説明

保管装置

本発明は、座標位置決めマシンとともに使用するための測定プローブのための保管装置に関する。保管装置は、測定プローブのための少なくとも一のレセプタクルを有する保管ユニットと、少なくとも一のレセプタクルに配置された前記測定プローブの温度をコントロールするための少なくとも一の温源とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決めマシン、座標計測マシン等とともに使用するための、高い精度の測定に使用される走査工具、工具ビットなどの測定プローブのための保管装置、および、測定プローブの保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工具は、測定または対象物を加工するためなどの、多くの異なるアプリケーションのために、座標位置決めマシンにより使用されうる。例示の工具は、走査機器、プローブ、スティルスなどの計測機器、及び、ドリルの刃先やバリ取り工具などの工具ビットを含む。同じ座標位置決めマシンで使用するために複数の交換可能な工具を提供することにより、座標位置決めマシンが、測定および加工アプリケーションの種々のタイプに適するための複数の異なるタイプの作業のために使用され得ることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許4750835号明細書
【特許文献2】米国特許5270664号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、座標位置決めマシンに使用されていない工具を保管するためのラックを提供することも知られている。ラックは、座標位置決めマシンの作業エリア内に保管されうるので、座標位置決めマシンは、工具をラックから自動的にロードし、ラックへアンロードすることが可能である。
【0005】
測定プローブは、例えば光学式アナログ走査プローブにおけるレーザーなどの測定を実行するため、あるいは、例えば測定プローブに関するデータを格納するための構成部品などの電気構成部品を含んでいることが公知である。
【0006】
公知のラックは、多くのレセプタクルを含み、各々は、プローブ本体の側の対応するペアのコンタクトを介してレセプタクルに配置されたアナログ走査測定プローブ内のレーザーとの電気的接続を提供する1対の浮動ピンを有している。プローブ本体は、ペアのコンタクトとは別個の電気のコネクタのセットを有し、座標位置決めマシンにおいて使用される時にそれを通じて電力がプローブに供給される。この別個のセットは、測定プローブの異なる領域に設けられている。特に、別個のセットは、プローブ本体の側と対向するように、プローブ本体の接触面(すなわち、座標位置決めマシンのヘッドと係合する面)に設けられる。ラックは、プローブがレセプタクルに配置された際に、レーザーをオンに保つために、プローブ本体の側のペアのコンタクトを介して電力がプローブのレーザーに供給されうるように構成されている。このことは、プローブが座標位置決めマシンにロードされた際に、レーザーがウォームアップするための待機の必要性をなくす。ピンコネクタは、レセプタクルの背後に設けられる。ピンコネクタとプローブ本体側のペアのコンタクトとの間の接続は、レセプタクルにプローブを押し込むことにより形成される。ピンコネクタとプローブ本体側のコンタクトの接続は、ピンコネクタおよびレセプタクルからプローブを引き離すことによって絶たれる。
【0007】
しかしながら、工具がロードされる座標位置決めマシンの部分は、作業の間に暖められる可能性がある。このことは、工具の寸法形状変化を起こし得る、座標位置決めマシンにロードされた工具の温度の上昇を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、座標位置決めマシンと共に使用するための測定プローブのための保管装置であって、測定プローブのための少なくとも一のレセプタクルを有する保管ユニットと、測定プローブが少なくとも一のレセプタクルに配置された測定プローブの温度をコントロールするための少なくとも一の温源と、を有する保管装置が提供される。
【0009】
測定プローブの温度は、いったんそれが座標位置決めマシンにロードされると、測定プローブの温度の変化を減少させる、又は、取り除くように、温源を介してコントロールされ得る。このことは、使用される測定プローブの作動の効率と信頼性を増大できる。
【0010】
温源は、レセプタクルに配置された測定プローブの選択された部分をターゲットとするように構成できる。測定プローブの選択された部分だけをターゲットとすることにより、例えば、測定プローブの全体が均一に熱せられるか、または、冷却される保管装置と比べた際に、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度の改善されたコントロールが提供されうる。それが座標位置決めマシンに使用されている時に測定プローブがさらされる環境もまた改良され得る。
【0011】
当然ながら、レセプタクルは、保管のために測定プローブを受け入れることができる保管ユニットの一部分である。レセプタクルは、単一の測定プローブだけを受け入れるように構成され得る。レセプタクルは、レセプタクルに配置された測定プローブを支持できる構造により定義される。レセプタクルは、測定プローブの対応する係合構造との係合構造との係合のための構造を含んでいてもよい。例えば、レセプタクルは、測定プローブの対応した溝との係合のための少なくとも一の突起を含んでいてもよい。選択的には、レセプタクルは、測定プローブの対応する突起との係合のための少なくとも一の凹部を含んでいてもよい。
【0012】
当然ながら、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの選択された部分だけをターゲットとすることは、測定プローブの他の部分の温度が影響されないことを意味していない。むしろ、測定プローブの他の部分の温度は、温源により間接的に影響されるかもしれない。しかしながら、それらが温源によりターゲットとされないので、それらへの影響はより少ない。従って、このことは、測定プローブを横切る温度勾配を生じさせる。当然ながら、温度勾配の程度は、測定プローブの熱伝導率に依存する。
【0013】
好適には、保管装置は、測定プローブがレセプタクルに配置される際に、温源が、測定プローブの座標ポジションマシン接触部分の少なくとも一部をターゲットとするように構成されるように構成される。測定プローブの座標ポジションマシン接触部分は、使用の時に座標位置決めマシンのヘッドに係合するプローブの領域である。この領域は、一般的に、座標位置決めマシンのヘッドとの係合を容易にする構造を含む。当然ながら、ヘッドは、座標位置決めマシンの中空軸の一部であってもよい。
【0014】
好適には、保管装置は、温源は、レセプタクルに配置された測定プローブの第1の端部をターゲットとするように構成される。好適には、第1の端部は、座標位置決めマシンのヘッドと係合のための測定プローブの端部である。これはしばしば測定プローブの接触面と呼ばれる。好適には、温源は、その接触面に関して測定プローブの温度を実質的に均一に調整するように構成される。
