説明

低温細霧冷房システム

【課題】季節に関係なく、作物の周年生産が出来、施設内温度と湿度を適度に保ち、作物の生育に好適な環境を維持する。
【解決手段】地下水、一般水等16℃〜22℃の常温水を、冷却装置を使用して1℃〜10℃に、氷点前の温度に冷水化し、其の冷却水を、ハウス、温室等の施設内に高圧動力噴霧器を利用し、10アール当り毎時1トン〜1、5トン程度の冷却水を、上向き噴射で細霧噴射し、更に微細な細霧噴射で自動的な薬剤散布も行うことが出来、ハウス、温室内の30℃〜48℃の中に微細な低温細霧が、施設内の高温とうまく混合する事により、表面積の大きな微細な冷水細霧の気化熱が効果的に温度を奪う事により25℃〜16℃程度迄の範囲に低温化し、連続噴射、間欠噴射で作物に応じた温度と湿度を保つように調整できて、作物の生育に最適な温度と湿度を維持しながら、好適な生育環境を維持し、季節を問わず、作物の周年生産を行う事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房機能を備えた、ビニールハウス、温室等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウス、温室等、真夏の施設内は乾燥と共に温度が高く、作物の生産が出来ない状態であり、年間の3分の1程度の日数が、高温のために作物の栽培が困難な状態で、休閑状態である、この3分の1の休閑状態を有効活用するためには、施設園芸ならではの、施設の気密性を有効利用し、簡易な冷房システムを利用することにより、作物の生育や生産に適した施設内の温度に低下し、適度の湿度を保ち、好適な栽培環境を維持し乍ら、夏場の暑い時期に施設外では出来ない、付加価値の有る作物が生産出来、施設を周年活用し、有効利用しようとするものである。
【0003】
本発明の低温細霧冷房システムは、従来の方法とは異なり、地下水、一般水をも使用し、冷却装置を使用する事により、氷点前の1℃〜10℃程度の冷却水を、更に高圧動力噴霧器を使用し、施設内の上部付近に敷設した配管パイプの多数箇所に、上向き噴射に取り付けた噴射口1mmの細霧噴射ノズルを使用し、施設内一円に細霧が行き届くように、3、5kの水圧で微細な霧を高圧噴射する事により、施設内の30℃〜48℃程度の暑い温度と、噴射した冷たい1℃~10℃程度の微細な細霧とが混合し合う事で、施設内温度を急変させ、25℃〜16℃までの温度範囲に低下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−165002号広報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】柏木利一「室内冷房装置」特許出願平成8年(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行文献の、発明の実施の形態、で示されている明細書の中で、(図1に於いては温室1の天井2付近にノズル4を設け、下方に向かって冷水細霧が散布されるようにしたものを示した)。と記載され、図示されている。細霧噴射ノズルは、施設内天井近傍の配管パイプに、ノズル噴射口が下向きにセットされているために、細霧噴射時に於いて下向きに強く冷霧が噴射されており、肝心の、施設内で一番高温と成る、施設内の上部には噴射されず、限られた量の細霧を偏った噴射では不十分であり、十分な冷房は期待できない状態といえる。又細霧噴射ポンプが作動当初で圧力の低い時、高圧噴射に至るまでの間に、水圧の低い状態が、わずかの時間があり、施設内に下向き噴射で、低い水圧のために、そこで冷水の滴りが発生し、全噴射ノズルから地面に向かって音をたてて冷水の滴りが発生する、その後次第に水圧が上がり一定の水圧に達すると次第に細霧噴射が順調となり、正常に噴射される。又更に細霧噴射終了後にも、水圧低下が発生し、再び同様に配管パイプ内の残り水が完全になくなるまで滴りが続く状態となる。