説明

係止具

【課題】ある程度の重さのある掲示物でも美観を損なわずに掲示する係止具を提供する。
【解決手段】それぞれ尖頭形の第1針部11及び第2針部12と、第1針部11の基端が固定される第1平面13、及び第1平面13に平行で、第2針部12の基端が固定される第2平面14を有する頭部10と、を備える係止具1である。第1針部11は、第1平面13の法線から所定の角度傾斜して設けられており、第2針部12は、第2平面14の法線から所定の角度傾斜して設けられる。第1平面13は、第1平面13の法線方向からみたときの第1針部11の延長線上で第1針部11の先端の向く方向とは反対の縁部に窪み15を備え、第2平面14は、第2平面14の法線方向からみたときの第2針部12の延長線上で第2針部12の先端の向く方向とは反対の縁部に窪み16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、額などの掲示物を壁などに掛けて掲示する際に用いられる係止具に関する。
【背景技術】
【0002】
掲示物を壁に掛ける場合には、ねじ込み式のフックやネジ、釘、ピンなどの係止具を用いることが多い。掲示物が係止具に係止されるための凹部や付属品を備える場合には、掲示物をそのまま係止具に掛けることが可能である。しかし、凹部や付属品がない場合には、紐や針金を、掲示物及び係止具に通して用いることがある。紐や針金を用いる場合には、掲示物をバランス良く壁に掛けることに手間取ることが多い。バランスが悪ければ美観を損ねることもある。例えば、額を壁に掲示する場合には、バランスが悪ければ、額が斜めになり美観を損ねることになる。
【0003】
また、係止具は、壁の裏に柱張りがある場合には、掲示物がある程度重くても支えることが可能である。しかし、柱張りが無い場合には、係止具が抜けやすくなり、あまり重い掲示物を支えることができない。
【0004】
特許文献1には、このような係止具の一例であるピンフックが開示されている。特許文献1のピンフックは、壁の取り付け面に対して垂直に挿入されてピンフックを壁に固定する取り付けピンと、壁の取り付け面に対して斜めに挿入されてピンフックを壁に固定する取り付けピンとを有する。壁の取り付け面に対して斜めに挿入されるピンにより、ある程度の重さの掲示物がピンフックに掛けられた場合でも、ピンフックが壁から外れにくくなっている。しかし特許文献1のピンフックであっても、掲示物を紐や針金を用いてピンフックに引っかける場合には、掲示物をバランス良く壁に掛けることに手間取ることが多く、バランスが悪くなることで美観を損ねる、という問題は解決されない。
【0005】
特許文献2は、頭部の針が設けられる面とは反対の面に、両面テープを設けた画鋲を開示している。このような画鋲は、両面テープにより画鋲の頭部に掲示物を貼り付けることができ、掲示物を容易に、バランス良く壁に掲示することができる。しかし、両面テープを用いるために、掲示物の重さに制限がある。また、画鋲であるために、特許文献1のピンフックよりも壁から外れる可能性が高い。
【0006】
特許文献3は、壁から抜け落ちにくい画鋲を開示している。この画鋲は、針部が円弧または円弧に近似の形状である。円弧の中心と画鋲の回転中心を一致させて画鋲全体を回転させつつ壁に挿入する。針部が円弧または円弧の近似の形状であるために、壁から抜けにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−76041号公報
【特許文献2】特開平8−90996号公報
【特許文献3】特開2005−22394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の発明と特許文献3の発明とを組み合わせることで、壁から抜けにくく頭部に掲示物を貼り付けることが可能な画鋲を実現することができる。しかし、掲示物は、紙などの軽い物に限られ、額などの重い物の掲示は困難である。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑み、ある程度の重さのある掲示物でも美観を損なわずに掲示可能な係止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の係止具は、それぞれが尖頭形の第1係止部材及び第2係止部材と、前記第1係止部材の基端が固定される第1平面、及びこの第1平面に対して所定の角度をもち、前記第2係止部材の基端が固定される第2平面を有する頭部と、を備えている。前記第1係止部材は、前記第1平面の法線に対して所定の角度をもって設けられており、前記第2係止部材は、前記第2平面の法線に対して所定の角度をもって設けられている。
