説明

光ナノインプリント用感光性樹脂組成物、及び当該感光性樹脂組成物を用いたレジスト基板の製造方法、並びに、コピーテンプレートの製造方法

【課題】インクジェット方式により、優れた弾性率を有した微細なレジストパターンを形成し得る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が1,500以上である共重合体、(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマー、及び(C)光重合開始剤を含有し、25℃の粘度が15mPa・s以下である、光ナノインプリント用感光性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ナノインプリント法を用いて微細なレジストパターンが形成されたレジスト基板を製造するための光ナノインプリント用感光性樹脂組成物、及び当該感光性樹脂組成物を用いたレジスト基板の製造方法、並びに、コピーテンプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術の進歩はめざましく、光源の短波長化や位相シフト法などの高解像度手法を用いて、光源波長以下の高解像度を達成してきた。最小線幅100nm以下のリソグラフィー技術としてはArFエキシマレーザー、およびこれの液浸技術が挙げられ、さらに20nm以下の微細パターンでは電子線露光技術や波長13.5nmのEUV(極端紫外線)による露光技術が考えられる。しかしながら、これらの技術は補正パターンによる描画スループットの低下や高額な露光装置の導入の必要性が課題となっており、微細なパターンを低コスト、高スループットで行えるためナノインプリント法が注目されている。
【0003】
ナノインプリント法とは凹凸を有する金型(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートと呼ばれる)を被転写基板表面に形成された樹脂膜層に対して型押しすることで所定のパターンを転写するものであり、光ディスク製作ではよく知られているホットエンボス技術を発展させ、パターンの解像性を高めた技術である。
ナノインプリント法は転写される材料により2種類に大別される。熱可塑性樹脂を用いる熱ナノインプリント法と、感光性樹脂組成物を用いる光ナノインプリント法である。
【0004】
熱ナノインプリント法の場合、基板に熱可塑性樹脂を塗布し、樹脂をガラス転移温度以上に加熱し液状にしたあと金型を押し当て、ガラス転移温度以下に樹脂を冷却して硬化させた後、金型を樹脂から引き離すことにより微細パターンを転写する。
これに対して光ナノインプリント法は、基板上に粘度の低い感光性樹脂組成物を塗布し、金型を押し当てた後、紫外光を照射することで樹脂組成物を硬化させ、金型を引き離すことにより微細パターンを転写する技術である。光ナノインプリント法は紫外光照射のみでパターン形成ができるため、熱ナノインプリントに比べてスループットが高く、温度による寸法変化などを防ぐことができる。また、金型は光を透過するものを使用するため、金型を透過して位置合わせが行える利点もある。さらに近年、ステップアンドリピート方式による基板全面へのインプリントが可能となったため、光ナノインプリント法が半導体をはじめとする高解像度、高精度、高スループットのリソグラフィー技術として有望であると言える(非特許文献1)。
【0005】
光ナノインプリント法では、紫外線硬化樹脂を基板に塗布する際、スピンコート法およびインクジェットによる小滴塗布方法が用いられる。スピンコート法は、広域面への塗布が可能である反面、基板面内での膜厚均一化が図れないことや薄膜塗布に限界があるといった問題があるため、光ナノインプリントを用いた均一な微細パターンの形成は困難である。これに対し、低粘度レジストを用いたインクジェット塗布法を使用すれば、紫外線硬化樹脂の滴下量を凹凸のパターンサイズ、形状、密度に合わせて厳密にコントロールすることができる。(特許文献1、非特許文献1)。
【0006】
このような光ナノインプリント法に用いられる感光性樹脂組成物は、反応機構の違いからラジカル重合タイプとイオン重合タイプに大別される。いずれの組成物もインプリント可能であるが、材料選択性の広さからラジカル重合型が一般的に用いられている(非特許文献2)。
ラジカル重合タイプにおいては、ラジカル重合可能なビニル基や(メタ)アクリル基を有するモノマーと光重合開始剤を含んだ組成物が一般的に用いられ、光照射により光重合開始剤により発生したラジカルがモノマーのエチレン性不飽和結合と反応して重合反応が進み、ポリマーを形成する。
【0007】
光ナノインプリント法に用いられる光硬化樹脂組成物については、プロセス上、多くの特性を要求される。必要とされる性質として、基板への濡れ広がり性、基板への密着性、金型の凹凸への充填性、金型からの離型性、硬化収縮性、パターンの機械強度、解像性などが挙げられる(特許文献2、非特許文献3)。光ナノインプリント用樹脂組成物においては、金型の微細な溝に入るような親和性が必要でありながら、金型からきれいに剥離する離型性が必要など、互いに矛盾する特性をも必要とされるため、全てを満足させる感光性樹脂組成物を得ることはとても困難である。
【0008】
例えば、機械強度を改善する方法の例としては、いずれもスピンコート等で感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する光ナノインプリント用樹脂組成物であるが、樹脂組成物に無機粒子を添加する方法、また、高分子ケイ素化合物を添加する方法、特定の露光条件で反応率が高いモノマーと特定の露光条件で反応率が低いが熱硬化条件で反応率が高いモノマーとを組み合わせて用いる方法が報告されている(特許文献3、4、及び5)。
【0009】
しかしながら、特許文献3のように無機粒子を添加する場合の問題としては、モノマーとの相溶性が挙げられる。特に、無溶媒の光ナノインプリント用樹脂組成物においては溶解性は期待できず、これにより、樹脂の金型微細凹凸への充填不良を生じたり、不均一な硬化パターンになることでむしろ機械強度を下げる恐れがある。
また、特許文献4では光重合性基を持った高分子ケイ素化合物を添加する方法が記載されているものの、厚みがμmオーダーの均一膜での効果しか示されておらず、線幅100nm以下の微細パターンへの効果は不明である。
また、特許文献5では、前記特定のモノマーの組み合わせに更にポリマーを添加する例が示されているが、当該ポリマーを添加した例は、同じモノマー組成のポリマーを添加していない例と比較して、高粘度化したのみで、耐熱性や力学強度が向上した結果になっていない。後述した比較例で示したように、特許文献4で添加したような反応性基を有しないポリマーを用いると、モノマーとの相溶性が悪くなり、光硬化後のパターンは不均一となり、逆に機械強度を低下させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−313439号公報
【特許文献2】特表2007−523249号公報
【特許文献3】特開2009−206197号公報
【特許文献4】特開2010−013513号公報
【特許文献5】特開2010−100785号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「ナノインプリント技術徹底解説」、電子ジャーナル発行、2004年、p.20、p.48−50、p.143−144
【非特許文献2】「最新レジスト材料ハンドブック」、情報機構発行、2005年、p.103
【非特許文献3】N.Sakai“J.Photopolym. Sci.Technol.” (2009) Vol.22, No.2, p.133
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
100nm以下のような微細なパターンを形成するためには、光ナノインプリント法のうち、感光性樹脂組成物をインクジェット方式で塗布し、当該低い粘度の樹脂組成物をナノインプリントテンプレートが溝に吸い上げた後、硬化させる方法に優位性があると考えられた。そこで、インクジェット方式で適用可能な感光性樹脂組成物について検討を行った。しかしながら、光硬化した樹脂パターンから金型を離型する際、樹脂パターンの折れ、倒れ、隣接パターンとの接着などが起こり、100nm以下の高解像性の実現は困難であった。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、インクジェット方式により、優れた弾性率を有し、微細なレジストパターンを良好に形成し得る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いたレジスト基板の製造方法、及び当該レジスト基板の製造方法用いたコピーテンプレートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、光硬化性モノマー成分に、高分子量の特定の光硬化性共重合体を組み合わせて用いた感光性樹脂組成物とすることにより、上記課題が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が1,500以上である共重合体、
(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマー、及び
(C)光重合開始剤を含有し、25℃の粘度が15mPa・s以下であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記共重合体(A)の光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位が、下記一般式(1)で表される構成単位であることが、レジストパターンの高弾性率を実現する点から好ましい。
【0017】
【化1】

(一般式(1)中、Lは直接結合又は連結基を表す。R、R1’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。R、R’、及びR”は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。)
【0018】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記共重合体(A)の芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位が、下記一般式(2)で表される構成単位であることが、ドライエッチング耐性の点から好ましい。
【0019】
【化2】

(一般式(2)中、Xは直接結合又は連結基を表す。R、R4’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。Rは、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、これらは置換基を有していてもよい。)
