説明

信号検出回路およびワイヤレス電力伝送装置

【課題】簡素な方法で検出信号の不要な部分な除去できるとともに、高周波信号も高精度に検出可能な信号検出回路を提供する。
【解決手段】検出信号Vsが供給されるオペアンプ21と、オペアンプ21への電源供給を遮断するスイッチ15を備え、スイッチ15をオンオフすることにより検出信号Vsの必要な範囲のみをオペアンプ21の出力信号として出力することを特徴とする。これにより、簡素な方法で検出信号Vsの不要な部分を除去できるとともに、高周波信号も高精度に検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号検出回路およびそれを備えるワイヤレス電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センサから供給される微小な検出信号を増幅し出力信号として得るとき、時間軸に対して検出信号と不要なバックグラウンド信号が混在する場合がしばしば存在する。検出信号をそのまま増幅した場合、不要な信号も同時に増幅されてしまうため、場合によっては、検出信号の処理と評価が難しくなってしまう。そのため、検出信号の不要な部分を除去した後、増幅出力を得ることが必要となる。
【0003】
特許文献1には、センサとして用いた位置検出コイルによって、信号を検出する回路が記載されている。位置検出コイルで検出した信号は、A/Dコンバータによりデジタル変換され、得られたデジタル信号を演算して出力信号を得ている。
【0004】
ここで、図1に従来の信号検出回路のブロック図の一例を示す。検出信号Vsは、A/D−D/A変換回路60に供給される。A/D−D/A変換回路60は、検出信号Vsの不要な部分を除去するため、局部的にデジタル信号に変換した後、再度アナログ信号に変換する。A/D−D/A変換回路60から出力される局部出力Vdaは、増幅回路62により増幅され出力信号Voが得られる。
【0005】
図2は、従来の信号検出回路における信号検出動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、時刻taからtbまでの期間の信号を、検出信号の必要な部分として選択的に増幅するものとする。A/D−D/A変換回路60は、検出信号Vsの必要な部分のみを選択的にデジタル信号に変換する。そして、得られたデジタル信号を再度アナログ信号に変換することで、時刻taまでの期間と、時刻tb以後の期間の不要信号を除去した局部出力Vdaが得られる。そして、抽出した信号のみを増幅回路62により増幅し、出力信号Voを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−263663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような信号検出方法では、A/Dコンバータを用いる必要がある。一般のA/Dコンバータは処理速度に限界があるので、検出信号Vsと局部出力Vdaの波形とを一致させるには、検出信号Vsが低周波の信号の場合に限られてしまう。特に、MHz程度の高周波信号を検出するとき、このような信号検出方法を用いることは困難であった。
【0008】
本発明はこのような問題を考慮してなされたものであり、簡素な方法で検出信号の不要な部分を除去できるとともに、高周波信号も高精度に検出可能な信号検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような目的を達成するため、検出信号が供給されるオペアンプと、該オペアンプへの電源供給を遮断するスイッチを備え、該スイッチをオンオフすることにより該検出信号の必要な範囲のみを該オペアンプの出力信号として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる信号検出回路は、簡素な方法で検出信号の不要な部分を除去できるとともに、高周波信号も高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の信号検出回路のブロック図
【図2】従来の信号検出回路における信号検出動作の一例を示すタイミングチャート
【図3】本発明の第1の実施例における信号検出回路
【図4】本発明の第1の実施例における信号検出動作の一例を示すタイミングチャート
【図5】本発明の第2の実施例における信号検出回路
【図6】本発明の信号検出回路を用いたワイヤレス電力伝送装置のブロック図
【図7】本発明の信号検出回路を用いたワイヤレス電力伝送装置の概略図
【図8】本発明の信号検出回路を用いたワイヤレス電力伝送装置の位置検出動作の一例を示すタイミングチャート
