保持装置及び搬送装置
【課題】安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる保持装置及び搬送装置を提供する。
【解決手段】鋼材を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、クレーンによる鋼材の搬送を可能にする保持装置10であって、鋼材を磁力により吸着可能な磁力吸着部11と、鋼材において磁力吸着部11に吸着された部分を下方から保持する保持部12と、鋼材を保持する保持位置と鋼材の下方から退いた待避位置との間を保持部12が移動できるように保持部12を駆動する駆動部13a、13b、14a、14b、14cと、を備えることを特徴とする。
【解決手段】鋼材を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、クレーンによる鋼材の搬送を可能にする保持装置10であって、鋼材を磁力により吸着可能な磁力吸着部11と、鋼材において磁力吸着部11に吸着された部分を下方から保持する保持部12と、鋼材を保持する保持位置と鋼材の下方から退いた待避位置との間を保持部12が移動できるように保持部12を駆動する駆動部13a、13b、14a、14b、14cと、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンによる鋼材等の被搬送物の搬送を可能にするために被搬送物を保持可能に構成された保持装置、および該保持装置を備えた搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油田やガス田の掘削等には、約1.0〜2.5tもの重量を有する大型の鋼管(油井管)が用いられている。このような鋼管の搬送は、鋼管に吊り具を引っかけてクレーンで吊り上げることにより行う手法が従来から知られている。
【0003】
図12を参照して、従来の鋼管の搬送方法について説明する。図12は、従来の鋼管の搬送方法を示す模式図であり、(a)はフックを用いた例、(b)はワイヤロープを用いた例をそれぞれ示している。図12(a)に示す例では、鋼管の外周にワイヤロープが掛けられ、図12(b)に示す例では、鋼管の開口部にフックが係止されることにより、鋼管がクレーンで吊り上げられる構成となっている。クレーンによって目的の場所まで搬送された鋼管は、各吊り具が取り外されて搬送が完了する。
【0004】
玉掛け作業と呼ばれる、吊り具の取付け・取外し作業は、鋼管の大きさが人体と比べて巨大なため作業効率を考慮して鋼管の両側に各一人ずつ、計二人を配置して行われる。また、クレーンの操縦者が最低一人必要となる。すなわち、鋼管の搬送作業には、少なくとも三人の作業者が必要となる。
【0005】
また、吊り具の取付け・取外し作業は、幾つも積み上げられた鋼管の上で行う高所での作業となる。したがって、作業場からの転落や鋼管の間に足を挟む等の事故が発生することが多く、死亡事故となる場合も珍しくない。このような事故は鋼管工場における事故の7割に登るとも言われている。
【0006】
このように、吊り具の取付け・取外し作業は危険を伴う作業であり、作業者にはある程度の熟練した技能が要求されるほか、事故防止のため、歩道橋のような作業用の足場を設ける等、専用の設備を別途設ける等の対策がとられる場合もある。
【0007】
一方、永久磁石や電磁石、永電磁石等を用いて鋼管等の鋼材を搬送する手法も知られている(例えば、特許文献1参照)。鋼材を磁力によって電磁石に吸着し、鋼材が吸着された電磁石をクレーンで吊上ることにより、鋼材を搬送する。近年では、油井管のような巨大な鋼材であっても十分に吸着可能な電磁石も登場し、作業コスト改善のため種々の現場への適用が進められている。
【0008】
しかしながら、電磁石を用いた搬送方法は、安全性の面で種々の課題がある。例えば、吸着が確実に行われているかの確認が困難な場合がある。また、停電した場合の鋼材の落下の危険性がある。さらに、鋼管等のように鋼材が曲面構造(円筒型)を有している場合には、電磁石との接触面積を十分に確保することが難しい場合がある。
【0009】
また、鋼材上面を電磁石に磁気吸着させて吊上げるため、吊下げられた鋼材は下方に何ら支えのない状態で搬送されることになる。そのため、安全性が十分確認されたとしても、巨大な鋼材が他の作業者の近く(例えば、頭上)を移動するような現場では、見た目の安心感や万が一の落下等を想定して採用が見送られてしまう場合がある。したがって、作業効率は悪くなるが、吊り具によって鋼材を確実に保持する上記搬送手法が採用される場合もいまだ多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−36465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる保持装置及び搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明における保持装置は、
被搬送物を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、前記クレーンによる前記被搬送物の搬送を可能にする保持装置であって、
前記被搬送物を磁力により吸着可能な磁力吸着部と、
前記被搬送物において前記磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、
前記被搬送物を保持する保持位置と前記被搬送物の下方から退いた待避位置との間を前記保持部が移動できるように前記保持部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、磁力吸着部に吸着されて吊下げられた被搬送物を下方から保持する保持部を備えているので、被搬送物を機械的に保持することにより、被搬送物に対する保持力が向上され、被搬送物の安全・確実な搬送を可能にすることができる。また、被搬送物を下方からも支える構成となるので、安全性が向上する。さらに、保持部を保持位置と待避位置との間で移動させる駆動部を備えているので、従来のような玉掛け作業は不要であり、作業コスト、特に人的コストの大幅な低減を図ることができる。
【0014】
前記保持部は、前記被搬送物の外周を囲む環状の軌道上を移動可能に構成された有端状のチェーンを備え、
前記駆動部は、前記チェーンと噛み合い可能なスプロケットと、前記チェーンが前記軌道上を移動するように前記スプロケットを回転させるモータと、を備えると好適である。
【0015】
これにより、チェーンが被搬送物において電磁石に吸着された部分の下方外周を取り囲むことにより、被搬送物を下方から保持することができる。
【0016】
前記保持部は、前記チェーンの全体形状を円弧状に維持すべく、前記チェーンの変形可能範囲を限定する規制部を備えると好適である。
【0017】
これにより、環状の軌道上における保持部の円弧状のスムーズな移動が可能となる。
【0018】
前記駆動部は、前記保持位置に移動した前記チェーンの先頭側の部分と噛み合う巻取りスプロケットと、後尾側の部分と噛み合う送出しスプロケットと、を備え、
前記巻取りスプロケットの巻取り速度は、前記送出しスプロケットの送出し速度よりも速く設定されると好適である。
【0019】
これにより、チェーンを鋼材の外周に巻付くように変形させることができる。したがって、保持部による保持力の向上を図ることができる。
【0020】
また、保持部の構成は上記構成に限られるものではなく、前記磁力吸着部の両側から前
記被搬送物の外周を囲むように延びる一対の保持アームであってもよい。
【0021】
これにより、被搬送物を把持するように保持することができ、被搬送物の安全・確実な搬送を可能にすることができる。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明における搬送装置は、
上記の保持装置と、
前記保持装置を吊上げるクレーンと、
