説明

光コネクタモジュール

【課題】削り屑がレンズと光ファイバ端面との間に介在して光結合効率を低下させる虞が少なく、高い光結合効率を有する光コネクタモジュールを提供する。
【解決手段】光コネクタモジュール1は、コア2aと、第1樹脂からなるクラッド2bとを有する光ファイバ2と、光ファイバ2が挿入され光ファイバ2の先端面が当接する底面4cを備える挿入凹部4と、レンズ5とを備えた位置決め部品3とを有し、位置決め部品3を形成する第2樹脂の硬度は、第1樹脂の硬度よりも大きいことを特徴とする。これにより、光ファイバ2の先端面2cの外周縁部が挿入孔4の側壁4bを削らず、削り屑の発生を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を相手部材へ伝送する光コネクタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子で発生させた光信号を光ファイバにより伝送したり、光ファイバを伝搬してきた光信号を受光素子で受光する光伝送を行う光電気変換モジュールが知られている。
このような光モジュールとして、光電変換素子パッケージと、光ファイバの端部としてのフェルールと、レンズと、これらを収容する光透過性の樹脂材料からなるホルダとを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−171556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、上記特許文献1に記載の光モジュール(光コネクタモジュール)において、光ファイバとレンズとを単一の部品(位置決め部品)で直接接続すれば光ファイバに取り付けるフェルールを省略できるのではないかと検討した。ところが、位置決め部品に設けた挿入孔に光ファイバを挿入して固定するだけでは以下のような問題が生じることが判明した。
【0005】
図3は第1参考例に係る光コネクタモジュール101の側断面図である。
ガラス等から形成される光ファイバ102は、樹脂から形成される位置決め部品103よりも硬いため、位置決め部品に設けられた挿入孔に光ファイバ102を挿入する際に、光ファイバ102の先端面102cの外周部分が位置決め部品103の挿入孔の内壁104bを削ってしまい削り屑Aが発生する。この削り屑Aが挿入孔の内部に留まって光ファイバ102の先端面102cとレンズ105との間に削り屑Aが介在したまま光ファイバ102が固定されると、光の結合効率が低下してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は削り屑がレンズと光ファイバの先端面との間に介在して光結合効率が低下する虞が少なく、高い光結合効率を有する光コネクタモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば以下が提供される。
(1) コアと、第1樹脂から形成されるクラッドとを有する光ファイバと、
前記光ファイバが挿入され前記光ファイバの先端面が当接する底面を備える挿入凹部と、レンズとを備えた位置決め部品とを有し、
前記位置決め部品を形成する第2樹脂の硬度は、前記第1樹脂の硬度よりも大きいことを特徴とする光コネクタモジュール。
(2) 前記レンズは前記底面に対向するように設けられることを特徴とする(1)に記載の光コネクタモジュール。
(3) 前記第1樹脂はフッ化アクリレート樹脂であり、
前記第2樹脂はポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の光コネクタモジュール。
(4) 前記光ファイバが、ガラスコアとプラスチッククラッドとを有するプラスチッククラッドファイバであって、
前記ガラスコアの先端面は前記プラスチッククラッドの先端面よりも前記底面側へ突出し、
前記ガラスコアの前記先端面は接着剤を介して前記底面に固定されており、
前記プラスチッククラッドの前記先端面と前記底面との間にも前記接着剤が充填されていることを特徴とする(1)に記載の光コネクタモジュール。
(5) 前記接着剤の屈折率は前記ガラスコアの屈折率よりも小さいことを特徴とする(4)に記載の光コネクタモジュール。
(6) 前記光ファイバが、ガラスコアとプラスチッククラッドとを有するプラスチッククラッドファイバであり、
前記プラスチッククラッドのクラッド先端面はガラスコアのコア先端面よりも前記底面側へ突出していることを特徴とする(1)に記載の光コネクタモジュール。
(7) 前記プラスチッククラッドの前記先端面は接着剤を介して前記底面に固定されており、
前記ガラスコアの前記先端面と前記底面との間にも前記接着剤が充填されていることを特徴とする(6)に記載の光コネクタモジュール。
(8) 前記接着剤の屈折率は前記プラスチッククラッドの屈折率よりも大きいことを特徴とする(7)に記載の光コネクタモジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る光コネクタモジュールによれば、位置決め部品を形成する第2樹脂の硬度はクラッドを形成する第1樹脂の硬度よりも大きい。したがって、光ファイバを挿入凹部に挿入する際に、光ファイバの先端面の外周部分が位置決め部品を削らないので削り屑の発生が抑えられる。よって削り屑がレンズと光ファイバの先端面との間に介在して光結合効率を低下させる虞が少なく、高い光結合効率を有する光コネクタモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光コネクタモジュールの正面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】第1参考例に係る光コネクタモジュールの側断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る光コネクタモジュールの側断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る光コネクタモジュールの側断面図である。
