説明

作業機連結装置

【課題】 連結枠を構成する枠本体と梁部材と取付部材とによって、本体側コネクタを上下左右方向から囲うだけでなく前後方向においても保護及び泥土の遮蔽ができるようにする。
【解決手段】 トラクタ車体Tにリンク機構Lを介して連結した連結枠2に作業機3を連結し、連結枠2の本体側コネクタ7に作業機3の作業機側コネクタ6を接続する。連結枠2は、上連結部2Uと左右下連結部2Dを設けた山形状の枠本体2Aと、枠本体2Aの左右側部の上下中途部を連結する梁部材2Bと、梁部材2Bと左右各下連結部2Dとを連結した取付部材2Cとを有する。本体側コネクタ7を枠本体2Aと梁部材2Bと取付部材2Cとによって囲まれた位置でかつそれらと前後方向で略重なる位置に配置し、かつ陰陽端子7a、7bを左右向きにして配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに作業機を自動連結する作業機連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに作業機を自動連結する作業機連結装置がある(特許文献1参照)。
この作業機連結装置は、トラクタ車体の後部にリンク機構を介して連結枠を連結し、この連結枠に上連結部と左右一対の下連結部とを形成して作業機の上係合部及び左右一対の下係合部をそれぞれ係脱自在に係合し、トラクタ車体のPTO軸と作業機のPIC軸とをジョイント軸で連結し、連結枠にジョイント軸のPIC軸側ヨークを保持する保持具を設けるとともに、作業機に装着された電源用作業機側コネクタと接続される電源用本体側コネクタを設けている。
【0003】
前記連結枠は、中央上部に上連結部を設けかつ左右下部に下連結部を設けた山形状の枠本体と、この枠本体の下端より後方側で左右下連結部を左右方向に連結する連結部材と、この連結部材上に立設された一対の支持部材と、一方の支持部材の外面に設けられた固定部材とを有し、本体側コネクタは固定部材から後方に突出されている。
また、連結枠における保持具の支持構造としては、特許文献2に開示されているように、連結枠の山形状の枠本体に左右側部の上下中途部を連結する梁部材を設け、この梁部材と左右下連結部とを正面視L字状の取付部材で連結し、この取付部材の縦部に保持具を支持する支持部材を取り付けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−153087号公報
【特許文献2】特開2000−316310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記前者従来技術の本体側コネクタは、枠本体の下端より後方側の連結部材上の固定部材からさらに後方に突出されているので、枠本体、連結部材及び支持部材から上下左右が露出状態に配置されており、連結枠に作業機が連結されていない状態では、本体側コネクタは他の部材が周囲からぶつかつことに対して保護されていなく、作業機が連結されていても、圃場からの跳ね上がり泥土が遮蔽されない無防備な配置構造になっている。
【0006】
そこで、本体側コネクタを後者従来技術の枠本体と梁部材と取付部材とによって囲まれた空間に配置することが考えられるが、梁部材及び取付部材から後方へ大きく突出して露出していれば、保護及び泥土飛散に対し遮蔽が十分とはなり難い。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした作業機連結装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、連結枠に装着される本体側コネクタを、上下左右を他のものの衝突から保護するだけでなく泥土の遮蔽をできるだけ行えるようにした作業機連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、トラクタ車体Tにリンク機構Lを介して山形状の枠本体2Aからなる連結枠2を連結し、この連結枠2に上連結部2Uと左右一対の下連結部2Dとを形成して作業機3の上係合部3U及び左右一対の下係合部3Dをそれぞれ係脱自在に係合し、トラクタ車体TのPTO軸TPと作業機3のPIC軸3Pとをジョイント軸Jで連結し、前記連結枠2にジョイント軸JのPIC軸側ヨークJaを保持する保持具4を横軸回り揺動可能に支持する左右支持部材5を設けるとともに、作業機3に装着された電源用作業機側コネクタ6と接続される電源用本体側コネクタ7を設けており、