其の為に、作物にとっては余分な冷たい水適が作物に直接降りかかり、作物に冷害発生の恐れもあり、更に湿度も高くなり、作物に対する病気の発生が多分に懸念される状態となる。又作物の管理作業上にも、足元の水溜り等、悪影響の及ぶことには間違いないことであり、噴射前後の圧力低下に、必ず滴りが繰り返し発生するのが、大きな欠点と言える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の非特許文献と異なり、低温細霧噴射装置を利用し、高圧噴射により微細な細霧噴射で拡散効果の高い点を利用し、農薬散布にも有効使用するものであり、細霧噴射ノズルの噴射口を施設内の配管パイプに上向きセットしたものであり、高圧で施設内に微細な細霧が全般に行き渡るようにするものである。又施設内の配管パイプの末端に電磁弁を設置し、動力噴霧器との連動により、動力噴霧器からの冷水が送水パイプを通じて施設内の配管パイプ全体に行き渡るまでは、水圧も低く、電磁弁は小開放状態であり、一定の水圧に達するまでは、パイプ内の余分な水や、余分な空気は電磁弁を通して施設外に放出するようにしてあり、更に上向き噴射のために、終始、噴射口からの冷水の滴りは全くなく、先行文献とは全く異なる発明、方法であると言える。又動力噴霧器からの冷水が配管パイプ内一杯に行き渡ると同時に水圧が高くなり、電磁弁が連動して自動的に完全閉鎖し、動力噴霧器からの冷水が3、5kの高圧に達して、全噴射ノズルが一斉に均等な圧力で施設内一円に高圧細霧噴射し、表面積の大きな微細な冷水細霧が施設内一杯に噴射されて、高圧で上向き噴射のために、大きく拡散効果を発揮し、万遍なく細霧が施設内の隅々に行き渡り、施設内の全ての暑い空気と混合することにより、微細で表面積の大きな細霧の気化熱が、暑い空気の熱を奪うことにより、施設内の温度を効果的に低下させる事が出来る。
【0008】
本発明は、真夏に於ける施設内の乾燥した暑い30℃〜48℃の温度を低下させるために、冷却装置を使用し、地下水、一般水をも氷点前の1℃〜10℃程度に冷却し、施設内の上部付近に、施設内の形状に合わせて、縦長に配管パイプを設置し、其のパイプの多数箇所に一定の間隔で上向きに細霧ノズルを取り付けて、前記の冷却水を3、5kの高い水圧で、拡散効果を高めるために上向き噴射で設置し、万遍なく効率よく低温細霧噴射し、微細な表面積の大きな細霧が、施設内の30℃〜48℃の暑い温度を25℃〜16℃までの、作物の生育に適した温度範囲に低下させるものであり、施設内の温度調節を図るためにも、10アール当り毎時1トン〜1、5トン程度の冷却水を使用することにより、施設内に万遍なく微細な細霧が行き届くように高圧噴射し、施設内の高温と、微細な低温細霧が混合することにより、表面積の大きな微細な低温細霧の気化熱が、施設内の気温を奪う作用により、施設内温度を25℃〜16℃までの温度範囲に低下させ、連続噴射、間欠噴射で、任意の温度と湿度に維持する事が出来るので、真夏の暑い季節に、作物の生育に好適な温度と湿度を維持することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の低温細霧冷房システムは、従来の方法とは異なり、地下水等、16℃〜22℃の一般水をも、冷却装置を使用する事により、氷点前の1℃〜10℃程度に冷水化し、その冷却水を、高圧動力噴霧器を通じて、配管パイプの多数箇所に上向きに設置した細霧ノズルより、高圧噴射することにより、大きな拡散効果で微細な細霧がハウスや温室内の隅々にまで素早く行き届き、ハウスや温室内の30℃〜48℃程度の温度の中に、水圧3、5kの高圧で低温細霧噴射する事により、施設内の熱い空気と、微細な表面積の大きい低温細霧とが急激な混合により、低温細霧の気化熱が気温を奪うことにより、施設内温度を急激に変化させて、25℃〜16℃迄の温度範囲に低下させる事が出来、連続噴射、間欠噴射で温度や湿度の調節を図り、栽培する作物の生育に適した、温度と湿度に調整する事ができるので、作物の生育に最適な温度と湿度を保つ事が出来、其の温度や湿度を持続させて、作物に最適な生育環境を保ち、夏場の乾燥した暑い時期に、発育の良い作物を生産する事が出来、又薬剤を混合し微細な細霧を利用して、自動的に薬剤の散布も、同時に効果的に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は 低温細霧冷房システム全体の配置図
