説明

光ディスク装置及びこれを備える光ディスク処理システム

【課題】記録ユニットと印刷ユニットを備えた光ディスク処理システムにおいて、複数枚の光ディスクが記録ユニットにローディングされたことを検出する。
【解決手段】光ディスク処理システムは、印刷ユニット14と記録ユニット15を有する。光ディスクを低トルクで駆動し、その後に高トルクで駆動する。低トルク及び高トルクで駆動したときの、目標回転数に達するまでの到達時間に基づいて光ディスクの種類をそれぞれ判別する。低トルクと高トルクの判別結果が一致しない場合には、複数枚の光ディスクがローディングされたことを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置及びこれを備える光ディスク処理システムに関し、特に光ディスク装置への光ディスクのローディングに関する。
【背景技術】
【0002】
CDあるいはDVDを大量生産する場合、ディスクチェンジャを備えた大型装置を用いて製作コストの低減が図られる。その一方、大量生産を必要としないいわゆるカスタムメードの光ディスク、例えば学校教材、記念品、贈答品等に用いられる場合に対応すべく、光ディスクへの情報の書き込みを行う記録ユニット、光ディスクのラベル面への印刷を行う印刷ユニット、ディスクチェンジャを一体化した光ディスク処理システムが提案されている。この光ディスク処理システムでは、未処理の光ディスクをストッカから記録ユニットに搬送してローディングし、記録ユニットでデータを記録し、記録済み光ディスクをイジェクトし、印刷ユニットまで搬送してラベル面に印刷し、印刷済みの光ディスクを再びスタッカまで搬送するという一連の処理を自動的に実行する。
【0003】
下記の特許文献1には、記録ユニット、印刷ユニット、ディスクチェンジャを一体化した光ディスク処理システムが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3797318号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ディスク処理システムでは、ストッカから光ディスクを1枚ずつ取り出して記録ユニットに搬送してローディングする必要がある。しかしながら、光ディスクの表面状態によっては光ディスクが互いに張り付き、複数枚の光ディスクを同時に記録ユニットまで搬送してローディングしてしまう事態が生じ得る。記録ユニットのトレイにローディングされた光ディスクは、通常、マグネットクランパによりクランプされてスピンドルで回転駆動されるが、複数枚の光ディスクが張り付いた状態でローディングされると、重なった複数枚分の光ディスクの厚みによりマグネットクランパのクランプ力が弱くなり光ディスクを確実にクランプすることができず、その結果、回転制御が不安定となる、あるいは回転数が上昇すると光ディスクが暴れて制御不能となる等の問題が生じる。したがって、複数枚の光ディスクがローディングされた場合には、これを迅速に検出する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、複数枚の光ディスクがローディングされたことを迅速かつ確実に検出できる光ディスク装置及びこれを備えた光ディスク処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ローディングされた光ディスクを相対的に低トルクで回転駆動し、その後に相対的に高トルクで回転駆動する手段と、前記低トルクで回転駆動した場合の、第1目標回転数に到達するまでの第1到達時間を計測する手段と、前記第1到達時間を低トルク用しきい時間と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第1判別手段と、前記高トルクで回転駆動した場合の、第2目標回転数に到達するまでの第2到達時間を計測する手段と、前記第2到達時間を高トルク用しきい時間と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第2判別手段と、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果とに基づいて、ローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する検出手段とを有する。
本発明の1つの実施形態では、前記検出手段は、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果が異なる場合にローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する。
【0008】
また、本発明は、ローディングされた光ディスクを相対的に低トルクで第1時間だけ回転駆動し、その後に相対的に高トルクで第2時間だけ回転駆動する手段と、前記低トルクで回転駆動した場合の、前記第1時間経過後の第1回転数を計測する手段と、前記第1回転数を低トルク用しきい回転数と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第1判別手段と、前記高トルクで回転駆動した場合の、前記第2時間経過後の第2回転数を計測する手段と、前記第2回転数を高トルク用しきい回転数と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第2判別手段と、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果とに基づいて、ローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する検出手段とを有する。