前記連結枠2は、枠本体2Aの左右側部の上下中途部を左右方向に連結する梁部材2Bと、この梁部材2Bと左右各下連結部2Dとを連結しかつ前記支持部材5を取り付けたL字状の取付部材2Cとを有しており、
前記連結枠2の上連結部2Uに作業機3の上係合部3Uを係合して作業機3を吊り上げることにより、連結枠2の下連結部2D、ヨークJa及び本体側コネクタ7に、作業機3の下連結部2D、PIC軸3P及び作業機側コネクタ6がそれぞれ自動的に接続される作業機連結装置であって、
前記本体側コネクタ7を枠本体2Aと梁部材2Bと取付部材2Cとによって囲まれた位置でかつそれらと前後方向で略重なる位置に配置し、かつ陰陽端子7a、7bを左右向きにして配置していることを特徴とする。
【0009】
第2に、前記L字状の取付部材2Cは、上端が梁部材2Bと連結された縦部2Caと、この縦部2Caの下端から外側方に延びて外端が下連結部2Dと連結された横部2Cbとを有していて、前記縦部2Caの連結枠中心側に左右支持部材5を設け、前記横部2Cb上に本体側コネクタ7を横部2Cbから上方へ離れた位置に取り付ける装着台8を設けていることを特徴とする。
【0010】
第3に、前記作業機側コネクタ6を作業機3に対して弾力的に上下傾動可能にする弾性取付具6Bを介在して装着し、及び/又は、本体側コネクタ7を連結枠2に対して弾力的に上下傾動可能にする弾性取付具を介在して装着していることを特徴とする。
第4に、前記連結枠2に左右下連結部2Dから距離の異なる第1、第2上連結部2U1、2U2を設け、左右支持部材5に第1、第2上連結部2U1、2U2にそれぞれ上係合部3Uが係合される作業機3のPIC軸3Pと対向する位置に保持具4を配置する第1、第2係止部5U、5Dを設けており、前記本体側コネクタ7を第1係止部5Uに係止される保持具4と第2係止部5Dに係止される保持具4との上下方向中途高さに配置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結枠を構成する枠本体と梁部材と取付部材とによって、本体側コネクタを上下左右方向から囲うだけでなく前後方向においてもそれらと略重なる位置に配置することにより、保護及び泥土の遮蔽ができる。
即ち、請求項1に係る発明は、本体側コネクタ7の陰陽端子7a、7bを左右向きにして配置して、作業機3の自動接続の際に作業機側コネクタ6と本体側コネクタ7の接続を正確かつ容易にした上で、本体側コネクタ7を枠本体2Aと梁部材2Bと取付部材2Cとによって囲まれた位置でかつそれらと前後方向で略重なる位置に配置することにより、作業機3を離脱しているときでも、本体側コネクタ7の上下左右及び前後方向の保護及び泥土の遮蔽ができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、横部2Cb上の装着台8を介して本体側コネクタ7を横部2Cbから上方へ離れた位置に取り付けているので、本体側コネクタ7の地上高を高くでき、枠本体2Aと梁部材2Bと取付部材2Cの縦部2Ca及び横部2Cbとで囲まれる空間の中央適正位置に配置でき、前後方向の位置も最適にできる。
請求項3に係る発明は、作業機側コネクタ6及び/又は本体側コネクタ7が弾力的に上下傾動可能にする弾性取付具を介在して装着されていることにより、相互の接続、離脱が円滑にかつ確実に行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、連結枠2を異なる種類の作業機3が連結可能な構成であっても、1カ所に固定の本体側コネクタ7を共有でき、作業機3における作業機側コネクタ6の取り付け位置が大きく異なることがなく、正確かつ容易な接続も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示す全体側面図である。
