光ディスク装置及び光ディスク処理システム
【課題】光ディスク装置において、柔軟かつ効率的に記録したデータのベリファイを行う。
【解決手段】ドライブコントローラ320は、ホスト装置から供給されたコマンドに応じて、ベリファイすべき領域とモードを設定する。ベリファイすべき領域は、リードイン、インナー、ミドル、アウターのいずれかあるいは複数をユーザが選択する。ベリファイすべきモードは、即時実行モードか、クローズコマンド内実行モードのいずれかをユーザが選択する。同一データを複数の光ディスクに記録するデュプリケータ等において、ユーザは重要なデータ部分を指定して選択的にベリファイを実行できる。
【解決手段】ドライブコントローラ320は、ホスト装置から供給されたコマンドに応じて、ベリファイすべき領域とモードを設定する。ベリファイすべき領域は、リードイン、インナー、ミドル、アウターのいずれかあるいは複数をユーザが選択する。ベリファイすべきモードは、即時実行モードか、クローズコマンド内実行モードのいずれかをユーザが選択する。同一データを複数の光ディスクに記録するデュプリケータ等において、ユーザは重要なデータ部分を指定して選択的にベリファイを実行できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置及び光ディスク処理システムに関し、特にベリファイ処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録データの信頼性を確保するためのベリファイ処理が知られている。ベリファイ処理は、ユーザデータを記録した後、当該データを再生して厳しいエラー評価基準でエラーすることなく正常に再生できるか否かを確認する処理である。記録可能な光ディスクの場合、リードインエリア、ユーザデータエリア、リードアウトエリアがあり、リードインエリアに記録されたデータについてはデータ記録後にトレイをイジェクトし、再度光ディスクをローディングして正常に起動できるか否かにより確認する。また、ユーザデータエリアに記録されたデータについては、上記のベリファイ処理を実行することで信頼性を確保する。しかしながら、リードインエリアについては、トレイのイジェクト/ローディングの無駄な動作により時間を要する問題があり、リードインが不正記録の場合にも起動処理に大変時間を要する問題がある。また、ユーザデータエリアについては、ベリファイ処理には記録データの再生が伴うため、ベリファイ処理を行うとデータの記録とデータの再生が繰り返して行われることとなるため実質の記録速度が低下してしまう問題がある。
【0003】
下記の特許文献1には、記録正常終了領域直前の所定領域のみ、あるいはエラー発生領域直前の所定領域のみをベリファイして処理時間を短縮する技術が開示されている。また、特許文献2には、光ディスクドライブ内部で予め所有している各メディアIDと1対1で対応するベリファイ動作有無のマトリクステーブルをもとにベリファイ動作の有無を決定することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−65947号公報
【特許文献2】特開2006−309866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術はいずれもドライブ側が自動的にベリファイの有無あるいはベリファイする領域を自動設定するものであり、柔軟性にかけるとともに特定の光ディスクでは効率が低い問題がある。例えば、学校教材、記念品、贈答品等に用いられるカスタムメードの光ディスクを製造する場合、同一記録データを複数の光ディスクに自動的に記録していくことになり、特に記録データの品質を確保したいデータ部分はおおよそ決まっている。このような場合、例えばエラーの発生し易い外周部分のみをベリファイしてもあまり意味がなく、記録データの品質を確保したいデータ部分のみをベリファイすることが望ましい。もちろん、データの品質を確保したいデータ部分は記録すべきデータ内容により異なってくるから、データに応じて適応的に設定できることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、適応的かつ効率的にベリファイ処理すべきデータ領域を設定できる装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ディスクへの記録を行った後に記録されたデータを再生し、正常に再生できるか否かを確認するベリファイ処理を有する光ディスク装置であって、ユーザデータ記録を行う記録手段と、ベリファイ処理を行うベリファイ手段と、前記光ディスクの記録領域のうち、ユーザにより設定された領域に応じ、該領域のみをベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する制御手段とを有する。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記制御手段は、ユーザにより設定された実行モードに応じ、前記領域を即時ベリファイ処理すべく、あるいは前記領域をクローズコマンド内においてベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する。
【0009】
また、本発明の1つの実施形態では、前記ユーザにより設定された領域は、記録領域のうちの相対的な内周側領域、中周側領域、外周側領域の少なくともいずれかである。
【0010】
また、本発明は、上記の光ディスク装置と、前記光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットと、ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段とを有し、前記光ディスク装置でのデータ記録と、前記印刷ユニットでのラベル面印刷を連続して処理する光ディスク処理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、複数の上記光ディスク装置と、ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段とを有し、複数の前記光ディスク装置でのデータ記録を連続して処理する光ディスク処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが適応的かつ効率的にベリファイ処理すべきデータ領域を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1に、光ディスク装置15の内部構成ブロック図を示す。ディスクトレイによりローディングされた光ディスクDは、図示しないマグネットクランパによりクランプされ、ターンテーブル100上に載置され、ターンテーブル100とともにスピンドルモータ(SPM)120により回転駆動される。スピンドルモータSPM120は、ドライバ140で駆動され、ドライバ140はサーボプロセッサ300により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