本発明の1つの実施形態では、前記検出手段は、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果が異なる場合にローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する。
【0009】
また、本発明は、上記の光ディスク装置と、光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットとを有し、光ディスク装置でのデータ記録と、印刷ユニットでのラベル面印刷を連続して処理する光ディスク処理システムを提供する。さらに、本発明は、上記の光ディスク装置を複数備え、複数の光ディスク装置のそれぞれに所定の順序で光ディスクを搬送する搬送機構を有する光ディスク処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数枚の光ディスクがローディングされたことを迅速かつ確実に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1に、本実施形態における光ディスク装置を備える光ディスク処理システムの外観図を示す。光ディスク装置である記録ユニット15の天板上面には、光ディスクDを収容するための同容量の複数のケースC1,C2,C3,C4が配置されている。これらのケースC1,C2,C3,C4は、その背面に配設された支持構造18に支持され、この支持構造18から着脱可能となるように構成される。同図に示すケースC1,C2,C3,C4の配置状態において、ケースC1を回収ケースとし、ケースC2,C3,C4をストックケースとして未処理の光ディスクの所定枚数をそれぞれに収容する。
【0013】
クランプユニット1は、光ディスクDの中心孔をクランプするもので、搬送アーム2に設けられる。搬送アーム2の一端はエレベーション機構3に固定される。エレベーション機構3は支柱4,5で支持され、モータ6の出力軸の駆動力がプーリを介してギア7に伝達し、このギア7が支柱4のラックギア4aに噛合することにより垂直方向に昇降し、搬送アーム2を上下動する。
【0014】
支柱4,5の端部はスライダブロック8に固定されており、このスライダブロック8はガイドシャフト9に擦動可能に支持される。また、スライダブロック8はホイール11,12に張設されたベルト10に連結固定されており、このベルト10をモータ13により駆動することにより、スライダブロック8とともに支柱4,5並びに搬送アーム2が水平方向に往復動する。
【0015】
印刷ユニット14は、ディスクトレイ14aによりローディングされた光ディスクDのラベル面に印刷を施す。記録ユニット15は、ディスクトレイ15aによりローディングされた光ディスクDへ情報を記録する。
【0016】
各ケース、印刷ユニット14、記録ユニット15のそれぞれの間の光ディスクDの搬送において、光ディスクDの上下方向の搬送はエレベーション機構3で行い、水平方向の搬送はベルト10の駆動により行われる。
【0017】
光ディスクDの処理は、ストックケースとなっている各ケースC2,C3,C4毎に処理されるように制御プログラムが構成されており、システム全体の動作を制御するシステムプロセッサが制御プログラムを実行する。まず、ケースC2の最上層にある光ディスクDがディスククランプユニット1によりクランプされ、印刷ユニット14、記録ユニット15へ順次搬送されて所定の処理が完了すると、この処理済光ディスクDは回収ケースであるケースC1に収容される。ケースC2の光ディスクDが順次処理され、このケースC2に収容した光ディスクDが払底すると、この時点で制御プログラムの判断によりケースC2を回収ケースとなるようにする。そして、処理が続行されると、ケースC3に収容されている未処理の光ディスクDは所定の処理がなされた後、回収ケースとなっているケースC2に収容される。以後、同様の処理が繰り返される。
【0018】
なお、上記の説明において、光ディスクDはまず印刷ユニット14でラベル面に印刷され、その後に記録ユニット15でデータの記録が行われるとしているが、各ケースから光ディスクDを取り出してまず記録ユニット15に搬送し、記録ユニット15でデータ記録した後に印刷ユニット14でレベル面に印刷することもできる。本実施形態では、ケースから取り出してまず記録ユニット15に搬送し、記録ユニット15にローディングする場合について説明する。
【0019】
図2に、光ディスク装置としての記録ユニット15の構成を示す。搬送アーム2によって搬送され、トレイ15aによりローディングされた光ディスクDは、図示しないマグネットクランパによりクランプされ、ターンテーブル100上に載置され、ターンテーブル100とともにスピンドルモータ(SPM)120により回転駆動される。スピンドルモータSPM120は、ドライバ140で駆動され、ドライバ140はサーボプロセッサ300により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
【0020】
