説明

偏光板、及び液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の上下左右視野角CRの改善。
【解決手段】少なくとも偏光子と、位相差フィルムとを含む偏光板であって、前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)が、下記3式(I)〜(III)を満足し、前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV)を満足することを特徴とする偏光板、及びそれを有する液晶表示装置である。
(I) 110nm≦Re(550)+Rth(550)≦220nm
(II) 1nm≦Re(550)
(III) Rth>0.5×Re
(IV) 0.01≦Re(550)×sinθ≦0.7

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、及びそれを有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、TNモード液晶表示装置の視野角補償に、ディスコティック液晶のハイブリッド配向を利用した光学異方性層を利用することが提案され、実用化もされている。前記光学異方性層を利用することで、TNモード液晶表示装置の視野角特性が顕著に改善される。
【0003】
一方、前述したような特殊な光学異方性層を用いずに、光学二軸の位相差フィルムを用いたTNモード液晶表示装置が提案されている。例えば、特許文献1には、前述したような特殊な光学異方性層を用いずに、光学二軸の位相差フィルムを用いてTNモード液晶表示装置の視野角を改善することが提案されている。しかし、光学的二軸フィルムを利用する上記従来技術では、上左右方向をバランスよく視野角補償をすることは困難である。さらに、近年では、表示面法線方向(以下、「正面方向」という場合がある)のコントラスト(以下、「正面コントラスト」という場合がある)に対する要求も益々高くなっている。
【0004】
また、特許文献2〜4にも、高分子等からなる複屈折フィルムを、TNモード等の捩れ配向モードの液晶表示装置の視野角補償に利用することが提案されている。これらの特許文献には、視野角補償に利用される複屈折フィルム等の面内レターデーション、及びその面内遅相軸と該複屈折フィルムに最も近接に配置される偏光子の透過軸等との関係については記載があるが、厚み方向レターデーションについては記載がなく、即ち、光学的二軸の複屈折フィルムの使用については記載されていない。光学的一軸の複屈折フィルムを利用する従来技術では、視野角特性の改善が十分に行うことはできず、実用上満足いく視野角特性のTNモード液晶表示装置を提供することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−37231号公報
【特許文献2】特開平6−3665号公報(特許第2916331号公報)
【特許文献3】特開平6−148628号公報(特許第3250853号公報)
【特許文献4】特開平11−271760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記諸問題を解決することを課題とする。
具体的には、光学的二軸フィルムを視野角補償に利用した液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置、の視野角コントラストを改善することを課題とする。
また、本発明は、液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置、の視野角コントラストの改善に寄与する、光学的二軸フィルムを有する偏光板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 少なくとも偏光子と、位相差フィルムとを含む偏光板であって、
前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)が、下記3式(I)〜(III)を満足し、
(I) 110nm≦Re(550)+Rth(550)≦220nm
(II) 1nm≦Re(550)
(III) Rth>0.5×Re
前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV)を満足することを特徴とする偏光板。
(IV) 0.01≦Re(550)×sinθ≦0.7
[2] 前記位相差フィルムの遅相軸レンジ及びRe(550)が、下記式(V)を満足する[1]の偏光板:
(V) 0<遅相軸レンジ×Re(550)≦40
遅相軸レンジは、前記位相差フィルムの面内遅相軸の最大値と最小値の差である。
[3] 前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV')を満足する[1]又は[2]の偏光板。
(IV') 0.1≦Re×sinθ≦0.6
[4] 前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV")を満足する[1]〜[3]のいずれかの偏光板。
(IV") 0.2≦Re×sinθ≦0.5
[5] 前記位相差フィルムが、熱可塑性樹脂を主成分として含有するフィルムである[1]〜[4]のいずれかの偏光板。
[6] 前記位相差フィルムが、下記2式(VIa)及び(VIIa)を満足する[1]〜[5]のいずれかの偏光板。
(VIa) 1nm≦Re(550)<30nm
(VIIa) 100nm≦Rth(550)≦180nm
[7] 前記位相差フィルムが、下記2式(VIb)及び(VIIb)を満足する[1]〜[5]のいずれかの偏光板。
(VIb) 30nm≦Re(550)≦70nm
(VIIb) 80nm≦Rth(550)≦150nm
[8] 前記偏光板がロール状である[1]〜[7]のいずれかの偏光板。
[9] [1]〜[8]のいずれかの偏光板の製造方法であって、連続製造により、ロール状の偏光板を作製し、所定の大きさに切断する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
[10] 前記熱可塑性樹脂が、脂環式ポリオレフィンポリマーである[5]〜[9]のいずれかの偏光板。
[11] [1]〜[10]のいずれかの偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
[12] 表示面側及びバックライト側の双方に、[1]〜[11]のいずれかの偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
[13] TNモードである[11]又は[12]の液晶表示装置。
[14] 前記偏光板の配置が、E−モード配置である[10]〜[13]のいずれかの液晶表示装置。
[15] 前記液晶表示装置のバックライト光を集光する光学シートを前記TNモード液晶セルの背面側に有し、該光学シートから出射されたバックライト光の光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下である[11]〜[14]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 前記光学シートが、凸部を液晶セル側へ向けたプリズムシートである[15]の液晶表示装置。
[17] 前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向が、前記表示画面を視認する際に鉛直方向となる[15]又は[16]の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置の視野角コントラストを改善することができる。
また、本発明によれば、液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置の視野角コントラストの改善に寄与する偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の偏光板の一例の断面模式図である。
【図2】本発明の偏光板における軸関係を説明するために用いた模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図である。
【図4】本発明の液晶表示装置における軸関係を説明するために用いた模式図である。
【図5】液晶セルの背面側に有する光学シートとバックライトとの関係の断面模式図である。
【図6】光学シートにおける光路の一例を示す断面図である。
【図7】プリズムシートの製造装置の一例を示す概略図である。
【図8】支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成したプリズムシートAの模式断面図である。
【図9】支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成したプリズムシートAを露光した様子を示した模式断面図である。
【図10】図7の露光後、露光部を洗い流した様子を示した模式断面図である。
【図11】支持体2に白色反射シート10を配置した様子を示した模式断面図である。
【図12】白色反射シートを支持体2から剥離した様子を示した模式断面図である。
【図13】光度と出射角度の関係を各プリズムシートについて正面(0°)で測定した光度(cd)を基準に規格化したグラフである。
【図14】実施例で使用した延伸機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
【0011】
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(単位:nm)及び厚さ方向のレターデーション(単位:nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
【0012】
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
【0013】
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(21)及び数式(22)よりRthを算出することもできる。
【0014】
【数1】

