説明

光スイッチ装置、光アクセスネットワーク、光スイッチ方法、プログラム、記録媒体

【課題】光スイッチ装置を用いた光アクセスネットワークにおいて、OLTとONUの伝送距離を伸ばすために、上り方向および下り方向の2×1光スプリッタを不要にする。
【解決手段】OLTより送出された下り光信号のスイッチングを行う下り光スイッチ素子10と、複数のONUより送出された上り光信号のスイッチングを行う上り光スイッチ素子11を有する光スイッチ装置において、OLTより送出された下り光信号を第1の電気信号に変換するO/E(3)と、前記第1の電気信号を下り光信号に変換し、前記下り光スイッチ素子10に入力するE/O(9)と、前記上り光スイッチ素子11から出力された上り光信号を第2の電気信号に変換するO/E(12)と、前記第2の電気信号を上り光信号に変換し、OLTに送出するE/O(15)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アクセスネットワークに用いる光スイッチ装置の構成に関する。光スイッチ装置にこれまで必要だった1×2スプリッタを不要にし、光スイッチ装置の挿入損失を低減するとともに、光スイッチ装置(OSM(Optical Switching Module))とセンタ装置(OLT(Optical Line Unit))との間の損失を補償し、センタ装置とリモート装置(ONU(Optical Network Unit))との伝送距離を伸ばすための技術に関する。さらに本発明は、下り方向スイッチングに必要な従来光レベルで実現していた遅延を電気レベルで実現することを可能にし、極めて精度よく実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、前記OLTと前記ONUとの間に接続された1つの光スイッチとでツリー状に構成した光アクセスネットワークに関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、固定長のタイムスロットをスイッチングの単位として使っている。下り方向はポートを周期的に接続している。上り方向は、すべてのONUが最大遅延時間になるように遅延時間を与えた後に送信させ、ポートを周期的に接続している。
【0004】
非特許文献1には、1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、前記OLTと前記ONUとの間に接続された少なくとも1つの光スプリッタとでツリー状に構成した光アクセスネットワークに関する技術が開示されている。
【0005】
一般に、このような光ネットワークはPON(Passive Optical Network)と呼ばれ、特に非特許文献1で述べられているPONは、イーサネット(Ethernet)(登録商標)フレームを用いることからE−PON、または伝送路の速度がギガビット(Gigabit)である意味を込めてGE−PONと呼ばれている。
【0006】
また、1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、前記OLTと前記ONUとの間に接続された少なくとも1つの光スイッチ装置(OSM)とでツリー状に構成した光アクセスネットワークは、非特許文献2および非特許文献3に開示されている。
【0007】
非特許文献2および非特許文献3で述べられている従来のOSMを図8に示す。OSM31は入ポートが1個で出ポートがn個の下り光スイッチ素子10と、入ポートがn個で出ポートが1個の上り光スイッチ素子11を有している。そして、下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートは波長多重により、OSM31の1個のポートになり、1本の光ファイバを介してOLTと接続される。また、下り光スイッチ素子10の出ポートk(k=1、2、3、・・・、n)と上り光スイッチ素子11の入ポートk(k=1、2、3、・・・、n)は波長多重により、OSM31のポートk(k=1、2、3、・・・、n)となり、それぞれ1本の光ファイバでONUと接続される。
【0008】
OSM31の下り光スイッチ素子10および上り光スイッチ素子11のスイッチングの制御は、下り光スイッチ素子10の入ポートの前に1×2スプリッタ(光スプリッタ60)によりセンタ装置からの光信号を分岐し、一方を下り光スイッチ素子10に入力し、もう一方は光信号を電気信号に変換した信号を用いて行われる。また、上り光スイッチ素子11の出ポートの次にも1×2光スプリッタ(光スプリッタ60)が置かれ、OSM31からOLTへパケットを送信できるようにしている。
【0009】
OSM31の下り光スイッチ素子10のスイッチングは、センタ装置(OLT)からの光信号を変換した電気信号からパケットを検出し、パケットに付されたONUの識別番号であるLLID(Logical Link Identifier)とパケット長により行われる。また、上り光スイッチ素子11のスイッチングは、センタ装置(OLT)からの光信号を変換した電気信号からGATEメッセージを検出し、GATEメッセージに付された送信先のONUのLLID、ONUの送信開始時刻および送信継続時間によって行われる。下り光スイッチ素子10の出ポートおよび上り光スイッチ素子11の入ポート、すなわちONU側のOSM31のポート選択はLLIDによって行われる。
以上みたように、下り方向および上り方向とも1×2スプリッタが置かれている。
【0010】
ここで、非特許文献1の内容のうち、パケット構成、OLTのONUに対する送信制御およびOLTのONUに対するディスカバリ操作ついて説明する。ここで、パケットという用語を一貫して用いるが、フレームという用語を用いても内容は変わらない。
【0011】
パケット構成を図9に示す。大きくプレアンブル部、MAC(Media Access Control)ヘッダ部、ペイロード部、誤り検出部FCS(Frame Check Sequence)から構成される。
【0012】
プレアンブル部はビット同期を図る0x55(01010101)という符号と、ONUの識別番号に相当するLLID(Logical Link Identifier)、LLIDを検出するためのSLD(Start of LLID Delimiter)と呼ばれる符号0xd5(11010101)およびSLDとLLIDのビット誤りを検出するCRC(Cyclic Redundancy Check)から構成されている。
【0013】
MACヘッダ部は、送信先MACアドレス(DA: Destination Address)、送信元MACアドレス(SA: Source Address)、長さ/タイプ(L/T: Length/Type)から構成される。
【0014】
ペイロード部にはユーザのデータやネットワークの制御を司るデータが入る。ネットワークの制御を司るパケットは、GATEメッセージ、REGISTER_REQメッセージ、REGISTERメッセージ、REGISTER_ACKメッセージ、REPORTメッセージの5種類が定義されている。また、これらのメッセージには共通的に時刻情報(Time Stamp)が定義されている。
【0015】
GATEメッセージはONUに対する送信制御に使われる。GATEメッセージでは、図9のペイロード部分に、GATEメッセージの識別番号(Opcode)、OLTの時刻を配信する時刻情報(Time Stamp)、ディスカバリ(Discovery)か否かを示すディスカバリフラグ(Discovery Flag)、ONUの送信開始時刻(Grant Start Time)、ONUの送信継続時間(Grant Length)などの情報が書き込まれている。
【0016】
ディスカバリ操作は、新しくONUを接続するときや、ONUの電源をオフにして再度オンにするときなどにOLTがONUにLLIDを付与し、LLIDを付与したONUの往復時間の最初の測定を行う操作である。任意の時点に新しくONUを接続しても、ONUの電源をオフにして再度オンにしても、LLIDの付与と往復時間の測定を可能にするために、ディスカバリ操作は周期的に行われる。なお、この周期についてはシステム設計者が決めることになっている。
【0017】
ディスカバリ操作を図10に示す。ディスカバリ操作の最初に、OLTからGATEメッセージが送信される。このGATEメッセージは、LLIDの定まっていないONUを対象とするので、そのLLIDはブロードキャスト用に定義したものが使われる。さらに、Discoveryフラグは1、送信先MACアドレスはマルチキャストが用いられる。以後、このようなGATEメッセージを「ディスカバリ用GATEメッセージ」と呼ぶ。
【0018】
PON(Passive Optical Network)では、OLTから送信されたディスカバリ用GATEメッセージは、光スプリッタにより分岐されて、分岐スプリッタに接続されているすべてのONUに到着する。まだ、LLIDを付与されていない未登録のONUはこのディスカバリ用GATEメッセージを受信すると、OLTに登録を要求するために、REGISTER_REQメッセージを一斉に送信する。このとき、光スプリッタからOLTの区間で、REGISTER_REQメッセージが衝突するのを避けるために、各未登録のONUはディスカバリ用GATEメッセージに書かれた送信開始時刻td2を基点としてランダム時間だけ待った後に、送信元MACアドレスをそのONUのMACアドレスとしたREGISTER_REQメッセージを送信する。
【0019】
OLTが、REGISTER_REQメッセージを受信すると、OLTはREGISTER_REQメッセージからONUのMACアドレスONUを取得し、LLIDを新たに割り当て、ONUのMACアドレスとLLIDの対応関係を管理する。OLTはONUに割り当てたLLIDをONUに知らせるために、LLIDをパケットの情報領域(ペイロード)に書き込んだREGISTERメッセージを送信する。ONUはこのメッセージを受け、LLIDを得た後には、ONUが送信するパケットのプレアンブル部にはこのLLIDを付けて送信する。また、ONUはOLTから送られてくるパケットが自己宛か否かをプレアンブル部のLLIDで判定する。プレアンブルのLLIDとREGISTERメッセージのデータ領域に書かれたLLIDとを特に区別する必要があるとき、後者をLLID_Regと書くことにする。
【0020】
その後に、OLTはONUの往復時間を測定(レンジングと呼ばれる)するために、ONUをLLIDで指定して、送信MACアドレスをマルチキャストとし、ディスカバリフラグを0としたGATEメッセージが送られる。以降、このGATEメッセージを「レンジング用GATEメッセージ」という。このLLIDに相当するONUがレンジング用GATEメッセージを受信すると、レンジング用GATEメッセージに書かれた時刻情報(Time Stamp)tr1、送信開始時刻(Grant Start Time)tr2、送信継続時間(Grant Length)Tr2を取得し、時刻情報tr1をONUの時計に設定し、その時計で送信開始時刻tr2に、送信継続時間Tr2だけ、REGISTER_ACKメッセージをOLTに送信する。このとき、REGISTER_ACKメッセージの時刻情報(Time Stamp)にはONUの時計でtr2が書かれていることに注意する。OLTが、REGISTER_ACKメッセージを自己の時計で時刻tr3で受信したとすると、このメッセージに書かれているtr2とからOLTとONUの往復時間RTTaをRTTa=tr3−tr2で得ることができる。OLTによりONUとの間の往復時間の測定が行われ、そのONUの登録が終了する。
【0021】
登録が終了したONUの送信制御を行うために、OLTはそのONUに対応するLLIDを付し、送信MACアドレスをそのONUのMACアドレスとし、ディスカバリフラグを0としたGATEメッセージを用いる。以降、このGATEメッセージを「送信制御用GATEメッセージ」と呼ぶ。また、OLTは送信制御用GATEメッセージが要求するREPORTメッセージにより、ONUの送信要求を調べる。また、同時にOLTは送信制御用GATEメッセージに書いたONUの送信開始時刻t2とREPORTメッセージの到着時刻t3により往復時間RTTa=t3−t2を測定し、測定時間の更新を行う。
【特許文献1】特開平7−177098号公報
【非特許文献1】IEEE802.3ahTM/D.3.3, “Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection (CSMA/CD) access method and physical layer specifications,” September 7, 2004.
