説明

光ディスク装置

【目的】 ディスクの感度ばらつきや周囲温度の違いに影響されないで内周から外周まで最適な記録パワーに設定できる光ディスク装置を提供すること。
【構成】 スピンドルモータ2で回転駆動される光磁気ディスク3に対向配置されたピックアップ4にはレーザダイオード4aが内蔵され、レーザダイオードドライバ7を介して記録発光する。CPU9から試し書きのパワーが制御され、光磁気ディスク3の内周と外周の2か所で試し書きが行われ、再生されてエラーレートが計測され、最適記録パワー演算部17を形成するCPU9はエラーレートが最も少ない2つの最適記録パワーを求めてRAM16に記憶する。2つの最適記録パワーから各半径位置での最適記録パワーを求め、その最適記録パワーを用いてデータの記録を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は最適な記録パワーにて光ディスクの記録を行う光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、130mm及び90mmの光磁気ディスクが実用化されている。ところで光磁気ディスクにおける記録時の最適パワーはディスクの材料や構造、さらには同じ材料で構造のディスクでも製造のロットにより異なっている。記録時の記録パワーが弱いとデータが確実に記録できずエラーが多く発生する。
【0003】また、記録時の記録パワーが強すぎると最短ビット間隔においてピットの相互干渉により分解能が下がりエラーが多く発生する。よって光磁気ディスクで記録を行う場合にはディスクにより、これに応じた最適のレーザーパワーで記録を行う必要がある。
【0004】また、光磁気記録はレーザビームを磁性膜に照射し温度を上昇させることで記録を行うので、周囲温度の違いや線速度の違いによって熱の逃げ方が異なり、同じレーザパワーで記録しても信号の記録状態が異なる。したがって個々の状態に応じて最適なレーザーパワーで記録を行う必要がある。
【0005】これを行う技術としてディスクに情報を記録する前に何らかの信号を記録、再生して最適な記録パワーを見つけだす試し書きと呼ばれる方法がある。
【0006】この技術の従来例として特公昭63−25408、特開平3−91124、特開平3−171437などがある。
【0007】第1の従来例は始めに記録パワーを変化させながら信号を記録し、この記録された信号を再生し再生信号振幅が最大となるところを最良の状態として最適な記録パワーを決定した後、記録パワーが最適値になるように制御しながら信号を記録する方法である。
【0008】第2の従来例は記録パワーを変化させながらデータ信号を記録し、再生データ中のエラーを測定してエラーがある値を下回る範囲を記録時のレーザーパワーの最適範囲とし、この最適範囲の中心を最適な記録パワーとする技術である。
【0009】第3の従来例は記録パワーを変化させながらデータ信号を記録し、再生データ中のエラーを測定しエラーがある値を下回るパワーに定量を加えたパワーを最適な記録パワーとする技術である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術によりディスクの感度ばらつきや周囲温度の違いによる個々のディスクの最適パワーを求めることができる。しかしながらこの求めた最適パワーをディスクのどの範囲まで適応できるかについて考慮されていない。
【0011】現在、光磁気ディスクはCAV(Constant Angle Velocity) 方式を標準規格として採用しているので内周と外周でも回転数は同じであり線速度が異なる。例えばISO/IEC10089で規格されている130mm書換え型光磁気ディスクではデータ部の最内周は半径30mmに対し、最外周は半径60mmの場所にあるので線速度は2倍になる。
【0012】従って内周と外周では最適な記録パワーが異なることとなる。これは現在標準化が進められていZ−CAV(Zone-Constant Angle Velocity)方式だと内周と外周とで記録密度がほぼ同じになるので顕著に影響する。
【0013】これは、CAV方式ディスクでは内周に対して外周では記録密度が低いため、外周では最適パワーから記録パワーが多少ずれても良好な記録ができるが、Z−CAC方式だと記録パワーのずれに関するマージンが小さくなるからである。
【0014】本発明は上記問題点を解決するためになされるものであり、ディスクの感度ばらつきや周囲温度の違いに応じて内周から外周まで最適な記録パワーを設定できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は上記問題を解決するために試し書きをディスクの内周と外周の2か所で行い、求めた最適記録パワーから各半径位置での最適記録パワーを求め、その最適記録パワーを用いてデータの記録を行う光ディスク装置である。