尖頭形の第1、第2係止部材には、針、釘、ピン、或いはナイフ状の平板などのように所定の物に対して挿して用いられるものや、ネジなどのように所定の物に螺合されるものなどがあり、先端が尖っていればどのような物でも用いることができる。
【0011】
本発明の係止具は、頭部が有する第1、第2平面に第1、第2係止部材を備える。第1係止部材が針、釘、ピンなどであれば、例えばその先端が下向きになるように壁に係止することで、第1係止部材を壁から抜けにくくすることができる。第2係止部材が針、釘、ピンなどの場合は、その先端が上向きになるように掲示物に係止することで、第2係止部材を壁から抜けにくくすることができる。
第1、第2係止部材がネジの場合に第1、第2係止部材は、掲示物や壁に螺合される。この場合には、針、釘、ピンなどでは係止できないような重さや硬さの掲示物や壁であっても係止が可能になる。
このような構造であるために、例えば特許文献2では頭部に貼り付けることが困難であった重さの掲示物であっても、容易に係止できる。また、壁と掲示物とをそれぞれ係止具により係止するのみで、例えば額を壁に掛けることが可能であるので、紐や針金を必要とせず、また係止具自体も額などで隠れてしまうために、美観を損ねることがない。
【0012】
本発明の係止具は、前記頭部が、例えば、他の係止具の頭部に接続するための嵌合部と、他の係止具の頭部が接続される嵌合穴と、を備えている。前記嵌合部は、例えば前記頭部から突出して設けられており、前記嵌合穴は、例えば前記第1平面及び前記第2平面を貫通して設けられる。前記嵌合部が前記他の係止具の嵌合穴に嵌合し、前記嵌合穴に前記他の係止具の嵌合部が嵌合されることで、他の係止具と接続可能である。
また、前記頭部が、前記第1平面を有する第1部材と前記第2平面を有する第2部材とを備えて構成されていてもよい。前記第1部材と前記第2部材とには、例えばそれぞれ係止機構が設けられ、これにより第1部材と第2部材とが互いに係止されるようになっている。
【0013】
このような本発明の係止具は、例えば、前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第1平面が、前記第1平面の法線方向からみたときの前記第1係止部材の延長線上で前記第1係止部材の先端の向く方向とは反対の縁部に窪みを備える。また、前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第2平面が、前記第2平面の法線方向からみたときの前記第2係止部材の延長線上で前記第1係止部材の先端の向く方向とは反対の縁部に窪みを備える。このような構成では、第1係止部材を壁から抜くときに、第1平面の窪みを用いて容易に抜くことが可能である。第2平面にも第1平面と同様に窪みがあるために、この窪みを用いて容易に第2係止部材を抜くことが可能である。
前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第1係止部材が前記第1平面の法線に対して所定の角度傾斜して設けられる。前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第2係止部材が前記第2平面の法線に対して所定の角度傾斜して設けられる。このような構成では、前記第1係止部材の先端と前記第2係止部材の先端とが逆の方向を向くように構成されることが好ましい。
前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第1係止部材が1つの前記頭部に1又は複数設けられてもよく、また前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる針、釘、ピンなどの場合には、前記第2係止部材が1つの前記頭部に1又は複数設けられてもよい。複数設けることで、係止具の強度が増し、画鋲と同様の使い勝手を保ちつつ、より重い掲示物であっても係止可能になる。
【0014】
