説明

光スイッチファブリック制御監視システム

【課題】制御した結果の状態変化の監視を確実に行うと共に平均の切り替え時間を最小化することのできる光スイッチファブリック制御監視システムを提供する。
【解決手段】制御部(10)と、複数個の光スイッチ(50)と、制御部の指令に応じて所要個数の光スイッチに切り替え/切り戻し駆動パルスを出力し、当該駆動パルスに応じて切り替え/切り戻し動作した所要個数の光スイッチから入力される状態変化情報に基づいて、当該各状態変化情報の読み出しを促す割り込みトリガを制御部に伝える駆動部(30)とを備える。また、所要個数の光スイッチのうち駆動部に最初に入力した光スイッチからの状態変化情報に基づくトリガに、複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路(42)と、遅延時間付加回路の出力により割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路(43)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光クロスコネクト装置に用いられる光スイッチファブリック制御監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光スイッチファブリック(PSF:Photonic Switch Fabric)は、光スイッチを用いて複数個(n個)の入力ポートと複数個(n個)の出力ポート間の相互接続を行うものである。
【0003】
そして、光スイッチファブリック(PSF)システムの制御系は、上位システムから転送されてくる光スイッチ切り替え/切り戻し制御信号を、光スイッチ制御部(PSF制御部)としてのMPU及び光スイッチ駆動部(PSF駆動部)としての専用LSIにて光スイッチ駆動に適した制御パルスに変換し、光スイッチを駆動すると共に、光スイッチから上がってくる状態監視情報を上位システムに通知するようになっている。
【0004】
このようなPSFシステムにおいて、光スイッチの応答速度が制御系に比べ十分早い場合、光スイッチは制御系に対し多少のジッタを有するにしても同期して動作する。しかし、MPUからなるPSF制御部及び主に専用LSIからなるPSF駆動部の動作速度が数百MHz(遅延時間で数十nsオーダ)と高速であるのに対し、光スイッチの切り替えに要する時間(遅延時間)は10ms程度と低速であり、また、遅延時間のバラツキも数msのオーダで生じるため、実質的に制御系に対し光スイッチは非同期に動作していると言える。
【0005】
従って、複数のポートに対し制御信号を発した場合、即ち光スイッチに対する制御指令が数十nsオーダで一斉に書き込まれたとしても、光スイッチの遅延バラツキによって、
(a)複数ステータス情報がPSF駆動部に上がる時間はmsオーダで大きく変動する。
(b)複数ステータス情報がPSF駆動部に上がる順序はマチマチになる。
(c)割り込みが立て続けにかかったり、逆に大きく離れる。
(d)また、ある1つのステータス情報の読み出し中に、他のステータスが変化する。
という現象が起こりうる。
【0006】
これらの非同期動作現象に対し、MPUの負担軽減のため、割り込みをかけることが一般に行われている。
【特許文献1】特開平11−143722号公報
【特許文献2】特許第3280207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、割り込み信号に対し、複数の非同期動作する光スイッチから上がる状態変化情報がPSF駆動部のレジスタに蓄えられるタイミング及び読み出しのタイミングによっては、状態変化情報の読み出し検出漏れを起こすというリスクがある。
【0008】
例えば、ある1つの光スイッチの割り込みによるレジスタに蓄えられたステータス情報に対する読み出しが完了し、割り込みクリアが出た直後に、別の光スイッチのステータス変化が生じ、割り込みトリガが発生した場合、割り込みクリアと割り込みトリガが競合し、割り込みトリガがクリアされ、割り込みが発生しない場合がありうる。
【0009】
その場合、当該別の光スイッチのステータス情報は読み出されないままであり、実際の光スイッチの状態とMPUが読み込んだステータス情報が食い違うという問題が起こりうる。
【0010】