【0016】試し書きを行う場所は内周と外周にあるテストゾーンがデータゾーンと同じクロック周波数を用いている場合はテストゾーンで行う。バッファトラックが存在するディスクについてはバッファトラックで試し書きを行う。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明する。図1ないし図4は本発明の第1実施例に係り、図1は第1実施例の光磁気ディスク装置の構成を示し、図2は光磁気ディスクのレイアウトを示し、図3はエラーレートと記録パワーとの関係を示し、図4は最適な記録パワーを求める処理内容を示す。本実施例ではISO/IEC10090準拠の90mmの光磁気ディスクを使用する場合で説明する。
【0018】図1に示す本発明の第1実施例の光磁気ディスク装置1は、スピンドルモータ2で回転駆動されるターンテーブルに装着される光磁気ディスク3の一方の面に対向して光磁気ピックアップ(以下、単にピックアップと言う)4が配置され、この光磁気ディスク3の他方の面に対向して光磁気ディスク3に磁界を与える界磁コイル5が配置されている。
【0019】スピンドルモータ2はモータドライバ6によって回転速度が所定の値となるように制御される。また、ピックアップ4内には記録及び再生を行う光ビームを発生するレーザダイオード4aが収納され、このレーザダイオード4aの発光パワーはレーザダイオードドライバ7によって制御される。
【0020】このレーザダイオードドライバ7は変調回路8と接続され、記録時にはCPU9から転送される信号を変調してレーザダイオードドライバ7に供給する。CPU9はレーザダイオードドライバ7における記録パワーを可変制御できるようにしてある。レーザダイオード4aの光は対物レンズ4b等の光学系をへて光磁気ディスク3の光磁気記録膜に集光照射される。
【0021】また、ピックアップ4は、このピックアップ4を粗シークするVCM10により、光磁気ディスク3の半径方向に移動自在である。このVCM10はCPU9の制御のもとでVCM制御回路11によって制御される。
【0022】上記対物レンズ4bは図示しないアクチュエータにより対物レンズ4bの光軸方向及び光軸に直交するトラック横断方向に移動自在であり、フォーカスおよびトラッキングを制御するフォーカス&トラッキング制御回路12によってフォーカスおよびトラッキング制御される。このフォーカス&トラッキング制御回路12はCPU9によってその動作が制御される。
【0023】光磁気ディスク3の光磁気記録膜からの反射光は対物レンズ4b等の光学系をへて光検出器4cで受光され、この光検出器4cの出力はフォーカス&トラッキング制御回路12に入力され、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号が生成される。
【0024】また、光検出器4cの出力はRF信号を増幅する増幅回路13を経て復調回路14に入力され、この復調回路14によって光磁気記録膜に光磁気記録された情報に対する再生信号を生成し、CPU9に出力する。
【0025】上記界磁コイル5はコイルドライバ15と接続され、CPU9の制御のもとで記録時には界磁コイル5に駆動信号を供給し、記録用のバイアス磁界を発生させる。また、消去時には記録時と逆極性の駆動信号を供給し、消去用のバイアス磁界を発生させる。
【0026】この第1実施例の光磁気ディスク装置1はさらに光磁気ディスク3における例えば2つの所定のゾーンにて試し書きを行い、かつこの試し書きによる記録パワーで記録された情報を再生してそのエラーレートを算出し、エラーレートの最も少ない最適な記録パワーを求める最適記録パワー検出手段を有する。試し書きはCPU9の制御のもとで変調回路8、レーザダイオードドライバ7を経てレーザダイオード4aを異なるレベル(パワー)で記録発光させることにより行われる。記録発光のレベルはCPU9からの制御によりレーザダイオードドライバ7の記録発光のパワーレベルが変えられる。
【0027】CPU9はRAM16と接続され、最適な記録パワーを求める場合に行われる試し書きの記録パワー等の情報の記憶とか、試し書きによる記録情報を再生した場合のエラーレートの値の記憶等、CPU9が最適な記録パワーを求める演算処理を行うワークエリアとして使用される。
【0028】この第1実施例ではCPU9は装置1全体の制御を行うコントローラとしての機能を有すると共に、RAM16とで最適記録パワーを求める演算を行う最適記録パワー演算部17を形成している。