【図9】本発明の信号検出回路を用いたワイヤレス電力伝送装置の位置検出動作の他の例を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図3に本発明の第1の実施例における信号検出回路を示す。図3に示す信号検出回路は、電源制御回路10、増幅回路20、比較回路30を備える。
【0014】
電源制御回路10は、ベース抵抗11、NPNトランジスタ12、PNPトランジスタ13、P型MOSFET15、分圧抵抗17、ゲート抵抗19を備える。
NPNトランジスタ12およびPNPトランジスタ13の各ベース端子には、ベース抵抗11を介してゲート制御信号Vgが供給されている。また、NPNトランジスタ12とPNPトランジスタ13の互いのエミッタ端子同士が接続されている。NPNトランジスタ12のコレクタ端子には直流電源から直流電圧Vinが供給され、PNPトランジスタ13のコレクタ端子は接地されている。このように、NPNトランジスタ12とPNPトランジスタ13でプッシュプル回路を構成している。
P型MOSFET15のソース端子には、直流電源から直流電圧Vinが供給されている。P型MOSFET15のソース端子とゲート端子間には分圧抵抗17が接続されている。また、P型MOSFET15のゲート端子は、ゲート抵抗19を介してNPNトランジスタ12およびPNPトランジスタ13の各エミッタ端子に接続されている。よって、プッシュプル回路の出力によってP型MOSFET15のゲート電圧は制御される。
【0015】
増幅回路20は、オペアンプ21、抵抗23、帰還抵抗25を備える。
オペアンプ21の正電源端子はP型MOSFET15のドレイン端子に接続され、負電源端子は接地されている。また、オペアンプ21の非反転入力端子には検出信号Vsが供給されている。他方、オペアンプ21の反転入力端子には抵抗23の一端が接続され、抵抗23の他端は接地されている。また、オペアンプ21の反転入力端子と出力端子間には帰還抵抗25が接続されている。オペアンプ21の正電源端子に供給される電圧を正電源端子電圧Vddとする。また、オペアンプ21から出力される信号を増幅信号Vaとする。
【0016】
比較回路30は、抵抗31、コンデンサ33、コンパレータ35を備える。
コンパレータ35の非反転入力端子には、抵抗31を介してオペアンプ21から出力される増幅信号Vaが供給されている。また、コンパレータ35の非反転入力端子にはコンデンサ33の一端が接続され、コンデンサ33の他端は接地されている。コンパレータ35の反転入力端子には、基準電圧Vrefが供給されている。コンパレータ35の出力端子からは、比較信号Voutが出力される。
【0017】
次に、信号検出回路の各部の動作について説明する。
まず、電源制御回路10の動作について説明する。
電源制御回路10に供給されるゲート制御信号Vgがハイレベルのとき、NPNトランジスタ12がオン、PNPトランジスタ13がオフとなる。よって、P型MOSFET15のゲート電圧もハイレベルとなり、P型MOSFET15がオフとなる。そのため、直流電源から供給される直流電圧Vinが遮断され、電源制御回路10の出力すなわち正電源端子電圧Vddは0Vとなる。
電源制御回路10に供給されるゲート制御信号Vgがローレベルのとき、NPNトランジスタ12がオフ、PNPトランジスタ13がオンとなる。よって、P型MOSFET15のゲート電圧もローレベルとなり、P型MOSFET15がオンとなる。そのため、電源制御回路10からオペアンプ21の正電源端子に直流電圧Vinが供給される。
【0018】
次に、増幅回路20の動作について説明する。
オペアンプ21の正電源端子には、電源制御回路10の出力が供給される。電源制御回路10の出力が0Vのとき、オペアンプ21はオフ状態となる。よって、検出信号Vsの有無にかかわらず、増幅信号Vaは0となる。電源制御回路10から直流電圧Vinが供給されるとき、オペアンプ21はオン状態となる。このとき、検出信号Vsは抵抗23および帰還抵抗25の値に応じて決定される増幅率で増幅され、増幅信号Vaが出力される。よって、P型MOSFET15をオンオフするタイミングを制御すれば、検出信号Vsの必要な期間のみを選択して増幅することができる。一例として、P型MOSFET15をスイッチングするためのゲート制御信号Vgは、マイコンなどの制御手段によって生成すればよい。
【0019】
次に、比較回路30の動作について説明する。
比較回路30に供給される増幅信号Vaは、抵抗31およびコンデンサ33から構成される平滑回路によって平滑される。コンパレータ35は、平滑された増幅信号Vaと基準電圧Vrefとを比較して、パルス信号である比較信号Voutが出力される。得られた比較信号Voutのパルス幅から増幅信号Vaの信号強度を評価することができる。
【0020】
ここで、本発明の第1の実施例における信号検出動作の一例を示すタイミングチャートを図4に示す。