【0015】
少なくとも一の温源の少なくとも一部は、レセプタクルに配置された測定プローブの選択された部分を越えて延在し得る。
【0016】
保管装置は、少なくとも一の温源を含んでいてもよい。当然ながら、複数のレセプタクルが存在する実施形態においては、複数のレセプタクルの少なくとも2つに配置された測定プローブの温度をコントロールするための単一の温源を提供できる。選択的には、複数の温源が提供できる。例えば、1つのレセプタクルあたり少なくとも1つの温源を提供することができる。従って、少なくとも一のレセプタクルは少なくとも一の温源を含んでいてもよい。
【0017】
好適には、温源の少なくとも一部は、レセプタクルに対して変位可能である。このことは、レセプタクルにおける測定プローブの保管および取り外しの少なくとも一の動作の間、例えば座標位置決めマシンにより、アクセスされる必要がある測定プローブの領域内に温源が位置決めされることを可能にする。
【0018】
好適には、温源の少なくとも一部は、温源がレセプタクルに配置された測定プローブの選択された部分を越えて延在する閉じられた位置と、選択された部分が露出される開放位置との間で、レセプタクルに対して変位可能である。これは、選択された部分が、例えば、保管装置内の測定プローブの自動的な保管及び取り出しのための座標位置決めマシンのヘッドにより、アクセスされることを可能にする。
【0019】
好適には、温源は、少なくとも一の温度要素および少なくとも一の温度伝導アームを含む。好適には、アームは、レセプタクルに対して変位可能である。選択的には、少なくとも一の温度要素はアームに対して固定される。温源はアームに設置し得る。温源は、温源がレセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度に直接影響するように、アームに設置し得る。
【0020】
アームは、レセプタクルに対して旋回できるようにヒンジ結合され得る。選択的には、アームがレセプタクルに対してスライドし得るように、スライド可能にアームは設置され得る。
【0021】
少なくとも一の温度要素は、少なくとも一のアーム温度要素に対して、アームが変位可能であるように別個に設けることができる。このケースにおいて、好適には、少なくとも一の加熱要素は、レセプタクルに対してそれが固定されるように保管ユニットに設置される。この構成により、少なくとも一の温度要素とのフレキシブルな電気的接続を提供する必要が避けられる。そのような電気的接続は、少なくとも一の温度要素と温度制御装置の間にあってもよい(以下で詳細に説明される)。
【0022】
好適には、保管装置は、温源を調整するための温度制御装置をさらに含む。しかし、当然ながら、温度制御装置は、保管装置と別々に設けることができる。例えば、温度制御装置は、保管装置とは別個で温源と接続されたコンピュータまたは他の処理機器であってもよい。このケースにおいては、保管装置は、温源を温度制御装置と接続するためのコネクタを含んでいてもよい。温源は冷却機器であってもよい。従って、温源は、レセプタクルに配置された測定プローブを冷却するように構成できる。当然ながら、適当な冷却機器として、レセプタクルに配置された測定プローブから熱を取り除くために動作可能な機器であればよい。例えば、温源はペルチェ素子を含んでいてもよい。
【0023】
温源は熱源であってもよい。従って、熱源は、レセプタクルに配置された測定プローブを加熱するように構成できる。従って、少なくとも熱源の一部は、レセプタクルに配置された測定プローブの接触面を越えて延在するように構成できる。当然ながら、本発明と共に使用するための多くの適当な熱源がある。好適には、熱源は抵抗器を含む。好適には、熱源は、複数の抵抗器の配列を含む。
【0024】
保管装置は、測定プローブを保管するのに適当である。従って、好適には、保管装置は、実質的に乾燥している保管を提供する。本発明の保管装置に保管するのに適当な測定プローブは、接触プローブ、無接触プローブ、アナログプローブ、および、タッチトリガープローブを含む。ラックは、また、プローブ本体での使用のためにスティルスなどの他のタイプの計測機器を保管するために使用できる。当然のことながら、保管装置として、また、他のタイプの装置と工具を保管するために使用できる。例えば、保管装置は、ドリルビットなどの、対象物を加工するためのビットを保管するために使用できる。
【0025】
温源は、測定プローブが所定の温度に維持できるように構成される。所定の温度は、測定プローブの作動温度であってもよい。いったんそれが座標位置決めマシンにロードされると、作動温度は、測定プローブが達する安定温度である。従って、作動温度は、周囲温度、測定プローブがロードされる座標位置決めマシンのヘッドの温度、および/または、測定プローブ自身内のいずれの電気構成部品の温度によっても影響されるかもしれない。作動温度で測定プローブを維持することは有利である。測定プローブが座標位置決めマシンにロードされると、測定プローブの温度に変化が実質的に全然ないことを保証し、それゆえ、測定プローブが使用される動作の効率と精度をさらに高めることに役立つからである。当然ながら、作動温度が周囲温度などの外部のファクターにより影響されるかもしれないので、必ずしも、作動温度が、安定温度である必要はない。しかしながら、このケースにおいて、作動温度は、外部のファクター、例えば、周囲温度をモニターすることにより決定できる。
【0026】
温源は、レセプタクルに配置された測定プローブの温度を直接コントロールするように構成できる。例えば、温源が熱源である実施形態において、熱源は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブを直接加熱するように構成できる。例えば、熱源は、熱を放つように制御可能な少なくとも一の加熱要素であってもよい。例えば、加熱要素は、電流の通路でそれを通して熱を放つように構成された抵抗器であってもよい。選択的には、熱源は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブにレーザーを向けるように構成された少なくとも一のレーザーソースであってもよい。
【0027】