【0020】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)に対する前記共重合体(A)の割合が0.1〜35重量%であることが、樹脂組成物の粘度やモノマー(B)との相溶性の点から好ましい。
【0021】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エチレン性不飽和結合を有する酸無水物、ビニル化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択される1種以上であることが、汎用性や反応性の点から好ましい。
【0022】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を有するモノマーを含むことが、加工時におけるドライエッチング耐性の点から好ましい。
【0023】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、純水接触角60°±5°の試験片の表面に対する接触角が20°以下を示すことが、基板に対する濡れ広がり性が良好になる点から好ましい。
【0024】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、温度25℃、湿度33%の室温下において、樹脂組成物の10分間の体積変化率が元の体積に対して0〜20%であることが、基板上での組成安定性の点から好ましい。
【0025】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、更に(D)界面活性剤を含むことが、塗布の均一性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、テンプレートと樹脂組成物間の剥離性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等を調整できる点から好ましい。
【0026】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記界面活性剤(D)が、ノニオン系界面活性剤であって反応性及び/又は非反応性界面活性剤を含むことが、樹脂組成物の表面張力を下げ、塗布の均一性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等を調整できる点から好ましい。
【0027】
本発明に係るレジスト基板の製造方法は、基板上に、前記本発明に係る感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程、
前記基板に、所望の凹凸パターンの反転パターンを表面に有するマスターテンプレートを押し当て、前記基板の表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に、本発明に係る感光性樹脂組成物を挟持する工程、
露光により、前記感光性樹脂組成物を硬化させて基板上にレジスト凹凸パターンを形成する工程、及び、
マスターテンプレートをレジスト凹凸パターンが形成された基板から剥離する工程、
を含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るコピーテンプレートの製造方法は、レジスト凹凸パターンが形成された前記本発明に係るレジスト基板上の凹部を、基板が露出するまでドライエッチング加工する工程、
凹凸パターンが形成された基板上の凹部の基板の露出部分をドライエッチング加工する工程、
凹凸パターンが形成された基板の凸部上の基板とは異なる成分を除去する工程、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、インクジェット方式により、微細なレジストパターンを形成し得る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を提供することができ、100nm以下の形状が良好なレジストパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のレジスト基板の製造方法の工程を示す概略図である。
【図2】本発明のコピーテンプレートの製造方法の工程を示す概略図である。
【図3】本発明の合成例1で得られた共重合体(A−1)のH−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において本発明を詳しく説明する。
尚、本発明において単に「基板」と称するときは、レジスト凹凸パターンが形成される支持体を意味し、「レジスト基板」と称するときは、レジスト凹凸パターンを形成したい下地となる基板上に、レジスト凹凸パターンが形成された積層体を意味する。
【0032】
I.光ナノインプリント用感光性樹脂組成物
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が1,500以上である共重合体、
(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマー、及び
(C)光重合開始剤を含有し、25℃の粘度が15mPa・s以下であることを特徴とする。
【0033】
100nm以下のような微細なパターンを形成する際には、金型離型工程時にレジスト凹凸パターンが折れ易く、倒れ易く、また隣接するパターンと接着してパターンがつぶれ易いなどの問題があり、100nm以下の高解像性を実現するのは困難であった。
本発明者は、100nm以下のような微細なパターンを形成する際には、感光性樹脂組成物のレジストパターンが堅いだけでは、さらに折れ易くなる点に着目し、感光性樹脂組成物のレジストパターンの弾性率を高くすることに想到した。
【0034】
本発明においては、光硬化性成分及び溶媒代替の機能を有する(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマーに、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位を含む、高分子量の光硬化性共重合体を組み合わせている。これにより、25℃の粘度が15mPa・s以下の低粘度を実現し、低蒸発性で基板への塗布性が良く、インクジェット方式により、優れた弾性率を有した微細なレジストパターンを形成し得る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明においては、前記高分子量の光硬化性共重合体(A)が、光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位を含むことにより、エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)との相溶性が高くなり、且つ、硬化時に共重合体(A)とモノマー(B)間で架橋反応をする。そのため、微細なレジストパターン中でポリマーとモノマー間で相分離することなく、共重合体(A)が架橋反応中の柔軟性を有する骨格となり得る。また、前記高分子量の光硬化性共重合体(A)が側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位を有し、ドライエッチング耐性を付与する。これらのことから、本発明の感光性樹脂組成物の光硬化後の微細なレジストパターンは均一になり、優れた弾性率が得られ、パターンの折れ易さ、倒れやすさ、隣接するパターンとの接着などの従来の問題を克服でき、100nm以下の高解像性を実現すると推定される。
【0036】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、少なくとも前記共重合体(A)、
前記モノマー(B)、及び前記光重合開始剤(C)を含有し、更に他の成分を含んでいても良いものである。
以下、このような本発明の感光性樹脂組成物の各構成について順に詳細に説明する。
【0037】
(共重合体(A))
本発明において用いられる共重合体は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が1,500以上の共重合体である。
【0038】
エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体に、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位を有するためには、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーを含んで共重合させればよい。側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位を有することにより、樹脂組成物の硬化膜にドライエッチング耐性を付与するという作用をもたらす。
芳香族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、ジイソプロペニルベンゼン、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−2−(メタクリロイロキシ)エチルフタレート、9H−カルバゾール−9−エチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(1R,4R,7R)−イソプロピル−5−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2,5−ジエン−2−カルボキシレート等が挙げられる。また、下記化学式のような構造が挙げられる。また、これらの芳香族炭化水素は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等で置換されていてもよい。
【0039】
【化3】

【0040】
脂環式炭化水素基とエチレン性不飽和結合とを有する脂環式炭化水素含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、4−イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、及び2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレートや1−パーフルオロアダマンチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、下記化学式のような構造が挙げられる。脂環式炭化水素基においても、芳香族炭化水素基で挙げたような置換基を有していても良い。
【0041】
【化4】