【0015】
光ピックアップ160は、レーザ光を光ディスクDに照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスクDからの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスクDに対向配置される。光ピックアップ160はスレッドモータ180により光ディスクDの半径方向に駆動され、スレッドモータ180はドライバ200で駆動される。ドライバ200は、ドライバ140と同様にサーボプロセッサ300によりサーボ制御される。また、光ピックアップ160のLDはドライバ220により駆動され、ドライバ220は、オートパワーコントロール回路(APC)240により、レーザパワーが所望の値となるように駆動電流が制御される。APC240及びドライバ220は、ドライブコントローラ320からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ220は光ピックアップ160と別個に設けられているが、ドライバ220を光ピックアップ160に搭載してもよい。
【0016】
光ディスクDにデータを記録する際には、ホストであるシステム側から供給された記録すべきデータはインターフェースI/F400を介してエンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、記録すべきデータをバッファメモリ380に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路420に供給する。ライトストラテジ回路420は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)に変換し、記録データとしてドライバ220に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、通常はある最適ストラテジに固定される。記録データによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ160のLDから照射されて光ディスクDにデータが記録される。データを記録した後、光ピックアップ160は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路260に供給する。RF回路260は再生信号を2値化回路340に供給し、2値化されたデータは、エンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、ベリファイ処理を実行する場合、変調データをデコードし、通常よりエラーの評価基準が厳しい条件でエラーが検出されるか否かを確認する。ベリファイの結果はドライブコントローラ320に供給される。ドライブコントローラ320はベリファイ結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは予め確保された交替記録領域に交替記録するか、あるいはエラーで記録を中断するかを決定する。
【0017】
このような構成において、本実施形態の光ディスク装置は、従来のように常にベリファイを行う、あるいはドライブ側でベリファイすべき領域を自動設定するのではなく、ユーザがベリファイすべき領域を手動で設定する。具体的には、パーソナルコンピュータや上位装置等のホスト装置の設定プログラムを起動し、画面上に設定画面を表示してユーザがこの設定画面を用いてベリファイ領域を自由に設定できるように構成される。ユーザが設定画面を用いて設定すると、設定されたコマンドがホスト装置からATAPIコマンドとしてドライブコントローラ320に供給される。ドライブコントローラ320は、ホスト装置からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じてベリファイ処理を実行する。
【0018】
図2に、ホスト装置の画面に表示される設定画面50の一例を示す。設定画面50は、実行モードを指定するモード指定部52と、ベリファイ領域を特定する領域特定部54を有する。モード指定部52は、即実行モードとクローズ(CLOSE)コマンド内実行モードがあり、これらを択一的に選択できるようになっている。各モードの前にチェックボックス56が表示され、ユーザはこのチェックボックスをチェックすることでいずれかのモードを選択する。領域特定部54は、ベリファイすべき領域として、リードイン(Lead−In)、内周側(Inner)、中周側(Middle)、外周側(Outer)とあり、これらのいずれかあるいは複数を任意に選択できるようになっている。各領域の前にチェックボックス56が表示され、ユーザはこのチェックボックスをチェックすることで領域を選択する。ここで、内周側、中周側、外周側は、光ディスクDに対して固定的なエリアではなく、記録データの記録領域において定まる相対的な領域である。すなわち、記録データが光ディスクDの中周まで記録された場合、この記録領域の範囲内において内周側、中周側、外周側が相対的に設定される。したがって、記録領域の外周側が光ディスクD内において物理的な中周領域に該当することもあり得る。図において、モード指定部52にて即実行モードが選択され、領域特定部54にてリードインと中周側が選択されたことを示す。
【0019】
領域特定部54はベリファイすべき領域を特定するものであるが、内周側、中周側、外周側だけでなく、他の領域指定方法も可能である。例えば、内周側をさらに2つに分ける、中周側をさらに2つに分ける、なども可能である。また、開始領域、中間領域、エンド領域などと区分することもできる。さらに、アドレスを直接指定することで領域を特定してもよい。アドレスを直接指定する場合、開始アドレスとレングスを指定すればよい。
【0020】