【図6】第2参考例に係る光コネクタモジュールの側断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る光コネクタモジュールの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る光コネクタモジュールの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる「先」とは、光ファイバ2の挿入方向の先を意味し、図2の左側を示す。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る光コネクタモジュール1の正面図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1,2を参照して、本実施形態に係る光コネクタモジュール1は、光ファイバ2と、光ファイバ2が直接挿入されて固定される位置決め部品3とを有する。
【0012】
位置決め部品3はポリエーテルイミド等の透明樹脂から形成される略直方体状の部材であり、光ファイバ2が挿入される挿入孔(挿入凹部)4とレンズ5と係合凹部6とを有する。光コネクタ1は、相手部品(不図示)に搭載された光電変換素子等の光部品がレンズ5と対向した状態で、係合凹部6が相手部品に設けられた係合凸部と係合することで相手部品と接続可能である。
【0013】
挿入孔4は、位置決め部品3の一側面に形成された開口4aからレンズ5側に設けられた底面4cまで位置決め部品3の長手方向(図1中の左右方向)に延びる円柱状の空間である。この挿入孔4の径方向寸法は光ファイバ2の外形寸法と同じか僅かに大きく設定される。光ファイバ2は、先端面2cに光透過性の接着剤が塗布された状態で、先端面2cが底面4cに当接するまで挿入孔4に挿入されて、光ファイバ2がレンズ5に対して位置決めされて固定される。
【0014】
レンズ5は位置決め部品3と一体成形される凸レンズである。レンズ5は光ファイバ2の先端面2cと対向する位置で、開口4aが形成される面と反対側の位置決め部品3の一側面に設けられる。レンズ5は光ファイバ2を伝搬してきた光を収束させ、レンズ5に対向するように接続される不図示のレンズ等の光学素子や受光素子等の光電変換素子に効率よく光を伝搬させるものである。
【0015】
光ファイバ2は、コア2aと、コア2aよりも屈折率の小さいクラッド2bとを有する。ここで、クラッド2bが位置決め部品3を削らないように、クラッド2bは位置決め部品3を構成する材料の硬度よりも小さい硬度の材料で形成される。具体的には、クラッド2bにはフッ化アクリレート等のアクリル樹脂を用いることができる。なお、コア2aは位置決め部品3と直接接触する虞が小さいので、コア2aの材質については特に問わないが、アクリル樹脂より屈折率の大きいPMMA(ポリメチルメタクリレート)や石英ガラスを用いることができる。
【0016】
また、位置決め部品3には、クラッド2bを形成する材料の硬度よりも大きい硬度のポリエーテルイミド等の樹脂を用いることができる。このポリエーテルイミドとして、例えばウルテム(ULTEM)(登録商標:サビツク・イノベーテイブ・プラステイツクス・アイピー・ベー・ベー社)を用いることができる。例えば、位置決め部品3には鉛筆硬度Hのウルテムを用い、クラッド2bには鉛筆硬度HBのフッ化アクリレートを用いると、クラッド2bは位置決め部品3を削らない。
【0017】
位置決め部品3に用いることができる樹脂について、ポリエーテルイミド樹脂以外には、テラリンク(登録商標:住友電工ファインポリマー株式会社)を挙げることができる。このテラリンクは、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂である。鉛筆硬度Hのテラリンクを用いれば、上述のクラッド2bの鉛筆硬度HBのフッ化アクリレートよりも硬いので、クラッド2bは位置決め部品3を削らない。
【0018】
上述のように構成される光コネクタモジュール1を作成する際は、光ファイバ2の先端面2cが底面4cに当接するまで光ファイバ2を挿入孔4に挿入する。このとき、光ファイバ2の先端面2cの外周縁部は位置決め部品3の挿入孔4の側壁4bに接触する。しかし、光ファイバ2のクラッド2bは位置決め部品3よりも軟らかいので、光ファイバ2の先端面2cの外周縁部が挿入孔4の側壁4bを削らず、削り屑の発生を防止できる。よって、光ファイバ2の先端面2cとレンズ5との間に削り屑が介在して光の結合効率を低下させる虞が少なく、光の結合効率の良い光コネクタモジュール1を提供することができる。
【0019】
なお、以上の実施形態においては、挿入孔4は円柱状の孔として説明したが、他の形態であってもよい。例えば、位置決め部品3を合わせ面を有するベース部材とベース部材の合わせ面を覆うカバー部材とで構成し、挿入凹部4を合わせ面に形成された断面V字状の溝として形成してもよい。
