説明

便座シート

【課題】充分な通気性を有し、クッション性についても良好であり、使用の快適性と洗濯の容易性を満足させることができる便座シートを提供する。
【解決手段】底基材2と表面材3とが、吹き付けにより接着剤5を有する通気性の薄手の不織布シートよりなる中間シート材4を介して、相互に前記接着剤5による加熱接着若しくは溶着により一体化され、一体化された状態において、吹き付けられた接着剤5の間に通気開口を有しており、厚さ方向に通気性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便座の上面に粘着状に着脱自在に設置される厚手の便座シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に用いられるこの種便座シートの一例として、下記特許文献1に記載の便座シートがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3696329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図7の分解断面図に示すように、従来のこの種便座シート101は、底基材102とクッション性の表面材103とが、熱可塑性プラスチックフィルムよりなる溶着フィルム104を介して、一体に接着若しくは溶着されて形成されている。底基材102は、粘着剤により形成され、その対面には、便座の上面に粘着された時の、ずれ止め用の凹溝102aが複数条平行に形成されている。
【0005】
ところが、従来の便座シート101では、底基材102と表面材103とが、その略全平面において、中間層状の溶着フィルム104を介して、熱圧着により一体に接着若しくは溶着されているため、厚さ方向の空気の流通が妨げられ、通気性に欠け、クッション性の点においても限界がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、充分な通気性を有し、クッション性についても良好であり、使用の快適性と洗濯の容易性を満足させることができる便座シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の便座シートは、洋式便器10の便座11の上面に設置される便座シート1(1' )において、底基材2と表面材3とが、吹き付けにより接着剤5が散布された通気性の薄手の不織布シートよりなる中間シート材4を介して、相互に前記接着剤5による加熱接着若しくは溶着により一体化されていることを特徴とする。一体化された状態において、吹き付けられた接着剤5は、梨子地状若しくは多孔状とされて、接着剤5粒子の間に通気開口を有しており、また、接着剤5の粒子の外形及び表面の凹凸状態が不均一となり、厚さ方向に通気性を有し、且つクッション性を有している。
【0008】
また、本発明の便座シート1は、前記中間シート材4は、表裏が透けて見える程度の薄手のポリエステル繊維などの合成樹脂による不織布シートよりなり、前記底基材2と表面材3との間に、中間シート材4の表裏両面の少なくともいずれか一方の面に前記接着剤5が吹き付けにより設けられていることを特徴とする。
【0009】
中間シート材4は、一層設けられていても、二層以上の複数層設けられていてもよい。また、接着剤5は、中間シート材4の表裏両面に設けられていても、表裏いずれか一方の面に設けられていてもよい。
【0010】
さらに、本発明の便座シート1では、前記表面材3は、起毛布などの厚手の布材により形成され、前記底基材2は、綿板状の不織布層2aの裏面に便座10の上面に粘着状に接合する接合層2bが形成され、該接合層2bには、便器10の中心線に対し略平行な多数の溝2cが形成されており、溝2cの底部には不織布層2aが表出され、表裏方向に通気性を有している。便座シート1は、表面材3、中間シート材4、及び、底基材2の溝2cの部分において通気性があり、全体として表裏方向に通気性を有し、且つ、クッション性を有している。
接合層2bの底面には、プラスチックの薄手のシートよりなる剥離紙6が着脱自在に接合されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の便座シートによれば、底基材と表面材とが、中間シート材を介して、相互に接着若しくは溶着されることにより一体化されており、該中間シート材は、吹き付けにより形成された接着剤を有する通気性の薄手の不織布シートよりなることを特徴とするところから、全体として通気性があり、また、中間シート材の存在によりクッション性が向上し、使用の快適性と洗濯の容易性を満足させることができる効果がある。
【0012】
また、本発明において、中間シート材を二層以上の複数層設けることにより、クッション性と、これによる使用の快適性がいっそう向上する。
【0013】
さらに、本発明では、便座シートの裏面に、便器の中心線に対し略平行な多数の溝を形成させることにより、使用中、便座シートが便座の外方にずれるという不具合を解消でき、溝をとおして通気性が確保され、洗濯なども容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による便座シートの使用様態の斜視図である。
