説明

作業機械の応答性をカスタム化するためのシステム

【課題】入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化できるようにする。
【解決手段】制御システム200は、オペレータ入力を受信して対応する制御信号を発生するように動作可能な入力制御器210と、入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性を制御するために調整可能であるパラメータが記憶されたハンドヘルド装置204を含む。ハンドヘルド装置204は、オペレータからの入力に応答してパラメータを調整するように動作する。制御モジュール214は作業機械に配置され、入力制御器210へのオペレータ入力と作業機械の対応する応答との間の所望の関係を表す信号を、ハンドヘルド装置204から受信するように動作する。制御モジュール214はまた、入力制御器210から制御信号を受信して、ハンドヘルド装置204からの信号に基づき制御信号を処理するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械パラメータを調整するためのシステムに関する。より詳しくは、本開示は、オペレータ入力と作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの作業機械は、様々な異なる仕事を実行するために設計される。例えば、とりわけ溝掘削、トラック積載、軽量クレーン、および均しとレベリングのために、バックホーを使用することが可能である。これらの異なる仕事のそれぞれは、バックホーリンク機構の異なる操作上の特質または特性を必要とする場合がある。例えば、溝掘削時、高速および高動力で作業器具を動かすことが望ましいかもしれず、一方、均しまたはレベリングのために、より低い速度および動力で作業器具を動かすことが有利である場合がある。
【0003】
仕事のように、異なるオペレータは、単一のジョイスティック運動のために異なる操作上の特質を優先するかもしれない。例えば、熟練したオペレータは、作業器具の高速移動を好むかもしれず、一方、未熟練オペレータは、より低い速度で作業器具を動かすことがより快適であろう。
【0004】
車両の特定の運転者のための特質を設定するための1つのシステムが、バースティス(Berstis)への(特許文献1)に開示されている。(特許文献1)は、特定のユーザに車両の操作資格を与えるスマートカードを開示している。スマートカードは、例えば速度または加速度のような車両のある能力を制限するために使用し得るデータを記憶する。資格のあるユーザによって制限をプログラミングして、車両の運転者の使用を制御および制限することが可能である。しかし、(特許文献1)に開示されたシステムは、パラメータの間の関係を変更して作業機械のパラメータをカスタム化するために、オペレータがハンドヘルドプログラム可能装置を使用することを可能にしない。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,198,996号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、オペレータがオペレータ自身の好みに基づきハンドヘルドプログラム可能装置を用いて、作業機械のパラメータをカスタム化することを可能にするためのシステムおよび方法について記載する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一形態では、入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化するための制御システムが、開示される。制御システムは、オペレータ入力を受信して、対応する制御信号を発生するように動作可能な入力制御器を含む。制御システムはまた、内部にパラメータが記憶されたハンドヘルドプログラム可能装置を含む。パラメータは、入力制御器における入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性を制御するために調整可能である。ハンドヘルドプログラム可能装置は、オペレータからの入力に応答してパラメータを調整するように動作可能である。制御モジュールは作業機械に配置され、ハンドヘルドプログラム可能装置から信号を受信するように動作可能である。信号は、入力制御器へのオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の所望の関係を表す。制御モジュールはまた、入力制御器から制御信号を受信して、ハンドヘルドプログラム可能装置からの信号に基づき制御信号を処理するように動作可能である。
【0008】