図3に、他の設定画面50の例を示す。光ディスクDがマルチセッションディスクの場合の設定画面50である。設定画面50はモード指定部52と領域特定部54を有する。モード指定部52は即実行モードとクローズコマンド内実行モードを有し、領域指定部54はリードインとセッションリードイン(アウト)を有する。セッションリードイン(アウト)は、各セッションの管理情報を記録する領域が含まれ、この管理情報はDVD−R等ではRMD(Recording Management Data)と呼ばれる。DVD+R等ではSDCB(Session Disc Control Blocks)と呼ばれる。リードインとセッションリードイン(アウト)はいずれかあるいは複数を任意に選択できる。なお、DVD+R等ではマルチセッションであるが、DVD−R等ではマルチボーダとなる。この場合、ボーダイン(アウト)がセッションリードイン(アウト)に対応する。
【0021】
図2あるいは図3の設定画面50を用いてベリファイのモード及び領域を設定すると、これらの設定コマンドがドライブコントローラ320に供給され、ドライブコントローラ320はこれらの設定コマンドに応じてベリファイ処理を実行する。本実施形態では、これらの設定コマンドを以下、イージーベリファイ(Easy Verify)設定コマンドと称する。
【0022】
図4〜図6に、本実施形態の処理フローチャートを示す。図4はメイン処理であり、まずアイドル処理その他の初期設定処理を実行し(S101)、イージーベリファイ設定コマンドを受信したか否かを判定する(S102)。イージーベリファイ設定コマンドを受信した場合、この設定コマンドに応じて処理を実行する(S103)。そして、クローズコマンドを受信したか否かを判定し(S104)、クローズコマンドを受信した場合にこれに応じた処理を実行する(S105)。
【0023】
図5に、図4のS103におけるイージーベリファイ設定コマンドに応じた処理の詳細フローチャートを示す。まず、設定コマンドを受信し、実行モードとベリファイ領域とを設定する(S201)。ベリファイ領域としてリードイン(Lead−In)、内周側(Inner)、中周側(Middle)、外周側(Outer)に分割されているものとし、それぞれの領域でベリファイの実行、未実行(非実行)が設定される。例えば、図2の例でいえば、リードイン及び中周側でベリファイ実行、それ以外でベリファイ非実行が設定される。
【0024】
次に、内周側、中周側、外周側のアドレスを算出する(S202)。既述したように、内周側、中周側、外周側は記録領域に応じて相対的に定まるものである。したがって、記録データ容量に応じて最初の1/3までを内周側、2/3までを中周側、3/3までを外周側と設定し、かつ、それぞれの領域の中の最初の数トラック分をベリファイの対象とする。リードインのアドレスに関しては、光ディスクDの種類毎にその領域は決まっているので、ドライブコントローラ320は光ディスクDの種類に応じてアドレスを自動設定する。
【0025】
次に、即実行モードか否かを判定し(S203)、即実行モードである場合には設定コマンドを受信したタイミングにおいて既に記録されているデータに対してベリファイを即時実行する(S204〜S210)。すなわち、リードインのベリファイを設定した場合にはリードインのベリファイを実行し(S204,S205)、内周側のベリファイを設定した場合にはS202で算出した内周側のアドレスのデータのベリファイを実行する(S206,S207)。以下、同様に中周側、外周側のベリファイを実行する(S208〜S211)。図2の例でいえば、S205及びS209でリードイン及び中周側のベリファイのみが実行される。
【0026】
なお、ベリファイ時のリーダビリティ(再生能力)は、他のドライブとの互換性を考慮して設定することが望ましい。ベリファイ時のリーダビリティは、ベリファイの再生中にPI(インナーコードパリティ)PO(アウターコードパリティ)、C1C2エラーを監視し、所定のしきい値(エラー評価基準)を上回った場合にエラーと判定することで調整する。
【0027】
図6に、図4のS105におけるクローズ処理の詳細フローチャートを示す。まず、実行モードがクローズコマンド内実行モードであるか否かを判定する(S301)。実行コードが即実行モードである場合にはクローズ処理においてベリファイは実行しない。クローズコマンド内実行モードである場合、光ディスクDを作成する際に必ず行うクローズ処理において特定領域のベリファイを実行する(S302〜S309)。具体的には、通常のクローズ処理を行い、その後に設定された領域のベリファイを実行する。
【0028】
図7〜図8に、マルチセッションディスクの場合の処理フローチャートを示す。図7は図4のS103における詳細フローチャートである。S502で即実行モードか否かを判定し、S503〜S508で特定領域のベリファイを実行する。なお、S507でユーザエリアを複数に分割し、これらのいずれかあるいは複数のエリアをベリファイするようにしている。もちろん、これは図3の設定画面50において複数のユーザデータのいずれかあるいは複数を選択できるように構成した場合である。図8は、図4のS105におけるクローズ処理の詳細フローチャートである。S601でクローズコマンド内実行モードか否かを判定し、S602〜S607でクローズ処理内において特定領域のベリファイを実行する。すなわち、まず通常のクローズ処理を実行し、その後に設定された領域のベリファイを実行する。なお、通常のクローズ処理とは、各セッション(ボーダ)を終わらせる処理であり、具体的にはボーダイン、ボーダアウト等を記録する処理である。
【0029】
このように、本実施形態では、ベリファイすべき領域をユーザが特定することができるので、柔軟かつ効率的にベリファイを実行することができる。例えばデュプリケータ等、あるデータを複数の光ディスクDに記録する必要がある場合、特に重要なデータが記録されるエリアが特定される。そこで、ユーザはリードインと中周側等とベリファイ領域を設定することで、効率的に複数の光ディスクDにおいてデータの信頼性を確保することができる。また、本実施形態では、ベリファイすべき領域だけでなく、ベリファイの実行モードもユーザが設定できるため、ユーザの操作性が極めて高い。即実行モードに設定した場合、既に記録されているデータを即座にベリファイしてその信頼性を確保することができる。また、クローズコマンド内実行モードに設定した場合、特段のコマンドを新たに発行することなく、通常のクローズコマンドを発行するのみで自動的にユーザが選択した領域のみでベリファイが実行されることになるため使い勝手がよい。ベリファイ用にコマンドを別途発行する必要がないことは、アプリケーションプログラム設計負荷の低減にもなろう。さらに、リードインをベリファイする場合でも、従来のようにトレイをイジェクトして再度ローディングするものではないため、ベリファイ時間を短縮できる。