【非特許文献2】上田裕巳、野村拓望、牧野州哲、坪井利憲、黒川弘章、河西宏之:“次世代光アクセスネットワークアーキテクチャの提案−光スイッチモジュールを適用した光アクセスネットワーク”、電子情報通信学会技術報告、CS2004−253(2005−03)。
【非特許文献3】野村拓望、伊藤睦、黒川弘章、上田裕巳、坪井利憲、河西宏之:“次世代光アクセスネットワークアーキテクチャにおける光スイッチモジュール構成法”、電子情報通信学会技術報告、CS2004−254(2005−03)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、前記OLTと前記ONUとの間に接続された少なくとも1つの光スイッチ装置(OSM)とでツリー状に構成した光アクセスネットワークでは、OLTとONUとの伝送距離はOSMの挿入損失によって決定される。
【0023】
ところが従来技術のOSMには、図8でみたように、下り方向および上り方向とも内部に2×1光スプリッタ(光スプリッタ60)が用いられている。2×1光スプリッタ(光スプリッタ60)の挿入損失は約4dBである。これがOSM31の挿入損失に加わることになり、下り光スイッチ素子10および上り光スイッチ素子11の挿入損失を小さくしても、OSM31全体では4dB以下にはできない。光アクセスネットワークで用いられる1310nm帯シングルモードファイバの損失は約0.34 dB/kmであるから、4dBは11.8kmに相当する。逆にいえば、もしOSM31から2×1光スプリッタ(光スプリッタ60)を除去できれば、OLTとONUとの伝送距離を11.8km伸ばせることになる。さらに図8の遅延部51は光レベル、例えば光ファイバの長さを調整して実現されるが、この遅延部51はナノセコンドオーダの調整が必要であり、必ずしも容易ではない。
【0024】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光スイッチ装置を用いた光アクセスネットワークにおいて、OLTとONUの伝送距離を伸ばすことであり、上り方向および下り方向の2×1光スプリッタを不要にすることである。さらに、下り方向の光スイッチングに必要な遅延を電気で精度よく実現することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明は、1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、OLTとONUとの間に接続された少なくとも1つの光スイッチ装置(OSM)とでツリー状に構成した光アクセスネットワークの光スイッチ装置であって、
下りスイッチ素子の入ポートの前で光信号を電気信号に変換し、電気信号を2つに分岐し、一方の電気信号を下りおよび上りの光スイッチ素子のスイッチング制御に用い、もう一方の電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子に入力する。また、上りスイッチ素子の出ポートの後で、光信号を電気信号に変換し、その電気信号と、光スイッチ装置からセンタ装置に送信する電気信号とを多重した後に、光信号に変換する。
以上により、1×2光スプリッタを削除するとともに、下りスイッチ素子の前に必要な遅延を電気で実現した光スイッチ装置(OSM)を提供する。
【0026】
また、本発明は、1つのセンタ装置(OLT)と、複数のリモート装置(ONU)と、OLTとONUとの間に接続された少なくとも1つの光スイッチ装置(OSM)とでツリー状に構成した光アクセスネットワークの光スイッチ装置であって、
OLTからのディスカバリ用GATEメッセージを検出したとき、
1個の入ポートとn個の出ポートを有する下り光スイッチ素子の入ポートとn個の出ポートうちの1個の出ポートk(k=1、2、・・・、n)を接続し、
n個の入ポートと1個の出ポートを有する上り光スイッチ素子のn個の入ポートうちの1個の入ポートk(k=1、2、・・・、n)と出ポートを接続し、
OLTからのREGISTERメッセージを検出したときは、REGISTERメッセージに書き込まれているリモート装置のLLID(LLID_Reg)を取得し、
ONUのLLIDと自機のリモート装置側ポートkとの対応関係を定める光スイッチ装置(OSM)を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、下り方向および上り方向とも約4dBの損失が減少できる。さらに、光スイッチ装置(OSM)内でセンタ装置側(OLT)からの光信号を再生するので、OLTとOSMとの間の光ファイバの損失も削除できる。したがって、光スイッチ装置を用いた光アクセスネットワークにおけるOLTとONUとの伝送距離を大幅に伸ばすことが可能となる。さらに、下りスイッチ素子の前に必要な遅延を電気で精度よく実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付されている。
【0029】
〈第1の実施の形態〉
まず、本発明の第1の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図1を参照して、以下に説明する。
【0030】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子のn個の出ポートと上り光スイッチ素子のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、光信号を分岐する光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。なお、OSM31には、当該OSM31の中央処理制御を行うCPU(Central Processing Unit)を用いる場合、当該CPUと、当該CPUが中央処理制御を行うときに読み出すプログラムを格納するROM(Read Only Memory)が記録媒体として搭載されている。この点は後述する他の形態においても同様である。
【0031】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部3に入力する。また、分波・合波部1は、電気光変換部(E/O)15からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0032】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0033】
光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換する。
【0034】
分岐部7は、光電気変換部3からの電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を制御部34に入力する。
【0035】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号を、制御部34後の処理に要する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対して最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、電気光変換部9に入力する。
【0036】
電気光変換部(E/O)9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0037】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、制御部34の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0038】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、制御部34の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部(O/E)12に入力される。
【0039】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換し、多重部14に入力する。
【0040】
多重部14は、光電気変換部12からの電気信号と制御部34からの電気信号を多重し、電気光変換部15に入力する。
【0041】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。このとき分波・合波部1は、電気光変換部15からの光信号を合波し、光信号を光ファイバ32を介してOLTに送る。
【0042】
制御部34は、下り光スイッチ素子10、上り光スイッチ素子11に対し、パケット単位に入ポートと出ポートとを接続するように指示する。その指示は分岐部7より入力された電気信号に基づいてなされる。また、多重部14にも電気信号を送信する。
【0043】
〈第2の実施の形態〉
次に、本発明の第2の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図2を参照して、以下に説明する。
【0044】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子10のn個の出ポートと上り光スイッチ素子11のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、下り方向は3R機能および上り方向は2R機能を有し、OSM31とONUの往復時間TzをOLTから取得し、光信号を分岐する光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。
【0045】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部(O/E)3に入力する。また、分波・合波部1は、電気光変換部(E/O)15からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0046】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0047】
光電気変換部(O/E)3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換し、電気信号をビットバッファ6に入力する。同時に、光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号からクロックを抽出する。そのクロックは、位相同期発振器(PLO)4に入力されるとともに、ビットバッファ6の書き込みクロックとして用いられる。
【0048】
位相同期発振器4は光電気変換部3からのクロックに同期したクロックパルスを発生し、パルス生成部(PG)5に入力する。
【0049】
パルス生成部5は、ビットバッファ部6、リセット信号生成部13などに必要なパルスを生成し、各部にそのパルスを分配する。パルス生成部5からのパルスは、ビットバッファ部6では読み出しクロックとして用いられ、リセット信号生成部13では光電気変換部12の光信号レベルしきい値のリセットパルスを生成するのに用いられる。
【0050】
ビットバッファ部6は、光電気変換部3からの電気信号を、光電気変換部3からのクロックにより書き込み、パルス生成部5のクロックにより読み出す。これにより、OLTから送られてくる光信号から変換した電気信号のクロックは、伝送路上のクロックからOSM装置内のクロックにのせ換えられる。
【0051】
分岐部7は、ビットバッファ6からのOSM装置内クロックにのせ換えた電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を下りパケット抽出部20に入力する。
【0052】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号処理に要する後述する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対する最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、電気光変換部(E/O)9に入力する。
【0053】