他の形態では、入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化するための方法が、開示される。本方法は、パラメータをハンドヘルドプログラム可能装置に記憶するステップと、パラメータを調整して、入力制御器における入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性を制御するステップとを含む。ハンドヘルドプログラム可能装置は、オペレータからの入力に応答してパラメータを調整するように動作可能である。制御モジュールは、入力制御器へのオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の所望の関係を表すハンドヘルドプログラム可能装置からの信号を受信する。制御信号はまた、入力制御器から受信される。制御信号は、ハンドヘルドプログラム可能装置から受信された信号に基づき処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、添付図に例示される模範的な実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同一または同様の部分を指すために、同一の参照番号が図面全体にわたって使用される。
【0010】
模範的な作業機械100が図1にバックホーローダとして示される。作業機械100は、フレーム構造102と、オペレータ室104と、作業リンク機構106と前部作業器具108とを含む制御可能な構成要素とを含む。さらに、作業機械は、作業機械100を支持して駆動するための車輪109を含む。
【0011】
フレーム構造102は、オペレータの運転台104、作業リンク機構106、および前部作業器具108を支持かつ支承する。オペレータの運転台104は、図示したように囲まれてもよく、あるいは開放していてもよい。作業機械オペレータから入力を受信しまた作業機械100を制御するためのオペレータ入力制御器のような1つ以上のオペレータ制御装置は、オペレータの運転台104に収容することが可能である。
【0012】
模範的な作業リンク機構106は、揺動フレーム110、ブーム部材112、スティック部材114、および作業器具116を含む。作業リンク機構106は、とりわけ、穴または溝を掘り、地面を平らにするか、あるいは所望の角度に領域を均すために使用することができる。作業リンク機構106はまた、図1に示した第1、第2、および第3のアクチュエータ118、120、122のような任意の数のアクチュエータを含んでもよい。リンク124は、第3のアクチュエータ122を作業器具116に連結し得る。
【0013】
図2は、パラメータをカスタム化して、作業機械100を操作するための制御システム200のブロック図である。制御システム200は、オペレータが入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械100の対応する応答との間の関係をカスタム化することを可能にする。カスタム化された関係により、例えば0%入力から100%入力のような入力制御器における入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性が制御される。例えば、いくつかのカスタム化可能な関係は、入力制御器の移動とアクチュエータ速度との間の関係およびスロットルの割合と地上速度との間の関係を含んでもよい。他の関係は当業者に明白であろう。制御システム200は、インタフェース202と、ハンドヘルドプログラム可能装置204のような通信装置と、弁206とを含む。
【0014】
インタフェース202は入力制御器210、受信機212、および制御モジュール214を含む。入力制御器210は、作業機械100のオペレータの運転台104に配置してもよく、またオペレータから入力を受信して、作業リンク機構106のような作業機械100の構成要素を制御するように構成可能である。移動または操作に応答して、入力制御器210は制御信号を発生して、制御モジュール214に送り、作業機械100の構成要素を制御することが可能である。入力制御器210はジョイスティック、ノブ、ダイアル、キーボードまたは公知の他の入力装置でもよい。構成要素が作業リンク機構106である場合、入力制御器210を使用して、アクチュエータ118、120、122、124の1つ以上を含む得るアクチュエータ208を制御することによって作業リンク機構106の移動を操作して、制御してもよい。したがって、オペレータからの入力は、所望の方法で作業リンク機構106を移動するための入力であり得る。
【0015】
受信機212は、プログラム可能装置204とインタフェースして、当該装置から直接データポート接続部を介してまたは特に、RF伝送、赤外線信号、レーザ信号、および/または無線周波数信号のような無線伝送を介して送信信号を受信するように構成可能である。当業者は、任意の放射信号を使用し得ることを認識するであろう。受信機212は、プログラム可能装置204からの伝送を受信し、その伝送を処理して、制御モジュール214と通信するように構成される。したがって、受信機212は、プログラム可能装置204から受信された情報を表す信号を発生または中継することが可能である。模範的な一実施形態では、受信機は、受信してプログラム可能装置204と通信するためのドッキングシステムである。
