保持具
【課題】リング状の被保持物も保持することができるとともに、保持力を高めることができる保持具を提供する。
【解決手段】基部10と、基部の一端から延出された第1折曲部20と、基部の別の一端または第1折曲部から延出された第2折曲部30とを備える。第1折曲部は、基部の係合凹部15に係合される第1係合素子21を有し、第2折曲部は、基部の係合凹部15に係合される第2係合素子31を有する。基部および第1折曲部によって被保持物を保持する第1の収納空間27が形成され、基部および第2折曲部によって被保持物を保持する第2の収納空間37が形成されている。第2折曲部および第2係合素子の少なくとも一方には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられている。
【解決手段】基部10と、基部の一端から延出された第1折曲部20と、基部の別の一端または第1折曲部から延出された第2折曲部30とを備える。第1折曲部は、基部の係合凹部15に係合される第1係合素子21を有し、第2折曲部は、基部の係合凹部15に係合される第2係合素子31を有する。基部および第1折曲部によって被保持物を保持する第1の収納空間27が形成され、基部および第2折曲部によって被保持物を保持する第2の収納空間37が形成されている。第2折曲部および第2係合素子の少なくとも一方には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具に関する。たとえば、紐などの長尺物を保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾品として、複数の紐などの長尺物を並列して保持する保持具をもった腕輪や首輪などが知られている。
従来、この種の装飾品に用いられる保持具として、たとえば、図21に示すように、断面が長円の短柱状材に2つの孔を貫通して設けた保持具6が知られている。保持具6の孔に、有端状の2本の紐7をそれぞれ挿通したのち、各紐7の両端同士をそれぞれ縫製、接着あるいは固着することにより、紐を並列して保持しつつリング状に製造することができる。
【0003】
また、長尺な棒状物を保持固定する留め具として、たとえば、特許文献1に開示された棒状物留め具が知られている。
この棒状物留め具は、取付面に突設されたスタッドボルトに装着され、取付面に沿って棒状物を保持するもので、プラスチック製の本体と、金属製の保持板とから構成されている。本体には、棒状物を保持する保持部と、棒状物の軸方向と略直交する方向に穿設され内壁に係止段部を有するスタッド装着穴とが設けられている。保持板は、本体の外周部に帯状に巻装され、両端がスタッド装着穴に挿入可能に構成されている。スタッド装着穴に挿入可能な保持板の両端部には、係止段部に係止される第1の係止爪と、スタッド装着穴に挿入されるスタッドボルトのネジ部に逆止的に係止する第2の係止爪とが設けられている。
【0004】
棒状物を保持部に挿入したのち、保持板の両端部をスタッド装着穴に挿入すると、第1の係止爪がスタッド装着穴の係止段部に係止される。この状態において、スタッドボルトに対して留め具のスタッド装着穴をあてがい、留め具をスタッドボルトに押し込むと、第2の係止爪がスタッドボルトのネジ部(ねじ山)に係止され、抜け止めされる。これにより、棒状物を取付面に平行に保持することができる。
【0005】
【特許文献1】実公平4−16007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図21に示す保持具では、必ず、紐の端部処理前に、紐に保持具を挿通させておく必要があるので、予め無端のリング状の紐に対しては、保持具を取り付けることができない。
【0007】
また、特許文献1に開示された留め具では、保持板の両端部をスタッド装着穴に挿入しただけでは、第1の係止爪がスタッド装着穴の係止段部に係止されるだけであるから、係止力が弱い。係止力を高めるためには、スタッド装着穴にスタッドボルトを差し込まなくてはならないから、新たな部品が必要となり、部品点数の増加につながる。
【0008】
本発明の目的は、このような課題を解決し、無端のリング状の被保持物も保持することができるとともに、保持力を高めることができる保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保持具は、第1被係合素子および第2被係合素子を有する基部と、前記基部の一端から延出され、前記基部に対して折曲可能な第1折曲部と、前記基部の別の一端または前記第1折曲部から延出され、前記基部に対して折曲可能な第2折曲部とを備え、前記第1折曲部は、前記基部の第1被係合素子に係合される第1係合素子を有し、前記第2折曲部は、前記基部の第2被係合素子に係合される第2係合素子を有し、前記第1係合素子が前記第1被係合素子に係合されたときに、前記基部および前記第1折曲部によって被保持物を保持する第1の収納空間が形成され、前記第2係合素子が前記第2被係合素子に係合されたときに、前記基部および前記第2折曲部によって被保持物を保持する第2の収納空間が形成され、前記第2折曲部および前記第2係合素子の少なくとも一方は、前記第1係合素子が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1折曲部および第2折曲部の内側に被保持物を配置したのち、まず、第1折曲部を基部に対して折曲して、第1折曲部に設けられた第1係合素子を基部の第1被係合素子に係合させる。すると、基部および第1折曲部によって第1の収納空間が形成されるから、この第1の収納空間によって被保持物が保持される。
続いて、第2折曲部を基部に対して折曲して、第2折曲部に設けられた第2係合素子を基部の第2被係合素子に係合させる。すると、基部および第2折曲部によって第2の収納空間が形成されるから、この第2の収納空間によって被保持物が保持される。
従って、無端のリング状の被保持物でも保持することができる。
【0011】
また、第2折曲部および第2係合素子の少なくとも一方は、第1係合素子が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有しているから、各係合素子が外れにくく、そのため、保持力を高めることができる。
例えば、被保持物を介して、第1係合素子が係合解除される方向の外力が第1折曲部に掛かると、その外力は、第1折曲部に設けられた第1係合素子と基部に設けられた第1被係合素子との係合部分に加わる同時に、移動阻止手段を介して、第2折曲部に設けられた第2係合素子と基部に設けられた第2被係合素子との係合部分にも加わる。つまり、外力は、第1係合素子と第2係合素子とで分散して受けることができるから、外力が加わっても、第1係合素子と第2係合素子とがそれぞれ協働して保持しようとする力が働くため、これらの係合素子が外れにくい。従って、保持力を高めることができる。
【0012】
本発明の保持具において、前記移動阻止手段は、前記第1折曲部に設けられた第3被係合素子と、前記第2折曲部に設けられ前記第3被係合素子に係合される第3係合素子とを有し、前記第3被係合素子および前記第3係合素子のいずれか一方は、凸部によって形成され、他方は、前記凸部に係合される凹部によって形成され、前記凸部および凹部は、前記第1係合素子21が係合解除する方向において隣接して配置されていることが好ましい。
この構成によれば、移動阻止手段が、第1折曲部に設けられた凹部または凸部と、第2折曲部に設けられた凸部または凹部とから構成されているから、例えば、被保持物を介して第1折曲部に加えられる外力によって、第1係合素子が係合解除される方向へ第1折曲部が移動しようとすると、第1折曲部に設けられた凹部または凸部が第2折曲部に設けられた凸部または凹部に当接して移動が規制される。このとき、凸部および凹部が、第1係合素子が係合解除される方向において、隣接した配置されているから、凹部と凸部とが当接しても、第1折曲部に捩れ力が生じることがないので、外力を凸部および凹部を介して第2折曲部へ確実に分散させることができる。
【0013】
本発明の保持具は、前記基部には開口が形成され、この開口の奥部に係合凹部が形成され、前記第1被係合素子および前記第2被係合素子は、前記係合凹部によって形成され、前記第1係合素子は、前記第1折曲部の先端に突出された第1軸部と、この第1軸部の先端に第1軸部の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部に係合する第1係合片とを含み形成され、前記第2係合素子は、前記第2折曲部の先端に突出された第2軸部と、この第2軸部の先端に第2軸部の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部に係合する第2係合片とを含み形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1,2被係合素子が基部に設けられた係合凹部によって形成され、また、第1,第2係合素子が、第1,第2折曲部の先端にそれぞれ突出された第1,第2軸部と、この第1,第2軸部のそれぞれ先端に各軸部が突出する方向に対して交差する方向に延出された第1,第2係合片とを含み形成されているから、第1,第2折曲部を基部に対して折曲すると、第1,第2係合片が係合凹部に係合されるから、これらの係合操作を簡単に行うことができる。しかも、係合した状態においては、各軸部が突出する方向に対して交差する方向に延出された各係合片が係合凹部に係合する構造であるから、外れにくい。
【0014】
本発明の保持具は、前記第1係合片および前記第2係合片の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部を有していることが好ましい。
この構成によれば、第1係合片および第2係合片の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部を有しており、異なる2以上の方向で係合されているから、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少ない。従って、被保持物を確実に保持できる。
【0015】
本発明の保持具は、前記第1係合片は、前記第2係合片の延出方向に対して交差する方向へ延出する延出部を有していることが好ましい。
この構成によれば、第1係合片は、第2係合片の延出方向に対して異なる方向、すなわち、交差する方向へ延出する延出部を有しているから、上記と同様に、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少ない。とくに、この構成によれば、第1係合片と第2係合片とで、加わる外力の方向を分担できるので、第1係合片と第2係合片をそれぞれ要求される機能を満たす形状、構造に構成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子が前記第1被係合素子および前記第2被係合素子にそれぞれ係合されたとき、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、互いに隣接して形成され、前記第1係合素子は、前記第1折曲部が弾性変形することで前記第1被係合素子に係合され、前記第2係合素子は、前記第2係合片が弾性変形することで前記第2被係合素子に係合されることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子は、第1折曲部が弾性変形することで第1被係合素子に係合されるため、第1係合片を弾性変形しない厚さに形成することにより、容易に抜けない構造にできる。しかし、第1折曲部が弾性変形するため、抜けてしまう虞がある。