前記保持装置の磁力吸着部及び駆動部の操作並びに前記クレーンの操作が可能な操作部と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、磁力吸着部、駆動部、クレーンの各操作を操作部で一括して行うことができるので、全ての搬送作業を一人の作業者で行うことが可能となる。したがって、省力化及び作業時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明により、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る保持装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1に係る搬送装置の構成を示す模式図である。
【図3】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図4】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図5】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図6】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の構成を説明する模式図である。
【図7a】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7b】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7c】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7d】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図9】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施例2に係る保持装置の保持部の構成及び動作を説明する模式図である。
【図11】本発明の実施例2に係る保持装置の駆動部の構成を説明する模式図である。
【図12】従来の鋼管の搬送方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(実施例1)
<搬送装置>
まず、図2を参照して、本発明の実施例1に係る搬送装置の構成について説明する。図2は、本実施例に係る搬送装置の構成を示す模式図である。
【0028】
図2に示すように、搬送装置1は、鋼管S等の被搬送物を保持可能に構成された保持装置10と、保持装置10を吊上げて昇降移動及び水平移動させることが可能なクレーン20と、を備える。
【0029】
保持装置10は、詳しくは後述するが、鋼管Sを磁力により吸着可能な磁力吸着部と、鋼管Sにおいて磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、該保持部が保持位置と待避位置との間を移動できるように保持部を駆動する駆動部と、を備えている。
【0030】
クレーン20は、門型(天井型)のクレーンであり、吊下げられたフック21に保持装置10が取り付けられている。また、クレーン20は、作業者Wがフック21の昇降移動及び水平移動を操作するための操作部22が設けられている。
【0031】
本実施例では、被搬送物としての鋼材として、油井管等で利用される鋼管(例えば、2.5t、φ500mm)を例に以下説明するが、鋼材の種類はこれに限定されるものではなく、レールやH鋼等の他の種々の鋼材に対しても適用可能である。また、クレーン20も、門型のクレーンに限定されるものではなく、例えば、トラッククレーン等の他のクレーンであってもよい。
【0032】
<保持装置>
図1、図3〜図9を参照して、本発明の実施例1に係る保持装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る保持装置の構成を示す模式図である。図3は、永久磁石型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図であり、(a)は吸着時の様子、(b)は釈放時の様子をそれぞれ示している。図4は、永電磁型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図であり、(a)は吸着時の様子、(b)は釈放時の様子をそれぞれ示している。図5は、電磁石型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。図6は、保持部の構成を説明する模式図であり、(a)はチェーンの側面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は板材が取り付けられた状態における(a)のA矢視図をそれぞれ示している。図7は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図であり、(a)は保持部が待避位置にあるときの様子、(b)は保持部が駆動部によって駆動されて移動しているときの様子、(c)は保持部が保持位置まで移動したときの様子、(d)は保持部が保持状態になったときの様子をそれぞれ示している。図8は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図であり、(a)はチェーンに張力が加わる前、(b)はチェーンに張力が加わった後の状態をそれぞれ示している。る。図9は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【0033】
図1に示すように、本実施例に係る保持装置10は、磁力吸着部11と、保持部としてのチェーン12と、駆動部としてのスプロケット13a、13b、モータ14a、送りチェーン14b、ウォームギア14cと、ガイドローラ15と、チェーンガイド16と、各部材を一体的に支持するフレーム17と、を備える。
【0034】
保持装置10は、フレーム17がクレーン20のフック21に吊下げられることにより、クレーン20によって昇降移動及び水平移動が可能になっている。また、保持装置10は、磁力吸着部11とモータ14aがケーブル18を介してクレーン20の操作部22に電気的に接続されており、磁力吸着部11への通電(励磁・消磁)及びモータ14aの回転制御は、クレーン20の操作部22で操作可能に構成されている。なお、各部の操作は、ケーブル等による有線接続に限られるわけではなく、無線による遠隔操作であってもよ
い。なお、ここで説明する磁力吸着部11の構成は、一例であって、この構成に限定されるものではなく、従来から知られた他の種々の構成を適宜適用してよい。
【0035】
<<磁力吸着部>>
図3〜図5を参照して、磁力吸着部11の構成及び吸着原理について説明する。磁力吸着機構には、一般的に、永久磁石を用いたもの、電磁石を用いたもの、永久磁石を着磁・脱磁する永電磁磁石を用いたもの等が知られている。本実施例の磁力吸着部11としては、従来技術に係る種々の磁力吸着機構を適宜採用することができる。したがって、本実施例の磁力吸着部11の構成は、下記の構成に限定されるものではない。
【0036】
図3に示す構成は、永久磁石式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では磁力吸着部11は、軟鉄、炭素鋼等の磁性材料から形成された磁性体ボディ11aと、磁性体ボディ11aに対して回転可能に組み付けられた永久磁石11bと、アルミニウムや樹脂等の非磁性材料から形成された非磁性部材11cと、を備えている。この磁力吸着部11は、永久磁石11bを回転させて、磁束線を変化させることにより、鋼管Sを吸着・釈放可能に構成されている。
【0037】
図3(a)に示すように、磁性体ボディ11aは、非磁性部材11cによって左右2つの領域に分けられたような構成となっている。この2つの領域の一方の領域に永久磁石11bの一方の磁極が位置し、他方の領域に他方の磁極が位置することにより、永久磁石11bの磁束線MLは、磁性体ボディ11a内では非磁性部材11cによって遮られ、磁性体ボディ11aの一対の磁気吸着面11d1、11d2から外部に出ることになる。これにより、鋼管Sが磁性体ボディ11aの磁気吸着面11d1、11d2に吸着される。
【0038】