時刻t1になる前、検出信号Vsには不要なバックグラウンド信号が混在している。このとき、P型MOSFET15をオフとし、オペアンプ21をオフ状態とする。つまり、オペアンプ21の正電源端子に直流電圧Vinは供給されない。よって、正電源端子電圧Vddは0Vである。そのため、オペアンプ21から出力される増幅信号Vaは0となる。
時刻t1になると、所望の検出信号Vsが増幅回路20に供給される。このとき、P型MOSFET15をオンに切り替え、オペアンプ21の正電源端子に直流電源から直流電圧Vinを供給し、オペアンプ21をオン状態とする。よって、検出信号Vsはオペアンプ21により増幅され、増幅信号Vaが出力される。
時刻t2になると、所望の検出信号Vsの供給が停止する。このとき、P型MOSFET15をオフに切り替え、オペアンプ21を再度オフ状態とする。よって、増幅信号Vaは0となる。
【0021】
このように、ゲート制御信号Vgにより、P型MOSFET15を切り替えるタイミングを制御し、オペアンプ21のオン状態とオフ状態を切り替えている、これにより、検出信号Vs中の必要な部分のみを選択して増幅することができる。言い換えると、検出信号Vs中の不要信号が供給される期間は、増幅回路20の動作を停止させる。これにより、不要なバックグラウンド信号によって、信号検出結果に含まれてしまうノイズを除去することができる。よって、信号検出の信頼性を向上させることができる。また、オペアンプ21の立ち上がりと立ち下りは、P型MOSFET15のスイッチングとほぼ同時に動作させることができる。よって、検出信号VsがMHz帯の高調波の信号であっても、高速応答することができる。なお、オペアンプ21の立ち上がりと立ち下りの速度は、オペアンプ21自体の性能に大きく依存するが、適切な特性を有するアンプを適宜選択すればよい。よって、特別な素子等を必要とせず、オペアンプ21の正電源端子に供給される直流電圧Vinをスイッチによって遮断するだけの簡素な方法で、検出信号の不要な部分な除去できるとともに高周波信号も高精度に検出可能となる。また、オペアンプへの電源供給を間欠的に行うことになるため、消費電力を低減することができる。なお、オペアンプ21への電源供給を切り替えることができるのであれば、電源制御回路10の構成はどのようにしても構わない。
【実施例2】
【0022】
図5に本発明の第2の実施例における信号検出回路を示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。図5に示す信号検出回路は、電源制御回路10、バッファ回路20’を備える。
【0023】
バッファ回路20’はオペアンプ21’を備える。
オペアンプ21’の正電源端子はP型MOSFET15のドレイン端子に接続され、負電源端子は接地されている。また、オペアンプ21’の非反転入力端子には検出信号Vsが供給されている。オペアンプ21’の反転入力端子と出力端子は接続され、ボルテージフォロアを構成している。オペアンプ21’の出力端子からは、出力信号Voutが出力される。
【0024】
オペアンプ21’の正電源端子には、電源制御回路10の出力が供給される。電源制御回路10の出力が0Vのとき、オペアンプ21’はオフ状態となる。よって、検出信号Vsの有無にかかわらず、出力信号Voutは0となる。電源制御回路10から直流電圧Vinが供給されるとき、オペアンプ21’はオン状態となる。このとき、検出信号Vsがそのまま出力信号Voutとして出力される。よって、P型MOSFET15をオンオフするタイミングを制御すれば、検出信号Vsの必要な期間のみを選択して出力することができる。
【0025】
本実施例のように、検出信号Vsを増幅する必要がないときは、オペアンプ21’でボルテージフォロアを構成するように接続してもよい。
【実施例3】
【0026】
近年、携帯機器などの電子機器分野において、ワイヤレス電力伝送の研究が盛んに行われている。図6に本発明の信号検出回路を備えるワイヤレス電力伝送装置のブロック図を示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。本実施例は、電磁誘導型のワイヤレス電力伝送装置である。
【0027】
送電器40は、電源制御回路10、増幅回路20、比較回路30、パルス生成回路41、励振コイル42、検出コイル44、制御回路45、平滑コンデンサ46、駆動回路47、一次共振コンデンサ48、一次コイル49を備える。また、受電器50は、二次コイル51、二次共振コンデンサ52、検出用コンデンサ53、整流回路54、平滑コンデンサ55、インピーダンス素子56、制御回路57、スイッチ58、負荷59を備える。
【0028】
図7は、本発明の第3の実施例における一次コイル49、励振コイル42、検出コイル44、二次コイル51の位置関係を示す概略図である。一次コイル49、励振コイル42、検出コイル44、二次コイル51はそれぞれ平面で薄型の構造となっている。一次コイル49の巻回面と二次コイル51の巻回面は、それぞれ対向するように配置されている。一次コイル49、励振コイル42、検出コイル44は、それぞれ略同一平面上に配置されており、また、各コイルの中心軸が略一致するように配置されている。