選択的には、温源は、レセプタクルに配置された測定プローブの温度を間接的にコントロールするように構成できる。例えば、温源は、温度要素と温度要素からレセプタクルに配置された測定プローブに温度を伝える伝導体を備えることができる。例えば、温源が熱源である実施形態において、熱源は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブを間接的に加熱するように構成できる。熱源は、熱を、加熱要素から、レセプタクルに受け入れられた測定プローブに移すための加熱要素と熱伝達部材を含んでいてもよい。熱源は熱伝達部材と直接的に熱的に接触することができる。選択的には、熱源は熱伝達部材から間隔をおいて配置され得る。熱伝達部材は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの少なくとも一部との直接的に熱的に接触するように構成できる。選択的には、熱伝達部材は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブから間隔をおいて配置されるように構成できる。従って、熱源と測定プローブから熱伝達部材への、および、熱伝達部材から熱源と測定プローブへの、熱の移動が、対流または伝導によりそれぞれなされる。
【0028】
選択的には、保管装置は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブにおいて温度制御装置を電気構成部品と電気的接続するための少なくとも一の電気のコネクタを含む。選択的には、電気構成部品は熱源である。これは、測定プローブに対して内部および外部の温源を介してレセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度を可能にする。
【0029】
温度制御装置は、電力を温源に供給するように構成された電源であってもよい。例えば、電源は、メイン電源などの外部のソースから電流を受け入れるように構成された電気の入力であってもよい。好適には、電源は、温源を作動させるために、温源に、所定の電流供給がされるように調節するように構成される。
【0030】
温度制御装置は、それが温源の温度をコントロールできるように構成できる。温度制御装置は、周囲温度に対して一定の温度差にコントロールされるように温源をコントロールするように構成できる。例えば、温度制御装置は、周囲温度より高い又は低い一定の温度にコントロールされるように、温源をコントロールするように構成できる。
【0031】
好適には、温度制御装置は、温源の温度をコントロールするために、入力に応答するように構成される。測定プローブが維持される必要がある温度が変わるかもしれない時には、これは特に有利である。保管装置は入力メカニズムを含んでいてもよい。入力メカニズムは、ユーザーが温源の温度をコントロールすることを可能にするユーザー入力メカニズムを含んでいてもよい。ユーザー入力メカニズムは、ユーザーが温源の温度を選ぶことを可能にするスイッチであってもよい。スイッチは、温源に供給された電力の量をコントロールできる。
【0032】
入力メカニズムはセンサーを含んでいてもよい。センサーは温度センサーであってもよい。温度センサーは、周囲温度を検出するように構成できる。温度センサーは、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度を検出するように構成できる。温度センサーは、保管装置の一部の温度を検出するように構成できる。センサーは、少なくとも一のレセプタクルの温度を検出するように構成できる。センサーは、温度伝導体の温度を検出するように構成できる。センサーは、温度伝導アームの温度を検出するように構成できる。入力メカニズムは、上記された入力メカニズムの1つ以上のどのような組み合わせからでも構成可能である。温度制御装置は、上記の入力メカニズムの1つ以上の入力に基づいて温源の温度をコントロールするように構成できる。
【0033】
好適には、温度制御装置は、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの作動温度を示している信号を受けるように構成される。好適には、温度制御装置は、作動温度で測定プローブの温度を維持するために温源をコントロールするように構成される。これは、レセプタクルに受け入れられた個々の測定プローブの作動温度が学習されることを可能にするので、有利である。
【0034】
信号は、保管装置に保管される測定プローブがロードされる座標位置決めマシンから受信され得る。選択的には、保管装置は温度センサーを含んでいてもよい。例えば、保管ユニットは温度センサーを含んでいてもよい。従って、温度制御装置は、保管ユニットに配置された温度センサーから、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの作動温度を示す信号を受信するように構成できる。好適には、温度制御装置は、測定プローブに配置された温度センサーから、測定プローブの作動温度を示す信号を受けるように構成される。これは、保管ユニットにそれが受け入れられるとすぐに、作動温度が温度制御装置に信号で伝えられるので、有利である。
【0035】
温度制御装置は、周囲温度を示す信号を受けるように構成できる。選択的には、温度制御装置は、熱源の温度をコントロールする際に測定プローブが少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた際に、現在の周囲温度と測定プローブの作動温度を考慮するように構成される。周囲温度の変化は、次に座標位置決めマシンに測定プローブがロードされた際に、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた測定プローブの作動温度の変動を引き起こすかもしれない。従って、温度制御装置は、周囲温度のどのような変化でも補償するように、温源をコントロールできる。
【0036】
温度制御装置は、レセプタクル内に受け入れられた測定プローブの温度を示している温度センサーから信号を受けるように構成できる。温度センサーは保管装置によって提供されうる。温度センサーは、保管ユニットによって提供されうる。温度センサーはレセプタクルによって提供されうる。温度センサーは、測定プローブ自体によって提供されうる。温度センサーは、測定プローブの作動温度を示す温度センサーと同様のセンサーであってもよい。温度制御装置は、温度センサーからの信号を使用して熱源をサーボ制御するように構成できる。温度制御装置は、温源をサーボ制御し、温度センサーが、作動温度と違う温度を検出するように構成できる。これは、温度センサーの出力が測定プローブの温度を正確に表さない状況において有利でありうる。例えば、これは、温源が測定プローブの温度を均等にはコントロールしないように構成されているケースでありうる。
【0037】
保管装置は、レセプタクルにおいていつ測定プローブが受け入れられたかを検出するための機器を含んでいてもよい。温度制御装置は、レセプタクルに測定プローブが受け入れられる時にだけ、温源を作動させるように構成できる。
【0038】
いくつかの測定プローブは、座標位置決めマシンにロードされた際に、座標位置決めマシンにより作動される電子部品を有する。好適には、保管ユニットは、レセプタクル内に受け入れられた測定プローブ内の少なくとも一の電気構成部品に電力を供給するための少なくとも一の電気コネクタを含む。これは、測定プローブの電気構成部品がレディモードに維持されることを可能にし、その結果、座標位置決めマシンに測定プローブがロードされるとすぐにそれらは作動の準備ができている。
【0039】
