説明

光ディスク記録再生装置及び方法

【課題】 高速で記録及び再生ができる光記録再生システムを提供する。
【解決手段】 光ディスク記録再生装置では、光ディスクが回転方向に沿って回転され、光ディスクにレーザービームがフォーカスされて光ディスク上にビームスポットが形成される。スキャナによってレーザービームは、光ディスクの半径方向に沿って偏向されてビームスポットが回転方向に交差する方向にスキャン軌跡を描き、このスキャン軌跡に沿って記録ビットの配列を有するデータトラックが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施の形態は、光ディスクにデータを記録し、再生する光ディスク記録再生装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光を用いて情報の書き込み/読み出しを行ういわゆる光ディスクは、広く普及している。光ディスクとして、例えば、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−HD(High-Definition Digital Versatile Disc),BD(Blu-ray Disc)等がその代表例として知られている。
【0003】
これらの光ディスクを用いた光情報記録/再生装置においては、1枚の記録媒体に、より多くの情報を記録すること、並びに、それら情報の書き込み/読出し速度を高速にすることが常に求められ続けられている。特に、近年においては、書き込み/読出し速度を高速にすることに対して強い要望がある。
【0004】
光ディスクの書き込み/読出し速度を上げる方法として、主に2つの方法が考えられる。第1の方法は、ビット・サイズの微小化にあり、第2の方法は、ディスクの回転速度の高速化にある。
【0005】
第1の方法に係るビット・サイズの微小化は、同一の回転数で記録/再生する場合においても、ビット・サイズが小さければ、単位時間当たりにアクセス出来るビット数が増大することに基づいている。
【0006】
しかし、光ディスクでは、情報の記録/再生には、レーザー光をレンズで集光した光スポットが用いられていることから、光スポットのサイズ以下には、記録ビットを小さくすることができない。一方、光スポットのサイズは、光の回折限界によって規定される限界以下には小さくすることができないことから、原理的に記録ビット・サイズには、限界がある。この限界は、光ディスクに用いるレーザー光の波長が短くなるほど小さくなるため、光ディスク記録システムで用いる光の波長を短くすることにより、記録ビットの微小化を実現することが可能で、現在では、波長400nm程度の青色レーザーを用いたBD,HD−DVDが最も小さなビット・サイズを実現したシステムとなっている。
【0007】
しかしながら、波長400nmよりも短波長化すると、その領域の光を透過する光学材料は限定されてしまい、また、従来用いられてきた材料では、光によってダメージを受ける可能性があり、光学系を設計する事が困難になる。このため、光の短波長化によって記録/再生速度を上げる方法は、ほぼ限界に達している。
【0008】
上述した第2の方法に係るアプローチは、単純にディスクの回転数を上げる方法であり、この方法により単位時間当たりにアクセスすることが出来るビット数を増やすことができる。しかしながら、現在、CD、DVD、HD−DVD、BD等で用いられている光ディスクは、1万回転以上で回転させると遠心力により破壊してしまう問題がある。
【0009】
現状では、ブルーレイ(BD)システムにおいて、約1万回転のディスク回転数で、ディスク最外周においてのみ、12倍速(432Mbps)のビットレートが、実現されている。しかし、このビットレートは、あくまでも最外周においてのみ実現可能な値であり、ディスク全体の平均アクセス速度は、その半分程度に留まり、1万回転以上に高速化することは困難となっている。
【0010】
以上説明したように、現在では、光ディスクの書き込み/読出し速度を向上させることは、従来取られてきた方法では、極めて困難な状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−86295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、ディスクの回転数をあげないで高速化する方法として、読み取り/書込み用レーザーのスポットをディスク面でスキャンして、同時に複数のトラックを読み/書きする技術が特許文献1に提案されている。
【0013】
この特許文献1においては、隣接した複数のトラックに、パラレルに複数のビット列が書き込まれ、また、この複数のトラックからパラレルに複数のビット列が読出されてディスクの回転数に制限されない高速なデータアクセスが可能であると記述している。しかしながら、従来のBDのように、回転方向に記録ビット列が形成されるフォーマットでは、読み取りの際に、読み取ったシグナルから複数トラックの各データ列を再構成することが必要とされ、上記特許文献1に記述されているような、同時読出しの複数のサンプリング回路が必要とされ、回路的に複雑になる問題がある。また、同様に、ビット列の読み取りに限らず、ビット列の書き込みにあっても、同時書き込みの複数のサンプリング回路が必要とされ、回路的に複雑になる問題がある。
【0014】
また、隣接した複数のトラックに必要なデータが記録されているかどうかは分からず、複数トラックを同時に読み出ししても、その中の1部分しかデータを利用できず、結果として、読出し速度を向上させることは困難となる可能性もある。更に、読み取りが高速に出来るように、書き込み時における記録位置を再配置するとすると、記録時に複雑なマッピング処理が必要となる問題がある。
【0015】
また、PWM記録のように、現在の光ディスクで一般的に用いられている記録方式が各トラックに採用される場合、5Tマークのように長いマークが記録される際に、横にスキャンしながら記録する場合には、従来技術に比べてより高い精度のタイミングコントロールが必要となり、その分、高密度化のマージンが減ってしまう問題(横ずれエラー)がある。また、このように、トラックに対してレーザーを横方向に振りながら、書き込み/読出しを行なう方法は、従来、光ディスクで用いられてきた方法とは全く異なり、従来技術を応用することが難しく、新たな記録/読出しスキームを作り出す必要性がある。
【0016】
特にトラックに対して単純に横方向にレーザーを振っただけだと、各トラック直上でサンプリングを行なう必要性があるため、書き込み/読み込み時のタイミングコントロールが非常にシビアになり、実現は極めて困難になる。
【0017】
また、マークの開始位置/終端位置をトラックのどの位置からでも可能にするためには、細かなスキャンを行なう必要があり、特許文献1に明記されているように、ナイキストの折り返し効果を防ぐために、より高周波で動作するスキャナが必要とされる。しかしながら、高周波で光をスキャンすることは、技術的に困難をともなうことが知られており、容易に実現することが出来ない問題もある。より実用的で安価なシステムにするためには、出来るだけ低い周波数のスキャナを用いて構成出来ることが望まれている。
【0018】
上述のように、従来取られてきたようなビットの微小化及びディスク回転数の増加では、光ディスクにおける記録及び再生の高速化は、限界に達している。このためディスクの回転数に限定されない、光スキャン方法に基づく、データ列への高速なアクセスが考えられる。しかしながら、従来提案されているような隣接する複数トラックへの並列アクセスは、複雑な構成、精密な制御、高速なスキャナを必要とするため、低価格で商品化することは困難とされている。
【0019】
実施の形態は、上記問題点を解決するためになされてものであり、その目的は、レーザー光をディスク上でスキャンする光ディスク・システムにおいて、従来に比して高速な記録及び再生が可能な光記録システムを工業的に安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
実施形態によれば、
光ディスクを回転方向に沿って回転させる回転機構と、