【図2】連結枠の正面図である。
【図3】コネクタ離脱時の連結枠の斜視図である。
【図4】コネクタ離脱時の要部の拡大斜視図である。
【図5】連結枠と作業機の離脱時の側面図である。
【図6】コネクタ離脱時の連結枠の一部断面側面図である。
【図7】コネクタ接続時の連結枠の一部断面側面図である。
【図8】コネクタ離脱時の連結枠の断面平面図である。
【図9】コネクタ接続時の連結枠の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、5において、トラクタ車体Tに装着の作業機連結装置1に、培土器付きロータリ耕耘機で例示した作業機3を標準状態(標準3点リンク仕様の装着状態)で装着しており、作業機連結装置1のトップリンクL1及びトップリンクブラケット11を特殊3点リンク仕様のものに変更することにより、特殊3点リンク仕様装着状態に変更することが可能になっている。
【0016】
トラクタ車体Tは、背面上部にトップリンクブラケット11を装着し、後部に油圧シリンダ及びリフトアーム14で構成された作業機昇降装置12を搭載し、後下部にロワーリンクピン13を有し、PTO軸TPが背面略中央から後方に突出されている。
3点リンク機構で例示したリンク機構LはトップリンクL1と左右一対のロワーリンクL2とを有し、トップリンクL1の前連結部はトップリンクブラケット11にピンを介して連結され、左右ロワーリンクL2の前連結部はロワーリンクピン13に連結されており、このロワーリンクL2は作業機昇降装置12のリフトアーム14とリフトロッド15を介して連結され、昇降自在になっている。
【0017】
3点リンク機構Lの後端、即ちトップリンクL1の後端と左右のロワーリンクL2の後端とには連結枠2を連結しており、この連結枠2に標準3点リンク仕様(又は特殊3点リンク仕様)の作業機3が、着脱自在にかつ作業機昇降装置12の昇降によって昇降自在に連結されていると共に、PTO軸TPとPIC軸3Pがジョイント軸Jを介して連動連結されている。
【0018】
前記作業機3は、機枠(ロータリ機枠)3Aに、連結枠2の上連結部2Uと係合される上係合部3Uと、連結枠2の左右下連結部2Dと係合される下係合部3Dとを設けている。
前記作業機3は、連結枠2の上連結部2Uに上係合部3Uを係合して吊り上げることにより、作業機3の下部が連結枠2側に近づいて、連結枠2の下連結部2D及びジョイント軸JのヨークJaに、作業機3の下連結部2D及びPIC軸3Pがそれぞれ自動的に接続され、また、これらと同時に、後述する本体側コネクタ7と作業機側コネクタ6とが自動的に接続される。
【0019】
図1〜9において、前記作業機連結装置1として組み込まれる連結枠2は角パイプ(又は丸パイプ、フラットバー等でもよい)で正面視山形状(略A字形状)に形成された枠本体2Aを有し、この枠本体2Aは中央上部に上部体22を固着し、左右下部に下部体23を固着しており、枠本体2Aの上下中途高さの左右中途部を枠本体2Aと同一材料の梁部材2Bで繋がれ、梁部材2Bの中途部左右と枠本体2Aの左右下部体23とを左右一対の正面視略L字状の取付部材2Cで繋いで構成されている。
【0020】
前記上部体22は、前上部にピンを貫通してトップリンクL1の後連結部と連結され、後部には上下一対の凹状の第1、第2上連結部2U1、2U2が形成されている。この第1、第2上連結部2U1、2U2は下連結部2Dから異なる距離にあり、標準仕様又は特殊仕様の作業機3の上係合部3Uと択一的に係合するものである。
前記下部体23は2枚の板材又はU字状に折り曲げた部材で形成され、その前部から突出した板材から外側方へピンを突出してロワーリンクL2の後連結部と連結される後部連結点24を形成している。