光ピックアップ160は、レーザ光を光ディスクDに照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスクDからの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスクDに対向配置される。光ピックアップ160はスレッドモータ180により光ディスクDの半径方向に駆動され、スレッドモータ180はドライバ200で駆動される。ドライバ200は、ドライバ140と同様にサーボプロセッサ300によりサーボ制御される。また、光ピックアップ160のLDはドライバ220により駆動され、ドライバ220は、オートパワーコントロール回路(APC)240により、レーザパワーが所望の値となるように駆動電流が制御される。APC240及びドライバ220は、システムコントローラ320からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ220は光ピックアップ160と別個に設けられているが、ドライバ220を光ピックアップ160に搭載してもよい。
【0021】
光ディスクDにデータを記録する際には、システムから供給された記録すべきデータはインターフェースI/F400を介してエンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、記録すべきデータをバッファメモリ380に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路420に供給する。ライトストラテジ回路420は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)に変換し、記録データとしてドライバ220に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、通常はある最適ストラテジに固定される。記録データによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ160のLDから照射されて光ディスクDにデータが記録される。データを記録した後、光ピックアップ160は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路260に供給する。RF回路260は再生信号を2値化回路340に供給し、2値化されたデータエンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、変調データをデコードし、バッファメモリ380に記憶されている記録データと照合する。照合の結果はドライブコントローラ320に供給される。ドライブコントローラ320は照合の結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは交替処理を実行するかを決定する。
【0022】
このような構成において、図1に示すシステム全体を制御するシステムコントローラ16と、図2に示す記録ユニット15を制御するドライブコントローラ320間ではコマンド及びデータが送受される。図3に示すように、システムコントローラ16は、ドライブコントローラ320に対してデータ記録の開始コマンドや終了コマンドを送信し、ドライブコントローラ320はデータ記録完了や記録ユニット15の状態に関するデータを送信する。
【0023】
光ディスクDは、1枚毎に搬送アーム2により搬送されるが、光ディスクDの表面状態によっては複数枚、例えば2枚の光ディスクDが互いに密着して張り付いた状態で搬送される場合がある。この場合、複数枚の光ディスクDがそのまま記録ユニット15内にローディングされることになるが、マグネットクランパのクランプ力が弱まり、複数枚の光ディスクDを確実にクランプすることができない。その結果、スピンドルモータ120により光ディスクDを高速回転駆動すると、十分にクランプされていないため複数枚の光ディスクDがスリップすることになる。このような状態では、データを正常に記録できないことはもとより、光ディスクDがスリップすることにより、本来よりも短時間でスピンドルモータ120が所定の回転数に達することから、場合によっては光ディスクDが未だローディングされていないと誤判定してその旨をシステムコントローラ16に送信してしまい、システムコントローラ16ではさらに新たな光ディスクDをケースから取り出して記録ユニット15に搬送してしまう事態が生じ得る。
【0024】
そこで、本実施形態のドライブコントローラ320は、以下のようにして複数枚の光ディスクDがローディングされたことを迅速かつ確実に検出する。
【0025】
図4及び図5に、ドライブコントローラ320における検出処理フローチャートを示す。まず、図4において、光ディスクDがローディングされると、ドライブコントローラ320は、スピンドルモータ120を低トルクで起動する(S101)。低トルクとは、仮に複数枚(例えば2枚とする)の光ディスクDが張り付いたままローディングされた場合においても、スリップすることなく駆動できる程度の低いトルクを意味する。次に、回転数を測定し(S102)、目標の回転数に達するまでの時間を測定する。例えば、目標の回転数を300rpmとし、0〜300rpmまでの回転数区間で要する時間を測定する。回転数は、たとえばスピンドルモータ120のFGパルスから測定する。そして、目標の回転数に達することなくタイムアウトとなったか否かを判定する(S103)。タイムアウトか否かを判定するためのしきい時間は、2枚の光ディスクDを駆動するときに要する時間よりも若干短い時間を設定する。2枚の光ディスクDを駆動する場合、1枚の光ディスクDを駆動する場合に比べてイナーシャが2倍になっている分だけ駆動時間が遅くなる。そこで、目標回転数に達するまでの時間がしきい時間を超えている場合、2枚の光ディスクがローディングされていると判定し、ディスクエラーと判定する(S110)。一方、タイムアウトすることなく目標回転数に到達した場合(S104)、その到達時間Tlをさらに複数のしきい時間と大小比較する。
【0026】