第2係合素子は、第2係合片が弾性変形することで第2被係合素子に係合され、係合した状態では、第1係合素子に隣接しているので、第1係合素子が解除される方向に第1折曲部が弾性変形するのを防止できる。従って、この構成によっても、保持力を高めることができる。
【0017】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、前記第1の収納空間および前記第2の収納空間のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向に隣接して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子が、収納空間の中心軸方向に隣接して形成されているから、第2係合素子が第1係合素子の移動阻止手段として好適に機能する。また、保持具の形態をコンパクトにできる。
【0018】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子同士が対向する面に前記第3係合素子および第3被係合素子が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子同士が対向する面に第3係合素子および第3被係合素子が形成されているから、つまり、係合部分が一箇所に集中配置されているから、係合操作を一箇所で行うことができるとともに、構成もコンパクト化できる。また、係合する部分が分散していないから、各部のがたつきも少なくでき、全体の強度も高めることができる。
【0019】
本発明の保持具は、前記第2折曲部は、前記基部の別の一端から延出され、前記第1折曲部および前記第2折曲部は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、前記第2折曲部よりも前記第1折曲部の方が、内側に傾斜された状態で成形されていることが好ましい。
この構成によれば、第1折曲部および第2折曲部は、互いに内側に傾斜された状態で成形されているから、第1折曲部および第2折曲部を基部に対して折曲する操作、つまり、係合操作を容易にできる。しかも、第2折曲部よりも第1折曲部の方が、内側に傾斜された状態で成形されているから、最初に、第1折曲部を折曲操作したのち、第2折曲部を折曲操作できる。つまり、組立順序を間違えることなく、組立操作できる。
【0020】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、前記第1折曲部および前記第2折曲部のそれぞれ先端から前記基部へ向けて延出して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子は、第1折曲部および第2折曲部のそれぞれ先端から基部へ向けて延出して形成されているから、第1折曲部および第2折曲部を基部に対して折曲操作するだけで、第1係合素子および第2係合素子を基部の第1被係合素子および第2被係合素子に係合させることができる。従って、係合操作を極めて簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1〜図8に本実施形態の保持具を示す。図1は同保持具の係合前の状態を示す斜視図、図2は同保持具の係合後の状態を示す斜視図、図3は同保持具の係合前の状態を示す平面図、図4は図3の状態から片方の折曲部(第1折曲部)を係合させた状態の図、図5は図4のV-V線断面図、図6は同保持具の係合状態を示す部分断面図、図7は同保持具の中央縦断面図、図8は図5のVIII−VIII線断面図である。
【0022】
(全体構成の説明)
図1〜図3に示すように、本実施形態の保持具1は、被保持物としての2本の紐7を平行にして保持するもので、基部10と、基部10の一端(図1中右端)から延出され基部10に対して折曲可能な第1折曲部20と、基部10の他端(図1中左端)から延出され基部10に対して折曲可能な第2折曲部30とを備える。なお、これら基部10、第1折曲部20および第2折曲部30は、合成樹脂材料の射出成形、あるいは、射出圧縮成形により一体的に成形されている。
【0023】
図2に示すように、基部10に対して、第1折曲部20および第2折曲部30が係合された状態では、平面から見た輪郭形状が長円の短柱状に成形されている。
図3に示すように、基部10に対して、第1折曲部20および第2折曲部30が係合されていない状態では、第1折曲部20および第2折曲部30は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、第2折曲部30よりも第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されている。
【0024】
(基部の説明)
基部10は、上下方向寸法(高さ寸法)が幅方向寸法および奥行き方向寸法に対して大きい略直方体形状(正面から見て、縦長矩形状)に成形されている。
基部10の正面には、幅方向中央に幅寸法が基部10の正面幅寸法に対して約1/2程度の溝部11が上下方向下部位置から上面に開口して形成されているとともに、両側にガイド爪12が外側へ向かって円弧状に一体的に突出成形されている。正面に形成された溝部11の内底面には、縦長矩形の開口13が形成され、この開口13の奥部に穴部14が形成されている。穴部14は、幅寸法が開口13の幅寸法より大きく、基部10の上面に開口されている。このため、開口13を形成する枠体のうち、穴部14側に面する側には、開口13の上縁および左右縁に沿って、第1被係合素子および第2被係合素子としての係合凹部15が形成されている。すなわち、本実施形態においては、開口13を形成する枠体が矩形であるため、上下左右の4方向に延びた係合凹部15を有する。
【0025】
(第1折曲部の説明)
第1折曲部20は、厚み寸法が略一様で、かつ、上下方向寸法が基部10の上下方向寸法と略同じ寸法を有する帯状に成形され、基部10の側面から一体的に成形されているとともに、少なくとも一部が弾性変形可能に構成されている。これにより、第1折曲部20は、基部10に対して折曲可能に形成されている。具体的には、図1や図3に見られるように、基部10の右側面から右外方へ向かうに従って次第に厚みが薄くなるように延出され、以後同じ厚みで、正面側へ向かって円弧状に屈曲されたのち、基部10の正面中央に向かって斜めに傾斜された形状に成形されている。
【0026】
第1折曲部20の先端部分において、上下方向下半分が切り欠かれたように形成され、上半分の部分には、基部10の係合凹部15(第1被係合素子)に係合される第1係合素子21が基部10へ向けて延出して一体的に成形されている。
第1係合素子21は、第1折曲部20の先端部内面に第1折曲部20の先端側に対して略直角に突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の断面形状より外側、つまり、第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出され基部10の係合凹部15に係合する第1係合片23とを含み形成されている。第1軸部22は、断面矩形状に形成されている。第1係合片23は、第1軸部22の上面より上方へ延出する第1延出部24と、この第1延出部24が延出する方向とは異なる方向、すなわち、第1軸部22の側面より側方へ延出する第2延出部25とを有している。つまり、第1係合片23は、異なる2以上の方向へ延出された第1延出部24および第2延出部25を有している。
【0027】
これらの第1延出部24および第2延出部25は、第1軸部22に対して弾性変形しない厚みに形成されている。また、第1延出部24および第2延出部25を有する第1係合片23の先端面26は、平面から見た形状が略半円状(図3,4参照)で、かつ、上下方向中間位置から上面に向かうに従って第1軸部22側へ傾斜する傾斜面(図5参照)に形成されている。そのため、第1係合素子21が基部10の開口13へ押し込まれると、第1係合片23の先端面26が開口13の上縁および側縁に当接し、この先端面26によって第1係合素子21が下方および中央へ変位、つまり、第1折曲部20が下方および中央へ弾性変形される。この後、第1延出部24および第2延出部25が開口13を形成する枠体を越えると同時に、下方へ弾性変形された第1折曲部20が元の位置(上方位置)へ復帰されるので、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25が係合凹部15(第1被係合素子)に係合される。第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25が係合凹部15(第1被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第1折曲部20の内周面によって略円状の第1の収納空間27が形成され、この第1の収納空間27によって紐7が保持される。
【0028】
(第2折曲部の説明)
第2折曲部30は、厚み寸法が略一様で、かつ、上下方向寸法が基部10の上下方向寸法と略同じ寸法を有する帯状に成形され、基部10の側面から一体的に成形されているとともに、少なくとも一部が弾性変形可能に構成されている。これにより、第2折曲部30も、基部10に対して折曲可能に形成されている。具体的には、図1や図3に見られるように、基部10の左側面から左外方へ向かうに従って次第に厚みが薄くなるように延出され、以後同じ厚みで、正面側へ向かって円弧状に屈曲されたのち、基部10の正面中央に向かって斜めに傾斜された形状に成形されている。
【0029】
第2折曲部30の先端部分において、上下方向上半分が切り欠かれたように形成され、下半分の部分には、基部10の係合凹部15(第2被係合素子)に係合される第2係合素子31が基部10へ向けて延出して一体的に成形されている。
第2係合素子31は、第2折曲部30の先端内面に第2折曲部30の先端側に対して略直角に突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の先端断面形状より外側、つまり、第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出され基部10の係合凹部15に係合する第2係合片33とを含み形成されている。第2軸部32は、断面矩形状に形成され、先端側が更に小さい断面矩形状に形成されている。第2係合片33は、第2軸部32の両側面より左右方向へ延出する鏃状の2つの延出部34,35を有している。従って、第1係合片23から見ると、第1係合片23は、第2係合片33の延出部34,35の延出方向に対して交差する方向、つまり、第1軸部22の上面側へ延出する延出部24を有している。
【0030】
これらの延出部34,35は、第2軸部32に対して弾性変形できる厚みに形成されている。そのため、第2係合素子31が基部10の開口13へ押し込まれると、延出部34,35が開口13の左右縁に当接して弾性変形された後、延出部34,35が開口13を形成する枠体を越えると同時に、弾性変形した延出部34,35が元の形状に復帰(図6参照)するので、第2係合片33の延出部34,35は係合凹部15(第2被係合素子)に係合される。第2係合素子31が係合凹部15(第2被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第2折曲部30の内周面によって略円状の第2の収納空間37が形成され、この第2の収納空間37によって紐7が保持される。
【0031】