【0029】
電力伝送は、一次コイル49と二次コイル51間の電磁誘導により行われる。電力伝送の効率は、一次コイル49と二次コイル51の相対距離によって変動する。一般的に、一次コイル49の巻回面と二次コイル51の巻回面を対向するように配置する。そして、一次コイル49と二次コイル51の相対距離が近くなるほど効率が高く、相対距離が遠くなるほど効率が低くなることが知られている。したがって、電力伝送を行う前に、一次コイル49に対して、二次コイル51を適切な位置に配置する必要がある。この位置合わせには、手動方式または機械移動による自動方式があるが、いずれも一次コイル49と二次コイル51の相対距離を検知する手段が必要とされる。
【0030】
一次コイル49と二次コイル51の相対距離の検知には、次のような方法を用いることが考えられる。所定のパルス幅を有するパルス信号Vplを励振コイル42に供給すると、それ応じて二次コイル51と二次共振コンデンサ52と検出用コンデンサ53で構成される共振回路の共振周波数で振動する電流が二次コイル51に流れる。そして、この電流により交流磁界が発生する。送電器40に設けられた検出コイル44は、この交流磁界をエコー信号としてピックアップする。そして、ピックアップされたエコー信号の強度から一次コイル49と二次コイル51の相対距離を検出する。このように、受電器50に励起された共振エコー信号から、一次コイル49と二次コイル51の相対距離を求めることができる。
【0031】
まず、送電器40の構成について説明する。駆動回路47には、直流電源DCから直流電圧Vinが供給される。駆動回路47の入力端には、平滑コンデンサ46が接続されており、駆動回路47の出力端には、一次コイル49と一次共振コンデンサ48が直列接続されている。駆動回路47は、一次コイル49と一次共振コンデンサ48に交流電力を供給する。一例として、駆動回路47はフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などにより構成される。励振コイル42には、パルス生成回路41よりパルス信号Vplが供給される。駆動回路47やパルス生成回路41の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路45により制御される。また、検出コイル44に励起される検出信号Vsは、増幅回路20内に設けられたオペアンプ21の非反転入力端子に供給される。
【0032】
電源制御回路10内に設けられたNPNトランジスタ12およびPNPトランジスタ13の各ベース端子には、ベース抵抗11を介してゲート制御信号Vgが供給されている。このゲート制御信号Vgは、制御回路45から供給される。NPNトランジスタ12のコレクタ端子には直流電源DCから直流電圧Vinが供給され、PNPトランジスタ13のコレクタ端子は接地されている。P型MOSFET15のソース端子には、直流電源DCから直流電圧Vinが供給されている。P型MOSFET15のゲート電圧は、NPNトランジスタ12およびPNPトランジスタ13から構成されるプッシュプル回路の出力によって制御される。
オペアンプ21の正電源端子はP型MOSFET15のドレイン端子に接続され、負電源端子は接地されている。オペアンプ21は検出信号Vsを増幅し、増幅信号Vaを出力する。
増幅信号Vaは比較回路30に供給される。増幅信号Vaは、比較回路30内に設けられた抵抗31およびコンデンサ33によって平滑化される、得られた平滑信号Vsmはコンパレータ35によって基準電圧Vrefと比較される。そして、得られた出力信号Voutは制御回路45に出力される。制御回路45は、出力信号Voutに基づいて一次−二次コイル間の相対距離を求める。また、制御回路45は、求めた相対距離に基づいて、相対距離の情報をユーザーに報知することができる。例えば、制御回路45は、送電器40に設けた光や音および振動などを発生させる素子を制御することで、ユーザーに一次−二次コイル間の相対距離を報知することができる。
制御回路45は、電源制御回路10に供給するゲート制御信号Vgのレベルを切り替えることで、オペアンプ21のオン状態とオフ状態の切り換えを行う。これにより、オペアンプ21に供給される検出信号Vsの不要な部分を除去することができる。
【0033】