この発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、光スイッチファブリックシステムのように制御に対し非同期に応答する制御非制御系において、制御した結果の状態変化の監視を確実に行うと共に平均の切り替え時間を最小化することのできる光スイッチファブリック制御監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の請求項1に係る光スイッチファブリック制御監視システムは、制御部と、複数個の光スイッチと、前記制御部の指令に応じて所要個数の前記光スイッチに切り替え/切り戻し駆動パルスを出力し、当該駆動パルスに応じて切り替え/切り戻し動作した前記所要個数の光スイッチから入力される状態変化情報に基づいて、当該各状態変化情報の読み出しを促す割り込みトリガを前記制御部に伝える駆動部とを備えた光スイッチファブリックシステムにおいて、前記所要個数の光スイッチのうち前記駆動部に最初に入力した光スイッチからの前記状態変化情報に基づくトリガに、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路と、前記遅延時間付加回路の出力により前記割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項2に係る光スイッチファブリック制御監視システムは、制御部と、駆動部と、前記制御部の指令に応じて前記駆動部から出力される切り替え/切り戻し駆動パルスに対し非同期に切り替え/切り戻し動作するとともに、当該動作にともなう状態変化情報を前記駆動部に送出する複数個の光スイッチとを備えた光スイッチファブリック制御監視システムであって、前記複数個の光スイッチに対応し、前記送出された前記状態変化情報を検出してトリガパルスを発生する複数個のトリガ回路と、前記複数個のトリガ回路のうち最初にトリガパルスを発生したトリガ回路のトリガパルスに、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路と、前記遅延時間付加回路の出力により、前記最初に発生したトリガパルスおよび前記遅延時間中に発生した各トリガ回路のトリガパルスに対応する前記各状態変化情報の読み出しを前記制御部に促す割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路と、前記割り込みトリガの発生と同時に前記複数個のトリガ回路による前記状態変化情報の検出を禁止する複数個の状態検出禁止回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項3に係る光スイッチファブリック制御監視システムは、請求項1または請求項2記載の光スイッチファブリック制御監視システムにおいて、前記遅延時間付加回路は、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間および遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として付加することを特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項4に係る光スイッチファブリック制御監視システムは、光スイッチ駆動部がほぼ同時に発した複数個の切り替え/切り戻し制御パルスに対し非同期に切り替え/切り戻し動作するとともに非同期に切り替え/切り戻し状態情報を送出する複数個の光スイッチと、前記光スイッチのチャタリングの検出を防止するチャタリング検出防止回路及び当該チャタリング検出防止回路を経由した切り替え/切り戻し状態変化情報を検出する状態変化検出回路を有する複数のトリガ回路と、前記複数のトリガ回路により得られた複数個のトリガパルスのうち最初に入力したトリガパルスを光スイッチ制御部に対する割り込みトリガパルスとし、後続のトリガパルスは割り込みパルスとさせない割り込みパルス生成回路と、前記割り込みパルス生成回路の出力に対し前記複数個の光スイッチの遅延変動の最大値に相当する時間及び遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として付加することで割り込みを遅らせる割り込みオンディレイ回路と、前記割り込み発生と同時に前記複数個の光スイッチの状態変化検出回路の状態変化検出を禁止する光スイッチ状態検出禁止回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は以上のように、制御部と、複数個の光スイッチと、前記制御部の指令に応じて所要個数の前記光スイッチに切り替え/切り戻し駆動パルスを出力し、当該駆動パルスに応じて切り替え/切り戻し動作した前記所要個数の光スイッチから入力される状態変化情報に基づいて、当該各状態変化情報の読み出しを促す割り込みトリガを前記制御部に伝える駆動部とを備えた光スイッチファブリックシステムにおいて、前記所要個数の光スイッチのうち前記駆動部に最初に入力した光スイッチからの前記状態変化情報に基づくトリガに、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路と、前記遅延時間付加回路の出力により前記割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路とを備えた構成としたので、制御した結果の状態変化の監視を確実に行うことができると共に平均の切り替え時間を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、この発明による光スイッチファブリック制御監視システムの一実施形態を示すブロック図であり、この光スイッチファブリック制御監視システム1は、制御部すなわち光スイッチ制御部(PSF制御部)10と、駆動部すなわち光スイッチ駆動部(PSF駆動部)30と、複数個の光スイッチ50とを備えている。