レーザービームを発生し、前記光ディスクにフォーカスして前記光ディスク上にビームスポットを形成する記録再生光学系であって、
前記レーザービームを前記光ディスクの半径方向に沿って偏向して、前記回転方向に交差する第1方向に沿った第1スキャン軌跡及びこの第1方向とは異なった第2方向に沿った第2スキャン軌跡を前記ビームスポットで描かせるスキャナを含み、前記第1スキャン軌跡に沿って記録ビットの配列を有する第1のデータトラックが形成され、この第1のデータトラックが前記光ディスクの半径方向に沿って配列されている記録再生光学系と、
を具備する光ディスク記録再生装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】光ディスクにデータを記録し、この光ディスクからデータを再生する実施の形態に係る記録及び再生装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る記録方法が図1に示す記録及び再生装置に適用されて、データピットが記録されている光ディスクの一部を概略的に示す平面図であって、複数のデータピットが配列されているトラック列及びレーザービームがトラック列をスキャンしてレーザービームスポットがトラック列上に描くスキャニング軌跡を説明的且つ概略的に示す平面図である。
【図3】図2に示されるレーザービームスポットのスキャニングに伴い光ディスク上に形成さるレーザービームスポットのスキャニング軌跡及びレーザービームの変調に伴い、このスキャニング軌跡上に形成されるデータピットの配列の一例を概略的に示す平面図である。
【図4】図3に示されるスキャニングの繰り返しであって、位相がシフトされた複数回のレーザービームスポットのスキャニングに伴い、複数のスキャニング軌跡上に高密度で形成される多数のデータピットの配列を概略的に示す平面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る記録方法に従って記録されるデータピットの配列の一例であって、図2に示されると同様にある位相でレーザービームスポットによって形成されるスキャニング軌跡上に形成されるデータピットの配列の一例を概略的に示す平面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る記録方法に従って記録される高密度のデータピットの配列であって、図5示される高密度のデータピットの配列の一例を概略的に示す平面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る記録方法でデータピットが形成される光ディスクのトラック列に設けられるランド及びグルーブを概略的に示す平面図である。
【図8】図7に示す第3の実施の形態の変形例に係る記録方法でデータピットが形成される光ディスクのトラック列に設けられるランド及びグルーブを概略的に示す平面図である。
【図9】第4の実施の形態に係る記録及び再生装置を示す概略図である。
【図10】図9に示される第4の実施の形態に係る記録及び再生装置における光ディスクのトラッキングレイヤー上のトラッキングマークと記録層に記録されるデータトラックとのある配置関係を概略的に示す平面図である。
【図11】図9に示される第4の実施の形態に係る記録及び再生装置における光ディスクのトラッキングレイヤー上のトラッキングマークと記録層に記録されるデータトラックとの他の配置関係を概略的に示す平面図である。
【図12】図9に示される第4の実施の形態に係る記録及び再生装置における光ディスクのトラッキングレイヤー上のトラッキングマークと記録層に記録されるデータトラックとの更に他の配置関係を概略的に示す平面図である。
【図13】図9に示される第4の実施の形態に係る記録及び再生装置における光ディスクのトラッキングレイヤー上のトラッキングマークと記録層に記録されるデータトラックとの更にまた他の配置関係を概略的に示す平面図である。
【図14】図1に示される第1の実施の形態に係る記録再生システムをより具体化した第1の実施例に係る高速光記録システムの基本的構成を示す概略図である。
【図15】(a)及び(b)は、図14に示されるスキャナの構造を概略的に示す上面図及び断面図である。
【図16】図1に示される第1の実施の形態に係る記録再生システムをより具体化した第2の実施例に係る高速光記録システムの基本的構成を示す概略図である。
【図17】図16に示される第2の実施例に係る高速光記録システムの変形例を示す概略図である。
【図18】図16に示される第2の実施例に係る高速光記録システムにおける光学系を説明的に示す概略図である。
【図19】(a)及び(b)は、図15に示されるスキャナの他の構造を概略的に示す上面図及び断面図である。
【図20】(a)及び(b)は、図15に示されるスキャナの更に他の構造を概略的に示す上面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して実施の形態に係る光ディスク記録再生装置について詳細に説明する。
【0023】
図1は、この実施の形態に係る光ディスク記録再生装置の概略構成が示されている。この図1に示される光ディスク記録再生装置においては、光ディスク2がスピンドルモータを備えた回転機構、即ち、回転部(図示せず)によって矢印Rで示すように回転される。この光ディスク2には、記録及び再生光学系から光ビーム、即ち、レーザービームが収束されて記録用或いは再生用のビームスポットが形成される。ここで、レーザービーム(光ビーム)は、レーザーダイオードLDで発生され、このレーザービームがレーザスキャナ4を介して対物レンズ6に導かれ、この対物レンズ6によって光ディスク2上に収束されて光ディスク2上にビームスポットを形成している。光ディスク2が回転され、レーザービームがレーザスキャナ4によって光ディスク2の半径方向に偏向されていることから、光ディスク2上の領域は、光ディスク2の半径方向に沿ってビームスポットでスキャンされ、この半径方向のスキャンを伴いながら円周方向に沿ってビームスポットでトレースされている。その結果、光ディスク2上の領域は、ビームスポットによってスキャンされて、周期的な波形を有するスキャニング軌跡が描かれることとなる。
【0024】
レーザスキャナ4は、一例として、レーザービームを100MHz〜1GHzの周波数で、光軸を中心に±1°の角度範囲に偏向している。また、対物レンズ6は、1.0mm程の焦点距離を有し、レーザービームを直径0.3μm以下のスポットに収束している。従って、周期的な波形を描くビームスポットが光ディスク上に形成されている数十のトラックを僅かな時間差を持って(略同時とみなすことができる程の時間差をもって)光ディスク上の領域をスキャンしている。従って、この周期的波形のビームスポットで光ディスク上の領域が周方向に沿ってトレースされてスキャニング軌跡が描かれることとなる。このような記録再生システムでは、現状で最も高速の記録及び再生が可能とされているブルーレイディスク(BD)の為の記録再生装置に比して10倍以上の高速(1〜10Gbpsのデータ転送速度)の書き込み或いは読み込み速度で、光ディスクにデータが書き込まれ、或いは、光ディスクからデータが読み出される。
【0025】
[第1の実施形態]
図2には、第1の実施の形態に係る光記録方法が適用されたシステムにおける記録ビットで構成されるデータトラック列18の形態(フォーマット)が概略的に示されている。この図2には、矢印Rの方向に沿って回転される光ディスク2上の領域の一部が矩形状に抜き出して示されている。半径方向の矩形状の領域は、この矢印Rで示される周方向に対して直交される半径方向に沿って、複数のデータトラック列18に区分され、データトラック列18がスパイラル状、または同心状に矢印Rで示される周方向に延出されるように複数のデータトラック列18がスパイラル状または同心状に配列されている。即ち、光ディスク2は、光ディスク2の回転中心を略中心とするスパイラル状又は同心円状に配置されているトラック列を備えている。
【0026】