【0029】また、例えば、装着される光磁気ディスク3に対向してフォトリフレクタ等のディスク検出センサ18が配置され、非接触で光磁気ディスク3の有無を検出し、CPU9に転送する。CPU9はセンサ18の出力から、光磁気ディスク3の挿入を判断し、光磁気ディスク3が挿入されると、最適な記録パワーを求める処理を行う。また、装着される光磁気ディスク3付近には温度センサ19が配置され、この温度センサ19の温度情報もCPU9に転送される。CPU9は温度情報を監視し、装置1内の温度が設定された温度以上変化した場合にも、最適な記録パワーを求める処理を行う。
【0030】図2はISO/IEC10090準拠の光磁気ディスクのレイアウトを示す。この図に示すようにデータ部の内周と外周にデータ部と同じクロック周波数を持つテストゾーンが設けられており、これらのテストゾーンを用いて試し書きを行うようにしている。次にこの実施例の作用を説明する。
【0031】光磁気ディスク3が光磁気ディスク装置1に挿入された時、または光磁気ディスク装置1内部の温度が変化した時、に以下の動作を行う。まず内周のテストゾーンにシークし、そこで記録パワーを変えながらパルス幅は1つに固定でエラーレートを測定する。エラーレートはあるパターン(例えば3T,8T信号の繰り返し)で記録を行い、これを読み出してそのパターンと異なるビットまたはバイトをエラーとし、そのエラー数を全体のビット数もしくはバイト数で割ればよい。バイト当たりのエラーレートの場合には、1バイト内であれば、1ビット間違っていても、8ビット間違っていても1バイトでの誤りと数える。
【0032】例えば、テストゾーンの1トラックには上記のあるパターン(例えば3T,8T信号の繰り返し)が繰り返し書き込まれ、そして再生され、3T,8T信号のパターンの繰り返しと比較され、或いはエラーコードチェックの動作により、誤りビットが確認される。
【0033】エラーレートと記録パワーの関係を図3に示す。実際の光磁気ディスク装置1では図中のPsからPfまで幾つかの記録パワーでの試し書きの場合のエラー数を測定し、それを光磁気ディスク装置1のRAM16に記憶させる。RAM16の中で記録パワーとエラー数のテーブルを作り、Pfまで終了した後、最もエラー数の少なかったパワーを最適パワーとする。
【0034】この後、外周のテストゾーンにシークし、内周と同じパルス幅で最適パワーを同じように求める。外周の方が線速度が大きいので最適パワーは内周よりも大きくなる。
【0035】ここで求めた内周の最適パワーをPin、外周の最適パワーをPoutとする。これら2つのパワーをRAM16に記憶させる。これらの最適パワーを決定すする処理内容を図4に示す。
【0036】ステップS1に示すように光磁気ディスク3が挿入されると、ステップS2に示すように内周のテストゾーンにシークし、ステップS3に示すように試し書き&エラーレート計測をまずPsの記録パワーで行う。
【0037】つまり、内周のテストゾーンにおける1トラック分の消去後に、そのトラックにあるパターン(例えば3T,8T信号の繰り返し)で試し書きを行う。この試し書きの後、試し書きされたトラックをリードし、エラー数をカウントし、試し書きの情報量で割ってエラーレートの値を算出し、用いた記録パワーの値(この場合Ps)と共に、RAM16に一時記憶する。
【0038】次にステップS4に示すように記録パワーがPfより小さいかの判断を行う。この場合にはYESとなり、ステップS5に示すように記録パワーを微小量Δ増大して、ステップS3に示す試し書き&エラーレート計測をPs+Δの記録パワーで行い、次のステップS4に示す記録パワーの判断処理を行う。このようにして、PsからPfまで幾つかの記録パワーで試し書き&エラーレート計測を行い、エラーレートの値を用いた記録パワーの値と共に、RAM16に記憶してテーブルを作成する。
【0039】次にステップS6に示すようにRAM16に記憶されたテーブルから内周での最適な記録パワーPinを決定し、この最適な記録パワーPinをRAM16に記憶する。最適な記録パワーPinを決定する場合、CPU9は最初に求めたエラーレートの値を次に求めたエラーレートの値と比較し、小さい方の値を残し、さらに次のエラーレートの値と比較するという比較処理により、最小のエラーレートの値となる記録パワーを最適な記録パワーPinとする演算を行う。
【0040】内周での最適な記録パワーPinの決定を行ったので、次にステップS7に示すように外周のテストゾーンにシークし、以下のように同様の処理を行う。ステップS8に示すように試し書き&エラーレート計測をPsの記録パワーで行う。
【0041】つまり、外周のテストゾーンにおける1トラック分の消去後に、そのトラックにあるパターン(例えば3T,8T信号の繰り返し)で試し書きを行う。この試し書きの後、試し書きされたトラックをリードし、エラー数をカウントし、試し書きの情報量で割ってエラーレートの値を算出し、用いた記録パワーの値(この場合Ps)と共に、RAM16に一時記憶する。
