説明

保護コーティング及びそれを製造する方法

【課題】保護コーティング及びそれを製造する方法の提供
【解決手段】本発明は、機械的に安定な、特に鉱物及び/又は金属基材に対する保護コーティングであって、ベース(1)に実質的に均一分布される無機ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)を含む保護コーティングに関する。2mm以下、好ましくは0.3mm以下の厚さを有するガラスフィルム材(3A,3B)から作られたコーティングは、ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)に対して、その硬化前に塗布され、該コーティングが該ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)を被覆する。保護コーティングを製造する方法によると、まず、無機ポリシリケート系の粘着接着剤及びガラスフィルム材が用意され、その後粘着接着剤が、被覆される基材に、及び/又はガラスフィルム材の一側面に塗布され、そして、ガラスフィルム材がポリシリケート系の粘着接着剤を覆うように、ポリシリケート系の粘着接着剤の硬化前に、ガラスフィルム材が被覆される基材に貼り付けられる。その後、粘着接着剤層が硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的に安定な特に鉱物及び/又は金属基材に対する保護コーティング、並びに、そのようなコーティングを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の表面、特に、下水設備の壁、天井及び床部分におけるコンクリート表面、或いは、鋼コンクリート成分の表面に酸及びアルカリに対する耐性を改良し及び高い機械的強度を有するコーティングを設けることが従来技術より既知である。そのようなコーティングに使用される建築用混合物は例えば、アルカリシリケート系結合剤成分並びに、粉末成分であって、重要な成分として潜在的な水硬性物質及び二酸化ケイ素を含む粉末成分、から製造される。
プラスチック接着剤又はプラスチックで変性したセメント接着剤を用いて、ガラスの予備形成した、厚い及び堅い要素をコンクリート表面に対して固定することがまた従来において既知である。この手法においてライニングされたコンクリート表面は、タイルによりライニングされた表面が有するのと同様に、接合部を有し、そのため、そのような建築材料のコーティングの耐性及び耐水性は第一に接合部の特性により決定付けられる。さらに、接着剤により基材に固定されたガラス要素の接着は、ガラスと接着剤との間、及び接着剤と基材との間に化学結合が形成されていないため、ガラス/接着剤/基材の間の接着剤による結合が、接着力のみによって決定されるため、一部において十分ではない。最後的に、プラスチック接着剤又はプラスチックで変性した接着剤の使用は、水分4%以下の基材の乾燥度を必要とする。これは頻繁に、非常に高費用でしか入手され得ない。
【発明の開示】
【0003】
それ故、本発明の課題は、機械的に安定な物質に対する建築材料用のコーティングであって、高い程度の化学的耐性、特に酸−及びアルカリ−耐性を有し、及び製造するのに容易であるコーティング、並びに該コーティングを製造する方法を提供することである。
この課題は、請求項1の特性を有する機械的に安定な、特に鉱物及び/又は金属基材保護コーティングを製造する方法、並びに、請求項19の特性を有する保護コーティングによる本発明に従い解決される。
本発明に従うと、無機ポリシリケート系の粘着接着剤、及び、2mmよりも薄い、好ましくは0.3mmよりも薄い厚さを有するガラスフィルム材が提供される。ポリシリケート系の粘着接着剤はその後、被覆される基材に、及び/又はガラスフィルム材の一面側に塗布される。ガラスフィルム材はその後、ポリシリケート系の粘着接着剤の硬化前であるが、ガラスフィルム材がポリシリケート系の粘着接着剤を覆うように、被覆される基材に貼り付けられ、そしてその後、ポリシリケート系の粘着接着剤が硬化され、ガラスフィルム材と被覆される基材とを結合させる。用語である鉱物基材とは本発明においては、コンクリート、レンガ積み、すべての型の鉱物建築材料、レンガ、ガラス等を含む、建築において一般的な基材として理解され、それにより、表面はまた、例えば鋼要素が表面の部分を構成する場合(例えば、鋼コンクリート材)に、部分的な金属の性質であり得る。用語である金属基材とは、本発明においては、特に、オキシド/ヒドロキシド層が金属上に形成することにより、ポリシリケート系の粘着接着剤が粘着により接着する、すなわち化学結合を形成する基材として理解される。
【0004】
本発明は、上記の厚さのガラスフィルムが可撓性であるか又は柔軟であるため、ライニングされた湾曲した基材でさえ可能となるという基本的な認識から開始する。さらには、そのような薄いガラスフィルムは、ポリシリケート系の粘着接着剤により被覆された基材に対して密接に適合するため、接触が、基材とポリシリケート系の粘着接着剤との間のみ
