説明

作業機械の表示装置

【課題】アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することにより、燃費の良い状態への移行を促すことができる作業機械の表示装置を提供する。
【解決手段】エンジン9と、エンジン9により駆動される油圧ポンプ10と、油圧ポンプ10から供給される圧油により駆動されるブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3f等の複数のアクチュエータと、そのアクチュエータ3d,3e,3fを操作するための操作装置6とを備えた作業機械の表示装置5に操作装置6の非操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報としてエンジン回転数Nを表示するアイドル状態表示部50aを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械の運転室に設けられた表示装置には、オペレータが作業機械の状況を確認できるように各種の計器類や機体情報が表示されている。そのような表示装置に表示される情報の1つとして作業車両の燃費情報があり、例えば、特許文献1には、オペレータに省エネ運転を促すことを目的として、作業車両の燃費を算出する燃費算出部と、燃費算出部によって算出された燃費が目標燃費以上であるか否かを表示する燃費表示部とを備えたものが開示されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、燃費をリアルタイムにバーの長さで表示しており、この燃費のバー表示が目標燃費に相当する位置を越えた場合は、目標燃費以上の部分を目標燃費未満の部分と異なる色で表示している。しかしながら、上記従来技術においては、アイドル状態における燃費については特に考慮されておらず、この点に関して改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することにより、燃費の良い状態への移行を促すことができる作業機械の表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記アクチュエータを操作するための操作装置とを備えた作業機械の運転室に設けられた表示装置であって、前記操作装置の非操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報を表示するアイドル状態表示部を備えたものとする。
【0007】
このように、操作装置の非操作時におけるエンジンの負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報を表示するアイドル状態表示部を設け、操作装置の非操作状態においてエンジンの回転数が最小であるかどうかを示すことができるよう構成したので、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することができ、燃費の良い状態への移行を促すことができる。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記アイドル状態表示部に連なるように配置された表示部であって、前記操作装置の操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報を表示する動作状態表示部を備えたものとする。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記アイドル状態表示部は、前記非操作時動作状態情報に応じて点灯状態と消灯状態をそれぞれ切り替えるローアイドル表示部およびハイアイドル表示部を備え、前記ハイアイドル表示部は、前記非操作時動作状態情報が予め定めた基準値よりも高い状態である場合にのみ点灯状態とするものとする。
【0010】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記非操作時動作状態情報は、前記エンジンの回転数であるものとする。
【0011】
(5)上記(2)〜(4)において、好ましくは、前記操作時動作状態情報は、前記エンジンの燃費であるものとする。
【0012】
(6)また、上記(2)〜(4)において、好ましくは、前記操作時動作状態情報は、前記油圧ポンプの出力であるものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することにより、燃費の良い状態への移行を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態における油圧ショベルの概略を表示装置及びその周辺構成とともに示す図である。
【図2】表示装置の表示部に表示された動作状態情報表示部の詳細を示す図であり、非表示状態を示す図である。
