説明

使い捨て吸い殻入れ及びシガレットパックアセンブリ

【課題】簡単な構成で過熱を効果的に阻止し且つ焼却処理にかかる負荷を大きく軽減することができる使い捨て吸い殻入れ及びこの吸い殻入れを備えたシガレットパックアセンブリを提供する。
【解決手段】使い捨て吸い殻入れは、開閉可能なヒンジリッドを有する箱(26)と、この箱(26)内に配置された中仕切り(28)とからなり、箱(26)及び中仕切り(28)は何れも難燃性又は難燃加工した難燃紙から形成されている一方、中仕切り(28)は箱(26)内に吸い殻の収納空間(30)を形成し且つ収納された吸い殻と箱(26)の内面との直接的な接触を阻止する周壁(32)、収納空間(30)の底を形成する底壁(40)及び底壁(40)の底上げをなす底上げスペーサ(34)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に箱型の使い捨て吸い殻入れ及びこの吸い殻入れを備えたシガレットパックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の使い捨て吸い殻入れは例えば以下の特許文献1に開示され、この特許文献1の吸い殻入れは、吸い殻入れを投入する開口部を有したケースと、このケースの開口部を開閉するスライド型のリッドとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-61015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のケース及びリッドは共に不燃処理を施した紙材によって形成されているものの、投入された吸い殻はケース又はリッドの内面に直接接触することから、吸い殻が完全に消火されていなければ、ケース又はリッドにおける部分的な過熱が避けられず、ユーザに不快感を与える。
【0005】
このような過熱を避けるため、特許文献1の吸い殻入れはケース内に粉末状の消火剤を備えている。このような消火剤は吸い殻の早期の消火にとって有効であるものの、リッドの開閉操作時、開口部から漏出して周辺を汚す恐れがある。また、消火剤は吸い殻入れの焼却処分にかかる負荷を増大させるばかりでなく、吸い殻入れをコスト高にし、使い捨てには不向きなものにする。
【0006】
本発明は上述の事情にも基づいてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で過熱を効果的に阻止し且つ焼却処理にかかる負荷を大きく軽減することができる使い捨て吸い殻入れ及びシガレットパックアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、本発明の使い捨て吸い殻入れによって達成され、この吸い殻入れは、開閉可能なヒンジリッドを有する箱と、この箱内に配置され、箱内に吸い殻の収納空間を形成し且つ収納された吸い殻と箱の内面との直接的な接触を阻止する中仕切りと
を備えており、箱及び中仕切りは何れも難燃性又は難燃加工した難燃紙から形成されている(請求項1)。
【0008】
上述の使い捨て吸い殻入れによれば、例えば火の付いた吸い殻が収納空間内に収納されたとしても、中仕切りは吸い殻と箱の内面との直接な接触を阻止する。
具体的には、中仕切りは箱の内周面に対して点接触又は線接触のみが許容され、収納空間の外周を規定する周壁を含むことができる(請求項2)。
更に、中仕切りは周壁に加えて底要素を更に含むことができ、この底要素は収容空間の底位置を規定し、収容した吸い殻と箱の底との間に所定の間隔を確保する(請求項3)。具体的には、底要素は、収容空間の底を形成する底壁と、この底壁の底上げをなす底上げスペーサとを有することができる(請求項4)。
【0009】
上述の周壁は収納空間内に複数又は個々の吸い殻を収容可能な大きさを有するものであってもよく(請求項5)、又は、中仕切りは、収納空間内を複数の収納域に区画し、これら収納域に吸い殻を個別に収納させる複数の隔壁を更に含むものであってもよい(請求項6)。この場合、隔壁は、周壁の内周面に点接触又は線接触のみが許容された筒状をなしているのが好ましい(請求項7)。
【0010】
更に、本発明はシガレットパックアセンブリをも提供し、このシガレットパックアセンブリは、前述した使い捨て吸い殻入れと、この吸い殻入れに並列に接続され、その内部に複数のシガレットが収容された吸い殻入れと同様な箱型のシガレットパックとを備える(請求項8)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜7の使い捨て吸い殻入れは、その箱の内面と収納された吸い殻との直接的な接触を中仕切りによって阻止する一方、これら箱及び中仕切りを共に難燃紙から形成しているので、たとえ火の付いた吸い殻が収納空間内に収納されたとしても、箱の外面が部分的又は全体的に過熱されるようなことはなく、箱の取り扱いが容易且つ安全なものとなり、また、吸い殻入れの焼却廃棄の際、吸い殻入れは環境負荷を増大させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施例のシガレットパックアセンブリを示した斜視図である。
【図2】図1の吸い殻入れの一部である箱本体を破断して示した縦断面図である。
【図3】図2の箱本体の横断面図である。
【図4】図2,3の底上げプレートを示す斜視図である。
【図5】変形例の中仕切りの一部を示す外陸横断面図である。