そのような測定プローブは、一般的には、座標位置決めマシンの電源から電力を電子部品に供給するために、座標位置決めマシンの対応する電力供給コネクタと接続する少なくとも一の電力供給コネクタを有する。そのような測定プローブは、測定プローブと座標位置決めマシンとの間でデータを送るために、座標位置決めマシンの対応する電子データコネクタと接続する電子データコネクタも備えることができる。好適には、保管ユニットのコネクタは、測定プローブの少なくとも一の座標位置決めマシン電源コネクタと接続するように構成される。このことは、座標位置決めマシンと保管ユニットとから電力を受けるために測定プローブに種々のコネクタを設けることを不要とするので、有利である。保管ユニットがアームを含む時には、好適には、保管ユニットのコネクタはアームに設けられる。
【0040】
好適には、保管ユニットは、それぞれが測定プローブを受け入れるための、複数のレセプタクルを含む。好適には、温度制御装置は、複数のレセプタクルのそれぞれに受け入れられた測定プローブの温度を維持するために、少なくとも一の熱源をコントロールするように構成される。さらに好ましくは、温度制御装置は、複数のレセプタクルのそれぞれに受け入れられた測定プローブの温度を維持するために複数の熱源をコントロールするように構成される。例えば、保管装置は、個々のレセプタクルと結び付けられた熱源を備えてもよく、温度制御装置は、個々の熱源を独立にコントロールするように構成できる。
【0041】
保管装置は、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた測定プローブの接触面の少なくとも一部を越えて延在するように構成された少なくとも一のアームを含んでいてもよい。
【0042】
好適には、アームは、好適には、レセプタクルに配置された測定プローブの接触面の少なくとも50%、さらに好ましくは、少なくとも75%、特に好ましくは、100%をカバーするように構成される。好適には、アームは、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた測定プローブの全体の接触面上で延在するように構成される。これらのケースにおいて、アームは、保護カバーとして作用するかもしれない。測定プローブの接触面は、座標位置決めマシンとの係合のための面である。選択的には、アームは、測定プローブを別の電気機器と電気的接続するための少なくとも一の電気コネクタを保持することができる。
【0043】
温源はアームに設置できる。温源は、温源がレセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度に直接影響するように、アームに設置できる。選択的には、アームは温度伝導体である。このケースにおいて、少なくとも一の温源は、少なくとも一の温源がレセプタクルに受け入れられた測定プローブを間接的に加熱するように、アームに設置できる。
【0044】
例えば、アームに加熱要素が設置できる。少なくとも一の加熱要素は、少なくとも一の加熱要素がレセプタクルに受け入れられた測定プローブを直接加熱するように、アームに設置できる。選択的には、アームは熱伝達プレートである。このケースにおいて、少なくとも一の加熱要素は、少なくとも一の加熱要素がレセプタクルに受け入れられた測定プローブを間接的に加熱するように、アームに設置できる。
【0045】
好適には、アームは、レセプタクルに受け入れられた測定プローブの接触面を露出させることができるように、レセプタクルに対して変位可能である。これは、測定プローブの変更の間に、レセプタクルへの容易なアクセスを可能にするので、有利である。このケースにおいて、好適には、少なくとも一の加熱要素は、レセプタクルに対して固定されるにように、保管ユニットに設置される。従って、好適には、アームは、少なくとも一の加熱要素に対して変位可能である。この構成により、少なくとも一の加熱要素と温度制御装置との間にフレキシブルな電気的接続を提供する必要がなくなる。
【0046】
従って、本出願は、座標位置決めマシンと共に使用のための工具のための保管装置を記述し、この装置は、工具のための少なくとも一のレセプタクルを有する保管ユニットと、レセプタクルに配置された工具の温度を実質的に所定の温度に維持するように、熱源をコントロールするように構成された温度制御装置と、を備える。所定の温度は、工具の作動温度であってもよい。
【0047】
保管ユニットは、温度制御装置により制御可能な熱源を含む。熱源は、熱を、加熱要素から、レセプタクルに受け入れられた工具に移すための、加熱要素と熱伝達部材とを含んでいてもよい。熱伝達部材は、工具がレセプタクルに受け入れられた時、座標位置決めマシンと接触するための計測機器の接触面の少なくとも一部上を延在するように構成されるアームを含んでいてもよい。アームは、レセプタクルに受け入れられた工具の接触面を露出させることができるように、レセプタクルに対して変位可能であってもよい。加熱要素は、アームおよび加熱要素が互いに対して固定されるように、アームの一部として提供できる。加熱要素は、別個のピースとして、加熱要素に対して、アームが変位可能なように、アームに設けることが可能である。
【0048】
本発明の第2の形態によれば、座標位置決めマシンと共に使用するための測定プローブのための保管装置を含むキットが提供され、保管装置は、測定プローブのための少なくとも一のレセプタクルおよび少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた測定プローブの温度をコントロールするための少なくとも一の温源を有する保管ユニットを有し、キットは、少なくとも一のレセプタクルを配置するための測定プローブをさらに含んでいる。
【0049】
当然ながら、測定プローブの参照は、接触プローブと非接触プローブを含む加工物の寸法を測定するためのプローブを含む。接触プローブは、通常、プローブ本体に取り付けられたスティルスを含む。スティルスは、通常、加工物に接触するための先端を含む。接触プローブは、剛性のあるスティルスプローブと、スティルス変形プローブを含む。スティルス変形プローブは、加工物に対して動かされる時に、スティルスの変形を検出することにより作動する。スティルスの変形を検出するための部品は、一般に、プローブ本体内に収納される。
【0050】
無接触プローブにより加工物に接触せずに加工物の寸法は測定できる。無接触プローブは、特許文献1と特許文献2に開示されたような、光学式プローブ、静電容量式プローブ、および、誘導式プローブを含み、これらの参照により、その内容が本明細書に組み入れられる。無接触プローブのセンサーは、一般に、プローブ本体内に収容されている。
【0051】
測定プローブは、ある範囲の値が測定できる(例えば、接触プローブのスティルスの変形の範囲)アナログプローブ、あるいは、2つの状態の1つのみを決定できる(例えば、接触プローブのスティルスが変形しているまたはしていないか)デュアルステートプローブ(一般的に、タッチトリガープローブとも呼ばれる)として分類できる。本出願において測定プローブの参照は、これらのタイプの測定プローブの両方の参照を含むことを意図している。