【0016】
制御モジュール214は、プロセッサ216およびメモリ218を含むことが可能である。プロセッサ216は、コンピュータプログラムを実行するための任意の標準プロセッサであり得る。同様に、メモリ218は、公知の任意の標準メモリ構成要素であり得、プロセッサ206によって実行可能なコンピュータプログラムおよび/またはルーチンのようなデータを記憶するように構成可能である。制御モジュール214は、入力制御器210によって発生された制御信号を受信して、作業リンク機構106を制御するように構成可能である。さらに、制御モジュール214は、制御信号を処理するように、またオペレータが望む方法で弁206を制御し、これによってアクチュエータ208を操作する処理された信号を発生するように構成可能である。
【0017】
ハンドヘルドプログラム可能装置204は、受信機212を介してインタフェース202と選択的に通信し得る。プログラム可能装置204は、それ自体のプロセッサおよび/またはメモリを含んでもよく、また調整可能なパラメータおよび/または他の情報を表すデータを記憶するように構成可能である。例えば、プログラム可能装置204は、アクチュエータ208の速度と入力制御器210の移動との間の関係を規定するパラメータを記憶して、調整するように構成可能である。模範的な一実施形態では、プログラム可能装置204は、データおよび/またはコンピュータプログラムを受信機212に転送または伝送するように構成される。他方、受信機212は、次にメモリ218に記憶され得るデータまたはプログラムをプロセッサ216に伝送するように構成可能である。入力制御器210からの制御信号は、受信機212から受信されたプログラムまたはデータに従ってプロセッサ216によって処理され得る。したがって、プログラム可能装置204からのデータを使用して、入力制御器210からの信号の処理を制御することが可能である。
【0018】
図3は、プログラム可能装置204の模範的な一実施形態を示している。プログラム可能な装置は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)のようなハンドヘルドプログラム可能装置、例えばパームパイロットであり得る。プログラム可能装置204は、スタイラス220および本体222を含む。スタイラス220を使用して、公知の方法でプログラム可能装置204に情報を入力することが可能である。
【0019】
本体222は、ハウジング224、ディスプレイ226、および1つ以上の入力機構228を含む。ハウジング224は、公知の方法で構成可能であり、またプログラム可能装置204の回路および他の構成要素を収容し得る。ディスプレイ226は、ハウジング224の表面に形成可能であり、またアイコン、情報、プロット、グラフ、および/またはオペレータへの他のデータを表示するように構成可能である。さらに、ディスプレイ226は、例えばスタイラス220または他の手段でディスプレイ226に触れることによってデータの選択、操作、および/または入力を可能にするタッチ式ディスプレイであり得る。入力機構228は、ユーザがデータを操作および/または入力し、プログラム可能装置204において選択を行うことをイネーブルにするボタン、ダイアル、またはキー、および/または他の入力機構であり得る。
【0020】
プログラム可能装置204は、データを転送するために公知の方法で信号229を放射するように構成可能である。信号229は、図2に示した受信機212で受信可能である。代わりに、プログラム可能装置204は、受信機212に直接接続するためのワイヤポートを含んでもよい。プログラム可能装置204は、公知の方法でワイヤ接続または無線伝送を使用して通信可能である。
【0021】
図4は、ディスプレイ226に表示し得る1つの模範的なスクリーン230を示している。スクリーン230は、オペレータが、プログラム可能装置204と相互作用することによって作業機械の制御性特性をカスタム化することを可能にするグラフ表示の制御性インタフェースである。オペレータは、パラメータを調整して、入力制御器210からの入力範囲にわたる作業機械の構成要素の応答性により規定された関係を制御することによって、特性をカスタム化することが可能である。スクリーン230は、選択可能なパラメータボタンアイコン232と、選択可能な作業器具選択アイコン233と、入力制御器210の位置とアクチュエータ208のような少なくとも1つのアクチュエータの速度との間の関係を規定する速度変調マップ234とを含む。ボタンアイコン232は、オペレータがスクリーン230内で操縦することを可能にし、またネクストボタン236、方向ボタン238、シフトボタン240、および更新ボタン242を含む。ネクストボタン236を選択して、1つの選択可能なパラメータから他のパラメータにカーソルを変更することが可能である。方向ボタン238を選択して、スクリーン230上の任意のパラメータの移動方向を制御することが可能である。シフトボタン240は、方向ボタン238を用いて選択される方向に所定の割合だけ、選択可能なパラメータの値を変更するショートカットボタンであり得る。例えば、模範的なスクリーンのシフトボタン240は、シフトボタンを選択した場合、選択したパラメータを2%シフトし得ることを示している。更新ボタン242は、速度変調マップ234に対するすべての変化を記憶することが可能である。更新ボタン242を選択した後、上に説明したように、次に、速度変調マップ234を作業機械100のインタフェース202に転送することが可能である。