【0042】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記共重合体(A)の芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位が、下記一般式(2)で表される構成単位であることが、ドライエッチング耐性の点から好ましい。
【0043】
【化5】

(一般式(2)中、Xは直接結合又は連結基を表す。R、R4’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。Rは、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、これらは置換基を有していてもよい。)
【0044】
一般式(2)中、R、R4’、及びRにおいて、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(2)中、R、R4’、及びRにおいて、1価の有機基としては、メチル基、エチル基、ハロゲン化アルキル基、カルボキシル基含有アルキル基、エステル基含有アルキル基等の置換基を有していても良いアルキル基;置換基を有していても良いアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;アセトアミド基等のアミド基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のエステル基などが挙げられる。
また、R、Rが互いに結合した環構造である場合としては、R、Rが互いに結合して、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等を形成している場合が挙げられる。
【0045】
一般式(2)中、連結基Xとしては、メチレン基等のアルキレン基、アリーレン基及びこれらの組み合わせ等の炭化水素基、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールから誘導される基等が挙げられる。
【0046】
芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表すRとしては、例えば、置換基を有していても良い、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基は、上記芳香族炭化水素基で挙げたような置換基を有していても良い。
【0047】
芳香族炭化水素基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、中でも、ベンジルメタクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレートが、エッチング耐性向上の点から好ましい。
【0048】
また、共重合体(A)において、側鎖に光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位は、樹脂組成物の光硬化性に寄与する成分であり、その含有割合は要求される光硬化性の程度により調整される。
共重合体(A)において、側鎖に光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位を有するために、光硬化性エチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマーを用いて共重合体を合成すると、副反応が生じやすい。そのため、側鎖に有する光硬化性エチレン性不飽和結合は、共重合体(A)の主鎖連結を形成した後で、適切な官能基を介して導入するのが好ましい。
例えば、水酸基、カルボキシル基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、又はイソシアネート基等の反応性基を備えた構成単位を有する共重合体を形成した後に、各反応性基と反応し得る反応性基(エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、又はエステル基等)とエチレン性不飽和結合を有するモノマーを反応させることにより、光硬化性エチレン性不飽和結合を導入するのが好ましい。
【0049】
前記共重合体(A)の光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位としては、下記一般式(1)で表される構成単位であることが、レジストパターンを均一にし、レジストパターンの高弾性率を実現する点から好ましい。
【0050】
【化6】

(一般式(1)中、Lは直接結合又は連結基を表す。R、R1’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。R、R’、及びR”は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。)
【0051】
、R1’、及びRは、それぞれ、上述したR、R4’、及びRと同様のものが挙げられる。
、R’、及びR”の1価の有機基としては、アルキル基が好ましく、中でもメチル基が好適なものとして挙げられる。
【0052】
一般式(1)中、Lが連結基である場合、Lはエーテル結合、エステル結合やアミド結合を含むことが好ましい。連結基Lとしては、例えば、−O−(R−O)m−**−OCO−**−OCO−CH=CH−**−OCO−R−**−COO−CH−CR(OH)−(CH)m−O−**−COO−CH−C(−(CH)m−OH)(−R)−O−**−COO−(CH)m−O−**−COO−CH−CR(OH)−(CH)m−R−**−COO−R−OCO**−COO−R−OCO−NH−R−O−**−OCO-NH−**−OCO−NH−R−O−**、等(ここで、は主鎖との結合部位、**は側鎖のエチレン性不飽和結合との結合部位を表す。また、Rはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基、mは1以上の整数)を挙げることができる。
【0053】
側鎖に光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位としては、(メタ)アクリル酸由来等のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーを反応させて得られた構成単位や、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来等の水酸基に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートやビニルイソシアネートを反応させて得られた構成単位や、ポリビニルアルコールの水酸基に、エチレン性不飽和結合を有する酸無水物、カルボン酸、エステルを反応させて得られた構成単位などが、合成が容易な点から好適に用いられる。当該反応させるエチレン性不飽和結合を有する酸無水物、カルボン酸、エステルは種々選択して用いることができ、例えば下記化学式(a)〜(e)で表される化学構造であっても良い。
【0054】
【化7】

【0055】
なお、例えば、上記(メタ)アクリル酸の代わりに、カルボキシル基を2つ有するマレイン酸や、カルボキシル基を3つ有するアコニット酸や、カルボキシル基を4つ有する1,1,2,2−エテンテトラカルボン酸を用いて共重合体(A)の主鎖連結を形成した後、当該カルボキシル基に上記のようにカルボキシル基と反応し得るエポキシ基等とエチレン性不飽和結合を有するモノマーを反応させることにより、側鎖に2〜4個の光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位を得ても良い。
【0056】
前記共重合体(A)には、その他にも樹脂組成物の表面張力低下、基板塗布性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる点から、更に、エステル基を備えた構成単位が含まれることが好ましい。側鎖にエステル基を備えた構成単位を有するためには、エステル基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーを含んで共重合させればよい。
前記共重合体(A)のエステル基を備えた構成単位としては、下記一般式(3)で表される構成単位であることが好ましい。
【0057】
【化8】

一般式(3)中、R、R7’、及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。Rは、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基及び/又は複素環式化合物基を表し、これらは置換基を有していてもよく、炭化水素基中にヘテロ原子を含んでいても良い。)
【0058】
、R7’、及びRは、それぞれ、上述したR、R4’、及びRと同様のものが挙げられる。
は、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、複素環式化合物基、又はこれらの組み合わせからなる化合物基を表す。複素環式化合物としては、テトラヒドロフラン、ピペリジン、ピロリジン等が挙げられる。
の置換基としては、上記芳香族炭化水素で挙げたような置換基と同様のものを有していても良い。また、Rの炭化水素基中に含まれる炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
【0059】
エステル基とエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、また、下記化学式のような構造が挙げられる。
【0060】
【化9】

【0061】
前記共重合体(A)には、その他にも樹脂組成物の表面張力低下、基板塗布性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる基板塗布性、基板密着性等を調整する点から、更に、他の構成単位を含んでいても良い。
共重合体(A)に他の構成単位を導入するために用いられるモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−へプテン、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミド等が挙げられる。
【0062】
芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位の含有割合は、少なすぎる場合にはドライエッチング耐性が十分得られなくなる恐れがあり、多すぎる場合には樹脂組成物が高粘度化するという恐れがある。そのため、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位の含有割合は、要求されるドライエッチング耐性と粘度に応えるべく調節され、仕込み量で表した時に、共重合体の全構成単位中に1〜85モル%、更に5〜50モル%とすることが好ましい。
