説明

便座カバー用芯材とこれを用いた便座カバー

【課題】便座カバーの覆着は、便座下面にカバーを係止保持させるため樹脂パイプの両端を結合して輪状に構成した芯材が用いられるが、輪状のため取扱い難く在庫や梱包に問題がある一方ひねりに対して反発し、ねじれ角に対してストレスが働いて折り畳みができず、洗濯時には芯材を外さなければならなかった。
【解決手段】芯材を輪状に構成するジョイント継手3を軸心回りに回動自在としてパイプ両端21a、21bの結合により強いられる固定的方向付けから発生するねじれが回動によって自由な方向に向けられ、長手方向のたわみに変換されてストレスが開放されるようにして折り畳み等ができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に構成した便座カバー本体の一端縁に設定されてO型便座下面の開口内径端縁に当接される樹脂パイプ製の芯材とこれを用いた便座カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、O型便座カバーについては、便座下面にカバーを係止保持させるために、例えば、特許文献1記載のように筒状本体の一端縁に樹脂パイプの両端を結合して輪状に構成した芯材や、特許文献2記載のように樹脂パイプを馬蹄形に湾曲させた芯材を便座下面の開口内径端縁に当接して係止保持させることが行われてきている。
【0003】
しかし、輪状に構成するために樹脂パイプの両端を接合するジョイント継手は、両端を接合固定することだけを目的とし、両端に芯材樹脂パイプの端部を挿入固定する挿入孔を設けただけのものが用いられている。
【特許文献1】実開昭57−164699号公報
【特許文献2】実開平06−52696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、輪状に構成された樹脂パイプはその物性からひねりに対して反発し、ねじれ角に対して上下方向にストレス(応力)が働いて大きな負荷がかかる。例えば、8の字形にひねって折曲げ重合し、半分の直径にすると樹脂パイプに無理が掛かり、波型の変形ができたりして使用できなくなってしまう。
【0005】
そのため、芯材の梱包搬送時に使用時のままの輪径で梱包搬送しなければならず、ストックや搬送時に余分なスペースが必要となるほか、取扱いにも不便で無駄な労力や時間が掛かるという問題があった。
【0006】
また、便座カバー基布の端部に芯材を縫着した場合、カバー基布の洗濯時には芯材を抜き取らなければ、樹脂パイプが傷んだり、カバー生地に無理が掛かったりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記した問題点に対応しようとするものであり、芯材を輪状に構成するジョイント継手を軸心回りに回動自在とすることにより、パイプ両端の結合により強いられる固定的方向付けから発生するねじれが回動によって自由な方向に向けられ、長手方向のたわみに変換されてストレスが開放されるようにした。
【0008】
即ち、パイプ両端が固定的に結合された場合、樹脂パイプにひねりが加えられるとパイプ自体の組織にねじれが生じ、ねじれ角に対して上下方向或いは樹脂パイプ断面に対して放射方向に働くストレス(応力)がパイプ自体の組織内に発生して樹脂パイプに波型の変形ができたりすることになる。
【0009】
そこで、樹脂パイプの端面がジョイント継手を介して自由に回動するようにすると、ねじれに対する復元力が働く方向にパイプ端面が回動するので、復元力が働く方向にパイプ端面が常に向けられて復元力が抑えられることなく、樹脂パイプ組織内に発生するストレスが発散されるものである。
【0010】
また、このように作用するジョイント継手は、外筒プラグの内筒プラグ嵌入孔内壁に抜け止め掛止突起を形成し、内筒プラグの嵌入により、上記抜け止め掛止突起と内筒プラグ先端の嵌入掛合部と回動可能に掛合するようにして、外筒プラグに内筒プラグを強制嵌入して構成した。
【0011】
更に、筒状に構成した便座カバー基布の一端縁に、上記構成のジョイント継手を用いてジョイント継手と樹脂パイプとが、その軸心回りに相対的に回動自在となるように樹脂パイプの両端を結合して輪状に構成した芯材を着合し、同芯材着合部をO型便座の開口内径端縁に当接して、同開口部から基布の他端を取り出して拡開反転させ、便座座表面に被着すると共に、基布の他端基部隅端に取付けた掛合片を、対応する他方の隅端に取付けた掛合受片に掛止するように便座カバーを構成した。