図2には、レーザービームが対物レンズ6によって収束されて形成されるビームスポット20が示されている。レーザービームは、スキャナ4によってスキャン方向12にデータトラック列18で定められる領域内で偏向されている。従って、このビームスポット20は、記録モード時には、このデータトラック列18内にピット列或いはマーク列でデータトラック14を形成している。このデータトラック14を形成するピット或いはマークは、以下の説明においては、単にデータピット16と称し、マーク長等でデータが光ディスク2の記録層に記録される。
【0027】
この第1の実施の形態では、図2に示すように光ディスクの中心から外周に向かい、また、外周から中心に向かうような往復のスキャンでデータトラック列18の領域がスキャンされている。そして、この往復のスキャン中の一方向スキャン22のみで、データトラックが形成されてデータトラック14がデータトラック列18内で周方向Rに沿って互いに並列して配列されるように形成される。より詳細には、往復のスキャン中の一方向スキャン22では、レーザービームが記録強度に切り替えられて記録モードとされ、この記録モードで、この記録用のレーザービームが記録データで変調され、このレーザービームがデータトラック列18内で光ディスクの内周から外周方向或いは外周から内周方向に偏向される。従って、記録用のレーザービームは、例えば、マーク長変調記録方式(PWM記録方式)においては、光ディスク2の記録層にデータピットを記録データに応じたマーク長を有するように形成される。往復のスキャン中の反対方向スキャン24では、レーザービームの強度が減衰されて非記録モードとされて光ディスクの内周から外周方向或いは外周から内周方向に偏向される。従って、光ディスク2の記録層には、データピット16が形成されない。その結果として、図2に示すようにデータピットが略直線的に配列されてデータトラック列18が形成され、このデータトラック列18が並列して周方向に沿って配列されることとなる。再生モード時には、再生光強度のレーザービームが光ディスク2のデータトラック14内に向けられ、この再生用のレーザービームが偏向されてデータトラック14がスキャンされ、このデータトラック14のデータピット16で変調されたレーザービームが検出光学系に戻されてデータが再現される。この再生モードにおいても、往復のスキャンにおける一方向スキャンでのみデータピットがスキャンされてデータが再生され、往復のスキャンにおける他方向スキャンでは、データピットがスキャンされず、データが再生されない。
【0028】
ここで、データトラックとは、記録ビットがシーケンシャルに記録されている一連の記録ビットの連なり(記録ビットのシーケンス或いは記録ビットの列)を意味している。即ち、従来の光ディスク記録システムにおいて、一般的に使用されているパルス幅変調記録(PWM記録)を一例として説明すると、2T、3T、4T、5Tといった複数の長さの異なる記録マークの連なり(配列)が続いて形成され、その連なり(配列)方向に符号化等の処理が行なわれ、再生される情報がその連なり(シーケンス)方向にシーケンシャルな関連性を持っている1次元的なビットの連続(シーケンス)をデータトラックと称している。
【0029】
このようにデータトラックをスキャン方向に形成することにより、データの記録/再生は、データトラックに沿った1次元的なシーケンシャル・アクセスによって実施することが可能となる。従って、再生された信号自体は、従来の光ディスクからの再生信号と同様の連続性を有し、従来用いられてきた光ディスク技術を利用することができる。特に、読み取りシグナルからデータ列を再構成する特別で、しかも、複雑な仕組みも必要とされることがない。またデータトラックに沿ってスキャンを行なうために、読み込み/書き込み時の絶対位置精度には余裕が出てくるため、不必要に高精度なサンプリングを行なう必要がなく、実現が容易となる。
【0030】
また、この実施の形態に係る記録/再生方式は、複数のトラックを同時に読む方法ではなく、1つのレーザービームで1本のデータトラックを高速に読み/書きする方法に相当する方式であることから、複数の隣接したトラックに書き込まれたデータをほぼ同時に読見込むような方式とは異なり、読み込む必要のないデータを読み込む無駄を極力省くことが可能になる。その結果、書き込み/読出し速度を十分に向上させることが可能になる。また、書き込み時に、無駄な読み込みが極力なくなるように複雑な書き込み位置のマッピング等を行なう必要もないためシステムがシンプルで信頼性の高いものとなる。
【0031】
更に、PWM記録を用いるシステムにあっては、スキャン方向にデータトラックがあるため、従来のシステムと同様な方法によって2T,3T,4Tのようなビット長がコントロールされて書き込み/読出しが可能で、新たな書き込み/読出しスキームの開発が不要であり、従来技術の応用で、データの書き込み/読出しを実現することができる。また、この実施の形態に係るシステムでは、データの書き込み/読出しの為に、特別なタイミングコントロールが必要なく、データの高密度化記録に好適している。
【0032】
このようにこの第1の実施の形態においては、スキャン方向に沿ってデータトラック14、即ち、データ・ビット16の配列が形成されている。従って、この第1の実施の形態に係る記録再生方法では、比較例としての複数のデータトラックを横断的に並列して読み込む方法とは異なり、1本のデータトラックに沿って書き込み/読出しが次々に実施されることとなる。従って、第1の実施の形態では、高速且つ確実なデータの書き込み及び読み出しを実現することができる。また、この第1の実施の形態に係る記録再生方法によれば、読み出した再生信号をそのまま時系列で処理することから、再生信号処理が単純で、処理回路の負担を軽減することができる。
【0033】
更に、レーザービームのスキャン方向にデータトラックが形成されているため、複数の並列トラックをスキャンするときのような、ナイキストの折り返し効果によるサンプリング周波数の下限に関する制限がない。従って、光スキャナとしては必要以上に高い動作周波数が要求されない利点がある。
【0034】
光ディスクの書き込み/読み取り速度としてブルーレイディスク(BD)における60倍速程度(2Gbps)を実現する場合に、スキャナとしては、10MHz〜200MHz程度の周波数でレーザービームをスキャンすることができる性能が必要とされる。しかし、現在、世の中に存在するような光スキャナでは、このような高周波数動作を実現することは容易ではなく、光スキャナは、できる限り低周波で動作することが望ましい。この第1の実施の形態にでは、このような要請に対応することができ、より安価で、安定性のよい高速光ディスク装置を提供することができる。
【0035】
このように、この第1の実施の形態によれば、従来の光ディスク・システム開発で培われてきた技術資産を最大限に利用しながら、従来の10倍以上の高速化を実現することができ、安価で安定した高速な記録再生が可能な高速光ディスク記録システムを提供することができる。
【0036】
尚、図2に示すように、光ディスク2をスキャンする際に1方向のスキャン22を行なうときのみに書き込み/読出しを行い、他方の戻り方向のスキャン24の時には書き込み/読出しを行なわないようにすることで各データトラックを略平行にすることができ、データトラック間を十分につめる事が可能になるため、記録密度を十分高くすることができる。
【0037】
また、図4に示すように、第1回目における1方向のスキャン22−1で第1配列のデータトラック14−1が周方向(回転方向R)に沿って形成され、第2回目の新たな1方向のスキャン22−2で、第1配列で形成されたデータトラック14−1間に第2配列のデータトラック14−2を周方向(回転方向R)に沿って形成させることができる。更に、第1及び第2配列のデータトラック14−1、14−2間に更に新たな1方向のスキャン22−3,22−4で新たな配列のデータトラック14−3,14−4を形成しても良い。このように複数配列のデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4が次々と形成させることによって、隣接したデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4を互いに略平行にすることができ、データトラック14−1、14−2、14−3,14−4間を十分につめた状態で記録ビット16を形成することができ、結果として記録密度を十分高くすることができる。即ち、図4に示すように、複数回の1方向のスキャン22−1,22−2、22−3、22−4において、少しずつ位相がずらされてデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4の記録/再生が実施されることにより、高密度に記録することが可能になる。