電気光変換部9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0054】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、下りスイッチ制御部24の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0055】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、上りスイッチ制御部25の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部(O/E)12に入力される。
【0056】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換する。光電気変換部12からの電気信号は多重部14に入力される。ここで、光電気変換部12において、OSM31と距離の異なる複数のONUからの光レベルの異なる光信号の受信を可能とするため、光電気変換部12の光信号のしきい値は、パケット単位(バースト信号単位)に、バースト信号の先頭で、リセット信号生成部13からのパルスによってリセットされる。
【0057】
リセット信号生成部13は、パルス生成部5からのクロックを受け、光電気変換部12の光信号のしきい値のリセットパルスを生成し、リセットパルスを光電気変換部12に入力する。
【0058】
下りパケット抽出部20は、分岐部7からの電気信号を受け、下りパケットと下りパケット長と下りパケットのプリアンブルにあるLLID(Logical Link Identifier)を抽出し、下りパケットとLLIDを下りパケット解析部21に入力し、下りパケット長を下りスイッチ制御部24に入力し、LLIDをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0059】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当しない場合、次の処理を行う。
(21−1)GATEメッセージと判定すると、ディスカバリ用、レンジング用、送信制御用かの種類を判定し、ディスカバリ中であるか否かを判定し、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得する。当該メッセージの種類とt2とT2を上りスイッチ制御部25に入力し、t1を装置時刻管理部に入力し、ディスカバリ中であるか否かの情報とGATEメッセージを検出したことをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−2)REGISTERメッセージと判定すると、該メッセージから、時刻情報t1、当該メッセージの情報領域(ペイロード)に書かれたOLTがONUに割り当てたLLID(以降、必要に応じてLLID_Regという)を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、LLID_RegをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−3)LLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)の対応関係を伝送しているパケットと判定すると、当該パケットより、LLIDとTzの対応関係を取得し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0060】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当する場合、次の処理を行う。
(21−4)OSM31にLLIDが割り当てられていない場合(LLIDが存在しない場合)、ディスカバリ用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_REQメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。LLIDが割り当てられている場合(LLIDを前もって設定する場合も含む)、何もしない。
(21−5)レンジング用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_ACKメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入カする。
(21−6)送信制御用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入カし、REPORTメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。
【0061】
装置時刻管理部22は、下りパケット解析部21からの時刻情報(Time Stamp)t1を自己の時計に設定し、時刻を上りスイッチ制御部25と上りパケット生成・送信部26に入力する。
【0062】
LLID−ポート−Tzテーブル管理部23は、次の処理を行う。
(23−1)下りパケット解析部21からLLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)との対応関係を受け、LLID−Tzテーブルを作成し、LLIDが与えられたときにTzを出力できるようにする。このLLID−Tzテーブルは下りパケット解析部21から受けるたびに更新する。
(23−2)下りパケット抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用の場合、n個のポートから1つのポートk(k=1、2、...、n)を選択し、ポートkとスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。このとき、このポートkはディスカバリ周期ごとに変え、n回の周期ですべてのポートが選択されるようにする。
(23−3)(23−2)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−2)で定めたポートkを上りスイッチ制御部25に入カする。
(23−4)下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報と、LLID_Regを受けたら、(23−2)でLLIDがブロ−ドキャストの場合に定めたポートkと当該LLID_REGとの対応関係を作成する。(23−2)はディスカバリ周期ごとにポート番号を変化させるので、ポート数n周期の後には、すべてのポート番号とLLIDの対応関係のLLID−ポートテーブルが作成される。このテーブルより、LLIDが与えられると対応するポート番号が得られる。
(23−5)フレ−ム抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用でない場合(すなわち、あるONUに割り当てられたLLIDの場合)、(23−4)で作成されたLLID−ポートテーブルからLLIDに基づきポート番号を定め、当該ポート番号とスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。
(23−6)(23−5)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中でない情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−5)でLLIDから定めたポート番号と(23−1)で作成されたLLID−TzテーブルからLLIDに基づきTzを求め、ポート番号とTzを上りスイッチ制御部25に入カする。
【0063】
下りスイッチ制御部24は、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とスイッチ指示tgrを受け、下りパケット抽出部20から下りパケット長を受け、入ポートと該ポート番号の出ポートとの接続を開始し、パケット長の時間だけ継続するように下り光スイッチ素子10に指示する。
【0064】
上りスイッチ時間管理部25は、下りパケット解析部21からのGATEメッセージの種類を受け、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とTzを受け、上り光スイッチ素子に該ポート番号の入ポートと出ポートの接続を、装置管理部22の時刻に基づいて接続開始時刻tsで行い、接続継続時間Tdだけ行うように指示する。ここで、tsとTdはGATEメッセージの送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2により以下のようにする。
(25−1)GATEメッセージがディスカバリ用の場合、ts=t2、Td=Tdw(ディスカバリウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間)とする。これにより、ONUからのREGISTER_REQメッセージを通過させることができる。
(25−2)GATEメッセージがレンジング用の場合、ts=t2、Td=Trw(レンジングウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間))とする。これにより、ONUからのREGISTER_ACKメッセージを通過させることができる。
(25−3)GATEメッセージが送信制御用の場合、ts=t2+Tz、Td=T2とする。これにより、当該GATEメッセージに基づきONUが送信するパケットを通過させることができる。
【0065】
上りパケット生成・送信部26は、下りパケット解析部21が指示したパケットを生成し、装置時刻管理部22から時刻を受け、下りパケット解析部21からの送信開始時刻t2と送信継続時間T2に従って、上りパケットを多重部14に送信する。
【0066】
多重部14は、光電気変換部12からの電気信号と上りパケット生成・送信部26からの電気信号を多重し、電気光変換部(E/O)15に入力する。
【0067】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。
【0068】
〈第3の実施の形態〉
次に、本発明の第3の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図3を参照して、以下に説明する。
【0069】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子10のn個の出ポートと上り光スイッチ素子11のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、下り方向および上り方向とも3R機能を有し、OSMとONUの往復時間TzをOLTから取得し、光信号を分岐する光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。
【0070】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部(O/E)3に入力する。また、分波・合波部1は、電気光変換部(E/O)15からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0071】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0072】
光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換し、電気信号をビットバッファ6に入力する。同時に、光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号からクロックを抽出する。そのクロックは、位相同期発振器(PLO)4に入力されるとともに、ビットバッファ6の書き込みクロックとして用いられる。
【0073】
位相同期発振器4は光電気変換部3からのクロックに同期したクロックパルスを発生し、パルス生成部(PG)5に入力する。
【0074】
パルス生成部5は、ビットバッファ部6、リセット信号生成部13、クロック変換部50などに必要なパルスを生成し、各部にそのパルスを分配する。パルス生成部5からのパルスは、ビットバッファ部6では読み出しクロックとして用いられ、リセット信号生成部13では光電気変換部12の光信号レベルしきい値のリセットパルスを生成するのに用いられ、クロック変換部50では読み出しクロックとして用いられる。
【0075】