【0052】
当然ながら、本発明の第1の形態と関連する上記した特徴は、本発明の第2の形態とともに使用するのに適している。
【0053】
本発明の第3の形態によれば座標位置決めマシンとともに使用するための測定プローブを、保管ユニット内に保管する方法が提供され、この方法は、測定プローブを温源を有する保管ユニットに配置すること、及び、温源を介して測定プローブの温度をコントロールすることを含む。
【0054】
本方法は、測定プローブの温度を実質的に所定の温度に維持することを含む。所定の温度は、測定プローブの作動温度であってもよい。
【0055】
本方法は、周囲温度よりも高い一定の量で熱源を維持することを含んでいてもよい。選択的には、本方法は、測定プローブの作動温度を決定することを含む。本方法は、測定プローブの温度を実質的に測定プローブの作動温度に維持することを含んでいてもよい。選択的には、本方法は、周囲温度を決定することを含む。選択的には、本方法は、工具を作動温度および周囲温度に維持する温度を基準にすることを含む。当然ながら、本発明の第1および第2の形態に関係する上記した特徴は、本発明の第3の形態に組み込むのに適している。
【0056】
本発明の第4の形態によれば、座標位置決めマシンと共に使用するための工具のための保管機構が提供され、これは、工具のための少なくとも一のレセプタクルを有する保管ユニットと、レセプタクルに受け入れられた工具の電気構成部品と、工具の少なくとも一の座標位置決めマシン電気コネクタを介して、電気的接続するための少なくとも一のコネクタとを備える。
【0057】
少なくとも一のコネクタは、保管ユニットのプロセッサと工具との間のデータを転送するために使用できる。選択的には、少なくとも一のコネクタは、電力を、工具の少なくとも一の座標位置決めマシン電源コネクタを介してレセプタクルに受け入れられた工具の電気構成部品に供給するのに適している。
【0058】
保管装置は、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた工具の接触面の少なくとも一部上を延在するように構成された少なくとも一のアームを含んでいてもよい。アームは、少なくとも一の電気のコネクタを保持することができる。好適には、アームは、少なくとも一のレセプタクルに受け入れられた工具の接触面全体上を延在する。工具の接触面は、座標位置決めマシンとの係合のための面である。アームは、接触面の少なくとも一部を保護するために、カバーとして使用できる。
【0059】
好適には、アームは、レセプタクルに受け入れられた工具の接触面を露出させることができるように、レセプタクルに対して変位可能である。これは、座標位置決めマシンのロードとアンロードの間に、レセプタクルへの容易なアクセスを可能にするので、有利である。
【0060】
好適には、少なくとも一の電気のコネクタは、少なくとも一の電気コネクタがアームに対して移動できるように、フレキシブルなマウントを介してアームに設置される。これは、保管ユニットの少なくとも一の電気コネクタと工具の電気コネクタとの間の接触を改善できる。
【0061】
本発明の第5の形態によれば、座標位置決めマシンと共に使用するための工具が提供され、これは、工具の温度を工具の作動温度に維持するように作動可能な熱源を含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明の実施形態は、例示により、および、以下の図面を参照してここで説明される。
【図1】座標計測マシンと共に使用するために配置された本発明に係る保管装置を示す図である。
【図2】本発明に係る保管装置の第1の実施形態の斜視図である。
【図3】図2に示された保管装置のレセプタクルハウジングの平面図である。
【図4】図2および図3において示されたレセプタクルとレセプタクルハウジングの断面図である。
【図5】本発明に係る保管装置の第2の実施形態の斜視図である。
【図6】図5に示された保管装置のレセプタクルハウジングの下面図である。
【図7】図6に示されたレセプタクルハウジングの断面図である。
【図8】図5ないし図7に示された保管装置の温度制御装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1を参照すると、本発明に係る保管装置4が配置される座標計測マシン(CMM)2が示される。CMM2は参考情報だけの目的で記述される。当然ながら、CMM2は本発明の一部を構成しない。
【0064】
CMM2は、ベース5を含み、これは中空軸8を保持するフレーム6を支持する。モーター(図示しない)は、3つの相互に直角な軸線X、Y、Zに沿って中空軸8を動かすために設けられている。中空軸8は、アーティキュレーティングヘッド10を保持する。ヘッド10は、中空軸8に装着されたベース部分12、中間部分14と保持部分16を有する。ベース部分12は、第1の回転軸線18に回りに中間部分14を回転させるための第1のモーター(図示しない)を含む。中間部分14は、第1の回転軸線に対して実質的に直角な、第2の回転軸線回りに保持部分を回転させるための第2のモーター(図示しない)を有する。図示しないけれども、ベアリングをアーティキュレーティングヘッドプローブの可動部品の間に設けてもよい。
【0065】
測定プローブ20は、プローブ保持部分に(例えば、運動学的マウントを用いて)取り外し可能に装着されている。測定プローブ20は、測定プローブ20および保持部分16上またはこれらの内部に設けられた対応する磁石(図示しない)を使用することにより、プローブ保持部分16により保持され得る。測定プローブ20は、スティルスを含むタッチトリガープローブまたはアナログプローブであってもよい。プローブは、光学式のセンサーを含んでもよい。代わりに、プローブは光学式のプローブなどの非接触プローブであってもよい。
【0066】
また、CMM2の作動をコントロールするためのマシンコントローラ22が提供される。マシンコントローラ22は、専用のエレクトロニクス制御系であってもよく、および/または、パーソナル・コンピュータを含んでいてもよい。ヘッド10は、測定プローブ20が、中空軸8に対して2自由度で移動させられることを可能にする。ヘッド10により提供された2自由度の組み合わせ、および、CMMの移動の3つのリニアな(X、Y、Z)軸線は、測定プローブ12が5つの軸線に関して動かされることを可能にする。これは、マシンのベース部分5に設けられた関連部品24のいわゆる「5軸」測定を許容する。
【0067】
保管装置4は、複数の異なるタイプの測定プローブ、スティルス、およびモジュール28を受け入れるための複数のレセプタクルを有する保管ユニット26を含む。
【0068】
CMM2の作動の間に、中空軸8およびヘッド10は、それら内部のモーターおよび電気構成部品が動作するので、温められ得る。本発明者らは、この温もりが、ヘッド10においてロードされた測定プローブ20に伝達されることを見出した。本発明者らは、測定プローブ20の温度の変化が座標測定精度および/または効率を重大に低下させることを見出した。