しきい時間は、ノーディスク(ディスクがない)状態と8cm光ディスクを判別するための第1のしきい時間Tth1(低)と、8cm光ディスクと12cm光ディスクを判別するための第2のしきい時間Tth2(低)である。添字の(低)は、低トルク駆動時におけるしきい時間であることを示す。Tth1(低)<Tth2(低)である。しきい時間は、予めドライブコントローラ320のメモリに記憶しておく。ドライブコントローラ320は、目標回転数に到達するまでの時間TlとTth1(低)とを大小比較する(S105)。Tl<Tth1(低)であれば、ノーディスクと仮判定する(S106)。一方、Tl≧Tth1(低)であれば、次に、TlとTht2(低)とを大小比較する(S107)。Tl<Tth2(低)であれば、8cm光ディスクと仮判定する(S108)。一方、Tl≧Tth2(低)であれば、12cm光ディスクと仮判定する(S109)。
【0027】
ここで、S106,S108,S109の各処理において仮判定としたのは、後述するように光ディスクDを高トルクで駆動したときの判定結果と比較して2枚の光ディスクDがローディングされたか否かを判定するために暫定的に判別したことを意味する。S106,S108,S109で仮判定した結果を低トルク判別結果と総称する。低トルク判別結果は、ドライブコントローラ320のメモリに記憶する。以上のようにして光ディスクDの種類を仮判定して低トルク判別結果を得た後、図5の処理に移行する。
【0028】
図5において、ドライブコントローラ320は、スピンドルモータ120を高トルクで駆動する(S113)。すなわち、低トルクで駆動したときよりも高い駆動電圧で駆動する。高トルクとは、2枚の光ディスクDがローディングされた場合に、互いにスリップ、あるいはターンテーブル100と光ディスクD間のスリップを生じる程度に高いトルクの意味である。そして、回転数を測定し、目標回転数に到達するまでの時間を計測し、タイムアウトしたか否かを判定する(S114,S115)。例えば、目標回転数を1000rpmとし、500rpm〜1000rpmまでの回転数区間で要する時間を測定する。タイムアウトか否かを判定するためのしきい時間は、2枚の光ディスクDを駆動するときに要する時間よりも若干短い時間を設定する。2枚の光ディスクDを駆動する場合、1枚の光ディスクDを駆動する場合に比べてイナーシャが2倍になっている分だけ駆動時間が遅くなる。そこで、目標回転数に達するまでの時間がしきい時間を超えている場合、2枚の光ディスクがローディングされていると判定し、ディスクエラーと判定する(S124)。2枚の光ディスクDがスリップすることなく回転駆動された場合には、この処理により2枚の光ディスクDと判定されることになる。一方、タイムアウトすることなく目標回転数に到達した場合(光ディスクDがスリップした場合)、次に目標回転数に到達するまでの時間Thをしきい時間と大小比較する。
【0029】
しきい時間は、ノーディスク(ディスクがない)状態と8cm光ディスクを判別するための第1のしきい時間Tth1(高)と、8cm光ディスクと12cm光ディスクを判別するための第2のしきい時間Tth2(高)である。添字の(高)は、高トルク駆動時におけるしきい時間であることを示す。Tth1(高)<Tth2(高)である。これらのしきい時間は、Tth1(低)及びTth2(低)と同様に、予めドライブコントローラ320のメモリに記憶しておく。ドライブコントローラ320は、目標回転数に到達するまでの時間ThとTth1(高)とを大小比較する(S117)。Th<Tth1(高)であれば、ノーディスクと仮判定する(S118)。一方、Th≧Tth1(高)であれば、次に、ThとTth2(高)とを大小比較する(S121)。Th<Tth2(高)であれば、8cm光ディスクと仮判定する(S122)。一方、Th≧Tth2(高)であれば、12cm光ディスクと仮判定する(S123)。S118,S122,S123での仮判定の結果を高トルク判別結果と総称する。
【0030】
高トルク判別結果を得た後、ドライブコントローラ320は、この高トルク判別結果をメモリに記憶された低トルク判別結果と比較する(S119)。そして、両判別結果が一致する場合には、高トルク判別結果を最終的な判別結果とする(S120)。一方、両判別結果が一致しない場合には、2枚の光ディスクDがローディングされたものと判定しディスクエラーと判定する(S124)。
【0031】
いま、仮に8cm光ディスクDが2枚張り付いた状態でローディングされたものとする。まず、低トルクで駆動し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較して12cm光ディスクと仮判定されたものとする。次に、低トルク回転の状態から高トルク回転の状態に移行し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較して8cm光ディスクと仮判定されたものとする。高トルクでは2枚の光ディスクDは互いにスリップ、あるいはターンテーブル100と光ディスクD間でスリップするため、到達時間は短くなるからである。この場合、低トルク判別結果は12cm光ディスクであり、高トルク判別結果は8cm光ディスクであるから両判別結果が異なるものとなり、2枚の光ディスクDがローディングされていると判定する。
【0032】