【0042】次にステップS9に示すように記録パワーがPfより小さいかの判断を行う。この場合にはYESとなり、ステップS10に示すように記録パワーを微小量Δ増大して、ステップS8に示す試し書き&エラーレート計測をPs+Δの記録パワーで行い、次のステップS9に示す記録パワーの判断処理を行う。このようにして、PsからPfまで幾つかの記録パワーで試し書き&エラーレート計測を行い、エラーレートの値を用いた記録パワーの値と共に、RAM16に記憶してテーブルを作成する。
【0043】次にステップS11に示すようにRAM16に記憶されたテーブルから外周での最適な記録パワーPoutを決定し、この最適な記録パワーPoutをRAM16に記憶する。最適な記録パワーPoutを決定する場合、CPU9は最初に求めたエラーレートの値を次に求めたエラーレートの値と比較し、小さい方の値を残し、さらに次のエラーレートの値と比較するという比較処理により、最小のエラーレートの値となる記録パワーを最適な記録パワーPoutとする演算を行う。
【0044】内周及び外周での最適な記録パワーPin及びPoutが求められたので、ステップS12に示すようにデータの記録開始に移る。この後実際にデータ部にデータを記録する際にはたとえば3000TRACKで記録するときにはP3000=Pin+3000/10000*(Pout−Pin) (1)
という計算を行い、そのTRACKでの最適な記録パワーを求めて記録を行うことになる。
【0045】また、データ部にデータを記録する場合に、温度変化が在るかの判断を行い(ステップS13参照)、温度変化がある場合には、ステップS2に戻り、再び最適な記録パワーを求める処理を行い、温度変化がない場合には、ステップS14に移り、データ待ち状態になり、データが転送されたらデータを記録する。
【0046】または1000トラック毎に記録パワーを変えることにして例えば0−999トラックでは500トラックでの最適値P500=Pin+500/10000*(Pout−Pin) (2)
を記録パワーに用いることにしてもよい。
【0047】この場合、予めPinとPoutからP500,P1500…P9500という10個のパワーを直線補間により求め、あたかもディスクに10個のゾーンがあるかのように考え、それぞれのゾーンでの記録用に最適なゾーン記録パワーを10個RAM16に書き込んでおき、記録する場合にはその記録に用いるトラックが属するゾーンでのゾーン記録パワーで記録するようにしてもよい。
【0048】この第1実施例によれば、内周側及び外周側で試し書きを行い、それぞれ最適な記録パワーを求めることにより、データ部での記録パワーを各トラックの半径位置を考慮して記録パワーを設定するようにしているので、ディスクの種類や製造ロットの違いによる感度差や周囲温度の違いによらず、かつ信号を記録する半径位置の違いによる線速度の違いに応じて、最も適した記録パワーでデータを記録することができる。
【0049】本実施例では試し書きの方法としてエラーレートが悪くなるまで記録パワーをあげて最適なパワーを求める方法を用いたが、この方法に限らずどの試し書きを用いても良く、例えば従来例にあるような低いパワーからパワーを上げてあるエラーレートよりも低くなったときのパワーから最適パワーを求める方法を使っても良いし、エラーレートを用いず、信号振幅から最適パワーを求める方法を用いてもよい。
【0050】また、CAVディスクであれば90mmに限らずISO/IEC10089のような130mmディスクや他の大きさのディスクにも適用できる。また相変化タイプの光ディスクやWRITE ONCEタイプの光ディスクにも適用できる。また補間方法として直線補間することのみに限らず、別の補間方法をとっても良い。
【0051】次に本発明の第2実施例を説明する。本実施例では現在規格化が進められている容量1.3GBの次世代130mmディスクを使用した場合を考える。これはECMA(EUROPEAN COMPUTER MANUFUCTERS MANUFACTURES ASSOCIATION)においてSTANDARD ECMA−184として標準化されているものでありそのレイアウトを図5に示す。図中のMfgゾーンがテストゾーンである。
【0052】図5に示すようにデータエリアの内周と外周にあるテストゾーンは内周の内側のものはデータ部のバンド 0の周波数と等しく、外周の外にあるものはバンド15の周波数と等しくなっている。
【0053】光磁気ディスク装置1の構成は第1実施例と同じであり、第1実施例とは異なる光磁気ディスクが使用される。次に作用を説明する。
【0054】Z−CAVディスクであるので内周から外周までDUTYが等しくなるようにパルス幅を設定した場合を考える。このときDUTYを1T(33.3%)とすると回転数1800rpmでバンド0で76nsec、バンド15で39.2nsecとなる。