【0069】
図2ないし図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る保管装置4を示す。図2ないし図4に示された保管装置4は、特に、電気構成部品を含まない計測機器を保管するのに適している。保管装置4は、保管ユニット26と温度制御装置27を含む。ユニットがラック32に装着されたように示されるけれども、温度制御装置27は、保管ユニット26に別々に設けられる、または、例えば、レセプタクルハウジング34内に配置され得る。保管ユニット26は、CMM2のベース5に設置された直立したサポート30とレセプタクルハウジング34を支持するラック32とを含み、レセプタクルハウジング34は、測定プローブ、スティルス、モジュール、工具ビットなどの計測機器を受け入れるための複数のレセプタクル36a,36b,36cを有する。
【0070】
各レセプタクル36は、レセプタクルに受け入れられるべき、測定プローブ20などの計測機器の対応する溝との協働のための直接的に対向する第1および第2のリブ38、40を画定する第1および第2の側壁37,39を含む。第1のリブ38と第2のリブ40は、測定プローブをレセプタクル36にガイドするために提供される。第1のリブ38と第2の40のリブ、および、レセプタクルに受け入れられる機器における対応した溝は、測定プローブ20が1つの基準位置にだけ受け入れられるような形状及び寸法になっている。
【0071】
各レセプタクル36は、第1および第2の側壁37、39の間で延在する保護カバー42も含む。各保護カバー42は、(図2と図3において示されたレセプタクル36aおよび36bのためのカバーにより説明されるような)閉じられた位置にバイアスされているけれども、矢印Aにより示される方向にレセプタクルハウジング34の空所35内に押し込まれ得る。このことは、測定プローブ20が、測定プローブ20の上部面から測定プローブ20を保持しているヘッド10を介してレセプタクル36内にスライドすることを可能にする(図2と図3において示されたレセプタクル36cのためのカバーにより説明されるように)。
【0072】
図4を参照すると、レセプタクル36の1つの横断面図が示される。レセプタクル36は、PTFE含浸の熱可塑性樹脂などのプラスチック材料で形成された外側シェル44を備える保護カバー42と、アルミニウムなどの金属材料で形成された熱伝達プレート46とを含む。図示するように、レセプタクル36および保護カバー42は、測定プローブ20がレセプタクル36に受け入れられる際、測定プローブ20が熱伝達プレート46から間隔をおいて配置されるように構成される。
【0073】
保護カバー42は、それが、矢印Aで示す方向に、レール37に沿って、レセプタクルハウジング34内にスライドするように設置される。バイアスメカニズム(図示しない)は、図4に示された閉じられた位置に向けて保護カバー42をバイアスする。
【0074】
レセプタクル36は、例えば抵抗器である、加熱要素60の形態の熱源をさらに含み、これは、レセプタクルハウジング34に設置される。加熱要素60は、ワイヤ(図示しない)を介して温度制御装置27と電気的に接続される。加熱要素60と熱伝達プレート46は、加熱要素60が熱伝達プレート46を加熱するように構成される。熱伝達プレート46は、同様に、測定プローブ20の接触面47から下方に向けてレセプタクル36に受け入れられた測定プローブ20を加熱する。加熱要素60は、使用の間に、それが、保護カバー42の変位を妨げないように、熱伝達プレート46からわずかな距離だけ間隔をおいて配置される。
【0075】
図5ないし図7を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る保管装置104が示される。図5ないし図7に説明された保管装置104は、図2乃至図4において説明された保管装置4と同様であり、同様の部品は、同様の参照符号を使用する。図5乃至図7まで示された保管装置104は、特に、電気構成部品を含んでいる計測機器を保管するのに適している。
【0076】
保管装置104は、保管ユニット126と温度制御装置127とを含む。保管ユニット126は、CMM2のベース5に設置された直立したサポート30とレセプタクルハウジング134を支持しているラック32を含む。レセプタクルハウジング134は、測定プローブ、スティルス、モジュール、工具ビットなどの計測機器を受け入れるための単一のレセプタクル136を有する。
【0077】
レセプタクル136は、レセプタクル内に受け入れられるように、計測機器〈測定プローブ20などの〉の対応した溝で協力のための第1の138、および第2の140の直接的な反対リブを定義する第1の137および第2の139の側壁を含む。
【0078】
レセプタクル136は、第1および第2の側壁137、139の間で延在する保護カバー142も含む。保護カバー142は、閉じられた位置にばね143によりバイアスされているけれども、矢印Aにより示される方向にレセプタクルハウジング134の空所35内に押し込まれ得る。このことは、測定プローブ20が、測定プローブ20の接触面から測定プローブ20を保持しているヘッド10を介してレセプタクル136内にスライドすることを可能にする。
【0079】
図6と図7を参照すると、レセプタクル136は、保護カバー142を含む。保護カバー142は、剛性のあるPVCなどの材料で形成された外側シェル144、磁化されたステンレス鋼などの金属、磁気材料で形成された熱伝達プレート146、接触アセンブリ148、及び、第1および第2の加熱要素160a,160bを含む熱源を有する。
【0080】
熱伝達プレート146は、以下で詳細で説明されるように、測定プローブの20の接触面47で3つの対応する位置決め突起149と協働する3つの位置決め開口147を含む。
【0081】
接触アセンブリ148は、ワイヤ156を介して温度制御系127と電気的に接続される複数の電気コンタクト154を含む。電気コンタクト154とワイヤ156は、電気コンタクト154が、外側シェル144に対していくつかの自由度を持つように、フレキシブルな支持アーム158に設置される。電気コンタクト154は、レセプタクル136に受け入れられた測定プローブ20の対応する電気コンタクト155に接触するように設けられる。1つの好適な実施例において、電力は、電気のコンタクト154と155を介して測定プローブ20に含まれている電気構成部品(図示しない)に供給される。これは、測定プローブ20における電気構成部品が、CMM2による使用の準備状態であるレディモードに維持されることを可能にする。選択的には、電気コンタクト154と155は、データを測定プローブ20へ、および/または、測定プローブ20から伝達するために使用され得る。例えば、測定プローブ20は温度センサー180を含んでもよく、電気コンタクト154と155は、データを温度センサーから温度制御装置127に伝えるために使用できる。別の好適な実施例において、電気コンタクト154と155は、その作動温度で測定プローブ20の温度を維持するために、測定プローブ20において電力を熱源190に供給するために使用される。