ならず、接着剤とガラス層との間にも生じる。重要なのはまた、ポリシリケート系の粘着接着剤が、鉱物基材とのみならず、ガラスライニングとも化学結合を形成するために、機械的に実質的に切り離され得ない“モノリシックシリケート結合系”が生じることである。基材、ポリシリケート系の粘着接着剤及びガラスからなるこの結合系はまた、有機系接着剤が使用されていないために高温耐性である。ガラスにより構成される表面は、ガラスにとって典型的である、化学物質、特に酸及びアルカリに対する高い耐性を与える。攻撃的な媒体に対する保護コーティングの密封性は、既知のコーティング系を用いて達成し得る程度を超えている。本コーティングの表面は、ガラス表面の利点すべてを有し;無菌であり且つ溶離しない。結合系はまた、金属基材(例えば鋼)に対して非常に強力な接着力を示すことがさらに測定された。鋼とガラス層との間の“接着促進剤”として作用するポリシリケート系の接着剤は付加的に、鋼に対して不動態化効果を与え、ガラスと鋼との間の応力を低下させる。保護コーティングはまた、修復するのが容易であり、その目的のため、その製造におけるものと同様の成分が使用される:表面を洗浄した後に、ポリシリケート系の粘着接着剤が、修復される表面に、及び/又は可撓性のガラスフィルム材の一側面に塗布され、そして可撓性ガラスフィルムはその後、適所に置かれる。
【0005】
ポリシリケート系の粘着接着剤は好ましくは、被覆される基材に、及び/又はガラスフィルム材の一側面に、均一な分布で塗布される。ポリシリケート系の粘着接着剤の塗布は、平行な帯状に又は点状又は帯状のマトリックスに行われ得る;特定の事情下、ガラスフィルム材がその上に広がって位置され、及び/又はそれに対してプレスされる場合に、接着剤の縞、ビーズ又はドットが、隣接する接着領域に流れ込み、そして実質的に連続した接着剤層を構成する。
好ましい態様においては、被覆される基材の及び/又はガラスフィルム材の一側面の領域全体が、ガラスフィルム材が被覆される基材上に位置付けされる前に、ポリシリケート系の粘着接着剤により被覆される。
ガラスフィルム材の一側面に対する粘着接着剤の塗布は、ガラスフィルム材が、例えば一巻きの材料からそれを引き出す間に、機械化された手法で位置付けされ、及び適用直前に液体の又はペースト状のポリシリケート系の粘着接着剤が設けられる場合に有利であり得る。
それらの薄い厚さの結果として、ガラスフィルムは、好ましい態様において与えられるように、重複したウェブ又はプレートの形態で位置付けされ得る。好ましい態様においては、ガラスフィルムウェブ又はプレートは、0.3cmないし7cm、好ましくは2ないし5cmの幅を有する狭い領域において重複している。重複した領域において、ガラスフィルムウェブ又はプレートは、一緒に溶着されるか(例えば自溶により、又はガラスハンダを用いて)、或いはポリシリケート系の粘着接着剤層がガラスフィルムの重複部位の間に再塗布される。接合部を有しないために非常に抵抗性のある、実質的に単一の、円滑な及び化学的耐性を有するガラス表面がこうして生成され、該表面は洗浄及び殺菌することが容易である。保護されるべき表面は、接合部がなく、またガラスがその下に位置するポリシリケート系の粘着接着剤を支持するために該接着剤は支障なく完全に硬化し得るため、本発明のコーティングの適用後ほんの数時間で再び又は環境条件に供し得る、すなわち荷重下に置かれ得る。
【0006】
驚くべきことに、その薄い厚さにもかかわらず製造されるガラス/ポリシリケート/基材からなるモノリシック結合系の結果として、ガラスが高い機械的荷重をかけられ得ることが明らかとなった。このように、過度の機械的圧力又は衝撃的な応力下で、ガラスは、ポリシリケートとガラスとの間の接触領域に(即ちガラス層の下側において)形成するが、ガラスの表面に到達しないクラックを示すことが分かった。驚くべきことに、ガラスのそのような損傷の場合においてはポリシリケート系の粘着接着剤との複合材料におけるガラスの自己修復プロセスが発見され:ガラスの下側のクラックが修復する。このことはおそらく、ポリシリケート系の粘着接着剤のクリープ傾向が高まるために、ガラスにおける
応力が衰えることに基づいている。慣用のプラスチック用コーティングと比較すると、従来に従うコーティングもまた、基材に水圧が作用する場合においては、突出部への“コールドフロー”の結果として不具合が大きくなり得ないという利点を有する。ガラスはクリープしないが、変形しないままであり、及び剥げない。無機ポリシリケート系の粘着接着剤は好ましくは、ペースト状の又は液体の組成物が生成されるように、水の存在下で、アルカリシリケート系結合剤成分を、二酸化ケイ素含有のアルミノシリケート粉末成分と混合することにより調製される。粉末成分は、5ないし50質量%の少なくとも1種のポゾラン系の又は潜在的水硬性成分、及び10ないし40質量%の少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分を含む。集塵灰、電気フィルタ灰、天然ポゾラン、トラス、燃焼した含油頁岩及び/又は粉砕された溶鉱炉スラグ(鋳物砂)が例えば、ポゾラン系の又は潜在的水硬性成分として使用され得る。焼成シリカ、沈降シリカ、シリカ粉塵、ガラス粉末及び/又は高い二酸化ケイ素含量を有する集塵灰又は電気フィルタ灰が例えば、二酸化ケイ素成分として使用され得る。集塵灰を使用した場合、これは一般的に、ポゾラン系の成分と二酸化ケイ素成分の双方の一部を構成する。