【0020】
また上述の例では、位置決め部品3内で、光ファイバ2の光軸とレンズ5の光軸が一直線となるように挿入孔4とレンズ5が形成された例を示したが、本発明はこの例に限られない。
【0021】
例えば、図4の本発明の変形例に係る光コネクタモジュール1Aに示すように、位置決め部品3A内で光ファイバ2Aの光軸Axとレンズ5Aの光軸Ayとが直交するように、挿入孔4Aとレンズ5Aとを形成してもよい。本変形例に係る光コネクタモジュール1Aの位置決め部品3Aには、光ファイバ2Aの光軸Axとレンズ5Aの光軸Ayとにそれぞれ45度の角度をなす反射面を備えたミラー8が形成されている。このミラー8により、光ファイバ2Aと光学レンズ5Aとが光学的に接続される。
【0022】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る光コネクタモジュール11を図5,6を参照して説明する。図5に示す第2実施形態に係る光コネクタモジュール11は、上述した第1実施形態に係る光コネクタモジュール1においてコア2aにガラスコア12aを用いた態様である。この第2実施形態に係る光コネクタモジュール11は、第1実施形態に係る光コネクタモジュール1と同様に、光コネクタモジュール11の作成時に削り屑の発生を抑えることができる外に、光ファイバ12に張力が加わった時でも、光ファイバ12の先端面が挿入孔14の底面14cに接着された状態を安定的に維持することができる。
【0023】
比較のために、図6の第2参考例に係る光コネクタモジュール201の如く、ガラスコア202aの先端面202acとプラスチッククラッド202bの先端面202bcとが揃えられ、光ファイバ202の先端面が平坦な面である場合を想定する。この場合、プラスチッククラッド202bはその先端面及び外周面に接着剤が塗布されて挿入孔204に固定されているが、ガラスコア202aはその先端面のみが接着剤を介して底面204cに固定されている。ゆえに、プラスチッククラッド202bに比べて、ガラスコア202aの挿入孔204の底面204cに対する接着強度が充分ではない虞がある。その結果、光ファイバ202に張力が加わるとガラスコア202aのみが底面104cから離間することにより、光信号の伝送損失が増加し光の結合効率が低下する虞がある。
【0024】
そこで、図5に示す本発明の第2実施形態に係る光コネクタモジュール11は以下のように構成されている。まず、位置決め部品13にはプラスチッククラッド12bより硬質のポリエーテルイミド等の樹脂を用いることは上記第1実施形態と同様である。
【0025】
第2実施形態に係る光ファイバ12には、石英ガラス等からなるガラスコア12aと、ガラスコア12aよりも屈折率が小さいプラスチックからなるプラスチッククラッド12bとを有するPCF(Plastic Clad Fiber)が用いられる。なお、フッ化アクリレート等の硬質プラスチックをプラスチッククラッド12bに用いたHPCF(Hard Plastic Clad Fiber)を光ファイバ12に用いることもできる。
【0026】
この光ファイバ12の先端部分において、図5に示すように、ガラスコア12aのコア先端面12acをプラスチッククラッド12bのクラッド先端面12bcよりも挿入孔14の底面14c側に突出させ、コア先端面12acのみを底面14cに当接させる。
【0027】
このように本実施形態に係る光コネクタモジュール11によれば、光ファイバ12の先端部分において、コア先端面12acは接着剤17を介して底面14cに固定されており、また、接着剤17はクラッド先端面12bcと底面14cとの間にも充填されている。つまり、ガラスコア12aは突出したコア先端面12ac及びその外周面に接着剤17が塗布されているので、コア先端面12acとクラッド先端面12bcとを揃えた場合に比べて接着剤17による接着面積を大きくすることができる。
【0028】
したがって、光ファイバ12の位置決め部品13への接着強度を高めることができ、コア先端面12acが底面14cから剥離することを抑制できるので、光コネクタモジュール11の光の結合効率を安定的に維持することができる。また、位置決め部品13がプラスチッククラッド12bより硬質の材料から構成されることにより、上記第1実施形態と同様に光コネクタモジュール11の作成時に削り屑の発生を抑えることもできる。よって、光ファイバ12に張力が負荷されても光結合効率を低下することがなく、高い光結合効率を有する光コネクタモジュール11を提供することができる。
【0029】
なお、コア先端面12acのクラッド先端面12bcに対する突出量は10〜100μmが好ましい。コア先端面12acの突出量が10μmよりも小さい場合、突出したガラスコア12aの外周面が小さいので、上述した接着面積を充分に大きく確保できず接着強度が不足する虞がある。一方、コア先端面12acの突出量が100μmよりも大きい場合、ガラスコア12aの突出部分から外部に光が漏出してしまい、光コネクタモジュール11の光の結合効率が低下してしまう。
【0030】
また、接着剤17としては、ガラスコア12aよりも屈折率の小さく透光性を有する接着剤を用いることが好ましい。また、この接着剤17はプラスチッククラッド12bと同程度の屈折率を有する接着剤がより好ましい。このような好ましい接着剤17としてはエポキシ接着剤の一種であるNTTアドバンステクノロジ社製の光路結合用接着剤屈折率調整品を例示できる。