前記第1係止部材及び前記第2係止部材の少なくとも一方がネジの場合には、例えば前記第1平面及び前記第2平面の少なくとも一方が、その縁部の一辺が直線状に構成される。このような構成であれば、ネジを所定の対象物に楽に螺合できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の係止具によれば、頭部の第1、第2平面に備えられた第1、第2係止部材により、例えば第1係止部材を壁に係止し、第2係止部材を掲示物に係止することができる。壁及び掲示物のいずれにも係止する構造であるために、従来では係止が困難であった重さの掲示物であっても、係止具から外れることは無い。また、掲示物をそれぞれ係止具により係止するのみであるために、紐や針金を必要とせず、係止具も隠れてしまうので、美観を損ねることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は第1実施例の係止具の斜視図、図1(b)は係止具を図1(a)の矢印Aの方向から見た図、図1(c)は係止具を図1(a)の矢印Bの方向から見た図である。
【図2】第1実施例の係止具の使用時の状態を説明する図である。
【図3】図3(a)は第1実施例の係止具の斜視図、図3(b)は係止具を図3(a)の矢印Aの方向から見た図、図3(c)は係止具を図3(a)の矢印Bの方向から見た図である。
【図4】第2実施例の係止具の使用時の状態を説明する図である。
【図5】第2実施例の係止具の使用時の状態を説明する別の図である。
【図6】第3実施例の係止具3の構成図である。
【図7】第4実施例の係止具4の構成図である。
【図8】第5実施例の係止具5の構成図である。
【図9】第6実施例の係止具6の構成図である。
【図10】第7実施例の係止具の構成図である。
【図11】ピンフックの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の係止具の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
<第1実施例>
図1は、第1実施例の係止具の構成図である。
図1(a)は係止具1の斜視図、図1(b)は係止具1を図1(a)の矢印Aの方向から見た図、図1(c)は係止具1を図1(a)の矢印Bの方向から見た図である。係止具1は、頭部10、第1係止部材となる尖頭形の第1針部11、及び第2係止部材となる尖頭形の第2針部12を備える。第1針部11及び第2針部12は、いずれも係止の際に係止の対象となる物に挿して用いられる。
【0019】
頭部10は、2つの平行な平面を有しており、一方の面(第1平面13)に第1針部11が設けられ、他方の面(第2平面14)に第2針部12が設けられる。係止具1の頭部10は、2枚の同じ形状の平板を所定量ずらして組み合わせた形状である。ずらして組み合わた形状であるために、ずらした量に応じて第1平面13の窪み15及び第2平板の窪み16が形成される。
【0020】
第1針部11は、第1平面13の法線に対して所定の角度傾斜して設けられている。係止具1では、図1(b)に示すように、先端が図中下向きになるように第1針部11が設けられる。第1平面13の窪み15は、第1平面13の法線方向からみたときの第1針部11の延長線上で、第1針部11の先端の向く方向とは反対の縁部に位置する。
【0021】
第2針部12は、第2平面14の法線に対して所定の角度傾斜して設けられている。係止具1では、図1(b)に示すように、先端が図中上向きになるように第2針部12が設けられる。第2平面14の窪み16は、第2平面14の法線方向からみたときの第2針部12の延長線上で、第2針部12の先端の向く方向とは反対の縁部に位置する。
係止具1の第1針部11と第2針部12とは、平行に設けられており、矢印Aの方向からみるとその先端が互いに逆向きになっており、矢印Bの方向からみると一直線に並ぶように配置される。
【0022】
第1針部11及び第2針部12の大きさは、係止具1がどのような掲示物を係止するかによって決まる。例えば、掲示物がコルクボードのように軽い物の場合には、長さ10mm、直径1mm〜1.5mm程度の大きさになる。絵画や建材等の大型で重量の重い掲示物は、その重さに耐えうる素材(例えば、プラスチック、厚紙、鉄など)を用い、大きさを適宜決めて係止具1を形成する。
【0023】
図2は、係止具1の使用時の状態を説明する図である。図2では、第1針部11が壁Wに係止される。第2針部12が掲示物Oに係止される。掲示物Oは、例えば額である。なお、本明細書中では、以下の実施例も含めて掲示物Oを壁Wに掛けるために係止具1を用いる構成を説明するが、これに限らず、2個の別の対象物をつなぐために係止具1を用いることも可能である。
【0024】
係止具1は、壁Wと掲示物Oとの間に設けられる。第1針部11は、壁Wに対して、先端が図2の下方に向くように挿入される。これにより係止具1が壁Wに係止される。第2針部12は、掲示物Oに対して先端が図2の上方を向くように挿入される。これにより係止具1が掲示物Oに係止される。このように係止されることで、第2針部12に掲示物Oにより図2の下方向きの力が加わっても、簡単に第2針部12が抜けることはない。また、掲示物Oにより、係止具1には図2の下側方向に荷重がかかるが、第1針部11の先端が下側を向いているために、簡単に第1針部11が壁Wから簡単に抜けることはない。