【図2】同便座シートの背面図である。
【図3】同便座シートの IIIーIII 線における拡大断面図である。
【図4】同便座シートの分解断面図である。
【図5】同便座シートに用いる中間シート材の正面図である。
【図6】同他の実施態様に係る便座シートの分解断面図である。
【図7】従来の便座シートの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1乃至図4は、第1実施形態を示している。
第1実施形態にかかる便座シート1は、洋式便器10の上面に開閉自在に設けられる便座11の上面に接合状態で着脱自在に設置される。
便座シート1は、便座11の平面形状に実質的に沿うように、前後に長い左右対称の略半月形状に形成された左右一対の厚手クッション性のシート部材からなる。
【0016】
この便座シート1は、底基材2と表面材3とが、中間シート材4を介して、相互に接着若しくは溶着されることにより厚手通気性の層状に一体化されている。
【0017】
中間シート材4は、表裏が透けて見える程度の薄手のポリエステル繊維などの合成樹脂による不織布シートよりなり、その表裏両面に吹き付けにより接着剤5が形成されている。底基材2と表面材3と中間シート材4とが、接着剤5の加熱溶融により、層状に一体化されている。層状に一体化された状態において、接着剤5の粒子の間には略梨子地状若しくは多孔状に空間が形成され、厚さ方向に通気性がある。また、吹き付けられた接着剤5は、その外形及び表面の凹凸状態にバラツキがあり、クッション性がある。
【0018】
接着剤5は、中間シート材4の表裏両面に形成されていても、片面にのみ形成されていてもよい。
【0019】
表面材3は、起毛布などの厚手の布材により形成される。底基材2は、綿板状の不織布層2aの裏面に便座10の上面に粘着状に接合する接合層2bが形成され、該接合層2bには、便器10の中心線Lに対し略平行な多数の溝2cが形成されており、溝2cの底部には不織布層2aが表出されている。多数の溝2cは、中心線Lと略直交する方向に形成されていても差し支えない。
【0020】
上記便座シート1の製造は、予め溝2cを有する接合層2bが形成された上記底基材2、予め接着剤5が吹き付けにより形成された上記中間シート材4、及び、上記表面材3の原反を重ね合わせる。底基材2の裏面には、プラスチック剥離紙6の原反を重ね合わせて、打ち抜き金型により、高周波による熱圧着を行わせつつ打ち抜くことにより、裏面に剥離紙6を有する、製品としての便座シート1を製造する。加熱圧着時に吹きつけによる接着剤5が溶融することにより、底基材2と表面材3と中間シート材4とが一体化するが、接着剤5の粒子の間と表面には、通気空間が確保されている。
【0021】
図7は、第2実施形態を示している。
第2実施形態に係る便座シート1' は、中間シート材4が、複数枚(2枚)底基材2と表面材3との間に設けられている。
その他の構成については、上記第1実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0022】
1,1' …便座シート
2…底基材、2a…不織布層、2b…接合層、2c…溝
3…表面材
4…中間シート材
5…接着剤
6…剥離紙
10…便器
11…便座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器の便座の上面に設置される便座シートにおいて、
底基材と表面材とが、吹き付けにより接着剤が散布された通気性の薄手の不織布シートよりなる中間シート材を介して、相互に前記接着剤による接着若しくは溶着により一体化されていることを特徴とする便座シート。
【請求項2】
前記中間シート材は、表裏が透けて見える程度の薄手のポリエステル繊維などの合成樹脂による不織布シートよりなり、前記底基材と表面材との間に、一層若しくは複数層設けられており、中間シート材の表裏両面の少なくともいずれか一方の面に前記接着剤が吹き付けにより設けられ、前記底基材と前記表面材と中間シート材とが一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の便座シート。
【請求項3】
前記表面材は、起毛布などの厚手の布材により形成され、前記底基材は、綿板状の不織布層の裏面に便座の上面に粘着状に接合する接合層が形成され、該接合層には便器の中心線に対し略平行な多数の通気性の溝が形成されており、溝の底部に不織布層が表出され、表裏方向に通気性を有し、接合層の底面にはプラスチックの薄手のシートよりなる剥離紙が着脱自在に接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の便座シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−130418(P2012−130418A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283299(P2010−283299)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】