次に、受電器50の構成について説明する。二次コイル51は、電磁誘導作用により一次コイル49から電力を受電する。二次コイル51の両端には、二次共振コンデンサ52を介して検出用コンデンサ53が接続されている。検出用コンデンサ53に印加される電圧は、整流回路54により整流される。整流回路54の出力端には、平滑コンデンサ55、インピーダンス素子56および制御回路57が並列に接続されている。平滑コンデンサ55は、整流回路54の出力電圧のリプルを除去するものである。インピーダンス素子56は、受電器50に設けられる電圧レギュレータなどの素子を示すものである。また、整流回路54の出力端には、スイッチ58を介して二次電池などの負荷59が接続されている。受電器50に設けられたインピーダンス素子56やスイッチ58の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路57により制御される。負荷59は、スイッチ58により受電器50の回路から切り離すことができる。二次コイル51が得た電力を負荷59に供給する場合は、スイッチ58が閉じられ、負荷59に電圧が印加される。
【0034】
検出用コンデンサ53の容量は、二次共振コンデンサ52の容量よりはるかに小さくなるように設計する。これにより、スイッチ58による負荷接続時の低負荷インピーダンス状態において、二次共振コンデンサ52と二次コイル51との共振器が構成される。一方、スイッチ58による負荷遮断時の高負荷インピーダンス状態においては、二次コイル51と二次共振コンデンサ52と検出用コンデンサ53との共振器が構成される。つまり、受電器50はデュアル共振器になっている。以下、二次コイル51と二次共振コンデンサ52と検出用コンデンサ53で構成される共振回路の共振周波数を検出用共振周波数fdとする。
【0035】
上述したように、一次コイル49と二次コイル51の相対距離は、検出コイル44でピックアップされる検出信号Vsに基づいて求めることができる。しかし、検出信号Vsはパルス信号Vplを電磁誘導により検出コイル44でピックアップすることで発生するものと、エコー信号を検出コイル44でピックアップすることで発生するものに大きく分けられる。
パルス信号Vplに対する応答信号は、一次コイル49と二次コイル51の相対距離に関わらず発生する。エコー信号に対する応答信号は、一次コイル49と二次コイル51の相対距離が近いほど大きくなり、遠いほど小さくなる。そして、一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されていない場合、エコー信号に対する応答信号は発生しない。すなわち、パルス信号Vplに対する応答信号として発生した検出信号Vsは、一次コイル49と二次コイル51の相対距離の検出時にノイズ成分となってしまう。一次コイル49と二次コイル51の相対距離を正確に検出するためには、検出コイル44でピックアップするパルス信号Vplに対する応答信号とエコー信号に対する応答信号を分離する必要がある。
そのため、上述したようにエコー信号に基づく検出信号Vsが発生する期間のみ、オペアンプ21がオン状態となるように制御するのが好ましい。パルス信号Vplが供給されると、パルス信号Vplに対する応答信号が検出コイル44でピックアップされる。そして、所定の時間が経過後にエコー信号が検出コイル44でピックアップされる。よって、オペアンプ21をオン状態に切り替えるタイミングは、パルス信号Vplが供給されるタイミングから適当な遅延時間を設けるように設定すればよい。オペアンプ21の立ち上がりと立ち下りは、高速応答させることが可能である。これにより、一次コイル49と二次コイル51の相対距離を検出するときに、ノイズ成分として発生するパルス信号Vplに対する応答信号を除去することができる。また、A/Dコンバータのような処理速度の遅い素子を利用しないため、高周波のエコー信号の検出にも対応することができる。
【0036】
次に、一次コイル49と二次コイル51の相対距離の検出動作について、具体的に説明する。ここでは、一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されているとする。図8は、本発明の第3の実施例における位置検出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、位置検出を行うときには、受電器50に設けられているスイッチ58をオープンにする。
時刻t0において、励振コイル42に300ns幅程度の単発のパルス信号Vplを供給する。すると、パルス信号Vplが電磁誘導により検出コイル44でピックアップされ、検出信号Vsが発生する。ここで発生する検出信号Vsは、パルス信号Vplに対する応答信号である。
時刻t1において、パルス信号Vplが立ち下がる。