【0063】
また、光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位は、少なすぎる場合には硬化性が不十分となり、多すぎる場合にはレジストパターンの柔軟性を失う恐れがある。そのため、光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位の含有割合は、要求される光硬化性の程度(感度)に応えるべく調節され、仕込み量で表した時に、共重合体の全構成単位中に1〜85モル%、更に5〜50モル%とすることが好ましい。
【0064】
エステル基含有単位を備えた構成単位は、前記共重合体(A)の粘度、基板密着性、基板塗布性を必要に応じて調整するために、仕込み量で表した時に、共重合体の全構成単位中に1〜98モル%、更に40〜80モル%とすることが好ましい。
【0065】
前記共重合体(A)は、公知の方法に準じて合成することができ、例えば、ラジカル重合等を用いることができる。まず、少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と、光硬化性エチレン性不飽和結合を有する構造を後から導入できる官能基を有する構成単位からなり、さらに必要に応じて、エステル基を備えた構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体(原料重合体)を製造し、それから当該原料重合体に光硬化性エチレン性不飽和結合と共に何らかの別の官能基を有する化合物を反応させて、光硬化性エチレン性不飽和結合のペンダント構造を導入すればよい。
前記共重合体(A)は、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0066】
共重合体(A)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)が1,500以上である。共重合体(A)の重量平均分子量は、更に2,000〜350,000、より更に3,500〜100,000の範囲に調節するのが好ましい。重量平均分子量が1,500より小さいと弾性率改善の効果が得られない恐れがある。一方、重量平均分子量が大きすぎると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、インクジェットの吐出性が低下したり、モノマー(B)との相溶性が低下したり、硬化樹脂パターンが不均一化する恐れがあるので、組み合わせて用いられる成分に応じて適宜調整するようにする。
【0067】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物中に、前記共重合体(A)は、0.1〜35重量%、更に1〜25重量%の範囲で含まれることが、溶解性の点から好ましい。
また、本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)に対する前記共重合体(A)の割合が0.1〜35重量%、更に1〜25重量%であることが樹脂組成物の粘度やモノマー(B)との相溶性の点から好ましい。
【0068】
(モノマー(B))
本発明で用いられるモノマーは、1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマーである。
当該モノマー(B)は、反応性を有しながら、溶剤の代替となり得る成分である。当該モノマー(B)を用いるため、光ナノインプリント用感光性樹脂組成物中に溶剤を用いないか、溶剤含有量を減らすことができる。このため、樹脂組成物が揮発し難くなり、保存時や使用時に組成安定性が良くなり、塗膜形成後においては溶剤の揮発による体積減少率が小さくなる。
【0069】
本発明で用いられるモノマーは、1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマーであれば、エチレン性不飽和結合を1分子内に1つ有する単官能モノマーであっても良いし、エチレン性不飽和結合を1分子内に2つ以上有する多官能モノマーであっても良い。当該単官能モノマーと多官能モノマーは、1種単独で用いても良いが、2種以上組み合わせて用い、適宜粘度、蒸発性、硬化性、機械強度等の物性を調整することが好ましい。
【0070】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エチレン性不飽和結合を有する酸無水物、ビニル化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択される1種以上であることが、汎用性や反応性の点から好ましい。
【0071】
単官能のモノマーとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、無水マレイン酸等のエチレン性不飽和結合を有する酸無水物や、スチレン、酢酸ビニル等のビニル化合物や、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、下記のような単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物が用いられる。単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物、すなわち単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート類; シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、9H−カルバゾール−9−エチル(メタ)アクリレート、等の芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を有するモノマーや、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類; ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類; メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類; ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類; ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オンなどが挙げられる。
【0072】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)中に、エチレン性不飽和結合を1分子内に2つ以上有する多官能モノマーを含むことが、塗工膜のネットワーク構造を形成し、樹脂硬化膜に十分な膜強度や密着性を付与する点が好ましい。
しかしながら、特に、本発明に係る感光性樹脂組成物はインクジェット方式のインクとして用いるため、比較的分子量の高い重合体以外の重合性成分としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が25℃で500mPa・s以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。インクジェット方式の吹き付け作業中に、ヘッドの先端での粘度上昇が起こり難くなり、ヘッドの目詰まりが発生せず、作業中におけるインクの吐出性が安定するため、インクの吐出量や吐出方向が安定し、インクを基板上に所定のパターン通り正確に、且つ、均一に付着させることができるからである。
【0073】
エチレン性不飽和結合を1分子内に2つ又は3つ有する2官能乃至3官能のモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ビス((メタ)アクリロイル)ピペラジン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート等を例示することができる。
【0074】
エチレン性不飽和結合を1分子内に4つ以上有する4官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0075】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を有するモノマーを含むことが、加工時におけるドライエッチング耐性の点から好ましい。
芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を有するモノマーは、モノマー(B)の全量に対して、10〜100重量%、更に20〜80重量%の割合で配合することが、加工時におけるドライエッチング耐性の点から好ましい。
【0076】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物において、単官能モノマーは、モノマー(B)の全量に対して、40〜95重量%、更に50〜90重量%の割合で配合することが、樹脂組成物全体の粘度の点から好ましい。また、2乃至3官能モノマーは、モノマー(B)の全量に対して、5〜60重量%、更に10〜50重量%の割合で配合することが、樹脂の光硬化後の架橋密度の点から好ましい。
また、4官能以上モノマーは、モノマー(B)の全量に対して、0〜25重量%、更に0.01〜15重量%の割合で配合することが、さらなる樹脂の光硬化後の架橋密度の点から好ましい。
【0077】
また、前記モノマー(B)は、全体で、粘度が25℃で15mPa・s以下、更に13.5mPa・s以下となるように組み合わせて選択することが、樹脂組成物全体の粘度の点から好ましい。
【0078】
また、前記モノマー(B)は、全体で、温度25℃、湿度33%の室温下における10分間の体積変化率が元の体積に対して0〜20%となるように組み合わせて選択することが、樹脂組成比の安定性の点から好ましい。
【0079】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物中に、前記モノマー(B)は、53〜99.8重量%、更に63〜95重量%の範囲で含まれることが、樹脂組成物全体の粘度、樹脂硬化パターン形成の点から好ましい。
【0080】
(光重合開始剤(C))
本発明に用いられる光重合開始剤は、公知の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル)−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4'−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイル ジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4',5'−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2'−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、光重合開始剤(C)を0.01〜15重量%含むことが好ましく、更に好ましくは、0.1〜15重量%、より更に好ましくは0.2〜12重量%である。2種類以上の光重合開始剤を併用する場合はそれらの合計量が前記範囲となることが好ましい。
