説明

係止具

【課題】簡便に円柱に取り付け可能な係止具を得る。
【解決手段】 係止具1は合成樹脂材から成り、射出成形により1個の部品として一体成形されている。係止具1は、係止すべき支柱11の外径と同等又は稍々大きめの内径を有すると共に、切れ目を持つ円環部材2と、切れ目の両端に設けた連結片3a、3bとから成っており、連結片3a、3b同士を合掌形態で合わせて係合機構により連結されている。また、連結片3a、3bの先端には、物品を掛止するためのフック部4a、4bが設けられている。
連結片3a、3b同士を連結することにより、係止具1は支柱11に対して固定される。この際に、円環部材2の内側に設けた環状の突条部は支柱11の環状溝12に嵌合するので、係止具1はその位置で支柱11に対し滑り落ちることなく固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒や円柱状の支柱に容易に取り付けることにより、例えば物品を吊り下げることができる係止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、壁面や角柱等の平面に物品を吊したり、保持するための係止具は、ねじや釘を用いることにより簡便に取り付けができる。
【0003】
しかし、円筒や円柱状の支柱の場合には、係止具を取り付ける面が曲面であるため、位置決めが困難であったり、円筒の肉厚が薄いことからねじや釘を用いて固定することは困難である。
【0004】
そこで、本出願人は特許文献1、2において、円筒や円柱状の支柱の外周面に着脱可能な掛け具を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−284126号公報
【特許文献2】特開2010−57558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2に開示の掛け具は部品点数が多く、構造も複雑なため、価格も高くなりがちである。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、円筒や円柱状の支柱に簡便に着脱可能で、簡素な構造の係止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにの本発明に係る係止具は、断面円形の支柱に対して着脱自在に係止する係止具において、前記支柱に周設する円環部材の切れ目に一対の連結片を一体に形成し、前記一対の連結片同士を合わせて連結することにより、前記円環部材を前記支柱に係止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における係止具は、合成樹脂により一体成形された1個の部材から成り、安価に製造でき、構造が簡素で支柱への着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の係止具の斜視図である。
【図2】係止具の平面図である。
【図3】一方の連結片を切断した状態の斜視図である。
【図4】他方の連結片を切断した状態の斜視図である。
【図5】支柱に係止具を取り付ける状態の説明図である。
【図6】支柱に係止具を取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1、図2は本発明の係止具の斜視図、平面図をそれぞれ示している。この係止具1はポリプロピレン等の合成樹脂材から成り、射出成形により1個の部品として一体成形されている。
【0012】
係止具1は、係止すべき円柱の外径と同等又は稍々大きめの内径を有すると共に、切れ目を持つ円環部材2と、切れ目の両端に設けた一対の連結片3a、3bとから成っている。連結片3a、3bにより円環部材2の切れ目を拡開することができ、また連結片3a、3b同士を合掌形態で合わせて相互に連結することが可能とされている。また、連結片3a、3bの先端には、物品を掛止して吊り下げるためのフック部4a、4bが上方に向けて突出されている。
【0013】
図3は係止具1の一方の連結片3bを切断して示した斜視図、図4は他方の連結片3aを切断して示した斜視図である。連結片3aの合わせ面の下部には、断面鳩尾形状の係合凸部5が上下方向に沿って形成されている。また、連結片3bの合わせ面の下部には係合凸部5と係合する断面蟻溝形状の係合凹部6が形成されている。更に、円環部材2の内壁には突条部7が円環状に形成されている。
【0014】
図5は上述の係止具1を、例えば金属製の断面円形で上下方向に向けて配置した支柱11に固定する場合の斜視図を示している。支柱11は市販されているように、その表面には上下の所定間隔ごとに環状溝12が水平に刻設されている。連結片3a、3bにより円環部材2の切れ目を広げて、円環部材2を支柱11に周設し、連結片3a、3b同士を上下にずらして係合凸部5を係合凹部6に係合する。
【0015】
これにより図6に示すように、連結片3a、3b同士が連結し、係止具1は支柱11に対して固定される。この際に、円環部材2の内側に設けた突条部7は支柱11の環状溝12に嵌合するので、係止具1はその位置で支柱11に対し滑り落ちることなく固定できる。
【0016】
このようにして取り付けた連結片3a、3bのフック部4a、4bに、例えば物品を吊り下げることが可能となる。特に、連結片3a、3bに物品を吊すことにより荷重を加えると、この荷重は支柱11に対して円環部材2を斜めに傾け、ずり落ち難いモーメントが作用するので、円環部材2の耐荷重性が大きくなる。
【0017】
また、この係止具1は支柱11に対し着脱自在とされており、連結片3a、3b同士の係合を外せば、支柱11から容易に取り外すことができる。
【0018】
なお本実施例においては、係合凸部5、係合凹部6の形状をそれぞれ断面鳩尾形状、断面蟻溝形状としたが、他の係合構造、形状を採用して係合するようにしてもよい。
【0019】
また、支柱11への取付時に係合凸部5、係合凹部6同士を上下にずらして係合するようにしたが、合掌状に連結片3a、3b同士を合わせて係合する方式とすることもできる。更に、連結片3a、3bのフック部4a、4bを含めた形状は実施例に限らず、他の形状としても支障はない。
【0020】
本実施例においては、円環部材2の突条部7を支柱11の環状溝12に嵌合させることにより係止具1の落下を防止しているが、突条部7を省略し、円環部材2の内壁にゴム等の弾性部材を貼り付けることによって、環状溝12がない支柱11に対しても締め付けにより固定することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 係止具
2 円環部材
3a、3b 連結片
4a、4b フック部
5 係合凸部
6 係合凹部
7 突条部
11 支柱
12 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の支柱に対して着脱自在に係止する係止具において、前記支柱に周設する円環部材の切れ目に一対の連結片を一体に形成し、前記一対の連結片同士を合わせて連結することにより、前記円環部材を前記支柱に係止することを特徴とする係止具。
【請求項2】
前記円環部材の内壁に円環状に突条部を設け、該突条部を前記支柱の表面に設けた環状溝に嵌合することを特徴とする請求項1に記載の係止具。
【請求項3】
前記円環部材の内壁に弾性部材を貼り付けたことを特徴とする請求項1に記載の係止具。
【請求項4】
前記一対の連結片の各先端にフック部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の係止具。
【請求項5】
前記連結片同士の係合は一方の連結片の合わせ面側に設けた係合凸部と、他方の連結片の合わせ面に設けた係合凹部により行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載の係止具。
【請求項6】
前記係合凸部は断面鳩尾形状とし、前記係合凹部は断面蟻溝形状としたことを特徴とする請求項5に記載の係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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