【図3】表示装置の表示部に表示された動作状態情報表示部の詳細を示す図であり、ローアイドル時の表示状態を示す図である。
【図4】表示装置の表示部に表示された動作状態情報表示部の詳細を示す図であり、ハイアイドル時の表示状態を示す図である。
【図5】表示装置の表示部に表示された動作状態情報表示部の詳細を示す図であり、作業時の表示状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における表示処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における油圧ショベルの概略を表示装置及びその周辺構成とともに示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における表示処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態に係る作業機械の一例として示す油圧ショベルの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図6及び図9を参照しつつ説明する。
【0017】
図9は、本実施の形態に係る作業機械の一例として示す油圧ショベルの外観を示す図である。
【0018】
図9において、油圧ショベル(作業機械)は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1に対して旋回可能に設けられた上部旋回体2と、掘削作業手段などを備えるフロント作業機3とから概略構成されている。
【0019】
下部走行体1には左右一対の走行用油圧モータ(図示せず)が配置され、この走行用油圧モータ及びその減速機構等により各クローラが独立して回転駆動され、前方又は後方に走行する。
【0020】
上部旋回体2には、油圧ショベルの各種操作を行う操作装置6やオペレータが着席する運転席等が配置された運転室4、エンジン等の原動機、油圧ポンプ及び旋回モータ(図示せず)などが備えられており、この旋回モータにより上部旋回体2が下部走行体1に対して右方向又は左方向に旋回される。運転室4の内部には、オペレータが油圧ショベル(作業機械)の状況を確認できるように各種の計器類や機体情報が表示される表示装置5が設けられている。
【0021】
フロント作業機3は、ブーム3a、アーム3b及びバケット3cから構成されており、ブーム3aはブームシリンダ3dにより上下動され、アーム3bはアームシリンダ3eによりダンプ側(開く側)又はクラウド側(掻き込む側)に操作され、バケット3cはバケットシリンダ3fによりダンプ側又はクラウド側に操作される。
【0022】
図1は、本実施の形態における油圧ショベルの概略を表示装置5及びその周辺構成とともに示す図である。
【0023】
図1に示すように、油圧ショベルの運転室4には、機体全体の動作を制御する機体コントローラ7と、機体コントローラ7からの信号に基づいて油圧ショベルに関する各種の情報を表示する表示装置5と、原動機であるエンジン9の回転数を機体コントローラ7に指示するエンジンコントロールダイヤル(ECダイヤル)8と、油圧ショベルの各アクチュエータの動作を指示するための複数(本実施の形態では代表して1つを示す)の操作装置6とが設けられている。
【0024】
また、油圧ショベルは、原動機であるエンジン9と、エンジン9により駆動される可変容量型の油圧ポンプ10と、固定容量型のパイロットポンプ11と、油圧ポンプ10から吐出される圧油により駆動されるブームシリンダ3dやアームシリンダ3e、バケットシリンダ3f等の複数のアクチュエータ(図9参照)に供給される圧油を制御するコントロールバルブ群12と、操作装置6からコントロールバルブ群12に送られる操作信号を制御する信号制御弁群13と、油圧ポンプ10の斜板の傾転角を制御するレギュレータ14とを備えている。
【0025】
操作装置6には操作レバー6aが設けられており、オペレータが操作装置6に設けられた操作レバー6aを操作することにより操作信号が生成され、信号制御弁を介してコントロールバルブ群12に送られることにより対象のアクチュエータが駆動される。
【0026】
ECダイヤル8は、オペレータの回転操作によってエンジン9の回転数Nを機体コントローラ7に指示する回転ダイヤル式の指示装置であり、エンジン9の回転数Nの指示可能範囲における最小値、最大値、及びその間の値を無段階に指示することができる。
【0027】
エンジン制御装置9aは、機体コントローラ7と信号の授受を行っており、機体コントローラ7からの制御信号(ECダイヤル8による指示回転数など)に基づいてエンジン9の駆動を制御するとともに、エンジン9から得られる回転数Nや燃料噴射量等の情報を機体コントローラ7に出力する。
【0028】
レギュレータ14は、ポンプトルク制御電磁弁14aを有しており、機体コントローラ7からポンプトルク制御電磁弁14aに出力される制御信号と、操作装置6からコントロールバルブ群12に送られる操作信号基づいて信号制御弁群13で生成される信号とに基づいて油圧ポンプ10の傾転角を制御する。