時刻t1から所定時間経過した時刻t2になると、検出コイル44に検出用共振周波数fdで振動するエコー信号がピックアップされる。励振コイル42にパルス信号Vplを供給すると、二次コイル51と二次共振コンデンサ52と検出用コンデンサ53からなる共振回路が励振される。そして、この共振回路に検出用共振周波数fdで振動する電流が流れ、二次コイル21の周りには交流磁界が発生する。エコー信号とは、このときに二次コイル21から一次側へ送られる交流磁界のことである。このエコー信号は、電磁誘導により検出コイル44でピックアップされ、検出コイル44に検出信号Vsが発生する。ここで発生する検出信号Vsはエコー信号に対する応答信号である。また、このとき、制御回路45から電源制御回路10にゲート制御信号Vgが送信され、P型MOSFET15がオフからオンに切り換える。すると、オペアンプ21の正電源端子に直流電圧Vinが供給され、オペアンプ21がオン状態となる。そして、検出信号Vsはオペアンプ21により増幅され、増幅信号Vaが発生し、平滑信号Vsmが徐々に増加する。この検出信号Vsは、徐々に自由振動しながら減衰していく。
時刻t3になると、平滑信号Vsmが基準電圧Vrefより大きくなる。すると、コンパレータ35から出力される出力信号Voutがローレベルからハイレベルに切り替わる。その後、平滑信号Vsmが徐々に増加し、あるピーク値まで上昇した後、徐々に減少していく。
時刻t4になると、平滑信号Vsmが基準電圧Vrefより小さくなる。すると、コンパレータ35から出力される出力信号Voutがハイレベルからローレベルに切り換わる。また、検出信号Vsは、減衰しながら時間とともに収束していく。それに伴い、平滑信号Vsmも収束する。制御回路15は、出力信号Voutのパルス幅に基づいて一次コイル19と二次コイル21間の相対距離を求める。
時刻t5になると、制御回路45から電源制御回路10に供給されるゲート制御信号Vgが切り換えられ、P型MOSFET15がオンからオフに切り換わる。すると、オペアンプ21がオフ状態となる。
【0037】
このように、一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されている場合には、あるパルス幅を持った出力信号Voutが出力される。
【0038】
パルス信号Vplを励振コイル42に供給すると、それ応じて二次コイル51に検出用共振周波数fdで振動する電流が誘導される。そして、この電流により交流磁界が発生する。送電器40に設けられた検出コイル44は、この交流磁界をエコー信号としてピックアップし、検出信号Vsをオペアンプ21に供給する。検出信号Vsはオペアンプ21により増幅され、得られた増幅信号Vaを平滑することで、単一ピークの平滑信号Vsmが得られる。そして、コンパレータ35は平滑信号Vsmと基準電圧Vrefとを比較し、短径パルスの出力信号Voutを出力する。エコー信号の強度は、一次コイル49と二次コイル51との距離に依存する。一次コイル49と二次コイル51との距離が近いほどエコー信号の強度が強くなり、得られる出力信号Voutのパルス幅が長くなる。また、一次コイル49と二次コイル51との距離が遠いほどエコー信号の強度が弱くなり、得られる出力信号Voutのパルス幅が短くなる。制御回路45によって、出力信号Voutのパルス幅を計測することで、一次コイル49と二次コイル51の相対距離を検出することができる。
【0039】
ここで、一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されていない場合について説明する。図9は、本発明の第3の実施例における位置検出動作の他の例を示すタイミングチャートである。
時刻t6において、励振コイル42に300ns幅程度の単発のパルス信号Vplを供給する。すると、パルス信号Vplが電磁誘導により検出コイル44でピックアップされ、検出信号Vsが発生する。ここで発生する検出信号Vsは、パルス信号Vplに対する応答信号である。
時刻t7において、パルス信号Vplが立ち下がる。
時刻t7から所定時間経過した時刻t8になると、制御回路45から電源制御回路10にゲート制御信号Vgが送信され、P型MOSFET15がオフからオンに切り換わる。すると、オペアンプ21の正電源端子に直流電圧Vinが供給され、オペアンプ21がオン状態となる。一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されていないため、エコー信号は発生しない。そのため、検出コイル44において、エコー信号に基づく検出信号Vsは検出されない。よって、増幅信号Vaおよび平滑信号Vsmも0のままである。また、コンパレータ35から出力される出力信号Voutもローレベルのままとなる。
時刻t9になると、制御回路45から電源制御回路10にゲート制御信号Vgが切り換えられ、P型MOSFET15がオンからオフに切り換わる。すると、オペアンプ21がオフ状態となる。
【0040】
このように、一次コイル49の近傍に二次コイル51が配置されていない場合には、出力信号Voutが検出されない。すなわち、エコー信号が発生しない場合、二次コイル51が一次コイル49から十分離れていることがわかる。よって、エコー信号の強度すなわち出力信号Voutから一次コイル49と二次コイル51との距離だけでなく、二次コイル51の有無についても検出することができる。また、オペアンプ21への電源供給は間欠的に行われることになるため、消費電力を低減することができる。