図3(b)に示すように、鋼管Sの釈放時には、永久磁石11bの各磁極の位置が磁性体ボディ11aの2つの領域の境目、すなわち、非磁性部材11cと隣接する位置となるように、永久磁石11bが回転する。図に示すように、永久磁石11bの両磁極は磁性体ボディ11a内で互いに引き合う状態となり、磁束線MLは磁性体ボディ11a内部で閉回路を形成する。これにより、磁束線MLは外部に出ず、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される。
【0039】
図4に示す構成は、永電磁式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では、磁力吸着部11は、電磁コイル111と、アルニコ磁石112と、ネオジウム磁石113と、磁極114と、ヨーク115と、を備えている。この磁力吸着部11は、電磁コイル111に通電し、永久磁石であるアルニコ磁石112及びネオジウム磁石113の磁束線を変化させることにより、鋼管Sを吸着・釈放可能に構成されている。
【0040】
図4(a)に示すように、電磁コイル111に瞬時に通電することにより、アルニコ磁石112の磁界の向きがネオジウム磁石113と同極となり、磁極114から強力な磁束線が外部に出る。これにより、鋼管Sが磁力吸着部11(磁極114)に吸着される。鋼管Sが吸着された後は、アルニコ磁石112及びネオジウム磁石113の合成された磁力によって鋼管Sの吸着状態が維持される。
【0041】
図4(b)に示すように、鋼管Sの釈放時には、電磁コイル111に逆方向に瞬時に通電することにより、アルニコ磁石112の磁界の向きが、ネオジウム磁石113と異極となり、磁束線は磁力吸着部11内部で閉回路を形成する。これにより、磁束線は外部に出ず、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される。
【0042】
図5に示す構成は、電磁石式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では、磁力吸着部11は、磁性部材200と、コイル201と、を備えている。この磁力吸着部11は、
磁性部材200に巻かれたコイル201の両端AB間に電流を流すことにより磁界を発生させ、鋼管Sを吸着することができる。
【0043】
<<保持部及び駆動部>>
図1及び図6に示すように、保持部12は、有端状のチェーン120と、チェーン120の変形可能範囲を限定する規制部としての板材121と、を備える。保持部12は、磁力吸着部11に吸着された鋼管Sの外周を囲む環状の軌道上を、後述する駆動部によって移動可能に構成されている。
【0044】
チェーン120は、ローラ122と、ブッシュ123と、内側プレート124と、外側プレート125と、ピン126と、で構成される連結体である。すなわち、一対の内側プレート124は、両端が円筒形のブッシュ123で連結されており、ブッシュ123の外周を囲うように、円筒形のローラ122が回転自在に取り付けられている。また、一対の外側プレート125は、ローラ122とブッシュ123を貫通するピン126によって両端が連結されており、ブッシュ123及び内側プレート124と外側プレート125及びピン126とが互いに回転自在に連結された構成となっている。
【0045】
板材121は、内側プレート124及び外側プレート125の一方の側に回転軸と平行に延びるように取付けられている。隣接する板材121同士は、端部が互いに当接することにより、チェーン120の変形(ブッシュ123とピン126と回転)を規制し、チェーン120全体が図1等に示すような円弧形状を形成し維持するように構成されている。したがって、チェーン120は、図1等に示す円弧形状から、曲率を大きくする方向への変形は許容されるが、曲率を小さくする方向への変形は制限されることになる。
【0046】
スプロケット13a、13bは、モータ14a、送りチェーン14b、ウォームギア14cによってフレーム17に対して回転駆動され、チェーン120のローラ122と噛み合うことにより、保持部12を移動可能に構成されている。
【0047】
図7a〜図7dを参照して、本実施例に係る鋼材搬送装置1の搬送工程について説明する。なお、ここでは、図4に示す電磁石式の磁力吸着部11を備えた構成を例として説明する。
【0048】
図7aに示すように、チェーンガイド16上が、保持部12の待避位置となる。搬送工程においては、まず、保持部12が待避位置にある状態で、磁力吸着部11が鋼管Sの上方の周面と接触する(吸着可能な)位置まで、保持装置10がクレーン20によって下降される。そして、磁力吸着部11に通電することにより鋼管Sが磁力によって磁力吸着部11に吸着される(図4(a))。
【0049】
鋼管Sが磁力吸着部11に吸着されると、保持装置10はクレーン20によって所定の高さまで上昇される。ここで、所定の高さとは、吸着された鋼管Sの下方に保持部12が移動可能な空間が確保される程度の高さである。
【0050】
図7(b)に示すように、保持装置10が所定の高さに位置する状態で、駆動部による保持部12の移動が開始される。すなわち、一方のスプロケット13aが送出しスプロケットとしてチェーン120を待避位置から下方に向かって移動させる。このとき、他方のスプロケット13bも回転させて、保持部12の送出しを助けるようにしてもよい。
【0051】
図7(c)に示すように、チェーン120の先頭のローラ122が他方のスプロケット13bと噛み合うように、チェーン120の円弧形状が板材121によって維持される。なお、チェーン120は、円弧形状が多少開いたとしてもスプロケット13bと噛み合う
ようにガイドローラ15によって案内される。
【0052】
図7(d)に示すように、チェーン120の先頭部が他方のスプロケット13bと噛み合うと、スプロケット13bは、巻取りスプロケットとして、チェーン120を巻取るように回転する。保持部12は、チェーン120の先頭部がスプロケット13bに巻き取られることにより、鋼管Sの外周面と接触して鋼管Sを締め付けたような状態となる。保持部12は、この状態で不図示の係止手段がチェーン120を係止することにより、あるいは、スプロケット13a、13bとウォームギア14cとの噛み合いにより、フレーム17に対して固定される。
【0053】
図8(b)に示すように、チェーン120は、プレート121がバネ121aを介して取り付けられており、スプロケット13bの巻取りによりチェーン120に張力が加えられると、プレート121が隣接するプレート121に対して競り上がり、真直ぐに伸びた状態となる。したがって、保持部12は、スプロケット13bがチェーン120を図7(d)の状態からさらに巻き取ることにより、図9に示すような保持(締付)状態となる。これにより図7(d)の状態よりもさらに安定した保持状態となる。
【0054】
この締付動作は、巻取り側(先頭側)のスプロケット13bの巻取り速度(回転速度)を送出し側(後尾側)のスプロケット13aの送出し速度(回転速度)よりも速く設定することにより行うことができる。かかる設定は、例えば、スプロケット13a、13bのギア比あるいはウォームギア14cの左右のギア比を異ならせることにより行うことができる。なお、送出し側のスプロケット13aの回転を停止し、巻取り側のスプロケット13bだけを回転させることによって行ってもよい。
【0055】
このように、鋼管Sにおいて磁力吸着部11に吸着された部分が保持部12によって下方から保持された(締付られた)状態となってから、クレーン20による移動が開始される。
【0056】
保持装置10は、クレーン20によって釈放地点の上方まで到達すると、釈放地点までの下降移動が釈放地点から所定の高さ上方の位置で一旦停止される。ここで、所定の高さとは、吸着された鋼管Sの下方に保持部12が移動可能な空間が確保される程度の高さである。
【0057】
スプロケット13bが回転を開始して、チェーン120を図9の保持位置から図7(a)の待避位置まで送出す。なお、スプロケット13a、13bを逆回転させることにより、図7(a)〜図7(d)及び図9の工程とは逆の工程で待避位置まで戻すようにしてもよい。
【0058】