【0030】
図9に、本実施形態における光ディスク装置を備える光ディスク処理システムの外観図を示す。光ディスク装置15である記録ユニット15の天板上面には、光ディスクDを収容するための同容量の複数のケースC1,C2,C3,C4が配置されている。これらのケースC1,C2,C3,C4は、その背面に配設された支持構造18に支持され、この支持構造18から着脱可能となるように構成される。同図に示すケースC1,C2,C3,C4の配置状態において、ケースC1を回収ケースとし、ケースC2,C3,C4をストックケースとして未処理の光ディスクの所定枚数をそれぞれに収容する。
【0031】
クランプユニット1は、光ディスクDの中心孔をクランプするもので、搬送アーム2に設けられる。搬送アーム2の一端はエレベーション機構3に固定される。エレベーション機構3は支柱4,5で支持され、モータ6の出力軸の駆動力がプーリを介してギア7に伝達し、このギア7が支柱4のラックギア4aに噛合することにより垂直方向に昇降し、搬送アーム2を上下動する。
【0032】
支柱4,5の端部はスライダブロック8に固定されており、このスライダブロック8はガイドシャフト9に擦動可能に支持される。また、スライダブロック8はホイール11,12に張設されたベルト10に連結固定されており、このベルト10をモータ13により駆動することにより、スライダブロック8とともに支柱4,5並びに搬送アーム2が水平方向に往復動する。
【0033】
印刷ユニット14は、ディスクトレイ14aによりローディングされた光ディスクDのラベル面に印刷を施す。記録ユニット15は、ディスクトレイ15aによりローディングされた光ディスクDへ情報を記録する。
【0034】
各ケース、印刷ユニット14、記録ユニット15のそれぞれの間の光ディスクDの搬送において、光ディスクDの上下方向の搬送はエレベーション機構3で行い、水平方向の搬送はベルト10の駆動により行われる。
【0035】
光ディスクDの処理は、ストックケースとなっている各ケースC2,C3,C4毎に処理されるように制御プログラムが構成されており、システム全体の動作を制御するシステムプロセッサが制御プログラムを実行する。まず、ケースC2の最上層にある光ディスクDがディスククランプユニット1によりクランプされ、印刷ユニット14、記録ユニット15へ順次搬送されて所定の処理が完了すると、この処理済光ディスクDは回収ケースであるケースC1に収容される。ケースC2の光ディスクDが順次処理され、このケースC2に収容した光ディスクDが払底すると、この時点で制御プログラムの判断によりケースC2を回収ケースとなるようにする。そして、処理が続行されると、ケースC3に収容されている未処理の光ディスクDは所定の処理がなされた後、回収ケースとなっているケースC2に収容される。以後、同様の処理が繰り返される。
【0036】
なお、上記の説明において、光ディスクDはまず印刷ユニット14でラベル面に印刷され、その後に記録ユニット15でデータの記録が行われるとしているが、各ケースから光ディスクDを取り出してまず記録ユニット15に搬送し、記録ユニット15でデータ記録した後に印刷ユニット14でレベル面に印刷することもできる。
【0037】
光ディスク処理システムのシステムプロセッサは、ROMに記憶された設定プログラムを実行して図示しない表示画面に図2あるいは図3の設定画面50を表示する。光ディスク処理システムは操作パネル及びLCDを有し、システムプロセッサがLCDに図2あるいは図3の設定画面50を表示し、ユーザは操作パネルを用いてチェックボックス56をチェックする。光ディスク処理システムの動作を制御するコンピュータのディスプレイに設定画面50を表示してもよい。この場合、ユーザはマウスやキーボードを用いてチェックボックス56をチェックする。ユーザが設定画面50を用いて設定したモード及び領域はATAPIコマンドとしてシステムプロセッサからI/F400を介してドライブコントローラ320に供給され、ベリファイ動作が制御される。デュプリケータにおいては、印刷ユニット14の代わりに第2の記録ユニットが設けられる。すなわち、複数の記録ユニットが設けられる。光ディスクDは複数の記録ユニットに順次供給され、データが記録された後に排出される。光ディスク装置としての記録ユニットは2個である必要はなく、3個あるいはそれ以上あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】光ディスク装置の構成ブロック図である。
【図2】設定画面の説明図である。
【図3】他の設定画面の説明図である。
【図4】メイン処理フローチャートである。
【図5】イージーベリファイの実行処理フローチャートである。
【図6】クローズ処理フローチャートである。
【図7】他のイージーベリファイの実行処理フローチャートである。
【図8】他のクローズ処理フローチャートである。
【図9】光ディスク処理システムの外観図である。
【符号の説明】
【0039】
15 光ディスク装置、50 設定画面、320 ドライブコントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置及び光ディスク処理システムに関し、特にベリファイ処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録データの信頼性を確保するためのベリファイ処理が知られている。ベリファイ処理は、ユーザデータを記録した後、当該データを再生して厳しいエラー評価基準でエラーすることなく正常に再生できるか否かを確認する処理である。記録可能な光ディスクの場合、リードインエリア、ユーザデータエリア、リードアウトエリアがあり、リードインエリアに記録されたデータについてはデータ記録後にトレイをイジェクトし、再度光ディスクをローディングして正常に起動できるか否かにより確認する。また、ユーザデータエリアに記録されたデータについては、上記のベリファイ処理を実行することで信頼性を確保する。しかしながら、リードインエリアについては、トレイのイジェクト/ローディングの無駄な動作により時間を要する問題があり、リードインが不正記録の場合にも起動処理に大変時間を要する問題がある。また、ユーザデータエリアについては、ベリファイ処理には記録データの再生が伴うため、ベリファイ処理を行うとデータの記録とデータの再生が繰り返して行われることとなるため実質の記録速度が低下してしまう問題がある。
【0003】