【0038】
このとき光ディスクの回転数は、隣接する2つのデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4の間隔が十分に狭くなるように、スキャン周波数に応じて調節する必要がある。すなわち、図4に示すように位相がずらされて記録が行なわれる場合には、1つのデータトラックデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4のスキャンが終了し、次のデータトラックデータトラック14−1、14−2、14−3,14−4のスキャンが開始するときに、少なくとも1データトラックの幅分だけディスク2上でスキャン開始点がシフトされるように回転数が調整されることが好ましい。このような記録方法によって、記録密度を最大限に大きくすることができる。
【0039】
また光スキャナ4の周波数特性が十分にあることが要求されるが、図3に示すように、データトラック列18の幅よりも十分に広く光スポット16を振りながら、データトラック列18の幅に相当する光スポット16の軌跡の一部分だけで記録を行うこともできる。このような部分記録により、よりデータトラック14−1の直線性を向上させ、信頼性のあるデータ記録/再生を行なうことができる。
【0040】
上述した第1の実施の形態では、データトラック列18の幅は、1μm〜1000μmまで範囲の幅のなかから最適な値を選択することができ、一例として一方向スキャンにおいて、約2Gbpsのデータ書き込み速度で、3μmの1データトラック列18が形成される。
【0041】
(第2の実施の形態)
一方向スキャンの際にのみ記録ビット16を形成する場合に限らず、図5に示したように、ビームスポット20の両方向スキャン時に、このビームスポット20の軌跡に沿って記録ビット16を次々に形成し、正弦波的にデータトラック24−1が形成されても良い。このような記録方式では、光スキャナ4に必要とされる周波数特性の上限を低く抑えることができる。
【0042】
また、この記録方式では、図6で示すように隣接する2つのデータトラック24−1,24−2の間隔を詰めることができる。図6に示したように隣接するデータトラック24−1,24−2が近接するように記録すれば、より高密度で記録することができる。
【0043】
この場合も第1の実施の形態と同様に、PWM記録をスキャン軌跡に沿って行なう事により、従来技術の応用が可能となり、安価で、高速、信頼性の高い高速光ディスク記録システムを提供することが可能となる。
【0044】
またこの実施の形態では、スキャン軌跡の全てにおいて記録再生を行なう事が出来るためレーザーダイオードの変調帯域、フォトダイオードの帯域に対する要求は、第1の実施の形態の場合よりも軽減されるが、記録密度の点ではやや劣るため、システムによって使い分けることが望ましい。
【0045】
(第3の実施の形態)
図7には、光ディスク2上の2列のトラック列18が示され、このトラック列18が形成される領域には、レーザービームの一方向スキャン方向に沿ってランド30が並列に形成され、ランド30間にグルーブ32が規定されている。ランド30及びグルーブ32が交互に光ディスク2の回転方向Rに沿って配列されるように、このランド30及びグルーブ32が光ディスク2の回転方向Rに沿ってトラック列18の領域に配列されている。グルーブ32には、当該トラック列18のアドレス及びその他の情報が記録されているプリピット34が予め記録されている。このランド30及びグルーブ32は、回転される光ディスク2をレーザービームでスキャンするに適するように回転方向に対してある角度を成すように斜め方向にトラック列18内で延出されている。明らかなように各ランド30及びグルーブ32が回転方向に対して成す角は、光ディスク2の回転速度(回転数)及びレーザービームのスキャン速度に依存して定められる。
【0046】
このようなランド30及びグルーブ32が予めトラック列18に形成されている光ディスク2においても、図2に示す第1の実施の形態と同様に一方向スキャンにおける記録モード時にデータピット16がランド30上に次々に形成されてデータトラック36が形成される。そして、プリピット34の情報が読み込まれ、読み込まれた情報に従って記録動作が継続される。
【0047】
図7に示す第3の実施の形態においては、データトラック36は、従来の光ディスクのように、光ディスク表面に形成されたランド30又はグルーブ32上、或いは、ランド30上及びグルーブ32の両方の上に記録することができる。ランド30及びグルーブ32は、図7に示すように、データトラック列18の幅に依存する長さを有するように、個別にランド30及びグルーブ32が形成されてもよく、図8に示すように複数の、例えば、2列のデータトラック列18の範囲に亘って、2列のデータトラック列18の長さを有するように、共通するデータトラック列18が延出されても良い。ランド30及びグルーブ32の長さは、図8に示される2列のデータトラック列18の長さを有する例に限らず、3又はそれ以上のデータトラック列18の長さを有するように延出されてもよい。
【0048】
尚、ランド30には、ウォブリングを形成して、ウォブル周波数からビームスキャン周波数にフィードバックをかけてマッチングを取ることもできる。また、プリピット情報は、アドレス情報に限らず、記録制御の為の情報が記録されてこのプリピット情報に基づいて、書き込みトリガーが生成され、スキャン幅がコントロールされても良い。プリピット34は、図7或いは図8に示すように、グルーブ32内のスキャン幅の中央部に形成してもよく、或いは、両端に形成する事も出来、またグルーブ32内のスキャン幅の両端に形成しても良い。また、全てのデータトラック36間に形成する必要はなく、数個又は数十データトラック36毎に形成しても良い。
【0049】
ランド30及びグルーブ32を形成する場合には、従来の光ディスク装置で行なっていたのと同様の技術を用いて、ランド30或いはグルーブ32を利用してデータトラック30のフォーカシング制御並びにトラッキング制御を実施することができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態に係る記録及び再生装置を概略的に示している。
【0051】
この第4の実施の形態では、トラッキングレイヤー40を用いてトラッキング制御が実行されてデータピットが記録される。従って、記録層38−1、38−2上に図7及び図8に示されるようなランド30及びグルーブ32が設けられていても或いは記録層38−1、38−2上にランド30及びグルーブ32が設けられていなくても、トラッキングレイヤー40のトラッキングガイド42を利用して記録層38−1、38−2にデータピットが記録される。
【0052】
第3の実施の形態においては、記録層上に形成されたランド30及びグルーブ32が利用されてフォーカシング制御並びにトラッキング制御が実行されているが、図9に示す第4の実施の形態においては、トラッキングレイヤー40のトラッキングガイド42を用いてトラッキング制御が実行されてデータピットが記録される。
【0053】
第4の実施の形態では、光ディスク2は、図9に示すように積層構造で構成され、この積層構造36中に単一或いは複数の記録層38−1及び38−2が設けられ、この積層構造36にトラッキングレイヤー(トラッキング層)40が形成され、このトラッキングレイヤー40に設けたトラッキングガイド42に基づいてトラッキング制御が実行される。このトラッキングガイド42は、図9に示すようにランドで形成されても良く、或いは、グルーブ(図示せず)で形成されてもよい。
【0054】