第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15(第1被係合素子および第2被係合素子)にそれぞれ係合されたとき、第1係合素子21および第2係合素子21は、互いに隣接されるように形成されている(図7参照)。つまり、第1係合素子21および第2係合素子31は、第1の収納空間27および第2の収納空間37のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向(上下方向)に隣接して(略接して)形成されている。
【0032】
(移動阻止手段の説明)
第2折曲部20および第2係合素子21の少なくとも一方には、本実施形態では、第2折曲部20の先端部分には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられている。
移動阻止手段40は、第1折曲部20に設けられた第3被係合素子44と、第2折曲部30に設けられ第3被係合素子44に係合される第3係合素子41とから構成され、これらは、第1係合素子21および第2係合素子31同士が対向する面に設けられている。
第3係合素子41は、第2係合素子31の第2軸部32の軸方向に沿って突出する凸部42によって形成されている。凸部42の先端には、側方に鉤状に突出する鉤部43を有する。
第3被係合素子44は、第3係合素子41の凸部42に係合される凹部45によって形成され、かつ、第1係合素子21が係合解除される方向において第1係合素子21と第3係合素子41との間に位置されている。凹部45は、凸部42の鉤部43に係合する鉤溝46を有する。
【0033】
<実施形態の作用・効果>
このような構成において、第1折曲部20および第2折曲部30の内側に紐7を配置したのち、第1折曲部20および第2折曲部30を折曲させて、基部10に係合させる。
このとき、第1折曲部20および第2折曲部30は、合成樹脂製で弾性変形可能で、しかも、互いに内側に傾斜された状態で成形されているから、第1折曲部20および第2折曲部30を基部10に対して折曲しやすい。これに加えて、第2折曲部30よりも第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されているから、最初に、第1折曲部20を折曲操作したのち、第2折曲部30を折曲操作できる。つまり、本実施形態のような組立順序があるものの場合には、組立順序を間違えることなく、組立操作できる。
【0034】
まず、第1折曲部20を基部10に対して弾性変形させて、第1折曲部20に設けられた第1係合素子21を基部10の開口13を通して係合凹部15に係合させる。このとき、第1係合素子21は、第1折曲部20の先端から基部10へ向けて延出して形成されているから、第1折曲部20を基部10に対して弾性変形させるだけでよい。
第1係合素子21の第1係合片23が基部10の開口13へ押し込まれると、第1係合片23の先端面26が開口13の上縁および側縁に当接し、この先端面26によって第1係合素子21が下方および中央位置へ変位される。つまり、第1折曲部20が下方および中央へ弾性変形されるので、第1係合片23は開口13を通って係合凹部15(第1被係合素子)に係合される。
【0035】
第1係合片23が係合凹部15(第1被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第1折曲部20の内周面によって略円状の第1の収納空間27が形成されるから、この第1の収納空間27によって紐7が保持される。
このとき、第1係合片23は弾性変形しない厚みに形成されているから、第1係合片23の弾性変形によって第1係合片23が係合凹部15から外れることは少ない。
【0036】
次に、第2折曲部30を基部10に対して弾性変形させて、第2折曲部30に設けられた第2係合素子31を基部10の開口13を通して係合凹部15に係合させる。このとき、第2係合素子31は、第2折曲部30の先端から基部10へ向けて延出して形成されているから、第2折曲部30を基部10に対して折曲させ、中央方向に弾性変形させるだけでよい。
第2係合素子31の第2係合片33が基部10の開口13へ押し込まれると、第2係合片33を構成する延出部34,35が開口13の左右縁に当接して弾性変形されるので、第2係合片33は開口13を通って係合凹部15(第2被係合素子)に係合される。
【0037】
第2係合片33が係合凹部15(第2被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第2折曲部30の内周面によって略円状の第2の収納空間37が形成されるから、この第2の収納空間37によって紐7が保持される。このようにして、無端のリング状の紐でも保持することができる。
このとき、第2係合素子31は、第1係合素子21と上下方向において接触可能なように隣接しているので、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのを防止する移動阻止手段として働く。
【0038】
つまり、第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15に係合した状態では、第2係合素子31が第1係合素子21に隣接して接しているので、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのが防止される。従って、第2係合素子31は、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのを防止する移動阻止手段として働く。
【0039】
このようにして、第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15に係合された状態においては、第1係合素子21の第1係合片23は弾性変形しない厚さに形成されているため、容易に抜けない。また、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25は上方および側方、また、第2係合片33の延出部34,35は左右方向へ延出されている。つまり、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25は、異なる2つの方向で係合凹部15に係合され、かつ、第2係合片33の延出部34,35とも異なる方向で基部10の係合凹部15に係合されているから、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少なく、そのため、紐7を確実に保持できる。
とくに、このような構成によれば、第1係合片23と第2係合片33とで、加わる外力の方向を分担できるので、第1係合片23と第2係合片33とをそれぞれ要求される機能を満たす形状、構造に構成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0040】
これに加えて、本実施形態においては、第1係合素子21の移動阻止手段としても働く第2係合素子31とは別に、第2折曲部30には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられているから、各係合素子21,31が外れにくく、そのため、保持力も高めることができる。
例えば、紐7を介して、第1係合素子21が係合解除される方向の外力が第1折曲部20に掛かると、その外力は、第1折曲部20に設けられた第1係合素子21と基部10に設けられた係合凹部15との係合部分に加わる同時に、移動阻止手段40を介して、第2折曲部30に設けられた第2係合素子31と基部10に設けられた係合凹部15との係合部分にも加わる。つまり、外力は、第1係合素子21と第2係合素子31とで分散して受けることができるから、外力が加わっても、第1係合素子21と第2係合素子31とがそれぞれ協働して保持しようとする力が働くため、これらの係合素子が外れにくい。従って、保持力を高めることができる。
【0041】
また、移動阻止手段40は、第1折曲部20に設けられた凹部45と、第2折曲部30に設けられた凸部42とから構成されているから、例えば、紐7を介して第1折曲部20に加えられる外力によって、第1係合素子21が係合解除される方向へ第1折曲部20が移動しようとすると、第1折曲部20に設けられた凹部45が第2折曲部30に設けられた凸部42に当接して移動が規制される。このとき、凹部45が、第1係合素子21が係合解除される方向において、第1係合素子21と凸部42との間に位置されているから、凹部45が第2折曲部30に設けられた凸部42に当接しても、第1折曲部20に捩れ力が生じることがなく、外力を凸部42を介して第2折曲部30へ分散させることができる。
【0042】
また、第1係合素子21および第2係合素子31が、第1、第2の収納空間27,37の中心軸方向に隣接した位置に形成され、この第1係合素子21および第2係合素子31同士が対向する面に、第3係合素子41および第3被係合素子44が形成されているから、つまり、係合部分が一箇所に集中配置されているから、係合操作を一箇所で行うことができるとともに、構成もコンパクト化できる。また、係合する部分が分散していないから、各部のがたつきも少なくでき、全体の強度も高めることができる。
【0043】
<変形例>
本発明は、上記実施形態で説明した構造の保持具1に限定されるものでなく、次のような変形例も含む。なお、変形例の説明にあたって、上記実施形態と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0044】
(変形例1)
図9〜図16に変形例1の保持具2を示す。図9は保持具2の係合前の状態を示す平面図、図10は図9のX-X線断面図、図11は図9のXI-XI線断面図、図12は図9のXII-XII線断面図、図13は保持具2の片方の折曲部(第1折曲部)を係合した状態を示す図、図14は図13のXIV-XIV線断面図、図15は保持具2の係合後の状態を示す部分断面図、図16は図15のXVI-XVI線断面図である。
【0045】
変形例1に係る保持具2は、第2折曲部30が第1折曲部20の先端から延設されている点が上記実施形態の保持具1とは異なる。これに関連して、基部10、第1係合素子21および第2係合素子31、第3係合素子41も部分的に異なる。
第1折曲部20には、上記実施形態の基部10に相当する被係合部16が設けられており、基部としての被係合部16は、第1折曲部20の内端から突出して設けられている。被係合部16の突出端面には、穴部14に連通する開口13Aが形成されているとともに、背面にも穴部14に連通する開口13Bが形成されている。開口13Aは、幅寸法が穴部14の幅寸法より広く形成されている。これにより開口13Aの内底面には、開口13Aの外周縁に沿って第2被係合素子としての係合凹部15B(図10参照)が形成され、穴部14の上面側に第1被係合素子としての係合凹部15Aが形成されている。
【0046】
第1係合素子21は、第1折曲部20と第2折曲部30との中間位置から突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出された延出部24を有する第1係合片23とから構成されている。第1軸部22の下面には、第3被係合素子44が形成されている。第3被係合素子44は、第1軸部22の下面に沿って形成された溝条44Aと、この溝条44Aの先端に形成された係止溝部44Bとから構成されている。
第2係合素子31は、第2折曲部30の先端から突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出された2つの延出部34,35を有する第2係合片33とから構成されている。