【0021】
この下部体23の後部には後方開放凹状の下連結部2Dを形成している。この下連結部2Dは、下部体23を形成する2枚の板状部分に側面視略U字状(又はJ字状)の板材27を固着している。
また、前記下部体23には、図1、2、5に示すように、横軸25を介してロック部材26が回動可能に支持されており、略U字状板材27から突出可能になっている。このロック部材26は略U字状板材27から突出することにより、下連結部2Dに係合した下係合部3Dと係合可能であり、係合することにより下連結部2Dから下係合部3Dが離脱するのを阻止する。
【0022】
ロック部材26はコイルバネによって下係合部3Dに係合する方向に付勢されており、その前部は解除手段28の山形状のリンク29に連結されている。解除手段28は梁部材2Bに固定のブラケット30にアーム31が枢支され、このアーム31にリンク29の中央が相対回転自在に貫通され、またアーム31に操作レバー32が固着されており、操作レバー32を回動操作することにより、リンク29がアーム31を越えて移動し、ロック部材26が回動して下係合部3Dとの係合が解除されるようになっている。
【0023】
図1〜3、5において、作業機3の動力伝達系を構成するPTO軸TPとPIC軸3Pとはジョイント軸Jで連動連結されており、ジョイント軸Jは中途部が伸縮自在軸となっていて、PTO軸TPに連結される側とPIC軸3Pに連結される側とにはフック式継ぎ手からなる自在継ぎ手36を有している。なお、PTO軸TP側及びPIC軸3P側に等角自在継ぎ手を採用してもよい。
【0024】
ジョイント軸Jの後端部の自在継ぎ手36はPIC軸3Pに嵌合連結されるヨークJaを有し、このヨークJaは保持具4に回転自在に支持されている。保持具4は連結枠2の左右取付部材2Cに固定の支持部材5に支持されている。
保持具4は軸受を介してヨークJaを軸心廻りで回転自在に支持する円筒体4Aと、平面視略コ字状でその中央前面側に円筒体4Aを固着した保持体4Bと、この保持体4Bの左右側部にピンを固着して形成された左右一対の軸部4Cとを有している。
【0025】
前記軸部4Cは円筒体4Aより後方に変位して配置されており、保持具4はこの軸部4Cを介して支持部材5に横軸回り揺動自在に枢支されている。保持体4Bには径外方向に突出した位置決め部材4Dが設けられ、この位置決め部材4Dはピン又はパイプで形成され、支持部材5に設けた上下一対のストッパ部5a、5bの一方と受持可能になっている。
【0026】
保持具4は軸部4Cを中心に揺動可能であり、位置決め部材4Dがストッパ部5a、5bと係合した姿勢に保持可能になっており、位置決め部材4D及びストッパ部5a、5bはヨークJaを姿勢制御する姿勢制御手段となっている。
前記左右各支持部材5の対向面には軸部4Cを上下移動案内する略クエッションマーク形状の溝38が形成され、この溝38の上端と下端とに軸部4Cを係合保持可能になっていて、それぞれ第1係止部5Uと第2係止部5Dとを形成している。
【0027】
前記保持具4は、軸部4Cが溝38の第1係止部5Uに保持され、かつ位置決め部材4Dがストッパ部5aに係合している状態が主に特殊3点リンク用作業機3の連結に使用され、図1、3、5に示すように、軸部4Cが溝38の第2係止部5Dに保持され、かつ位置決め部材4Dがストッパ部5bに係合している状態が主に標準3点リンク用作業機3の連結に使用される。
【0028】
この連結枠2では、溝38の第1係止部5Uと第2係止部5Dとを選択することにより、保持具4を連結枠2に対して上下方向及び/又は前後方向に位置変更可能に設けており、ジョイント軸Jと下連結部2D及びロワーリンク連結点16との位置関係を変更することができ、連結する種類の作業機3に応じて、上下連結部2U、2Dのどちらに係合するか、その係合を変更することによって、PIC軸3Pの上下方向及び/又は前後方向の位置が変わっても、ジョイント軸Jとの連結が確保されるようになっている。