より詳細には、図1に示されるスキャナ4及び対物レンズ6が組み込まれている光ヘッド(図示せず)からは、記録・再生用のレーザービームとは異なるトラッキング用のレーザービーム、例えば、赤色レーザービーム45が対物レンズ6で集光されて光ディスク2の入射面の側から積層構造36を介してトラッキングガイド42に向けられている。トラッキング用のレーザービームは、このトラッキングガイド42で反射されて積層構造36を通過して再び対物レンズ6に向けられる。対物レンズ6に向けられたトラッキング用のレーザービームは、対物レンズ6及びリレー光学系を介してトラッキング検出光学系(図示せず)でトラッキングガイド42が既に知られているように検出される。このトラッキング検出光学系からのトラッキング信号に基づいて対物レンズ6がトラッキング制御されてトラッキングガイド42がトラッキング用のレーザービーム45でトラッキングされる。
【0055】
トラッキング用のレーザービーム45がトラッキングガイド42をトラッキングするトラッキング状態にある際に、対物レンズ6からは、記録或いは再生用のレーザービーム、例えば、青色レーザービーム46が光ディスク2の記録層38−1或いは38−2の一方に向けて収束される。この記録或いは再生用のレーザービーム46は、スキャナ4によって偏向されていることから、そのビームスポットが記録層38−1または38−2上で矢印22,24に示されるようにスキャンされる。図9には、トラック列18の領域内の始点位置の記録或いは再生用のレーザービーム46−1及び終点位置の記録或いは再生用のレーザービーム46−2が示されている。記録モード時には、トラッキング状態に維持され、記録用レーザービーム46が変調されてスキャンされることから、データピット14が記録層38−1上に次々に形成される。
【0056】
尚、トラッキングレイヤー40上のトラッキング用トラック42は、ディスク2の回転方向Rに形成することが望ましい。このトラッキング用トラック42が形成される場合にあっても、情報が記録されるデータトラック36は、ディスクの回転方向に対してある角度を成すように形成することにより、簡便で安価な高速光ディスクを提供することができる。
【0057】
図10に示されるようにトラッキングレイヤー40に形成されるトラッキングガイド42は、連続したグルーブ或いはランドでもいいが、単なるマーク44に形成されても良い。例えば、トラッキングレイヤー40が反射膜で形成され、トラッキングマーク44がこの反射性のトラッキングレイヤー40に非反射マークとして帯状のマークが回転方向Rの方向に沿って延出されるように形成されても良い。このトラッキングマーク44は、トラッキングレイヤー40に形成されてもよく、記録層38−1、38−2に形成されてもよい。このトラッキングマーク44は、図9に示したと同様にトラッキング用のレーザービーム45でトラッキングされて対物レンズ6がトラッキング状態に維持され、図5を参照して説明したと同様に正弦波的にデータトラック24−1,24−2を形成することができる。
【0058】
また、図11に示されるようにトラッキングレイヤー40に形成されるトラッキング用ガイド42又は、トラッキングマーク44を基準にして図3と同様に直線的にデータトラック14−1が形成されても良い。ここで、トラッキングマーク44は、反射性のトラッキングレイヤー40に非反射帯状のマークが回転方向Rの方向に沿って延出されるように形成されても良く、或いは、記録層38−1、38−2に非反射帯状のマークとして形成されてもよい。
【0059】
尚、図10に示すデータトラック24−1、24−2は、図5及び図6に示すデータトラック24−1、24−2と同様に形成され、図11に示すデータトラック14−1,14−2は、図2、図3及び図4に示すデータトラック14−1,14−2と同様に形成される。
【0060】
また、図10及び図11では、トラッキング用ガイド42またはトラッキング用トラッキングマーク44がデータトラック列の中央に1本配置されているが、図12に示すように、トラッキング用ガイド42またはトラッキング用トラッキングマーク44−1、44−2が、あるトラック列18−1の両端に相当する位置に形成され、同様にトラッキング用ガイド42またはトラッキング用トラッキングマーク44−2、44−3が他のトラック列18−2の両端に相当する位置に形成されてもよい。このトラッキング用トラッキングマーク44−1、44−2、44−3は、記録層38−1、38−2に帯状のマークとして形成されてもよい。
【0061】
また、図13に示すように、トラッキング用ガイド42またはトラッキング用トラッキングマーク44−1、44−2があるトラック列18−1の両端に相当する位置に形成され、同様にトラッキング用ガイド42またはトラッキング用トラッキングマーク44−3、44−4が他のトラック列18−2の両端に相当する位置に形成されても良い。このトラッキング用トラッキングマーク44−1、44−2、44−3、44−4は、記録層38−1、38−2に非反射帯状のマークとして形成されても良い。
【0062】
図12及び図13に示すように1つのデータトラック列18−1,18−2に対して複数のトラッキング用ガイド42またはトラッキングマーク44−1、44−2、44−3、44−4を参照することができる実施例においては、いずれのトラッキング用トラック42またはトラッキングマーク44−1、44−2、44−3、44−4がトラッキングの為に参照されてもよい。
【0063】
トラッキングレイヤー40のトラッキングガイド42或いはトラックマーク44−1、44−2、44−3、44−4には、ウォブリングを施し、それによって光ディスクの回転速度を検出して制御をおこなうこともできる。また、ウォブリングに番地情報を埋め込んで、アクセス位置の制御に用いることができる。また、トラッキングガイド42或いはトラックマーク44−1、44−2、44−3、44−4には、プリピットを形成して書き込みタイミングのクロックを生成する用にしても良い。
【0064】
以下に記録再生システムの種々の実施例について、図14〜図20を参照して説明する。
【0065】
[実施例1]
図14は、図1に示される第1の実施の形態に係る記録再生システムをより具体化した高速光記録システムの基本的構成を示す概略図である。
【0066】
図14のシステムにおいては、レーザーダイオードLD、例えば、青色レーザーダイオードから青色波長を有するレーザービームが発生される。ここで、再生モードでは、青色レーザーダイオードLDに供給する電圧が略一定に維持されて一定強度の青色レーザービームが再生用レーザービームとして発生される。記録モードでは、書き込むべきデータに応じて、青色レーザーダイオードLDに供給する電圧が制御されて、レーザービームが強度変調され、書き込みデータ列を有する記録用レーザービームが発生される。ここで、記録モードにおいて、書き込み速度が1Gbpsを超えると、通常の方法でレーザービームを強度変調することが困難な場合もある。この場合は、緩和振動を用いたパルスレーザーダイオードを用いることにより、高速な書き込みが可能になるようにしても良い。この実施例1においては、緩和振動レーザーダイオードLDを用いることにより1GHzの変調周波数での書き込み変調が可能なように緩和振動レーザーダイオードLDを動作させている。
【0067】
レーザーダイオードLDから射出されたレーザービームは、カップリング・レンズ51を介して光スキャナ4に入射される。ここで、カップリング・レンズ51は、レーザーダイオードLDからのレーザービームを後段の光学系に連結するレンズであり、スキャナ4にレーザーを入射させている。このレーザービームは、光スキャナ4によって略±1°の範囲内で偏向されてビーム整形アナモルフィック・レンズ52に入射される。
【0068】
光スキャナ4としては、数MHz以上で光をスキャンできる性能が必要であるため、電気光学スキャナ(EOスキャナ)若しくは音響光学スキャナ(AOスキャナ)を用いることが望ましいとされている。また、場合によっては、光スキャナ4としてMEMSスキャナを用いることもできる。
【0069】
スキャナ4として導波路型EO素子を用いる場合には、カップリング・レンズ51として、シリンドリカル・レンズが最適である。また、カップリング・レンズ51をスキャナと青色レーザーダイオードLDとの間に介在せずに、青色レーザーダイオードLDの射出面とスキャナ4としての導波路型EO素子の入射面とを近接させてレンズ無しでレーザービームを入射させても良い。また、青色レーザーダイオードLDの導波路とスキャナ4としての導波路型EO素子の導波路を互いに直接カップリングさせても良い。