第3係合素子41は、第2折曲部30および第2軸部32の上面に第2軸部32の軸方向に沿って突出された凸条41Aと、この凸条41Aの先端に鉤状に突出された係止突起41Bとから構成されている。
【0047】
このような構成において、図13および図14に示すように、まず、第1折曲部20を弾性変形させて、第1係合素子21の第1係合片23を被係合部16の係合凹部15A(第1被係合素子)に係合させる。
続いて、図15および図16に示すように、第2折曲部30を弾性変形させて、第2係合素子31の第2係合片33を被係合部16の係合凹部15B(第2被係合素子)に係合させる。すると、第3係合素子41の凸条41Aおよび係止突起41Bが第3被係合素子44の溝条44Aおよび係止溝部44Bに隙間なく係合される。従って、係合状態においては、がたつきが少ない状態に組み立てることができる。
【0048】
(変形例2)
図17に変形例2の保持具3を示す。図17は保持具3の係合前の状態を示す平面図である。
変形例2に係る保持具3は、第1係合素子21および第2係合素子31を同じ形状としたものである。つまり、上記実施形態で説明した第2係合素子31を、変形例2の第1係合素子21および第2係合素子31に利用した点が、上記実施形態と異なる。
また、第1の収納空間27および第2の収納空間37の内周面には、収納空間内部に向かって突出する三角形状の突起51が一定間隔毎に形成されている。上記実施形態では、紐7の長手方向の移動を規制していなかったが、このようにすれば、紐7をより強固に保持できる。
【0049】
(変形例3)
図18に変形例3の保持具4を示す。図18は保持具4の係合前の状態を示す平面図である。
変形例3に係る保持具4は、保持具4の基部10に係止具61が設けられている。係止具61は、基部10の背面に一体的に設けられた当接部材62と、この当接部材62の中央から突設された支柱63と、この支柱63の先端に当接部材62に対して所定の隙間を隔てて延びる弾性片64とから構成されている。
係止具61の当接部材62と弾性片64とで、車の車体などの被固定物65に保持具4を係止した状態にすれば、コード8などの被保持物を車体の面に沿って保持することができる。
【0050】
(変形例4)
図19および図20に変形例4の保持具5を示す。図19は保持具5を示す側面図、図20は図19のXX-XX線断面図である。
変形例4に係る保持具5は、第1折曲部20および第2折曲部30が、基部10から互いに直交した状態で湾曲され、先端に設けられた第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の同じ面に係合される。
このような構成によれば、第1折曲部20および第2折曲部30によって、1本の紐7などの被保持物を屈曲させた状態で保持することができる。
【0051】
(他の変形例)
上記実施形態および各変形例では、基部10、第1折曲部20および第2折曲部30を合成樹脂材料により一体的に成形したが、これに限られない。たとえば、金属材料などによって一体成形してもよい。
また、第1折曲部20および第2折曲部30は、弾性変形することによって、基部10に対して折曲可能に構成されていたが、たとえば、基部10にヒンジを介して、折曲可能に構成してもよい。
【0052】
上記実施形態では、第2係合素子31自体が第1係合素子21の移動阻止手段として機能し、これに加えて、第2折曲部30の先端に設けた第3係合素子41と第1折曲部20の先端に設けた第3被係合素子44とから移動阻止手段40を構成したが、これに限られない。たとえば、第2折曲部30に凸部を設け、この凸部を第1折曲部20の外側面(凹部でも平面でもよい)に当接するように構成してもよい。
また、移動阻止手段40を設ける位置については、第2折曲部30に限らず、第2係合素子21に設けてもよい。
【0053】
上記実施形態および各変形例では、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられていたが、移動阻止手段40を必ずしも設けなくても、略同様な効果が期待できる。
また、上記実施形態および各変形例では、第3係合素子41を凸部42とし、第3被係合素子44を凹部45としたが、これらは逆でもよい。つまり、第3係合素子41を凹部とし、第3被係合素子44を凸部としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、装飾品などにおいて、腕輪や首輪などの紐を保持する保持具のほかに、車体にコードなどの長尺物を平行に保持する保持具としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る保持具の係合前の状態を示す斜視図。
【図2】同上実施形態に係る保持具の係合後の状態を示す斜視図。
【図3】同上実施形態に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図4】同上実施形態に係る保持具の片方の折曲部を係合した状態を示す図。
【図5】図4のV-V線断面図。
【図6】同上実施形態に係る保持具の中央横断面を示す図。
【図7】同上実施形態に係る保持具の中央縦断面を示す図。
【図8】図5のVIII-VIII線断面図。
【図9】本発明の変形例1に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図10】図9のX-X線断面図。
【図11】図9のXI-XI線断面図。
【図12】図9のXII-XII線断面図。
【図13】変形例1に係る保持具の片方の折曲部を係合した状態を示す図。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図。
【図15】変形例1に係る保持具の係合後の状態を示す部分断面図。
【図16】図15のXVI-XVI線断面図。
【図17】本発明の変形例2に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図18】本発明の変形例3に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図19】本発明の変形例4に係る保持具を示す図。
【図20】図19のXX-XX線断面図。
【図21】従来の保持具を示す斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4,5…保持具、7…紐(被保持物)、10…基部、13,13A,13B…開口、15,15A,15B…係合凹部(第1被係合素子、第2被係合素子)、16…被係合部(基部)、20…第1折曲部、21…第1係合素子、22…第1軸部、23…第1係合片、24…第1延出部、25…第2延出部、26…先端面、27…第1の収納空間、30…第2折曲部、31…第2係合素子、32…第2軸部、33…第2係合片、34,35…延出部、37…第2の収納空間、40…移動素子手段、41…第3係合素子、42…凸部、44…第3被係合素子、45…凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具に関する。たとえば、紐などの長尺物を保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾品として、複数の紐などの長尺物を並列して保持する保持具をもった腕輪や首輪などが知られている。
従来、この種の装飾品に用いられる保持具として、たとえば、図21に示すように、断面が長円の短柱状材に2つの孔を貫通して設けた保持具6が知られている。保持具6の孔に、有端状の2本の紐7をそれぞれ挿通したのち、各紐7の両端同士をそれぞれ縫製、接着あるいは固着することにより、紐を並列して保持しつつリング状に製造することができる。
【0003】
また、長尺な棒状物を保持固定する留め具として、たとえば、特許文献1に開示された棒状物留め具が知られている。
この棒状物留め具は、取付面に突設されたスタッドボルトに装着され、取付面に沿って棒状物を保持するもので、プラスチック製の本体と、金属製の保持板とから構成されている。本体には、棒状物を保持する保持部と、棒状物の軸方向と略直交する方向に穿設され内壁に係止段部を有するスタッド装着穴とが設けられている。保持板は、本体の外周部に帯状に巻装され、両端がスタッド装着穴に挿入可能に構成されている。スタッド装着穴に挿入可能な保持板の両端部には、係止段部に係止される第1の係止爪と、スタッド装着穴に挿入されるスタッドボルトのネジ部に逆止的に係止する第2の係止爪とが設けられている。
【0004】
棒状物を保持部に挿入したのち、保持板の両端部をスタッド装着穴に挿入すると、第1の係止爪がスタッド装着穴の係止段部に係止される。この状態において、スタッドボルトに対して留め具のスタッド装着穴をあてがい、留め具をスタッドボルトに押し込むと、第2の係止爪がスタッドボルトのネジ部(ねじ山)に係止され、抜け止めされる。これにより、棒状物を取付面に平行に保持することができる。
【0005】
【特許文献1】実公平4−16007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図21に示す保持具では、必ず、紐の端部処理前に、紐に保持具を挿通させておく必要があるので、予め無端のリング状の紐に対しては、保持具を取り付けることができない。
【0007】
また、特許文献1に開示された留め具では、保持板の両端部をスタッド装着穴に挿入しただけでは、第1の係止爪がスタッド装着穴の係止段部に係止されるだけであるから、係止力が弱い。係止力を高めるためには、スタッド装着穴にスタッドボルトを差し込まなくてはならないから、新たな部品が必要となり、部品点数の増加につながる。
【0008】
本発明の目的は、このような課題を解決し、無端のリング状の被保持物も保持することができるとともに、保持力を高めることができる保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保持具は、第1被係合素子および第2被係合素子を有する基部と、前記基部の一端から延出され、前記基部に対して折曲可能な第1折曲部と、前記基部の別の一端または前記第1折曲部から延出され、前記基部に対して折曲可能な第2折曲部とを備え、前記第1折曲部は、前記基部の第1被係合素子に係合される第1係合素子を有し、前記第2折曲部は、前記基部の第2被係合素子に係合される第2係合素子を有し、前記第1係合素子が前記第1被係合素子に係合されたときに、前記基部および前記第1折曲部によって被保持物を保持する第1の収納空間が形成され、前記第2係合素子が前記第2被係合素子に係合されたときに、前記基部および前記第2折曲部によって被保持物を保持する第2の収納空間が形成され、前記第2折曲部および前記第2係合素子の少なくとも一方は、前記第1係合素子が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1折曲部および第2折曲部の内側に被保持物を配置したのち、まず、第1折曲部を基部に対して折曲して、第1折曲部に設けられた第1係合素子を基部の第1被係合素子に係合させる。すると、基部および第1折曲部によって第1の収納空間が形成されるから、この第1の収納空間によって被保持物が保持される。
続いて、第2折曲部を基部に対して折曲して、第2折曲部に設けられた第2係合素子を基部の第2被係合素子に係合させる。すると、基部および第2折曲部によって第2の収納空間が形成されるから、この第2の収納空間によって被保持物が保持される。
従って、無端のリング状の被保持物でも保持することができる。
【0011】