【0018】
PSF制御部10とPSF駆動部30はPSF制御系を構成し、PSF制御系は、上位システムから転送されてくる光スイッチ切り替え/切り戻し制御信号を、PSF制御部10としてのMPU及びPSF駆動部30としての専用LSIにて光スイッチ駆動に適した制御パルスに変換し、光スイッチ50を駆動すると共に、光スイッチ50から上がってくる状態監視情報を上位システムに通知するものである。
【0019】
PSF制御部10は、MPU(CPU)11を中心に、OS格納用FROM12、SDRAM13、イーサネット(登録商標)PHY(Ethernet(登録商標) PHYsical Layer)14、PCMCIA15、I/O16等を備えて構成される。
【0020】
PSF制御部10とPSF駆動部30とは、拡張バス(EXT1)21及びパラレルI/O(EXT2)22を介してデータの授受を行う。また、拡張バス(EXT1)21を介して、別のSDRAM23ともデータの授受を行うことができる。
【0021】
PSF駆動部30は、主に専用LSIとしてのFPGA(Field Programmable Gate Array)からなり、MPU11(PSF制御部10)からの各種制御情報をデコードしコントロール情報を蓄えるデコード/コントロールレジスタ回路31、制御情報を光スイッチ駆動に適した制御パルスに変換するパルス変換回路32およびパルス発生回路33、光スイッチ50から上がってくる切り替え状態情報を蓄えるステータスレジスタ34、ステータス情報から割り込み信号を出す割り込み生成回路35、タイマ36等を備えて構成される。
【0022】
切り替え処理時間を極力短くし、MPU11への負荷軽減のために、制御と応答のソケットを個別に実装し非同期で動作させる方式としている。
【0023】
複数個の光スイッチ50は、さまざまな光スイッチ回路として構成することができるものであり、例えば、一例として図2に示すような光スイッチ回路として構成することが可能である。
【0024】
すなわち、図2に示す光スイッチ回路は、2種類の光スイッチ素子S0,S1で構成される。
【0025】
一方の光スイッチ素子S0は、光路を通過/遮断するON/OFFスイッチであり、他方の光スイッチ素子S1は、2×2(2入力ポート、2出力ポート)の光路切り替えスイッチであり、BAR状態とCROSS状態をとるものである。
【0026】
このような光スイッチ素子S0,S1を図2に示すように組み合わせることで、入り3ポート、出3ポート(ポート当たり送受2ファイバを含む)を相互接続する3×3PSF(光スイッチファブリック)が構成される。
【0027】
すなわち、光スイッチ素子S1を3個並べて1段とし、これを3段にしてリンク接続することで、9個の光スイッチ素子S1を用いて3×3の光クロスコネクトスイッチを構成し、6個の光スイッチ素子S0で入力を遮断し、無入力時の漏洩を防止する。
【0028】
3×3の光クロスコネクトスイッチを構成するための光スイッチ素子S1のリンク接続条件は、任意の6ポート(3パス)間で相互接続ができること、1つのポートではCROSSするスイッチは1個に限られること、そして、表裏(送受)ペアとなること、である。図2に示す光スイッチ回路は、この条件を満たしている。
【0029】
この光スイッチ回路では、1つのパスにはCROSSするスイッチは1個しかない。従って、1つのパスを成立させるために複数のスイッチを操作する必要はない。
【0030】
この光スイッチ回路(3×3PSFシート)について想定される接続状態6パターンの模式図を図3に示す。
【0031】
図3において、例えば、初期の状態パス1→1、2→2、3→3から1→1、2→3、3→2にパス変更する場合、
(1)SW1−2:CROSS→BAR操作とSW2−3:BAR→CROSS操作
(2)SW1−3:CROSS→BAR操作とSW3−2:BAR→CROSS操作
の2回の操作で、パス変更できることがわかる。
【0032】
同様に、初期の状態パス1→1、2→2、3→3から1→2、2→3、3→1にパス変更する場合、
(1)SW1−1:CROSS→BAR操作とSW2−2:BAR→CROSS操作
(2)SW1−2:CROSS→BAR操作とSW2−3:BAR→CROSS操作
(3)SW1−3:CROSS→BAR操作とSW2−1:BAR→CROSS操作
の3回の操作で、パス変更できることがわかる。
