説明

作業機械

【課題】機体の後方確認が必要な作業時にのみ、後方確認灯が自動的に点灯できる作業機械を提供する。
【解決手段】機体14の前方を照明する前照灯25、機体14の後方を照明する後方確認灯27、機体14の後方を撮像する後方確認カメラ26、およびこの後方確認カメラ26による撮像を表示するモニタを設ける。前照灯25を点灯し、かつ後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を起動すると、機体14に搭載された制御部は、後方確認灯27を点灯させるように制御する。さらに、後方確認灯27が点灯している状態で、後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示が停止すると、制御部は、後方確認灯27を消灯させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後方を照明するための後方確認灯が設けられた作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示されるように、油圧ショベル1などの作業機械は、夜間などの視界が悪い時に作業することも多く、このように作業時の視界が悪いときのために、機体2の前方に設けられた作業装置3の側面、キャブ本体5の上部、機体2側方の昇降口(ストレージボックス付近)に、油圧ショベル1の前方の作業領域を照明する前照灯4が設けられている。
【0003】
そして、作業中に作業位置を変える場合に、上部旋回体を旋回させるので、機体の後方の状態を確認するために機体の後方を照明する後方確認灯が設けられ、上部旋回体の旋回にともなって後方確認灯を点灯させる作業機械もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、より作業性を向上させるために、機体の後方部のカウンタウェイト上に、機体の後方の状態を撮像する後方確認カメラを設置し、キャブ内の専用モニタあるいは既存モニタで機体の後方の状態を確認できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平5−112975号公報(第2頁、図3)
【特許文献2】特開2003−221844号公報(第4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後方確認灯および後方確認カメラを同一の作業機械に設置する場合は、それぞれを点灯および作動される操作が必要となり、操作性がよくない。
【0006】
一方、後方確認カメラの作動と連動して後方確認灯を点灯させる場合は、後方確認灯を必要としない昼間も自動的に点灯することになり、省エネルギー上好ましくない。
【0007】
また、後方にカメラを設けて、キャブ内のモニタにて後方の状態を確認できる作業機械では、キャブ内のモニタのみを見ているので、モニタを別の画面に切り替えたり、消してしまうと、後方確認灯を消灯し忘れる可能性もあり、後方確認が必要ない場合でも点灯したままにしてしまうことがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、機体の後方確認が必要な作業時にのみ、後方確認灯が自動的に点灯できる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、機体と、機体の前方を照明する前照灯と、機体の後方を照明する後方確認灯と、機体の後方を撮像する後方確認カメラと、後方確認カメラによって撮られた像より機体の後方の状態が確認可能なモニタと、前照灯を点灯させ、かつ後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を起動すると、後方確認灯を点灯させる制御をする制御部とを具備したことを特徴とする作業機械である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の作業機械において、制御部は、後方確認灯が点灯している状態で、後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を停止させると、後方確認灯を消灯させる制御をするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の作業機械において、後方確認カメラは、カウンタウェイトの上面の中央部に配置され、後方確認灯は、後方確認カメラの左右両側に配置されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、前照灯を点灯させ、かつ後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を起動すると、後方確認灯を点灯するように制御部によって制御されることで、例えば前照灯を必要とする夜間作業、トンネル内などの暗所作業であって、モニタにより後方確認が必要な作業時に、確実に後方確認灯を点灯でき、後方確認カメラおよびモニタによって機体の後方の状態を確認しながら効率の良い作業をできる。また、前照灯を点灯させ、後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を起動することで自動的に後方確認灯が点灯するので、操作性が向上するとともに、前照灯を必要としない昼間は、モニタを起動させても後方確認灯が点灯しないので、電力の浪費を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、モニタによる後方確認が必要ないときにモニタ表示を後方確認カメラによる撮像から変更すると、自動的に後方確認灯が消灯するので、操作性が向上するとともに、後方確認灯を消し忘れることがなく、電力の浪費を防止することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、カウンタウェイト上に、後方確認カメラおよび後方確認灯を設置するので、後方確認カメラおよび後方確認灯を設置する特別なスペースを必要とせず、容易に取付けることができる。また、後方確認カメラの左右両側に後方確認灯が設けられるので、後方確認カメラの撮像に必要とする十分な光量をバランスよく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を、図1乃至図4に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、作業機械としての油圧ショベル11を示し、この油圧ショベル11は、下部走行体12と、この下部走行体12上に旋回可能に設けられた上部旋回体13により機体14が構成されている。
【0017】
上部旋回体13上には、キャブ15、動力装置16、カウンタウェイト17などとともに、作動流体圧としての作動油圧により作動する作業装置18が設置されている。この作業装置18は、油圧シリンダ19,20,21により回動されるブーム22、アーム23、バケット24などを備え、ブーム23の側面、キャブ15の上部、機体14側方の昇降口(ストレージボックス付近)に、油圧ショベル11の前方の作業領域を照明する前照灯25が設けられている。