【0031】
このような接着剤17を用いることによって、光コネクタモジュール11の光の結合効率を高く維持することができる。ガラスコア12aがプラスチッククラッド12bよりも底面14c側に突出する光ファイバ12の先端部分において、ガラスコア12aから出射した光が透光性を有する接着剤17に入射しようとする。しかし、突出したガラスコア12aの外側に位置する接着剤17は、プラスチッククラッド12bと同様にガラスコア12aより屈折率が小さいので、ガラスコア12aと接着剤17の界面で光が全反射される。したがって、突出したガラスコア12aから外部に光信号が漏出することを抑制できるので、光コネクタモジュール11の光の結合効率を高く安定的に維持することができる。
【0032】
なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、位置決め部品13にミラーを形成し、光ファイバ12の光軸とレンズ15の光軸とが交差するように配置してもよいことはもちろんである。また、挿入孔の形状についても第1実施形態と同様に円柱状の孔としてもよいことはもちろんである。
【0033】
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態にかかる光コネクタモジュール21を図7を参照して説明する。図7に示す第3実施形態に係る光コネクタモジュール21は、上述した第1実施形態の光ファイバ2の挿入孔4への挿入時に、更に確実に削り屑の発生を防止するものである。
【0034】
再び比較のために、図6の第2参考例に係る光コネクタモジュール201を検討する。第2参考例に係る光コネクタモジュール201は、ガラスコア202aとプラスチッククラッド202bとからなる光ファイバ202を有している。光ファイバ202を位置決め部品203に固定する際には、光ファイバ202の先端面のうちガラスコア202aのコア先端面202acを挿入孔204の突き当て面である底面204cに当接させる。この時ガラスコア202aの方が位置決め部品203よりも硬いため、コア先端面202acとクラッド先端面202bcとが揃えられた平坦な先端面を有する光ファイバ202では、コア先端面202acが底面204cを傷つける虞があり、また場合によってはコア先端面202a自身が損傷する虞がある。このようにコア先端面202aや底面204cに傷が生じると、光コネクタモジュール201の光の結合効率が低下する虞がある。
【0035】
そこで、第3実施形態に係る光コネクタモジュール21においては、図7に示すように、この光ファイバ22の先端部分において、プラスチッククラッド22bのクラッド先端面22bcはガラスコア22aのコア先端面22acよりも底面24c側に突出させている。つまり、光ファイバ22の先端部分においては、クラッド先端面22bcのみが挿入孔24の底面24cに当接している。なお位置決め部品23に、プラスチッククラッド22bより硬質のポリエーテルイミド等の樹脂を用いることは上記第1実施形態と同様である。
【0036】
光ファイバ22を挿入孔24に挿入して位置決め部品23に固定する際、クラッド先端面22bcはコア先端面22acよりも底面24側へ突出しているので、位置決め部品23より軟質のプラスチッククラッド22bのクラッド先端面22bcのみが底面24に当接し、位置決め部品23より硬質のガラスコア22aのコア先端面22acが底面24cに当接することがない。したがって、コア先端面22acの損傷や挿入孔24の底面24cの損傷を防止することができる。よって光の結合効率に優れた光コネクタモジュール21を安定して提供することができる。
【0037】
また、光ファイバ22を挿入孔24に挿入する際、挿入孔24の側壁24bには位置決め部品23より軟質のクラッド先端面22bcのみが接触するので、光ファイバ22が側壁24bを削ることがない。したがって、位置決め部品23の挿入孔24に光ファイバ22を挿入する際に削り屑が発生することを防止することができ、削り屑がレンズ25と光ファイバ22との間に介在することによる光の結合効率の低下を確実に防止し、高い光の結合効率を有する光コネクタモジュール21を提供することができる。
【0038】
また、光ファイバ22の先端部分において、コア先端面22acとクラッド先端面22bcは底面24cに接着剤27を介して固定されている。図示の如く、コア先端面22acと底面24cとの間にも接着剤27を充填することにより、突出したクラッド先端面22bcの他にクラッド内周面にも接着剤27が塗布される。このため、コア先端面22acとクラッド先端面22bcとを揃えた場合に比べて、接着剤27による接着面積を大きくすることができる。したがって、光ファイバ22の位置決め部品23への接着強度を高めることができ、クラッド先端面22bcが底面24cから剥離することを抑制することができる。よって、光コネクタモジュール21の光の結合効率を安定的に維持することができる。
【0039】
この接着剤27としては、プラスチッククラッド22bよりも屈折率が高く透光性を有する接着剤が好ましい。また、この接着剤27はガラスコア22aと同程度の屈折率を有する接着剤がより好ましい。このような好ましい接着剤27としてはエポキシ接着剤の一種であるNTTアドバンステクノロジ社製の光路結合用接着剤GA700を例示できる。