【0007】
一つの態様において、粉末成分は、5ないし30質量%の少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分をさらに含み、活性化されたアルミニウムオキシ成分は好ましくは、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び/又はケイ酸アルミニウムを含む。
好ましい態様において、粉末成分は、1ないし10質量%の水硬化性結合剤、好ましくはアルミナセメントをさらに含む。
粉末成分と混合されるアルカリシリケート系結合剤成分は好ましくは、水性アルカリシリケート溶液(例えばナトリウム水ガラス又はカリウム水ガラス)である。好ましくは、40ないし50質量%の固形分含量を有するアルカリシリケート溶液が使用され、及び、粉末成分は5ないし50質量%、好ましくは10ないし15質量%のアルカリシリケート溶液と混合される。或いは、まず粉末成分と混合される粉体アルカリシリケート系結合剤成分が与えられ得る。その後、該混合物に水を混合することにより、ペースト状の又は液体の組成物が調製される。
本発明に従う方法の一つの態様において、ガラスフィルム材は、2ないし12質量%、好ましくは5ないし10質量%のホウ素含量を有するホウケイ酸ガラスからなる。このことは、化学的耐性及び熱的な耐荷力を高める。
【0008】
ガラスフィルムは例えば、フロート法により製造される。ガラスフィルムは好ましくは、延伸法によりまた製造されるので、ガラスフィルムは低応力でのものであり、用語である“低応力”とは、応力の無いことも含む。表面は例えば、火造りされる。
本発明に従うコーティングは、種々の型の着色の層成分を可能にする。最初に、ポリシリケート系の粘着接着剤は、顔料の添加により着色され得、それにより、粉末成分の上記の成分の自己着色は、無色の又は白色の成分を使用することにより(例えば、アルミニウムオキシ成分の好ましい添加により)、低下され得る。使用されるガラスフィルムもまた着色され得る。
【0009】
他の有利な及び/又は好ましい態様は従属請求項に特定される。
【0010】
本発明は、以下に示す図面において図示される好ましい態様により、以下より詳細に説明される。
図1:本発明に従う層構造及び塗布されたガラスフィルムウェブ又はプレートの配置の概略図である。
【0011】
図1は、機械的に安定な、特に鉱物及び/又は金属基材1上の本発明に従う保護コーティングを示す。基材1は、建築物のいかなる所望の表面でもあり得る。基材1は、好ましくはコンクリート又は鋼コンクリートからなり、及び増加した化学的荷重を受ける表面で
ある。基材1は例えば、下水設備、例えば汚泥たらい、蓋付のバイオエアレーション用たらい、ポンプシャフト等の壁部分及び天井部分におけるコンクリート表面或いは、鋼コンクリート成分の表面である。本発明に従うコーティングのさらに有利な利用は、飲料水容器及びリザーバーのライニングにある。化学工業における一連の用途がまた可能である。コーティングはまた、煤から保護するための煙突又は煙道(湿式スタック用途)のライニングために使用される。
基材1の表面は第一に、無機ポリシリケート系の粘着接着剤の層2により被覆される。粘着接着剤の塗布前に、基材は前処理、即ち清浄化、及び遊離の粒子、ダスト、オイル又は剥離効果を有する他の物質の除去がされる。無機ポリシリケート系の粘着接着剤は、液体アルカリシリケート系結合剤成分を、二酸化ケイ素含有のアルミノシリケート粉末成分と完全に混合することにより調製される。粉末成分は、5ないし50質量%の少なくとも1種のポゾラン系の又は潜在的水硬性成分、及び10ないし40質量%の少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分を含む。ポゾラン系の又は潜在的水硬性成分は特に、集塵灰、電気フィルタ灰、天然ポゾラン、トラス、燃焼した含油頁岩及び/又は粉砕された溶鉱炉スラグ(鋳物砂)である。活性化された二酸化ケイ素成分は、焼成シリカ、沈降シリカ、シリカ粉塵、ガラス粉末及び/又は高い二酸化ケイ素含量を有する集塵灰又は電気フィルタ灰を含む。粉末成分はまた、5ないし30質量%の少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分を含み得、それにより、該アルミニウムオキシ成分は、1種以上の潜在的水硬性成分及びポゾラン系の成分を部分的に置き換え得る。焼成ボーキサイト又は銀星石、ギブサイト、ボーマイト、ダイアスポア、アルモゲル(alumogel)又はスポロギライト(sporogillite)又はいわゆる活性アルミナが、アルミニウムオキシ成分として使用され得る。粉末成分は好ましくは、1ないし10質量%の水硬化性結合剤、特にアルミナセメントをさらに含む。粉末成分は、40ないし60質量%のケイ砂のような不活性成分、及び再分散性ポリマー状結合剤、収縮低減剤、繊維及び顔料のような他の添加剤を含む。例えば、MC−バウヘミエ(Bauchemie)社により提供されるような、鉱物ベースの酸耐性の二成分系のポリマーシリケートが、ポリシリケート系の粘着接着剤として使用され得る。