ビットバッファ部6は、光電気変換部3からの電気信号を、光電気変換部3からのクロックにより書き込み、パルス生成部5のクロックにより読み出す。これにより、OLTから送られてくる光信号から変換した電気信号のクロックは、伝送路上のクロックからOSM装置内のクロックにのせ換えられる。
【0076】
分岐部7は、ビットバッファ6からのOSM装置内クロックにのせ換えた電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を下りパケット抽出部20に入力する。
【0077】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号処理に要する後述する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対して最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、電気光変換部(E/O)9に入力する。
【0078】
電気光変換部9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0079】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、下りスイッチ制御部24の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0080】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、上りスイッチ制御部25の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部(O/E)12に入力される。
【0081】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換し、クロックを抽出する。光電気変換部12からの電気信号はクロック変換部50に入力される。光電気変換部12からのクロックはクロック変換部50の書き込みクロックに入力される。ここで、光電気変換部12において、OSM31と距離の異なる複数のONUからの光レベルの異なる光信号の受信を可能とするため、光電気変換部12の光信号のしきい値は、パケット単位(バースト信号単位)に、バースト信号の先頭で、リセット信号生成部13からのパルスによってリセットされる。
【0082】
リセット信号生成部13は、パルス生成部5からのクロックを受け、光電気変換部12の光信号のしきい値のリセットパルスを生成し、リセットパルスを光電気変換部12に入力する。
【0083】
クロック変換部50は、ONUから送られてくる光信号から変換した電気信号を、光電気変換部12からの伝送路上のクロックで書き込み、パルス生成部5からのクロックで読み出すことによって、OSM装置内のクロックにのせ換え、多重部14に入力する。
【0084】
下りパケット抽出部20は、分岐部7からの電気信号を受け、下りパケットと下りパケット長と下りパケットのプリアンブルにあるLLID(Logical Link Identifier)を抽出し、下りパケットとLLIDを下りパケット解析部21に入力し、下りパケット長を下りスイッチ制御部24に入力し、LLIDをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0085】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当しない場合、次の処理を行う。
(21−1)GATEメッセージと判定すると、ディスカバリ用、レンジング用、送信制御用かの種類を判定し、ディスカバリ中であるか否かを判定し、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得する。当該メッセージの種類とt2とT2を上りスイッチ制御部25に入力し、t1を装置時刻管理部に入力し、ディスカバリ中であるか否かの情報とGATEメッセージを検出したことをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−2)REGISTERメッセージと判定すると、該メッセージから、時刻情報t1、当該メッセージの情報領域(ペイロード)に書かれたOLTがONUに割り当てたLLID(以降、必要に応じてLLID_Regという)を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、LLID_RegをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−3)LLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)の対応関係を伝送しているパケットと判定すると、当該パケットより、LLIDとTzの対応関係を取得し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0086】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当する場合、次の処理を行う。
(21−4)OSM31にLLIDが割り当てられていない場合(LLIDが存在しない場合)、ディスカバリ用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_REQメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。LLIDが割り当てられている場合(LLIDを前もって設定する場合も含む)、何もしない。
(21−5)レンジング用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_ACKメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入カする。
(21−6)送信制御用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入カし、REPORTメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。
【0087】
装置時刻管理部22は、下りパケット解析部21からの時刻情報(Time Stamp)t1を自己の時計に設定し、時刻を上りスイッチ制御部25と上りパケット生成・送信部26に入力する。
【0088】
LLID−ポート−Tzテーブル管理部23は、次の処理を行う。
(23−1)下りパケット解析部21からLLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)との対応関係を受け、LLID−Tzテーブルを作成し、LLIDが与えられたときにTzを出力できるようにする。このLLID−Tzテーブルは下りパケット解析部21から受けるたびに更新する。
(23−2)下りパケット抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用の場合、n個のポートから1つのポートk(k=1、2、...、n)を選択し、ポートkとスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。このとき、このポートkはディスカバリ周期ごとに変え、n回の周期ですべてのポートが選択されるようにする。
(23−3)(23−2)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−2)で定めたポートkを上りスイッチ制御部25に入カする。
(23−4)下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報と、LLID_Regを受けたら、(23−2)でLLIDがブロ−ドキャストの場合に定めたポートkと当該LLID_REGとの対応関係を作成する。(23−2)はディスカバリ周期ごとにポート番号を変化させるので、ポート数n周期の後には、すべてのポート番号とLLIDの対応関係のLLID−ポートテーブルが作成される。このテーブルより、LLIDが与えられると対応するポート番号が得られる。
(23−5)フレ−ム抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用でない場合(すなわち、あるONUに割り当てられたLLIDの場合)、(23−4)で作成されたLLID−ポートテーブルからLLIDに基づきポート番号を定め、当該ポート番号とスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。
(23−6)(23−5)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中でない情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−5)でLLIDから定めたポート番号と(23−1)で作成されたLLID−TzテーブルからLLIDに基づきTzを求め、ポート番号とTzを上りスイッチ制御部25に入カする。
【0089】
下りスイッチ制御部24は、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とスイッチ指示tgrを受け、下りパケット抽出部20から下りパケット長を受け、入ポートと該ポート番号の出ポートとの接続を開始し、パケット長の時間だけ継続するように下り光スイッチ素子10に指示する。
【0090】
上りスイッチ時間管理部25は、下りパケット解析部21からのGATEメッセージの種類を受け、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とTzを受け、上り光スイッチ素子に該ポート番号の入ポートと出ポートの接続を、装置管理部22の時刻に基づいて接続開始時刻tsで行い、接続継続時間Tdだけ行うように指示する。ここで、tsとTdはGATEメッセージの送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2により以下のようにする。
(25−1)GATEメッセージがディスカバリ用の場合、ts=t2、Td=Tdw(ディスカバリウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間)とする。これにより、ONUからのREGISTER_REQメッセージを通過させることができる。
(25−2)GATEメッセージがレンジング用の場合、ts=t2、Td=Trw(レンジングウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間))とする。これにより、ONUからのREGISTER_ACKメッセージを通過させることができる。
(25−3)GATEメッセージが送信制御用の場合、ts=t2+Tz、Td=T2とする。これにより、当該GATEメッセージに基づきONUが送信するパケットを通過させることができる。
【0091】
上りパケット生成・送信部26は、下りパケット解析部21が指示したパケットを生成し、装置時刻管理部22から時刻を受け、下りパケット解析部21からの送信開始時刻t2と送信継続時間T2に従って、上りパケットを多重部14に送信する。
【0092】
多重部14は、クロック変換部50からの電気信号と上りパケット生成・送信部26からの電気信号を多重し、電気光変換部(E/O)15に入力する。
【0093】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。
【0094】
〈第4の実施の形態〉
本発明の第4の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図4を参照して、以下に説明する。
【0095】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子10のn個の出ポートと上り光スイッチ素子11のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、上りの信号もOSM31の制御に用いること、および光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。