【0022】
選択可能な作業器具選択アイコン233は、作業機械100に使用される作業器具116を識別するために使用することが可能である。それぞれの作業器具用のプログラム可能装置204内に、異なる速度変調マップ234を記憶してもよい。図4は、バックホーアイコン244およびローダアイコン246を示している。プログラム可能装置204は、これらのアイコンの1つを選択することにより、当該作業器具用の速度変調マップ234が自動検索されるように構成可能である。したがって、オペレータは、それぞれの個々の作業器具用のパラメータをカスタム化することが可能である。任意の数の追加の作業器具選択アイコンが使用可能である。
【0023】
さらに、それぞれの仕事のために、作業機械100が実行可能であり、プログラム可能装置204は異なる速度変調マップ234を記憶することが可能である。仕事用のマップ234は、入力制御器210からの入力と作業機械応答との間の関係を規定するカスタム化のためにアクセス可能であり得る。例えば、プログラム可能装置204は、溝掘りおよび均しの仕事用の別個の速度変調マップ234を含んでもよい。それぞれのマップは、オペレータの好みを反映するためにオペレータによってカスタム化し得る。
【0024】
速度変調マップ234は、入力制御器210の移動とアクチュエータ速度との間の関係を表示し、また水平軸線248と、垂直軸線250と、速度変調曲線252と、デッドバンドアイコン254、移行点アイコン256、飽和点アイコン258、および半径軸線262に沿って調整可能な半径アイコン260を含む選択可能なパラメータとを含む。水平軸線248は、オペレータによって制御されるような入力制御器210の位置を示している。垂直軸線250は、入力制御器210の位置に対応するアクチュエータ速度を示している。
【0025】
デッドバンドアイコン254、移行点アイコン256、および飽和点アイコン258を含むパラメータは、速度変調曲線252の点の位置を規定する。図4に使用されているように、デッドバンドは、アクチュエータ移動を開始するために入力制御器210が移動しなければならない移動の割合である。移行点は、曲線を作業傾斜264と生産傾斜266とに分割する速度変調曲線の傾斜が変化する点である。飽和点は、アクチュエータの最大速度が獲得される入力制御器210の位置である。半径は、以下に説明するように、1つの傾斜から他の傾斜に円滑に移行するために作業傾斜および生産傾斜264、266の両方に対して接線の円の半径を示している。
【0026】
プログラム可能装置204は、オペレータがデッドバンドアイコン254、移行点アイコン256、飽和度アイコン258、および半径アイコン260の位置を調整して、スクリーン230上の所望の位置にそれらを移動し、これによって、速度変調曲線252をカスタム化し得るように構成される。模範的な一実施形態では、デッドバンドアイコン254は、水平軸線248に沿ってのみ可動であり得る。飽和点アイコン258は、最大速度と入力制御器位置との間の関係を制御するために、マップ234に沿って水平および/または垂直に可動であり得る。移行点アイコン256は、マップ234内の任意の位置に可動であり得る。半径アイコン254は、最小半径から最大半径に半径軸線260に沿って調整可能であり得る。
【0027】
単一機能パラメータの任意のものを変更することによって、オペレータは速度変調曲線252を賦形して、入力制御器位置とアクチュエータ速度との間の関係を規定することが可能である。オペレータは、スタイラス220および/または入力機構228を用いて、ディスプレイ226上のこれらのパラメータを調整することが可能である。模範的な一実施形態では、パラメータは、スタイラスを用いてマップ234の所望の位置にアイコンをドラッグすることによって、またはシフトボタン240を選択することによって調整される。
【0028】
速度変調マップ234は、図4の速度変調マップ234の半径アイコン260を用いて調整し得る半径270を有する円268を含めて、図5により詳細に示されている。図5に見られるように、ある割合の入力制御器210の移動により作業器具216のゼロ速度が発生されるデッドバンド領域272は、0%の位置から約25%の位置に延在する。デッドバンド領域272から、速度変調曲線252は、作業傾斜264に沿って、移行点アイコン256によって規定された転移点に向かって、次に、飽和点アイコン258によって規定された飽和点に向かって傾斜し、飽和領域274を形成する。作業傾斜264は、小さな量の速度を発生するために入力制御器210の大きな量の操作を含むマップ234の制御性特性であり得、一方、生産傾斜266は、入力制御器210の位置の小さな変化が%速度の大きな変化をもたらす点において、まさに反対であるように構成可能である。本実施形態では1つのみの移行点が示されていることを指摘したい。しかし、追加の移行点を用いて、作業機械100の制御性特性を操作かつ調整することが可能である。飽和領域274は、速度がすでに100%にあるので、入力制御器210の追加の移動が速度増加をもたらすことができない領域である。