【0029】
また、油圧回路部には、信号制御弁群13からレギュレータ14に送られる信号圧(すなわち、レギュレータ14の制御圧)を検出するポンプトルク制御電磁弁14bと、油圧ポンプ10の吐出圧を検出する圧力センサ10aとが設けられており、それぞれ検出信号を機体コントローラ7に出力する。機体コントローラ7は、制御電磁弁4aに出力する制御信号、圧力センサ10aの検出信号、及び、ポンプトルク制御電磁弁14bの検出信号に基づいて油圧ポンプ10の吐出容量(傾転)を算出する。
【0030】
機体コントローラ7は、エンジン負荷に関連付けられた情報であるエンジンの動作状態情報を算出するエンジン負荷値算出部7aを有している。エンジン負荷値算出部7aは、動作状態情報としてエンジン9の回転数N[rpm]、燃費(燃料消費量)M[L/h]、ポンプ10のポンプ出力W[kW]などを算出して表示装置5に出力する。
【0031】
例えば、エンジン負荷値算出部7aが動作状態情報としてポンプ出力W[kW]を算出する場合、具体的には、ポンプ10のポンプ容量L[cm]とエンジン回転数N[min−1]からポンプ流量[L/min]を算出し、そのポンプ流量とポンプ圧[MPa]からポンプ出力W[kW]を算出する。
【0032】
表示装置5は、油圧ショベルに関する各種の情報を表示する表示部5aと、各種操作入力を行うための表示操作部5bとを備えており、各種情報の表示や操作を図示しない表示コントローラにより制御している。なお、表示部5aをタッチパネル式の液晶モニタとして表示操作部5bを兼ねる構成としても良い。
【0033】
表示部5aには、機体コントローラ7からの動作状態情報を表示する動作状態情報表示部50が設けられている。
【0034】
図2〜図5は、表示装置5の表示部5aに表示された動作状態情報表示部50の詳細を示す図であり、図2は非表示状態、図3はローアイドル時の表示状態、図4はハイアイドル時の表示状態、図5は作業時の表示状態をそれぞれ示す図である。
【0035】
図2において、動作状態情報表示部50は、機体コントローラ7から出力されるエンジンの動作状態情報である操作時動作状態情報及び非操作時動作状態情報を表示するものであり、操作装置6の非操作時(すなわち、エンジン9がアイドル状態である場合)におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報を表示するアイドル状態表示部50aと、アイドル状態表示部50aに連なるように配置され、操作装置6の操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報を表示する動作状態表示部50bとから構成されている。
【0036】
アイドル状態表示部50aは、非操作時動作状態情報に応じて点灯状態と消灯状態とをそれぞれ切り替えるローアイドル表示部51およびハイアイドル表示部52を備えており、それぞれが表示セルにより構成されている。アイドル状態表示部50aでは、非操作時動作状態情報として機体コントローラ7で算出され出力されるエンジンの回転数Nを用い、その値に応じてローアイドル表示部51およびハイアイドル表示部52の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより非操作時動作状態情報を表示する。
【0037】
ローアイドル表示部51は、エンジン9の回転数Nが0以外の場合、すなわち、油圧ショベルのエンジン9が稼働中である場合は点灯状態となる(図3参照)。なお、エンジン9の回転数Nは、ECダイヤル8の指示値やエンジン制御装置9aの回転数検出機能による検出値に基づいて機体コントローラ7により算出される。
【0038】
ハイアイドル表示部52は、エンジン9の回転数Nが最小値であると判定するために予め定めた回転数Nに関する基準値Nlo以下の場合(すなわち、回転数Nが最小値である場合)であって、かつ、操作装置6が非操作状態であると判定するために予め定めたポンプ出力Wに関する基準値Wlo以下である場合(すなわち、操作装置6が非操作状態である場合)に消灯状態となる。また、ハイアイドル表示部52は、エンジン9の回転数Nが基準値Nloよりも大きい(高い)場合、又は、ポンプ出力Wに関する基準値Wloよりも大きい(高い)場合(すなわち、操作装置6が操作状態である場合)、或いは、その両方の場合に点灯状態となる(図4参照)。
【0039】
すなわち、アイドル状態表示部50aにおいて、エンジン9の回転数Nが最小であって、かつ、操作装置6が非操作状態である場合は、ローアイドル表示部51のみが点灯状態となり、ハイアイドル表示部50は消灯状態となる。また、エンジン9の回転数Nが最小で無い場合と、操作装置6が操作状態である場合の少なくとも何れかの場合は、ローアイドル表示部51及びハイアイドル表示部52の両方が点灯状態となる。これにより、操作装置6の非操作状態においてエンジン9の回転数Nが最小であるかどうかを示すことができるので、エンジン負荷の状態をオペレータに直感的に認知させることができ、したがって、アイドル状態における燃費の良い状態への移行を促すことができる。