【0033】
他の場合も同様に、2回または3回の操作でパス変更できる。
【0034】
なお、図3では光スイッチが3個ともCROSSしている例を示しているが、パスは表裏ポートごとに独立に制御される。
【0035】
図4は、図1の光スイッチファブリック制御監視システム1における制御手順を示す図であり、まず、その制御手順の概要を説明する。
【0036】
すなわち、光スイッチファブリック制御監視システム1は、上位システムから設定制御コマンドを受けて、PSF制御部10及びPSF駆動部30が、拡張バス(EXT1)及びパラレルI/OとしてのGPIO(EXT2)を介して、下記のプロセスで光スイッチ50に対し制御及び状態監視情報の授受を行う。
【0037】
(1)PSF制御部10が、上位システムからパス設定コマンド(path connect)を受け取る。
【0038】
(2)PSF制御部10は、パス設定コマンド(path connect)を受け取ると、現状の設定状態と比較し相違点を割り出し、PSF駆動部30に対し所定のパス設定に必要なスイッチのCROSS/BAR命令として書き込み(write)コマンド、コントロールデータを発する。
【0039】
(3)PSF駆動部30は、書き込み(write)コマンドをデコードし、コントロールレジスタに制御データを書き込み、更に光スイッチ駆動に適したパルスに変換し、光スイッチ50を駆動する。
【0040】
(4)光スイッチ50は、切り替え/切り戻しを行い、同時にPSF駆動部30に対しステータス情報を上げる。
【0041】
(5)PSF駆動部30は、受け取ったステータス情報をステータスレジスタ34に蓄えると共に、ステータス状態変化を元にPSF制御部10に対し割り込みを上げる。
【0042】
(6)PSF制御部10は、割り込み情報を受け取ると、PSF駆動部30に対し読み出し(read)コマンドを発信する。
【0043】
(7)読み出し(read)コマンドを元に、PSF駆動部30のステータスレジスタ34に蓄えられたステータス情報が読み出される。
【0044】
(8)PSF制御部10は、読み出しが完了すると、PSF駆動部30に対し割り込みクリアを発出する。
【0045】
(9)PSF制御部10から上位システムに対し、ステータス情報が送出される。
【0046】
この光スイッチファブリック制御監視システム1は、上記の制御手順の(5)において、光スイッチ50の切り替え/切り戻しの実行にともなう状態変化に基づいて、PSF駆動部30からPSF制御部10に対し割り込みを上げる際に、その割り込みトリガと、上記制御手順(8)の割り込みクリアとが競合しないように工夫してある。
【0047】
図5は、図1の光スイッチファブリック制御監視システム1における割り込み制御回路を示すブロック図である。
【0048】
この割り込み制御回路40は、各光スイッチ50に対応し、光スイッチ50から送出された状態変化情報を検出してトリガパルスを発生する複数個のトリガ回路41と、各トリガ回路41のうち最初にトリガパルスを発生したトリガ回路41のトリガパルスに所定の遅延時間を付加する遅延時間付加回路(オンディレイ回路)42と、遅延時間付加回路42の出力により割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路43とを備えている。
【0049】
遅延時間付加回路(オンディレイ回路)42は、各トリガ回路41のうち最初にトリガパルスを発生したトリガ回路41のトリガパルスに、各光スイッチ50に想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として、または、各光スイッチ50に想定される遅延変動の最大値に相当する時間および遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として、付加するものである。
【0050】
割り込みパルス生成回路43は、遅延時間付加回路42の出力により、最初に発生したトリガパルスおよび遅延時間中に発生した各トリガ回路41のトリガパルスに対応する各状態変化情報の読み出しをPSF制御部10に促す割り込みトリガを発生するものである。
【0051】
各トリガ回路41は、光スイッチ50のチャタリング(誤切り替え/誤切り戻し)の検出を防止するチャタリング検出防止回路44と、チャタリング検出防止回路44を経由した切り替え/切り戻し状態変化情報を検出する状態変化検出回路45と、チャタリング検出防止回路44と状態変化検出回路45との間に配置される状態保持回路46とを備えている。
【0052】
状態保持回路46は、割り込みパルス生成回路43が発生する割り込みトリガにより、割り込みトリガの発生と同時に、状態変化検出回路45による状態変化情報の検出を禁止する状態検出禁止回路として機能し、また、ステータスレジスタ34をホールドしてその内容(ステータス)の変更を禁止する。