【0029】
半径アイコン260は、図4の半径軸線262に沿って最小から最大に調整することが可能である。半径は、図5に示した移行点に隣接する生産傾斜266と作業傾斜264とを接続する曲線の半径270を規定することによって、曲線252に影響を及ぼす。したがって、曲線252は、入力半径270に基づく作業傾斜264および生産傾斜266の両方に対して接線の円268について解くことによって形成可能であり、これにより、曲線252は作業傾斜264から生産傾斜266に円滑に移行することが可能になる。作業傾斜264と生産傾斜266との間で円滑に移行するために、円の代わりに放物曲線または立体曲線を使用し得ることを指摘したい。高位の曲線を含む他の曲線を使用してもよい。
【0030】
プログラム可能装置204は、異なるレベルの複雑さのパラメータのオペレータによるカスタム化を可能にするように構成可能である。例えば、一実施形態において、作業リンク機構106のそれぞれの個々のアクチュエータ用に、別個の速度変調マップ234が記憶される。1つのレベルにおいて、プログラム可能装置204は、単一の速度変調曲線252を調整することによって、アクチュエータ用のすべての速度変調マップ234の同時調整を可能にするように構成可能である。したがって、調整可能なパラメータを調整することによって、単一の速度変調マップ234に対する変更がすべてのアクチュエータ速度変調マップに適用される。これにより、オペレータは、単一のスクリーン230を用いてすべての作業器具用のマップを全体的に変更することが可能である。第2のレベルにおいて、プログラム可能装置204により、オペレータは単一の個々のアクチュエータ用の速度変調マップ234を変更することが可能である。例えば、オペレータは、ブーム部材112のためにアクチュエータ用の速度変調曲線252の変更を選択する場合がある。さらに他のレベルでは、オペレータは、アクチュエータ移動の方向に応じて、単一のアクチュエータまたはアクチュエータ群用の速度変調マップを変更する場合がある。例えば、このレベルにより、オペレータは、シリンダの伸長のための速度変調マップ、および同一のシリンダの引き込みのための異なる変調マップを有することが可能である。
【0031】
いくつかの模範的な実施形態では、1つのパラメータの移動が相応して1つ以上の付加的なパラメータを調整するように、パラメータが予め確立された関係を有し得ることを指摘したい。したがって、パラメータは個別に調整する必要はなく、群として調整することが可能である。例えば、作業傾斜264が一定であるように、デッドバンドアイコン254の移動により移行点を移動し得る。当業者に明白であるように、他の関係を使用できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本明細書に記載した制御システム200により、オペレータは作業機械100のパラメータをカスタム化することが可能である。ハンドヘルドプログラム可能装置204を使用して、オペレータはパラメータを調整し、次にそれらのパラメータを用いて作業機械100を制御することができる。パラメータは、作業リンク機構106のような作業機械100の構成要素を操作するための所定の入力に応答して使用されるパラメータであり得る。一実施形態において、調整可能なパラメータにより、入力制御器210の移動とアクチュエータ速度との間の関係のカスタム化が可能である。したがって、オペレータは、入力制御器210からの入力に対する作業リンク機構106の応答性を制御し得る。
【0033】
次に、制御システム200を用いて作業機械100を操作するための方法について記載する。オペレータは、作業機械100の制御性を調整することを望むかもしれない。したがって、ハンドヘルドプログラム可能装置204を用いて、オペレータは、入力制御器からの入力範囲にわたる作業機械の構成要素の応答性によって規定された関係を制御する記憶された調整可能なパラメータにアクセスすることが可能である。一実施例において、関係は、作業器具106の入力制御器の移動とアクチュエータ速度との間にある。スタイラス220、選択可能なアイコンボタン、および/または入力機構228を用いて、オペレータは、速度変調曲線252の点の位置を調整することが可能である。例えば、オペレータは、プログラム可能装置204のディスプレイ226上のデッドバンドアイコン254、移行点アイコン256、飽和点アイコン258、および/または半径アイコン260を調整してもよい。
【0034】