【0029】
図1〜9において、前記取付部材2Cは、上端が梁部材2Bと連結された縦部2Caと、この縦部2Caの下端から外側方に延びて外端が下連結部2Dと連結された横部2Cbとを有していて、前記縦部2Caに支持部材5を固着し、横部2Cb上に装着台8を設けており、この装着台8上にトラクタ車体Tの電源に接続された本体側コネクタ7を取り付けている。
【0030】
装着台8は門型材8aを下板材8b上面に固着して構成され、下板材8bと当て板8cとで横部2Cbを挟み、ボルトナットの締結具で締結して、取付部材2Cに着脱自在に装着している。この装着台8によって、本体側コネクタ7は取付部材2Cに対して左右位置及び前後位置が調整自在になっている。
本体側コネクタ7は装着台8の門型材8aの上面に装着されており、第1係止部5Uに係止される保持具4と第2係止部5Dに係止される保持具4との上下方向中途高さに位置しており、横部2Cbから上方へ離れた位置でかつ枠本体2Aと前後方向で重合する配置となっている。
【0031】
即ち、前記本体側コネクタ7は、枠本体2Aと梁部材2Bと取付部材2Cとによって囲まれた位置でかつそれらと前後方向において略重なる位置に配置されている。図1、4〜8においては、枠本体2A(下部体23を含む)や取付部材2Cの前後方向略幅W内に納められている。
本体側コネクタ7の陰陽端子(プラス端子及びマイナス端子)7a、7bは左右に並べられていて、どちらも上連結部2Uからの上下方向の距離は等しくなっている。また、本体側コネクタ7の後部には、後方へいくに従って上下及び左右に広がった案内部7cが設けられていて、作業機側コネクタ6の接続を案内できるようになっている。
【0032】
図1、5において、作業機3は、PIC軸3Pを前方突出したギヤケース17から左右にサポートアーム18を突出し、左右サポートアーム18の外端に伝動ケース41及びサイドフレームを固定して機枠3Aを構成している。
また、ギヤケース17上にトップマスト20を固着し、左右サポートアーム18には前後に突出した連結ブラケット19を固定している。トップマスト20の前上端に設けたピンは、連結枠2の上連結部2Uと係合される上係合部3Uを形成し、左右各連結ブラケット19に設けたピンは、連結枠2の左右下連結部2Dと係合される下係合部3Dを形成している。
【0033】
前記伝動ケース41とサイドフレームとの下部間に左右方向の軸心廻りに回転自在に支架された爪軸42と、この爪軸42に取り付けられた多数の耕耘爪43とから耕耘部44が構成され、PIC軸3Pからの動力により耕耘爪43が回転駆動される。耕耘部44を覆う耕耘カバー45は、上部カバー45Aと後部カバー45Bとを備えている。
サポートアーム18と後部カバー45Bとの間には、後部カバー45Bの高さを設定しかつ均平圧を調整可能な後部カバー調整手段46が設けられ、サポートアーム18から後方へ揺動支持フレーム47が延設され、この揺動支持フレーム47の後端のツールバー48に培土器49が装着され、トップマスト20との間には高さ調整手段50が設けられている。
【0034】
前記培土器49はツールバー48の左右方向中央側に回動支軸51を介して左右軸廻りに回動自在に取り付けられており、回動手段52によって、図1に示す対地作業(畝立て作業等)を行う作業姿勢から後ろ回りに180°回動させた上方退避姿勢まで姿勢変更可能になっている。
前記作業機3には、後部カバー45Bを上げ下げ操作する後部カバー調整手段46、揺動支持フレーム47を上げ下げ操作する高さ調整手段50及び培土器49を上げ下げ操作する回動手段52をそれぞれ駆動するための電動モータ53(電気機器)が装備されている。
【0035】
この電動モータ53は各手段46、50、52にそれぞれ設けておいてもよいが、実施形態では1個を共通にして、それぞれに着脱自在に装着するようになっている。この電動モータ53は、トラクタ車体Tに装備されたバッテリ等の電源から電力が給電され、電動モータ53を駆動するスイッチはトラクタ車体Tの運転席近傍に設けられる。