【0053】
図5において、47はデコーダ、48はラッチ回路、49は割り込みクリアレジスタである。
【0054】
図6は、図5の割り込み制御回路の動作を示すタイミングチャートである。割り込み制御回路40の動作を、光スイッチ50が図2に示すような光スイッチ回路(3×3PSF)として構成された場合について説明すると次のようになる。
【0055】
すなわち、監視情報(状態変化情報)の上がり方の順序に左右されず、ポート1,2,3の光スイッチ50で先に上がったステータスで割り込みを掛けるようにしている。同時に、チャタリング検出防止回路44を併用する。
【0056】
ステータスの変化検出直後に割り込みを掛けるのではなく、ある一定時間後に割り込みを上げるようにする(オンディレイの設定)ことで、オンディレイ中に発生した別ポートの割り込み情報は同一の割り込みに集約し、同一タイミングの読み出し(read)コマンド(ポート1,2,3用の3readコマンドが出る)により状態を読み取れるようにしている。
【0057】
割り込みを掛けるのと同時に、ステータスレジスタの情報をホールドし、読み出し(read)タイミングで確実に読み込めるようにしている。
【0058】
また、上位システムでは、制御と応答間の順序は見ないで、応答があったか否かのみを監視する。
【0059】
図7は、従来の割り込み制御回路を示すブロック図であり、図5の割り込み制御回路と同様の部分に、図5で用いた符号に100を加えた符号を付けて示す。図8は、図7の割り込み制御回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0060】
図7に示すように、従来の割り込み制御回路140は、各トリガ回路41のうち最初にトリガパルスを発生したトリガ回路41のトリガパルスに、各光スイッチ50に想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として、または、各光スイッチ50に想定される遅延変動の最大値に相当する時間および遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として、付加する遅延時間付加回路(オンディレイ回路)42を備えておらず、また、割り込みトリガの発生と同時に、状態変化検出回路45による状態変化情報の検出を禁止し、また、ステータスレジスタ34をホールドしてその内容(ステータス)の変更を禁止する状態保持回路46を備えていない。
【0061】
そのため、図8に示すように、読み出し完了後の割り込みクリアと、別の光スイッチの割り込みトリガが競合し、ステータス情報の取りこぼしが発生することがありうる。
【0062】
以上のように、この光スイッチファブリック制御監視システム1によれば、従来問題となっていた、ステータスレジスタからの読み出し完了後の割り込みクリアと、別の光スイッチの割り込みが競合することがないため、ステータス情報の取りこぼし、あるいは誤検出することはない。
【0063】
また、仮に設定したオンディレイ時間より光スイッチの遅れが大きかった場合、即ち、同一タイミングの読み出し(read)コマンドで読み取れなかった場合は、一旦割り込みをクリアした後に再割り込みがかかるが、その場合もオンディレイ時間後に割り込みがかかるため、立て続けに割り込みがかかることはない。従って、割り込みクリアと、次の光スイッチの割り込みは競合しないため、PSF制御部での割り込み漏れはなく、ステータス情報検出漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明による光スイッチファブリック制御監視システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】複数個の光スイッチで構成される光スイッチ回路の一例を示す構成図である。
【図3】図2の光スイッチ回路について想定される接続状態を示す模式図である。
【図4】図1の光スイッチファブリック制御監視システムにおける制御手順を示す図である。
【図5】図1の光スイッチファブリック制御監視システムにおける割り込み制御回路を示すブロック図である。
【図6】図5の割り込み制御回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】従来の割り込み制御回路を示すブロック図である。
【図8】従来の割り込み制御回路の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 光スイッチファブリック制御監視システム
10 制御部/光スイッチ制御部(PSF制御部)
11 MPU(CPU)
12 FROM
13 SDRAM
14 イーサネット(登録商標)PHY(Ethernet(登録商標) PHYsical Layer)
15 PCMCIA
16 I/O
21 拡張バス(EXT1)