【0082】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前述の必須成分以外に必要に応じて界面活性剤、離型剤、有機溶剤、シランカップリング剤、光増感剤、酸化防止剤、有機金属カップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、光塩基発生剤、着色剤、エラストマー粒子、光酸増殖剤、塩基性化合物、および、その他流動調整剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含有していてもよい。
【0083】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、更に(D)界面活性剤を含むことが、塗布の均一性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、テンプレートと樹脂組成物間の剥離性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等を調整できる点から好ましい。界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。界面活性剤の添加量は0.001〜10重量%が好ましく、0.005〜5重量%がより好ましい。上記範囲であると、塗布の均一性の効果が良好であり、界面活性剤の過多による樹脂硬化パターン軟化による弾性率悪化を招きにくい。
【0084】
界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることができるが、中でも、ノニオン系界面活性剤が、塗布の均一性、テンプレートの凹凸への充填性の向上、テンプレートと樹脂組成物間の剥離性の向上、樹脂組成物と基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等の点から好ましい。
【0085】
本発明で用いるノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、が挙げられる。
【0086】
さらにテンプレートと樹脂組成物間の剥離性の向上の点から、フッ素系及び/又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤の例としてはメチルパーフルオロオクタノエート、メチルトリフルオロアセテート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルパーフルオロブチレート、メチルペンタフルオロベンゾエート、メチル2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルアセテート、メチルノナデカフルオロデカノエート(いずれもSIGMA-ALDRICH社より入手可能)、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(トーケムプロダクツ社製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA社)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも(株)ネオス製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)製)、商品名メガフアック171、172、173、178K、178A、(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
また、シリコーン素系界面活性剤の例としては、商品名SI−10シリーズ(竹本油脂社製)、メガファックペインタッド31(大日本インキ化学工業社製)、KP−341(信越化学工業製)、FZ-2191(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
また、フッ素・シリコーン系界面活性剤の例としては、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも信越化学工業社製)、商品名メガフアックR−08、XRB−4(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
【0087】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、前記界面活性剤(D)が、ノニオン系界面活性剤であって反応性及び/又は非反応性界面活性剤を含むことが、テンプレートと樹脂組成物間の剥離性の向上、膜物性の点から好ましい。
反応性界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合を有する界面活性剤が好適に用いられる。例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素系反応性界面活性剤が挙げられる。
また、例えば、(メタ)アクリル変性シリコーン系界面活性剤等のシリコーン系反応性界面活性剤が挙げられる。
【0088】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、露光後、硬化したレジストパターンとテンプレートの剥離を容易にする目的で、離型剤を用いても良い。離型剤としては、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイル等を用いることができる。離型剤の添加量は0.001〜5重量%が好ましく、0.005〜3重量%がより好ましい。添加量を0.001重量%以上とすることにより、離型作用がより向上する傾向にあり、5重量%以下とすることにより、基板との接着性が向上する傾向にある。
【0089】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、必要に応じて非反応性有機溶剤を添加してもよい。好ましい非反応性有機溶剤としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびシクロヘキサノール等を挙げることができる。
これらの非反応性有機溶剤は、それぞれ単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
非反応性有機溶剤の添加量は、通常、10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。有機溶剤の添加量を少なくすることにより、用いられる有機溶剤にもよるが蒸発速度が低下する傾向があり、樹脂組成物の組成安定性が向上し、得られるレジストパターン形状が向上する。
【0090】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、レジストパターンの耐水性、耐熱性、強度やドライエッチング耐性をより向上することを目的として、シランカップリング剤を用いてもよい。本発明で用いることができるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
シランカップリング剤の添加量は、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。添加量を0.1重量%以上とすることにより、基板への接着性改良効果がより向上する傾向にあり、20重量%以下とすることにより、得られたレジストパターンの耐水性、耐熱性や強度がより向上する傾向にあり好ましい。
【0091】
本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、前述の構成成分を混合して得ることができる。(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを適宜選択することにより、溶媒の代替となるため、別途非反応性有機溶剤を用いなくても良い。
【0092】
以上のようにして得られる本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、25℃の粘度が15mPa・s以下であるように調整する。粘度が高すぎると、インクジェット方式において良好に吐出し難くなる。また、基板への濡れ広がり速度や金型の微細な凹凸への充填速度、つまりプロセススループットを考慮すると、25℃の粘度が10mPa・s以下であることが好ましく、さらに5mPa・s以下であることが好ましい。
なお、本発明における粘度は、動的粘弾性装置(例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製、レオメータ AR−G2)を用いて測定することができる。
【0093】
また、本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、純水接触角60°±5°の試験片の表面に対する接触角が20°以下を示すことが、更に10°以下を示すことが、基板に対する濡れ広がり性が良好になる点から好ましい。基板への塗布性は、塗布プロセスのスループットを考慮する上で重要であり、さらに樹脂を薄膜かつ面内に均一に広げる上でも大事な要素である。塗布性は樹脂を低粘度化することでも効果があるが、樹脂組成物の基板に対する親和性も重要となってくる。樹脂組成物の親和性は、上記のような樹脂の特定の基板に対する接触角を計測することで判断することができる。
なお、接触角は、自動接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製、自動接触角計DM-500)を用いて測定することができる。温度25℃、湿度33%の常圧大気下で、純水接触角60°±5°の試験片の表面に、樹脂組成物の1.5μLの液滴を接触させ、液滴が基板に接触してから1秒後の接触角を測定し、θ/2法を使用して接触角を決定することができる。
【0094】
また、本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物においては、温度25℃、湿度33%の室温下において、樹脂組成物の10分間の体積変化率が元の体積に対して0〜20%であることが、更に0〜10%であることが、基板上での組成安定性の点から好ましい。インクジェット方式を用いてピコリットル程度の量の小滴を基板上に吐出する場合には、小滴のため蒸発しやすい状態になる。樹脂組成物の一部が蒸発すると、組成が変化するため、レジストパターンの性能が予定通り出なくなり、レジストパターン特性にばらつきが生じる恐れがある。