【図6】他の変形列の中仕切りの一部を示す横断面である。
【図7】変形例の箱本体とともにこの箱本体に好適した中仕切りの一部を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、一実施例の吸い殻入れ付きシガレットパックは、
シガレットパック10と、このシガレットパック10に並列に接続された吸い殻入れ12とからなる。シガレットパック10は所謂ヒンジリッド型の箱14を備え、この箱14は、上端が斜めに開口した箱本体16と、この箱本体16内に配置されたU字形のインナフレーム18を含み、このインナフレーム18は箱本体16の上端開口から部分的に突出し、箱本体16に開口面を提供する。
【0014】
箱本体16の上端開口にはその後縁にヒンジを介してリッド20が接続され、このリッド20はヒンジ回りに回動し、インナフレーム18の突出部に被さるようにして箱本体16の開口面を開閉する。図1はリッド20が開かれた状態を示す。
箱本体16内にはインナフレーム18に抱かれるようにして内包体22が収容され、この内包体22はシガレットCの束と、この束を包み込む包材とから形成されている。図1に示す状態にあるき、包材はその一部が既に取り除かれ、シガレットCの束はその上部が箱本体16の開口面にて露出されている。
【0015】
更に、インナフレーム18の前面にはU字形の切欠24が形成されており、この切欠24は箱本体16からのシガレットCの取出しを容易にする。
なお、箱本体16及びリッド20はインナフレーム18を備えた内包体22の回りに1枚の紙製のブランクを折り込むことで形成される。
【0016】
一方、吸い殻入れ12は、シガレットパック10の箱14と同様なサイズの箱26を備え、この箱26及び箱14は側壁同士が密着した状態で互いに接続されている。箱26は、箱14の各構成要素と同様な構成要素を有していることから、これら構成要素の説明は同一の参照符号を付すことで省略し、相違する点のみを以下に説明する。
【0017】
箱26及びそのインナフレーム18もまたブランクを折り込むことで形成されるが、ここでブランクは難燃性又は難燃加工を施した難燃紙から形成されている。
図2及び図3に示されるように箱本体16内には中仕切り28が配置されており、この中仕切り28は箱本体16内にシガレットCの複数の吸い殻(図示しない)を収納可能な収納空間30を形成する。なお、図2中、リッド20は省略されている。
【0018】
中仕切り28もまた、箱26やそのインナフレーム18と同様に難燃性又は難燃加工を施した難燃紙から形成されている。詳しくは、中仕切り28は収納空間30の外周を規定する周壁32を有し、この周壁32はその横断面が箱本体16の矩形の内周に内接する楕円形をなし、箱本体16の長手方向、つまり、上下方向に延びている。それ故、周壁32は箱本体16の内周に対し、4箇所のみにて線接触が許容されている。周壁32は箱26を形成するブランクと同一の厚みを有するか、又は、そのブランク以上の厚みを有する。
【0019】
更に、中仕切り28は収納空間30の底を形成する底壁40及びこの底壁40の底上げをなす底上げスペーサ34をそれぞれ有する。底壁40は箱本体16の矩形の内周に合致する矩形をなし、一方、底上げスペーサ34は箱本体16の底に配置され、箱本体16の底と周壁32の下端との間にて底壁40を挟み込んでいる。本実施例の場合、図4から明らかなように底上げスペーサ34は板状をなした2本の部材36を有し、これら部材36は周壁32や底壁40を形成する難燃紙よりも十分に厚い難燃紙から形成されている。
【0020】
具体的には、部材36は横向きに立てた状態で、箱本体16の底にその対角線に沿ってそれぞれ配置され、箱本体16の底中央にて互いに噛み合った状態で交差している。それ故、底上げスペーサ34は上方からみてX形状をなし(図3)、そして、各部材36の幅により収納空間30の底壁40と箱本体16の底との間に所定の間隔を確保する(図2)。
【0021】
上述した一実施例のシガレットパックアセンブリによれば、ユーザはシガレットパック10からシガレットCを取出し、このシガレットCを喫煙することができる。喫煙後、ユーザは吸い殻入れ12のリッド20を開き、シガレットCの吸い殻をその箱本体16の収納空間30内に収納することができる。
収納空間30を区画する中仕切り28、即ち、その周壁32、底壁40及び底上げスペーサ34は、箱26と同様に難燃紙から形成されているので、収納空間30にたとえ吸い殻が火の付いたまま収納されても、周壁32、底壁40及び底上げスペース34が燃えることはない。
【0022】
しかも、周壁32は箱本体16の内周面に対し、数カ所にて線接触するだけであるから、周壁32の温度が局所的に上昇したとしても、箱本体16の外面が局所且つ全体的に過熱される恐れはない。よって、ユーザは吸い殻入れ12を容易且つ安全に取り扱うことができる。
また、吸い殻入れ12は開閉可能なリッド20を備えているので、火の付いた吸い殻が収納されたとしても、リッド20を直ちに閉じることで、その吸い殻の消火や消煙が速やかになされる。
【0023】
更に、吸い殻入れ12はシガレットパック10とは別体であるから、吸い殻入れ12内に収納された吸い殻の臭いがシガレットパック10内のシガレットCに移ることもない。
更にまた、吸い殻入れ12はその全体が前述した難燃紙から形成されているので、シガレットパック10とともに又は独立して焼却廃棄されても、その焼却が環境負荷を大きく増大させるものでもない。