また、第2折曲部および第2係合素子の少なくとも一方は、第1係合素子が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有しているから、各係合素子が外れにくく、そのため、保持力を高めることができる。
例えば、被保持物を介して、第1係合素子が係合解除される方向の外力が第1折曲部に掛かると、その外力は、第1折曲部に設けられた第1係合素子と基部に設けられた第1被係合素子との係合部分に加わる同時に、移動阻止手段を介して、第2折曲部に設けられた第2係合素子と基部に設けられた第2被係合素子との係合部分にも加わる。つまり、外力は、第1係合素子と第2係合素子とで分散して受けることができるから、外力が加わっても、第1係合素子と第2係合素子とがそれぞれ協働して保持しようとする力が働くため、これらの係合素子が外れにくい。従って、保持力を高めることができる。
【0012】
本発明の保持具において、前記移動阻止手段は、前記第1折曲部に設けられた第3被係合素子と、前記第2折曲部に設けられ前記第3被係合素子に係合される第3係合素子とを有し、前記第3被係合素子および前記第3係合素子のいずれか一方は、凸部によって形成され、他方は、前記凸部に係合される凹部によって形成され、前記凸部および凹部は、前記第1係合素子21が係合解除する方向において隣接して配置されていることが好ましい。
この構成によれば、移動阻止手段が、第1折曲部に設けられた凹部または凸部と、第2折曲部に設けられた凸部または凹部とから構成されているから、例えば、被保持物を介して第1折曲部に加えられる外力によって、第1係合素子が係合解除される方向へ第1折曲部が移動しようとすると、第1折曲部に設けられた凹部または凸部が第2折曲部に設けられた凸部または凹部に当接して移動が規制される。このとき、凸部および凹部が、第1係合素子が係合解除される方向において、隣接した配置されているから、凹部と凸部とが当接しても、第1折曲部に捩れ力が生じることがないので、外力を凸部および凹部を介して第2折曲部へ確実に分散させることができる。
【0013】
本発明の保持具は、前記基部には開口が形成され、この開口の奥部に係合凹部が形成され、前記第1被係合素子および前記第2被係合素子は、前記係合凹部によって形成され、前記第1係合素子は、前記第1折曲部の先端に突出された第1軸部と、この第1軸部の先端に第1軸部の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部に係合する第1係合片とを含み形成され、前記第2係合素子は、前記第2折曲部の先端に突出された第2軸部と、この第2軸部の先端に第2軸部の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部に係合する第2係合片とを含み形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1,2被係合素子が基部に設けられた係合凹部によって形成され、また、第1,第2係合素子が、第1,第2折曲部の先端にそれぞれ突出された第1,第2軸部と、この第1,第2軸部のそれぞれ先端に各軸部が突出する方向に対して交差する方向に延出された第1,第2係合片とを含み形成されているから、第1,第2折曲部を基部に対して折曲すると、第1,第2係合片が係合凹部に係合されるから、これらの係合操作を簡単に行うことができる。しかも、係合した状態においては、各軸部が突出する方向に対して交差する方向に延出された各係合片が係合凹部に係合する構造であるから、外れにくい。
【0014】
本発明の保持具は、前記第1係合片および前記第2係合片の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部を有していることが好ましい。
この構成によれば、第1係合片および第2係合片の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部を有しており、異なる2以上の方向で係合されているから、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少ない。従って、被保持物を確実に保持できる。
【0015】
本発明の保持具は、前記第1係合片は、前記第2係合片の延出方向に対して交差する方向へ延出する延出部を有していることが好ましい。
この構成によれば、第1係合片は、第2係合片の延出方向に対して異なる方向、すなわち、交差する方向へ延出する延出部を有しているから、上記と同様に、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少ない。とくに、この構成によれば、第1係合片と第2係合片とで、加わる外力の方向を分担できるので、第1係合片と第2係合片をそれぞれ要求される機能を満たす形状、構造に構成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子が前記第1被係合素子および前記第2被係合素子にそれぞれ係合されたとき、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、互いに隣接して形成され、前記第1係合素子は、前記第1折曲部が弾性変形することで前記第1被係合素子に係合され、前記第2係合素子は、前記第2係合片が弾性変形することで前記第2被係合素子に係合されることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子は、第1折曲部が弾性変形することで第1被係合素子に係合されるため、第1係合片を弾性変形しない厚さに形成することにより、容易に抜けない構造にできる。しかし、第1折曲部が弾性変形するため、抜けてしまう虞がある。
第2係合素子は、第2係合片が弾性変形することで第2被係合素子に係合され、係合した状態では、第1係合素子に隣接しているので、第1係合素子が解除される方向に第1折曲部が弾性変形するのを防止できる。従って、この構成によっても、保持力を高めることができる。
【0017】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、前記第1の収納空間および前記第2の収納空間のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向に隣接して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子が、収納空間の中心軸方向に隣接して形成されているから、第2係合素子が第1係合素子の移動阻止手段として好適に機能する。また、保持具の形態をコンパクトにできる。
【0018】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子同士が対向する面に前記第3係合素子および第3被係合素子が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子同士が対向する面に第3係合素子および第3被係合素子が形成されているから、つまり、係合部分が一箇所に集中配置されているから、係合操作を一箇所で行うことができるとともに、構成もコンパクト化できる。また、係合する部分が分散していないから、各部のがたつきも少なくでき、全体の強度も高めることができる。
【0019】
本発明の保持具は、前記第2折曲部は、前記基部の別の一端から延出され、前記第1折曲部および前記第2折曲部は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、前記第2折曲部よりも前記第1折曲部の方が、内側に傾斜された状態で成形されていることが好ましい。
この構成によれば、第1折曲部および第2折曲部は、互いに内側に傾斜された状態で成形されているから、第1折曲部および第2折曲部を基部に対して折曲する操作、つまり、係合操作を容易にできる。しかも、第2折曲部よりも第1折曲部の方が、内側に傾斜された状態で成形されているから、最初に、第1折曲部を折曲操作したのち、第2折曲部を折曲操作できる。つまり、組立順序を間違えることなく、組立操作できる。
【0020】
本発明の保持具は、前記第1係合素子および前記第2係合素子は、前記第1折曲部および前記第2折曲部のそれぞれ先端から前記基部へ向けて延出して形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1係合素子および第2係合素子は、第1折曲部および第2折曲部のそれぞれ先端から基部へ向けて延出して形成されているから、第1折曲部および第2折曲部を基部に対して折曲操作するだけで、第1係合素子および第2係合素子を基部の第1被係合素子および第2被係合素子に係合させることができる。従って、係合操作を極めて簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1〜図8に本実施形態の保持具を示す。図1は同保持具の係合前の状態を示す斜視図、図2は同保持具の係合後の状態を示す斜視図、図3は同保持具の係合前の状態を示す平面図、図4は図3の状態から片方の折曲部(第1折曲部)を係合させた状態の図、図5は図4のV-V線断面図、図6は同保持具の係合状態を示す部分断面図、図7は同保持具の中央縦断面図、図8は図5のVIII−VIII線断面図である。
【0022】
(全体構成の説明)
図1〜図3に示すように、本実施形態の保持具1は、被保持物としての2本の紐7を平行にして保持するもので、基部10と、基部10の一端(図1中右端)から延出され基部10に対して折曲可能な第1折曲部20と、基部10の他端(図1中左端)から延出され基部10に対して折曲可能な第2折曲部30とを備える。なお、これら基部10、第1折曲部20および第2折曲部30は、合成樹脂材料の射出成形、あるいは、射出圧縮成形により一体的に成形されている。
【0023】
図2に示すように、基部10に対して、第1折曲部20および第2折曲部30が係合された状態では、平面から見た輪郭形状が長円の短柱状に成形されている。
図3に示すように、基部10に対して、第1折曲部20および第2折曲部30が係合されていない状態では、第1折曲部20および第2折曲部30は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、第2折曲部30よりも第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されている。
【0024】
(基部の説明)
基部10は、上下方向寸法(高さ寸法)が幅方向寸法および奥行き方向寸法に対して大きい略直方体形状(正面から見て、縦長矩形状)に成形されている。
基部10の正面には、幅方向中央に幅寸法が基部10の正面幅寸法に対して約1/2程度の溝部11が上下方向下部位置から上面に開口して形成されているとともに、両側にガイド爪12が外側へ向かって円弧状に一体的に突出成形されている。正面に形成された溝部11の内底面には、縦長矩形の開口13が形成され、この開口13の奥部に穴部14が形成されている。穴部14は、幅寸法が開口13の幅寸法より大きく、基部10の上面に開口されている。このため、開口13を形成する枠体のうち、穴部14側に面する側には、開口13の上縁および左右縁に沿って、第1被係合素子および第2被係合素子としての係合凹部15が形成されている。すなわち、本実施形態においては、開口13を形成する枠体が矩形であるため、上下左右の4方向に延びた係合凹部15を有する。
【0025】
(第1折曲部の説明)