【0070】
この実施例1においては、光スキャナ4として、図15(a)及び(b)に示した導波路型EOスキャナを用いている。この導波路型EOスキャナによって、高速でレーザービームをスキャンすることができる。図15(b)に示すように、このEOスキャナ4では、導電性基板60上に電気光学材料で作られたクラッド61、コア62及びクラッド63から構成された積層構造66が載置され、更に、クラッド63上に図15(a)に示すようなパターンを有する電極64が形成されている。ここで、コア62は、好ましくは、LiNbO3:Mgで作られてシングルモードの光導波路に構成される。また、クラッド61及びクラッド63は、このLiNbO3:Mg等の材料で定まる屈折率に応じて適切な材料が選定される。導電性単結晶基板60及び電極64には、端子65−1,65−2が接続され、電圧源(図示せず)からスキャン周期に対応するある周期で変動される交流電圧が印加されている。レーザービームは、矢印68で示すように積層構造66の一方の端面から入射されて他方の端面から射出される。
【0071】
電極64は、図15(a)に示すように3角形のプリズム型の複数の電極パターンが符号68で示すレーザービームの進行方向68に沿って行列、例えば、3行7列で配列されて形成されている。この電極64と導電性単結晶基板60との間に電圧が印可されると、印可された電圧に応じて積層構造66のコア62内に屈折率変化が生じて電極パターンに応じてコア62内にレーザービームの進行方向68に沿って実質的なプリズムの連続配列が生じる。従って、その内を進行するレーザービームは、屈折率が変化される各プリズム体のプリズム面で屈折されてその進行方向が偏向される。従って、電極64と導電性単結晶基板60との間に電圧が印可されていない時のレーザービームの進行方向を基準とすると、電極64と導電性単結晶基板60との間に電圧に応じて偏向されて積層構造66の他端面から射出される。電極64と導電性単結晶基板60との間の印加電圧が大きくなると、偏向角が増大され、電極64と導電性単結晶基板60との間の印加電圧が減少されると、同様に偏向角が減少される。その結果、電極64と導電性単結晶基板60との間の印加電圧の周期的な変化に応じて、レーザービームがある角度を伴って偏向され、積層構造66の他端面からある周期で偏向されるレーザービームが射出される。
【0072】
スキャナ4を高速で動作させるためには、スキャナ4を構成する素子のサイズをできるだけ小さくすることが望ましい。一例として、積層構造66の全高Hが20μm以下に形成され、スキャナ素子の長手方向(進行方向68に相当する。)に沿った長さLが500μm、幅Wが170μmのサイズで構成され、電極64と導電性単結晶基板60との間に印加する電圧は、レーザービームが積層構造66の他端面で17.5μmの偏向幅Dwが得られるように設定される。
【0073】
スキャナ4によって偏向されたレーザービームは、図14に示すように、アナモルフィック・レンズ52に入射され、このアナモルフィック・レンズ52においてビーム整形されて射出される。レーザーダイオードLDからは、楕円状に扁平なビーム断面を有するレーザービームが射出され、このレーザービームがスキャナ4で偏向されているが、レーザービームが偏向されてもこのアナモルフィック・レンズ52によって常に略円状断面を有するレーザービームに整形されて射出される。
【0074】
尚、スキャナ4の種類によっては、スキャナ4にレーザービームが入射する前にビーム整形されることが望ましい場合もあり、このようなシステムでは、レーザーダイオードLDとカップリング・レンズ51との間にアナモルフィック・レンズ52が設けられる。
【0075】
スキャナ4から射出され、偏向されているレーザービームは、偏光ビームスプリッター54に入射され、この偏光ビームスプリッター54で反射されてコリメータレンズ56に入射される。コリメータレンズ56において、レーザービームは、コリメートされて立ち上げミラー58で反射されて対物レンズ6に向けられる。ここで、コリメータレンズ56は、矢印57で示すように、光軸に沿ってその位置を変えることが可能であり、光軸位置を調整することによって球面収差を補正することができる。
【0076】
立ち上げミラー58と対物レンズ6との間には、色消し回折ホログラムレンズ71及びアパーチャ73が配置され、立ち上げられたレーザービームは、色消し回折ホログラムレンズ71によって色収差が補正され、アパーチャ62によってレーザービームの周辺が遮断されてビームが整えられて対物レンズ6に入射される。ここで、色消し回折ホログラムレンズ71は、1/4λ板の機能をも有し、レーザービームが対物レンズ6から光ディスク2に向けられて反射される際に生じる位相の変化(1/2λの位相変化)をこの色消し回折ホログラムレンズ71が補正することが好ましい。
【0077】
立ち上げミラー58に入射されたレーザービームの一部は、この立ち上げミラー58を透過して、LD光量モニター74に入射されて、レーザーダイオードLDから光ディスク2に向けられたレーザービームがモニターされる。LD光量モニター74からのモニター信号がレーザーダイオードLDの駆動回路(図示せず)にフィードバックされてレーザーダイオードLDからのレーザービーム光量が制御される。
【0078】
対物レンズ6に入射してレーザービームは、光ディスク2の記録層38に収束されて、この記録層38上に書き込み/読出しを行うためのビームスポットを形成する。ここで、対物レンズとしては、一例として、NA0.85に近い高いNAのレンズを用いている。また、対物レンズ6を含む集光光学系においては、レーザービームは、光ディスク2に対して略垂直に投影されることが望ましいとされている。即ち、レーザービームが斜めに投影されると、コマ収差が発生して、スポットサイズを小さくすることが困難になる問題があり、このこま収差の発生を防止する為にレーザービームは、光ディスク2に対して略垂直に投影されることが望ましいとされている。このため、対物レンズ6は、テレセントリック特性をもったレンズを用いることが望ましい。このため、対物レンズ6は、単一のレンズで構成せずに、2〜3枚程度の組み合わせレンズで構成しても良い。また、対物レンズ6に簡易的にテレセントリック特性を持たせるため、対物レンズ6の直前の焦点面にアパーチャ73が配置されることが好ましい。この実施の形態においては、アパーチャ73が配置されることによって、対物レンズ6に簡易的なテレセントリック特性が与えられている。また、レーザービームの偏向角(レーザービームの振り角)が1°以下である場合には、通常の光ディスク2で用いられている単一の対物レンズ6を利用することもできる。
【0079】
光ディスク2から反射されたレーザービームは、対物レンズ6、アパーチャ73、色消し回折ホログラムレンズ71、立ち上げミラー58及びコリメータレンズ56と光ディスク2への入射経路と同一の経路を辿って、偏光ビームスプリッター54に戻される。戻されるレーザービームは、位相遅れが与えられていることから、この偏光ビームスプリッター54を通過して検出光学系75に向けられる。レーザービームは、検出光学系75のホログラムフィルタ76によって、フォーカシング、トラッキング、信号読出しが可能なように複数のレーザービームに分割(スプリット)され、集光レンズ78によってマルチ・フィールドの反射光モニター70に入射される。
【0080】
この反射光モニター70は、複数のレーザービームを検出して検出信号を発生し、この検出信号は、よく知られている信号処理回路(図示せず)で処理されて、フォーカシング信号、トラッキング信号及び再生信号が生成される。そして、フォーカシング信号、トラッキング信号及び再生信号は、コントローラー(図示せず)に供給されて書き込み/読み込みの為の制御信号が発生され、この制御信号に基づいて記録再生システムが制御される。その結果、対物レンズ6は、フォーカス信号に従ってドライバ(図示せず)よってフォーカス状態に維持され、光ディスク2の記録層38に最小ビームスポットを形成し、また、トラッキング信号に応じて対物レンズ6がドライバ(図示せず)よって微動されてトラックを追跡するトラッキング状態に維持される。