22 パラレルI/O(EXT2)
23 SDRAM
30 駆動部/光スイッチ駆動部(PSF駆動部)
31 デコード/コントロールレジスタ回路
32 パルス変換回路
33 パルス発生回路
34 ステータスレジスタ
35 割り込み生成回路
36 タイマ
40 割り込み制御回路
41 トリガ回路
42 遅延時間付加回路(オンディレイ回路)
43 割り込みパルス生成回路
44 チャタリング検出防止回路
45 状態変化検出回路
46 状態保持回路
47 デコーダ
48 ラッチ回路
49 割り込みクリアレジスタ
50 光スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、複数個の光スイッチと、前記制御部の指令に応じて所要個数の前記光スイッチに切り替え/切り戻し駆動パルスを出力し、当該駆動パルスに応じて切り替え/切り戻し動作した前記所要個数の光スイッチから入力される状態変化情報に基づいて、当該各状態変化情報の読み出しを促す割り込みトリガを前記制御部に伝える駆動部とを備えた光スイッチファブリックシステムにおいて、
前記所要個数の光スイッチのうち前記駆動部に最初に入力した光スイッチからの前記状態変化情報に基づくトリガに、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路と、
前記遅延時間付加回路の出力により前記割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路と、
を備えたことを特徴とする光スイッチファブリック制御監視システム。
【請求項2】
制御部と、駆動部と、前記制御部の指令に応じて前記駆動部から出力される切り替え/切り戻し駆動パルスに対し非同期に切り替え/切り戻し動作するとともに、当該動作にともなう状態変化情報を前記駆動部に送出する複数個の光スイッチとを備えた光スイッチファブリック制御監視システムであって、
前記複数個の光スイッチに対応し、前記送出された前記状態変化情報を検出してトリガパルスを発生する複数個のトリガ回路と、
前記複数個のトリガ回路のうち最初にトリガパルスを発生したトリガ回路のトリガパルスに、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間を遅延時間として付加する遅延時間付加回路と、
前記遅延時間付加回路の出力により、前記最初に発生したトリガパルスおよび前記遅延時間中に発生した各トリガ回路のトリガパルスに対応する前記各状態変化情報の読み出しを前記制御部に促す割り込みトリガを発生する割り込みパルス生成回路と、
前記割り込みトリガの発生と同時に前記複数個のトリガ回路による前記状態変化情報の検出を禁止する複数個の状態検出禁止回路と、
を備えたことを特徴とする光スイッチファブリック制御監視システム。
【請求項3】
前記遅延時間付加回路は、前記複数個の光スイッチに想定される遅延変動の最大値に相当する時間および遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として付加することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光スイッチファブリック制御監視システム。
【請求項4】
光スイッチ駆動部がほぼ同時に発した複数個の切り替え/切り戻し制御パルスに対し非同期に切り替え/切り戻し動作するとともに非同期に切り替え/切り戻し状態情報を送出する複数個の光スイッチと、
前記光スイッチのチャタリングの検出を防止するチャタリング検出防止回路及び当該チャタリング検出防止回路を経由した切り替え/切り戻し状態変化情報を検出する状態変化検出回路を有する複数のトリガ回路と、
前記複数のトリガ回路により得られた複数個のトリガパルスのうち最初に入力したトリガパルスを光スイッチ制御部に対する割り込みトリガパルスとし、後続のトリガパルスは割り込みパルスとさせない割り込みパルス生成回路と、
前記割り込みパルス生成回路の出力に対し前記複数個の光スイッチの遅延変動の最大値に相当する時間及び遅延変動マージンに相当する時間の合計を遅延時間として付加することで割り込みを遅らせる割り込みオンディレイ回路と、
前記割り込み発生と同時に前記複数個の光スイッチの状態変化検出回路の状態変化検出を禁止する光スイッチ状態検出禁止回路と、
を備えたことを特徴とする光スイッチファブリック制御監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−319813(P2006−319813A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141936(P2005−141936)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【Fターム(参考)】