【0024】
本発明は上述した一実施例に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、図5〜図7に示されるような中仕切り28であってもよい。なお、図5中、中仕切り28の底壁40及び底上げスペーサ34は共に省略され、図6,7中、中仕切り28の底上げスペーサ34は省略されている。
【0025】
図5の中仕切り28はその周壁32内に複数の隔離筒38を更に含み、これら隔離筒38は収納空間30内を複数の収納域に区画する。隔離筒38もまた前述の難燃紙から形成され、その内部の収納域に吸い殻を個々に収納可能な大きさを有する。このような隔離筒38は周壁32の内面や隣接する隔離筒38の外周に対して線接触するだけであるから、収納された吸い殻から箱本体16への熱の断熱効果のみならず、吸い殻の消火及び消煙効果をも更に高めることができる。
【0026】
図6の中仕切り28は箱本体16内に配置された複数の隔離筒38を含み、これら隔離筒38は一実施例の周壁32と同様な作用効果を発揮する。
図7の中仕切り28は周壁32及び隔離筒38が共に円形の横断面を有し、これら周壁32及び隔離筒38は吸い殻入れ12の箱26が矩形の横断面ではなく、正方形の横断面に有する場合に好適する。
【0027】
更に、周壁32及び隔離筒38は楕円や円形に限らず、外側の相手側に対して点接触又は線接触のみが許容された多角形等の任意の横断面形状を有していればよい。
更にまた、中仕切り28の底上げスペーサ34にあっても、図4に示したX字形をなすものに限らず、例えばコルゲート形状や尖ったエンボス形状をなしていてもよく、このようなコルゲート又はエンボス形状であれば、底上げプレート34は底壁40や箱本体16の底に対して線接触又は点接触することから、その厚みが薄くても箱本体16の底に効果的な断熱効果を提供する。
【0028】
なお、一実施例の場合、吸い殻入れ12及びシガレットパック10は互いに接続されることでシガレットパックアセンブリを構成しているが、吸い殻入れ12はシガレットパック10に分離可能に接続されているか、シガレットパック10とは別体であり、個別の使い捨てされるものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 シガレットパック
12 吸い殻入れ
14 箱
16 箱本体
18 インナフレーム
20 リッド
22 内包体
26 箱
28 中仕切り
30 収納空間
32 周壁
34 底上げスペーサ(底要素)
38 隔離筒(周壁、隔壁)
40 底壁(底要素)
C シガレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なヒンジリッドを有する箱と、
前記箱内に配置され、前記箱内に吸い殻の収納空間を形成し且つ収納された吸い殻と前記箱の内面との直接的な接触を阻止する中仕切りと
を備え、
前記箱及び前記中仕切りは何れも難燃性又は難燃加工した難燃紙から形成されていることを特徴とする使い捨て吸い殻入れ。
【請求項2】
前記中仕切りは、前記箱の内周面に対して点接触又は線接触のみが許容され、前記収納空間の外周を規定する周壁を含むことを特徴とする請求項1に記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項3】
前記中仕切りは、前記収容空間の底位置を規定し、収容した吸い殻と前記箱の底との間の所定の間隔を確保する底要素を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項4】
前記底要素は、前記収容空間の底を形成する底壁と、この底壁の底上げをなす底上げスペーサとを有することを特徴とする請求項3に記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項5】
前記周壁は前記収納空間内に複数又は個々の吸い殻を収容可能な大きさを有することを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項6】
前記中仕切りは、前記収納空間内を複数の収納域に区画し、これら収納域に吸い殻を個別に収納させる複数の隔壁を更に含むことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項7】
前記隔壁は、前記周壁の内周面に点接触又は線接触のみが許容された筒状をなしていることを特徴とする請求項6に記載の使い捨て吸い殻入れ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの使い捨て吸い殻入れと、
前記吸い殻入れに並列に接続され、その内部に複数のシガレットが収容された前記吸い殻入れと同様な箱型のシガレットパックと
を備えたことを特徴とするシガレットパックアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21985(P2013−21985A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160931(P2011−160931)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【復代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行