上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、上記式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
【0015】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
【0016】
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0017】
なお、本明細書において、Re、Rth及び屈折率について特に測定波長が付記されていない場合は、測定波長550nmであるものとする。また、特に測定環境について記載がない場合は、温度25℃相対湿度60%RHの環境下で測定した値であるものとする。
【0018】
本明細書において、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
【0019】
1.偏光板
本発明は、少なくとも偏光子と、位相差フィルムとを含む偏光板であって、
前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)が、下記3式(I)〜(III)を満足し、
(I) 110nm≦Re(550)+Rth(550)≦220nm
(II) 1nm≦Re(550)
(III) Rth>0.5×Re
前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV)を満足することを特徴とする偏光板に関する。
(IV) 0.01≦Re(550)×sinθ≦0.7
【0020】
従来、光学補償用の位相差フィルムを偏光子と貼合する際は、その面内遅相軸を偏光子の吸収軸と0°又は90°にして貼合するのが一般的である。これは、クロスニコル配置での位相差フィルムによる光漏れをなくすためである。しかし、本発明者が鋭意検討した結果、位相差フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸との角度を、該位相差フィルムのRe(550)との関係で、上記式(IV)を満足すると、上左右方向にバランスよく視野角を拡大でき、視野角コントラストが顕著に改善されることがわかった。この改善効果は、液晶パネルに斜めに入射する光を補償する作用によるものである。
【0021】
なお、上記した通り、光学的一軸の位相差フィルムを、その面内遅相軸と偏光子の吸収軸とを交差させて配置し、捩れ配向モードの液晶表示装置の視野角補償に利用する従来技術が存在するが、該従来技術は、TNモードの液晶表示装置の黒表示時の正面方向の残留位相差を補償する作用を利用するものであり、本発明とは技術思想が異なる。
【0022】
本発明では、前記位相差フィルムは光学的二軸性フィルムであり、そのRe及びRthはそれぞれ、上記3式(I)〜(III)を満足する限り、特に制限されない。優れた視野角補償能を示す態様としては、以下の2式(VIa)及び(VIIa)
(VIa) 1nm≦Re(550)<30nm
(VIIa) 100nm≦Rth(550)≦180nm
を満足する態様が挙げられ、より好ましくは以下の2式(VIa')及び(VIIa')を満足する態様である。
(VIa') 1nm≦Re(550)<20nm
(VIIa') 110nm≦Rth(550)≦ 150nm
【0023】
また、同様に、優れた視野角補償能を示す態様としては、以下の2式(VIb)及び(VIIb)
(VIb) 30nm≦Re(550)≦70nm
(VIIb) 80nm≦Rth(550)≦150nm
を満足する態様が挙げられ、より好ましくは以下の2式(VIb')及び(VIIb')を満足する態様である。
(VIb') 30nm≦Re(550)<60nm
(VIIb') 90nm≦Rth(550)≦130nm
【0024】
また、本発明の偏光板が有する位相差フィルムの面内遅相軸と、偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、式(IV)を満足する。式(IV)、即ち、前記位相差フィルムのRe(550)との関係で、0.01≦Re(550)×sinθ≦0.7を満足することにより、本発明の効果を得ることができる。前記位相差フィルムは、下記式(IV')
(IV') 0.1≦Re×sinθ≦0.6
を満足するのが好ましく、下記式(IV")
(IV") 0.2≦Re×sinθ≦0.5
を満足するのがより好ましい。
【0025】
一般的には、前記位相差フィルムの面内遅相軸は、表示ムラの観点から、軸バラツキがないのが好ましいとされている。本発明では、前記位相差フィルムは、下記式(V)
(V) 0<遅相軸レンジ×Re(550)≦40
を満足しているのが表示ムラの観点で好ましく、即ち、前記位相差フィルムの面内遅相軸には、軸バラツキがないことが好ましい。より好ましくは、遅相軸レンジ×Re(550)は、0.1〜35であり、さらに好ましくは0.1〜20であり、最も好ましくは0.1〜7である。前記位相差フィルムの遅相軸レンジが大きくなり過ぎると、正面コントラストを低下させる傾向がある。
【0026】
なお、位相差フィルムの遅相軸レンジは、面内遅相軸方位の最大値と最小値との差である。遅相軸レンジは、位相差フィルムの面内遅相軸方位のバラツキの指標となる数値であり、前記位相差フィルムの遅相軸レンジが、Reの値が式(VIa)の時は0.1〜2.0、式(VIb)の時は0.1〜1.0であるのが好ましい。軸レンジの測定方法の詳細は実施例の欄に記載する。
【0027】
本発明の偏光板は、例えば、液晶表示装置の表示面側及びバックライト側の少なくとも一方に配置される偏光板として用いることができる。双方の偏光板が本発明の偏光板であるのが好ましく、双方の偏光板が同一の本発明の偏光板であるのがより好ましい。本発明の偏光板を、液晶表示装置に配置する際は、前記位相差フィルムを、偏光子と液晶セルとの間にして配置するのが好ましい。
【0028】
本発明の偏光板において、前記位相差フィルムは、偏光子の保護フィルムであってもよく、即ち、偏光子と前記位相差フィルムとの間には、これらを貼合するための接着剤層又は粘着剤層のみが配置されていてもよい。偏光子の保護フィルムが、偏光子と前記位相差フィルムとの間に別途配置されていてもよいが、その場合は、該保護フィルムは、前記位相差フィルムの光学特性に影響を与えない程度に、低位相差のフィルムであるのが好ましく、光学的に等方性のフィルムであるのがより好ましい。
【0029】
また、前記偏光子の前記位相差フィルムが配置されているのと反対側の表面(以下、「裏面」という場合がある)には、保護フィルムが配置されているのが好ましい。偏光子の裏面に配置される保護フィルムは、液晶表示装置の表示特性にはほとんど影響しないので、その光学特性については特に制限はない。
【0030】
図1に本発明の偏光板の一例の断面模式図を示す。
図1に示す偏光板は、偏光子10の表面に、所定の光学特性を満足するとともに、偏光子10の保護フィルムとしても機能している、位相差フィルム12が配置され、及び偏光子10の裏面には、保護フィルム14が配置されている。
【0031】
位相差フィルム12は、上記式(I)〜(IV)を満足する光学特性及び面内遅相軸を有する。位相差フィルム12の面内遅相軸bと、偏光子10の吸収軸aとの関係の例を、図2(a)及び(b)にそれぞれ模式的に示す。位相差フィルム12の面内遅相軸bは、例えば、図2(a)に示す通り、偏光子10の吸収軸aと平行の関係からずれていて、θ(例えば、0.1〜89.9°)で交差している。また、位相差フィルム12の面内遅相軸bは、例えば、図2(b)に示す通り、偏光子10の吸収軸aと直交する透過軸a’とθ(例えば、0.1〜89.9°)で交差していて、即ち偏光子10の吸収軸aと、角度φ(=90°−θ;例えば0.1〜89.9°)で交差している。
【0032】
図3に、本発明の液晶表示装置の一例の断面模式図を示す。
図3に示す液晶表示装置は、図1に示す本発明の偏光板を、液晶セル16の表示面側及びバックライト側にそれぞれ有する。それぞれの偏光板は、位相差フィルム12を液晶セル16と偏光子10との間にして、配置されている。一対の偏光子10は、互いの吸収軸aを直交にして、即ち、クロス二コル配置になっている。
【0033】
双方の偏光板は同一の偏光板であるのが好ましい。例えば、偏光子10の吸収軸aと、位相差フィルム12の面内遅相軸bとが、図2(a)の関係である同一の偏光板を配置した場合の各軸の関係の例を、図4に模式的に示す。なお、図4中、説明を容易にするために、一方の偏光板の含まれる偏光子10の吸収軸をa1、及び位相差フィルム12の面内遅相軸をb1と表示し、それぞれ実線で示し、他方の偏光板に含まれる偏光子10の吸収軸をa2、及び位相差フィルム12の面内遅相軸をb2と表示し、それぞれ破線で表示する。図4に示す通り、一対の偏光子10は、それぞれの吸収軸a1及びa2を互いに直交にして配置されている。位相差フィルム12の面内遅相軸b1及びb2はそれぞれ、吸収軸a1及びa2とθ(例えば0.1〜89.9°)で交差しているので、面内遅相軸b1及びb2は90−2θ(例えば0.2〜89.8°)で交差している。
【0034】
液晶セル16は、Δndが350〜450nm程度のTNモード液晶セルであって、電圧無印加時に液晶層は90°捩れ配向状態になっているが、駆動電圧印加によって、液晶層の捩れ配向状態は強制され、基板面に対して垂直配向状態になる。この時、液晶セル16に斜め方向から入射する光が液晶分子を通過する際に変化したレターデーションを式(I)〜(IV)を満足する光学特性および面内遅相軸を有する位相差フィルム12で補償することで、黒表示時の斜め方向の視野角補償に寄与する。それにより、液晶表示装置の黒表示時の斜め方向の光漏れは軽減され、即ち、視野角コントラストが改善される。
【0035】
液晶セル16と、一対の偏光板それぞれとの関係は、E−モード配置であっても、O−モード配置であってもよいが、E−モード配置のほうが、視野角コントラストの改善効果が高くなるので好ましい。なお、E−モード配置とは、基板上の液晶分子の配向方向と偏光板の透過軸が平行の配置をいい、O−モード配置とは、基板上の液晶分子の配向方向と偏光板の透過軸が直交の配置をいう。
【0036】
本発明の液晶表示装置の構成は、図3の構成例に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない限り、従来のTNモード液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。
【0037】
以下、本発明の偏光板に利用される各部材の製造に利用可能な材料及び方法等について説明する。
(1)位相差フィルム
本発明に係わる位相差フィルムは、上記特性を満足する限り、その材料及び製法については特に制限はない。高分子(樹脂及び重合体の双方を含む意味で用いる)を主成分(最も高い割合で含有される成分であって、一般的には50質量%以上含有される成分である)として含有するフィルムであるのが好ましい。高分子の例としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、アセチル・プロピオニル・セルロース(CAP)、及びアセチル・ブチリル・セルロース(CAB)等のセルロースアシレート;アクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアレート樹脂;ポリイミド系樹脂;環状ポリオレフィン系(ノルボルネン系)樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;等が含まれる。これらの高分子の例には、共重合、分岐、架橋、分子末端修飾、及び立体規則変性等の変性処理が施されたものも含まれる。これらの高分子の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて主成分として用いることができる。また、これらの高分子を主成分として含む市販品のフィルムをそのまま、又は光学特性を調整するための処理をした後に、使用してもよい。
【0038】
熱可塑性樹脂を主成分として含む位相差フィルムは、偏光板加工適正、光学発現性、透明性、機械特性、耐久性、コスト等の観点から好ましい。熱可塑性樹脂の例には、上記セルロースアシレート、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及びノルボルネン系樹脂が含まれる。
【0039】
前記位相差フィルムは、主成分高分子とともに、1種以上の添加剤を含有していてもよい。添加剤は種々の目的で添加される。一例は、レターデーションの発現等を目的として添加されるレターデーション発現剤である。本発明に用いる位相差フィルムは、レターデーション発現剤を含んでいてもよい。レターデーション発現剤を採用することにより、低延伸倍率で高いRe発現性を得られる。レターデーション発現剤の種類としては、特に定めるものではないが、棒状または円盤状化合物からなるものや、前記非リン酸エステル系の化合物のうちレターデーション発現性を示す化合物を挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
【0040】
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。レターデーション発現剤としては、例えば特開2004−50516号公報、特開2007−86748号公報に記載されている化合物を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
円盤状化合物としては、例えば欧州特許出願公開第0911656A2号明細書に記載の化合物、特開2003−344655号公報に記載のトリアジン化合物、特開2008−150592号公報[0097]〜[0108]に記載されるトリフェニレン化合物も好ましく用いることもできる。
円盤状化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法、特開2005−134884号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。
前述の円盤状化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができ、例えば特開2008−150592号公報[0110]〜[0127]に記載される棒状化合物を好ましく用いることができる。
【0042】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより長波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0043】
〈可塑剤〉
前記位相差フィルムは、可塑剤を含有していてもよい。前記位相差フィルムの主成分(例えばセルロースアシレート)との相溶性が良い可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、更に含水率及び透湿度を低減させるので、高品質で高耐久性を有するフィルムを得るのに有効である。
【0044】
前記位相差フィルムに使用可能な可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系化合物、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくは多価アルコール系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、さらに好ましくは糖エステル系可塑剤である。
特にポリエステルオリゴマー系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、糖エステル系可塑剤、及びエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤はセルロースアシレートとの相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、好ましい。
【0045】
位相差フィルムとして二軸性フィルムを用いる態様では、中でも、可塑剤として、糖エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、及び多価アルコール系可塑剤は、光学発現性に優れるために特に好ましく、糖エステル系可塑剤はさらにセルロースアシレートと構造が近いために、非常に低ヘイズなフィルムの作製が可能となるため、最も好ましい。
【0046】
本発明において、可塑剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。可塑剤を2種類以上混合して使用する場合、1種類のみを用いることよりも相溶性が良好となり、ブリードアウト低減、低ヘイズとなる可能性が高い。これは、セルロースアシレートフィルムとの1種の可塑剤との相溶性を、他の1種の可塑剤が相溶化剤的に働くことで改善させるからであると推定している。
可塑剤を2種類以上混合して使用する場合、少なくとも1種は糖エステル系可塑剤、またはポリエステルオリゴマー系可塑剤であることが好ましく、糖エステル系可塑剤であることがさらに好ましい。
【0047】
前記位相差フィルムにおいて、可塑剤の含有量は、主成分ポリマー(例えばセルロースアシレート)に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましく、7〜15質量%であることが特に好ましい。
【0048】
〈リン酸エステル系可塑剤〉
リン酸エステル系可塑剤としては特に限定されないが、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートなどが挙げられる。
【0049】
〈フタル酸エステル系可塑剤〉
フタル酸エステル系可塑剤としては特に限定されないが、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、メチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレートなどが挙げられる。
【0050】
〈グリコレート系可塑剤〉
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0051】
〈多価アルコールエステル系可塑剤〉
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
【0052】
本発明に好ましく用いることのできる多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0053】
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0054】
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
【0055】
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量がこの範囲であると、低揮散で、透湿性、セルロースエステルとの相溶性も良好であって好ましい。
【0056】
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化されていてもよいし、一部がOH基のままのこっていてもよい。
【0057】
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
【化1】