【0025】
係止具1を外す場合には、まず、窪み16に指や棒を挿し込んで、掲示物Oを下から上へ、第2平面14の上端を回転中心として回転させる。これにより、第2針部12が掲示物Oから簡単に抜ける。次に、窪み15に指や棒を挿し込んで係止具1を上から下へ、第1平面の下端を回転中止として回転させる。これにより、第1針部11が壁Wから簡単に抜ける。
【0026】
このように、係止具1は、壁Wや掲示物Oから自然に抜ける可能性は低い。しかし、使用者が係止具1を壁Wや掲示物Oから抜こうとする場合には容易に抜くことができる。また係止具1は、第1針部11及び第2針部12により、従来の画鋲と同じ容易さで壁Wや掲示物Oに係止される。
【0027】
<第2実施例>
図3は、第2実施例の係止具の構成図である。
図3(a)は係止具2の斜視図、図3(b)は係止具2を図3(a)の矢印Aの方向から見た図、図3(c)は係止具2を図3(a)の矢印Bの方向から見た図である。係止具2は、頭部20、第1係止部材となる尖頭形の第1針部21、及び第2係止部材となる尖頭形のネジ部22を備える。第1針部21は、係止の際に係止の対象となる物に挿して用いられ、ネジ部22は、係止の際に係止の対象となる物に螺合される。
【0028】
頭部20は、2つの平行な平面を有しており、一方の面(第1平面23)に第1針部21が設けられ、他方の面(第2平面24)にネジ部22が設けられる。係止具2の頭部20は、六角形の平板と略正八角形の平板を合わせた形状である。第1平面23は六角形の平板にあり、第2平面24は略正八角形の平板にある。2枚の平板の形状の相違から第1平面23側に窪み25が形成される。窪み25は、第1実施例の窪み15、16と同様に、第1針部21を壁Wから抜くときに用いられる。
頭部20のこのような形状により、頭部20を指などで回すことで、ネジ部22を掲示物に挿入し易くなっている。また、工具を使って回すことも可能である。なお、係止具2では、頭部20が六角形の平板と八角形の平板とを組み合わせた形状であるが、頭部20が容易に指で回せる形状であれば、どのような形状であってもよい。例えば、少なくとも一辺が直線であれば、同様にネジ部22を操作しやすくなる。
【0029】
第1針部21は、第1平面23の法線に対して所定の角度傾斜して設けられている。係止具2では、図3(b)に示すように、第1針部21の先端が図中上向きになるように設けられる。第1平面23の窪み25は、第1平面23の法線方向からみたときの第1針部21の延長線上で、第1針部21の先端の向く方向とは反対の縁部に位置する。
ネジ部22は、第2平面24に対して略垂直に設けられている。ネジ部22は、先端が細くなっており、掲示物に挿入しやすくなっている。
係止具2の第1針部21とネジ部22とは、矢印Bの方向からみると一直線に並ぶように配置される。
第1針部21の大きさは、第1実施例の係止具1と同様に、係止具2がどのような掲示物に係止されるかによって決まる。ネジ部22も同様に、掲示物の大きさによりその大きさが決まる。
【0030】
図4は、係止具2の使用時の状態を説明する図である。図4では、第1針部21が壁Wに係止される。ネジ部22が掲示物Oに係止される。
【0031】
係止具2は、壁Wと掲示物Oとの間に設けられる。第1針部21は、壁Wに対して、先端が図4の下方に向くように挿入される。これにより係止具2が壁Wに係止される。ネジ部22は、掲示物Oに螺合される。ネジ部22は螺合されるために、掲示物Oから簡単に抜けることはない。また、掲示物Oにより、係止具2には図4の下側方向に荷重がかかるが、第1針部21の先端が下側を向いているために、簡単に第1針部21が壁Wから簡単に抜けることはない。
【0032】
係止具2を外す場合には、まず、窪み25に指や棒を挿し込んで係止具2を上から下へ、第1平面23の下端を回転中止として回転させる。これにより、第1針部21が壁Wから簡単に抜ける。次に、係止具2を回してネジ部22を掲示物Oから抜き取る。
【0033】
図5は、係止具2の使用時の状態を説明する別の図である。図5では、図4とは逆に、第1針部21が掲示物Oに係止され、ネジ部22が壁Wに係止される。
【0034】