オペレータが速度変調曲線252を所望の設定に調整したとき、オペレータは、スクリーン230上の更新アイコン242を選択することによって、新しい設定を記憶することが可能である。更新アイコン232を選択すると、設定を不定に記憶し得るが、所望のように検索または変更することも可能である。
【0035】
設定の更新を表す信号は、インタフェース202の受信機212を介して作業機械100に送ることが可能である。次に、設定の更新は制御モジュール214に送ることが可能である。オペレータは、プログラム可能装置204が受信機212を通して作業機械100に接続される間に、速度変調曲線252が調整可能であり、また一実施形態において、プログラム可能装置204が作業機械100と通信しているときにのみ、作業機械100が動作可能であることを指摘したい。
【0036】
オペレータの運転台204の入力制御器210を用いて、オペレータは、作業リンク機構206の所望の移動を表す制御モジュール214に送られる制御信号を生成し得る。制御モジュール214は、入力制御器210から制御信号を受信し、またプログラム可能装置204から受信された設定の更新に従って信号を処理することが可能である。制御モジュール214は、処理された信号を弁206に出力して、オペレータが望む方法でまたプログラム可能装置204にプリセットされた方法で、作業リンク機構106のアクチュエータを操作することが可能である。このため、プログラム可能装置204のパラメータを操作することによって、オペレータは所定の作業機械100用のパラメータをカスタム化することが可能である。
【0037】
一実施例において、オペレータは、作業リンク機構106のような特定の作業器具用の速度変調マップを選択する。他の模範的な実施形態では、オペレータは、実行すべき仕事に基づき速度変調マップを選択する。オペレータは、特定の作業器具マップおよび/または仕事マップを好ましい設定にカスタム化して、パラメータによって規定された関係を制御してもよい。
【0038】
模範的な一形態では、作業機械のそれぞれのオペレータに、速度変調マップ234の個々のカスタム化用のパーソナルハンドヘルドプログラム可能装置が用意される。プログラム可能装置はハンドヘルドであるので、それを受信機212および/または作業機械100と関連付けて、速度変調マップの調整を可能にすることが必要である。したがって、オペレータは、彼自身の利便に応じてマップを調整するかまたはカスタム化してもよい。他の模範的な実施形態では、プログラム可能装置204はまた、作業機械100のキーとして機能することが可能である。本実施形態では、作業機械100は、プログラム可能装置204が作業機械100にパラメータを送らない限り、動作不可能であるように構成可能である。したがって、一人のオペレータは、前のオペレータの後に作業機械100を操作する場合、作業機械100に動力を供給できる前に、彼のそれぞれのプログラム可能装置204から作業機械100にデータを転送することが必要かもしれない。
【0039】
模範的な作業機械100はバックホーローダとして示しているが、他のタイプの作業機械が、ここに開示した制御システム200を利用し得ることを指摘したい。さらに、オペレータは、作業リンク機構106および示した前部作業器具108以外の工具および構成要素のためにパラメータをカスタム化し得る。
【0040】
本発明の範囲から逸脱することなく、開示した実施形態に様々な修正と変更をなし得ることが当業者には明白であろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示した本発明の説明と実施を考慮すれば当業者には明白であろう。説明および実施例は模範的なものに過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲は、次の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】模範的な作業機械の絵画的表示である。
【図2】模範的な制御システムのブロック図である。
【図3】模範的なハンドヘルドプログラム可能装置の絵画的表示である。
【図4】ハンドヘルドプログラム可能装置のスクリーン上の模範的な画像の絵画的表示である。
【図5】ハンドヘルドプログラム可能装置のスクリーン上の模範的な画像の他の絵画的表示である。
【符号の説明】
【0042】
100 作業機械
102 フレーム構造体
104 オペレータ室
106 作業リンク機構
108 前部作業器具
109 車輪
110 揺動フレーム
112 ブーム部材
114 スティック部材
116 作業器具
118 第1のアクチュエータ
120 第2のアクチュエータ
122 第3のアクチュエータ
124 リンク
200 制御システム
202 インタフェース
204 ハンドヘルドのプログラム可能装置
206 弁
208 アクチュエータ
210 入力制御器
212 受信機
214 制御モジュール
216 プロセッサ
218 メモリ
220 スタイラス
222 本体
224 ハウジング