チェーン120が待避位置に到達すると、クレーン20による保持装置10の下降が再開される。鋼管Sが釈放地点まで下降されると、通電によって永久磁石の磁束がキャンセルされ、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される(図4(b))。以上により、鋼管Sの搬送作業が完了する。
【0059】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、電磁石に吸着されて吊下げられた鋼材を下方から保持する保持部を備えているので、鋼材を機械的に保持することにより、鋼材に対する保持力が向上され、鋼材の安全・確実な搬送を可能にすることができる。例えば、港等で鋼材の搬送を行う場合には、吊下げられた鋼材が強風によって大きく揺れて作業場の梁等に強く接触し、衝撃によって鋼材が落下することも十分懸念される。本実施例によれば、保持部が鋼材の外周を囲って把持するように鋼材が保持されているので、強い衝撃が加わる等により鋼材が電
磁石から剥がれようとするのを抑制することができる。また、電磁石の吸着状態が何らかの理由で消失したような場合でも、鋼材の保持状態の維持を図ることができる。
【0060】
また、鋼材を下方からも支える構成となるので、安全性が向上し、他の作業場が直ぐ近くに隣接するような現場であっても安心して本発明を適用することができる。
【0061】
また、保持部を保持位置と待避位置との間で移動させる駆動部を備えているので、従来のような玉掛け作業が不要であり、また、電磁石、駆動部、クレーンの各操作をクレーンに設けられた操作部で一括して行うことができるので、全ての搬送作業を一人の作業者で行うことが可能となる。したがって、作業人員を減らして作業コスト、特に人的コストの大幅な低減を図ることができる。
【0062】
また、保持部が、規制部によって全体形状が円弧形状に形成された有端状のチェーンにより構成され、かかるチェーンが鋼材の外周を取り囲む環状の軌道上をスプロケットによって移動する構成となっている。これにより、保持部のスムーズな移動が可能になるとともに、チェーンが鋼材の下方外周を取り囲むようにして下方から保持するので、高い保持力を発揮することができる。
【0063】
また、保持位置に移動したチェーンの先頭側部分を巻取る巻取りスプロケットの回転速度を、チェーンの後尾側部分を送出す送出しスプロケットの回転速度よりも速くすることにより、チェーンを鋼材の外周に巻付くように変形させることができる。これにより、保持力の向上を図ることができる。
【0064】
なお、保持部の構成としては、上記チェーンに限られるものではなく、フックや手錠のようなアーム型の構成であってもよい。しかし、保持部が鋼材外周を取り囲む動作に必要なスペース(上記所定の高さ)が小さく済む点においてチェーン型が有利である。また、鋼材の外形形状に合わせて変形させ易い点もチェーン型の利点である。
【0065】
すなわち、本実施例によれば、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる。
【0066】
(実施例2)
図10及び図11を参照して、本発明の実施例2に係る保持装置及び搬送装置について説明する。図10は、本実施例に係る保持装置の保持部の構成及び動作を説明する模式図であり、(a)は保持部が待避位置にあるときの様子、(b)は保持部が保持状態になったときの様子をそれぞれ示している。図11は、本実施例に係る保持装置の駆動部の構成を説明する模式的透視図であり、図10(a)のB矢視図に対応している。
【0067】
本実施例は、保持部の構成が実施例1と異なるのみで、保持装置及び搬送装置の他の構成については実施例1と同様である。以下、異なる点のみ説明し、他の同様の構成については、実施例1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図10に示すように、本実施例に係る保持装置10´の保持部12´は、概略、鋼管Sの外周を囲むように延びる1対の保持アーム31、32により鋼管Sを把持するように保持する構成となっている。一対の保持アーム31、32は、磁力吸着部11を中心に回転可能に構成されており、鋼管Sを磁力吸着部11によって吸着する際には、先端側が磁力吸着部11よりも上方となる待避位置にある(図10(a))。そして、磁力吸着部11に吸着された鋼管Sを保持する際には、鋼管Sを両側から挟み込むように回転し、先端側が鋼管Sの下方側を支えるように保持する状態となる(図10(b))。
【0069】
図11を参照して、本実施例に係る保持装置10´の保持部12´を駆動する駆動部の構成について説明する。なお、ここで説明する駆動部の構成は、あくまで一例であり、他の構成が排除されるものではない。
【0070】
図11に示すように、本実施例に係る駆動部は、ウォームギア33と、伝達ギア34とを備えている。1対の保持アーム31、32は、それぞれがさらに1対ずつ構成されており、それぞれ連結軸31a、32aによって連結されている。保持アーム32の連結軸32aは、筒状に構成された連結軸31aの内部を貫通するように組み付けられており、連結軸31a、32aは互いに同軸に回転可能に構成されている。ウォームギア33は、連結軸31aの外周に設けられたウォームホイール31bと噛み合い、連結軸31aを回転させるように構成されている。伝達ギア34は、保持アーム31の回転を保持アーム32に伝達するように構成されている。これら保持アーム31、32、ウォームギア33、伝達ギア34等は、磁力吸着部11とともに、フレーム17´に組み付けられている。
【0071】
ウォームギア33が不図示のモータ等により回転制御されると、ウォームホイール31bを介して連結軸31aが回転し、保持アーム31が回転する。保持アーム31の回転は伝達ギア34を介して保持アーム32に伝達され、保持アーム32が保持アーム31とは逆方向に回転する。これにより、図7に示す保持アーム31、32の回転動作が可能となっている。
【0072】
なお、保持部の構成としては、上記各構成に限定されるものではなく、従来から知られた種々の保持機構を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 搬送装置
10 保持装置
11 電磁石
12 保持部
13a、13b スプロケット
14a、14b モータ
15 ガイドローラ
16 チェーンガイド
17 フレーム
18 ケーブル
20 クレーン
21 フック
22 操作部
S 鋼管
W 作業者
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンによる鋼材等の被搬送物の搬送を可能にするために被搬送物を保持可能に構成された保持装置、および該保持装置を備えた搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油田やガス田の掘削等には、約1.0〜2.5tもの重量を有する大型の鋼管(油井管)が用いられている。このような鋼管の搬送は、鋼管に吊り具を引っかけてクレーンで吊り上げることにより行う手法が従来から知られている。
【0003】
図12を参照して、従来の鋼管の搬送方法について説明する。図12は、従来の鋼管の搬送方法を示す模式図であり、(a)はフックを用いた例、(b)はワイヤロープを用いた例をそれぞれ示している。図12(a)に示す例では、鋼管の外周にワイヤロープが掛けられ、図12(b)に示す例では、鋼管の開口部にフックが係止されることにより、鋼管がクレーンで吊り上げられる構成となっている。クレーンによって目的の場所まで搬送された鋼管は、各吊り具が取り外されて搬送が完了する。
【0004】
玉掛け作業と呼ばれる、吊り具の取付け・取外し作業は、鋼管の大きさが人体と比べて巨大なため作業効率を考慮して鋼管の両側に各一人ずつ、計二人を配置して行われる。また、クレーンの操縦者が最低一人必要となる。すなわち、鋼管の搬送作業には、少なくとも三人の作業者が必要となる。
【0005】
また、吊り具の取付け・取外し作業は、幾つも積み上げられた鋼管の上で行う高所での作業となる。したがって、作業場からの転落や鋼管の間に足を挟む等の事故が発生することが多く、死亡事故となる場合も珍しくない。このような事故は鋼管工場における事故の7割に登るとも言われている。