【0096】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部3に入力する。また、分波・合波部1は、分岐部7からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0097】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0098】
光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換する。
【0099】
分岐部7は、光電気変換部3からの電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を制御部34に入力する。
【0100】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号を、制御部34後の処理に要する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対して最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、光電気変換部9に入力する。
【0101】
光電気変換部9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0102】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、制御部34の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0103】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、制御部34の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部12に入力される。
【0104】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換し、分岐部40に入力する。
【0105】
分岐部40は、光電気変換部(O/E)12からの電気信号を2つに分岐し、一方を多重部14に入力し、もう一方を制御部34に入力する。
【0106】
多重部14は、分岐部40からの電気信号と制御部34からの電気信号を多重し、電気光変換部15に入力する。
【0107】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。
【0108】
分波・合波部1は、電気光変換部15からの光信号を合波し、光信号を光ファイバ32を介してOLTに送る。
【0109】
制御部34は、下り光スイッチ素子10、上り光スイッチ素子11に対し、パケット単位に入ポートと出ポートとを接続するように指示する。その指示は分岐部7、分岐部40より入力された電気信号に基づいてなされる。また、多重部14にも電気信号を送信する。
【0110】
〈第5の実施の形態〉
次に、本発明の第5の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図5を参照して、以下に説明する。
【0111】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子10のn個の出ポートと上り光スイッチ素子11のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、下り方向は3R機能および上り方向は2R機能を有し、OSM31とONUの往復時間Tzを自動的に測定し、光信号を分岐する光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。
【0112】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部(O/E)3に入力する。また、分波・合波部1は、電気光変換部(E/O)15からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0113】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0114】
光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換し、電気信号をビットバッファ6に入力する。同時に、光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号からクロックを抽出する。そのクロックは、位相同期発振器(PLO)4に入力されるとともに、ビットバッファ6の書き込みクロックとして用いられる。
【0115】
位相同期発振器4は光電気変換部3からのクロックに同期したクロックパルスを発生し、パルス生成部(PG)5に入力する。
【0116】
パルス生成部5は、ビットバッファ部6、リセット信号生成部13などに必要なパルスを生成し、各部にそのパルスを分配する。パルス生成部5からのパルスは、ビットバッファ部6では読み出しクロックとして用いられ、リセット信号生成部13では光電気変換部12の光信号レベルしきい値のリセットパルスを生成するのに用いられる。
【0117】
ビットバッファ部6は、光電気変換部3からの電気信号を、光電気変換部3からのクロックにより書き込み、パルス生成部5のクロックにより読み出す。これにより、OLTから送られてくる光信号から変換した電気信号のクロックは、伝送路上のクロックからOSM装置内のクロックにのせ換えられる。
【0118】
分岐部7は、ビットバッファ6からのOSM装置内クロックにのせ換えた電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を下りパケット抽出部20に入力する。
【0119】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号処理に要する後述する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対して最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、電気光変換部(E/O)9に入力する。
【0120】
電気光変換部9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0121】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、下りスイッチ制御部24の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0122】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、上りスイッチ制御部25の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部(O/E)12に入力される。
【0123】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換する。光電気変換部12からの電気信号は分岐部40に入力される。ここで、光電気変換部12において、OSM31と距離の異なる複数のONUからの光レベルの異なる光信号の受信を可能とするため、光電気変換部12の光信号のしきい値は、パケット単位(バースト信号単位)に、バースト信号の先頭で、リセット信号生成部13からのパルスによってリセットされる。
【0124】
リセット信号生成部13は、パルス生成部5からのクロックを受け、光電気変換部12の光信号のしきい値のリセットパルスを生成し、リセットパルスを光電気変換部12に入力する。
【0125】
分岐部40は、光電気変換部12からの電気信号を2つに分岐し、一方の電気信号を上りパケット抽出・到着時刻測定部41に入力し、もう一方の電気信号を多重部14に入力する。
【0126】
下りパケット抽出部20は、分岐部7からの電気信号を受け、下りパケットと下りパケット長と下りパケットのプリアンブルにあるLLID(Logical Link Identifier)を抽出し、下りパケットとLLIDを下りパケット解析部21に入力し、下りパケット長を下りスイッチ制御部24に入力し、LLIDをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0127】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当しない場合、次の処理を行う。
(21−1)GATEメッセージと判定すると、ディスカバリ用、レンジング用、送信制御用かの種類を判定し、ディスカバリ中であるか否かを判定し、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得する。当該メッセージの種類とt2とT2を上りスイッチ制御部25に入力し、t1を装置時刻管理部に入力し、ディスカバリ中であるか否かの情報とGATEメッセージを検出したことをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−2)REGISTERメッセージと判定すると、該メッセージから、時刻情報t1、当該メッセージの情報領域(ペイロード)に書かれたOLTがONUに割り当てたLLID(以降、必要に応じてLLID_Regという)を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、LLID_RegをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0128】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当する場合、次の処理を行う。
(21−3)OSM31にLLIDが割り当てられていない場合(LLIDが存在しない場合)、ディスカバリ用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_REQメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。LLIDが割り当てられている場合(LLIDを前もって設定する場合も含む)、何もしない。
(21−4)レンジング用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_ACKメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入カする。
(21−5)送信制御用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入カし、REPORTメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。
【0129】
装置時刻管理部22は、下りパケット解析部21からの時刻情報(Time Stamp)t1を自己の時計に設定し、時刻を上りスイッチ制御部25、上りパケット生成・送信部26、および上りパケット抽出・到着時刻測定部41に入力する。
【0130】
上りパケット抽出・到着時刻測定部41は、分岐部40からの電気信号から上りパケットを抽出し、装置時刻管理部22からの時刻に基づいて、上りパケットの到着時刻t3を測定する。抽出した上りパケットとその到着時刻t3は上りパケット解析部42に入力される。
【0131】
上りパケット解析部42は、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からの上りパケットと到着時刻t3に対して、次の処理を行う。
(42−1)REGISTER_ACKメッセージと判定すると、該メッセージに書かれているLLID、時刻情報(Time Stamp)t1を取得し、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からのREGISTER_ACKメッセージの到着時刻t3を用いて、OSM31とONUの往復時間TzをTz=t3−t1で算出し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(42−2)REPORTメッセージと判定すると、該メッセージに書かれている、LLIDと時刻情報(Time Stamp)t1を取得し、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からのREPORTメッセージの到着時刻t3を用いて、Tz=t3−t1で算出し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0132】