下記の特許文献1には、記録正常終了領域直前の所定領域のみ、あるいはエラー発生領域直前の所定領域のみをベリファイして処理時間を短縮する技術が開示されている。また、特許文献2には、光ディスクドライブ内部で予め所有している各メディアIDと1対1で対応するベリファイ動作有無のマトリクステーブルをもとにベリファイ動作の有無を決定することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−65947号公報
【特許文献2】特開2006−309866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術はいずれもドライブ側が自動的にベリファイの有無あるいはベリファイする領域を自動設定するものであり、柔軟性にかけるとともに特定の光ディスクでは効率が低い問題がある。例えば、学校教材、記念品、贈答品等に用いられるカスタムメードの光ディスクを製造する場合、同一記録データを複数の光ディスクに自動的に記録していくことになり、特に記録データの品質を確保したいデータ部分はおおよそ決まっている。このような場合、例えばエラーの発生し易い外周部分のみをベリファイしてもあまり意味がなく、記録データの品質を確保したいデータ部分のみをベリファイすることが望ましい。もちろん、データの品質を確保したいデータ部分は記録すべきデータ内容により異なってくるから、データに応じて適応的に設定できることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、適応的かつ効率的にベリファイ処理すべきデータ領域を設定できる装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ディスクへの記録を行った後に記録されたデータを再生し、正常に再生できるか否かを確認するベリファイ処理を有する光ディスク装置であって、ユーザデータ記録を行う記録手段と、ベリファイ処理を行うベリファイ手段と、前記光ディスクの記録領域のうち、ユーザにより設定された領域に応じ、該領域のみをベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する制御手段とを有する。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記制御手段は、ユーザにより設定された実行モードに応じ、前記領域を即時ベリファイ処理すべく、あるいは前記領域をクローズコマンド内においてベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する。
【0009】
また、本発明の1つの実施形態では、前記ユーザにより設定された領域は、記録領域のうちの相対的な内周側領域、中周側領域、外周側領域の少なくともいずれかである。
【0010】
また、本発明は、上記の光ディスク装置と、前記光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットと、ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段とを有し、前記光ディスク装置でのデータ記録と、前記印刷ユニットでのラベル面印刷を連続して処理する光ディスク処理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、複数の上記光ディスク装置と、ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段とを有し、複数の前記光ディスク装置でのデータ記録を連続して処理する光ディスク処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが適応的かつ効率的にベリファイ処理すべきデータ領域を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1に、光ディスク装置15の内部構成ブロック図を示す。ディスクトレイによりローディングされた光ディスクDは、図示しないマグネットクランパによりクランプされ、ターンテーブル100上に載置され、ターンテーブル100とともにスピンドルモータ(SPM)120により回転駆動される。スピンドルモータSPM120は、ドライバ140で駆動され、ドライバ140はサーボプロセッサ300により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
【0015】
光ピックアップ160は、レーザ光を光ディスクDに照射するためのレーザダイオード(LD)や光ディスクDからの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタ(PD)を含み、光ディスクDに対向配置される。光ピックアップ160はスレッドモータ180により光ディスクDの半径方向に駆動され、スレッドモータ180はドライバ200で駆動される。ドライバ200は、ドライバ140と同様にサーボプロセッサ300によりサーボ制御される。また、光ピックアップ160のLDはドライバ220により駆動され、ドライバ220は、オートパワーコントロール回路(APC)240により、レーザパワーが所望の値となるように駆動電流が制御される。APC240及びドライバ220は、ドライブコントローラ320からの指令によりLDの発光量を制御する。図ではドライバ220は光ピックアップ160と別個に設けられているが、ドライバ220を光ピックアップ160に搭載してもよい。
【0016】
光ディスクDにデータを記録する際には、ホストであるシステム側から供給された記録すべきデータはインターフェースI/F400を介してエンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、記録すべきデータをバッファメモリ380に格納し、当該記録すべきデータをエンコードして変調データとしてライトストラテジ回路420に供給する。ライトストラテジ回路420は、変調データを所定の記録ストラテジに従ってマルチパルス(パルストレーン)に変換し、記録データとしてドライバ220に供給する。記録ストラテジは記録品質に影響することから、通常はある最適ストラテジに固定される。記録データによりパワー変調されたレーザ光は光ピックアップ160のLDから照射されて光ディスクDにデータが記録される。データを記録した後、光ピックアップ160は再生パワーのレーザ光を照射して当該記録データを再生し、RF回路260に供給する。RF回路260は再生信号を2値化回路340に供給し、2値化されたデータは、エンコード/デコード回路360に供給される。エンコード/デコード回路360は、ベリファイ処理を実行する場合、変調データをデコードし、通常よりエラーの評価基準が厳しい条件でエラーが検出されるか否かを確認する。ベリファイの結果はドライブコントローラ320に供給される。ドライブコントローラ320はベリファイ結果に応じて引き続きデータを記録するか、あるいは予め確保された交替記録領域に交替記録するか、あるいはエラーで記録を中断するかを決定する。