【0055】第1実施例と同様にまず内周のテストゾーンで試し書きを行い、最適パワーを求める。この際バンド0で使用するパルス幅を用いる。内周と外周で記録密度が等しく0バンドと内周のテストゾーンはクロック周波数が同じであるので、0バンドの最適パワーを求めることに等しい。
【0056】次に外周のテストゾーンでバンド15で使用するパルス幅で試し書きを行う。これはバンド15の最適パワーを求めることに等しい。
【0057】これよりバンド0とバンド15の最適パワーが求められたのでその他のバンドの最適パワーはこの2つのパワーから直線補間することにより求められる。この実施例の効果は次のようになる。
【0058】この方法によりZ−CAVタイプのディスクで各バンドに最も適した記録パワーに近いパワーで信号を記録できる装置を提供できる。本実施例は容量1.3GB次世代130mmディスクを使って説明したがこの方法は他の容量や大きさのZ−CAVディスクを使用した場合でもディスクのデータゾーンの内周に最内周バンドと同じクロック周波数のテストゾーンがあり、外周に最外周バンドと同じクロック周波数のテストゾーンがあれば適用できる。次に本発明の第3実施例を説明する。
【0059】本実施例では現在標準化がすすめられている容量230MB次世代90mmディスクを使用した場合を考える。このレイアウトを図6、7に示す。
【0060】図6に示すようにこのタイプのディスクもZ−CAV方式である。この規格は各バンドの始まりと終わりに50セクタ分のブッファトラックが設けられている。
【0061】図7の中で示すディスクレイアウトのなかでUSERがデータの記録に使用するのはUSER AREA(ユーザエリア)のみであるので、このBUFFERTRACK(バッファトラック)は各BAND(バンド)でデータの記録に使用されることはない。
【0062】またBUFFER TRACKのID部のクロック周波数は各BANDのデータ部のものと同じである。よってこのBUFFER TRACKではデータ部と同じ条件で記録、再生することが可能である。光磁気ディスク装置の構成は第1実施例と同じである。次に作用を説明する。
【0063】BUFFER TRACKはデータの記録、再生いは用いられない場所なので試し書きに随時使用しても差し支えない。そこで本実施例ではディスク挿入時や温度変化があった場合などのように試し書きを行う必要が生じたときに記録を開始する前にその記録を行おうとするBANDのBUFFER TRACKにおいて試し書きを行い、最適パワーを求める。
【0064】具体的には、図8に示すような流れの処理を行う。ディスク挿入等で動作が開始し、ステップS21に示すように上位のコントローラからCPU9に記録命令が出される。
【0065】すると、ステップS22に示すようにCPU9はVCM制御回路11を介してピックアップ4を移動させ、記録を行うバンドのバッファトラックにシークさせる。そして、ステップS23に示すように、シークしたバッファトラックで試し書きを行い、最適パワーを決定する。
【0066】次に、ステップS24に示すように、記録を始めるトラックにシークする。そして、ステップS25に示すように、そのトラックで消去/記録/ベリファイを開始する。この後、ステップS26に示すように、データが次のバンドにまで跨るか否かの判断を行い、跨る場合にはステップS22に戻る。一方、、跨らない場合にはステップS27に示すように、データ待ちの状態になる。
【0067】図8に示したように記録するデータが多く、次のバンドにまたがる場合は前のバンドでの記録がFULLになった後、次のバンドのバッファトラックで試し書きを行いその最適パワーを求めたのち、残りのデータを今求めた最適パワーでそのバンドに記録する。
【0068】この実施例の効果は以下のようになる。この方法を用いることでバッファトラックを持つZ−CAVタイプのディスクで各バンドにおいて最も適したパワーで信号が記録できる装置を提供することができる。
【0069】本実施例は容量230MB次世代90mmディスクを使って説明したがこの方法は他の容量や大きさのディスクを使用した場合でも各バンドにデータの記録に使用しないバッファトラックがあれば適用できる。
【0070】次に本発明の第4実施例を説明する。本実施例では第3実施例と同様に容量230MB次世代90mmディスクを使用した場合を考えるが本実施例では第3実施例とは違い最内周バンドのバッファトラックと最外周バンドのバッファトラックのみで試し書きを行う。
【0071】使用する光磁気ディスク装置の構成は第1実施例と同じである。次に作用を説明する。