係止具2は、壁Wと掲示物Oとの間に設けられる。第1針部21は、掲示物Oに対して、先端が図5の上方に向くように挿入される。これにより掲示物Oが係止具2に係止される。このように挿入されることで、掲示物Oに図5の下方向きの力が加わっても、簡単に第1針部21が抜けることはない。ネジ部22は、壁Wに螺合される。掲示物Oにより、係止具2には図5の下側方向に荷重がかかるが、ネジ部22は壁Wに螺合されているために、簡単に壁Wから簡単に抜けることはない。
【0035】
係止具2を外す場合には、まず、窪み25に指や棒を挿し込んで、掲示物Oを下から上へ、第1平面23の上端を回転中心として回転させる。これにより、第1針部21が掲示物Oから簡単に抜ける。次に、係止具2を回してネジ部22を壁Wから抜き取る。
【0036】
係止具2は、ネジ部22を用いるために、第1実施例の係止具1よりも重い掲示物に用いることができる。なお、係止具2の第1平面23に、第1針部21に替えて第2平面24と同じくネジ部を設けてもよい。この場合、頭部20の2面にネジ部が設けられ、さらに重い掲示物に用いることが可能になる。
【0037】
<第3実施例>
図6は、第3実施例の係止具3の構成図である。
係止具3は、第1実施例の係止具1の変形例である。第1実施例の係止具1の各部と同じ機能の部材については、同じ名前及び符号を用いて説明する。係止具1の変形例であるので、係止具3は、係止具1と同様の使い方が可能である。
係止具1では、第1針部11及び第2針部12を備えた構成であるが、係止具3では、第1針部11の他に、2本の第2針部120、121を備えた構成になっている。係止具3は、2本の第2針部120、121を備えることで、係止具1よりも重い掲示物に用いることが可能である。
なお係止具3では、2本の第2針部120、121を備えた構成となっているが、第1針部11も含めて、針の本数は、それぞれ何本であっても構わない。それぞれの本数を掲示物の大きさ、重さ、数、形状、硬さなどにより、適宜決めればよい。
【0038】
<第4実施例>
図7は、第4実施例の係止具4の構成図である。
係止具4は、第2実施例の係止具2の変形例である。第2実施例の係止具2の各部と同じ機能の部材については、同じ名前及び符号を用いて説明する。係止具2の変形例であるので、係止具4は、係止具2と同様の使い方が可能である。
係止具2では、第1針部21及びネジ部22を備えた構成であるが、係止具4では、ネジ部22の他に、2本の第1針部210、211を備えた構成になっている。係止具4は、2本の第1針部210、211を備えることで、係止具2よりも重い掲示物に用いることが可能である。
なお係止具4では、2本の第1針部210、211を備えた構成となっているが、針の本数は、何本であっても構わない。針の本数を掲示物の大きさ、重さ、数、形状、硬さなどにより、適宜決めればよい。
【0039】
<第5実施例>
図8は、第5実施例の係止具5の構成図である。
係止具5は、第1実施例の係止具1の変形例である。係止具1は、頭部10が1個の部品で構成されるが、係止具5では、頭部が複数のピンフックの組み合わせで構成される点で異なる。ただし、係止具5の頭部の全体の形状は、係止具1の頭部10と略同じである。係止具1の変形例であるので、係止具5は、係止具1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
第5実施例では、係止具5が2個のピンフック50、51で構成される。各ピンフック50、51の形状は同じであるので、ピンフック50について説明し、ピンフック51については説明を省略する。また、第1実施例の係止具1の各部と同じ機能の部材については、同じ名前及び符号を用いて説明する。
【0041】
ピンフック50は、第1平面13となる面を有する矩形の平板52と、第1平面と平行な平面に設けられる突起部53とを備える。平板52の第1平面13となる面に第1針部11が設けらる。突起部53に直接掲示物を係止することも可能であるが、この実施例では、ピンフック50、51の突起部53、55同士をかみ合わせることで、ピンフック50、51同士を係止して用いる。ピンフック50、51同士を係止することで、係止具5が形成される。
頭部の窪み15は、ピンフック51の突起部55とピンフック50の平板52とにより形成される。同様に窪み16は、ピンフック50の突起部53とピンフック51の平板54とにより形成される。
【0042】
係止具5は、例えば、壁にピンフック50の第1針部11を挿入し、掲示物にピンフック51の第2針部12を挿入した後に、ピンフック50、51の突起部53、55同士を係止することで、掲示物の掲示が可能になる。また、掲示物を取り外すときには、ピンフック50、51を別々にして壁、掲示物から取り外すことができる。そのために、第1実施例の係止具1よりも容易に、掲示物の掲示が可能である。