また、仮に8cm光ディスクDが2枚張り付いた状態でローディングされたものとする。まず、低トルクで駆動し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較して12cm光ディスクと仮判定されたものとする。次に、低トルク回転の状態から高トルク回転の状態に移行し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較してノーディスクと仮判定されたものとする。この場合でも、低トルク判別結果は12cm光ディスクであり、高トルク判別結果はノーディスクであるから両判別結果が異なるものとなり、2枚の光ディスクDがローディングされていると判定する。
【0033】
さらに、仮に12cm光ディスクDが2枚張り付いた状態でローディングされたものとする。まず、低トルクで駆動し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較して12cm光ディスクと仮判定されたものとする。次に、低トルク回転の状態から高トルク回転の状態に移行し、タイムアウトせずに目標回転数に到達し、到達時間をしきい時間と比較してノーディスクあるいは8cm光ディスクと仮判定されたものとする。この場合でも、低トルク判別結果は12cm光ディスクであり、高トルク判別結果はノーディスクあるいは8cm光ディスクであるから両判別結果が異なるものとなり、2枚の光ディスクDがローディングされていると判定する。
【0034】
なお、仮に12cm光ディスクDが1枚のみローディングされた場合には、低トルクで駆動した場合も高トルクで駆動した場合もともに12cm光ディスクと判別されることとなり、両判別結果は一致する。8cm光ディスクの場合も同様である。ドライブコントローラ320は、判定結果をシステムコントローラ16に送信する。システムコントローラ16は、ドライブコントローラ320からディスクエラー、つまり2枚の光ディスクDがローディングされた旨の信号を受信すると、所定のエラー処理を実行する。所定のエラー処理はシステム毎に任意に設定することができ、例えば2枚の光ディスクDを記録ユニット15から取り出して新たな光ディスクDを搬送し直す、あるいは記録ユニット15が複数存在する場合には他の記録ユニット15のみを動作させ、2枚の光ディスクDがローディングされた記録ユニット15の動作を中断する等である。
【0035】
このように、本実施形態では、光ディスクがローディングされた場合に、まず、相対的に低いトルクで光ディスクDを回転駆動してその種類を判別し、次に、相対的に高いトルクで光ディスクDを回転駆動してその種類を判別し、低トルク判別結果と高トルク判別結果を比較することで複数枚の光ディスクDがローディングされているか否かを確実に検出することができる。本実施形態では、光ディスクDにデータ記録するために必要な回転数(例えば8000rpm)に達するまでの工程において低トルク状態から高トルク状態に移行させて検出できるので、効率的かつ迅速に検出することが可能である。本実施形態における低トルクは、所定値以下であって2枚の光ディスクDがローディングされた場合に、密着した2枚の光ディスクDが互いにスリップしない、あるいはターンテーブル100と光ディスクD間でスリップしない状態で回転するようなトルクであり、高トルクは所定値より大きく2枚の光ディスクDがローディングされた場合に密着した2枚の光ディスクDが互いにスリップ、あるいはターンテーブル100と光ディスクD間でスリップするような状態で回転するようなトルクである。これらの低トルク、高トルクの具体的な数値は、予め実際に2枚の光ディスクDを駆動することで決定することができる。
【0036】
本実施形態では、図4のS103の処理において目標回転数の到達時間がタイムアウトしたか否かを判定しているが、この判定を行うことなく、12cm光ディスクと2枚の光ディスクを判別するための第3のしきい時間Tth3(低)を設定し、S107でNOと判定された後にさらに到達時間TlをTth3(低)と大小比較し、Th<Tth3(低)であれば12cm光ディスクと仮判定し、Tl≧Tth3であればディスクエラーと判定してもよい。図5のS115についても同様である。
【0037】
また、本実施形態では、図5のS120で両判別結果が一致する場合には高トルク判別結果を最終的な判別結果としているが、もちろん低トルク判別結果を最終結果としてもよいのは言うまでもない。
【0038】
また、本実施形態では、目標回転数までの到達時間を計測し、この到達時間をしきい時間と大小比較して光ディスクの種類を判別しているが、一定時間だけ回転駆動したときの回転数を計測し、この回転数をしきい回転数と大小比較して光ディスクの種類を判別することも可能である。この場合においても、低トルクで一定時間だけ駆動したときの回転数に基づき判別された結果と、高トルクで一定時間だけ駆動したときの回転数に基づき判別された結果が異なる場合に、複数枚の光ディスクDがローディングされたことを検出できる。
【0039】
また、本実施形態では、図4のS105において第1のしきい値Tth1(低)を用いてノーディスクと8cm光ディスクとを判別しているが、システム側で搬送アーム2を用いて光ディスクDを搬送して記録ユニット15にローディングしたことを別個に検出している場合には、ノーディスクであることを検出する必要はないのでS105の処理を省略することもできる。図5のS117の処理についても同様である。
【0040】