【図2】図2は 平面図で細霧冷房噴射ノズル、電磁弁、温度センサーの位置図、
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ハウス、温室等の真夏の高い施設内温度を、作物の生育に好適な温度と湿度を保ちながら冷房システムを利用し、自動的な農薬の散布も行い、作物の生産を行おうとするものであり、30℃〜48℃の高温乾燥の中では作物の生産は難しく、そこで密閉出来るハウスや温室の施設を活用し、冷却装置の使用と低温細霧冷房システムにより、作物の生育適温に低下させる事が出来るので、真夏の乾燥した暑い季節にでも、作物の生育に好適な環境を保つ事が出来るので、発育旺盛な作物を生産しようとするものである。
【実施例】
【0012】
従来の方法は、ハウス、温室内の真夏の温度が30℃〜48℃程度の状態では、作物の生育には暑すぎる乾燥した温度であり、人も暑くて作業も出来ない状態である。そこで、施設内温度を、作物の生育に適した温度と湿度に保つため、高い温度を低下させるには、地下水を利用し、其の水温が17℃程度あり、そのままの水温で高圧動力噴霧器により、細霧ノズルを使用して、10アール当り毎時1トン〜1.5トン程度の17℃の地下水を細霧噴射したが、施設内の温度を25℃以下に低下させることが出来なかった、そこで止む無く、更に毎時2トン程度の井戸水を追加噴射したが、尚も温度低下することが出来ず、ついには施設内の湿度が上がり始めて、温度の上昇と共に更に湿度が上がり、湿度90%程度の蒸し風呂状態になり、此の侭の状態では作物の生育は不可能であると感じ、中止するしかない結果となってしまった。
【0013】
本発明の細霧冷房システムを図1、図2に基づき説明する。
符号1は既製の冷却装置を使用し、符号1の冷却装置で冷却した、氷点前の冷却水1℃〜10℃の冷却水3を冷水貯留タンク2内に貯留し、其の冷水3を高圧動力噴霧器4を介して高圧送水パイプ5を通じて温室、ビニールハウス内に送り込み、温室、ハウス内の配管パイプ6に通じ、冷水が配管パイプ内に完全に行き渡るまでは、配管パイプの末端付近に設置された電磁弁8が、小開き状態を保ち、配管内の余分な空気や水を施設外に排出し、冷水が配管パイプ内に行き渡ると同時に、電磁弁8が完全に閉鎖し、動力噴霧器からの水圧が配管パイプ全体に一定の圧力に達すると、微細な細霧が噴射ノズルを上向き噴射で一斉に高圧噴射される。
【0014】
本発明のシステム冷房は、施設内温度を25℃以下に保つために、16℃〜22℃の地下水一般水を、更に冷却装置を使用して、1℃〜10℃程度の水温に冷却し、其の冷却水を施設内の、10アール当り毎時1トン〜1,5トン程度の量を、温度や湿度の調整のために高圧噴射し、上向き噴射ノズルで、必要に応じて、間欠噴射、連続噴射で、施設内に低温細霧噴射し、微細な細霧の冷温と、施設内の乾いた高温とが混合することにより、効果的に微細な表面積の大きな冷水細霧の気化熱が気温を奪うことにより、25℃〜16℃までの温度範囲に低下させることが出来、更に湿度も50%程度に保ちながら、18℃の程度の施設内温度を維持することが出来、作物の生育適温と湿度を維持することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0015】