【0095】
なお、体積変化率は、自動接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製、自動接触角計DM-500)を用いて、以下のように測定することができる。温度25℃、湿度33%の常圧大気下で、テフロンコート針(18G)により、各樹脂組成物を1.5μL採取し、純水接触角112°±5°の平坦な基板に、液滴を接触させる。液滴が基板に接触してから1秒後の体積(初期体積)と10分後の体積をそれぞれ測定する。体積は、自動撮影された画像のピクセルサイズを元に自動計算されたものを使用できる。体積変化率は以下のように算出することができる。
体積変化率(%)={(樹脂組成物の初期体積)−(樹脂組成物の液滴が基板に接触してから10分後の体積)}/(樹脂組成物の初期体積)×100
【0096】
なお、接触角や体積変化率の測定に際し、上記特定の純粋接触角を有する試験片乃至基板は如何なる材料で形成されていても差し支えない。純水接触角約60°を示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から、自動接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製、自動接触角計DM-500)にて純水1.5μL滴下時の接触角を確認し、選択することができる。
【0097】
以上のような本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、光ナノインプリント法のうち、感光性樹脂組成物をインクジェット方式で塗布し、当該低い粘度の樹脂組成物をナノインプリントテンプレートが溝に吸い上げた後、硬化させる方法に好適に用いられる。本発明に係る光ナノインプリント用感光性樹脂組成物は、永久膜として用いられるのではなく、後述するレジスト基板、更にはコピーテンプレートを形成するのに好適に用いられる。
【0098】
II.レジスト基板の製造方法
本発明に係るレジスト基板の製造方法は、基板上に、前記本発明に係る感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程(工程1)、
前記基板に、所望の凹凸パターンの反転パターンを表面に有するマスターテンプレートを押し当て、前記基板の表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に、前記感光性樹脂組成物を挟持する工程(工程2)、
露光により、前記感光性樹脂組成物を硬化させて基板上にレジスト凹凸パターンを形成する工程(工程3)、及び、
マスターテンプレートをレジスト凹凸パターンが形成された基板から剥離する工程(工程4)、を含むことを特徴とする。
図1(A)〜図1(D)は、本発明に係るレジスト基板の製造方法を説明した概略図である。
【0099】
(工程1)
図1(A)〜図1(B)に示すように、前記本発明に係る感光性樹脂組成物3を吐出口2から滴下して、インクジェット方式によって、基板1上に付着させる。
本発明に係るレジスト基板に用いられる基板としては、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITOや金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板など特に制約されない。フォトマスク基板としては、透明な石英ガラス基板上に、CrxOyNz、MoSi、MoSiO、MoSiON、TaSiO、TaBO,TaBN,などの遮光層や低反射層を有する基板が好適に用いられる。
【0100】
本発明に係るレジスト基板に用いられる基板としては、前記本発明に係る感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる前に、感光性樹脂組成物と基板の密着性の向上のために、基板上に密着剤等で表面処理が行われても良い。密着剤はヘキサメチルジシラザン、シランカップリング剤、酸無水物、燐酸エステルなどが挙げられ、特に、樹脂組成物のエチレン性不飽和結合と反応し得る官能基をもつものが好ましく、例えばビニルトリメトキシシラン(商品名KBM−1003、信越化学工業)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−5103、信越化学工業)、p−スチリルトリメトキシシラン(商品名KBM-1403、信越化学工業)、ACRYLOXYMETHYLTRIMETHOXYSILANE(商品名SIA0182.0、Gelest)、特開2009−503139号公報に開示のアクリル酸β−カルボキシルエチル(商品名β−CEA,UCB Chemical)、商品名Ebecryl3605(UCB Chemical)、商品名Isorad501(Schenectady International,inc)、組成物1〜5などが挙げられる。
【0101】
本発明に係る感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる際の液滴量や液滴の付着させる間隔は、作製するパターンの大きさに合わせて適宜調整すれば良い。マスターテンプレートを押し当てることにより、前記基板の表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に、当該感光性樹脂組成物を挟持可能な量とする。例えば、40mm角のマスターテンプレートに面積密度1.5%、深さ100nmの100nm1:1ラインアンドスペースパターンを作製する際には、液滴量を0.005〜1μLさらに好ましくは0.01〜0.1μLとすることが好ましい。液滴の付着させる間隔は、パターンの配置場所に応じて適宜調整する。
【0102】
(工程2)
図1(C)に示すように、前記基板1に、所望の凹凸パターンの反転パターンを表面に有するマスターテンプレート4を押し当て、前記基板1の表面と前記マスターテンプレート4のパターン面との間に、前記感光性樹脂組成物3を挟持する。
使用されるマスターテンプレートは、所望のレジスト凹凸パターンの反転パターンを表面に有するものを用意する。マスターテンプレートは、ガラス、石英、MoSi、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜等の光透過性材料からなるものであっても良いし、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、CrxOyNz,Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの非光透過型材料からなるものであっても良い。光ナノインプリント法では、マスターテンプレートまたは基板の少なくとも一方は、光透過性の材料を選択する必要がある。
【0103】
本発明に係るマスターテンプレートは、光硬化した感光性樹脂組成物とマスターテンプレートとの離型性向上のために、使用前に離型剤等で表面処理が行われても良い。離型剤は具体的にはシリコーン系やフッ素系などのシランカップリング剤、例えば商品名オプツールDSX(ダイキン工業)、商品名Novec EGC−1720(住友スリーエム)、商品名デュラサーフ HD−1100(ハーベス)、商品名デュラサーフ HD−2100(ハーベス)、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(Gelest)のようなものが挙げられる。
【0104】
マスターテンプレートのパターンは、例えば、フォトリソグラフィーや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成することができる。マスターテンプレートが有する凹凸パターンのサイズは、特に限定されるものではないが、本発明においては、10nm〜100nmのパターンサイズのものを用いることができる。
【0105】
マスターテンプレートは板状、ロール状のどちらでもよい。ロール状は、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。本発明で用いられるマスターテンプレートは、感光性樹脂組成物との剥離性を向上するために離型処理を行ってもよい。
【0106】
マスターテンプレートを押し当て、前記基板の表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に、前記感光性樹脂組成物を挟持する。マスターテンプレートの押し付け圧力は、2.0kPa〜2000kPaの範囲であることが、パターンの形状が良好になりやすい点から好ましい。押し付け圧力が大きすぎると、マスターテンプレートや基板が変形してパターン精度が低下する傾向にある。逆にマスターテンプレートの押し付け圧力が小さすぎると、マスターテンプレートと基板が充分に密着せず、マスターテンプレート凹凸に樹脂組成物が充填しなかったり、残膜が発生する傾向がある。
本発明ではマスターテンプレートを基板に押し付ける前に系を減圧してもよい。減圧することによりマスターテンプレートの凹凸部の空気を除去することができて、感光性樹脂組成物が凹凸部分に追随するため、得られるレジストパターンの形状が向上する。
さらに減圧にしてマスターテンプレートを基板に押し付けた後、露光前に空気または空気以外の気体、例えば窒素により系の圧力を常圧に戻してもよい。
【0107】
(工程3)
図1(D)に示すように、露光5により、前記感光性組成物を硬化させて、基板上にレジスト凹凸パターンを形成する。
露光は、通常、前記マスターテンプレートを押し付けたままの状態で行い、感光性樹脂組成物を硬化させる。図1(D)においては、光はマスターテンプレート側から照射しているが、基板側から露光しても良い。
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させる光としては特に限定されないが、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の波長領域の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、LED、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。
【0108】
光照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、感光性樹脂組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜の粘着性等を調べて決定される。