LLID−ポート−Tzテーブル管理部23は、次の処理を行う。
(23−1)上りパケット解析部42からLLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)との対応関係を受け、LLID−Tzテーブルを作成し、LLIDが与えられたときにTzを出力できるようにする。このLLID−Tzテーブルは上りパケット解析部42から受けるたびに更新する。
(23−2)下りパケット抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用の場合、n個のポートから1つのポートk(k=1、2、...、n)を選択し、ポートkとスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。このとき、このポートkはディスカバリ周期ごとに変え、n回の周期ですべてのポートが選択されるようにする。
(23−3)(23−2)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−2)で定めたポートkを上りスイッチ制御部25に入カする。
(23−4)下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報と、LLID_Regを受けたら、(23−2)でLLIDがブロ−ドキャストの場合に定めたポートkと当該LLID_REGとの対応関係を作成する。(23−2)はディスカバリ周期ごとにポート番号を変化させるので、ポート数n周期の後には、すべてのポート番号とLLIDの対応関係のLLID−ポートテーブルが作成される。このテーブルより、LLIDが与えられると対応するポート番号が得られる。
(23−5)フレ−ム抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用でない場合(すなわち、あるONUに割り当てられたLLIDの場合)、(23−4)で作成されたLLID−ポートテーブルからLLIDに基づきポート番号を定め、当該ポート番号とスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。
(23−6)(23−5)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中でない情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−5)でLLIDから定めたポート番号と(23−1)で作成されたLLID−TzテーブルからLLIDに基づきTzを求め、ポート番号とTzを上りスイッチ制御部25に入カする。
下りスイッチ制御部24は、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とスイッチ指示tgrを受け、下りパケット抽出部20から下りパケット長を受け、入ポートと該ポート番号の出ポートとの接続を開始し、パケット長の時間だけ継続するように下り光スイッチ素子10に指示する。
【0133】
上りスイッチ時間管理部25は、下りパケット解析部21からのGATEメッセージの種類を受け、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とTzを受け、上り光スイッチ素子に該ポート番号の入ポートと出ポートの接続を、装置管理部22の時刻に基づいて接続開始時刻tsで行い、接続継続時間Tdだけ行うように指示する。ここで、tsとTdはGATEメッセージの送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2により以下のようにする。
(25−1)GATEメッセージがディスカバリ用の場合、ts=t2、Td=Tdw(ディスカバリウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間)とする。これにより、ONUからのREGISTER_REQメッセージを通過させることができる。
(25−2)GATEメッセージがレンジング用の場合、ts=t2、Td=Trw(レンジングウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間))とする。これにより、ONUからのREGISTER_ACKメッセージを通過させることができる。
(25−3)GATEメッセージが送信制御用の場合、ts=t2+Tz、Td=T2とする。これにより、当該GATEメッセージに基づきONUが送信するパケットを通過させることができる。
【0134】
上りパケット生成・送信部26は、下りパケット解析部21が指示したパケットを生成し、装置時刻管理部22から時刻を受け、下りパケット解析部21からの送信開始時刻t2と送信継続時間T2に従って、上りパケットを多重部14に送信する。
【0135】
多重部14は、分岐部40からの電気信号と上りパケット生成・送信部26からの電気信号を多重し、電気光変換部(E/O)15に入力する。
【0136】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。
【0137】
〈第6の実施の形態〉
次に、本発明の第6の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)について、図6を参照して、以下に説明する。
【0138】
光スイッチ装置(OSM)31は、OLTと光ファイバ32で接続される1個の入出力ポートと最大n個のONUと光ファイバ33で接続されるn個の入出力ポートを有する。OSM31のOLT側の1個のポートはOSM内の下り光スイッチ素子10の1個の入ポートと上り光スイッチ素子11の1個の出ポートが対応し、OSM内の下り光スイッチ素子10のn個の出ポートと上り光スイッチ素子11のn個の入ポートが対応する。本実施の形態では、下り方向および上り方向とも3R機能を有し、OSM31とONUの往復時間Tzを自動的に測定し、光信号を分岐する光スプリッタがなく損失が小さいこと、および遅延部8が電気で精度よく実現できることに特徴を有する。
【0139】
分波・合波部1は、光ファイバ32を介してOLTから伝送される下り光信号の波長を分波し、下り光信号を光電気変換部(O/E)3に入力する。また、分波・合波部1は、電気光変換部(E/O)15からの上り光信号の波長を合波し、上り光信号をOLTに接続された光ファイバ32に入力する。
【0140】
分波・合波部2はn個あり、それぞれ光ファイバ33を介して最大n個のONUに接続される。分波・合波部2は、下りスイッチ素子10の出ポートからの下り光信号を合波し、ONUに接続された光ファイバ33に入力する。また、分波・合波部2は、ONUからの上り光信号の波長を分波し、上り光信号を上りスイッチ素子11の入ポートに入力する。
【0141】
光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号を電気信号に変換し、電気信号をビットバッファ6に入力する。同時に、光電気変換部3は、分波・合波部1からの下りの光信号からクロックを抽出する。そのクロックは、位相同期発振器(PLO)4に入力されるとともに、ビットバッファ6の書き込みクロックとして用いられる。
【0142】
位相同期発振器4は光電気変換部3からのクロックに同期したクロックパルスを発生し、パルス生成部(PG)5に入力する。
【0143】
パルス生成部5は、ビットバッファ部6、リセット信号生成部13、クロック変換部50などに必要なパルスを生成し、各部にそのパルスを分配する。パルス生成部5からのパルスは、ビットバッファ部6では読み出しクロックとして用いられ、リセット信号生成部13では光電気変換部12の光信号レベルしきい値のリセットパルスを生成するのに用いられ、クロック変換部50では読み出しクロックとして用いられる。
【0144】
ビットバッファ部6は、光電気変換部3からの電気信号を、光電気変換部3からのクロックにより書き込み、パルス生成部5のクロックにより読み出す。これにより、OLTから送られてくる光信号から変換した電気信号のクロックは、伝送路上のクロックからOSM装置内のクロックにのせ換えられる。
【0145】
分岐部7は、ビットバッファ6からのOSM装置内クロックにのせ換えた電気信号を2つの信号に分岐し、一方を遅延部8、もう一方を下りパケット抽出部20に入力する。
【0146】
遅延部8は、分岐部7からの電気信号処理に要する後述する時間を含めて、下りのパケットのスイッチングに対して最適なタイミングを与える分だけ遅延させた後、電気光変換部(E/O)9に入力する。
【0147】
電気光変換部9は、遅延部8からの電気信号を光信号に変換し、下り光スイッチ素子10に入力する。
【0148】
下り光スイッチ素子10は、入ポートが1個で、出ポートがn個の光スイッチ素子であり、電気光変換部9からの下り光信号を、下りスイッチ制御部24の指示にしたがってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。下り光スイッチ素子10の出ポートからの光信号は、分波・合波部2に入力される。
【0149】
上り光スイッチ素子11は、入ポートがn個で、出ポートが1個の光スイッチ素子であり、分波・合波部2からの上り光信号を、上りスイッチ制御部25の指示に従ってパケット単位に入ポートと出ポートとを接続するようにスイッチングする。上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号は、光電気変換部(O/E)12に入力される。
【0150】
光電気変換部12は、上り光スイッチ素子11の出ポートからの光信号を電気信号に変換し、クロックを抽出する。光電気変換部12からの電気信号はクロック変換部50に入力される。光電気変換部12からのクロックはクロック変換部50の書き込みクロックに入力される。ここで、光電気変換部12において、OSMと距離の異なる複数のONUからの光レベルの異なる光信号の受信を可能とするため、光電気変換部12の光信号のしきい値は、パケット単位(バースト信号単位)に、バースト信号の先頭で、リセット信号生成部13からのパルスによってリセットされる。
【0151】
リセット信号生成部13は、パルス生成部5からのクロックを受け、光電気変換部12の光信号のしきい値のリセットパルスを生成し、リセットパルスを光電気変換部12に入力する。
【0152】
クロック変換部50は、ONUから送られてくる光信号から変換した電気信号を、光電気変換部12からの伝送路上のクロックで書き込み、パルス生成部5からのクロックで読み出すことによって、OSM装置内のクロックにのせ換え、分岐部40に入力する。
【0153】
分岐部40は、クロック変換部50からの電気信号を2つに分岐し、一方の電気信号を上りパケット抽出・到着時刻測定部41に入力し、もう一方の電気信号を多重部14に入力する。
【0154】
下りパケット抽出部20は、分岐部7からの電気信号を受け、下りパケットと下りパケット長と下りパケットのプリアンブルにあるLLID(Logical Link Identifier)を抽出し、下りパケットとLLIDを下りパケット解析部21に入力し、下りパケット長を下りスイッチ制御部24に入力し、LLIDをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0155】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当しない場合、次の処理を行う。
(21−1)GATEメッセージと判定すると、ディスカバリ用、レンジング用、送信制御用かの種類を判定し、ディスカバリ中であるか否かを判定し、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得する。当該メッセージの種類とt2とT2を上りスイッチ制御部25に入力し、t1を装置時刻管理部に入力し、ディスカバリ中であるか否かの情報とGATEメッセージを検出したことをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(21−2)REGISTERメッセージと判定すると、該メッセージから、時刻情報t1、当該メッセージの情報領域(ペイロード)に書かれたOLTがONUに割り当てたLLID(以降、必要に応じてLLID_Regという)を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、LLID_RegをLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0156】