【0058】
【化2】

【0059】
【化3】

【0060】
【化4】

【0061】
〈ポリエステルオリゴマー系可塑剤〉
本発明におけるポリエステルオリゴマーは、ジオールとジカルボン酸とから、例えば、混合して得られる重縮合体である。
ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は300〜3000であることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーの数平均分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて通常の方法で測定することができる。
例えば、カラム(東ソー(株)製 TSKgel Super HZM−H、TSKgel Super HZ4000及びTSKgel Super HZ2000)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.35ml/minとし、検出をRI、注入量を10μl、試料濃度を1g/lとし、また標準試料としてポリスチレンを用いて行うことができる。
【0062】
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらジカルボン酸は、ポリエステルオリゴマー中には、ジオール残基とのエステル結合するジカルボン酸残基として含まれる。
【0063】
芳香族ジカルボン酸残基:
芳香族ジカルボン酸残基は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合体に含まれる。
芳香族ジカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−COーである。
本発明に用いるポリエステルオリゴマーを構成する全ジカルボン酸残基中の芳香族ジカルボン酸残基比率は特に限定されないが、40mol%〜100mol%であることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースアシレートフィルムが得られる。
【0064】
本発明に用いる芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステルオリゴマーには混合に用いた芳香族ジカルボン酸により芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
【0065】
芳香族ジカルボン酸は、平均炭素数が8.0〜12.0であることが好ましく、8.0〜10.0であることがより好ましく、8.0であることが更に好ましい。この範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。また、光学用途として光学補償フィルムに用いるに適した異方性を十分に発現し得るセルロースアシレートフィルムとすることができるため好ましい。
【0066】
具体的には、芳香族ジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸の少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはフタル酸、テレフタル酸の少なくとも1種を含み、更に好ましくはテレフタル酸を含む。すなわち、ポリエステルオリゴマーの形成における混合に、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いることで、よりセルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースアシレートフィルムとすることができる。また、芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。2種用いる場合は、フタル酸とテレフタル酸を用いることが好ましい。
【0067】
脂肪族ジカルボン酸残基:
脂肪族ジカルボン酸残基は、ジオールと脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合体に含まれる。
本明細書中では、脂肪族ジカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−である。
本発明で好ましく用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
重縮合体には混合に用いた脂肪族ジカルボン酸より脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
脂肪族ジカルボン酸残基は、平均炭素数は特に限定されないが、4.0〜6.0であることが好ましく、4.0〜5.0であることがより好ましく、4.0〜4.8であることが更に好ましい。この範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。
具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましく、2種用いる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
すなわち、ポリエステルオリゴマーの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよく、2種用いる場合は、コハク酸とアジピン酸を用いることが好ましい。
コハク酸とアジピン酸の2種の脂肪族ジカルボン酸を用いることにより、ジオール残基の平均炭素数を少なくすることができ、セルロースアシレートとの相溶性の点で好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が4.0未満では合成が困難となるため、使用できない。
【0068】
ジオール:
ジオール残基は、ジオールとジカルボン酸とから得られたポリエステルオリゴマーに含まれる。
本明細書中では、ジオール残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリオゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジオールHO−R−OHより形成されるジカルボン酸残基は−O−R−O−である。
ポリエステルオリゴマーを形成するジオールとしては芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが挙げられ、特に限定はされないが、脂肪族ジオールが好ましい。
ポリエステルオリゴマーのジオールは特に限定はされないが、平均炭素数が2.0以上3.0以下の脂肪族ジオール残基を含むことが好ましい。脂肪族ジオール残基の平均炭素数が3.0より大きいとセルロースアシレートとの相溶性が低く、ブリードアウトが生じやすくなり、また、化合物の加熱減量が増大し、セルロースアシレートェブの乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障が発生する可能性が高まる。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数が2.0未満では合成が困難となるため、使用できない。
【0069】
前記脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
【0070】
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。2種用いる場合は、エチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーには混合に用いたジオールによりジオール残基が形成される。
【0071】
封止:
前記ポリエステルオリゴマーの両末端は封止、未封止を問わないが、より好ましくは封止しているものである。
ポリエステルオリゴマーの両末端が未封止の場合、重縮合体はポリエステルポリオールであることが好ましい。
ポリエステルオリゴマーの両末端が封止されている場合、モノカルボン酸と反応させて封止することが好ましい。このとき、該重縮合体の両末端はモノカルボン酸残基となっている。
【0072】
本明細書中では、モノカルボン酸残基とはポリエステルオリゴマーの部分構造で、ポリエステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。モノカルボン酸封止は芳香族モノカルボン酸、脂肪族カルボン酸のどちらを用いてもよい。モノカルボン酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましい。封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
【0073】
本発明に係るポリエステルオリゴマーの合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、本発明に係るポリエステルオリゴマーについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
【0074】
本発明のポリエステルオリゴマーが含有する原料の脂肪族ジオール、ジカルボン酸エステル、又はジオールエステルのセルロースアシレートフィルム中の含有量は、1質量%未満が好ましく、0.5質量%未満がより好ましい。ジカルボン酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、アジピン酸ジ(ヒドロキシエチル)、コハク酸ジ(ヒドロキシエチル)等が挙げられる。ジオールエステルとしては、エチレンジアセテート、プロピレンジアセテート等が挙げられる。
【0075】
ポリエステルオリゴマーの水酸基価の測定は、日本工業規格 JIS K3342(廃止)に記載の無水酢酸法当を適用できる。ポリエステルオリゴマーがポリエステルポリオールである場合は、水酸基価が55以上220以下であることが好ましく、100以上140以下であることが更に好ましい。
【0076】
以下に、本発明に利用可能なポリエステルオリゴマー系可塑剤の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
【0077】
【表1】

【0078】
〈糖エステル系可塑剤〉
糖エステル系可塑剤で好ましいものとしては、フラノース構造又はピラノース構造を1個以上12個以下有する化合物中の水酸基の少なくとも1つをエステル化したエステル化合物が挙げられる。
【0079】
フラノース構造又はピラノース構造を1個以上12個以下有する化合物中の水酸基の少なくとも1つをエステル化したエステル化合物としては、
フラノース構造又はピラノース構造を1個有する化合物(化合物(A))中の水酸基の全てもしくは一部をエステル化したエステル化化合物;及び
フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を2個以上12個以下結合した化合物(化合物(B))中の水酸基の全てもしくは一部をエステル化したエステル化化合物;が挙げられる。
以下、化合物(A)のエステル化化合物、及び化合物(B)のエステル化化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
また、前記エステル化化合物が単糖類(α−グルコース、β−フルクトース)の安息香酸エステル、若しくは下記一般式(5)で表される単糖類の−OR512、−OR515、−OR522、−OR525の任意の2つ以上が脱水縮合して生成したm5+n5=2〜12の多糖類の安息香酸エステルであることが好ましい。
【0080】
【化5】