【0012】
便座カバーを上記のように構成することにより、洗濯機により芯材を着合したままの便座カバーに揺動が加えられても、継手部による樹脂パイプの回動によりねじれが開放され、芯材や基布生地に無理が掛からず洗濯槽内の水流揺動に対応できるので洗濯時に便座カバーの芯材を一々抜き取る必要がないようにした。
【実施例】
【0013】
以下、図面に従って本発明の実施例を説明する。1は筒状に構成した便座カバー本体で、一端に端縁に沿って巻き上げ縫着した芯材挿通部11aが形成され、輪状にまるめた樹脂パイプ2を挿通すると共に、その両端21a、bをジョイント継手3によって接合し便座カバーに着合している。
【0014】
カバー1のもう一方の端縁には、便座に被着した際に便座Aの開閉蝶番基部Abに巻き回して座体の裏側で係着する括り部が設けられ、その隅端位置に掛合片12aが取り付けられ、これに対応する他方の隅端位置に掛合受片12bが取付けられている。
【0015】
芯材挿通部11aに挿通着合される芯材2は、ポリプロピレン等の柔軟な樹脂パイプ21を輪状にまるめ、芯材挿通部11aに挿通された後、その両側端21a、21bをジョイント継手3によってその軸心回りに相対的に回動自在となるように接合され、便座カバー1の端縁を輪状に広げた状態で着合される。
【0016】
ジョイント継手3は、外筒プラグ3aと内筒プラグ3bとからなり、外筒プラグ3aは一端に芯材樹脂パイプ21の一端21aを圧入固定するパイプ端挿入孔31aを設け、他端に内筒プラグ3bの嵌入掛合部32bと回動可能に掛合する抜け止め掛止突起33aを内壁に形成した嵌入孔32aが設けられている。
【0017】
内筒プラグ3bは、外筒プラグ3aに対応して一端に芯材樹脂パイプ21の一端21bを圧入固定するパイプ端挿入孔31bを設け、他端には圧入先端部と掛合フランジ34を備えた前記嵌入掛合部32bが形成されている。また、パイプ端挿入孔31a、bは樹脂パイプ先端を導入する挿入テーパー孔4と圧接固定する圧入テーパー孔41によって構成され、2段階に分けて挿入が行われるようになっている。
【0018】
抜け止め掛止突起33aは、嵌入孔32aの内壁面対向位置に対をなして設定され、嵌入掛合部32bのフランジ面34と掛合する掛合面34aと圧入先端部を導入する圧入テーパー面34bが形成されている。なお、36は合成樹脂注入成形時の型孔である。
【0019】
外筒プラグ3aに対して内筒プラグ3bが強制圧入されると、嵌入掛合部32bの圧入先端部が対向位置から挿入を阻止する圧入テーパー面34bを押し開いて挿入され、掛合面34aの位置を通過して嵌入掛合部32bが嵌入スペース35に嵌入されて挿入圧が開放されると共に、嵌入掛合部32bのフランジ面34と抜け止め掛止突起33aの掛合面34aが摺接して、内筒プラグ3bと外筒プラグ3aが回動自在に嵌結合される。
【0020】
このように構成されたジョイント継手3によって、便座カバー1の芯材挿通部11aに挿通された樹脂パイプ21の両端21a、21bを接合し、便座への係止保持芯材とすれば、樹脂パイプの端面がジョイント継手を介して自由に回動し、ねじれに対する復元力が働く方向にパイプ端面が回動するので、復元力が働く方向にパイプ端面が常に向けられて樹脂パイプ組織内に発生するストレスが発散され、輪状や歪曲による破断刺激を最小限に止めることができる。
【0021】
このような樹脂組織内ストレスの発散により、便座カバー端縁を輪状に広げた状態で着合されれた樹脂パイプ21を図7に示すように8の字型にひねって折り畳むことが可能になり、商品嵩4分の1程度に梱包することができ、在庫スペース、搬送コストを大幅に節減することができる。また、便座カバーの芯材を一々抜き取ることなく洗濯することも可能となった。
【0022】
以上のように構成した便座カバー1の芯材着合部11をO型便座の開口部Aa裏面の内径端縁に当接して、図2に示すように便座開口部Aaから基布の他端を取り出して拡開反転させ、表地を表面にして便座座面に被着すると共に、基布の他端基部隅端に取付けた掛合片12aを、対応する他方の隅端に取付けた掛合受片12bに掛止するものである。
【0023】