第1折曲部20は、厚み寸法が略一様で、かつ、上下方向寸法が基部10の上下方向寸法と略同じ寸法を有する帯状に成形され、基部10の側面から一体的に成形されているとともに、少なくとも一部が弾性変形可能に構成されている。これにより、第1折曲部20は、基部10に対して折曲可能に形成されている。具体的には、図1や図3に見られるように、基部10の右側面から右外方へ向かうに従って次第に厚みが薄くなるように延出され、以後同じ厚みで、正面側へ向かって円弧状に屈曲されたのち、基部10の正面中央に向かって斜めに傾斜された形状に成形されている。
【0026】
第1折曲部20の先端部分において、上下方向下半分が切り欠かれたように形成され、上半分の部分には、基部10の係合凹部15(第1被係合素子)に係合される第1係合素子21が基部10へ向けて延出して一体的に成形されている。
第1係合素子21は、第1折曲部20の先端部内面に第1折曲部20の先端側に対して略直角に突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の断面形状より外側、つまり、第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出され基部10の係合凹部15に係合する第1係合片23とを含み形成されている。第1軸部22は、断面矩形状に形成されている。第1係合片23は、第1軸部22の上面より上方へ延出する第1延出部24と、この第1延出部24が延出する方向とは異なる方向、すなわち、第1軸部22の側面より側方へ延出する第2延出部25とを有している。つまり、第1係合片23は、異なる2以上の方向へ延出された第1延出部24および第2延出部25を有している。
【0027】
これらの第1延出部24および第2延出部25は、第1軸部22に対して弾性変形しない厚みに形成されている。また、第1延出部24および第2延出部25を有する第1係合片23の先端面26は、平面から見た形状が略半円状(図3,4参照)で、かつ、上下方向中間位置から上面に向かうに従って第1軸部22側へ傾斜する傾斜面(図5参照)に形成されている。そのため、第1係合素子21が基部10の開口13へ押し込まれると、第1係合片23の先端面26が開口13の上縁および側縁に当接し、この先端面26によって第1係合素子21が下方および中央へ変位、つまり、第1折曲部20が下方および中央へ弾性変形される。この後、第1延出部24および第2延出部25が開口13を形成する枠体を越えると同時に、下方へ弾性変形された第1折曲部20が元の位置(上方位置)へ復帰されるので、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25が係合凹部15(第1被係合素子)に係合される。第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25が係合凹部15(第1被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第1折曲部20の内周面によって略円状の第1の収納空間27が形成され、この第1の収納空間27によって紐7が保持される。
【0028】
(第2折曲部の説明)
第2折曲部30は、厚み寸法が略一様で、かつ、上下方向寸法が基部10の上下方向寸法と略同じ寸法を有する帯状に成形され、基部10の側面から一体的に成形されているとともに、少なくとも一部が弾性変形可能に構成されている。これにより、第2折曲部30も、基部10に対して折曲可能に形成されている。具体的には、図1や図3に見られるように、基部10の左側面から左外方へ向かうに従って次第に厚みが薄くなるように延出され、以後同じ厚みで、正面側へ向かって円弧状に屈曲されたのち、基部10の正面中央に向かって斜めに傾斜された形状に成形されている。
【0029】
第2折曲部30の先端部分において、上下方向上半分が切り欠かれたように形成され、下半分の部分には、基部10の係合凹部15(第2被係合素子)に係合される第2係合素子31が基部10へ向けて延出して一体的に成形されている。
第2係合素子31は、第2折曲部30の先端内面に第2折曲部30の先端側に対して略直角に突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の先端断面形状より外側、つまり、第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出され基部10の係合凹部15に係合する第2係合片33とを含み形成されている。第2軸部32は、断面矩形状に形成され、先端側が更に小さい断面矩形状に形成されている。第2係合片33は、第2軸部32の両側面より左右方向へ延出する鏃状の2つの延出部34,35を有している。従って、第1係合片23から見ると、第1係合片23は、第2係合片33の延出部34,35の延出方向に対して交差する方向、つまり、第1軸部22の上面側へ延出する延出部24を有している。
【0030】
これらの延出部34,35は、第2軸部32に対して弾性変形できる厚みに形成されている。そのため、第2係合素子31が基部10の開口13へ押し込まれると、延出部34,35が開口13の左右縁に当接して弾性変形された後、延出部34,35が開口13を形成する枠体を越えると同時に、弾性変形した延出部34,35が元の形状に復帰(図6参照)するので、第2係合片33の延出部34,35は係合凹部15(第2被係合素子)に係合される。第2係合素子31が係合凹部15(第2被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第2折曲部30の内周面によって略円状の第2の収納空間37が形成され、この第2の収納空間37によって紐7が保持される。
【0031】
第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15(第1被係合素子および第2被係合素子)にそれぞれ係合されたとき、第1係合素子21および第2係合素子21は、互いに隣接されるように形成されている(図7参照)。つまり、第1係合素子21および第2係合素子31は、第1の収納空間27および第2の収納空間37のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向(上下方向)に隣接して(略接して)形成されている。
【0032】
(移動阻止手段の説明)
第2折曲部20および第2係合素子21の少なくとも一方には、本実施形態では、第2折曲部20の先端部分には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられている。
移動阻止手段40は、第1折曲部20に設けられた第3被係合素子44と、第2折曲部30に設けられ第3被係合素子44に係合される第3係合素子41とから構成され、これらは、第1係合素子21および第2係合素子31同士が対向する面に設けられている。
第3係合素子41は、第2係合素子31の第2軸部32の軸方向に沿って突出する凸部42によって形成されている。凸部42の先端には、側方に鉤状に突出する鉤部43を有する。
第3被係合素子44は、第3係合素子41の凸部42に係合される凹部45によって形成され、かつ、第1係合素子21が係合解除される方向において第1係合素子21と第3係合素子41との間に位置されている。凹部45は、凸部42の鉤部43に係合する鉤溝46を有する。
【0033】
<実施形態の作用・効果>
このような構成において、第1折曲部20および第2折曲部30の内側に紐7を配置したのち、第1折曲部20および第2折曲部30を折曲させて、基部10に係合させる。
このとき、第1折曲部20および第2折曲部30は、合成樹脂製で弾性変形可能で、しかも、互いに内側に傾斜された状態で成形されているから、第1折曲部20および第2折曲部30を基部10に対して折曲しやすい。これに加えて、第2折曲部30よりも第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されているから、最初に、第1折曲部20を折曲操作したのち、第2折曲部30を折曲操作できる。つまり、本実施形態のような組立順序があるものの場合には、組立順序を間違えることなく、組立操作できる。
【0034】
まず、第1折曲部20を基部10に対して弾性変形させて、第1折曲部20に設けられた第1係合素子21を基部10の開口13を通して係合凹部15に係合させる。このとき、第1係合素子21は、第1折曲部20の先端から基部10へ向けて延出して形成されているから、第1折曲部20を基部10に対して弾性変形させるだけでよい。
第1係合素子21の第1係合片23が基部10の開口13へ押し込まれると、第1係合片23の先端面26が開口13の上縁および側縁に当接し、この先端面26によって第1係合素子21が下方および中央位置へ変位される。つまり、第1折曲部20が下方および中央へ弾性変形されるので、第1係合片23は開口13を通って係合凹部15(第1被係合素子)に係合される。
【0035】
第1係合片23が係合凹部15(第1被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第1折曲部20の内周面によって略円状の第1の収納空間27が形成されるから、この第1の収納空間27によって紐7が保持される。
このとき、第1係合片23は弾性変形しない厚みに形成されているから、第1係合片23の弾性変形によって第1係合片23が係合凹部15から外れることは少ない。
【0036】
次に、第2折曲部30を基部10に対して弾性変形させて、第2折曲部30に設けられた第2係合素子31を基部10の開口13を通して係合凹部15に係合させる。このとき、第2係合素子31は、第2折曲部30の先端から基部10へ向けて延出して形成されているから、第2折曲部30を基部10に対して折曲させ、中央方向に弾性変形させるだけでよい。
第2係合素子31の第2係合片33が基部10の開口13へ押し込まれると、第2係合片33を構成する延出部34,35が開口13の左右縁に当接して弾性変形されるので、第2係合片33は開口13を通って係合凹部15(第2被係合素子)に係合される。
【0037】
第2係合片33が係合凹部15(第2被係合素子)に係合されると、基部10の側面、ガイド爪12および第2折曲部30の内周面によって略円状の第2の収納空間37が形成されるから、この第2の収納空間37によって紐7が保持される。このようにして、無端のリング状の紐でも保持することができる。
このとき、第2係合素子31は、第1係合素子21と上下方向において接触可能なように隣接しているので、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのを防止する移動阻止手段として働く。
【0038】
つまり、第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15に係合した状態では、第2係合素子31が第1係合素子21に隣接して接しているので、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのが防止される。従って、第2係合素子31は、第1係合素子21が解除される方向に第1折曲部20が弾性変形するのを防止する移動阻止手段として働く。
【0039】
このようにして、第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の係合凹部15に係合された状態においては、第1係合素子21の第1係合片23は弾性変形しない厚さに形成されているため、容易に抜けない。また、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25は上方および側方、また、第2係合片33の延出部34,35は左右方向へ延出されている。つまり、第1係合片23の第1延出部24および第2延出部25は、異なる2つの方向で係合凹部15に係合され、かつ、第2係合片33の延出部34,35とも異なる方向で基部10の係合凹部15に係合されているから、様々な方向の外力が加わっても、係合が解除される虞が少なく、そのため、紐7を確実に保持できる。
