説明

供給装置

【課題】タンクへの粘性流体原料の供給作業を容易化する。
【解決手段】タンクに粘性流体原料を供給する供給装置100は、底部に排出口12を有する槽10と、粘性流体原料22を収容した容器20をその開口部を下向きにした状態で槽10の中で支持する支持部30と、支持部30によって支持された容器20の中に液体を吹き付けるように槽10の中に配置された噴射部40と、排出口12に一端が接続された送液管50と、送液管50の途中に配置されたポンプ60とを備え、送液管50の他端54は、タンクまたは該タンクに接続された管路に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに粘性流体原料を供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや発泡酒のような炭酸ガスを含有するアルコール飲料は、一般的に、湯に麦芽の一部と副原料(例えば、米、コーン・スターチ)を加えて仕込釜で煮た後に、仕込槽において、残りの麦芽にお湯を加えるとともに仕込釜で得られたものを加えてもろみを生成し、これをろ過した麦汁にホップを加えて煮沸釜で煮沸し、それを発酵・熟成させた後にろ過して製造されうる。このような製造工程において、仕込釜、仕込槽、煮沸釜のようなタンクに粘性流体原料を投入することがある。
【特許文献1】特開2006−340629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タンクは、通常、マンホールと呼ばれる穴を有する。タンクへの粘性流体原料の投入は、マンホールを使って行われうる。この際に、粘性流体原料を収容している容器がマンホールを通してタンク内に落下してしまう可能性がある。また、粘性流体原料は、その粘度が高いと、容器の内面から完全に取り去ることが難しく、一部が容器の中に残りうる。そのために、タンクへの粘性流体原料の投入量を一定にすることが難しい。また、タンクが高温状態にある場合には、作業者が容器をマンホールの内側又は上方に保ち続けることは危険でもある。
【0004】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、例えば、タンクへの粘性流体原料の供給作業を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る供給装置は、タンクに粘性流体原料を供給するように構成され、底部に排出口を有する槽と、粘性流体原料を収容した容器をその開口部を下向きにした状態で前記槽の中で支持する支持部と、前記支持部によって支持された前記容器の中に液体を吹き付けるように前記槽の中に配置された噴射部と、前記排出口に一端が接続された送液管と、
前記送液管の途中に配置されたポンプとを備え、前記送液管の他端は、前記タンク、または前記タンクに接続された管路に接続される。
【0006】
本発明の好適な実施形態において、前記供給装置は、前記槽を支持する台を更に備えうる。前記台には、移動用の車輪が設けられうる。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記供給装置は、安全装置を備えうる。前記安全装置は、前記支持部によって前記容器が支持されていることを検知するセンサを含み、前記センサの出力に基づいて、前記支持部によって前記容器が支持されている場合にのみ、前記噴射部からの液体の噴射を許す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、タンクへの粘性流体原料の供給作業を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の好適な実施形態の供給装置の構成を示す図である。本発明の好適な実施形態の供給装置100は、タンクに粘性流体原料を供給するように構成されている。タンクとしては、例えば、仕込釜、仕込槽、煮沸釜等を挙げることができる。
【0011】
供給装置100は、底部に排出口12を有する槽10を備えている。槽10の底部は、例えば、逆円錐形になっていて、その最下端に排出口12が設けられていることが好ましい。槽10は、例えば、移動可能な台70によって支持されうる。台70には、移動用の車輪72が設けられている。台70には、作業者が操作するためのハンドル74が設けられていることが好ましい。
【0012】
供給装置100は、槽10のほか、支持部30、噴射部40、送液管50およびポンプ60を備えている。支持部30は、粘性流体原料22を収容した容器20をその開口部を下向きにした状態で槽10の中で支持する。支持部30は、粘性流体原料の通過を可能にする開口32を有し、例えば、メッシュ状の構造、または、板に多数の孔を形成した構造等を有しうる。噴射部40は、支持部30によって支持された容器20の中に液体(例えば、湯)を吹き付けるように槽10の中に配置される。
【0013】
噴射部40は、例えば、図1に例示するように支持部30の下方に配置されて開口32を通して液体を容器20の中に液体に吹き付けるように構成されうる。噴射部40には、カップリング46および電磁弁44、管路42を通して液体が供給されうる。
【0014】
送液管50は、その一端が排出口12に接続され、その他端は、カップリング54を有し、粘性流体原料の供給先のタンク、または該タンクに接続された管路に接続される。送液管50の途中には、ポンプ60が配置されている。送液管50には、逆支弁90や遮断弁95なども設けられうる。
【0015】
供給装置100は、安全装置80を備えることが好ましい。安全装置80は、支持部30によって容器20が支持されていることを検知するセンサ82を含み、センサ82の出力に基づいて、支持部30によって容器20が支持されている場合にのみ、電磁弁44を開くことを許可し、噴射部40からの液体の噴射を許す。
【0016】
以下、供給装置100の使用方法を説明する。まず、カップリング46に液体(例えば、湯)の供給源が接続され、カップリング54に粘性流体原料の供給先のタンク、または該タンクに接続された管路が接続される。次いで、粘性流体原料22を収容した容器20がその開口部を下向きにした状態で支持部30の上に置かれる。次いで、電磁弁44が開かれると、噴射部40から液体が噴射されて容器20内の粘性流体原料に吹き付けられる。これにより、粘性流体原料22が溶かれて、十分に粘度が低い状態で槽10の底部に溜まる。液体で溶かれた粘性流体原料22は、遮断弁95を開くとともにポンプ60を動作させることによって、供給先のタンクに送り出される。
【0017】
この実施形態によれば、粘性流体原料を収容している容器20をタンクに備えられたマンホールを通してタンク内に落としてしまう可能性がなくなる。
【0018】
また、この実施形態によれば、槽10内の所定位置に容器20を配置し、その状態で液体によって容器20内の粘性流体原料22を溶いてタンクに供給するので、簡単に容器20内の全量の粘性流体原料をタンクに供給することができる。
【0019】
また、この実施形態によれば、タンクが高温状態である場合においても、マンホールを開くことなく粘性流体原料をタンクに供給することができるので、非常に安全である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な実施形態の供給装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10 槽
12 排出口
20 容器
22 粘性流体原料
30 支持部
32 開口
40 噴射部
42 管路
44 電磁弁
46 カップリング
50 送液管
52 一端
54 他端(カップリング)
60 ポンプ
70 台
72 車輪
74 ハンドル
80 安全装置
82 センサ
90 逆止弁
95 遮断弁
100 供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに粘性流体原料を供給する供給装置であって、
底部に排出口を有する槽と、
粘性流体原料を収容した容器をその開口部を下向きにした状態で前記槽の中で支持する支持部と、
前記支持部によって支持された前記容器の中に液体を吹き付けるように前記槽の中に配置された噴射部と、
前記排出口に一端が接続された送液管と、
前記送液管の途中に配置されたポンプとを備え、
前記送液管の他端は、前記タンク、または前記タンクに接続された管路に接続される、
ことを特徴とする供給装置。
【請求項2】
前記槽を支持する台を更に備え、前記台に移動用の車輪が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記支持部によって前記容器が支持されていることを検知するセンサを含み、前記センサの出力に基づいて、前記支持部によって前記容器が支持されている場合にのみ、前記噴射部からの液体の噴射を許す安全装置を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−56368(P2009−56368A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224578(P2007−224578)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】