【0040】
このような接着剤27を用いると、光コネクタモジュール21の光の結合効率を高く維持することができる。プラスチッククラッド22bがガラスコア22aよりも底面24c側に突出する光ファイバ22の先端部分において、ガラスコア22aから出射した光が透光性を有する接着剤27に入射し、この光がガラスコア22aから突出したプラスチッククラッド22bに入射しようとする。しかし、ガラスコア22aと同様に接着剤27の屈折率がプラスチッククラッド22bの屈折率よりも大きいので、接着剤27とプラスチッククラッド22bの界面で光が全反射する。したがって突出したプラスチッククラッド22bから外部に光信号が漏出することを抑制できるので、光コネクタモジュール21の光の結合効率を高く維持することができる。
【0041】
なお、クラッド先端面22bcのコア先端面22acに対する突出量は約10〜100μmが好ましい。クラッド先端面22bcの突出量が10μmより小さいと、光ファイバ22を挿入孔24に挿入する時に挿入圧力によってはプラスチッククラッド22bが弾性変形し、ガラスコア22aが底面24cに接触する虞がある。また、突出したプラスチッククラッド22bの内周面の面積が小さく、上述した接着面積が小さいので接着強度が低下する虞がある。また、クラッド先端面22bcの突出量が100μmを越えると、コア先端面22acがレンズ25から離れすぎてコア先端面22acから出射した光が外部に漏出し、光コネクタモジュール21の光の結合効率が低下してしまう。
【0042】
なお、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、位置決め部品23にミラーを形成し、光ファイバ22の光軸とレンズ25の光軸とが交差するように配置してもよいことはもちろんである。また、挿入孔の形状についても第1実施形態と同様に円柱状の孔としてもよいことはもちろんである。
【0043】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,11,21,101,201:光コネクタモジュール、
2,2A,12,22,102,202:光ファイバ、
3,3A,13,23,103,203:位置決め部品、
4,4A,14,24,104,204:挿入孔(挿入凹部)、
5,5A,15,25,105,205:レンズ、
6:係合凹部、
17,27:接着剤、
8:ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、第1樹脂から形成されるクラッドとを有する光ファイバと、
前記光ファイバが挿入され前記光ファイバの先端面が当接する底面を備える挿入凹部と、レンズとを備えた位置決め部品とを有し、
前記位置決め部品を形成する第2樹脂の硬度は、前記第1樹脂の硬度よりも大きいことを特徴とする光コネクタモジュール。
【請求項2】
前記レンズは前記底面に対向するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタモジュール。
【請求項3】
前記第1樹脂はフッ化アクリレート樹脂であり、
前記第2樹脂はポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタモジュール。
【請求項4】
前記光ファイバが、ガラスコアとプラスチッククラッドとを有するプラスチッククラッドファイバであって、
前記ガラスコアの先端面は前記プラスチッククラッドの先端面よりも前記底面側へ突出し、
前記ガラスコアの前記先端面は接着剤を介して前記底面に固定されており、
前記プラスチッククラッドの前記先端面と前記底面との間にも前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタモジュール。
【請求項5】
前記接着剤の屈折率は前記ガラスコアの屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の光コネクタモジュール。
【請求項6】
前記光ファイバが、ガラスコアとプラスチッククラッドとを有するプラスチッククラッドファイバであり、
前記プラスチッククラッドのクラッド先端面はガラスコアのコア先端面よりも前記底面側へ突出していることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタモジュール。
【請求項7】
前記プラスチッククラッドの前記先端面は接着剤を介して前記底面に固定されており、
前記ガラスコアの前記先端面と前記底面との間にも前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項6に記載の光コネクタモジュール。
【請求項8】
前記接着剤の屈折率は前記プラスチッククラッドの屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の光コネクタモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−3245(P2012−3245A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104288(P2011−104288)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】