また、光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、マスターテンプレートと光硬化性組成物の密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射しても良い。本発明において、好ましい真空度は、10-1Paから常圧の範囲である。
【0109】
(工程4)
次いで、図1(E)に示すように、マスターテンプレート4をレジスト凹凸パターンが形成された基板1から剥離し、基板上にレジスト凹凸パターン6を得て、レジスト基板10を形成する。
基板からマスターテンプレートを剥離した後、熱処理を行っても良い。加熱温度は、60〜220℃が好ましく、80〜180℃がより好ましい。本発明の熱処理を行う装置には特に制限はなく、公知の装置の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。また、ホットプレートを使用する場合には、加熱を均一に行う為に、パターンを形成した基材をプレートから浮かせて行うことが好ましい。
【0110】
このように得られたレジスト基板は、次いで説明するコピーテンプレートの製造方法に好適に用いられる。
【0111】
III.コピーテンプレートの製造方法
本発明に係るコピーテンプレートの製造方法は、レジスト凹凸パターンが形成された前記本発明に係るレジスト基板上の凹部を、基板が露出するまでドライエッチング加工する工程(工程5)、
凹凸パターンが形成された基板上の凹部の基板の露出部分をドライエッチング加工する工程(工程6)、
凹凸パターンが形成された基板の凸部上の基板とは異なる成分を除去する工程(工程7)、
を含むことを特徴とする。
図2(A)〜図2(D)は、本発明に係るレジスト基板の製造方法を説明した概略図である。
【0112】
(工程5)
図2(A)〜図2(B)に示すように、レジスト凹凸パターン6が形成された前記本発明に係るレジスト基板10上の凹部7を、基板1が露出するまでドライエッチング加工する工程である。
ドライエッチングとしては、イオンが主として関与する反応性イオンエッチング(RIE)や、ラジカルが主として関与するプラズマエッチング(PE)等を用いることができる。
前記ドライエッチングにおいて用いられるエッチャントガスとしては、ドライエッチングを行う膜の材質に合わせて適宜選択されたエッチャントガスを使用する。
感光性樹脂組成物をドライエッチングで除く場合には、酸素プラズマによりアッシングする方法が好適に用いられる。
【0113】
基板上に、酸化クロム等の遮光層や、密着層が形成されている場合には、基板露出するまで、各層の材料に合わせて、エッチャントガスを変更しても良い。
例えば、a−Si/nやs−Si用には四フッ化炭素(塩素)+酸素、四フッ化炭素(六フッ化硫黄)+塩化水素(塩素)が挙げられる。また、a−SiNx用には四フッ化炭素+酸素、a−SiOx用には四フッ化炭素+酸素、三フッ化炭素+酸素が挙げられる。また、Ta用には四フッ化炭素(六フッ化硫黄)+酸素、MoTa/MoW用には四フッ化炭素+酸素が挙げられる。また、Cr用には塩素+酸素、Al用には三塩化硼素+塩素、臭化水素、臭化水素+塩素、ヨウ化水素等が挙げられる。ドライエッチングの工程では、イオン衝撃や熱によりレジストの構造が大きく変質することがあり、剥離性にも影響する。
【0114】
(工程6)
次いで、図2(B)〜図2(C)で示すように、凹凸パターンが形成された基板1上の凹部8の基板の露出部分をドライエッチング加工する。
ここでのドライエッチング法は、基板の材質に合わせて、適宜エッチャントガスを選択する。上記で挙げたほか、例えば基板が石英基板の場合、エッチャントガスとしては、四フッ化炭素を選択する。
【0115】
(工程7)
次いで、図2(C)〜図2(D)で示すように、凹凸パターンが形成された基板1の凸部9上の基板とは異なる成分6を除去する。
凸部上の基板とは異なる成分としては、感光性樹脂組成物の他、感光性樹脂組成物が付着される前に基板上に形成されていた遮光層や密着剤層などが挙げられる。遮光層や密着剤層などが基板上に設けられている場合には、感光性樹脂組成物は、凹凸パターンが形成された基板上の凹部の基板の露出部分をドライエッチング加工する前に、除去されても良い。密着剤層が有機成分の場合、密着剤層は感光性樹脂組成物と共に除去され易い。この場合、工程7における凸部上の基板とは異なる成分としては、遮光層のみとなる。
【0116】
感光性樹脂組成物や密着剤層は、液にて取り除く(ウエット剥離)か、あるいは、減圧下での酸素ガスのプラズマ放電により酸化させてガス状にして取り除く(ドライ剥離/アッシング)か、あるいはオゾンとUV光によって酸化させてガス状にして取り除く(ドライ剥離/UVアッシング)など、いくつかの剥離方法によって除去を行うことができる。剥離液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、オゾン溶解水、硫酸水溶液と過酸化水素水の混合物のような水溶液系と、モノエタノールアミン/ジメチルスルホキシド混合物(質量混合比=7/3)のようなアミンとジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドンの混合物のような有機溶剤系などが一般的に知られている。
一方、遮光層を除去する方法は、上記のようなドライエッチング法が挙げられる。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0118】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0119】
(合成例1:共重合体(A−1)の合成)
100℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)122.2gに、ベンジルメタクリレート34.3g、メタクリル酸メチル33.3g、メタクリル酸18.2g、重合開始剤としてパーブチルO(商品名、日油株式会社製)2g、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5gの混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下後100℃で3時間攪拌し反応させたのち、さらに130度で15分攪拌した。これを110℃まで冷まし、重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.05gとグリシジルメタクリレート22.4gを加えて110℃に加熱したところに触媒としてN,N-ジメチルベンジルアミンを0.2g加え110℃で6時間攪拌し、重量平均分子量 Mw8,600のポリマー溶液を得た。
次に、このポリマー溶液を少量のテトラヒドロフランに溶かし攪拌しているところに、ヘキサンを少しづつ滴下していくと白い固体が析出した。この溶液を濾過し得られた固体を40℃で1時間ほど真空加熱すると所望のポリマー(エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が8,600である共重合体)が得られた。
なお、構造は、1H−NMR(日本電子製、JEOL JNM−LA400WB)で確認した。図3に1H−NMR測定結果を示す。また、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として測定したものである。
【0120】
(実施例1〜5)
(1)光ナノインプリント用感光性樹脂組成物の製造
前記共重合体(A)に該当する合成例1で得られた共重合体(A−1)、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)、光重合開始剤(C)、並びに、ノニオン系反応性界面活性剤及びノニオン系非反応性界面活性剤(D)を、表1に記載の配合量で均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、実施例1〜5の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を調製した。
【0121】
なお、表1中の略号は以下の意味を有する。
A1:合成例1で得られた共重合体(A−1)
A2:ポリ(t−ブチルメタクリレート)(重量平均分子量 〜170,000)(SIGMA-ALDRICH社)
A3:ポリ(n−ブチルメタクリレート)(重量平均分子量 〜337,000)(SIGMA-ALDRICH社)
B1:イソボルニルアクリレート(SIGMA-ALDRICH社)
B2:エチレングリコールジアクリレート(SIGMA-ALDRICH社)
B3:ブチルアクリレート(SIGMA-ALDRICH社)
B4:ベンジルアクリレート(商品名BZA、大阪有機化学社)
C1:DAROCUR 1173(商品名、チバ・ジャパン社、光重合開始剤)
D1:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロデシルアクリレート(SIGMA-ALDRICH社、ノニオン系反応性界面活性剤)
D2:メチルパーフルオロオクタノエート(SIGMA-ALDRICH社、ノニオン系非反応性界面活性剤)
【0122】
(2)レジスト基板の製造
上記で得られた各樹脂組成物を用いて、レジスト基板を製造した。
各樹脂組成物の液滴1μLを基板上にインクジェット方式で付着し、石英基板からなる100nm1:1L/Sパターン、深さ100nmのマスターテンプレートを1kNの力で10分間押し当てて、基板表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に樹脂組成物を挟持した後、波長365nmのLED光源を使用し、21.5mW/cmの照度で15秒露光した。露光後、マスターテンプレートを基板から剥離し、ライン間及び深さ100nmのレジスト凹凸パターンを得た。下記のようにレジストパターンの弾性率を評価した。評価結果を表1に併せて示す。
【0123】
[樹脂組成物の評価]
(1)粘度
粘度は、ティー・エイ・インスツルメント社製「レオメータ AR−G2」を用いて測定した。円盤プレート上に樹脂組成物0.25mLを滴下し、直径40mmの標準スチールコーンをせん断速度10〜1000(1/s)へ変化させ25℃、1000(1/s)のときの値を計測値とした。結果を表1に示す。
【0124】
(2)接触角
接触角は、協和界面科学株式会社の自動接触角計DM-500を用いて測定した。温度25℃、湿度33%の常圧大気下で、テフロンコート針(18G)により、各樹脂組成物を1.5μL採取し、純水接触角60°±5°の平坦な基板(信越化学工業社製KBM―5103をイソプロピルアルコールで0.2重量%に希釈し、これを純水洗浄した石英基板にスピン塗布、イソプロピルアルコールでリンスした後、150℃で10分間基板を加熱して得た。)に、液滴を接触させた。液滴が基板に接触してから1秒後の接触角を測定し、θ/2法を使用して接触角を決定した。
【0125】