【0006】
このように、吊り具の取付け・取外し作業は危険を伴う作業であり、作業者にはある程度の熟練した技能が要求されるほか、事故防止のため、歩道橋のような作業用の足場を設ける等、専用の設備を別途設ける等の対策がとられる場合もある。
【0007】
一方、永久磁石や電磁石、永電磁石等を用いて鋼管等の鋼材を搬送する手法も知られている(例えば、特許文献1参照)。鋼材を磁力によって電磁石に吸着し、鋼材が吸着された電磁石をクレーンで吊上ることにより、鋼材を搬送する。近年では、油井管のような巨大な鋼材であっても十分に吸着可能な電磁石も登場し、作業コスト改善のため種々の現場への適用が進められている。
【0008】
しかしながら、電磁石を用いた搬送方法は、安全性の面で種々の課題がある。例えば、吸着が確実に行われているかの確認が困難な場合がある。また、停電した場合の鋼材の落下の危険性がある。さらに、鋼管等のように鋼材が曲面構造(円筒型)を有している場合には、電磁石との接触面積を十分に確保することが難しい場合がある。
【0009】
また、鋼材上面を電磁石に磁気吸着させて吊上げるため、吊下げられた鋼材は下方に何ら支えのない状態で搬送されることになる。そのため、安全性が十分確認されたとしても、巨大な鋼材が他の作業者の近く(例えば、頭上)を移動するような現場では、見た目の安心感や万が一の落下等を想定して採用が見送られてしまう場合がある。したがって、作業効率は悪くなるが、吊り具によって鋼材を確実に保持する上記搬送手法が採用される場合もいまだ多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−36465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる保持装置及び搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明における保持装置は、
被搬送物を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、前記クレーンによる前記被搬送物の搬送を可能にする保持装置であって、
前記被搬送物を磁力により吸着可能な磁力吸着部と、
前記被搬送物において前記磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、
前記被搬送物を保持する保持位置と前記被搬送物の下方から退いた待避位置との間を前記保持部が移動できるように前記保持部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、磁力吸着部に吸着されて吊下げられた被搬送物を下方から保持する保持部を備えているので、被搬送物を機械的に保持することにより、被搬送物に対する保持力が向上され、被搬送物の安全・確実な搬送を可能にすることができる。また、被搬送物を下方からも支える構成となるので、安全性が向上する。さらに、保持部を保持位置と待避位置との間で移動させる駆動部を備えているので、従来のような玉掛け作業は不要であり、作業コスト、特に人的コストの大幅な低減を図ることができる。
【0014】
前記保持部は、前記被搬送物の外周を囲む環状の軌道上を移動可能に構成された有端状のチェーンを備え、
前記駆動部は、前記チェーンと噛み合い可能なスプロケットと、前記チェーンが前記軌道上を移動するように前記スプロケットを回転させるモータと、を備えると好適である。
【0015】
これにより、チェーンが被搬送物において電磁石に吸着された部分の下方外周を取り囲むことにより、被搬送物を下方から保持することができる。
【0016】
前記保持部は、前記チェーンの全体形状を円弧状に維持すべく、前記チェーンの変形可能範囲を限定する規制部を備えると好適である。
【0017】
これにより、環状の軌道上における保持部の円弧状のスムーズな移動が可能となる。
【0018】
前記駆動部は、前記保持位置に移動した前記チェーンの先頭側の部分と噛み合う巻取りスプロケットと、後尾側の部分と噛み合う送出しスプロケットと、を備え、
前記巻取りスプロケットの巻取り速度は、前記送出しスプロケットの送出し速度よりも速く設定されると好適である。
【0019】
これにより、チェーンを鋼材の外周に巻付くように変形させることができる。したがって、保持部による保持力の向上を図ることができる。
【0020】
また、保持部の構成は上記構成に限られるものではなく、前記磁力吸着部の両側から前
記被搬送物の外周を囲むように延びる一対の保持アームであってもよい。
【0021】
これにより、被搬送物を把持するように保持することができ、被搬送物の安全・確実な搬送を可能にすることができる。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明における搬送装置は、
上記の保持装置と、
前記保持装置を吊上げるクレーンと、
前記保持装置の磁力吸着部及び駆動部の操作並びに前記クレーンの操作が可能な操作部と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、磁力吸着部、駆動部、クレーンの各操作を操作部で一括して行うことができるので、全ての搬送作業を一人の作業者で行うことが可能となる。したがって、省力化及び作業時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明により、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る保持装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1に係る搬送装置の構成を示す模式図である。
【図3】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図4】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図5】磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。
【図6】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の構成を説明する模式図である。
【図7a】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7b】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7c】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図7d】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図8】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図9】本発明の実施例1に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施例2に係る保持装置の保持部の構成及び動作を説明する模式図である。
【図11】本発明の実施例2に係る保持装置の駆動部の構成を説明する模式図である。
【図12】従来の鋼管の搬送方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(実施例1)
<搬送装置>
まず、図2を参照して、本発明の実施例1に係る搬送装置の構成について説明する。図2は、本実施例に係る搬送装置の構成を示す模式図である。
【0028】
図2に示すように、搬送装置1は、鋼管S等の被搬送物を保持可能に構成された保持装置10と、保持装置10を吊上げて昇降移動及び水平移動させることが可能なクレーン20と、を備える。
【0029】
保持装置10は、詳しくは後述するが、鋼管Sを磁力により吸着可能な磁力吸着部と、鋼管Sにおいて磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、該保持部が保持位置と待避位置との間を移動できるように保持部を駆動する駆動部と、を備えている。