【0081】
前記一般式中の安息香酸は更に置換基を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。
好ましい化合物(A)及び化合物(B)の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(A)の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、或いはアラビノースが挙げられる。
化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース或いはケストース挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有する化合物が好ましい。例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。また、化合物(B)において、フラノース構造若しくはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上3個以下結合した化合物であることも、好ましい態様の1つである。
【0082】
本発明における化合物(A)及び化合物(B)中の水酸基の全て若しくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
【0083】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
【0084】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
【0085】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
【0086】
上記化合物(A)及び化合物(B)をエステル化したエステル化化合物の中では、エステル化によりアセチル基が導入されたアセチル化化合物またはベンゾイル基が導入されたベンゾイル化化合物、またはアセチル基とベンジル基の両方が導入された化合物が好ましい。
【0087】
上記化合物(A)及び化合物(B)のエステル化化合物に加えて、オリゴ糖のエステル化化合物を、フラノース構造若しくはピラノース構造の少なくとも1種を3〜12個結合した化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
【0088】
(エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤)
エチレン性不飽和モノマー共重合体を構成するエチレン性不飽和モノマーは、特に限定はされないが、下記のものが好ましく用いられる。
例えば、メタクリル酸及びそのエステル誘導体(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アクリル酸及びそのエステル誘導体(アクリル酸メチル、アクリル酸エチルアクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等)、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等)、アルキルビニルエステル(ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、スチレン誘導体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和化合物等を挙げることができる。これらは1種単独で、又は2種以上混合して共重合させることができる。
【0089】
これらエチレン性不飽和モノマーの内、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル)、アルキルビニルエステル(ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、スチレン誘導体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)が好ましく、メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルが更に好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましく、メタクリル酸メチルとアクリル酸のオリゴマーが特に好ましい。
【0090】
本発明に用いられるエチレン性不飽和モノマーは、市販品として入手又は公知の文献を参照して合成することができる。
【0091】
本発明に用いられるエチレン性不飽和モノマーの数平均分子量は特に限定されないが、300〜1100000が好ましく、より好ましくは800〜3000である。分子量が前記範囲の共重合体には、一般的にはオリゴマーに分類されるものも含まれる。
数平均分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて通常の方法で測定することができる。
例えば、カラム(東ソー(株)製 TSKgel Super HZM−H、TSKgel Super HZ4000及びTSKgel Super HZ2000)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.35ml/minとし、検出をRI、注入量を10μl、試料濃度を1g/lとし、また標準試料としてポリスチレンを用いて行うことができる。
【0092】
前記位相差フィルムは、その他の添加剤、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、マット剤などを含有していてもよい。
【0093】
前記位相差フィルムの製膜方法についても特に制限はない。溶液製膜法であっても、溶融製膜法であってもよい。また、所望の光学特性を達成するために、延伸処理又は緩和処理を行ったフィルムを用いてもよい。延伸処理等は、製造時のフィルムの搬送方向(MD)に対して平行に行っても、直交する方向(TD)に沿って行ってもよい。また二軸方向に同時又は逐次的に延伸処理等を実施してもよい。さらに、面内遅相軸をフィルムの長手方向に対してθだけずらすために、当該方向に沿って延伸処理を実施してもよい。
【0094】
また、上記した通り、本発明に用いる位相差フィルムの遅相軸レンジは、上記式(V)を満足しているのが好ましく、そのためには、面内遅相軸レンジが小さいことが好ましい。上記式(V)を満足する位相差フィルムを作製するためには、延伸、熱処理、水蒸気加熱等の処理を行うのが好ましい。
【0095】
前記位相差フィルムの厚みについても特に制限はないが、一般的には、10〜100μmであるのが好ましく、20〜50μmであるのがより好ましい。
【0096】
(2)偏光子
本発明に用いる偏光子については特に制限はない。例えば、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸した偏光膜等を用いることができる。前記位相差フィルムと偏光膜とを貼り合わせる際に用いる接着剤としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例えば、ポリブチルアクリレート)のラテックスを用いることができる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液である。
【0097】
(3)保護フィルム
上記した通り、偏光子の裏面には、偏光子を保護するための保護フィルムが貼合されているのが好ましい。保護フィルムとして利用可能なフィルムについては、位相差フィルムと同様である。また偏光子との貼合に利用する接着剤についても上記と同様である。
【0098】
(4)偏光板の作製方法
偏光板の作製方法についても特に制限はない。連続生産により長尺状の偏光板を作製し、その後所望の大きさに切断してもよいし、あらかじめ所望の大きさに切断した各部材を貼合してもよい。一例は、長尺の偏光膜、長尺の位相差フィルム、及び長尺の保護フィルムを準備し、長手方向を一致させて、ラミネーションする方法である。この方法によれば、ロール・ツゥ・ロール方式で、連続的に偏光板を作製できるので好ましい。この方法によれば、ロール状の偏光板が得られる。
【0099】
2.液晶表示装置
本発明は、本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。本発明の液晶表示装置は、TNモードであるのが好ましい。TNモード液晶セルの上下に、本発明の偏光板をそれぞれ配置するのが好ましく、同一の偏光板をそれぞれ配置するのがより好ましい。
【0100】
TNモード液晶セルのΔndについては特に制限はないが、一般的には、350〜450nmであるのが好ましい。本発明の効果を損なわない限り、従来公知のTNモード液晶セルのいずれの構成も採用することができる。
【0101】
本発明の液晶表示装置は、バックライト光を集光する光学シート(凹凸部が形成された支持体)を用いることがより好ましく、液晶表示装置の黒表示時の光モレを軽減し、正面コントラストを向上することができる。
【0102】
本発明の液晶表示装置は、バックライト光を集光する光学シートを前記TNモード液晶セルの背面側に有することが好ましく、さらに該光学シートから出射されたバックライト光の光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に傾けられた出射角度が50°〜85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下であることが好ましい。
【0103】
前記光学シートはバックライト光を集光する目的で使用され、例えば図5に示すような、光源42(図示は直下型バックライトであるが、側面に光源があり、導光板を用いたバックライトでも同様)からの出射光は、光学シート(集光シート)41に入射し、入射光の一部は光学シート41で屈折透過して出射の角度が変わり正面方向に出射し、残りが反射して光源42の方向に戻される。光学シート41からの反射光は、光源42、拡散板43、拡散シート44などの表面で反射され、再び光学シート41に入射する。
このような構成とすることにより、元々の光源の出射光の角度分布は広く分散しており、正面の輝度は低くなる特性を有しているため、光学シート41によって光源からの光を正面方向の輝度が高くなるように指向特性を改善することができる。
【0104】
図6は、上記のような光学シート41における光路を示す断面図である。図6に示すように、入射した光は、光学シート41を屈折透過する際に、正面方向に屈折する成分Aと、正面方向ではなく、正面から離れる方向に屈折する成分Bと、表面で反射する成分Cに分けられる。これらの光の成分のうち、前記成分Aは、正面方向即ち観察方向に出射されるものであり、実際に利用される光である。前記反射される成分Cは、拡散シートなどの表面で拡散反射して、光学シートに入射する角度を変え、一部は成分Aに変換され正面方向に出射する。この反射を繰り返すことにより、成分Cの多くは成分Aに変換され、出射面の正面方向の輝度を増加させる。
これに対して、図6のX部分を通過する光の成分Bは、液晶表示装置等の有効な視野角外に広角度で出射する光(以下、サイドローブ光と称する)であり、正面輝度の増加には寄与しない。
さらに、サイドローブ光は、画面の法線方向から極端にかけ離れた角度で液晶パネルに入射し、液晶セルの液晶分子、カラーフィルター、位相差フィルム等により正面に散乱された光成分は、黒表示輝度の著しい増加や、細線表示の鮮明性低下の原因となっていた。
【0105】
本発明の液晶表示装置に好ましく用いられ、バックライト光を集光する光学シートは、サイドローブ光を少なくすることができ、黒表示の輝度上昇を防止し、さらに細線表示の鮮明性を向上させる効果を奏する。
該光学シートから出射されたバックライト光の光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下であることが好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることが特に好ましい。
【0106】
また、上記光学シートを用いた場合に該光学シートから出射されたバックライト光の光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線方向(正面)の光量が半分となる出射角度(画面の法線から前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向への角度)としては、50°未満であることが好ましく、45°以下であることがさらに好ましく、40°以下であることが特に好ましい。
【0107】
視認者側から見てTNモード液晶セルの表示画面は、通常、横長画面の長辺を水平方向として、液晶セル内の液晶分子の配向方向を45°から135°にツイストし、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向が鉛直方向となるよう画面を配置するが、用途によっては逆に配置した液晶表示装置であってもよい。
前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に上記光学シートが集光し、且つその方向のサイドローブ光が少ない場合に顕著な効果を奏し、好ましいが、液晶セルの画素とのモアレを防止するためにプリズムの稜線を画素のブラックマトリックスに対して1〜20°の範囲で傾けてもよい。
【0108】
《凹凸部が形成された支持体》
前記支持体は、集光性の凹凸部が形成された第一の表面を有し、支持体の形状、構造、大きさ、厚み、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造でも積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記光学シートの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.005〜4.0mmが好ましい。ここで、前記支持体の厚みは、例えば、支持体を測定計で挟んで支持体の厚みを測定する膜厚計、光学的な干渉を利用して支持体の厚みを測定する非接触膜厚計等を使用することにより測定することができる。
【0109】
前記支持体の材料としては、本質的に可視光吸収性がなく透明であり、ある程度の強度(剛性)を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができる。
前記剛性とは、具体的には、JIS P8125規格に記載されているテーバー剛度として測定可能な支持体の物性のことを表す。
【0110】
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
<凹凸部>
前記凹凸部の凹凸形状の周期(ピッチ)としては、5〜150μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。前記凹凸形状の周期(ピッチ)が、150μmを超えると、ディスプレイ用に用いた場合、微小凹凸が視認されやすくなり、ギラツキ感が生じる場合がある。前記周期(ピッチ)が、5μm未満であると、規則的な周期で凹凸形状を配置することが困難となる。
前記凹凸形状の周期(ピッチ)の規則性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記凹凸形状の周期(ピッチ)が一定値でない場合、その周期の変化は10倍以内が好ましく、4倍以内がより好ましい。前記周期変化が、10倍を超えると、正面方向の輝度上昇の効率が極端に低下することがある。