【0040】
動作状態表示部50bは、操作時動作状態情報に応じて点灯状態と消灯状態とをそれぞれ切り替える複数(本例では8つ)の表示セル53,・・・,60により構成されている。動作状態表示部50bにおいて、複数の表示セル53,・・・,60は、アイドル状態表示部50aのハイアイドル表示部52側に連なるように配置されている。動作状態表示部50bでは、操作時動作状態情報として機体コントローラ7で算出される油圧ポンプ10のポンプ出力Wを用い、その値に応じて各表示セル53,・・・,60の点灯状態と消灯状態を切り替えることにより操作時動作状態情報を表示する。
【0041】
動作状態表示部50bは、操作装置6が非操作状態であると判定するために予め定めたポンプ出力Wに関する基準値Wloよりも大きい(高い)場合(すなわち、操作装置6が操作状態である場合)に、そのポンプ出力Wの大きさに応じて各表示セル53,・・・,60の点灯状態と消灯状態を切り替えており、ポンプ出力Wが大きくなるのに従って、最もアイドル状態表示部50a側の表示セル53から順に点灯状態とし、点灯状態の表示セルの数を増加させることによってポンプ出力W(操作時動作状態情報)の大きさを示している(図5参照)。具体的には、各表示セル53,・・・,60が点灯状態となる場合のポンプ出力Wの基準値を予め設定する。
【0042】
例えば、最もアイドル状態表示部50aから遠い側の表示セル60が点灯する条件(表示最大値Whi)を設定し、Wlo〜Whiの範囲内で動作状態表示部50bの表示セル53,・・・,60の数で等間隔に基準値が設定されるようにすれば、ポンプ出力Wが大きくなるに従って、表示セル53から表示セル60側に向って順に点灯状態となる表示セルが増加する。これにより、ポンプ出力Wの増減を示すことができ、オペレータはエンジン負荷の状態を直感的に認知することができる。
【0043】
このように、本実施の形態の表示装置5において、動作状態情報表示部50は、複数(本例では10個)の表示セル51,・・・,60が表示部5aに上下方向に連続して並んだ構成となっており、エンジン負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報(本実施の形態ではエンジン9の回転数N)や操作時動作状態情報(本実施の形態ではポンプ10のポンプ出力W)が大きくなるに従って、点灯状態の表示セル数が増加するので、オペレータは直感的にエンジン9の負荷状態を認知することができる。また、エンジン9の負荷状態は燃費とも考えることができ、オペレータはエンジン9の燃費を間接的に認知することができる。
【0044】
続いて、表示装置5における動作状態情報表示部50の表示処理の詳細を図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0045】
図6は、本実施の形態における表示処理を示すフローチャートである。
【0046】
表示装置5は、油圧ショベルが稼動状態である場合において、まず、動作状態情報表示部50のローアイドル表示部51を点灯状態とする(ステップS10)。続いて、機体コントローラ7からエンジン9の回転数Nを取得し(ステップS20)、取得した回転数Nが予め定めた基準値Nlo以下であるかどうかを判定する(ステップS30)。ステップS30での判定結果がYESの場合は、機体コントローラ7からポンプ10のポンプ出力Wの算出結果を取得し(ステップS40)、取得したポンプ出力Wが予め定めた基準値Wlo以下であるかどうかを判定して(ステップS50)、判定結果がYESの場合は処理を終了する。また、ステップS50での判定結果がNOの場合は、ハイアイドル表示部52を点灯状態とし(ステップS51)、続いて、ポンプ出力Wの大きさに応じて動作状態表示部50bの対応する表示セル53,・・・,60を点灯状態として(ステップS52)、処理を終了する。一方、ステップS30での判定結果がNOの場合は、ハイアイドル表示部52を点灯状態とする(ステップS60)。続いて、機体コントローラ7からポンプ10のポンプ出力Wの算出結果を取得し(ステップS70)、取得したポンプ出力Wが予め定めた基準値Wlo以下であるかどうかを判定して(ステップS80)、判定結果がYESの場合は処理を終了する。また、ステップS80での判定結果がNOの場合は、ポンプ出力Wの大きさに応じて動作状態表示部50bの対応する表示セル53,・・・,60を点灯状態とし(ステップS81)、処理を終了する。
【0047】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0048】