【0012】
粘着接着剤の粉末成分のための好ましい配合は:
−10ないし30質量%の集塵灰
−1ないし10質量%の潜在的水硬化性材料
−10ないし30質量%の焼成シリカ
−1ないし10質量%のアルミナセメント
−40ないし60質量%のケイ砂
−1ないし5質量%の顔料
−1ないし3質量%の収縮低減剤
−1ないし5質量%の再分散性ポリマー状結合剤
−0.05ないし2質量%の繊維
を含む。
アルカリシリケート系結合剤成分のためには、40ないし50%の固形分含量を有するカリウム水ガラス溶液が、好ましくは、2.3:1以下、好ましくは1.5:1ないし0.8:1のSiO2:K2Oモル比で使用される。カリウム水ガラス溶液は、5ないし30質量%、好ましくは12ないし15質量%の量で、使用前に直接に粉末成分に添加される。
調製したポリシリケート系の粘着接着剤はその後、塗布、圧延又は散布により、基材1に塗布される。
ポリシリケート系の粘着接着剤層2の塗布後、接着剤層が被覆されそしてガラスフィルムウェブ又はプレート3A,3Bが互いにわずかに重複するように、該層は、2mm以下、好ましくは0.3mm以下の厚さを有するガラスフィルムウェブ又はプレート3A,3Bにより被覆される。重複した領域4において、ガラスフィルムは、ガラスハンダを用い
て自溶に結合されるか、又は好ましくはポリシリケート系の粘着接着剤を用いて接着により安定にされる。薄いガラスフィルムは、ソーダ石灰ガラス、アルカリ非含有のガラス又はガラスセラミックからなり得る。ガラスフィルムは好ましくは、5ないし10質量%のホウ素含量を有するホウケイ酸ガラスからなる。例えば、スコットアーゲー(Schott AG)社からのD263S型又はAF45型のガラスのウェブ又はプレートが使用される。
ポリシリケート系の粘着接着剤層の塗布後、ガラスフィルムウェブ又はプレートが、好ましくは40分までの加工時間内で配置される。
使用されるガラスフィルム又はプレートの寸法は、まずガラスフィルムの厚さに、及び基材の最大曲率に、及び基材が互いに垂直方向に1又は2回屈曲しているかどうかによる。より小さなガラスフィルムプレートが、平坦であるか又は一方向にのみ屈曲している基材によりも、複雑な曲率条件を有する領域に位置付けされる。ガラスフィルムプレートの容積及び形状は好ましくは、基材の表面の形状に適合される。例えば、正方形の、矩形の、三角形の、帯形状の及び/又は円形の部分的プレートが与えられる。
ガラスフィルムプレートは、前決定された寸法に適合した寸法に切断され及び/又は現場でカットされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従う層構造及び塗布されたガラスフィルムウェブ又はプレートの配置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的に安定な特に鉱物及び/又は金属基材に対する保護コーティングを製造する方法であって:
(a)無機ポリシリケート系の粘着接着剤が準備されること;
(b)2mm未満、好ましくは0.3mm未満の厚さを有するガラスフィルム材が準備されること;
(c)前記ポリシリケート系の粘着接着剤が、被覆される基材に、及び/又は前記ガラスフィルム材の一側面に塗布されること;
(d)前記ガラスフィルム材が前記ポリシリケート系の粘着接着剤を覆うように、前記ポリシリケート系の粘着接着剤の硬化前に、前記ガラスフィルム材が、前記被覆される基材に貼り付けられること;
(e)前記ポリシリケート系の粘着接着剤が硬化して、前記ガラスフィルム材と、前記被覆される基材とを結合させること、
からなる、方法。
【請求項2】
前記ポリシリケート系の粘着接着剤が、前記被覆される基材に、及び又は前記ガラスフィルム材の一側面に、均一な分布で塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスフィルム材が前記被覆される基材に貼られる前に、前記被覆される基材の及び/又はガラスフィルム材の一側面の表面全体が、前記ポリシリケート系の粘着接着剤により被覆されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機ポリシリケート系の粘着接着剤は、ペースト状の又は液体の組成物が生成されるように、水の存在下で、アルカリシリケート系結合剤成分を、二酸化ケイ素含有のアルミノシリケート粉末成分と混合することにより調製されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末成分は、5ないし50質量%の少なくとも1種のポゾラン系の又は潜在的水硬性成分、及び10ないし40質量%の少