【0017】
このような構成において、本実施形態の光ディスク装置は、従来のように常にベリファイを行う、あるいはドライブ側でベリファイすべき領域を自動設定するのではなく、ユーザがベリファイすべき領域を手動で設定する。具体的には、パーソナルコンピュータや上位装置等のホスト装置の設定プログラムを起動し、画面上に設定画面を表示してユーザがこの設定画面を用いてベリファイ領域を自由に設定できるように構成される。ユーザが設定画面を用いて設定すると、設定されたコマンドがホスト装置からATAPIコマンドとしてドライブコントローラ320に供給される。ドライブコントローラ320は、ホスト装置からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じてベリファイ処理を実行する。
【0018】
図2に、ホスト装置の画面に表示される設定画面50の一例を示す。設定画面50は、実行モードを指定するモード指定部52と、ベリファイ領域を特定する領域特定部54を有する。モード指定部52は、即実行モードとクローズ(CLOSE)コマンド内実行モードがあり、これらを択一的に選択できるようになっている。各モードの前にチェックボックス56が表示され、ユーザはこのチェックボックスをチェックすることでいずれかのモードを選択する。領域特定部54は、ベリファイすべき領域として、リードイン(Lead−In)、内周側(Inner)、中周側(Middle)、外周側(Outer)とあり、これらのいずれかあるいは複数を任意に選択できるようになっている。各領域の前にチェックボックス56が表示され、ユーザはこのチェックボックスをチェックすることで領域を選択する。ここで、内周側、中周側、外周側は、光ディスクDに対して固定的なエリアではなく、記録データの記録領域において定まる相対的な領域である。すなわち、記録データが光ディスクDの中周まで記録された場合、この記録領域の範囲内において内周側、中周側、外周側が相対的に設定される。したがって、記録領域の外周側が光ディスクD内において物理的な中周領域に該当することもあり得る。図において、モード指定部52にて即実行モードが選択され、領域特定部54にてリードインと中周側が選択されたことを示す。
【0019】
領域特定部54はベリファイすべき領域を特定するものであるが、内周側、中周側、外周側だけでなく、他の領域指定方法も可能である。例えば、内周側をさらに2つに分ける、中周側をさらに2つに分ける、なども可能である。また、開始領域、中間領域、エンド領域などと区分することもできる。さらに、アドレスを直接指定することで領域を特定してもよい。アドレスを直接指定する場合、開始アドレスとレングスを指定すればよい。
【0020】
図3に、他の設定画面50の例を示す。光ディスクDがマルチセッションディスクの場合の設定画面50である。設定画面50はモード指定部52と領域特定部54を有する。モード指定部52は即実行モードとクローズコマンド内実行モードを有し、領域指定部54はリードインとセッションリードイン(アウト)を有する。セッションリードイン(アウト)は、各セッションの管理情報を記録する領域が含まれ、この管理情報はDVD−R等ではRMD(Recording Management Data)と呼ばれる。DVD+R等ではSDCB(Session Disc Control Blocks)と呼ばれる。リードインとセッションリードイン(アウト)はいずれかあるいは複数を任意に選択できる。なお、DVD+R等ではマルチセッションであるが、DVD−R等ではマルチボーダとなる。この場合、ボーダイン(アウト)がセッションリードイン(アウト)に対応する。
【0021】
図2あるいは図3の設定画面50を用いてベリファイのモード及び領域を設定すると、これらの設定コマンドがドライブコントローラ320に供給され、ドライブコントローラ320はこれらの設定コマンドに応じてベリファイ処理を実行する。本実施形態では、これらの設定コマンドを以下、イージーベリファイ(Easy Verify)設定コマンドと称する。
【0022】
図4〜図6に、本実施形態の処理フローチャートを示す。図4はメイン処理であり、まずアイドル処理その他の初期設定処理を実行し(S101)、イージーベリファイ設定コマンドを受信したか否かを判定する(S102)。イージーベリファイ設定コマンドを受信した場合、この設定コマンドに応じて処理を実行する(S103)。そして、クローズコマンドを受信したか否かを判定し(S104)、クローズコマンドを受信した場合にこれに応じた処理を実行する(S105)。
【0023】
図5に、図4のS103におけるイージーベリファイ設定コマンドに応じた処理の詳細フローチャートを示す。まず、設定コマンドを受信し、実行モードとベリファイ領域とを設定する(S201)。ベリファイ領域としてリードイン(Lead−In)、内周側(Inner)、中周側(Middle)、外周側(Outer)に分割されているものとし、それぞれの領域でベリファイの実行、未実行(非実行)が設定される。例えば、図2の例でいえば、リードイン及び中周側でベリファイ実行、それ以外でベリファイ非実行が設定される。
【0024】
次に、内周側、中周側、外周側のアドレスを算出する(S202)。既述したように、内周側、中周側、外周側は記録領域に応じて相対的に定まるものである。したがって、記録データ容量に応じて最初の1/3までを内周側、2/3までを中周側、3/3までを外周側と設定し、かつ、それぞれの領域の中の最初の数トラック分をベリファイの対象とする。リードインのアドレスに関しては、光ディスクDの種類毎にその領域は決まっているので、ドライブコントローラ320は光ディスクDの種類に応じてアドレスを自動設定する。
【0025】
次に、即実行モードか否かを判定し(S203)、即実行モードである場合には設定コマンドを受信したタイミングにおいて既に記録されているデータに対してベリファイを即時実行する(S204〜S210)。すなわち、リードインのベリファイを設定した場合にはリードインのベリファイを実行し(S204,S205)、内周側のベリファイを設定した場合にはS202で算出した内周側のアドレスのデータのベリファイを実行する(S206,S207)。以下、同様に中周側、外周側のベリファイを実行する(S208〜S211)。図2の例でいえば、S205及びS209でリードイン及び中周側のベリファイのみが実行される。
