝導電気絶縁材料13によって互いに電気的に絶縁されている。電気加熱素子10の二つの部分10aと10bを通して流れる熱生成電流によって生成される電磁界は、電磁界偏向器12によって偏向されて再誘導され、熱生成電流が増強される。全体のアセンブリーは電気加熱素子10の二つの部分10aと10bの外側表面にある熱伝導電気絶縁材料13を備えており(電気加熱素子10の10a部分の外側表面で切り離されて示されている)、それ故に加熱される面は電気加熱素子10の二つの部分10aと10bから電気的に絶縁されている。温度自動調節の手段(示されていない)は電気加熱素子10の温度を制御するために与えられている。
【0014】
図2は、電気加熱素子10の印加電圧を制御するための変圧器14と電気加熱素子10を通して流れる熱生成電流を制御するための無損失容量15を含む制御電源回路の第一の実施態様を示している。
【0015】
図3は、電気加熱素子10への印加電圧とこの電気加熱素子を通して流れる熱生成電流を制御するために少なくとも1個の無損失容量を含む制御電源回路の第二の実施態様を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱素子に形成される低抵抗導電材料と、
前記低抵抗導電材料がこのような抵抗の前記導電材料が非制御電源に接続されて前記電気加熱素子として用いられるとき、前記電気加熱素子として用いられるそのような抵抗の前記導電材料がエネルギー遷移温度に達する前に、そのような抵抗の前記導電材料は溶融温度に達して溶けてしまうような抵抗の導電材料と定義されること、
そして前記電気加熱素子として使用される前記低抵抗導電材料を流れる電流が制御電源に接続されるところで、制御電源から電力が供給される前記電気加熱素子として前記低抵抗導電材料が使用されること、
そして前記制御電源が、前記電気加熱素子として使用される前記低抵抗導電材料を流れる電流を制御する手段を備え、そして前記加熱素子に供給される電力を制御するための手段として前記電気加熱素子に印加される電圧を制御する手段も同様に具備し、それによってエネルギー遷移が起こる温度を制御し、熱を生成するのに必要なエネルギーを低減すること、
そして前記電気加熱素子は電磁界偏向器を備えており、前記電磁界偏向器は前記電気加熱素子を流れる熱生成電流から生じる電磁界を偏向し、そして前記電気加熱素子に再誘導し、それによって前記電気加熱素子の熱生成効率を増加させるための手段であることを含む低抵抗電気加熱システム。
【請求項2】
低抵抗導電材料が電気加熱素子に形成され、そして前記低抵抗導電材料が前記電気加熱素子の少なくとも一部を形成するために渦巻き状平面に構成され、そして前記渦巻き状平面に構成された電気加熱素子の少なくとも一部が他の前記少なくとも一部が渦巻き状平面に構成された前記電気加熱素子に電気的に接続され、
そして少なくとも一部の渦巻き状平面に構成された前記電気加熱素子の各々が各々の渦巻きの中心で電気的に接続され、
そして少なくとも一部の渦巻き状平面に構成された前記電気加熱素子の各々が制御電源に接続される手段を備えることを含む低抵抗電気加熱システム。
【請求項3】
請求項1と、前記電気加熱素子が請求項1で規定された低抵抗導電材料を含む請求項2に記載の低抵抗電気加熱システム。
【請求項4】
前記電気加熱素子が電磁界偏向器を備える請求項1に記載の低抵抗電気加熱システム。
【請求項5】
前記電気加熱素子が渦巻状平面に構成される請求項2に記載の低抵抗電気加熱システム。
【請求項6】
電圧制御と熱生成電流制御装置が結合されること、そして前記結合された電圧制御と熱生成電流制御装置が少なくとも一つの電圧制御装置と前記電圧制御装置が前記電気加熱素子に印加される電圧を制御する手段であること、そして少なくとも一つの熱生成電流制御装置が前記電気加熱素子を通して流れる熱生成電流を制御するための手段であることを前記結合された電圧制御と熱生成電流装置が含むことを前記制御電源が含む請求項1または請求項2に記載の低抵抗電気加熱システム。
【請求項7】
前記制御電源が少なくとも一つの電圧制御および熱生成電流制御装置と、前記電圧制御および熱生成電流制御装置が前記電気加熱素子に印加される電圧と前記電気加熱素子を通して流れる熱生成電流を制御する手段であることを含む請求項1または請求項2に記載の低抵抗電気加熱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−532433(P2012−532433A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519045(P2012−519045)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001266
【国際公開番号】WO2011/001144
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511056529)
【Fターム(参考)】