オペレータが運転室4の運転席に着席した状態で操作装置6を操作し、フロント作業機3による作業を行う場合、オペレータは作業の軽重に応じてECコントローラ8によりエンジン9の回転数Nを所望の値に設定する。
【0049】
ECコントローラ8の設定値を最小値とした場合、操作装置6の操作中は、動作状態情報表示部50の表示セル51,52が点灯状態になるとともに、表示セル53,・・・,60がポンプ出力W[kW]に応じて点灯状態となり、エンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報をオペレータに報知する。また、操作装置6の非操作中は、表示セル(ローアイドル表示部)51のみが点灯状態となり、ローアイドル状態であることをオペレータに報知する。
【0050】
ECコントローラ8の設定値を最小値以外にした場合、操作装置6の操作中は、動作状態情報表示部50の表示セル51,52が点灯状態になるとともに、表示セル53,・・・,60がポンプ出力W[kW]に応じて点灯状態となり、エンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報をオペレータに報知する。また、操作装置6の非操作中は、表示セル(ローアイドル表示部)51、及び、表示セル52(ハイアイドル表示部)の両方が点灯状態となり、ハイアイドル状態であることをオペレータに報知する。これにより、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することができ、燃費の良い状態への移行、すなわち、ECコントローラ8を最小値に設定してローアイドル状態へ移行することを促すことができる。
【0051】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0052】
従来技術においては、燃費をリアルタイムにバーの長さで表示しており、この燃費のバー表示が目標燃費に相当する位置を越えた場合は、目標燃費以上の部分を目標燃費未満の部分と異なる色で表示している。しかしながら、上記従来技術においては、アイドル状態における燃費については特に考慮されておらず、この点に関して改良の余地が残されていた。
【0053】
これに対し本実施の形態においては、操作装置6の非操作時におけるエンジン9の負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報を表示するアイドル状態表示部5aを設けたので、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することができ、燃費の良い状態への移行を促すことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、動作状態情報表示部50の動作状態表示部50bに表示する操作時動作状態情報としてポンプ出力W[kW]を用いる場合について説明したが、これに限られず、操作時動作状態情報として燃費(燃料消費量)M[L/h]を用いても良い。
【0055】
また、動作状態情報表示部50は、複数(本例では10個)の表示セル51,・・・,60が上下方向に連続して並んだ構成として説明したが、これに限られず、例えば、表示セル51,・・・,60が左右方向に並んだ構成としても良い。また、動作状態情報表示部50を構成する複数の表示セル51,・・・,60は直線的に並ぶ必要は無く、例えば、湾曲したり、屈曲したりする並びであっても良い。また、動作状態情報表示部50を構成する複数の表示セル51,・・・,60は動形状である必要はなく、例えば、表示セル51と表示セル52の並び方向の長さを異ならせるよう構成しても良い。また、アイドル状態表示部50aにおけるハイアイドル表示部52は、1つのセルで構成する必要は無く、例えば、2つ以上の表示セルで構成し、エンジン9の回転数Nが大きくなるに従って点灯状態の表示セル数が増加するように構成しても良い。
【0056】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図7及び図8を参照しつつ説明する。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図7は、本実施の形態における油圧ショベルの概略を表示装置5及びその周辺構成とともに示す図である。
【0058】
図7に示すように、油圧ショベルの運転室4には、機体全体の動作を制御する機体コントローラ7Aと、機体コントローラ7Aからの信号に基づいて油圧ショベルに関する各種の情報を表示する表示装置5と、原動機であるエンジン9の回転数を機体コントローラ7Aに指示するエンジンコントロールダイヤル(ECダイヤル)8と、油圧ショベルの各アクチュエータの動作を指示するための複数(本実施の形態では代表して1つを示す)の操作装置6とが設けられている。
【0059】