【0026】
なお、ベリファイ時のリーダビリティ(再生能力)は、他のドライブとの互換性を考慮して設定することが望ましい。ベリファイ時のリーダビリティは、ベリファイの再生中にPI(インナーコードパリティ)PO(アウターコードパリティ)、C1C2エラーを監視し、所定のしきい値(エラー評価基準)を上回った場合にエラーと判定することで調整する。
【0027】
図6に、図4のS105におけるクローズ処理の詳細フローチャートを示す。まず、実行モードがクローズコマンド内実行モードであるか否かを判定する(S301)。実行コードが即実行モードである場合にはクローズ処理においてベリファイは実行しない。クローズコマンド内実行モードである場合、光ディスクDを作成する際に必ず行うクローズ処理において特定領域のベリファイを実行する(S302〜S309)。具体的には、通常のクローズ処理を行い、その後に設定された領域のベリファイを実行する。
【0028】
図7〜図8に、マルチセッションディスクの場合の処理フローチャートを示す。図7は図4のS103における詳細フローチャートである。S502で即実行モードか否かを判定し、S503〜S508で特定領域のベリファイを実行する。なお、S507でユーザエリアを複数に分割し、これらのいずれかあるいは複数のエリアをベリファイするようにしている。もちろん、これは図3の設定画面50において複数のユーザデータのいずれかあるいは複数を選択できるように構成した場合である。図8は、図4のS105におけるクローズ処理の詳細フローチャートである。S601でクローズコマンド内実行モードか否かを判定し、S602〜S607でクローズ処理内において特定領域のベリファイを実行する。すなわち、まず通常のクローズ処理を実行し、その後に設定された領域のベリファイを実行する。なお、通常のクローズ処理とは、各セッション(ボーダ)を終わらせる処理であり、具体的にはボーダイン、ボーダアウト等を記録する処理である。
【0029】
このように、本実施形態では、ベリファイすべき領域をユーザが特定することができるので、柔軟かつ効率的にベリファイを実行することができる。例えばデュプリケータ等、あるデータを複数の光ディスクDに記録する必要がある場合、特に重要なデータが記録されるエリアが特定される。そこで、ユーザはリードインと中周側等とベリファイ領域を設定することで、効率的に複数の光ディスクDにおいてデータの信頼性を確保することができる。また、本実施形態では、ベリファイすべき領域だけでなく、ベリファイの実行モードもユーザが設定できるため、ユーザの操作性が極めて高い。即実行モードに設定した場合、既に記録されているデータを即座にベリファイしてその信頼性を確保することができる。また、クローズコマンド内実行モードに設定した場合、特段のコマンドを新たに発行することなく、通常のクローズコマンドを発行するのみで自動的にユーザが選択した領域のみでベリファイが実行されることになるため使い勝手がよい。ベリファイ用にコマンドを別途発行する必要がないことは、アプリケーションプログラム設計負荷の低減にもなろう。さらに、リードインをベリファイする場合でも、従来のようにトレイをイジェクトして再度ローディングするものではないため、ベリファイ時間を短縮できる。
【0030】
図9に、本実施形態における光ディスク装置を備える光ディスク処理システムの外観図を示す。光ディスク装置15である記録ユニット15の天板上面には、光ディスクDを収容するための同容量の複数のケースC1,C2,C3,C4が配置されている。これらのケースC1,C2,C3,C4は、その背面に配設された支持構造18に支持され、この支持構造18から着脱可能となるように構成される。同図に示すケースC1,C2,C3,C4の配置状態において、ケースC1を回収ケースとし、ケースC2,C3,C4をストックケースとして未処理の光ディスクの所定枚数をそれぞれに収容する。
【0031】
クランプユニット1は、光ディスクDの中心孔をクランプするもので、搬送アーム2に設けられる。搬送アーム2の一端はエレベーション機構3に固定される。エレベーション機構3は支柱4,5で支持され、モータ6の出力軸の駆動力がプーリを介してギア7に伝達し、このギア7が支柱4のラックギア4aに噛合することにより垂直方向に昇降し、搬送アーム2を上下動する。
【0032】
支柱4,5の端部はスライダブロック8に固定されており、このスライダブロック8はガイドシャフト9に擦動可能に支持される。また、スライダブロック8はホイール11,12に張設されたベルト10に連結固定されており、このベルト10をモータ13により駆動することにより、スライダブロック8とともに支柱4,5並びに搬送アーム2が水平方向に往復動する。
【0033】
印刷ユニット14は、ディスクトレイ14aによりローディングされた光ディスクDのラベル面に印刷を施す。記録ユニット15は、ディスクトレイ15aによりローディングされた光ディスクDへ情報を記録する。
【0034】
各ケース、印刷ユニット14、記録ユニット15のそれぞれの間の光ディスクDの搬送において、光ディスクDの上下方向の搬送はエレベーション機構3で行い、水平方向の搬送はベルト10の駆動により行われる。
【0035】
光ディスクDの処理は、ストックケースとなっている各ケースC2,C3,C4毎に処理されるように制御プログラムが構成されており、システム全体の動作を制御するシステムプロセッサが制御プログラムを実行する。まず、ケースC2の最上層にある光ディスクDがディスククランプユニット1によりクランプされ、印刷ユニット14、記録ユニット15へ順次搬送されて所定の処理が完了すると、この処理済光ディスクDは回収ケースであるケースC1に収容される。ケースC2の光ディスクDが順次処理され、このケースC2に収容した光ディスクDが払底すると、この時点で制御プログラムの判断によりケースC2を回収ケースとなるようにする。そして、処理が続行されると、ケースC3に収容されている未処理の光ディスクDは所定の処理がなされた後、回収ケースとなっているケースC2に収容される。以後、同様の処理が繰り返される。
【0036】
なお、上記の説明において、光ディスクDはまず印刷ユニット14でラベル面に印刷され、その後に記録ユニット15でデータの記録が行われるとしているが、各ケースから光ディスクDを取り出してまず記録ユニット15に搬送し、記録ユニット15でデータ記録した後に印刷ユニット14でレベル面に印刷することもできる。