また、前記凹凸部の高さとしては、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。前記凹凸部の高さが、1μm未満であると、高度の集光性を発現することが困難となることがあり、100μmを超えると、凹凸部の機械的な強度が低下し、掻き傷等の欠陥が発生しやすくなったり、凹凸が視認されやすくなりギラツキ感が生じることがある。
【0112】
前記凹凸部が形成された支持体としては、具体的には、プリズムシート、波型のレンチキュラーシート、同形状のレンズ単位を縦・横配列したフライアイレンズシートなどが挙げられ、プリズムシートが好ましい。
前記プリズムシートとしては、長尺なプリズムレンズが支持体上に複数平行に配列されたものが代表的であり、該プリズムの断面形状としては(プリズムレンズの長手方向と直交する断面の形状)、三角形状の他、台形や平行四辺形であってもよく、平坦部があれば、山、谷の形状は丸みを帯びていてもよい。
また、三角錐状、四角錐状などのプリズムレンズが、支持体上に複数個、一定間隔又はランダムに2次元的に配置されたもの(以下、ピラミッドシートと称することがある)であってもよいし、支持体に、三角錐状、四角錐状などの凹部が、一定間隔又はランダムに2次元的に形成されたもの(以下、逆ピラミッドシートと称することがある)であってもよい。
【0113】
<プリズムシート>
該プリズムの断面形状としては、三角形状が好ましく、とりわけ二等辺三角形状がより好ましく、凸部を液晶セル側へ向けたプリズムシートであることが導光板とのマッチングが容易であるため、汎用性が高く、好ましい。
該プリズムの断面形状の特徴として、三角形状の頂角が95〜130°が好ましく、100〜120°がより好ましい。前記頂角が95°未満であると、サイドローブ光の影響により、黒表示輝度の著しい増加や、細線表示の鮮明性低下の原因となりやすい。
一方、前記頂角が130°を超えると、集光効果が低下し、正面方向の輝度が低下することがある。
【0114】
また、該プリズム断面形状の三角形状の頂角が95°未満であっても、プリズム部とは別に光学調整部を支持体に設けることにより、サイドローブ光を低減することができ、もう一つの好ましい態様である。
前記光学調整部は、前記支持体上の面内に所定の間隔をもって複数に配設され、特開2008−003515号公報、特開2008−176197号公報に記載された光学シートの光学調整部と同義であり、光反射性を有するもの、光拡散性を有するもの、屈折率差を利用するものがあり、特に光反射性を有する光学調整部であることが好ましい。
【0115】
前記凹凸部(プリズム構造)の材料としては、特に制限はないが、正面輝度向上の観点から、屈折率の高いものが好ましい。このような樹脂としては、ベンゼン環やナフタレン環等の芳香環構造、Br、及びCl等のハロゲン、硫黄の含有率が高い有機化合物が挙げられる。
前記樹脂を、UV硬化性樹脂として用いる場合は、上記のような構造を含有し、更に、(メタ)アクロイル基、ビニル基、エポキシ基等の反応性基含有化合物と、紫外線等の放射線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうる、ラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物とを混合した組成物などが挙げられる。特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基等の不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤との組み合わせが好ましい。
【0116】
前記反応性基含有化合物としては、(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの放射線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。この(メタ)アクロイル基含有化合物としては(メタ)アクロイル基が1個あるいは2個以上含有した化合物を用いることができる。また、上記のアクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマー)は必要に応じて、単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。
反応性基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクロイル基含有化合物、芳香環を有する単官能モノマー、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマー、ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマー、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマーなどが挙げられる。
【0117】
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマーとしてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0118】
更に芳香環を有する単官能モノマーとして、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような、芳香環を有する単官能モノマーの市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0119】
また、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどのアルキルジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのポリアルキレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0120】
ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマーとしては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような構造を有する不飽和モノマーの市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
【0121】
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマーとしては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパンリト(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、市販品としては、アロニックスM305、M309、M310、M315、M320、M350、M360、M408(以上、東亞合成(株)製、ビスコート#295、#300、#360、GPT、3PA、#400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT(以上、新中村化学(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製、KAYARAD PET−30、GPO−303、TMPTA、TPA−320、DPHA、D−310、DPCA−20、DPCA−60(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0122】
加えてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロールクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロールクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の硬化性組成物の粘度を適度に保つ上で好ましい。
【0123】
これらウレタン(メタ)アクリレートの市販品のモノマーとしては、例えばアロニックスM120、M−150、M−156、M−215、M−220、M−225、M−240、M−245、M−270(以上、東亞合成(株)製)、AIB、TBA、LA、LTA、STA、ビスコート#155、IBXA、ビスコート#158、#190、#150、#320、HEA、HPA、ビスコート#2000、#2100、DMA、ビスコート#195、#230、#260、#215、#335HP、#310HP、#310HG、#312(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DMP−A、THF−A、IB−XA、HOA、HOP−A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、NP−A、1,6HX−A、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARADTC−110S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620(以上、日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
【0124】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)有機ポリイソシアネート及び(c)ポリオールの反応物として得られるものであるが、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)ポリオールを反応させた反応物であることが好ましい。
【0125】
以上の不飽和モノマーは単独で用いてもよく、必要に応じて複数種を混合して用いてもよい。
【0126】
光ラジカル重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0127】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure114、369、651、500、119、907、714、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11150、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、LucirinLR1728、1193X(以上BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、KIP150(ランベルティ社製)等が挙げられる。これらの中で、液状で溶解しやすく、高感度という観点からはLucirinLR1193Xが好ましい。
【0128】
光ラジカル重合開始剤は全組成物中に、0.01〜10質量%、特に0.5〜7質量%配合されるのが好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性および光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
【0129】
前記組成物には更に光増感剤を配合することができ、当該光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、例えばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0130】
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。
【0131】
ここで、酸化防止剤としては、例えばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−10(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、例えばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、例えばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤や、非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられ、シリコーン添加剤の市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)、非イオン性フルオロ界面活性剤の市販品としてはFC−430、FC−171(以上 3M(株))、メガファックF−176、F−177、R−08(以上 大日本インキ(株)製)挙げられ、離型剤としてはプライサーフA208F(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0132】
前記組成物は、粘度調整のために有機溶剤を含有していてもよい。粘度調整のための有機溶剤としては、前記組成物と混合した時に、析出物や相分離、白濁などの不均一なく混合できるものであればよく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、2−メトキシエタノ−ル、シクロヘキサノ−ル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエンなどが挙げられ、必要に応じてこれらを複数種混合して用いてもよい。有機溶剤を添加した場合は、製品の製造工程中にて、有機溶剤を乾燥、蒸発する工程が必要になるが、蒸発残りの溶剤が大量に製品に残留した場合、製品の機械物性が劣化したり、製品として使用中に有機溶剤が蒸発、拡散し、悪臭や健康に悪影響を及ぼす懸念がある。このため、有機溶剤としては、高沸点のものは残留溶剤量が多くなり好ましくない。ただし、あまりに低沸点の場合は、激しく蒸発するため、面状が荒れたり、乾燥時の気化熱により組成物表面に結露水が付着して、この跡が面状欠陥になったり、蒸気濃度が高くなり引火等の危険が増す。従って、有機溶剤の沸点としては50℃以上から150℃以下が好ましく、更に好ましくは70℃から120℃の間である。素材の溶解性や、沸点の観点から有機溶剤としてはメチルエチルケトン(bp.79.6℃)、1−プロパノ−ル(bp.97.2℃)などが好ましい。
【0133】
前記組成物に添加される有機溶剤の添加量は、溶剤の種類や、溶剤添加前の前記組成物の粘度にもよるが、十分に塗布性が改善されるためには、10質量%から40質量%の間であり、好ましくは15質量%から30質量%である。あまり少量だと粘度低減の効果や塗布量アップの効果が小さく塗布性が十分に改良されない。しかし多く希釈しすぎると、粘度が低すぎてシート状体の上で液が流動してムラが発生したり、シート状体の裏面に液が回るなどの問題が発生する。また、乾燥工程にて十分に乾燥しきれず、製品中に有機溶剤が多量に残留してしまい、製品機能の劣化や、製品使用中に揮発して悪臭を発生したり、健康への悪影響を及ぼす懸念が生じる。
【0134】
前記組成物は、前記各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。