【0082】
第1および第2の加熱要素160a、160bは、ワイヤ152を介して温度制御系127と電気的に接続される抵抗器である。加熱要素のためのワイヤ152は、フレキシブルな支持アーム158に設置される。当然のことながら、抵抗器の各々の好適な抵抗値は、装置が使用できるアプリケーション、および、装置が動作すべき必要な温度などの多くのファクターに依存する。第1および第2の加熱要素160a、160bは、熱伝達プレート146に設置される。従って、使用において、加熱要素は、レセプタクル136において受け入れられた測定プローブ20を直接加熱する。熱伝達プレート146は、また、第1および第2の加熱要素160a、160bからの熱により温もり、単に特定的なポイントではなく、レセプタクルに受け入れられた測定プローブ120をその全体のエリアにわたり均一に熱するのに役立つ。
【0083】
測定プローブ20は、レセプタクル136に測定プローブ20が受け入れられた際に、測定プローブ20が、熱伝達プレート146に、矢印Bにより示された方向に付勢されるように、その接触面47に配置された磁石(図示しない)を有する。測定プローブ20は、熱伝達プレート146から間隔をおいて配置されて示されるが、使用において、測定プローブ20は、保護カバー142に向けて磁気的に引き付けられ、その結果、位置決め突起149は、熱伝達プレート146の位置決め開口147に受け入れられる。このことは、熱伝達プレート146の電気コネクタ154、155と測定プローブ20が共通に位置決めされることを保証する。位置決め開口147と位置決め突起149は、位置決め開口147に位置決め突起149が受け入れられる時、測定プローブ20の接触面47が熱伝達プレート146からわずかな距離の間隔をおいて配置されるように構成される。
【0084】
保護カバー42は、矢印Aで示す方向に、レール(図示しない)に沿って、レセプタクルハウジング134内にスライドするように、設置される。ばね143は、ばね143が保護カバー142を閉じられた位置へ向けてバイアスするように、保護カバー142とレセプタクルハウジング134に固定される。加熱要素160a、160bのためのワイヤ152、156、および、電気コンタクト154が設置されるフレキシブルなアーム158は、保護カバー142がレセプタクルハウジング134に引き込まれるとその長さに沿って延びるように構成されている。このことは、フレキシブルなアーム158の破壊の防止、また、レセプタクルハウジング134内の保護カバー142のジャミングの防止にも役立つ。
【0085】
図8を参照すると、図5乃至図7に係る保管装置104のための温度制御装置127が示される。温度制御装置127は、メイン供給部64から電力を受ける電源ユニット(PSU)62、温度コントローラ66、および、プローブパワースイッチャー68を含む。
【0086】
温度コントローラ66は、加熱要素を加熱するためにアウトプットライン152の第1の加熱要素160aや第2の加熱要素160bなどの熱源に電力を出力するように構成される。温度コントローラ66は、入力ライン72の入力デバイス74から信号を受けることができ、この信号は、アウトプットライン52に沿って熱源にいくらの電力を出力するかを決めるために温度コントローラ66によって使用され得る。1つの好適な実施形態では、入力デバイス74は、いくらの電力を出力すべきかを選ぶために、ユーザーにより操作可能なスイッチである。他の実施形態では、入力デバイス74は、レセプタクル136に受け入れられた測定プローブ20の作動温度を示すレセプタクル136に設置された温度センサーであってもよい。従って、これらのケースにおいて、温度コントローラ66は、入力デバイス74からの入力に基づいて測定プローブ20の温度を維持するために、熱源にいくらの電力を提供すべきかを決めるように構成される。さらなる実施形態において、温度コントローラ66は、ライン156に沿って測定プローブからデータを受けることができるプローブ電源スイッチ68を介して測定プローブに配置された温度センサー180から、測定プローブ20の作動温度を示す信号を受けることができる。
【0087】
従って、当然のことながら、ユーザーの要求に応じて、温度コントローラ66は、測定プローブの温度を常温に維持するように構成され得る。このケースにおいて、温度コントローラ66は、例えば、周囲温度の変化を補償するように作用するように構成され得る。これは、周囲温度を測定するか、または、測定プローブ自身の温度を測定し、それに応じて加熱要素のアウトプットを変更することによりなされる。選択的には、温度コントローラ66は、測定プローブの温度を周囲温度に対してある差で維持する構成としうる。この差は、一定の差であるか、または、ユーザーの要求に応じて変化し得る。
【0088】
プローブパワースイッチャー68は、ワイヤ156を介して電気コネクタ154に接続され、電気コネクタ154が測定プローブ20のコネクタ155と接触したときを決定するように構成される。プローブパワースイッチャー68は、また、電気構成部品をレディモードの測定プローブ20に維持するために、電力を電気コネクタ154を介して測定プローブ20に供給するように構成され得る。
【0089】
プローブパワースイッチャー68とアウトプットライン156を含む必要がない以外、図2乃至図4に示されるような保管装置4のための温度コントローラ機器27は、図6において示されたものと同様である。また、当然のように、温度コントローラ66は、個々の熱源およびレセプタクル36a、36b、36cのそれぞれの電気コネクタと接続され、お互いに個々の熱源および個々のセットの電気コネクタを独立してコントロールすることができる。
【0090】
使用において、ヘッド10にロードされる測定プローブ20は、測定プローブ20の溝がレセプタクルのリブ138、140に係合するように、測定プローブ20を矢印A(図5を参照)により示された方向のレセプタクルの中へ移動することにより、レセプタクル、例えば図5乃至図7において説明されたレセプタクル136内に保管される。そうする際に、ヘッド10は、保護カバー142をレセプタクルハウジング134内に押しやる。ヘッド10と測定プローブ20は、対応する磁石を(図示しない)介して共に保持される。従って、ヘッド10を測定プローブ20から離すためには、磁石を離れさせるように、ヘッド10を測定プローブ20からヘッド10を引き離すために、CMM2が垂直に動く。その時、ヘッド10は、レセプタクル136から離れるように動かされ、その結果、保護カバー142は、ばね143のバイアスの下でその閉じられた位置に戻される。測定プローブ20の磁石(図示しない)は、磁気熱伝達プレート142に引き付けられ、その結果、測定プローブ20は熱伝達プレート142と接触するように上方に引かれ、それにより、上記したように、接触アセンブリ148の電気コネクタ154と測定プローブの電気コネクタ155との間の電気的接触を形成する。