【0072】まずバンド0のバッファトラックにシークしバンド0の最適な記録パワーを求める。その後バンド9のバッファトラックにシークしバンド 9の最適パワーを求める。これにより最内周バンドの最適パワーと最外周バンドの最適パワーが求められたので間のバンドの記録パワーは補間により求められる。この流れを図9に示す。
【0073】ステップS31に示すように光磁気ディスクが挿入されると、ステップS32に示すようにバンド0のバッファトラックにシークし、ステップS33に示すようにそのトラックで試し書きを行い、最適な記録パワーP0を求め、RAM16に記憶する。
【0074】次にステップS34に示すようにバンド9のバッファトラックにシークし、ステップS35に示すようにそのトラックで試し書きを行い、最適な記録パワーP9を求め、RAM16に記憶する。
【0075】次に、ステップS36に示すようにバンド0及び9での最適な記録パワーP0及びP9からバンド1ないし8での最適な記録パワーP1ないしP8を内挿で求め、RAM16に記憶する。
【0076】全てのバンドでの最適な記録パワーP0ないしP9が求められたので、ステップS37に示すようにデータの記録開始状態になる。その後、ステップS38に示すように温度変化があるか否かの判断が行われ、設定値以上の温度変化があった場合には、ステップS32に戻り、設定値以上の温度変化がない場合には、ステップS39に示すようにデータ待ちの状態になり、データが転送されてくると、データを記録する。
【0077】この実施例の効果は以下のようになる。この方法を用いることでバッファトラックを持つZ−CAVタイプのディスクで各バンドにおいて最も適したパワーに近い記録パワーで信号が記録できる装置を提供することができる。
【0078】第3実施例に示した方法では各バンド毎に試し書きを行わなければならなかったが本実施例に示す方法では最内周と最外周の2箇所で行えば良いので試し書きに要する時間が短縮できる。
【0079】本実施例は容量230MB次世代90mmディスクを使って説明したがこの方法は他の容量や大きさのディスクを使用した場合でも各バンドにデータの記録に使用しないブッファトラックがあれば適用できる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、内周側と外周側とで最適な記録パワーを求め、求めた2つの記録パワーを用いて、データを記録する半径位置に応じて記録パワーを設定するようにしているので、ディスクの種類や記録するトラックの半径位置の違いによる線速度の違いに影響されないで、最適な記録パワーでデータを記録できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の光磁気ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図2】光磁気ディスクのレイアウトを示す説明図。
【図3】エラーレートと記録パワーとの関係を示す特性図。
【図4】最適な記録パワーを求める処理内容を示すフローチャート図。
【図5】第2実施例における光磁気ディスクのレイアウトを示す説明図。
【図6】第3実施例における光磁気ディスクのレイアウトを示す説明図。
【図7】各バンドのレイアウトを示す説明図。
【図8】最適な記録パワーを求める処理内容を示すフローチャート図。
【図9】第4実施例における最適な記録パワーを求める処理内容を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1…光磁気ディスク装置
3…光磁気ディスク
4…ピックアップ
4a…レーザダイオード
5…界磁コイル
7…レーザダイオードドライバ
8…変調回路
9…CPU
14…復調回路
16…RAM
17…最適記録パワー演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光ディスクに異なった記録パワーで試し書きを行い、最適な記録パワーを求め、上記記録パワーでデータの記録を行う光ディスク装置において、上記光ディスクのデータゾーンの内側と外側のデータの記録に使用しないゾーンにて試し書きを行うことにより、2つの最適な記録パワーを求め、データゾーンにおけるデータの記録を半径位置に応じて上記2つの最適な記録パワーから補間して求めた記録パワーにてデータの記録を行うことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平7−57267
【公開日】平成7年(1995)3月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−197532
【出願日】平成5年(1993)8月9日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)