このようにして調製される前記組成物の粘度は、通常10〜50,000mPa・s/25℃である。基材やエンボスロ−ルに樹脂液を供給する場合は、粘度が高すぎると、均一に組成物を供給するのが難しくなり、レンズを製造する際、塗布むらやうねり、気泡の混入が生じたりするため、目的とするレンズ厚を得るのが難しくなり、レンズとしての性能を十分に発揮できない。特に、ラインスピ−ドを高速化したときにその傾向が顕著になる。従ってこの場合は、液粘度が低い方が好ましく、10〜100mPa・sであり、更に好ましくは、10〜50mPa・sである。このような低い粘度は前記の有機溶剤を適当量添加することにより調整が可能である。また、塗布液の保温設定により、粘度を調整することも可能である。一方、溶剤蒸発後の粘度が低すぎるとエンボスロ−ルで型押しする際、レンズ厚のコントロールが難しく、一定厚の均一なレンズを形成できない場合があり、好ましい粘度は100〜3,000mPa・sである。有機溶剤を混合している場合は、前記組成物の供給からエンボスロ−ルで型押しするまでの工程間に、有機溶剤を加熱乾燥などにより蒸発させる工程を設けることにより、樹脂液供給時は低粘度で均一に液供給ができ、エンボスロ−ルで型押しする際は、有機溶剤を乾燥させより高粘度化させた前記組成物で均一に型押しすることが可能になる。
【0135】
ここで、前記組成物を硬化させることにより、得られる硬化物は以下の物性を有するものであることが特に好ましい。第1に、その硬化物の25℃での屈折率が、1.55以上が好ましく、1.56以上がより好ましい。屈折率が1.55未満であると、本組成物を用いて光学シートを形成した場合、十分な正面輝度を確保することができない場合が生ずる。
【0136】
第2に、その硬化物の軟化点は、40℃以上、特に50℃以上であるのが好ましい。軟化点が40℃未満の場合は耐熱性が十分でない場合がある。
【0137】
更に、高屈折率な無機微粒子材料を含有させることにより高屈折化した材料も用いることができる。このような無機高屈折材料としてはSi(屈折率3.5)、TiO2(屈折率2.2〜2.7)、CeO2(屈折率2.2)、ZrO2(屈折率2.1)、In23(屈折率2.0)、La23(屈折率1.95)、SnO2(屈折率1.9)、Y23(屈折率1.82)、Sb25(屈折率2.09〜2.29)、などが挙げられる。
前記高屈折率な無機微粒子の粒子径は、小さい方が樹脂の透明性が高くなり好ましい。具体的には、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。
前記高屈折率な無機微粒子は、通常のUV硬化性樹脂に混合して使用することができる。このため、上記のような高屈折率のUV硬化性樹脂に混合することにより、より高屈折率なUV硬化性樹脂を得ることができる。
また、前記プリズムシートは、ポリカーボネートなどの熱可塑性のシートが溶融状態のうちに金属製の鋸歯状のプリズムシート原盤ロールを押し当てる方法、同じく熱可塑性の樹脂を片側に鋸歯状の形状をもった原盤の中に押し出し成型する方法などによっても作成することができる。
【0138】
(光学シートの製造方法)
本発明の光学シートの製造方法は、感光層形成工程と、露光工程と、光学調整部形成工程とを少なくとも含む単位工程を複数回有し、必要に応じて、凹凸部形成工程、現像工程(液体現像工程)、第二の支持体形成工程などのその他の工程を含んでなる。
なお、本実施形態における光学シートの製造方法では、感光層形成工程、露光工程、及び光学調整部形成工程が、少なくともこの順で行われる単位工程を複数回行うため、例えば、第1の感光層形成工程、第1の露光工程、及び第1の光学調整部形成工程が行われた後に、前記支持体と略同じ光学特性を示す支持層を形成する支持層形成工程が行われ、該支持層に再び感光層を形成する第2の感光層形成工程、第2の露光工程、及び第2の光学調整部形成工程が行われることとなる。したがって、感光層、及び光学調整部は、前記支持体の厚さ方向において所定間隔をもって複数回形成されることとなる。
【0139】
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、支持体の少なくとも一方の表面(第一の表面)に、光を集光乃至散乱させる凹凸部を形成する工程である。市販のプリズムシート、レンチキュラーレンズシート、フライアイレンズシート、拡散シートなどを用いる場合は、該凹凸部形成工程を省くことができる。
前記凹凸部は、本発明の光学シートにおける支持体の第一の表面とは反対側に位置する面(後述する第四の表面)にも形成してもよい。
前記凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、支持体上に、光硬化性樹脂などを含む塗布液を塗布し、凹凸を形成した金型などに押し付けた状態で、露光し、前記光硬化性樹脂を硬化させた後、金型を外すことにより形成することができる。
また、前記凹凸部は、ポリカーボネートなどの熱可塑性のシートが溶融状態のうちに金属製の鋸歯状のプリズムシート原盤ロールを押し当てる方法、同じく熱可塑性の樹脂を片側に鋸歯状の形状をもった原盤の中に押し出し成型する方法などによっても形成することができる。
また、凹凸部が粒子などにより形成され、拡散性を有する場合は、前記拡散シートの説明で述べたような方法で凹凸部を形成することができる。
また、凹凸部が形成された支持体の製造方法としては、下記のようなプリズムシートの製造方法を用いてもよい。
前記支持体及び凹凸部の素材、その他の詳細は、前記光学シートの説明中で述べたとおりである。
【0140】
−プリズムシートの製造方法−
前記プリズムシートの製造方法の一例について図面を参照して説明する。図7は、本発明が適用されるプリズムシートの製造装置80の構成を示す概念図である。このプリズムシートの製造装置80は、シート状体供給手段81と、塗布手段82と、乾燥手段89と、凹凸ロールであるエンボスロール83と、ニップロール84と、樹脂硬化手段85と、剥離ロール86と、保護フィルム供給手段87と、シート巻き取り手段88、等とから構成される。
【0141】
シート状体供給手段であるシート供給手段81は、シート状体であるシートWを送り出すもので、シートWが巻回された送り出しロール等より構成される。
シートWの幅としては、0.1〜3mが、シートWの長さとしては、1,000〜100,000mが、シートWの厚さとしては、1〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
【0142】
これらのシートWは、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。シートWの表面粗さRaは、カットオフ値0.25mmにおいて、3〜10nmが好ましい。
【0143】
また、シートWには、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの、等を用いてもよい。同様に、シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、シートWは、光が透過できるような透明体、反透明体であることが好ましい。
【0144】
塗布手段82は、シートWの表面に放射線硬化樹脂を塗布する装置であり、放射線硬化樹脂を供給する供給源82Aと、供給装置(ポンプ)82Bと、塗布ヘッド82Cと、塗布の際にシートWを巻き掛けて支持する支持ロール82Dと、放射線硬化樹脂供給源82Aを塗布ヘッド82Cに供給するための配管より構成される。なお、図7では、塗布ヘッドとして、エクストリュージョン型のダイコータの塗布ヘッドを用いている。
【0145】
乾燥手段89は、例えば、図7に示すトンネル状の乾燥装置のように、シートWに塗布された塗布液を均一に乾燥させることができるものであれば、公知の各種方式のものが採用できる。例えば、ヒータによる輻射加熱方式のもの、熱風循環方式のもの、遠赤外線方式のもの、真空方式のもの等が採用できる。
【0146】
エンボスロール83としては、シートWの表面に、ロール表面の凹凸を転写形成できる、凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度等を有することが求められる。このようなエンボスロール83としては、金属製のロールが好ましい。
【0147】
エンボスロール83の外周面には、規則的な微細凹凸パターンが形成されている。このような規則的な微細凹凸パターンは、製品としてのプリズムシート表面の微細凹凸パターンを反転した形状であることが求められる。
【0148】
プリズムシートとしては、微細凹凸パターンが二次元配列された、例えばレンチキュラーレンズや、プリズムレンズ、微細凹凸パターンが三次元配列された、例えばフライアイレンズ、円錐、角錐等の微細な錐体をXY方向に敷きつめた平板レンズ等が対象となり、エンボスロール83の外周面の規則的な微細凹凸パターンは、これに対応させる。
【0149】
エンボスロール83の外周面の規則的な微細凹凸パターンの形成方法としては、エンボスロール83の表面をダイヤモンドバイト(シングルポイント)で切削加工する方法、エンボスロール83の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法が採用でき、また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この板状体をロールの周囲に巻き付け固定し、エンボスロール83とする方法が採用できる。その他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を形成し、この板状体をロールの周囲に巻き付け固定し、エンボスロール83とする方法も採用できる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原版(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
【0150】
エンボスロール83の表面には、離型処理を施すことが好ましい。このように、エンボスロール83の表面に離型処理を施すことにより、微細凹凸パターンの形状が良好に維持できる。離型処理としては、公知の各種方法、例えば、フッ素樹脂によるコーティング処理が採用できる。なお、エンボスロール83には駆動手段が設けられていることが好ましい。エンボスロール83は、図示の矢印のように、反時計方向(CCW)に回転する。
【0151】
ニップロール84は、エンボスロール83と対になってシートWを押圧しながらロール成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。ニップロール84表面の縦弾性係数(ヤング率)は、小さ過ぎるとロール成形加工が不十分となり、大き過ぎるとゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点を生じやすいことより、適宜の値とすることが好ましい。なお、ニップロール84には駆動手段が設けられていることが好ましい。ニップロール84は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
【0152】
エンボスロール83とニップロール84との間に所定の押圧力を付与するべく、エンボスロール83とニップロール84のいずれかに加圧手段を設けることが好ましい。同様に、エンボスロール83とニップロール84との隙間(クリアランス)や圧力を正確に制御できるような微調整手段を、エンボスロール83とニップロール84のいずれかに設けることが好ましい。
【0153】
樹脂硬化手段85は、ニップロール84の下流側においてエンボスロール83に対向して設けられる放射線照射手段である。この樹脂硬化手段85は、放射線照射によってシートWを透過して樹脂層を硬化させるもので、樹脂の硬化特性に応じた放射線を照射でき、シートWの搬送速度に応じた量の放射線を照射できることが好ましい。樹脂硬化手段85として、例えば、シートWの幅と略同一長さの円柱状照射ランプが採用できる。また、この円柱状照射ランプを複数本平行に設けることもでき、この円柱状ランプの背面に反射板を設けることもできる。
【0154】
剥離ロール86は、エンボスロール83と対になってエンボスロール83からシートWを剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。剥離箇所において、エンボスロール83の周面上に巻き掛けられたシートWを回転するエンボスロール83と剥離ロール86とで挟みながら、シートWをエンボスロール83から剥離させて剥離ロール86に巻き掛ける。この動作を確実にすべく、剥離ロール86には駆動手段が設けられていることが好ましい。剥離ロール86は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
【0155】
なお、硬化により樹脂等の温度が上昇するような場合には、剥離時にシートWを冷却させて剥離を確実にすべく、剥離ロール86に冷却手段を設ける構成も採用できる。
【0156】
なお、図示は省略したが、エンボスロール83の押圧箇所(9時の位置)から剥離箇所(3時の位置)までの間に複数のバックアップロールを対向して設け、この複数のバックアップロールとエンボスロール83とでシートWを押圧しながら硬化処理を行う構成も採用できる。
【0157】
シート巻き取り手段88は、剥離後のシートWを収納するもので、シートWを巻き取る巻き取りロール等より構成される。このシート巻き取り手段88において、隣接して設けられる保護フィルム供給手段87より供給される保護フィルムHがシートWの表面に供給され、両フィルムが重なった状態で、シート巻き取り手段88に収納される。
【0158】
プリズムシートの製造装置80において、塗布手段82とエンボスロール83との間、剥離ロール86とシート巻き取り手段88との間等に、シートWの搬送路を形成するガイドロール等を設けてもよく、その他、必要に応じてシートWの搬送中の弛みを吸収すべく、テンションロール等を設けることもできる。
以上により、プリズム形状の単位レンズが一軸方向に形成されたレンズ列が隣接して略全面に配列されたプリズムシートを作製することができる。
【実施例】
【0159】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0160】
各特性の測定は、以下の通りに行った。
<光学発現性>
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で上記の方法によりReおよびRthを波長550nmで計測した。
<遅相軸方位、遅相軸レンジ>
遅相軸方位、遅相軸レンジは、自動複屈折計(AD−200、エトー(株))で測定することができる。搬送方向または幅手方向に等間隔で10点測定した平均値を、面内遅相軸方位とする。また、搬送方向または幅手方向に10点測定した面内遅相軸方位の最大値と最小値の差を遅相軸レンジとする。
なお、以下の実施例1〜4、比較例2〜4では搬送方向(MD)に10点測定、実施例5〜6、比較例1では幅手方向(TD)に10点測定した。
【0161】
1.位相差フィルムの作製
(実施例1〜2及び6)
セルロースアシレート溶液の調製:
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.86のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4.0質量部
ポリエステルオリゴマーA−1 5.0質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
【0162】
【化6】