【0037】
光ディスク処理システムのシステムプロセッサは、ROMに記憶された設定プログラムを実行して図示しない表示画面に図2あるいは図3の設定画面50を表示する。光ディスク処理システムは操作パネル及びLCDを有し、システムプロセッサがLCDに図2あるいは図3の設定画面50を表示し、ユーザは操作パネルを用いてチェックボックス56をチェックする。光ディスク処理システムの動作を制御するコンピュータのディスプレイに設定画面50を表示してもよい。この場合、ユーザはマウスやキーボードを用いてチェックボックス56をチェックする。ユーザが設定画面50を用いて設定したモード及び領域はATAPIコマンドとしてシステムプロセッサからI/F400を介してドライブコントローラ320に供給され、ベリファイ動作が制御される。デュプリケータにおいては、印刷ユニット14の代わりに第2の記録ユニットが設けられる。すなわち、複数の記録ユニットが設けられる。光ディスクDは複数の記録ユニットに順次供給され、データが記録された後に排出される。光ディスク装置としての記録ユニットは2個である必要はなく、3個あるいはそれ以上あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】光ディスク装置の構成ブロック図である。
【図2】設定画面の説明図である。
【図3】他の設定画面の説明図である。
【図4】メイン処理フローチャートである。
【図5】イージーベリファイの実行処理フローチャートである。
【図6】クローズ処理フローチャートである。
【図7】他のイージーベリファイの実行処理フローチャートである。
【図8】他のクローズ処理フローチャートである。
【図9】光ディスク処理システムの外観図である。
【符号の説明】
【0039】
15 光ディスク装置、50 設定画面、320 ドライブコントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクへの記録を行った後に記録されたデータを再生し、正常に再生できるか否かを確認するベリファイ処理を有する光ディスク装置であって、
ユーザデータ記録を行う記録手段と、
ベリファイ処理を行うベリファイ手段と、
前記光ディスクの記録領域のうち、ユーザにより設定された領域に応じ、該領域のみをベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記制御手段は、ユーザにより設定された実行モードに応じ、前記領域を即時ベリファイ処理すべく、あるいは前記領域をクローズコマンド内においてベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記ユーザにより設定された領域は、記録領域のうちのリードイン領域、相対的な内周側領域、中周側領域、外周側領域の少なくともいずれかであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク装置と、
前記光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットと、
ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、
前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段と、
を有し、前記光ディスク装置でのデータ記録と、前記印刷ユニットでのラベル面印刷を
連続して処理する光ディスク処理システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数の光ディスク装置と、
ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、
前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段と、
を有し、複数の前記光ディスク装置でのデータ記録を連続して処理する光ディスク処理システム。
【請求項1】
光ディスクへの記録を行った後に記録されたデータを再生し、正常に再生できるか否かを確認するベリファイ処理を有する光ディスク装置であって、
ユーザデータ記録を行う記録手段と、
ベリファイ処理を行うベリファイ手段と、
前記光ディスクの記録領域のうち、ユーザにより設定された領域に応じ、該領域のみをベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記制御手段は、ユーザにより設定された実行モードに応じ、前記領域を即時ベリファイ処理すべく、あるいは前記領域をクローズコマンド内においてベリファイ処理すべく前記ベリファイ手段を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記ユーザにより設定された領域は、記録領域のうちのリードイン領域、相対的な内周側領域、中周側領域、外周側領域の少なくともいずれかであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク装置と、
前記光ディスクのラベル面に印刷する印刷ユニットと、
ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、
前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段と、
を有し、前記光ディスク装置でのデータ記録と、前記印刷ユニットでのラベル面印刷を
連続して処理する光ディスク処理システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の複数の光ディスク装置と、
ベリファイ処理を行うべき領域をユーザが設定するための設定画面を表示する表示手段と、
前記ユーザにより設定された領域のデータを前記光ディスク装置に供給するシステム制御手段と、
を有し、複数の前記光ディスク装置でのデータ記録を連続して処理する光ディスク処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−40147(P2010−40147A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204966(P2008−204966)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】
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