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポゾラン系の又は潜在的水硬性成分は、集塵灰、電気フィルタ灰、天然ポゾラン、トラス、燃焼した含油頁岩及び粉砕された溶鉱炉スラグ(鋳物砂)を含む第一群の物質より選択され、並びに、前記少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分は、焼成シリカ、沈降シリカ、シリカ粉塵、ガラス粉末及び高い二酸化ケイ素含量を有する集塵灰又は電気フィルタ灰を含む第二群の物質より選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記粉末成分は、5ないし30質量%の少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び/又はケイ酸アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粉末成分は、1ないし10質量%の水硬化性結合剤、好ましくはアルミナセメントをさらに含むことを特徴とする、請求項5ないし8のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記粉末成分と混合される前記アルカリシリケート系結合剤成分として、水性アルカリシ
リケート溶液が与えられることを特徴とする、請求項4ないし9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
40ないし50%の固形分含量を有するアルカリシリケート溶液が使用され、及び、前記粉末成分が5ないし10質量%、好ましくは10ないし15質量%のアルカリシリケート溶液と混合されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
粉体アルカリシリケート系結合剤成分が用意され、該粉体アルカリシリケート系結合剤成分が粉末成分と混合され、そして、前記粉体アルカリシリケート系結合剤と前記粉末成分の混合物に水を混合することにより、ペースト状の又は液体の組成物が調製されることを特徴とする、請求項4ないし9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
好ましくはケイ砂を含む不活性成分を40ないし60質量%含有する粉末成分が使用されることを特徴とする、請求項4ないし12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスフィルム材は、互いに重複するように位置付けされたウェブ又はプレートの形態で与えられることを特徴とする、請求項1ないし13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラスフィルムウェブ又はプレートは、0.3cmないし7cm、好ましくは2ないし5cmの幅を有する狭い領域において重複していることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガラスフィルム材は、2ないし12、好ましくは5ないし10質量%のホウ素含量を有するホウケイ酸ガラスからなることを特徴とする、請求項1ないし15のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスフィルム材は、延伸プロセスによる低応力方式において製造されることを特徴とする、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスフィルム材は、フロート法による低応力方式において製造されることを特徴とする、請求項1ないし16のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
機械的に安定な特に鉱物及び/又は金属基材に対する保護コーティングであって、
−前記基材上に実質的に均一な分布にある無機ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)及び
−前記ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)を被覆する、2mm未満、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する、硬化前の前記ポリシリケート系の粘着接着剤層(2)上に位置する、ガラスフィルム材(3A,3B)のコーティング
を含む、保護コーティング。
【請求項20】
前記ポリシリケート系の粘着接着剤層2は、前記基材と前記ガラスフィルム材のライニングとの間の領域全体に配置されることを特徴とする、請求項19に記載のコーティング。
【請求項21】
前記無機ポリシリケート系の粘着接着剤層は、アルカリシリケート系結合剤成分及び二酸化ケイ素含有のアルミノシリケート粉末成分を含むことを特徴とする、請求項19又は20に記載のコーティング。
【請求項22】
前記粉末成分は、5ないし50質量%の少なくとも1種のポゾラン系の又は潜在的水硬性成分、及び10ないし40質量%の少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分を含