【0163】
【表2】

【0164】
フィルムの製造:
溶液を、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥した後、フィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムは、さらに140℃の雰囲気温度で20分間乾燥させた。乾燥後のフィルムを、テンター延伸装置を用いて180℃の雰囲気下で搬送方向と直交方向に延伸(実施例1及び6は5%、実施例2は10%)し、実施例1〜2及び6のセルロースアシレートフィルムを製造した。製造されたセルロースアシレートフィルムロール1の膜厚はいずれも50μmであった。
【0165】
(実施例3〜5、比較例4〜6)
セルロースアシレート溶液の調製:
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.43のセルロースアシレート 100質量部
下記炭水化物誘導体A 10質量部
メチレンクロライド 402質量部
メタノール 60質量部
【0166】
【化7】

【0167】
フィルムの製造:
溶液を、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥した後、フィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムは、さらに140℃の雰囲気温度で20分乾燥させた。乾燥後のフィルムを、テンター延伸装置を用いて180℃の雰囲気下で搬送方向と垂直方向に延伸し(実施例3、比較例6は25%、実施例4、5及び比較例4は35%)、実施例3〜5、および比較例4〜6のセルロースアシレートフィルムを製造した。製造されたセルロースアシレートフィルムロール2の膜厚はいずれも50μmであった。比較例6のロール3の膜厚は80μmであった。
【0168】
(比較例1)
セルロースアシレート溶液の調製:
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.86のセルロースアシレート 100質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ジフェニルホスフェート 3.5質量部
チヌビン326 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株) 0.8質量部
チヌビン328 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株) 0.4質量部
メチレンクロライド 391.5質量部
メタノール 58.5質量部
【0169】
フィルムの製造:
溶液を、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥した後、フィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムは、さらに140℃の雰囲気温度で20分乾燥し、比較例1のセルロースアシレートフィルムを製造した。製造されたセルロースアシレートフィルムロール4の膜厚は40μmであった。
【0170】
(比較例2、比較例3)
出光興産社製の「タフロンMD1500」のポリカーボネート樹脂ペレットを用い、溶融製膜したポリカーボネートのフィルムを自由端一軸延伸して製造した。製造されたフィルムの膜厚は50μmであった。
【0171】
2.偏光板の作製
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。作製した各実施例および比較例のフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。なお、ケン化処理は以下の条件で行った。
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.005mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。各実施例および比較例で作製したフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した。
比較例2、比較例3のフィルムは、ケン化処理の代わりにコロナ放電処理を行い偏光板保護フィルムとして用いた。
【0172】
偏光子の透過軸と、各実施例及び比較例のフィルムの面内遅相軸の平均値とは、下記表に記載の通りとした。なお、貼合は、図2(b)の関係とし、表中に記載した軸角度は、図2(b)中のθである。即ち、実施例1では、θが4°であり、即ち、φ(=π/2−θ)は86°である。
【0173】
作製した偏光板から実施例1〜4、比較例2〜4は搬送方向(MD)に切り出し、実施例5は実施例4の偏光板を、実施例6は実施例1の偏光板を、それぞれ幅手方向(TD)に等間隔で切り出したサンプルを用いた。比較例1の偏光板は幅手方向(TD)に等間隔でサンプルを切り出した。
【0174】
3.液晶表示装置の作製と評価
液晶表示装置の作製:
市販の液晶タブレット(ONKYO(株)のTW217A5;駆動モードはTNモード)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に、上記で作製した各偏光板を、作製した各セルロースアシレートフィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が斜め135°に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が45°方向になるように、E−モードのクロスニコル配置とした。
【0175】
表示性能の評価:
上記で作製した各液晶タブレットについて、正面コントラスト、上左右視野角コントラスト、及び正面コントラストバラツキを、それぞれ以下の通りの方法で測定し、以下の基準で評価した。
【0176】
正面コントラスト(正面CR)及び上下左右視野角コントラスト(上下左右視野角CR): 25℃、60%RHの環境下でコントラスト測定器(ELDIM社製、EZContrast)を用いて、正面CR及びとコントラストの視野角特性を計測した。なお、サンプルの評価箇所は遅相軸方位を評価した部分と同一の部分とした。
評価基準を、比較例1(位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との角度θが90°)の液晶タブレット(正面CR=800)とし、各実施例の正面CRを以下の基準で評価した。
A:正面CRが比較例1の正面CR(=800)より高く、正面CR改善効果が認められる。
B:正面CRは比較例1の正面CR(=800)と同等である。
C:正面CRは比較例1の正面CR(=800)より明らかに劣る。
【0177】
正面CRバラツキ評価:
正面コントラストは、一つの水準につき、同じ条件で作製した10サンプルを測定し、下記基準でコントラストのバラツキを評価した。
A:10回の内、9〜10回のコントラスト値が平均値±10%の範囲内
B:10回の内、6〜8回のコントラスト値が平均値±10%の範囲内
C:10回の内、3〜5回のコントラスト値が平均値±10%の範囲内
D:10回の内、0〜2回のコントラスト値が平均値±10%の範囲内
上記評価結果を下記表に示す。
【0178】
また、上左右視野角CRは、極角30°、方位角0°、90°、180°の3点で測定したコントラストの合計値の平均として求めた。
各実施例の上下左右視野角CRについては、比較例1の上下左右視野角CRを1として、規格化した値を、下記表に示した。
【0179】
【表3】

【0180】
比較例1と4は、光学的二軸のセルロースアシレートフィルムをTNモード液晶セルと、偏光子との間に配置した例であるが、それぞれの面内遅相軸が、近接する偏光子の吸収軸と直交している、即ちθ=90°である点で、各実施例と相違する。
比較例2と3は、光学的一軸のフィルムをTNモード液晶セルと、偏光子との間に配置した例である点が、各実施例と相違する。
従来技術にあるように、比較例3から比較例2へ位相差フィルムの遅相軸をずらすことで正面CRと正面CRバラツキは改善されているが、上左右視野角CRはむしろ悪化している。これに対して、実施例4のように二軸性の位相差フィルムを使用することで正面CRを維持しつつ上左右視野角CRを大きく改良できることが理解できる。
なお、位相差フィルムの遅相軸をずらさない比較例4(即ちθ=90°)では、視野角CRの改良は認められるが正面CRと正面CRバラツキが劣ることが理解できる。
上記表に示す結果から、本発明の実施例は、比較例と比較して、上左右視野角CRが顕著に改善されていることが理解できる。
さらに、実施例1〜6では、正面CRバラツキの軽減に加え、上左右視野角CRの改善効果も認められることが理解できる。
【0181】
(実施例A〜C、比較例A)
フィルムの製造:
脂環式オレフィンポリマーの一種である熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン社製、ZEONOR1420、ガラス転移点137℃)を100℃で5時間乾燥した。前記ペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押出し、冷却し、厚み50μmのフィルムロールを得た。このロールフィルムを予め142℃で1.55倍に縦延伸し透明樹脂フィルムロール5を得た。
【0182】
図14に示す延伸機を使用して、下記表に示すような条件でフィルムロールを作製した。得られたフィルムロールの特性を下記表に示す。なお、以降の遅相軸レンジはフィルムの幅方向幅手方向(TD)に10点測定した値を使用した。
【0183】
【表4】

【0184】
【表5】

【0185】
(フィルムの鹸化)
実施例A〜C、及び比較例Aの各位相差フィルムロールとフジタックTD80UF(富士フイルム(株)製)を55℃に調温した1.5mol/LのNaOH水溶液(けん化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、さらに水洗浴を通した。そしてエアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
【0186】
(偏光層の作製)
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光層を調製した。
【0187】
(貼り合わせ)
このようにして得た偏光層と、前記鹸化処理した位相差フィルムとフジタックとを、フィルムの鹸化面を偏光膜側に配置し、これらで前記偏光層を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロール・ツー・ロールで貼り合わせた。また、実施例B、Cでは、フィルムの表面処理をコロナ処理に変更して貼り合わせを実施した。
【0188】
4.液晶表示装置の作製と評価
得られた偏光板ロールから所定の大きさに裁断した偏光板を使用して実施例1と同様の配置に偏光板の透過軸がなるように各位相差フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して貼り付けたTNモード液晶表示装置について、正面CR、上左右視野角CRを実施例1と同様に測定し、評価した。
【0189】
【表6】