【0091】
プローブパワースイッチャー68は、対応する電気のコネクタ154、155の間の接触の確立を検出し、測定プローブ20内の電気構成部品に電力を提供する。その間、温度コントローラ66は、電力を、測定プローブ20を加熱するために、第1の加熱要素160aおよび第2の加熱要素160bに供給し、それにより、測定プローブ20を所定温度に維持する。上述したように、所定温度は常温であってもよい。選択的には、所定温度は、例えば周囲温度に対して所定の温度差をもつ、所定の変動する温度であってもよい。
【0092】
測定プローブ20がCMM2での使用のためのヘッド10にロードされる必要がある時には、ヘッド10は、保護カバー142をレセプタクルハウジング134内にスライドさせるように、保護カバー142内に移動する。そうする際に、これが接触アセンブリ148の電気コネクタ154と測定プローブ20の電気コネクタとの間の電気的接触を断ち、測定プローブ20の磁石も磁気熱伝達プレート146から離す。従って、測定プローブ20は、レセプタクルのリブ138及び140と測定プローブ20の対応する溝との間の係合によってレセプタクルに保持される。いったんヘッド10の磁石および測定プローブ20の対応する磁石が、位置合わせされると、ヘッド10は測定プローブ20をピックアップして、レセプタクルから測定プローブ20をスライドさせる。
【0093】
測定プローブ20が保管装置104によりその作動温度に保持されているので、測定プローブ20がその作動温度まで温もることを待つ必要がない。従って、測定プローブ20は、測定作業において直ちに使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置決めマシンと共に使用する測定プローブのための保管装置であって、
測定プローブのための少なくとも一のレセプタクルを有する保管ユニットと、
測定プローブが少なくとも一のレセプタクルに配置される際に、測定プローブの温度をコントロールするための少なくとも一の温源と、
を有する保管装置。
【請求項2】
前記温源は、前記レセプタクルに配置された測定プローブの選択された部分をターゲットとするように構成される、請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記レセプタクルに配置された前記測定プローブの第1の端部をターゲットとするように前記温源が構成される請求項2に記載の保管装置。
【請求項4】
前記温源の少なくとも一部は、前記レセプタクルに対して変位可能である、請求項1乃至3のいずれかに記載の保管装置。
【請求項5】
前記温源の少なくとも一部は、前記温源が前記レセプタクル内に配置された測定プローブの選択された部分を越えて延在する閉じられた位置と、前記レセプタクル内に配置された前記測定プローブの前記選択された部分が露出される開放位置との間で、前記レセプタクルに対して変位可能である、請求項4に記載の保管装置。
【請求項6】
前記温源は、少なくとも一の温度要素、および、少なくとも一の温度伝導アームを有し、前記少なくとも一の温度伝導アームは、前記レセプタクルに対して変位可能である、請求項1ないし5のいずれかに記載の保管装置。
【請求項7】
前記少なくとも一の温度要素は、前記アームが前記温度要素に対して変位可能であるように、前記少なくとも一のアームと分離して提供される、請求項6に記載の保管装置。
【請求項8】
前記少なくとも一の温度要素は、前記アームに対して固定される、請求項6に記載の保管装置。
【請求項9】
前記温源をコントロールするように構成された温度制御装置さらに含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の保管装置。
【請求項10】
前記温度制御装置は、前記レセプタクルに配置された前記測定プローブの温度を実質的に所定温度に維持するように前記温度をコントロールするように構成される請求項9に記載の保管装置。
【請求項11】
前記所定温度は、前記測定プローブの作動温度である請求項10に記載の保管装置。
【請求項12】
前記温度制御装置は、前記レセプタクルに配置された前記測定プローブの作動温度を示している信号を温度センサーから受けるように構成され、かつ、測定プローブの温度を前記作動温度に維持するために前記温源をコントロールするように構成される請求項11に記載の保管装置。
【請求項13】
前記温度制御装置は、前記保管装置に配置された前記温度センサーから、前記レセプタクルに配置された前記測定プローブの前記作動温度を示している信号を受けるように構成される請求項12に記載の保管装置。
【請求項14】
前記温度制御装置は、前記測定プローブに配置された前記温度センサーから、前記測定プローブの前記作動温度を示している信号を受けるように構成される請求項12に記載の保管装置。
【請求項15】
前記保管ユニットは、前記レセプタクル内に配置された前記測定プローブにおいて電力を少なくとも一の電気構成部品に供給するための少なくとも一の電気コネクタを含む、請求項1ないし14のいずれかに記載の保管装置。
【請求項16】
前記少なくとも一の電気コネクタは、前記測定プローブの少なくとも一の座標位置決めマシン電力供給コネクタと接続するように構成される請求項15に記載の保管装置。
【請求項17】
前記温源は、熱源を含む、請求項1ないし16のいずれかに記載の保管装置。
【請求項18】
前記加熱要素は、抵抗器である請求項17に記載の保管装置。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の保管装置と、
前記少なくとも一のレセプタクルに割り当てられた測定プローブを含むキット。
【請求項20】
保管ユニット内において座標位置決めマシンと共に使用するための測定プローブを保管する方法であって、
前記測定プローブを前記保管ユニット内に配置すること、および、
前記温源を介して前記測定プローブの温度をコントロールすること、
を含む方法。
【請求項21】
前記測定プローブの温度を実質的に所定温度に維持することを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記所定温度は、前記測定プローブの作動温度である請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−526990(P2010−526990A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504844(P2010−504844)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001509
【国際公開番号】WO2008/132484
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】