電源から電動モータ53に至る給電経路は、連結枠2に設けられた本体側コネクタ7と、作業機3の機枠3Aに設けられていて本体側コネクタ7に着脱自在に接続される作業機側コネクタ6と、電源と本体側コネクタ7とを接続する本体側給電用ハーネス54と、電動モータ53と作業機側コネクタ6とを接続する作業機側給電用ハーネス55とから構成されている。
【0036】
前記作業機側コネクタ6は連結ブラケット19(又はサポートアーム18等の機枠3Aの構成部材)に着脱自在に装着されている。連結ブラケット19には下係合部3Dを設けた面と反対側(内面)に装着部材60がボルト等を介して着脱自在に装着され、この装着部材60の前面に作業機側コネクタ6が着脱自在に装着されている。
作業機側コネクタ6は、左右方向に並べられた陰陽端子(プラス端子及びマイナス端子)6a、6bと、この陰陽端子6a、6bを保持する保持体6Aと、この保持体6Aの左右側部に突出した固着した弾性取付具6Bとを有している。
【0037】
前記弾性取付具6Bは図4に示すように、突起6Aaの背面に中央がネジ止めされた側面視コ字部材6Baと、このコ字部材6Baの上下面に焼き付き固定された側面視菱形の弾性体6Bbと、上下各弾性体6Bbに焼き付き固定されていて装着部材60にボルト締結される側面視L字形状の取付片6Bcとを有している。
作業機側コネクタ6の陰陽端子6a、6bは左右に並べられていて、どちらも上係合部3Uからの上下方向の距離は等しくなっている。即ち、上係合部3Uの揺動中心線に対して陰陽端子6a、6bは平行に位置する。陰陽端子6a、6bは左右どちらに配置してもよいが、その配置は本体側コネクタ7の陰陽端子7a、7bと対応している。
【0038】
また、作業機側コネクタ6は装着部材60を介して機枠3Aに対して前後位置、左右位置及び上下位置が調整自在になっていて、本体側コネクタ7に正常に対向できる位置に配置される。本体側コネクタ7と作業機側コネクタ6とは一方が雄型で他方が雌型であり、それぞれ泥水が浸入しないように保護されている。
前記作業機側コネクタ6は弾性取付具6Bを介して装着部材60に装着されていることにより、本体側コネクタ7と接続されるときに、上下方向に弾力的に傾動することが可能となり、左右に並べられた陰陽端子6a、6bの接続、離脱が円滑にかつ確実にできる。前記弾性取付具6Bは作業機側コネクタ6の前後移動及び左右移動も許容できる。
【0039】
作業機3は標準3点リンク仕様と特殊3点リンク仕様とでは保持具4に対する本体側コネクタ7の高さが異なるので、それぞれの本体側コネクタ7に対応するように、作業機側コネクタ6を作業機3に装着しておく。
前記作業機側コネクタ6を弾性取付具6Bを介して装着するのと併用して又は代えて、本体側コネクタ7を連結枠2に弾性取付具を介在して取り付けて、弾力的に上下傾動、前後移動及び左右移動可能にしてもよい。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜9に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、リンク機構Lは2点リンク機構でもよく、連結枠2は標準3点リンク仕様又は特殊3点リンク仕様のどちらか一方のみの作業機3を連結するものでもよい。その場合、保持具4の取付位置は一定であるので、保持具4と同一高さに本体側コネクタ7を配置することもできる。また、本体側コネクタ7を連結枠2に対して高さ調整自在に設けておいてもよい。
【0041】
トラクタに装着される作業機3としては、代掻きハロー、畦塗り機、肥料散布機、播種機等で、電動モータ、センサ、ライト等の電気機器を備えたものであればよい。
【符号の説明】
【0042】
1 作業機連結装置
2 連結枠
2A 枠本体
2B 梁部材
2C 取付部材
2D 下連結部
2U 上連結部
2U1 第1上連結部
2U2 第2上連結部