また、油圧ショベルは、原動機であるエンジン9と、エンジン9により駆動される可変容量型の油圧ポンプ10と、固定容量型のパイロットポンプ11と、油圧ポンプ10から吐出される圧油により駆動されるブームシリンダ3dやアームシリンダ3e、バケットシリンダ3f等の複数のアクチュエータ(図9参照)に供給される圧油を制御するコントロールバルブ群12と、操作装置6からコントロールバルブ群12に送られる操作信号を制御する信号制御弁群13と、油圧ポンプ10の斜板の傾転角を制御するレギュレータ14とを備えている。
【0060】
操作装置6には操作レバー6aが設けられており、オペレータが操作装置6に設けられた操作レバー6aを操作することにより操作信号が生成され、信号制御弁を介してコントロールバルブ群12に送られることにより対象のアクチュエータが駆動される。
【0061】
ECダイヤル8は、オペレータの回転操作によってエンジン9の回転数Nを機体コントローラ7Aに指示する回転ダイヤル式の指示装置であり、エンジン9の回転数Nの指示可能範囲における最小値、最大値、及びその間の値を無段階に指示することができる。
【0062】
エンジン制御装置9aは、機体コントローラ7Aと信号の授受を行っており、機体コントローラ7Aからの制御信号(ECダイヤル8による指示回転数など)に基づいてエンジン9の駆動を制御するとともに、エンジン9から得られる回転数Nや燃料噴射量等の情報を機体コントローラ7Aに出力する。
【0063】
レギュレータ14は、ポンプトルク制御電磁弁14aを有しており、機体コントローラ7Aからポンプトルク制御電磁弁14aに出力される制御信号と、操作装置6からコントロールバルブ群12に送られる操作信号基づいて信号制御弁群13で生成される信号とに基づいて油圧ポンプ10の傾転角を制御する。
【0064】
また、油圧回路部には、信号制御弁群13からレギュレータ14に送られる信号圧(すなわち、レギュレータ14の制御圧)を検出するポンプトルク制御電磁弁14bと、油圧ポンプ10の吐出圧を検出する圧力センサ10aと、操作装置6から信号制御弁郡13に送られる操作信号圧を検出する操作圧センサ13aとが設けられており、それぞれ検出信号を機体コントローラ7Aに出力する。機体コントローラ7Aは、制御電磁弁4aに出力する制御信号、圧力センサ10aの検出信号、及び、ポンプトルク制御電磁弁14bの検出信号に基づいて油圧ポンプ10の吐出容量(傾転)を算出する。
【0065】
機体コントローラ7Aは、エンジン負荷に関連付けられた情報であるエンジンの動作状態情報を算出するエンジン負荷値算出部7aと、操作装置6の操作信号圧から操作状態であることを判定する操作判定部7bとを有している。エンジン負荷値算出部7aは、動作状態情報としてエンジン9の回転数N[rpm]、燃費(燃料消費量)M[L/h]、ポンプ10のポンプ出力W[kW]などを算出して表示装置5に出力する。例えば、エンジン負荷値算出部7aが動作状態情報としてポンプ出力W[kW]を算出する場合、具体的には、ポンプ10のポンプ容量L[cm]とエンジン回転数N[min−1]からポンプ流量[L/min]を算出し、そのポンプ流量とポンプ圧[MPa]からポンプ出力W[kW]を算出する。
【0066】
表示装置5は、油圧ショベルに関する各種の情報を表示する表示部5aと、各種操作入力を行うための表示操作部5bとを備えており、各種情報の表示や操作を図示しない表示コントローラにより制御している。なお、表示部5aをタッチパネル式の液晶モニタとして表示操作部5bを兼ねる構成としても良い。
【0067】
表示部5aには、機体コントローラ7Aからの動作状態情報を表示する動作状態情報表示部50が設けられている。
【0068】
図8は、本実施の形態における表示処理を示すフローチャートである。
【0069】
表示装置5は、油圧ショベルが稼動状態である場合において、まず、動作状態情報表示部50のローアイドル表示部51を点灯状態とする(ステップS110)。次に、操作圧センサ13aが操作信号を検出したかどうかを判定し、判定結果がYESの場合は、ハイアイドル表示部52を点灯状態とし(ステップS130)、続いて、機体コントローラ7Aからポンプ10のポンプ出力Wの算出結果を取得し(ステップS140)、ポンプ出力Wの大きさに応じて動作状態表示部50bの対応する表示セル53,・・・,60を点灯状態とし(ステップS150)、処理を終了する。また、ステップS120での判定結果がNOの場合は、機体コントローラ7Aからエンジン回転数Nを取得し(ステップS160)、取得した回転数Nが予め定めた基準値lo以下であるかどうかを判定し(ステップS170)、判定結果がYESである場合には処理を終了する。また、ステップS170での判定結果がNOである場合には、ハイアイドル表示部52を点灯状態とし(ステップS180)、処理を終了する。