【0043】
係止具5は、2個のピンフック50、51を組み合わせた構成としているが、組み合わせるピンフックの数は更に多くてもよい。ピンフックの数が多くなるにつれて、係止具5の針の本数が多くなり、より重い掲示物に適用可能になる。つまり、第3実施例の係止具3の構成を容易に実現可能になる。
なお、第1、第2針部11、12のいずかを第2実施例の係止具2のネジ部22として構成することも可能である。
【0044】
<第6実施例>
図9は、第6実施例の係止具6の構成図である。
係止具6は、第1実施例の係止具1の変形例である。係止具6と係止具1とでは、頭部60の形状が異なる。係止具1の変形例であるので、係止具6は、係止具1と同様の使い方が可能である。
係止具6の頭部60は、他の係止具6の頭部60と接続可能になっている。図9の例では、係止具6の頭部60に、それぞれ2個の嵌合部61及び嵌合穴62が形成される。嵌合部61は、他の係止具6の頭部60に形成された嵌合穴62に嵌合可能である。嵌合穴62には、他の係止具6の頭部60に形成された嵌合部61が嵌合される。
つまり、いわゆるジグソーパズルのようにして、頭部60を接続可能である。嵌合部61及び嵌合穴62は、図8ではそれぞれ2個ずつ頭部60に設けられているが、これらの数は更に多くてもよい。また、1個ずつでもよい。
【0045】
このような構成であるために、針の本数を自由に調整可能である。針の本数が多くなるにつれて、係止具6の針の本数が多くなり、より重い掲示物に適用可能になる。つまり、第3実施例の係止具3を容易に実現可能になる。
なお、頭部60に嵌合部62及び嵌合穴63を設けて複数の係止具6を接続する構成は、頭部の形状によらず可能である。また、係止具6は、係止具1の変形例として説明したが、第2実施例の係止具2の変形例として実現することも可能である。
【0046】
<第7実施例>
図10は、第7実施例の係止具の構成図である。
係止具7は、第5実施例の係止具5と同様に、複数のピンフックを組み合わせて構成される。係止具7は、係止具5とは組み合わせるピンフックの形状に違いがあるが、同様の使い方が可能であり、また効果についても同様の効果が得られる。
【0047】
第7実施例では、係止具7が2個のピンフック70、71で構成される。各ピンフック70、71の形状は同じであるので、ピンフック70について説明し、ピンフック71については説明を省略する。また、第5実施例の係止具5の各部と同じ機能の部材については、同じ名前及び符号を用いて説明する。図11は、ピンフック70の構成図である。
【0048】
ピンフック70は、L字部材72の第1平面13となる面に第1針部11が設けられ、L字部材72の第1平面13が設けられる側の端部に他のピンフック71に係止される場合にピンフック71に嵌合される嵌合部73が設けられ、L字部材72の他方の端部に第1平面13と平行になるように突起部74が設けられる。L字部材72、嵌合部73、及び突起部74により、ピンフック70には、嵌合部73と略同じ形状、大きさの空間(嵌合穴75)が形成される。また、嵌合部73は、L字部材72の端部から突起部74側に向かって設けられている。嵌合部73とL字部材72の端部とにより、窪み76が形成される。
【0049】
ピンフック70は、突起部73に直接掲示物を係止することも可能であるが、この実施例では、ピンフック70、71同士を係止して用いる。ピンフック70にピンフック71を係止する場合には、ピンフック70の嵌合部73がピンフック71の嵌合穴75に勘合され、ピンフック70の突起部74がピンフック71の窪み76に係止される。ピンフック50にピンフック51を係止することで、図10に示すような係止具7が形成される。
なお、第1、第2針部11、12のいずかを第2実施例の係止具2のネジ部22として構成することも可能である。
【0050】
以上のような、第1〜7実施例の係止具1〜7は、従来の画鋲と同様の手軽さで第1針部11を壁や掲示物に係止することができる。第1針部11は、第1平面13、23の法線に対して所定の角度傾斜して設けられているために、例えば壁から第1針部11が自然に抜ける可能性は低い。その一方で、第1平面13、23には、使用者の操作により第1針部11が容易に抜けるように窪み15、25、76が設けられている。使用者が意図して係止具1〜7を抜く場合には、窪み15、25、76に指や棒を挿し込んで操作することで容易に抜くことができる。第2実施例の係止具2のように、ネジ部22を有する場合には、従来のネジと同様の手軽さでネジ部22を壁や掲示物に係止することができる。ネジ部22には、第1針部11よりも重い掲示物の係止が可能になる。また、係止具1〜7は、壁へ係止し易く、且つ係止具1〜7に直接掲示物を係止する構成であるために掲示物を、容易に、バランス良く壁に掲示でき、美観を損ねることはない。