本発明は以上のように構成したので、輪状に構成されることによって樹脂パイプに掛かるストレスをジョイント継手の回動によって吸収し、便座カバーに着合された輪状芯材を8の字形にひねってコンパクトに折り畳むことができ、洗濯時にも一々芯材を便座カバーから外す必要も回避できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による便座カバーの実施例を示すもので、筒状カバー本体と芯材及びジョイント継手の着合関係を示す分解説明図である。
【図2】同じく、便座カバーの被着便座への覆着手順を示すためのO型便座と便座カバーの被着段階における全体斜視図である。
【図3】同じく、本発明によるジョイント継手の外筒プラグの縦断面側面図である。
【図4】同じく、内筒プラグの縦断面側面図である。
【図5】同じく、外筒プラグに内筒プラグを嵌入接合した状態を示すジョイント継手の全体縦断面側面図である。
【図6】同じく、外筒プラグの構造と抜け止め掛止突起の形状及び対向設定の状况を示す外筒プラグを横断面とした斜視図である。
【図7】同じく、輪状に形成した樹脂パイプ芯材を梱包等のため8の字形にひねって折り畳む状况を示す輪状樹脂パイプ芯材の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 筒状の便座カバー本体
11 カバー本体下端縁の芯材着合部
11a カバー本体下端縁の芯材挿通部
12a カバー本体上端縁の括り部に取り付けた掛合片
12b カバー本体上端縁の括り部に取り付けた掛合受片
2 便座カバー芯材
21 芯材を構成する樹脂パイプ
21a 芯材を構成する樹脂パイプの端面
21b 芯材を構成する樹脂パイプの端面
3 ジョイント継手
3a 外筒プラグ
3b 内筒プラグ
31a 外筒プラグのパイプ端挿入孔
31b 内筒プラグのパイプ端挿入孔
32a 外筒プラグの内筒プラグ嵌入孔
32b 内筒プラグ先端の嵌入掛合部
33a 内筒プラグ内壁の抜け止め掛止突起
34 内筒プラグ嵌入掛合部の掛合フランジ面
34a 抜け止め掛止突起の掛合面
34b 抜け止め掛止突起の圧入テーパー面
35 外筒プラグの内筒プラグ嵌入掛合部嵌入スペース
36 合成樹脂注入成形時の型孔
4 芯材挿入テーパー孔
41 芯材挿入孔の圧入テーパー孔
A カバー被着便座
Aa カバー被着便座の便座開口部
Ab カバー被着便座の開閉蝶番基部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌入接合部が軸心回りに回動自在に構成されたジョイント継手によって、樹脂パイプの両端を結合して輪状に構成した便座カバー用芯材
【請求項2】
一端に芯材樹脂パイプの一端を圧入固定するパイプ端挿入孔を設け、他端に内筒プラグの嵌入掛合部と回動可能に掛合する抜け止め掛止突起を内壁に形成した嵌入孔を設けた外筒プラグに、先端に外筒プラグの嵌入孔に嵌入して抜け止め掛止突起形成部に強制圧入される嵌入掛合部、後端に前記樹脂パイプの他端を圧入固定するパイプ端挿入孔を設けた内筒プラグを強制圧入して回動可能に嵌合したことを特徴とする便座カバー用芯材のジョイント継手
【請求項3】
外筒プラグの抜け止め掛止突起を、内筒嵌入孔内壁に対向させた対突起として形成するようにした請求項2記載の便座カバー用芯材のジョイント継手
【請求項4】
筒状に構成した便座カバー基布の一端縁に、ジョイント継手と樹脂パイプとが、その軸心回りに相対的に回動自在なジョイント継手によって、樹脂パイプの両端を結合して輪状に構成した芯材を着合し、同芯材着合部をO型便座の開口内径端縁に当接して、同開口部から基布の他端を取り出して拡開反転させ、便座座表面に被着すると共に、基布の他端基部隅端に取付けた掛合片を、対応する他方の隅端に取付けた掛合受片に掛止するようにしたことを特徴とする便座カバー

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−72325(P2009−72325A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243266(P2007−243266)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(591205684)オカ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】