【0041】
本実施例において、制御回路45は出力信号Voutのパルス幅から一次コイル49と二次コイル51との相対距離を求めているが、距離検出の方法はこのような例に限られるものではない。エコー信号を検出コイル44で検出信号Vsとしてピックアップし、得られた検出信号Vsを増幅回路20によって増幅し、増幅信号Vaを得る。制御回路45は、この増幅信号Vaの波形の最大値から一次−二次コイル間の相対距離を求めてもよい。また、平滑信号Vsmのピーク値より一次−二次コイル間の相対距離を求めてもよい。検出信号Vsの強度に基づいて相対距離を求めることができるのであれば、どのような形態でも構わない。
【0042】
オペアンプ21の立ち上がりと立ち下りは、ゲート制御信号Vgとほぼ同時に動作させることができる。オペアンプ21のオン、オフを高速応答させることができるため、ノイズ成分を確実に除去することができる。このように、本発明の信号検出回路をワイヤレス電力伝送装置に適用することで、一次コイル49と二次コイル51の相対距離の検出精度を向上させることができる。
【0043】
なお、パルス信号Vplのパルス幅は、検出用共振周波数fdに応じて決定する。パルス幅が短いとエコー信号強度が小さくなり、ある値以上長くするエコー信号強度が飽和する。パルス信号Vplのパルス幅は、検出用共振周波数fdの半波長程度にすると良い。例えば、検出用共振周波数fdが1MHzであれば300ns程度の単発パルスとするのが好ましい。
【0044】
また、検出用共振周波数fd、パルス信号Vplのパルス幅などの値はあくまで一例である。本発明がこうした条件に限定されるものではないことは勿論である。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形したり、各実施例を組み合わせたりして実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 電源制御回路
11 ベース抵抗
12 NPNトランジスタ
13 PNPトランジスタ
15 P型MOSFET
17 分圧抵抗
19 ゲート抵抗
20 増幅回路
20’ バッファ回路
21、21’ オペアンプ
23 抵抗
25 帰還抵抗
30 比較回路
31 抵抗
33 コンデンサ
35 コンパレータ
40 送電器
41 パルス生成回路
42 励振コイル
44 検出コイル
45 制御回路
46 平滑コンデンサ
47 駆動回路
48 一次共振コンデンサ
49 一次コイル
50 受電器
51 二次コイル
52 二次共振コンデンサ
53 検出用コンデンサ
54 整流回路
55 平滑コンデンサ
56 インピーダンス素子
57 制御回路
58 スイッチ
59 負荷


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出信号が供給されるオペアンプと、
該オペアンプへの電源供給を遮断するスイッチを備え、
該スイッチをオンオフすることにより該検出信号の必要な範囲のみを該オペアンプの出力信号として出力することを特徴とする信号検出回路。
【請求項2】
前記出力信号に応じた比較信号を生成する比較回路を備え、
該比較回路は前記出力信号を平滑した信号と所定電圧とを比較して得られた該比較信号を出力する請求項1に記載の信号検出回路。
【請求項3】
請求項1に記載の信号検出回路と、
二次コイルに対して電磁誘導により電力を供給する一次コイルが設けられた送電器と、
該送電器により励振された該二次コイルから発生するエコー信号を検出する検出コイルを備え、
該エコー信号によって該検出コイルに励起された信号を前記検出信号とし、
前記出力信号に基づいて該送電器と該受電器間の相対位置を検出するワイヤレス電力伝送装置。
【請求項4】
請求項2に記載の信号検出回路と、
二次コイルに対して電磁誘導により電力を供給する一次コイルが設けられた送電器と、
該送電器により励振された該二次コイルから発生するエコー信号を検出する検出コイルを備え、
該エコー信号によって該検出コイルに励起された信号を前記検出信号とし、
前記比較信号に基づいて該送電器と該受電器間の相対位置を検出するワイヤレス電力伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−31314(P2013−31314A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166446(P2011−166446)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)