226 ディスプレイ 228 入力機構
229 信号
230 スクリーン
232 選択可能なパラメータボタンアイコン232
233 選択可能な作業器具選択アイコン
234 速度変調マップ
236 次のボタン
238 方向ボタン
240 シフトボタン
242 更新ボタン
244 バックホーアイコン
246 ローダアイコン
248 水平軸
250 垂直軸
252 速度変調曲線
254 デッドバンドアイコン
256 移行点アイコン
258 飽和点アイコン
260 半径アイコン
262 半径軸
264 作業傾斜
266 生産傾斜
268 円
270 半径
272 デッドバンド領域
274 飽和領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化するための制御システムであって、
オペレータ入力を受信して、対応する制御信号を発生するように動作可能な入力制御器と、
内部にパラメータが記憶されたハンドヘルドプログラム可能装置であって、パラメータが、入力制御器における入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性を制御するために調整可能であり、ハンドヘルドプログラム可能装置が、オペレータからの入力に応答してパラメータを調整するように動作可能であるハンドヘルドプログラム可能装置と、
作業機械に配置された制御モジュールであって、ハンドヘルドプログラム可能装置から、入力制御器へのオペレータ入力と作業機械の対応する応答との間の所望の関係を表す信号を受信するように動作可能であり、また入力制御器から制御信号を受信して、ハンドヘルドプログラム可能装置からの信号に基づき制御信号を処理するようにさらに動作可能である制御モジュールと、
を備える制御システム。
【請求項2】
パラメータが、アクチュエータの速度と入力制御器の移動との間の関係を規定する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
プログラム可能な装置が、パラメータを示す変調マップを表示するように動作可能なディスプレイを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
プログラム可能装置が作業器具の選択を可能にし、パラメータが、作業器具タイプおよび実行すべき使命の少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
ハンドヘルドプログラム可能装置から信号を受信して、信号を表すデータを制御モジュールに伝送するように動作可能な受信機を含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
プログラム可能装置が、入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の1つ以上の構成要素の対応する応答との間の関係を制御するパラメータを同時に調整するように動作可能である、請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
入力制御器におけるオペレータ入力と、作業機械の対応する応答との間の関係をカスタム化するための方法であって、
パラメータをハンドヘルドプログラム可能装置に記憶するステップと、
パラメータを調整して、入力制御器における入力範囲にわたって作業機械の構成要素の応答性を制御するステップであって、ハンドヘルドプログラム可能装置が、オペレータからの入力に応答してパラメータを調整するように動作可能であるステップと、
制御モジュールにおいてハンドヘルドプログラム可能装置から、入力制御器へのオペレータ入力と作業機械の対応する応答との間の所望の関係を表す信号を受信するステップと、
入力制御器から制御信号を受信するステップと、
ハンドヘルドプログラム可能装置から受信された信号に基づき制御信号を処理するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
パラメータを調整するステップが、アクチュエータの速度と入力制御器の移動との間の関係を調整する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プログラム可能装置の作業器具アイコンを選択するステップを含み、調整可能なパラメータが、選択された作業器具に基づく請求項7に記載の方法。
【請求項10】
受信機においてハンドヘルドプログラム可能装置から信号を受信するステップと、データとしての信号を制御モジュールに伝送するステップとを含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−107461(P2006−107461A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246621(P2005−246621)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】