とくに、このような構成によれば、第1係合片23と第2係合片33とで、加わる外力の方向を分担できるので、第1係合片23と第2係合片33とをそれぞれ要求される機能を満たす形状、構造に構成でき、設計の自由度を高めることができる。
【0040】
これに加えて、本実施形態においては、第1係合素子21の移動阻止手段としても働く第2係合素子31とは別に、第2折曲部30には、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられているから、各係合素子21,31が外れにくく、そのため、保持力も高めることができる。
例えば、紐7を介して、第1係合素子21が係合解除される方向の外力が第1折曲部20に掛かると、その外力は、第1折曲部20に設けられた第1係合素子21と基部10に設けられた係合凹部15との係合部分に加わる同時に、移動阻止手段40を介して、第2折曲部30に設けられた第2係合素子31と基部10に設けられた係合凹部15との係合部分にも加わる。つまり、外力は、第1係合素子21と第2係合素子31とで分散して受けることができるから、外力が加わっても、第1係合素子21と第2係合素子31とがそれぞれ協働して保持しようとする力が働くため、これらの係合素子が外れにくい。従って、保持力を高めることができる。
【0041】
また、移動阻止手段40は、第1折曲部20に設けられた凹部45と、第2折曲部30に設けられた凸部42とから構成されているから、例えば、紐7を介して第1折曲部20に加えられる外力によって、第1係合素子21が係合解除される方向へ第1折曲部20が移動しようとすると、第1折曲部20に設けられた凹部45が第2折曲部30に設けられた凸部42に当接して移動が規制される。このとき、凹部45が、第1係合素子21が係合解除される方向において、第1係合素子21と凸部42との間に位置されているから、凹部45が第2折曲部30に設けられた凸部42に当接しても、第1折曲部20に捩れ力が生じることがなく、外力を凸部42を介して第2折曲部30へ分散させることができる。
【0042】
また、第1係合素子21および第2係合素子31が、第1、第2の収納空間27,37の中心軸方向に隣接した位置に形成され、この第1係合素子21および第2係合素子31同士が対向する面に、第3係合素子41および第3被係合素子44が形成されているから、つまり、係合部分が一箇所に集中配置されているから、係合操作を一箇所で行うことができるとともに、構成もコンパクト化できる。また、係合する部分が分散していないから、各部のがたつきも少なくでき、全体の強度も高めることができる。
【0043】
<変形例>
本発明は、上記実施形態で説明した構造の保持具1に限定されるものでなく、次のような変形例も含む。なお、変形例の説明にあたって、上記実施形態と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0044】
(変形例1)
図9〜図16に変形例1の保持具2を示す。図9は保持具2の係合前の状態を示す平面図、図10は図9のX-X線断面図、図11は図9のXI-XI線断面図、図12は図9のXII-XII線断面図、図13は保持具2の片方の折曲部(第1折曲部)を係合した状態を示す図、図14は図13のXIV-XIV線断面図、図15は保持具2の係合後の状態を示す部分断面図、図16は図15のXVI-XVI線断面図である。
【0045】
変形例1に係る保持具2は、第2折曲部30が第1折曲部20の先端から延設されている点が上記実施形態の保持具1とは異なる。これに関連して、基部10、第1係合素子21および第2係合素子31、第3係合素子41も部分的に異なる。
第1折曲部20には、上記実施形態の基部10に相当する被係合部16が設けられており、基部としての被係合部16は、第1折曲部20の内端から突出して設けられている。被係合部16の突出端面には、穴部14に連通する開口13Aが形成されているとともに、背面にも穴部14に連通する開口13Bが形成されている。開口13Aは、幅寸法が穴部14の幅寸法より広く形成されている。これにより開口13Aの内底面には、開口13Aの外周縁に沿って第2被係合素子としての係合凹部15B(図10参照)が形成され、穴部14の上面側に第1被係合素子としての係合凹部15Aが形成されている。
【0046】
第1係合素子21は、第1折曲部20と第2折曲部30との中間位置から突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出された延出部24を有する第1係合片23とから構成されている。第1軸部22の下面には、第3被係合素子44が形成されている。第3被係合素子44は、第1軸部22の下面に沿って形成された溝条44Aと、この溝条44Aの先端に形成された係止溝部44Bとから構成されている。
第2係合素子31は、第2折曲部30の先端から突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出された2つの延出部34,35を有する第2係合片33とから構成されている。
第3係合素子41は、第2折曲部30および第2軸部32の上面に第2軸部32の軸方向に沿って突出された凸条41Aと、この凸条41Aの先端に鉤状に突出された係止突起41Bとから構成されている。
【0047】
このような構成において、図13および図14に示すように、まず、第1折曲部20を弾性変形させて、第1係合素子21の第1係合片23を被係合部16の係合凹部15A(第1被係合素子)に係合させる。
続いて、図15および図16に示すように、第2折曲部30を弾性変形させて、第2係合素子31の第2係合片33を被係合部16の係合凹部15B(第2被係合素子)に係合させる。すると、第3係合素子41の凸条41Aおよび係止突起41Bが第3被係合素子44の溝条44Aおよび係止溝部44Bに隙間なく係合される。従って、係合状態においては、がたつきが少ない状態に組み立てることができる。
【0048】
(変形例2)
図17に変形例2の保持具3を示す。図17は保持具3の係合前の状態を示す平面図である。
変形例2に係る保持具3は、第1係合素子21および第2係合素子31を同じ形状としたものである。つまり、上記実施形態で説明した第2係合素子31を、変形例2の第1係合素子21および第2係合素子31に利用した点が、上記実施形態と異なる。
また、第1の収納空間27および第2の収納空間37の内周面には、収納空間内部に向かって突出する三角形状の突起51が一定間隔毎に形成されている。上記実施形態では、紐7の長手方向の移動を規制していなかったが、このようにすれば、紐7をより強固に保持できる。
【0049】
(変形例3)
図18に変形例3の保持具4を示す。図18は保持具4の係合前の状態を示す平面図である。
変形例3に係る保持具4は、保持具4の基部10に係止具61が設けられている。係止具61は、基部10の背面に一体的に設けられた当接部材62と、この当接部材62の中央から突設された支柱63と、この支柱63の先端に当接部材62に対して所定の隙間を隔てて延びる弾性片64とから構成されている。
係止具61の当接部材62と弾性片64とで、車の車体などの被固定物65に保持具4を係止した状態にすれば、コード8などの被保持物を車体の面に沿って保持することができる。
【0050】
(変形例4)
図19および図20に変形例4の保持具5を示す。図19は保持具5を示す側面図、図20は図19のXX-XX線断面図である。
変形例4に係る保持具5は、第1折曲部20および第2折曲部30が、基部10から互いに直交した状態で湾曲され、先端に設けられた第1係合素子21および第2係合素子31が基部10の同じ面に係合される。
このような構成によれば、第1折曲部20および第2折曲部30によって、1本の紐7などの被保持物を屈曲させた状態で保持することができる。
【0051】
(他の変形例)
上記実施形態および各変形例では、基部10、第1折曲部20および第2折曲部30を合成樹脂材料により一体的に成形したが、これに限られない。たとえば、金属材料などによって一体成形してもよい。
また、第1折曲部20および第2折曲部30は、弾性変形することによって、基部10に対して折曲可能に構成されていたが、たとえば、基部10にヒンジを介して、折曲可能に構成してもよい。
【0052】
上記実施形態では、第2係合素子31自体が第1係合素子21の移動阻止手段として機能し、これに加えて、第2折曲部30の先端に設けた第3係合素子41と第1折曲部20の先端に設けた第3被係合素子44とから移動阻止手段40を構成したが、これに限られない。たとえば、第2折曲部30に凸部を設け、この凸部を第1折曲部20の外側面(凹部でも平面でもよい)に当接するように構成してもよい。
また、移動阻止手段40を設ける位置については、第2折曲部30に限らず、第2係合素子21に設けてもよい。
【0053】
上記実施形態および各変形例では、第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段40が設けられていたが、移動阻止手段40を必ずしも設けなくても、略同様な効果が期待できる。
また、上記実施形態および各変形例では、第3係合素子41を凸部42とし、第3被係合素子44を凹部45としたが、これらは逆でもよい。つまり、第3係合素子41を凹部とし、第3被係合素子44を凸部としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、装飾品などにおいて、腕輪や首輪などの紐を保持する保持具のほかに、車体にコードなどの長尺物を平行に保持する保持具としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る保持具の係合前の状態を示す斜視図。
【図2】同上実施形態に係る保持具の係合後の状態を示す斜視図。
【図3】同上実施形態に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図4】同上実施形態に係る保持具の片方の折曲部を係合した状態を示す図。
【図5】図4のV-V線断面図。
【図6】同上実施形態に係る保持具の中央横断面を示す図。
【図7】同上実施形態に係る保持具の中央縦断面を示す図。
【図8】図5のVIII-VIII線断面図。
【図9】本発明の変形例1に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図10】図9のX-X線断面図。
【図11】図9のXI-XI線断面図。
【図12】図9のXII-XII線断面図。
【図13】変形例1に係る保持具の片方の折曲部を係合した状態を示す図。
【図14】図13のXIV-XIV線断面図。
【図15】変形例1に係る保持具の係合後の状態を示す部分断面図。
【図16】図15のXVI-XVI線断面図。
【図17】本発明の変形例2に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図18】本発明の変形例3に係る保持具の係合前の状態を示す平面図。
【図19】本発明の変形例4に係る保持具を示す図。
【図20】図19のXX-XX線断面図。