むことを特徴とする、請求項21に記載のコーティング。
【請求項23】
少なくとも1種のポゾラン系の又は潜在的水硬性成分は、集塵灰、天然ポゾラン、トラス、燃焼した含油頁岩及び粉砕された溶鉱炉スラグ(鋳物砂)を含む第一群の物質より選択され、並びに、少なくとも1種の活性化された二酸化ケイ素成分は、焼成シリカ、沈降シリカ、シリカ粉塵、ガラス粉末及び高い二酸化ケイ素含量を有する集塵灰又は電気フィルタ灰を含む第二群の物質より選択されることを特徴とする、請求項22に記載のコーティング。
【請求項24】
粉末成分は、5ないし30質量%の少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分を含む、請求項22又は23に記載のコーティング。
【請求項25】
少なくとも1種の活性化されたアルミニウムオキシ成分は、アルミニウムオキシ、水酸化アルミニウム及び/又はケイ酸アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項24に記載のコーティング。
【請求項26】
前記粉末成分は、1ないし10質量%の水硬化性結合剤、好ましくはアルミナセメントを含むことを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項27】
前記アルカリシリケート系結合剤成分は、アルカリ水ガラス、好ましくはカリウム水ガラスであることを特徴とする、請求項1ないし26のうちいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項28】
前記粉末成分は、不活性成分、好ましくはケイ砂を40ないし60質量%含むことを特徴とする、請求項22ないし27のうちいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項29】
前記粉末成分は、再分散性ポリマー状結合剤、収縮低減剤、繊維及び顔料を含む添加剤の群よりの少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする、請求項22ないし28のうちいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項30】
前記ガラスフィルム材は、互いに隣接し且つ重複するよう位置付けされたガラスフィルムウェブ又はプレート(3A,3B)であることを特徴とする、請求項19ないし29のうちいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項31】
前記ガラスフィルムウェブ又はプレート(3A,3B)は、0.3cmないし7cm、好ましくは2ないし5cmの幅を有する狭い領域(4)において重複していることを特徴とする、請求項30に記載のコーティング。
【請求項32】
前記ガラスフィルムウェブ又はプレート(3A,3B)は、重複した領域(4)において、一緒に溶着されるか又はポリシリケート系の粘着接着剤で接着することにより固定されることを特徴とする、請求項30又は31に記載のコーティング。
【請求項33】
前記ガラスフィルムウェブ又はプレートは、2ないし12質量%、好ましくは5ないし10質量%のホウ素含量を有するホウケイ酸ガラスからなることを特徴とする、請求項20ないし32のうちいずれか1項に記載のコーティング。
【請求項34】
下水設備の壁及び天井部分のライニングための請求項19ないし33のうちいずれか1項に記載のコーティングの使用。
【請求項35】
煤に対する保護として煙突のライニングのための請求項19ないし33のうちいずれか1
項に記載のコーティングの使用。
【請求項36】
飲料水容器及びリザーバーのライニングのための請求項19ないし33のうちいずれか1項に記載のコーティングの使用。
【請求項37】
機械的に安定な、特に鉱物及び/又は金属基材における損傷したか又は不具合のある領域の修復のための請求項19ないし33のうちいずれか1項に記載のコーティングの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−511470(P2008−511470A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528743(P2007−528743)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009179
【国際公開番号】WO2006/024452
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507067995)エムツェー−バウヒェミー ミュラー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. ヒェミッシェ ファブリケン (1)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】