【0190】
表から、正面CRと上左右視野角CRを改良したTNモード液晶ディスプレイ用の偏光板をロール・ツー・ロールで製造することができた。また、実施例BおよびCで作製したロールを使用した液晶表示装置は、位相差フィルムに与える延伸倍率を高く設定することでフィルム幅方向に対して均一な光学特性を持ち、より薄く軽量化した偏光板を製造でき、特に良好な表示特性を得られることが分かった。
【0191】
5.液晶表示装置の作製と評価
バックライトに用いるためのプリズムシートを下記のように作製した。
【0192】
<凹凸部を形成した支持体の作製>
前記凹凸部を形成した支持体として、下記のようにしてプリズムシートを作製した。
〔プリズム層塗布液の調整〕
下記処方のプリズム層塗布液を調整した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、50℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、塗布液を調製した。なお、硬化後のプリズム層の屈折率は1.59であった。前記プリズム層の屈折率は、同一の液を平坦な塗布膜として形成し、プリズムカプラー屈折率測定機(SPA4000 Sairon Technology Inc.)により測定した。
・エベクリル3700(ダイセルUBC(株)製) 2.55質量部
・NKエステルBPE−200(新中村化学(株)製) 0.85質量部
・アロニックスM−110(東亞合成(株)製) 0.85質量部
・ニューフロンティアBR−31(第一工業製薬(株)製) 4.25質量部
・メチルエチルケトン 2.89質量部
・ルシリンTPO−L(BASF(株)製) 0.17質量部
【0193】
〔プリズムシートAの作製〕
両面に易接着処理を施した厚み25μmの透明PET製の支持体の第一の表面に、前記で調製したプリズム層塗布液を乾燥質量で14g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、該プリズム層を、断面形状が頂角90°の二等辺三角形であり、ピッチ(底辺の長さ)50μmのストライプ状にプリズム形状が彫刻された金属の型(金型)に押し当てた。この押し当て状態で、前記PET製支持体の第二の表面側から、高圧水銀灯により露光し、膜を硬化させ、金型から剥離し、プリズムシートA(凹凸部を形成した支持体)を得た。
【0194】
<白色反射層用塗布液の調製>
下記処方で、光学調整部形成用の白色反射層用塗布液を調整した。
[ホワイト顔料分散母液の組成]
・ポリビニルブチラール(エスレックB BL−SH、積水化学工業(株)製)
2.7質量部
・ルチル型酸化チタン(JR805、テイカ(株)製、質量平均粒子径0.29μm)
35.0質量部
・分散助剤(ソルスパース20000、アビシア(株)製) 0.35質量部
・n−プロピルアルコール 62.0質量部
上記組成物を、アイガー社製モーターミルM50によりジルコニアビーズを用いて分散し、ホワイト顔料分散母液を調製した。
【0195】
[白色反射層塗布液の組成]
・上記で調製されたホワイト顔料分散母液 1,200質量部
・ワックス系化合物
ステアリン酸アミド(ニュートロン2、日本精化(株)製) 5.7質量部
ベヘン酸アミド(ダイヤミッドBM、日本化成(株)製) 5.7質量部
ラウリン酸アミド(ダイヤミッドY、日本化成(株)製) 5.7質量部
パルミチン酸アミド(ダイヤミンドKP、日本化成(株)製) 5.7質量部
エルカ酸アミド(ダイヤミッドL−200、日本化成(株)製) 5.7質量部
オレイン酸アミド(ダイヤミッドO−200、日本化成(株)製) 5.7質量部
・ロジン(KE−311、荒川化学(株)製、成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) 80.0質量部
・界面活性剤(メガファックF−780F、固形分30%、大日本インキ化学工業社製)
16.0質量部
・n−プロピルアルコール 1,600質量部
・メチルエチルケトン 580質量部
【0196】
<白色反射シートの作製>
厚み25μmのPET製支持体上に、前記で調製した白色反射層塗布液を、乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、白色反射シートを作製した。
【0197】
<ポジ型感光層用塗布液の調製>
下記処方のポジ型感光層用塗布液を調製した。
・フェノールノボラック樹脂
(住友デュレズ株式会社製、PR−50716、融点:76℃) 2.5質量部
・フェノールノボラック樹脂
(住友デュレズ株式会社製、PR−51600B、融点:55℃) 3.5質量部
・1,2−ナフトキノン(2)ジアジド−4−スルフォン酸クミルフェノールエステル
2.0質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20質量部
・界面活性剤(大日本インキ株式会社製、メガファックF−176PF)
0.1質量部
【0198】
<アルカリ現像液の調製>
下記組成のアルカリ現像液を調製した。
・炭酸ナトリウム 59質量部
・重炭酸ナトリウム 32質量部
・水 720質量部
・ブチルセロソルブ 1質量部
【0199】
<集光性の光学シート:プリズムシートBの作製>
図8に示すように、前記で作製したプリズムシートA(凹凸部5を形成した支持体2)の平坦な第二の表面4側に、前記で調製したポジ型感光層用塗布液を、乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、前記支持体2の第二の表面4上にポジ型感光層8を形成した。
次に、図9に示すように、前記支持体2の凹凸部5を形成した第一の表面3側から、平行光線照射機(マスクアライメント装置M−2L、ミカサ(株)製)を用いて、平坦な前記第二の表面4の法線方向に平行に紫外線照射し、前記ポジ型感光層を露光した。図9に符号6で示す部分が、光の不通過部(光束密度の低い部分)である。
【0200】
次いで、前記で調製したアルカリ現像液を用いて、ポジ型感光層の露光部を洗い流し、図10に示すように、支持体2の第二の表面4であって光の不通過部6に、部分的にポジ型感光層8を有する支持体2を得た。
図11に示すように、上記部分的にポジ型感光層8を有する支持体2の、前記ポジ感光層8が形成された第二の表面4に、前記で作製した白色反射層9を設けた白色反射シート10を、粘着性を有する前記ポジ型感光層8に第二の表面4に白色反射層9が接触するように配置し、ラミネート装置にて熱ラミネート(速度:0.5m/min.加熱温度:80℃)した。その後、図12に示すように、白色反射シート10を支持体2から剥離することにより、前記ポジ型感光層8の形成部に12μm巾のストライプ状に、白色反射層9が転写された支持体2を得て、プリズムシートBを形成した。該白色反射層9が、サイドローブ防止部7であり、その光反射率は、70%であった。
【0201】
〔プリズムシートCの作製〕
両面に易接着処理を施した厚み25μmの透明PET製の支持体の第一の表面に、前記で調製したプリズム層塗布液を乾燥質量で14g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、該プリズム層を、断面形状が頂角110°の二等辺三角形であり、ピッチ(底辺の長さ)50μmのストライプ状にプリズム形状が彫刻された金属の型(金型)に押し当てた。この押し当て状態で、前記PET製支持体の第二の表面側から、高圧水銀灯により露光し、膜を硬化させ、金型から剥離し、プリズムシートC(凹凸部を形成した支持体)を得た。
【0202】
<プリズムシートの設置>
作製した頂角が90°であるプリズムシートA、頂角が90°であるプリズムシートであって、さらに部分的に光反射性を有するサイドローブ防止部7が複数形成された集光性の光学シートであるプリズムシートB、頂角が110°であるプリズムシートCを、それぞれ凸部を液晶セル側へ向けてバックライトに設置した。
【0203】
<正面輝度の評価方法>
バックライト用の平面光源上に上記プリズムシートを設置し、輝度計(BM−7:トプコン(株))を設置し、光度の測定を行った。プリズムシートのないバックライト平面光源のみの正面輝度を1としたときの、光学シートを敷いた場合の正面輝度の倍率を用いて輝度評価を行った。
これは液晶表示装置の明るさに対応し、実施例1の評価「正面CRバラツキ」に代えて評価基準を以下のように分類した。
A:1.4以上
B:1.2以上、1.4未満
C:1.0以上、1.2未満
【0204】
<バックライト光の出射角度分布の測定>
上記プリズムシートを設置した液晶表示装置用バックライト光源について、輝度計(BM−7:トプコン(株))にて、光度の測定を行った。
正面を0°として、プリズムシートの集光方向に対して受光機を5°刻みで±85°走査し、プリズムシートから出射される光度の角度分布を測定し、出射角度50°から85°の範囲で測定した光量の平均値を求め、表9に記載した。
なお、光度と出射角度の関係を各プリズムシートについて正面(0°)で測定した光度(cd)を基準に規格化して図13に示す。
【0205】
<液晶表示装置の作製>
偏光板、プリズムシートの組み合わせが表7、表8に記載した内容となるように液晶表示装置(ディスプレイ)を組み立てた。
なお、液晶セルは市販品を使用しており、画面の長辺方向を水平方向、短辺方向を鉛直方向とするため、TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向は鉛直方向となる。
各プリズムシートは、凸部を液晶セル側へ向けてあり、その集光方向は、表7、表8に記載するように鉛直方向、又は水平方向となるように配置した。
【0206】
液晶表示装置の表示性能は、25℃60%に設定された暗所にて、下記項目について正面から目視評価を行った。
【0207】
(細線の鮮明性)
白地に黒の細線表示(水平方向)を行った場合に
A: 黒の細線が明確に見える。
B: 細線は見えるが、一部は黒がグレイにシフトしている。
C: 画面全体に細線は見えるが、一部は判読しづらい。
D: 画面全体に細線が判読しづらい。
【0208】
(正面コントラストの評価方法)
25℃、60%RHの環境下でコントラスト測定器(ELDIM社製、EZContrast)を用いて、正面コントラストを計測した。
評価基準を、ディスプレイ20の正面コントラスト値に対する相対比として以下の基準で評価した。
A:正面コントラスト相対比が1.2以上
B:正面コントラスト相対比が1.1以上、1.2未満
C:正面コントラスト相対比が1.0以上、1.1未満
D:正面コントラスト相対比が1.0未満
【0209】
正面コントラスト、正面輝度、及び細線の鮮明性について評価結果を下記表に示した。
【0210】
【表7】

【0211】
【表8】

【0212】
上記表から、集光方向が鉛直方向であってプリズムシートB、Cを使用したディスプレイ22及び23の性能が特に優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0213】
10 偏光子
12 位相差フィルム
14 保護フィルム
16 液晶セル
1 プリズムシート
2 支持体
3 第一の表面
4 第二の表面
5 凹凸部
6 不通過部
7 サイドローブ防止部
8 ポジ型感光層
9 白色反射層
80 プリズムシート製造装置
81 シート供給手段
82 塗布手段
83 エンボスロール
84 ニップロール
85 樹脂硬化手段
86 剥離ロール
87 保護フィルム供給手段
88 シート巻取り手段
89 乾燥手段
W 支持体
【0214】
図14について
2 斜め延伸用テンター延伸機
11 透明樹脂フィルム(原反)
12 透明樹脂フィルム(位相差フィルムロール)
13 位相差フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも偏光子と、位相差フィルムとを含む偏光板であって、
前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び厚み方向レターデーションRth(550)が、下記3式(I)〜(III)を満足し、
(I) 110nm≦Re(550)+Rth(550)≦220nm
(II) 1nm≦Re(550)
(III) Rth>0.5×Re
前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV)を満足することを特徴とする偏光板。
(IV) 0.01≦Re(550)×sinθ≦0.7
【請求項2】
前記位相差フィルムの遅相軸レンジ及びRe(550)が、下記式(V)を満足する請求項1に記載の偏光板:
(V) 0<遅相軸レンジ×Re(550)≦40
遅相軸レンジは、前記位相差フィルムの面内遅相軸の最大値と最小値の差である。
【請求項3】
前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV')を満足する請求項1又は2に記載の偏光板。
(IV') 0.1≦Re×sinθ≦0.6
【請求項4】
前記位相差フィルムのRe(550)、及び該位相差フィルムの面内遅相軸と前記偏光子の吸収軸または透過軸とのなす狭角θが、下記式(IV")を満足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
(IV") 0.2≦Re×sinθ≦0.5
【請求項5】
前記位相差フィルムが、熱可塑性樹脂を主成分として含有するフィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
【請求項6】
前記位相差フィルムが、下記2式(VIa)及び(VIIa)を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
(VIa) 1nm≦Re(550)<30nm
(VIIa) 100nm≦Rth(550)≦180nm
【請求項7】
前記位相差フィルムが、下記2式(VIb)及び(VIIb)を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
(VIb) 30nm≦Re(550)≦70nm
(VIIb) 80nm≦Rth(550)≦150nm
【請求項8】
前記偏光板がロール状である請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法であって、連続製造により、ロール状の偏光板を作製し、所定の大きさに切断する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂が、脂環式ポリオレフィンポリマーである請求項5〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
【請求項12】
表示面側及びバックライト側の双方に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
【請求項13】
TNモードである請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記偏光板の配置が、E−モード配置である請求項10〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記液晶表示装置のバックライト光を集光する光学シートを前記TNモード液晶セルの背面側に有し、該光学シートから出射されたバックライト光の光量を測定したとき、該液晶表示装置の表示画面の法線に対して、前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向に傾けられた出射角度50°から85°の範囲の光量の平均値が、該法線方向の光量に対して12%以下である請求項11〜14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記光学シートが、凸部を液晶セル側へ向けたプリズムシートである請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記TNモード液晶セルの面内位相差が最大となる方向が、前記表示画面を視認する際に鉛直方向となる請求項15又は16に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−83912(P2013−83912A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55642(P2012−55642)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】