【0081】
この実施例1に係るシステムは、従来のシステムとは、光ディスク2上で光スポット20が周期波形を有するようにスキャンされる点において相違しているが、従来の光ディスク装置と略同様の光学的構成をも有し、反射光モニター70で検出された再生信号は、単純に光ディスク2が従来の10倍早く回転している際に得られる再生信号と略同様であることが確認されている。従って、この実施例1に係るシステムは、従来の光ディスク装置で用いられている技術を援用することができ、より具体的には、従来開発されている光学部品を利用することができる。
【0082】
以上のように、この実施の形態によれば、1Gbpsの書き込み/読出しが可能な高速光ディスク記録再生装置を安価に作成することができる。
【0083】
[実施例2]
図16は、第1の実施の形態に係る記録再生システムの基本的構成をより具体化した第2の実施例に係る記録再生システムを示す概略図である。図16においては、図14と同一符号で示す箇所或いは部分は、同一箇所或いは部分を示すものとしてその詳細な説明を省略する。
【0084】
図16に示されるシステムでは、立ち上げミラー58と対物レンズ6との間に、即ち、実質的に対物レンズ6の直前にスキャナ4が配置され、光ディスク2からの反射レーザービームが再度スキャナ4を通って検出光学系74に戻されている。
【0085】
図16に示されるシステムにおいては、レーザーダイオードLD、例えば、青色レーザーダイオードから青色波長を有するレーザービームが発生される。この発生されたレーザービームは、プリズム72に入射されてこのプリズム72内においてLDモニター74に向けられるとともに光ディスク2の側に向けて反射される。また、このプリズム72は、光ディスク2の側から反射された戻りレーザービームを反射光モニター70に向けて反射する反射面を有している。ここで、このプリズム72は、戻りレーザービームに対してフォーカスして反射する機能を有するホログラムを有し、このフォーカスされたレーザービームが反射光モニター70で検出されることによって対物レンズ6のフォーカス状態が検出される。従って、反射光モニター70は、対物レンズ6のフォーカス状態に応じた検出信号を出力し、この検出信号を処理することによって対物レンズ6のフォーカス状態に対応するフォーカス信号が信号処理回路(図示せず)で発生され、このフォーカス信号に応じて対物レンズ6がドライバ(図示せず)によって光軸方向に沿って微動されてフォーカス状態に維持される。また、反射光モニター70からの検出信号は、信号処理回路(図示せず)でトラッキング信号に変換され、このトラッキング信号に応じて対物レンズ6がドライバ(図示せず)によって微動されて対物レンズ6は、トラックを追跡するトラッキング状態に維持される。
【0086】
プリズム72からのレーザービームは、アナモルフィック・レンズ52に入射され、このアナモルフィック・レンズ52においてビーム整形されて射出される。このアナモルフィック・レンズ52によって、レーザービームがスキャナ4で偏向されてもそのビーム断面形状が略円形に維持される。そして、アナモルフィック・レンズ52を通過したレーザービームは、ホログラムフィルタ76を通過して偏向ビームスプリッター54に向けられる。偏向ビームスプリッター54で反射されたレーザービームは、コリメータレンズ56を通過して立ち上げミラー58に向けられる。この立ち上げミラー58で反射されたレーザービームは、第1のカップリング・レンズ51−1、スキャナ4及び第2のカップリング・レンズ51−2を介して対物レンズ6の側に向けられる。この第1及び第2のカップリング・レンズ51−1、51−2は、レーザービームを対物レンズ6の側及び検出光学系75の側に連結するレンズである。第2のカップリング・レンズ51−2からのレーザービームは、色消し回折ホログラムレンズ71及びアパーチャ73を通過して対物レンズ6に入射され、この対物レンズ6によって光ディスク2の記録層38にビームスポットを形成する。
【0087】
光ディスク2の記録層38で反射されたレーザービームは、対物レンズ6、アパーチャ73及び色消し回折ホログラムレンズ71を介して第2のカップリング・レンズ51−2、スキャナ4及び第1のカップリング・レンズ51−1の光学系に戻され、立ち上げミラー58で反射されて偏光ビームスプリッター54に向けられる。偏光ビームスプリッター54から再びトラッキング用ホログラム76及びビーム整形レンズ52を介してプリズム72に戻され、この戻されたレーザービームは、反射光モニター70で検出される。反射光モニター70からの検出信号は、既に述べた信号処理回路(図示せず)で処理されて、フォーカシング信号、トラッキング信号及び再生信号が生成される。
【0088】
図16に示された光学系は、図17に示すような光学系に変形されても良い。この図17に示される光学系においては、書き込みレーザーの発生源として、2つの青色ダイオードLD−1、LD−2が同一光軸上に配置され、青色ダイオードLD−1、LD−2の夫々に対応する光学系75−1,75−2が設けられている。光学系75−1においては、レーザーダイオードLD−1から発生されたレーザービームは、プリズム72−1に入射されてこのプリズム72−1内においてLDモニター74−1に向けられるとともにアナモルフィック・レンズ52−1及びホログラムフィルタ76−1を介して偏向ビームスプリッター54−1に向けて反射される。同様に、光学系75−2においては、レーザーダイオードLD−2から発生されたレーザービームは、プリズム72−2に入射されてこのプリズム72−2内においてLDモニター74−2に向けられるとともにアナモルフィック・レンズ52−2及びホログラムフィルタ76−2を介して偏向ビームスプリッター54−2に向けて反射される。偏向ビームスプリッター54−1、54−2に向けられたレーザービームは、この偏向ビームスプリッター54−1、54−2で反射されて同一光軸上の立ち上げミラー58に向けられる。
【0089】
また、光ディスク6から偏向ビームスプリッター54−1に戻されたレーザービームは、偏向ビームスプリッター54−1において、2つのレーザービームにスプリットされてその一方がホログラムフィルタ76−1及びアナモルフィック・レンズ52−1を介してプリズム72−1に向けられ、プリズム72−1で反射されて反射光モニター70−1で検出される。同様に、光ディスク6から偏向ビームスプリッター54−1に戻され、この偏向ビームスプリッター54−1を通過したレーザービームは、偏向ビームスプリッター54−2で反射され、ホログラムフィルタ76−1及びアナモルフィック・レンズ52−1を介してプリズム72−1に向けられる。このレーザービームは、プリズム72−1で反射されて反射光モニター70−1で検出される。
【0090】
この変形例に係る光学系においては、2つの青色ダイオードLD−1、LD−2を交互に書き込みパルスを発生させることを可能とし、2Gps以上の書き込み速度に対応させて2Gbps或いはそれ以上の書き込み速度での書き込みを実現することができる。また、さらに高速化するために、3つ以上のダイオードLDを配置させて順次レーザービームパルスを発生させるようにすることもできる。
【0091】
図16及び図17に示すスキャナ4を含むスキャナ光学系は、好ましくは、図18に示すようなテレンセントリック光学系が採用される。即ち、ダイオードLD、LD−1、LD−2からのレーザービームは、焦点距離F1を有する第1のカップリング・レンズ51−1で焦点面80に向けて収束される。このレーザービームは、スキャナ4でスキャンされることから、収束点は、焦点面80上で移動されるが、この焦点面80に第2のカップリング・レンズ51−2の焦点距離F2が合わされていることから、この焦点面80の収束点が光点としてそのまま記録面38に対してフォーカスされている対物レンズ6を介して記録面38上に投影される。アパーチャ73によってテレセントリック性を持たせることができるため、常に円形に維持された最小ビームスポットによって記録面38上に記録ビットを形成させることができる。
【0092】