(3)体積変化率
体積変化率は、協和界面科学株式会社の自動接触角計DM-500を用いて、以下のように測定した。温度25℃、湿度33%の常圧大気下で、テフロンコート針(18G)により、各樹脂組成物を1.5μL採取し、純水接触角112°の平坦な基板(ダイキン工業社製オプツールDSXをパーフロロヘキサンで 0.1重量%に希釈し、そこに純水洗浄した石英基板を1分間浸した後、60℃、湿度90%の雰囲気下に1時間放置して得た。)
に、液滴を接触させた。液滴が基板に接触してから1秒後の体積(初期体積)と10分後の体積をそれぞれ測定した。体積は、自動撮影された画像のピクセルサイズを元に自動計算されたものを使用した。体積変化率は以下のように算出した。
体積変化率(%)={(樹脂組成物の初期体積)−(樹脂組成物の液滴が基板に接触してから10分後の体積)}/(樹脂組成物の初期体積)×100
【0126】
[パターン形状評価]
樹脂組成物を光硬化後、マスターテンプレートを離型した後の樹脂パターン形状を走査型電子顕微鏡により観察し、パターンの折れ、倒れ、隣接するパターンとの接着有無を確認した。評価に使用したパターンは線幅100nm1:1L/S、深さ100nmで10μmのエリアで観察を行った。
<評価基準>
○:パターンの折れ、倒れ、隣接パターンとの接着が見られなかった。
×:パターンの折れ、倒れ、隣接パターンとの接着が見られた。
【0127】
(比較例1)
(1)光ナノインプリント用感光性樹脂組成物の製造
前記共重合体(A)に該当するポリマーを用いないで、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)、光重合開始剤(C)、並びに、ノニオン系反応性界面活性剤及びノニオン系非反応性界面活性剤(D)を、表1に記載の配合量で均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、比較例1の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を調製した。
(2)レジスト基板の製造
実施例のレジスト基板の製造において、実施例の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いる代わりに、上記で得られた比較例1の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例と同様にして、レジスト基板を製造した。
【0128】
(比較例2)
(1)光ナノインプリント用感光性樹脂組成物の製造
前記共重合体(A)に該当する共重合体の代わりに、ポリ(t−ブチルメタクリレート)(SIGMA-ALDRICH社)を用い、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)、光重合開始剤(C)、並びに、ノニオン系反応性界面活性剤及びノニオン系非反応性界面活性剤(D)を、表1に記載の配合量で均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、比較例2の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を調製した。
(2)レジスト基板の製造
実施例のレジスト基板の製造において、実施例の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いる代わりに、上記で得られた比較例2の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例と同様にして、レジスト基板を製造した。
【0129】
(比較例3)
(1)光ナノインプリント用感光性樹脂組成物の製造
前記共重合体(A)に該当する共重合体の代わりに、ポリ(n−ブチルメタクリレート)(SIGMA-ALDRICH社)を用い、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)、光重合開始剤(C)、並びに、ノニオン系反応性界面活性剤及びノニオン系非反応性界面活性剤(D)を、表1に記載の配合量で均一溶液にし、各試料溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、比較例3の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を調製した。
(2)レジスト基板の製造
実施例のレジスト基板の製造において、実施例の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いる代わりに、上記で得られた比較例3の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例と同様にして、レジスト基板を製造した。
【0130】
【表1】

【0131】
表1の結果から、実施例1〜5では、インクジェット方式により、100nm以下のパターンでありながら、パターンの折れ、倒れ、隣接するパターンとの接着がなく形状が良好なレジストパターンを形成することができた。
一方、ポリマーを含まない、反応性モノマーのみを用いた比較例1は、パターンの折れ、倒れ、隣接するパターンとの接着が観測された。
また、本発明の特定の共重合体(A)とは異なるポリマーを用いた比較例2及び3は、モノマーとの相溶性が悪くなり、光硬化後のパターンは不均一となって、パターンの折れ、倒れ、隣接するパターンとの接着が観測された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応により誘導される構成単位が連結した分子構造を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に少なくとも芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位と光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位とを含み、重量平均分子量が1,500以上である共重合体、
(B)1つ以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマー、及び
(C)光重合開始剤を含有し、25℃の粘度が15mPa・s以下である、光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記共重合体(A)の光硬化性エチレン性不飽和結合を備えた構成単位が、下記一般式(1)で表される構成単位である、請求項1に記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Lは直接結合又は連結基を表す。R、R1’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。R、R’、及びR”は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。)
【請求項3】
前記共重合体(A)の芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を備えた構成単位が、下記一般式(2)で表される構成単位である、請求項1又は2に記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【化2】

(一般式(2)中、Xは直接結合又は連結基を表す。R、R4’、及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表し、又はそれらが互いに結合した環構造であってもいい。Rは、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、これらは置換基を有していてもよい。)
【請求項4】
前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)に対する前記共重合体(A)の割合が0.1〜35重量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エチレン性不飽和結合を有する酸無水物、ビニル化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を有するモノマーを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
純水接触角60°±5°の試験片の表面に対する接触角が20°以下を示す、請求項1乃至6のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
温度25℃、湿度33%の室温下において、樹脂組成物の10分間の体積変化率が元の体積に対して0〜20%である、請求項1乃至7のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
更に(D)界面活性剤を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤(D)が、ノニオン系界面活性剤であって反応性及び/又は非反応性界面活性剤を含む、請求項9に記載の光ナノインプリント用感光性樹脂組成物。
【請求項11】
基板上に、請求項1〜10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程、
前記基板に、所望の凹凸パターンの反転パターンを表面に有するマスターテンプレートを押し当て、前記基板の表面と前記マスターテンプレートのパターン面との間に、請求項1〜10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を挟持する工程、
露光により、前記感光性樹脂組成物を硬化させて基板上にレジスト凹凸パターンを形成する工程、及び、
マスターテンプレートをレジスト凹凸パターンが形成された基板から剥離する工程、
を含むレジスト基板の製造方法。
【請求項12】
レジスト凹凸パターンが形成された前記請求項11に記載のレジスト基板上の凹部を、基板が露出するまでドライエッチング加工する工程、
凹凸パターンが形成された基板上の凹部の基板の露出部分をドライエッチング加工する工程、
凹凸パターンが形成された基板の凸部上の基板とは異なる成分を除去する工程、
を含む、凹凸パターンを有するコピーテンプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−79782(P2012−79782A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221221(P2010−221221)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】