2Ca 縦部
2Cb 横部
3 作業機
3D 下係合部
3P PIC軸
3U 上係合部
4 保持具
5D 第2係止部
5U 第1係止部
5 支持部材
6 作業機側コネクタ
6a、6b 陰陽端子
6B 弾性取付具
7 本体側コネクタ
7a、7b 陰陽端子
8 装着台
J ジョイント軸
Ja ヨーク
L リンク機構
T トラクタ車体
TP PTO軸
W 前後方向幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(T)にリンク機構(L)を介して山形状の枠本体(2A)からなる連結枠(2)を連結し、この連結枠(2)に上連結部(2U)と左右一対の下連結部(2D)とを形成して作業機(3)の上係合部(3U)及び左右一対の下係合部(3D)をそれぞれ係脱自在に係合し、トラクタ車体(T)のPTO軸(TP)と作業機(3)のPIC軸(3P)とをジョイント軸(J)で連結し、前記連結枠(2)にジョイント軸(J)のPIC軸側ヨーク(Ja)を保持する保持具(4)を横軸回り揺動可能に支持する左右支持部材(5)を設けるとともに、作業機(3)に装着された電源用作業機側コネクタ(6)と接続される電源用本体側コネクタ(7)を設けており、
前記連結枠(2)は、枠本体(2A)の左右側部の上下中途部を左右方向に連結する梁部材(2B)と、この梁部材(2B)と左右各下連結部(2D)とを連結しかつ前記支持部材(5)を取り付けたL字状の取付部材(2C)とを有しており、
前記連結枠(2)の上連結部(2U)に作業機(3)の上係合部(3U)を係合して作業機(3)を吊り上げることにより、連結枠(2)の下連結部(2D)、ヨーク(Ja)及び本体側コネクタ(7)に、作業機(3)の下連結部(2D)、PIC軸(3P)及び作業機側コネクタ(6)がそれぞれ自動的に接続される作業機連結装置であって、
前記本体側コネクタ(7)を枠本体(2A)と梁部材(2B)と取付部材(2C)とによって囲まれた位置でかつそれらと前後方向で略重なる位置に配置し、かつ陰陽端子(7a、7b)を左右向きにして配置していることを特徴とする作業機連結装置。
【請求項2】
前記L字状の取付部材(2C)は、上端が梁部材(2B)と連結された縦部(2Ca)と、この縦部(2Ca)の下端から外側方に延びて外端が下連結部(2D)と連結された横部(2Cb)とを有していて、前記縦部(2Ca)の連結枠中心側に左右支持部材(5を設け、前記横部(2Cb)上に本体側コネクタ(7)を横部(2Cb)から上方へ離れた位置に取り付ける装着台(8)を設けていることを特徴とする請求項1に記載の作業機連結装置。
【請求項3】
前記作業機側コネクタ(6)を作業機(3)に対して弾力的に上下傾動可能にする弾性取付具(6B)を介在して装着し、及び/又は、本体側コネクタ(7)を連結枠(2)に対して弾力的に上下傾動可能にする弾性取付具を介在して装着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機連結装置。
【請求項4】
前記連結枠(2)に左右下連結部(2D)から距離の異なる第1、第2上連結部(2U1、2U2)を設け、左右支持部材(5)に第1、第2上連結部(2U1、2U2)にそれぞれ上係合部(3U)が係合される作業機(3)のPIC軸(3P)と対向する位置に保持具(4)を配置する第1、第2係止部(5U、5D)を設けており、前記本体側コネクタ(7)を第1係止部(5U)に係止される保持具(4)と第2係止部(5D)に係止される保持具(4)との上下方向中途高さに配置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85514(P2013−85514A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228882(P2011−228882)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】