従来の方法と装置では、夏場のハウス温室内の暑い温度を25℃以下に低下し、保つことは不可能であった。そこで本システム冷房により、冷却装置による氷点前の1℃〜10℃の冷却水を、施設内の30℃〜48℃の乾燥した高温の中に、3,5kの高い水圧で、上向き噴射ノズルで、低温細霧噴射することにより、25℃〜16℃程度に温度低下させることが出来るので、従来の方法や装置による方法と、その温度低下の差は歴然とした10℃以上の温度差に低下させることが出来、真夏の暑い乾燥した施設の中に、大きな装置の必要なく、小型の微細な細霧冷房システムにより、余裕のある涼しい温度と適度の湿度に保つことが出来るので、施設内の作物の生産はじめ、畜舎の冷房、公共施設の冷房、多方面に幅広く利用できるものと確信を得た、又施設費用も格安で、既製の冷却装置を巧く利用する等、高額の電気代も必要なく、省エネ、安価で活用できることの確信を得ることが出来た。
【符号の説明】
【0016】
1、冷却装置 (オリオン機械(株))
2、貯留タンク (冷却水の一次タンク)
3、冷却水 (1℃〜10℃)
4、高圧動力噴霧器
5、冷水高圧送水パイプ (断熱材で保護)
6 配管パイプ
7 細霧ノズル (噴射口を上向きに設置)
8、電磁弁 (温度センサーと連携、全噴射ノズルの一定圧力化)
9、作物
10噴射された細霧 (上向き設置で満遍なく施設内に拡散し、細霧が行き渡る)
11温度センサー (温度センサー、電磁弁、動力噴霧器、と連携)
12排水パイプ (パイプ内の余水、空気の施設外排出)
13ビニールハウス、温室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本システム冷房は、地下水、一般水等も使用し、冷却装置を利用して氷点前の1℃〜10℃程度に冷却し、ハウス等施設内の乾燥と高温の30℃〜48℃程度の温度状況の中で、施設内の上部付近に配管パイプを付設し、微細な細霧の拡散噴射効果を図るために、噴射ノズルを上向き噴射で多数箇所に設置し、自動による微細な細霧噴射の利用で、効果的に薬剤散布も行うことが出来、高い水圧と其の上向き細霧噴射で余分な水の滴りもなく、低温細霧が施設内の隅々に行き届く様に、3,5kの高圧で細霧噴射し、配管パイプの末端付近に、電磁弁を設置し、更に施設内の温度を感知する為に温度センサーを施設内の中心付近に設置し、温度センサーと動力噴霧器の連動により、施設内温度が上昇して25℃に達すると、温度センサーの連動で動力噴霧器が作動し、配管パイプ内に冷水が行き渡ると同時に、末端付近設置の、小開き状態の電磁弁が完全に閉鎖し、パイプ内の水圧が3、5k範囲の圧力に達し、均等な圧力で施設内一円、一斉に高圧低温細霧噴射し、施設内に上向き噴射ノズルで高圧噴射した微細な低温細霧が施設内一円に行き届き、施設内の高温と混合し、表面積の大きな微細な低温細霧の気化熱が、施設内の温度を奪い、作物の生育に必要な適度の温度に低下し、湿度も50%程度に保つ事が出来るので、連続噴射、簡潔噴射で25℃〜16℃迄の温度範囲に作物に応じた、施設内の温度と湿度に調整する事が出来るので、其の温度と湿度を持続出来る事を特徴とする低温細霧冷房システム。
【請求項2】
本システム冷房は、施設内温度を25℃〜16℃程度までの温度範囲に低下させる事が出来、湿度も50%程度に維持できるので、真夏の暑い乾燥の施設内で、適度の湿度と、25℃〜16℃の範囲に温度低下できるので、多種多様な広範囲の施設の冷房に適応でき、幅広く活用する事が出来るので、農業生産施設の冷房、養鰻場の水温調節、又は冷房、その他畜舎内の冷房、夏場の椎茸栽培、公共施設の冷房、食品施設の冷房、環境施設の冷房等、微細な細霧冷房システムであり、少量の冷水で高圧微細な細霧を噴射し、表面積が大きく冷房効果が高いいので、大きな機械設備は不必要であり、小型の冷房システムにより、(CO2)の削減にも大いに有効であり、社会貢献度の高い装置で、多方面に幅広く利用できる事を特徴とする低温細霧冷房システム。

【図1】
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【図2】
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