本実施形態では、光ディスク装置としての記録ユニットと印刷ユニットを備える光ディスク処理システムについて例示したが、本実施形態の光ディスク装置を記録ユニットとして複数、例えば2台備え、各記録ユニットに搬送機能で順次光ディスクDを搬送してデータを記録していくシステムにも適用することができる。このような処理システムは、同一データを複数の光ディスクDに記録するシステムであり、デュプリケータとも称される。2台の記録ユニットを第1記録ユニット及び第2記録ユニットとし、ストッカから未記録の光ディスクDを取り出して第1記録ユニットに搬送し、データを記録する。データ記録中に搬送機構は次の未記録光ディスクDをストッカから取り出して第2記録ユニットに搬送する。第1記録ユニットでデータ記録が完了すると、搬送機構は第1記録ユニットから記録済みの光ディスクDを取り出してストッカに格納し、代わりに未記録の光ディスクDをストッカから取り出して第1記録ユニットに搬送する。第1記録ユニットで2枚の光ディスクDのローディングを検出した場合、デュプリケータのシステムコントローラは第1記録ユニットを無効化し、第2記録ユニットのみで光ディスクDのデータ記録を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態における光ディスク処理システムの外観図である。
【図2】光ディスク装置(記録ユニット)の構成図である。
【図3】システムコントローラとドライブコントローラのデータ送受説明図である。
【図4】実施形態の処理フローチャート(その1)である。
【図5】実施形態の処理フローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0042】
1 ディスククランプユニット、2 搬送アーム、3 エレベーション機構、4,5 支柱、6 モータ、7 ギア、8 スライダブロック、9 ガイドシャフト、10 ベルト、11,12 ホイール、13 モータ、14 印刷ユニット、15 記録ユニット、C1〜C4 ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローディングされた光ディスクを相対的に低トルクで回転駆動し、その後に相対的に高トルクで回転駆動する手段と、
前記低トルクで回転駆動した場合の、第1目標回転数に到達するまでの第1到達時間を計測する手段と、
前記第1到達時間を低トルク用しきい時間と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第1判別手段と、
前記高トルクで回転駆動した場合の、第2目標回転数に到達するまでの第2到達時間を計測する手段と、
前記第2到達時間を高トルク用しきい時間と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果とに基づいて、ローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する検出手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記検出手段は、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果が異なる場合にローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
ローディングされた光ディスクを相対的に低トルクで第1時間だけ回転駆動し、その後に相対的に高トルクで第2時間だけ回転駆動する手段と、
前記低トルクで回転駆動した場合の、前記第1時間経過後の第1回転数を計測する手段と、
前記第1回転数を低トルク用しきい回転数と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第1判別手段と、
前記高トルクで回転駆動した場合の、前記第2時間経過後の第2回転数を計測する手段と、
前記第2回転数を高トルク用しきい回転数と比較することで前記光ディスクの種類を判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果とに基づいて、ローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出する検出手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記検出手段は、前記第1判別手段での判別結果と、前記第2判別手段での判別結果が異なる場合にローディングされた前記光ディスクが複数枚であることを検出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の装置において、
前記低トルクは、所定値以下のトルクであって密着状態にある2枚の光ディスクがスリップすることなく回転するトルクであり、前記高トルクは所定値より大きいトルクであって密着状態にある2枚の光ディスクがスリップして回転するトルクである光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク装置と、
前記光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットと、
を有し、前記光ディスク装置でのデータ記録と、前記印刷ユニットでのラベル面印刷を連続して処理する光ディスク処理システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の複数の光ディスク装置と、
複数の前記光ディスク装置のそれぞれに所定の順序で光ディスクを搬送する搬送機構と、
を有することを特徴とする光ディスク処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−9654(P2010−9654A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166047(P2008−166047)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】