【符号の説明】
【0051】
1,2,3,4,5,6,7…係止具、10,20,60…頭部、11,21,210,211…第1針部、12,120,121…第2針部、13,23…第1平面、14,24…第2平面、15,16,25,76…窪み、22…ネジ部、50,51,70,71…ピンフック、52,54…平板、53,55,74…突起部、61,73…嵌合部、62,75…嵌合穴、72…L字部材、W…壁、O…掲示物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが尖頭形の第1係止部材及び第2係止部材と、
前記第1係止部材の基端が固定される第1平面、及びこの第1平面に対して所定の角度をもち、前記第2係止部材の基端が固定される第2平面を有する頭部と、を備えており、
前記第1係止部材は、前記第1平面の法線に対して所定の角度をもって設けられており、
前記第2係止部材は、前記第2平面の法線に対して所定の角度をもって設けられている、
係止具。
【請求項2】
前記頭部は、他の係止具の頭部に接続するための嵌合部と、他の係止具の頭部が接続される嵌合穴と、を備えており、これにより他の係止具の頭部に接続可能に構成される、
請求項1記載の係止具。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記頭部から突出して設けられており、
前記嵌合穴は、前記第1平面及び前記第2平面を貫通して設けられており、
前記嵌合部は、前記他の係止具の嵌合穴に嵌合し、前記嵌合穴は、前記他の係止具の嵌合部が嵌合される、
請求項2記載の係止具。
【請求項4】
前記頭部は、前記第1平面を有する第1部材と前記第2平面を有する第2部材とを備えており、
前記第1部材と前記第2部材とは、それぞれ係止機構を有して、第1部材と第2部材とが互いに係止される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の係止具。
【請求項5】
前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる場合に、前記第1平面は、前記第1平面の法線方向からみたときの前記第1係止部材の延長線上で前記第1係止部材の先端の向く方向とは反対の縁部に窪みを備え、
前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる場合に、前記第2平面は、前記第2平面の法線方向からみたときの前記第2係止部材の延長線上で前記第1係止部材の先端の向く方向とは反対の縁部に窪みを備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の係止具。
【請求項6】
前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる場合には、前記第1係止部材が前記第1平面の法線に対して所定の角度傾斜して設けられ、
前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる場合には、前記第2係止部材が前記第2平面の法線に対して所定の角度傾斜して設けられ、
前記第1係止部材の先端と前記第2係止部材の先端とが逆の方向を向くように構成される、
請求項5記載の係止具。
【請求項7】
前記第1係止部材が所定の対象物に挿して用いられる場合には、前記第1係止部材が1つの前記頭部に1又は複数設けられ、
前記第2係止部材が前記第1係止部材とは異なる対象物に挿して用いられる場合には、前記第2係止部材が1つの前記頭部に1又は複数設けられる、
請求項5又は6記載の係止具。
【請求項8】
前記第1係止部材及び前記第2係止部材の少なくとも一方がネジの場合に、前記第1平面及び前記第2平面の少なくとも一方は、その縁部の一辺が直線状に構成される、
請求項1〜5記載の係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−246710(P2010−246710A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98823(P2009−98823)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(508292109)
【Fターム(参考)】