【図21】従来の保持具を示す斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4,5…保持具、7…紐(被保持物)、10…基部、13,13A,13B…開口、15,15A,15B…係合凹部(第1被係合素子、第2被係合素子)、16…被係合部(基部)、20…第1折曲部、21…第1係合素子、22…第1軸部、23…第1係合片、24…第1延出部、25…第2延出部、26…先端面、27…第1の収納空間、30…第2折曲部、31…第2係合素子、32…第2軸部、33…第2係合片、34,35…延出部、37…第2の収納空間、40…移動素子手段、41…第3係合素子、42…凸部、44…第3被係合素子、45…凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被係合素子および第2被係合素子を有する基部10と、
前記基部10の一端から延出され、前記基部10に対して折曲可能な第1折曲部20と、
前記基部10の別の一端または前記第1折曲部20から延出され、前記基部10に対して折曲可能な第2折曲部30とを備え、
前記第1折曲部20は、前記基部10の第1被係合素子15に係合される第1係合素子21を有し、
前記第2折曲部30は、前記基部10の第2被係合素子15に係合される第2係合素子31を有し、
前記第1係合素子21が前記第1被係合素子15に係合されたときに、前記基部10および前記第1折曲部20によって被保持物を保持する第1の収納空間27が形成され、
前記第2係合素子31が前記第2被係合素子15に係合されたときに、前記基部10および前記第2折曲部30によって被保持物を保持する第2の収納空間37が形成され、
前記第2折曲部30および前記第2係合素子31の少なくとも一方は、前記第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有していることを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記移動阻止手段40は、前記第1折曲部20に設けられた第3被係合素子44と、前記第2折曲部30に設けられ前記第3被係合素子44に係合される第3係合素子41とを有し、
前記第3被係合素子44および前記第3係合素子41のいずれか一方は、凸部42によって形成され、他方は、前記凸部42に係合される凹部45によって形成され、
前記凸部42および凹部45は、前記第1係合素子21が係合解除する方向において隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記基部10には開口13が形成され、この開口13の奥部に係合凹部15が形成され、
前記第1被係合素子および前記第2被係合素子は、前記係合凹部15によって形成され、
前記第1係合素子21は、前記第1折曲部20の先端に突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部15に係合する第1係合片23とを含み形成され、
前記第2係合素子31は、前記第2折曲部30の先端に突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部15に係合する第2係合片33とを含み形成されていることを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第1係合片23および前記第2係合片33の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部24,25,34,35を有していることを特徴とする請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記第1係合片23は、前記第2係合片33の延出方向に対して交差する方向へ延出する延出部24,25を有していることを特徴とする請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31が前記第1被係合素子および前記第2被係合素子にそれぞれ係合されたとき、前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、互いに隣接して形成され、
前記第1係合素子21は、前記第1折曲部20が弾性変形することで前記第1被係合素子に係合され、
前記第2係合素子31は、前記第2係合片33が弾性変形することで前記第2被係合素子に係合されることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の保持具。
【請求項7】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、前記第1の収納空間27および前記第2の収納空間37のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向に隣接して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の保持具。
【請求項8】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31同士が対向する面に前記第3係合素子41および第3被係合素子44が形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
前記第2折曲部30は、前記基部10の別の一端から延出され、
前記第1折曲部20および前記第2折曲部30は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、前記第2折曲部30よりも前記第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の保持具。
【請求項10】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、前記第1折曲部20および前記第2折曲部30のそれぞれ先端から前記基部10へ向けて延出して形成されていることを特徴とする請求項9に記載の保持具。
【請求項1】
第1被係合素子および第2被係合素子を有する基部10と、
前記基部10の一端から延出され、前記基部10に対して折曲可能な第1折曲部20と、
前記基部10の別の一端または前記第1折曲部20から延出され、前記基部10に対して折曲可能な第2折曲部30とを備え、
前記第1折曲部20は、前記基部10の第1被係合素子15に係合される第1係合素子21を有し、
前記第2折曲部30は、前記基部10の第2被係合素子15に係合される第2係合素子31を有し、
前記第1係合素子21が前記第1被係合素子15に係合されたときに、前記基部10および前記第1折曲部20によって被保持物を保持する第1の収納空間27が形成され、
前記第2係合素子31が前記第2被係合素子15に係合されたときに、前記基部10および前記第2折曲部30によって被保持物を保持する第2の収納空間37が形成され、
前記第2折曲部30および前記第2係合素子31の少なくとも一方は、前記第1係合素子21が係合解除する方向に移動するのを阻止する移動阻止手段を有していることを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記移動阻止手段40は、前記第1折曲部20に設けられた第3被係合素子44と、前記第2折曲部30に設けられ前記第3被係合素子44に係合される第3係合素子41とを有し、
前記第3被係合素子44および前記第3係合素子41のいずれか一方は、凸部42によって形成され、他方は、前記凸部42に係合される凹部45によって形成され、
前記凸部42および凹部45は、前記第1係合素子21が係合解除する方向において隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記基部10には開口13が形成され、この開口13の奥部に係合凹部15が形成され、
前記第1被係合素子および前記第2被係合素子は、前記係合凹部15によって形成され、
前記第1係合素子21は、前記第1折曲部20の先端に突出された第1軸部22と、この第1軸部22の先端に第1軸部22の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部15に係合する第1係合片23とを含み形成され、
前記第2係合素子31は、前記第2折曲部30の先端に突出された第2軸部32と、この第2軸部32の先端に第2軸部32の突出する方向に対して交差する方向に延出され前記係合凹部15に係合する第2係合片33とを含み形成されていることを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第1係合片23および前記第2係合片33の少なくとも1つは、異なる2以上の方向へ延出する延出部24,25,34,35を有していることを特徴とする請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記第1係合片23は、前記第2係合片33の延出方向に対して交差する方向へ延出する延出部24,25を有していることを特徴とする請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31が前記第1被係合素子および前記第2被係合素子にそれぞれ係合されたとき、前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、互いに隣接して形成され、
前記第1係合素子21は、前記第1折曲部20が弾性変形することで前記第1被係合素子に係合され、
前記第2係合素子31は、前記第2係合片33が弾性変形することで前記第2被係合素子に係合されることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の保持具。
【請求項7】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、前記第1の収納空間27および前記第2の収納空間37のうち少なくとも一方の収納空間の中心軸方向に隣接して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の保持具。
【請求項8】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31同士が対向する面に前記第3係合素子41および第3被係合素子44が形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
前記第2折曲部30は、前記基部10の別の一端から延出され、
前記第1折曲部20および前記第2折曲部30は、互いに内側に傾斜された状態で成形され、かつ、前記第2折曲部30よりも前記第1折曲部20の方が、内側に傾斜された状態で成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の保持具。
【請求項10】
前記第1係合素子21および前記第2係合素子31は、前記第1折曲部20および前記第2折曲部30のそれぞれ先端から前記基部10へ向けて延出して形成されていることを特徴とする請求項9に記載の保持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−281169(P2008−281169A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128028(P2007−128028)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
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