【0018】
図2は、機体14の後方部を示し、上部旋回体13上のカウンタウェイト17上面の中央部には、機体14の後方の状態を撮像する後方確認カメラ26が設けられ、この後方確認カメラ26の左右両側に、機体14の後方を照明する後方確認灯27が設けられている。
【0019】
図3に示すように、制御部28には、前照灯25をオン、オフ操作する前照灯スイッチ29、モニタ30、前照灯25、後方確認灯27、後方確認カメラ26が接続される。モニタ30は、キャブ15内に設けられ、通常は燃料残量などの機体14の稼動状態を表示しているが、モニタ30自体を操作することで後方確認カメラ26によって撮られた像の表示などに変更される。
【0020】
そして、制御部28は、前照灯25が点灯され、かつ後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示が起動すると、自動的に後方確認灯27を点灯させ、また、後方確認灯27が点灯している状態で、後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を停止させると、自動的に後方確認灯27が消灯するように制御する。
【0021】
次に、実施の形態の一制御例を、図4に示されたフローチャートを参照して説明する。
【0022】
(ステップS1)
制御部28は、前照灯25が点灯されたか否かを判定し、点灯された場合は、ステップS2へ進み、点灯されていない場合は、再度ステップS1にて前照灯25が点灯されたか否かを判定する。
【0023】
(ステップS2)
制御部28は、後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示が起動されたか否かを判定し、起動された場合は、ステップS3へ進み、起動されていない場合はステップS1に戻る。
【0024】
(ステップS3)
制御部28は、前照灯25を点灯させ、かつ後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を起動すると、機体14の後方を照明する後方確認灯27を点灯させて、夜間などの視界が悪い状態であっても、後方確認カメラ26が撮像するのに必要な光量を確保する。
【0025】
(ステップS4)
制御部28は、後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示が停止されたか否かを判定し、停止された場合はステップS5へ進み、モニタ表示を継続している場合は、後方確認灯27を点灯し続ける。
【0026】
(ステップS5)
制御部28は、ステップS4で後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示が停止されたと判定したら、後方確認灯27を消灯させ、ステップS1に戻る。
【0027】
次に、実施の形態の効果を説明する。
【0028】
上記一実施の形態によれば、前照灯25を点灯させ、かつ後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を起動すると、後方確認灯27を点灯するように制御部28によって制御されることで、前照灯25を必要とする夜間作業、トンネル内などの暗所作業であって、モニタ30により後方確認が必要な作業時に、確実に後方確認灯27を点灯でき、後方確認カメラ26およびモニタ30によって機体14の後方の状態を確認しながら効率の良い作業をできる。また、前照灯25を点灯させ、かつ後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を起動することで自動的に後方確認灯27が点灯するので、操作性が向上するとともに、前照灯25を必要としない昼間は、モニタ30を起動させても後方確認灯27が点灯しないので、電力の浪費を防止することができる。
【0029】
モニタ30による後方確認が必要ないときに、後方確認灯が点灯している状態で、後方確認カメラ26による撮像のモニタ表示を停止させると、自動的に後方確認灯27が消灯するので、操作性が向上するとともに、後方確認灯27を消し忘れることがなく、電力の浪費を防止することができる。
【0030】
カウンタウェイト17上に、後方確認カメラ26および後方確認灯27を設置するので、後方確認カメラ26および後方確認灯27を設置するための特別なスペースを設ける必要がなく、容易に取付けることができる。また、後方確認カメラ26の左右両側に後方確認灯27が設けられるので、後方確認カメラ26の撮像に必要とする十分な光量をバランスよく得ることができる。
【0031】
本発明は、油圧ショベルなどの機体の後方を確認しながら作業する場合がある作業機械に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る作業機械の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上作業機械の後方部の斜視図である。
【図3】同上作業機械のブロック図である。
【図4】同上作業機械の一制御例を示すフローチャートである。
【図5】従来の作業機械を示す側面図である。
【符号の説明】
【0033】
11 作業機械としての油圧ショベル
14 機体
17 カウンタウェイト
25 前照灯
26 後方確認カメラ
27 後方確認灯
28 制御部
30 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
機体の前方を照明する前照灯と、
機体の後方を照明する後方確認灯と、
機体の後方を撮像する後方確認カメラと、
後方確認カメラによって撮られた像より機体の後方の状態が確認可能なモニタと、
前照灯を点灯させ、かつ後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を起動すると、後方確認灯を点灯させる制御をする制御部と
を具備したことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
制御部は、
後方確認灯が点灯している状態で、後方確認カメラによる撮像のモニタ表示を停止させると、後方確認灯を消灯させる制御をする
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械。
【請求項3】
後方確認カメラは、
カウンタウェイトの上面の中央部に配置され、
後方確認灯は、
後方確認カメラの左右両側に配置された
ことを特徴とする請求項1または2記載の作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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