【0030】
クレーン20は、門型(天井型)のクレーンであり、吊下げられたフック21に保持装置10が取り付けられている。また、クレーン20は、作業者Wがフック21の昇降移動及び水平移動を操作するための操作部22が設けられている。
【0031】
本実施例では、被搬送物としての鋼材として、油井管等で利用される鋼管(例えば、2.5t、φ500mm)を例に以下説明するが、鋼材の種類はこれに限定されるものではなく、レールやH鋼等の他の種々の鋼材に対しても適用可能である。また、クレーン20も、門型のクレーンに限定されるものではなく、例えば、トラッククレーン等の他のクレーンであってもよい。
【0032】
<保持装置>
図1、図3〜図9を参照して、本発明の実施例1に係る保持装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る保持装置の構成を示す模式図である。図3は、永久磁石型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図であり、(a)は吸着時の様子、(b)は釈放時の様子をそれぞれ示している。図4は、永電磁型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図であり、(a)は吸着時の様子、(b)は釈放時の様子をそれぞれ示している。図5は、電磁石型の磁力吸着部の吸着原理を説明する模式図である。図6は、保持部の構成を説明する模式図であり、(a)はチェーンの側面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は板材が取り付けられた状態における(a)のA矢視図をそれぞれ示している。図7は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図であり、(a)は保持部が待避位置にあるときの様子、(b)は保持部が駆動部によって駆動されて移動しているときの様子、(c)は保持部が保持位置まで移動したときの様子、(d)は保持部が保持状態になったときの様子をそれぞれ示している。図8は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図であり、(a)はチェーンに張力が加わる前、(b)はチェーンに張力が加わった後の状態をそれぞれ示している。る。図9は、本実施例に係る保持装置の保持部の動作を説明する模式図である。
【0033】
図1に示すように、本実施例に係る保持装置10は、磁力吸着部11と、保持部としてのチェーン12と、駆動部としてのスプロケット13a、13b、モータ14a、送りチェーン14b、ウォームギア14cと、ガイドローラ15と、チェーンガイド16と、各部材を一体的に支持するフレーム17と、を備える。
【0034】
保持装置10は、フレーム17がクレーン20のフック21に吊下げられることにより、クレーン20によって昇降移動及び水平移動が可能になっている。また、保持装置10は、磁力吸着部11とモータ14aがケーブル18を介してクレーン20の操作部22に電気的に接続されており、磁力吸着部11への通電(励磁・消磁)及びモータ14aの回転制御は、クレーン20の操作部22で操作可能に構成されている。なお、各部の操作は、ケーブル等による有線接続に限られるわけではなく、無線による遠隔操作であってもよ
い。なお、ここで説明する磁力吸着部11の構成は、一例であって、この構成に限定されるものではなく、従来から知られた他の種々の構成を適宜適用してよい。
【0035】
<<磁力吸着部>>
図3〜図5を参照して、磁力吸着部11の構成及び吸着原理について説明する。磁力吸着機構には、一般的に、永久磁石を用いたもの、電磁石を用いたもの、永久磁石を着磁・脱磁する永電磁磁石を用いたもの等が知られている。本実施例の磁力吸着部11としては、従来技術に係る種々の磁力吸着機構を適宜採用することができる。したがって、本実施例の磁力吸着部11の構成は、下記の構成に限定されるものではない。
【0036】
図3に示す構成は、永久磁石式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では磁力吸着部11は、軟鉄、炭素鋼等の磁性材料から形成された磁性体ボディ11aと、磁性体ボディ11aに対して回転可能に組み付けられた永久磁石11bと、アルミニウムや樹脂等の非磁性材料から形成された非磁性部材11cと、を備えている。この磁力吸着部11は、永久磁石11bを回転させて、磁束線を変化させることにより、鋼管Sを吸着・釈放可能に構成されている。
【0037】
図3(a)に示すように、磁性体ボディ11aは、非磁性部材11cによって左右2つの領域に分けられたような構成となっている。この2つの領域の一方の領域に永久磁石11bの一方の磁極が位置し、他方の領域に他方の磁極が位置することにより、永久磁石11bの磁束線MLは、磁性体ボディ11a内では非磁性部材11cによって遮られ、磁性体ボディ11aの一対の磁気吸着面11d1、11d2から外部に出ることになる。これにより、鋼管Sが磁性体ボディ11aの磁気吸着面11d1、11d2に吸着される。
【0038】
図3(b)に示すように、鋼管Sの釈放時には、永久磁石11bの各磁極の位置が磁性体ボディ11aの2つの領域の境目、すなわち、非磁性部材11cと隣接する位置となるように、永久磁石11bが回転する。図に示すように、永久磁石11bの両磁極は磁性体ボディ11a内で互いに引き合う状態となり、磁束線MLは磁性体ボディ11a内部で閉回路を形成する。これにより、磁束線MLは外部に出ず、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される。
【0039】
図4に示す構成は、永電磁式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では、磁力吸着部11は、電磁コイル111と、アルニコ磁石112と、ネオジウム磁石113と、磁極114と、ヨーク115と、を備えている。この磁力吸着部11は、電磁コイル111に通電し、永久磁石であるアルニコ磁石112及びネオジウム磁石113の磁束線を変化させることにより、鋼管Sを吸着・釈放可能に構成されている。
【0040】
図4(a)に示すように、電磁コイル111に瞬時に通電することにより、アルニコ磁石112の磁界の向きがネオジウム磁石113と同極となり、磁極114から強力な磁束線が外部に出る。これにより、鋼管Sが磁力吸着部11(磁極114)に吸着される。鋼管Sが吸着された後は、アルニコ磁石112及びネオジウム磁石113の合成された磁力によって鋼管Sの吸着状態が維持される。
【0041】
図4(b)に示すように、鋼管Sの釈放時には、電磁コイル111に逆方向に瞬時に通電することにより、アルニコ磁石112の磁界の向きが、ネオジウム磁石113と異極となり、磁束線は磁力吸着部11内部で閉回路を形成する。これにより、磁束線は外部に出ず、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される。
【0042】
図5に示す構成は、電磁石式の磁力吸着機構の一例である。この構成例では、磁力吸着部11は、磁性部材200と、コイル201と、を備えている。この磁力吸着部11は、
磁性部材200に巻かれたコイル201の両端AB間に電流を流すことにより磁界を発生させ、鋼管Sを吸着することができる。
【0043】
<<保持部及び駆動部>>
図1及び図6に示すように、保持部12は、有端状のチェーン120と、チェーン120の変形可能範囲を限定する規制部としての板材121と、を備える。保持部12は、磁力吸着部11に吸着された鋼管Sの外周を囲む環状の軌道上を、後述する駆動部によって移動可能に構成されている。
【0044】
チェーン120は、ローラ122と、ブッシュ123と、内側プレート124と、外側プレート125と、ピン126と、で構成される連結体である。すなわち、一対の内側プレート124は、両端が円筒形のブッシュ123で連結されており、ブッシュ123の外周を囲うように、円筒形のローラ122が回転自在に取り付けられている。また、一対の外側プレート125は、ローラ122とブッシュ123を貫通するピン126によって両端が連結されており、ブッシュ123及び内側プレート124と外側プレート125及びピン126とが互いに回転自在に連結された構成となっている。