【0070】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0071】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0072】
オペレータが運転室4の運転席に着席した状態で操作装置6を操作し、フロント作業機3による作業を行う場合、オペレータは作業の軽重に応じてECコントローラ8によりエンジン9の回転数Nを所望の値に設定する。
【0073】
ECコントローラ8の設定値を最小値とした場合、操作装置6の操作中は、動作状態情報表示部50の表示セル51,52が点灯状態になるとともに、表示セル53,・・・,60がポンプ出力W[kW]に応じて点灯状態となり、エンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報をオペレータに報知する。また、操作装置6の非操作中は、表示セル(ローアイドル表示部)51のみが点灯状態となり、ローアイドル状態であることをオペレータに報知する。
【0074】
ECコントローラ8の設定値を最小値以外にした場合、操作装置6の操作中は、動作状態情報表示部50の表示セル51,52が点灯状態になるとともに、表示セル53,・・・,60がポンプ出力W[kW]に応じて点灯状態となり、エンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報をオペレータに報知する。また、操作装置6の非操作中は、表示セル(ローアイドル表示部)51、及び、表示セル52(ハイアイドル表示部)の両方が点灯状態となり、ハイアイドル状態であることをオペレータに報知する。これにより、アイドル状態におけるエンジン負荷の状態をオペレータに報知することができ、燃費の良い状態への移行、すなわち、ECコントローラ8を最小値に設定してローアイドル状態へ移行することを促すことができる。
【0075】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 フロント作業機
4 運転室
5 表示装置
5a 表示部
5b 表示操作部
6 操作装置
7,7A 機体コントローラ
8 エンジンコントロール(EC)ダイヤル
9 エンジン
9a エンジン制御装置
10 油圧ポンプ
10a 圧力センサ
11 パイロットポンプ
12 コントロールバルブ群
13 信号制御弁群
13a 操作圧センサ
14 レギュレータ
14a ポンプコントロール圧センサ
50 動作状態情報表示部
50a アイドル状態表示部
50b 動作状態表示部
51,・・・,60 表示セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記アクチュエータを操作するための操作装置とを備えた作業機械の表示装置であって、
前記操作装置の非操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である非操作時動作状態情報を表示するアイドル状態表示部を備えたことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械の表示装置において、
前記アイドル状態表示部に連なるように配置された表示部であって、前記操作装置の操作時におけるエンジン負荷に関連付けられた情報である操作時動作状態情報を表示する動作状態表示部を備えたことを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の作業機械の表示装置において、
前記アイドル状態表示部は、前記非操作時動作状態情報に応じて点灯状態と消灯状態をそれぞれ切り替えるローアイドル表示部およびハイアイドル表示部を備え、
前記ハイアイドル表示部は、前記非操作時動作状態情報が予め定めた基準値よりも高い状態である場合にのみ点灯状態とすることを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の作業機械の表示装置において、
前記非操作時動作状態情報は、前記エンジンの回転数であることを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項記載の作業機械の表示装置において、
前記操作時動作状態情報は、前記エンジンの燃費であることを特徴とする作業機械の表示装置。
【請求項6】
請求項2〜4の何れか1項記載の作業機械の表示装置において、
前記操作時動作状態情報は、前記油圧ポンプの出力であることを特徴とする作業機械の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−225004(P2012−225004A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91575(P2011−91575)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】