下りパケット解析部21は、下りパケット抽出部20からLLIDと下りパケットを受け、LLIDがOSM31に相当する場合、次の処理を行う。
(21−3)OSM31にLLIDが割り当てられていない場合(LLIDが存在しない場合)、ディスカバリ用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_REQメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。LLIDが割り当てられている場合(LLIDを前もって設定する場合も含む)、何もしない。
(21−4)レンジング用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入力し、REGISTER_ACKメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入カする。
(21−5)送信制御用GATEメッセージと判定すると、該メッセージから時刻情報(Time Stamp)t1、送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2を取得し、t1を装置時刻管理部22に入カし、REPORTメッセージ生成指示、t2およびT2を上りパケット生成・送信制御部26に入力する。
【0157】
装置時刻管理部22は、下りパケット解析部21からの時刻情報(Time Stamp)t1を自己の時計に設定し、時刻を上りスイッチ制御部25、上りパケット生成・送信部26、および上りパケット抽出・到着時刻測定部41に入力する。
【0158】
上りパケット抽出・到着時刻測定部41は、分岐部40からの電気信号から上りパケットを抽出し、装置時刻管理部22からの時刻に基づいて、上りパケットの到着時刻t3を測定する。抽出した上りパケットとその到着時刻t3は上りパケット解析部42に入力される。
【0159】
上りパケット解析部42は、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からの上りパケットと到着時刻t3に対して、次の処理を行う。
(42−1)REGISTER_ACKメッセージと判定すると、該メッセージに書かれているLLID、時刻情報(Time Stamp)t1を取得し、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からのREGISTER_ACKメッセージの到着時刻t3を用いて、OSM31とONUの往復時間TzをTz=t3−t1で算出し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
(42−2)REPORTメッセージと判定すると、該メッセージに書かれている、LLIDと時刻情報(Time Stamp)t1を取得し、上りパケット抽出・到着時刻測定部41からのREPORTメッセージの到着時刻t3を用いて、Tz=t3−t1で算出し、LLIDとTzの対応関係をLLID−ポート−Tzテーブル管理部23に入力する。
【0160】
LLID−ポート−Tzテーブル管理部23は、次の処理を行う。
(23−1)上りパケット解析部42からLLIDとTz(LLIDに対応するONUとOSMとの往復時間)との対応関係を受け、LLID−Tzテーブルを作成し、LLIDが与えられたときにTzを出力できるようにする。このLLID−Tzテーブルは上りパケット解析部42から受けるたびに更新する。
(23−2)下りパケット抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用の場合、n個のポートから1つのポートk(k=1、2、...、n)を選択し、ポートkとスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。このとき、このポートkはディスカバリ周期ごとに変え、n回の周期ですべてのポートが選択されるようにする。
(23−3)(23−2)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−2)で定めたポートkを上りスイッチ制御部25に入カする。
(23−4)下りパケット解析部21からディスカバリ中である情報と、LLID_Regを受けたら、(23−2)でLLIDがブロ−ドキャストの場合に定めたポートkと当該LLID_REGとの対応関係を作成する。(23−2)はディスカバリ周期ごとにポート番号を変化させるので、ポート数n周期の後には、すべてのポート番号とLLIDの対応関係のLLID−ポートテーブルが作成される。このテーブルより、LLIDが与えられると対応するポート番号が得られる。
(23−5)フレ−ム抽出部20からLLIDを受け、そのLLIDがブロ−ドキャスト用でない場合(すなわち、あるONUに割り当てられたLLIDの場合)、(23−4)で作成されたLLID−ポートテーブルからLLIDに基づきポート番号を定め、当該ポート番号とスイッチ指示tgrを下りスイッチ制御部24に入力する。
(23−6)(23−5)の後で、下りパケット解析部21からディスカバリ中でない情報とGATEメッセージ検出情報を受けた場合、(23−5)でLLIDから定めたポート番号と(23−1)で作成されたLLID−TzテーブルからLLIDに基づきTzを求め、ポート番号とTzを上りスイッチ制御部25に入カする。
下りスイッチ制御部24は、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とスイッチ指示tgrを受け、下りパケット抽出部20から下りパケット長を受け、入ポートと該ポート番号の出ポートとの接続を開始し、パケット長の時間だけ継続するように下り光スイッチ素子10に指示する。
【0161】
上りスイッチ時間管理部25は、下りパケット解析部21からのGATEメッセージの種類を受け、LLID−ポート−Tzテーブル管理部23からポート番号とTzを受け、上り光スイッチ素子に該ポート番号の入ポートと出ポートの接続を、装置管理部22の時刻に基づいて接続開始時刻tsで行い、接続継続時間Tdだけ行うように指示する。ここで、tsとTdはGATEメッセージの送信開始時刻(Grant Start Time)t2、送信継続時間(Grant Length)T2により以下のようにする。
(25−1)GATEメッセージがディスカバリ用の場合、ts=t2、Td=Tdw(ディスカバリウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間)とする。これにより、ONUからのREGISTER_REQメッセージを通過させることができる。
(25−2)GATEメッセージがレンジング用の場合、ts=t2、Td=Trw(レンジングウィンドウ時間:システム設計上予め定める時間))とする。これにより、ONUからのREGISTER_ACKメッセージを通過させることができる。
(25−3)GATEメッセージが送信制御用の場合、ts=t2+Tz、Td=T2とする。これにより、当該GATEメッセージに基づきONUが送信するパケットを通過させることができる。
【0162】
上りパケット生成・送信部26は、下りパケット解析部21が指示したパケットを生成し、装置時刻管理部22から時刻を受け、下りパケット解析部21からの送信開始時刻t2と送信継続時間T2に従って、上りパケットを多重部14に送信する。
【0163】
多重部14は、分岐部40からの電気信号と上りパケット生成・送信部26からの電気信号を多重し、電気光変換部(E/O)15に入力する。
【0164】
電気光変換部15は、多重部14からの電気信号を光信号に変換し、分波・合波部1に入力する。
【0165】
次に、本発明の光スイッチ装置(OSM)のディスカバリ操作について、図7のシーケンスを参照して、以下に説明する。このシーケンスは、上記の第1〜第6の実施の形態において、下り光スイッチ素子と上り光スイッチ素子の接続開始と接続終了のタイミングを提供するものである。
【0166】
図7に示すように、下り方向については、パケットを検出すると、すべてパケット単位に下り光スイッチ素子の接続を開始し、下りパケットが通過後に接続を終了する。この場合、下りパケットとして、ディスカバリ操作のときには、ディスカバリ用GATEメッセージ、REGISTERメッセージ、レンジング用GATEメッセージがあるから、これらのメッセージごとに接続と接続終了を繰り返す。
【0167】
上り方向については、ディスカバリ操作のときには、REGISTER_REQメッセージとREGISTER_ACKメッセージを確実に通す必要がある。
【0168】
REGISTER_REQメッセージは、OSMの時計で、ディスカバリ用GATEメッセージに書かれた送信開始時刻(Grant Start Time)td2の時刻と時刻td2からディスカバリウインドウ時間Tdwだけ経った時刻td2+Tdwの間にOSMを通過するはずである。したがって、OSMは自己の時計で時刻td2で接続を開始し、時刻td2+Tdwに接続を終了すればよい。
【0169】
また、REGISTER_ACKメッセージは、OSMの時計で、レンジング用GATEメッセージに書かれた送信開始時刻(Grant Start Time)tr2と時刻tr2からレンジングウインドウ時間Trwだけたった時刻tr2+Trwの間にOSMを通過するはずである。したがって、OSMは自己の時計で時刻tr2で接続を開始し、時刻tr2+Trwに接続を終了すればよい。
【0170】
上り方向について、ディスカバリ操作以外のときには、送信制御用GATEメッセージに書かれたLLID、送信開始時刻(Grant Start Time)t2と送信継続時間T2を取得し、LLIDに対応するポート番号の入ポートと出ポートとを、時刻t2+Tzで接続を開始し、T2だけ接続を継続する。このような各メッセージごとの接続及び接続の終了は各ONUについて順々に行われる。
【0171】
ここで、ONUにおけるディスカバリ操作の中で、OSMのポート番号とONUのLLIDの対応関係を求める際に、OSM自身がディスカバリ操作を行うことはないようにする方法を採ることができる。つまり、システム設計上、OSMに割り当てるLLIDは当初から定めておくものであり、OSM自身がLLIDを割り付ける操作を行うことはないようにすることができる。
【0172】
また、上記方法とは異なり、OSMに対してもONUと同様、OLTからディスカバリ操作を行う方法もある。このディスカバリ操作はONUに先んじて行われるものである。このときOSMは、ディスカバリ用GATEメッセージを受けたら、センタ装置(OLT)にREGISTER_REQメッセージで応答し、次にセンタ装置(OLT)からREGISTERメッセージを受けたら、該メッセージからLLIDを取得することになる。
【0173】
また、光スイッチ装置(OSM)がOSMのLLIDの書かれたレンジング用GATEメッセージを受けたら、該メッセージに書かれた時刻情報(Time Stamp)を自己の時計に合わせ、該メッセージに書かれた送信開始時刻t2に送信継続時間T2の間だけ、センタ装置(OLT)に対してREGISTER_ACKメッセージで応答するといった方法を用いると良い。
【0174】
また、ディスカバリ終了後において、OLTでOSMとの往復時間を必要に応じて更新することを可能にする方法を用いると良い。つまり、OSMがOSMのLLIDの書かれた送信制御用GATEメッセージを受けたら、該メッセージに書かれた時刻情報(Time Stamp)t1を自己の時計に合わせ、該メッセージに書かれた送信開始時刻t2に送信継続時間T2だけ、センタ装置(OLT)に対してREPORTメッセージで応答すると良い。
【0175】