【0045】
板材121は、内側プレート124及び外側プレート125の一方の側に回転軸と平行に延びるように取付けられている。隣接する板材121同士は、端部が互いに当接することにより、チェーン120の変形(ブッシュ123とピン126と回転)を規制し、チェーン120全体が図1等に示すような円弧形状を形成し維持するように構成されている。したがって、チェーン120は、図1等に示す円弧形状から、曲率を大きくする方向への変形は許容されるが、曲率を小さくする方向への変形は制限されることになる。
【0046】
スプロケット13a、13bは、モータ14a、送りチェーン14b、ウォームギア14cによってフレーム17に対して回転駆動され、チェーン120のローラ122と噛み合うことにより、保持部12を移動可能に構成されている。
【0047】
図7a〜図7dを参照して、本実施例に係る鋼材搬送装置1の搬送工程について説明する。なお、ここでは、図4に示す電磁石式の磁力吸着部11を備えた構成を例として説明する。
【0048】
図7aに示すように、チェーンガイド16上が、保持部12の待避位置となる。搬送工程においては、まず、保持部12が待避位置にある状態で、磁力吸着部11が鋼管Sの上方の周面と接触する(吸着可能な)位置まで、保持装置10がクレーン20によって下降される。そして、磁力吸着部11に通電することにより鋼管Sが磁力によって磁力吸着部11に吸着される(図4(a))。
【0049】
鋼管Sが磁力吸着部11に吸着されると、保持装置10はクレーン20によって所定の高さまで上昇される。ここで、所定の高さとは、吸着された鋼管Sの下方に保持部12が移動可能な空間が確保される程度の高さである。
【0050】
図7(b)に示すように、保持装置10が所定の高さに位置する状態で、駆動部による保持部12の移動が開始される。すなわち、一方のスプロケット13aが送出しスプロケットとしてチェーン120を待避位置から下方に向かって移動させる。このとき、他方のスプロケット13bも回転させて、保持部12の送出しを助けるようにしてもよい。
【0051】
図7(c)に示すように、チェーン120の先頭のローラ122が他方のスプロケット13bと噛み合うように、チェーン120の円弧形状が板材121によって維持される。なお、チェーン120は、円弧形状が多少開いたとしてもスプロケット13bと噛み合う
ようにガイドローラ15によって案内される。
【0052】
図7(d)に示すように、チェーン120の先頭部が他方のスプロケット13bと噛み合うと、スプロケット13bは、巻取りスプロケットとして、チェーン120を巻取るように回転する。保持部12は、チェーン120の先頭部がスプロケット13bに巻き取られることにより、鋼管Sの外周面と接触して鋼管Sを締め付けたような状態となる。保持部12は、この状態で不図示の係止手段がチェーン120を係止することにより、あるいは、スプロケット13a、13bとウォームギア14cとの噛み合いにより、フレーム17に対して固定される。
【0053】
図8(b)に示すように、チェーン120は、プレート121がバネ121aを介して取り付けられており、スプロケット13bの巻取りによりチェーン120に張力が加えられると、プレート121が隣接するプレート121に対して競り上がり、真直ぐに伸びた状態となる。したがって、保持部12は、スプロケット13bがチェーン120を図7(d)の状態からさらに巻き取ることにより、図9に示すような保持(締付)状態となる。これにより図7(d)の状態よりもさらに安定した保持状態となる。
【0054】
この締付動作は、巻取り側(先頭側)のスプロケット13bの巻取り速度(回転速度)を送出し側(後尾側)のスプロケット13aの送出し速度(回転速度)よりも速く設定することにより行うことができる。かかる設定は、例えば、スプロケット13a、13bのギア比あるいはウォームギア14cの左右のギア比を異ならせることにより行うことができる。なお、送出し側のスプロケット13aの回転を停止し、巻取り側のスプロケット13bだけを回転させることによって行ってもよい。
【0055】
このように、鋼管Sにおいて磁力吸着部11に吸着された部分が保持部12によって下方から保持された(締付られた)状態となってから、クレーン20による移動が開始される。
【0056】
保持装置10は、クレーン20によって釈放地点の上方まで到達すると、釈放地点までの下降移動が釈放地点から所定の高さ上方の位置で一旦停止される。ここで、所定の高さとは、吸着された鋼管Sの下方に保持部12が移動可能な空間が確保される程度の高さである。
【0057】
スプロケット13bが回転を開始して、チェーン120を図9の保持位置から図7(a)の待避位置まで送出す。なお、スプロケット13a、13bを逆回転させることにより、図7(a)〜図7(d)及び図9の工程とは逆の工程で待避位置まで戻すようにしてもよい。
【0058】
チェーン120が待避位置に到達すると、クレーン20による保持装置10の下降が再開される。鋼管Sが釈放地点まで下降されると、通電によって永久磁石の磁束がキャンセルされ、鋼管Sが磁力吸着部11から釈放される(図4(b))。以上により、鋼管Sの搬送作業が完了する。
【0059】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、電磁石に吸着されて吊下げられた鋼材を下方から保持する保持部を備えているので、鋼材を機械的に保持することにより、鋼材に対する保持力が向上され、鋼材の安全・確実な搬送を可能にすることができる。例えば、港等で鋼材の搬送を行う場合には、吊下げられた鋼材が強風によって大きく揺れて作業場の梁等に強く接触し、衝撃によって鋼材が落下することも十分懸念される。本実施例によれば、保持部が鋼材の外周を囲って把持するように鋼材が保持されているので、強い衝撃が加わる等により鋼材が電
磁石から剥がれようとするのを抑制することができる。また、電磁石の吸着状態が何らかの理由で消失したような場合でも、鋼材の保持状態の維持を図ることができる。
【0060】
また、鋼材を下方からも支える構成となるので、安全性が向上し、他の作業場が直ぐ近くに隣接するような現場であっても安心して本発明を適用することができる。
【0061】
また、保持部を保持位置と待避位置との間で移動させる駆動部を備えているので、従来のような玉掛け作業が不要であり、また、電磁石、駆動部、クレーンの各操作をクレーンに設けられた操作部で一括して行うことができるので、全ての搬送作業を一人の作業者で行うことが可能となる。したがって、作業人員を減らして作業コスト、特に人的コストの大幅な低減を図ることができる。
【0062】
また、保持部が、規制部によって全体形状が円弧形状に形成された有端状のチェーンにより構成され、かかるチェーンが鋼材の外周を取り囲む環状の軌道上をスプロケットによって移動する構成となっている。これにより、保持部のスムーズな移動が可能になるとともに、チェーンが鋼材の下方外周を取り囲むようにして下方から保持するので、高い保持力を発揮することができる。
【0063】
また、保持位置に移動したチェーンの先頭側部分を巻取る巻取りスプロケットの回転速度を、チェーンの後尾側部分を送出す送出しスプロケットの回転速度よりも速くすることにより、チェーンを鋼材の外周に巻付くように変形させることができる。これにより、保持力の向上を図ることができる。
【0064】
なお、保持部の構成としては、上記チェーンに限られるものではなく、フックや手錠のようなアーム型の構成であってもよい。しかし、保持部が鋼材外周を取り囲む動作に必要なスペース(上記所定の高さ)が小さく済む点においてチェーン型が有利である。また、鋼材の外形形状に合わせて変形させ易い点もチェーン型の利点である。
【0065】
すなわち、本実施例によれば、安全性の向上を図り、かつ作業コストの低減を図ることができる。
【0066】
(実施例2)