光スキャナ4としては、図15(a)及び(b)に示される導波路型EOスキャナの電極パターンに限られず、図19(a)及び(b)に示されるような導波路型EOスキャナの電極パターンに構成されても良い。即ち、図19(a)に示されるように、頂点が一方の側に向けられるように、2等辺三角形の電極パターン64−1がレーザービームの進行方向68に沿って配列され、レーザービームの進行方向68の途中で、頂点が他方の側に向けられるような逆配列で2等辺三角形の電極パターン64−2がレーザービームの進行方向68に沿って配列されても良い。このような電極パターン64−1,64−2を有するスキャナ4では、レーザービームが電極パターン64−1下のコア62を進行するにつれて他方の側に向けて次第に進行方向が曲げられ、電極パターン64−2下のコア62を進行する際に一方の側に向けて次第に進行方向が曲げられる。従って、図19(a)及び(b)に示され導波路型EOスキャナでは、電極パターン64に印可された電圧に応じて適切に偏向方向を設定することができる。特に、電極パターン64−1、64−2に与える電圧を調整することによって、より微細に偏向方向を設定することができる。
【0093】
図19(a)及び(b)に示され導波路型EOスキャナでは、一例として、積層構造66の全高Hが10μm以下に形成され、スキャナ素子の長手方向(進行方向68に相当する。)に沿った長さLが2mm、幅Wが200μmのサイズで構成される。このような構造の導波路型EOスキャナでは、高速でレーザービームをスキャンすることができる。この導波路型EOの構造は、一例であってこの構造に導波路型EOが限定されるものではないことは明かである。また、光導波路としてはシングルモードに設定され、また高速で動作させるためには素子のサイズを出来るだけ小さくすることが好ましい。また材料としては、LiNbO3:Mgを導波路コアとして用いることができる。
【0094】
光スキャナ4としては、図15(a)及び(b)或いは図19(a)及び(b)に示される導波路型EOスキャナの電極パターンに限られず、図20(a)及び(b)に示されるような導波路型EOスキャナの電極パターンに構成されても良い。即ち、図20(a)に示されるように、各列が複数の正三角形が連結され、各頂点がレーザービームの進行得方向68に向けられている複数列の電極パターン64を備える導波路型EOスキャナに構成されても良い。この正三角形が連結されている列がレーザービームの進行得方向68に沿って次第に角度を成すように扇状を成すように配置されている。このような電極パターン64を有するスキャナ4では、レーザービームが電極パターン64下のコア62を進行するにつれて列が成す角度に応じて次第に進行方向が曲げられることとなる。従って、図20(a)及び(b)に示され導波路型EOスキャナでは、電極パターン64に印可される電圧が適切に選定されると、この電圧に応じて適切に偏向方向を設定することができる。
【0095】
図20(a)及び(b)に示され導波路型EOスキャナでは、一例として、積層構造66の全高Hが10μm以下に形成され、スキャナ素子の長手方向(進行方向68に相当する。)に沿った長さLが1mm、幅Wが3.0mmのサイズで構成される。このような構造の導波路型EOスキャナでは、高速でレーザービームをスキャンすることができる。この導波路型EOの構造は、一例であってこの構造に導波路型EOが限定されるものではないことは明かである。また、光導波路としてはシングルモードに設定され、また高速で動作させるためには素子のサイズを出来るだけ小さくすることが好ましい。また材料としては、LiNbO3:Mgを導波路コアとして用いることができる。
【0096】
以上のように、この実施の形態によれば、レーザー光をディスク上でスキャンする光ディスク・システムにおいて、従来に比して高速な記録及び再生が可能な光記録システムを工業的に安価に提供することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
LD、LD−1、LD2・・・レーザーダイオード、R・・・回転方向、2・・・光ディスク、4・・・スキャナ、6・・・対物レンズ、12・・・スキャン方向、14、14−1、14−2、36・・・データトラック、16・・・データピット、18、18−1、18−2、36・・・データトラック列、20・・・ビームスポット、22、22−1、22−2、22−3、22−4・・・一方向スキャン、24、24−1、24−2・・・逆方向スキャン、30・・・ランド、32・・・グルーブ、34・・・プリピット、36・・・積層構造、38、38−1、38−2・・・記録層、40・・・トラッキングレイヤー、42・・・トラッキングガイド、45、46,46−1,46−2・・・レーザービーム、44、44−1、44−2、44−3,44−4・・・トラッキングマーク、51、51−1、51−2・・・カップリング・レンズ、52、52−1、52−2・・・ビーム整形アナモルフィック・レンズ、54、54−1,54−2・・・偏光ビームスプリッター、56・・・コリメータレンズ、58・・・立ち上げミラー、61、63・・・クラッド、62・・・コア、64、64−1、64−2・・・電極、65−1,65−2・・・端子、60・・・基板、66・・・積層構造、68・・・進行方向、70、70−1,70−2・・・反射光モニター、71・・・色消し回折ホログラムレンズ、72,72−1,72−2・・・プリズム、73・・・アパーチャ、74、74−1,74−2・・・LD光量モニター、75、75−1、75−2・・・検出光学系、76・・・ホログラムフィルタ、78・・・集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転方向に沿って回転させる回転機構と、
レーザービームを発生し、前記光ディスクにフォーカスして前記光ディスク上にビームスポットを形成する記録再生光学系であって、
前記レーザービームを前記光ディスクの半径方向に沿って偏向して、前記回転方向に交差する第1方向に沿った第1スキャン軌跡及びこの第1方向とは異なった第2方向に沿った第2スキャン軌跡を前記ビームスポットで描かせるスキャナを含み、前記第1スキャン軌跡に沿って記録ビットの配列を有する第1のデータトラックが形成され、この第1のデータトラックが前記光ディスクに配列されている記録再生光学系と、
を具備する光ディスク記録再生装置。
【請求項2】
前記光ディスクは、当該光ディスクの回転中心を略中心とするスパイラル状又は同心円状に配置されている1又は複数のデータトラック列を含み、当該データトラック列には、前記複数の第1のデータトラックが配列されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項3】
前記複数の第1のデータトラックは、前記回転方向に沿って略平行に前記データトラック列内に配列されていることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記光ディスクにフォーカスされる前記レーザービームを記録すべきデータに応じて変調するレーザービーム発生部を具備することを特徴とする請求項1の光ディスク記録再生装置。
【請求項5】
前記データトラックに、前記スキャン軌跡にそって符号化されたデータ列を記録・再生する事を特徴とする請求項1の光ディスク記録再生装置。
【請求項6】
光ディスクを回転方向に沿って回転させることと、
レーザービームを発生し、前記光ディスクにフォーカスして前記光ディスク上にビームスポットを形成するビームスポットの形成において、
前記レーザービームを前記光ディスクの半径方向に沿って偏向して、前記回転方向に交差する方向にスキャン軌跡を前記ビームスポットで描かせ、前記スキャン軌跡に沿って記録ビットの配列を有する複数のデータトラックを形成するビームスポットの形成と、
を具備する光ディスク記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−73646(P2013−73646A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211522(P2011−211522)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】