また、本発明の第1〜第3の実施の形態にだけ適用できるものであるが、OLTからOSMに対し、OSMとONUとの往復時間Tzを転送する方法を用いても良い。つまり、送信制御用GATEメッセージに新たにTzを転送する領域を設け、その領域を用いてTzを送信する方法である。OSMは送信制御用GATEメッセージを検出するごとに、このTzも取得する。この方法であれば、新たなフレームを定義する必要がない。また、送信制御用GATEメッセージを受けるごとに、Tzの値を更新することができる。なお、このような処理は、本発明の第2、第3の実施の形態でいえば、下りパケット解析部21の処理(21−3)のところに相当するものである。
【0176】
なお、上述した形態は本発明の光スイッチ装置などを実施するための最良のものであるがこれらに限定する趣旨ではない。従って、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図7】本発明の第1から第6の実施の形態における光スイッチ装置(OSM)のディスカバリ操作における接続開始時刻、接続終了時刻を表すシーケンス図である。
【図8】従来の光スイッチ装置(OSM)の概略構成図である。
【図9】従来のパケット構成を示す図である。
【図10】従来のディスカバリ操作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0178】
1、2 分波・合波部
3 光電気変換部(O/E)
4 位相同期発振器(PLO)
5 パルス生成部(PG)
6 ビットバッファ
7 分岐部
8 遅延部
9 電気光変換部(E/O)
10 下り光スイッチ素子
11 上り光スイッチ素子
12 光電気変換部(O/E)
13 リセット信号生成部
14 多重部
15 電気光変換部(E/O)
20 下りパケット抽出部
21 下りパケット解析部
22 装置時刻管理部
23 LLID−ポート−Tzテーブル管理部
24 下りスイッチ制御部
25 上りスイッチ制御部
26 上りパケット生成・送信部
31 光スイッチ装置(OSM)
32、33 光ファイバ
34 制御部
40 分岐部
41 上りパケット抽出・到着時刻測定部
42 上りパケット解析部
50 クロック変換部
60 光スプリッタ(1×2スプリッタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ装置より送出された下り光信号のスイッチングを行う下り光スイッチ手段と、
複数のリモート装置より送出された上り光信号のスイッチングを行う上り光スイッチ手段を有する光スイッチ装置において、
前記センタ装置より送出された下り光信号を第1の電気信号に変換する第1の光電気変換手段と、
前記第1の電気信号を下り光信号に変換し、前記下り光スイッチ手段に入力する第1の電気光変換手段と、
前記上り光スイッチ手段から出カされた上り光信号を第2の電気信号に変換する第2の光電気変換手段と、
前記第2の電気信号を上り光信号に変換し、前記センタ装置に送出する第2の電気光変換手段を有することを特徴とする光スイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の電気信号から下りパケットを抽出し、当該下りパケットの長さと下りパケットのあて先により、前記下り光スイッチ手段の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ装置。
【請求項3】
前記第1の電気信号から下りパケットを抽出し、当該下りパケットのうちセンタ装置からリモート装置に対するメッセージを解析することにより、前記上り光スイッチ手段によるスイッチングの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ装置。
【請求項4】
前記第1の電気信号から下りパケットを抽出し、当該下りパケットのうちセンタ装置から光スイッチ装置に対するメッセージを解析することにより、上りパケットを生成し、当該上りパケットに係る電気信号を前記第2の電気信号に多重することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項5】
前記第1の電気信号のクロックを光スイッチ装置内のクロックにのせかえる第1のクロック変換手段を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項6】
前記第2の電気信号のクロックを光スイッチ装置内のクロックにのせかえる第2のクロック変換手段を有することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項7】
前記第2の電気信号から上りパケットを抽出し、当該上りパケットのうちリモート装置からセンタ装置に対するメッセージを解析することにより、前記上り光スイッチ手段によるスイッチングの制御を行うことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項8】
前記第2の電気信号から上りパケットを抽出し、当該上りパケットの到着時刻を測定し、当該上りパケットのうちリモート装置からセンタ装置に対するメッセージを解析し、光スイッチ装置と当該上りパケットを送信したリモート装置との間の往復時間を求めることにより、前記上り光スイッチ手段によるスイッチングの制御を行うことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項9】
自己のLLID(Logical Link Identifier)が存在するときに、前記センタ装置からブロードキャストLLIDをもつパケットを検出したら、前記下りスイッチ手段のポートを一つ選択して、当該パケットの長さだけ接続して当該パケットを通過させ、当該パケットがディスカバリ用GATEメッセージの場合、当該ポートと同一番号のポートを前記上りスイッチ手段でも選択し、前記上りスイッチ手段に対して当該ディスカバリ用GATEメッセージに書かれた送信開始時刻に接続を開始し、所定の時間だけ接続を継続して、当該ポートに接続されたリモート装置からのREGISTER_REQメッセージを通過させることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項10】
前記ディスカバリ用GATEメッセージの後に、前記センタ装置からブロードキャストLLIDをもつパケットを検出したら、前記ディスカバリ用GATEメッセージを通過させたのと同一ポート番号を選択して、前記下りスイッチ手段に対して当該パケットの長さだけ接続して当該パケットを通過させ、当該パケットがREGISTERメッセージの場合、当該REGISTERメッセージの情報領域から当該ポートに接続されているリモート装置に割り当てられたLLIDを取得し、当該LLIDと当該ポート番号を対応づけることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項11】
前記ディスカバリ用GATEメッセージのブロードキャストLLIDを検出するごとに、選択するポート番号をかえて、すべてのポート番号とポートに接続されているリモート装置に対応するLLIDとの対応関係を定めることを特徴とする請求項10に記載の光スイッチ装置。
【請求項12】
前記センタ装置から自己のLLIDと異なるLLIDをもつレンジング用GATEメッセージを検出したら、前記上りスイッチ手段のポートを当該LLIDから定め、当該レンジング用GATEメッセージに書かれた送信開始時刻に上りスイッチ手段の接続を開始し、所定の時間だけ当該接続を継続して、当該ポートに接続されたリモート装置からのREGISTER_ACKメッセージを通過させることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項13】
前記センタ装置からブロードキャストでない自己のLLIDと異なるLLIDをもつパケットを検出したら、当該パケットのLLIDから前記下りスイッチ手段のポートを定めて、当該パケットの長さだけ接続して当該パケットを通過させ、当該パケットが送信制御用GATEメッセージである場合、当該メッセージの情報領域から送信開始時刻、送信継続時間を取得し、当該LLIDから上りスイッチ手段のポートを定め、前記上りスイッチ手段に対して送信開始時刻に当該LLIDに対応するリモート装置と光スイッチ装置の往復時間を加えた時刻に接続を開始し、当該送信継続時間だけ接続を継続することを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項14】
前記光スイッチ装置に割り当てるLLID(Logical Link Identifier)として予め定められたものを使用することを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項15】
前記センタ装置からディスカバリ用GATEメッセージを検出し、自己のLLIDが存在しないとき、当該センタ装置にREGISTER_REQメッセージで応答し、次に前記センタ装置からREGISTERメッセージを検出したときに、当該REGISTERメッセージからLLIDを取得することを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項16】
自己のLLIDと同一LLIDをもつレンジング用GATEメッセージを検出したとき、当該レンジング用GATEメッセージに書かれた情報に基づいて、前記センタ装置に対してREGISTER_ACKメッセージで応答することを特徴とする請求項1から15の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項17】
自己のLLIDと同一LLIDをもつ送信制御用GATEメッセージを検出したとき、当該送信制御用GATEメッセージに書かれた情報に基づいて、前記センタ装置に対してREPORTメッセージで応答することを特徴とする請求項1から16の何れかに記載の光スイッチ装置。
【請求項18】
センタ装置と、
複数のリモート装置と、
前記センタ装置より送出された下り光信号のスイッチングを行い、前記リモート装置より送出された上り光信号のスイッチングを行う光スイッチ装置を有する光アクセスネットワークにおいて、
前記光スイッチ装置において、
前記センタ装置より送出された下り光信号を第1の電気信号に変換した後、当該第1の電気信号を下り光信号に変換してから当該下り光信号のスイッチングを行い、
前記リモート装置より送出された上り光信号のスイッチングを行った後に出カされた上り光信号を第2の電気信号に変換した後、当該第2の電気信号を上り光信号に変換してから前記センタ装置に送出することを特徴とする光アクセスネットワーク。
【請求項19】
センタ装置より送出された下り光信号のスイッチングを行う工程の前段に、
前記下り光信号を電気信号に変換する光電気変換工程と、
前記電気信号を下り光信号に変換する電気光変換工程を有することを特徴とする光スイッチ装置による光スイッチ方法。
【請求項20】
複数のリモート装置より送出された上り光信号のスイッチングを行う工程の後段に、
前記スイッチングにより出カされた上り光信号を電気信号に変換する光電気変換工程と、
前記電気信号を上り光信号に変換する電気光変換工程を有することを特徴とする光スイッチ装置による光スイッチ方法。
【請求項21】
コンピュータに、
センタ装置より送出された下り光信号のスイッチングを行う下り光スイッチ手段と、
複数のリモート装置より送出された上り光信号のスイッチングを行う上り光スイッチ手段として機能させる光スイッチ装置のプログラムにおいて、
前記センタ装置より送出された下り光信号を第1の電気信号に変換する第1の光電気変換手段と、
前記第1の電気信号を下り光信号に変換し、前記下り光スイッチ手段に入カする第1の電気光変換手段と、
前記上り光スイッチ手段から出カされた上り光信号を第2の電気信号に変換する第2の光電気変換手段と、
前記第2の電気信号を上り光信号に変換し、前記センタ装置に送出する第2の電気光変換手段として機能させること特徴とする光スイッチ装置のプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のプログラムを格納する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−174123(P2007−174123A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367178(P2005−367178)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】