図10及び図11を参照して、本発明の実施例2に係る保持装置及び搬送装置について説明する。図10は、本実施例に係る保持装置の保持部の構成及び動作を説明する模式図であり、(a)は保持部が待避位置にあるときの様子、(b)は保持部が保持状態になったときの様子をそれぞれ示している。図11は、本実施例に係る保持装置の駆動部の構成を説明する模式的透視図であり、図10(a)のB矢視図に対応している。
【0067】
本実施例は、保持部の構成が実施例1と異なるのみで、保持装置及び搬送装置の他の構成については実施例1と同様である。以下、異なる点のみ説明し、他の同様の構成については、実施例1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
図10に示すように、本実施例に係る保持装置10´の保持部12´は、概略、鋼管Sの外周を囲むように延びる1対の保持アーム31、32により鋼管Sを把持するように保持する構成となっている。一対の保持アーム31、32は、磁力吸着部11を中心に回転可能に構成されており、鋼管Sを磁力吸着部11によって吸着する際には、先端側が磁力吸着部11よりも上方となる待避位置にある(図10(a))。そして、磁力吸着部11に吸着された鋼管Sを保持する際には、鋼管Sを両側から挟み込むように回転し、先端側が鋼管Sの下方側を支えるように保持する状態となる(図10(b))。
【0069】
図11を参照して、本実施例に係る保持装置10´の保持部12´を駆動する駆動部の構成について説明する。なお、ここで説明する駆動部の構成は、あくまで一例であり、他の構成が排除されるものではない。
【0070】
図11に示すように、本実施例に係る駆動部は、ウォームギア33と、伝達ギア34とを備えている。1対の保持アーム31、32は、それぞれがさらに1対ずつ構成されており、それぞれ連結軸31a、32aによって連結されている。保持アーム32の連結軸32aは、筒状に構成された連結軸31aの内部を貫通するように組み付けられており、連結軸31a、32aは互いに同軸に回転可能に構成されている。ウォームギア33は、連結軸31aの外周に設けられたウォームホイール31bと噛み合い、連結軸31aを回転させるように構成されている。伝達ギア34は、保持アーム31の回転を保持アーム32に伝達するように構成されている。これら保持アーム31、32、ウォームギア33、伝達ギア34等は、磁力吸着部11とともに、フレーム17´に組み付けられている。
【0071】
ウォームギア33が不図示のモータ等により回転制御されると、ウォームホイール31bを介して連結軸31aが回転し、保持アーム31が回転する。保持アーム31の回転は伝達ギア34を介して保持アーム32に伝達され、保持アーム32が保持アーム31とは逆方向に回転する。これにより、図7に示す保持アーム31、32の回転動作が可能となっている。
【0072】
なお、保持部の構成としては、上記各構成に限定されるものではなく、従来から知られた種々の保持機構を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 搬送装置
10 保持装置
11 電磁石
12 保持部
13a、13b スプロケット
14a、14b モータ
15 ガイドローラ
16 チェーンガイド
17 フレーム
18 ケーブル
20 クレーン
21 フック
22 操作部
S 鋼管
W 作業者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、前記クレーンによる前記被搬送物の搬送を可能にする保持装置であって、
前記被搬送物を磁力により吸着可能な磁力吸着部と、
前記被搬送物において前記磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、
前記被搬送物を保持する保持位置と前記被搬送物の下方から退いた待避位置との間を前記保持部が移動できるように前記保持部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記被搬送物の外周を囲む環状の軌道上を移動可能に構成された有端状のチェーンを備え、
前記駆動部は、前記チェーンと噛み合い可能なスプロケットと、前記チェーンが前記軌道上を移動するように前記スプロケットを回転させるモータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記チェーンの全体形状を円弧状に維持すべく、前記チェーンの変形可能範囲を限定する規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記保持位置に移動した前記チェーンの先頭側の部分と噛み合う巻取りスプロケットと、後尾側の部分と噛み合う送出しスプロケットと、を備え、
前記巻取りスプロケットの巻取り速度は、前記送出しスプロケットの送出し速度よりも速いことを特徴とする請求項2または3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記磁力吸着部の両側から前記被搬送物の外周を囲むように延びる一対の保持アームであることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の保持装置と、
前記保持装置を吊上げるクレーンと、
前記保持装置の磁力吸着部及び駆動部の操作並びに前記クレーンの操作が可能な操作部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項1】
被搬送物を保持可能に構成され、クレーンで吊上げられることにより、前記クレーンによる前記被搬送物の搬送を可能にする保持装置であって、
前記被搬送物を磁力により吸着可能な磁力吸着部と、
前記被搬送物において前記磁力吸着部に吸着された部分を下方から保持する保持部と、
前記被搬送物を保持する保持位置と前記被搬送物の下方から退いた待避位置との間を前記保持部が移動できるように前記保持部を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記被搬送物の外周を囲む環状の軌道上を移動可能に構成された有端状のチェーンを備え、
前記駆動部は、前記チェーンと噛み合い可能なスプロケットと、前記チェーンが前記軌道上を移動するように前記スプロケットを回転させるモータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記チェーンの全体形状を円弧状に維持すべく、前記チェーンの変形可能範囲を限定する規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記保持位置に移動した前記チェーンの先頭側の部分と噛み合う巻取りスプロケットと、後尾側の部分と噛み合う送出しスプロケットと、を備え、
前記巻取りスプロケットの巻取り速度は、前記送出しスプロケットの送出し速度よりも速いことを特徴とする請求項2または3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記磁力吸着部の両側から前記被搬送物の外周を囲むように延びる一対の保持アームであることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の保持装置と、
前記保持装置を吊上げるクレーンと、
前記保持装置の磁力吸着部及び駆動部の操作並びに前記クレーンの操作が可能な操作部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−235228(P2010−235228A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83177(P2009−83177)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(597137682)トークシステム株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(597137682)トークシステム株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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