光ファイバ断心位置特定システム及び光ファイバ断心位置特定方法
【課題】 光ファイバの心線の断心箇所を確実にかつ迅速に特定する。
【解決手段】 光通信装置2aにおいて、制御回路7aは、光受信アラーム回路9aから、アラーム信号が供給されると、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号を供給する。信号処理部16aは、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置(Ka)を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。
【解決手段】 光通信装置2aにおいて、制御回路7aは、光受信アラーム回路9aから、アラーム信号が供給されると、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号を供給する。信号処理部16aは、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置(Ka)を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システム及び光ファイバ断心位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバの断心位置を特定するために、断心している光ファイバから、通信疎通障害が発生している光通信装置を、コネクタを外して切り離し、光ファイバ線路測定器(以下、OTDR(Optical Time Domain Reflector)という。)を接続して、断線位置までの距離を測定していた。
【0003】
図7及び図8に示すように、光通信装置101の光−電気変換部は、レーザダイオード駆動回路102と、レーザダイオード103と、フォトダイオード104と、増幅回路105と、波形成形回路106とを有している。光通信装置101は、例えば、PCM多重変換部に接続され、PCM多重変換部から電気信号を入力部taを介してレーザダイオード駆動回路102に送られ、波形成形回路106からの出力は、出力部tbを介してPCM多重変換部へ送られる。また、図9及び図10に示すように、OTDR107は、信号処理部108と、レーザダイオード109と、光カプラ110と、受光部111と、表示部112とを有している。
【0004】
光ファイバ断心に伴って通信回線のサービス停止(通信疎通障害)が発生すると、まず、断心している光ファイバに接続している光通信装置101を、光ファイバコネクタを外して切り離す。対向局の光通信装置においても同様である。次に、光ファイバコネクタにOTDR107を接続して、断心位置までの距離を測定する。次に、測定結果に基づいて、光ファイバの断心箇所を修理する。次に、再度、OTDR107を用いて、断心箇所の正常性を確認する。次に、光ファイバコネクタに光通信装置101を接続して通信疎通を確認する。
【0005】
しかしながら、OTDR107を人手で接続していては測定開始まで時間がかかるため、受信したアラーム信号に基づいて、障害が発生した光ファイバを特定し、この光ファイバを試験対象として選択して光パルスを入射し、OTDR波形を観測して、光ファイバの障害発生位置を判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、光ファイバを特定するためのアラーム信号は、例えば、ネットワーク監視装置から供給される。また、ネットワーク監視装置は、光信号伝送装置内のモニターユニットから出力される機器監視情報に基づいて異常を判定した場合にアラーム信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−71573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術において、例えば、上記モニターユニットは、全ての光信号伝送装置に設けられているとは限らないため、監視システムとして複雑化する上に光ファイバ特定の確実性が問題となる。
【0008】
この発明は、前記の課題を解決し、光ファイバの心線の断心位置を確実にかつ迅速に特定することができる光ファイバ断心位置特定システム及び光ファイバ断心位置特定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明では、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方に設けられた断心位置特定手段は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバが、前記第1の光信号送信手段若しくは前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段若しくは前記第2の光信号受信手段と接続された状態から、前記断心位置特定手段と接続された状態へ、切換手段によって切り換えられることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記切換手段は、前記断心位置特定手段が、断心有りの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに接続している場合に、前記第1の光信号送信手段及び前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段及び前記第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバとは非接続状態とすることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光信号受信手段又は前記第2の光信号受信手段に接続され、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、前記切換手段に供給するアラーム情報生成手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記断心位置特定手段にネットワークを介して接続され、作業員が用いる作業員用端末を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項6の発明は第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定方法であって、前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段、第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方に設けられた断心位置特定手段は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定するので、光ファイバの心線の断心位置を、確実にかつ迅速に特定することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、断心位置特定手段は、切換手段によって、第1の光ファイバ又は第2の光ファイバに接続されるので、断心位置特定手段を対象の光ファイバに確実に接続させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第1の光信号送信手段及び第1の光信号受信手段、又は第2の光信号送信手段及び第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの第1の光ファイバ又は第2の光ファイバから切り離すので、機器を保護することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、アラーム情報生成手段は、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、切換手段に供給するので、アラーム情報に基づいて、断心位置特定手段を対象の光ファイバに接続して、迅速に断心位置を特定することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、断心位置特定手段に作業員用端末が接続されるので、作業員は、断心箇所の復旧を迅速に行うことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段が、第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行するので、光ファイバの心線の断心箇所を、確実にかつ迅速に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図2】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図4】同光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図5】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図6】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図7】従来技術を説明するための説明図である。
【図8】従来技術を説明するための説明図である。
【図9】従来技術を説明するための説明図である。
【図10】従来技術を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図、図2は、同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【0025】
図1に示すように、この実施の形態の光ファイバ断心検出システム1は、対応する一方の通信局に配置される光通信装置2aと、他方の通信局に配置された光通信装置2bとが、光ファイバ3,4を含む光ケーブルによって接続されて概略構成されている。ここで、光ファイバ3は、光通信装置2aの送信側と光通信装置2bの受信側とを、光ファイバ4は、光通信装置2aの受信側と光通信装置2bの送信側とを、それぞれ接続している。また、光通信装置2a,2bは、それぞれ、PCM多重変換部5a,5bに接続されている。
【0026】
光通信装置2aは、図1に示すように、制御回路7aと、切換回路8aと、光受信アラーム回路9aと、レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aと、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aと、信号処理部16aと、光カプラ17aと、受光部18aとを有している。
【0027】
ここで、制御回路7aと、切換回路8aとは、切換手段として機能する。レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aと、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aとは、第1の光信号送信手段を構成している。また、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aとは、第1の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード12aと、信号処理部16aと、光カプラ17aと、受光部18aとは、OTDR(断線位置特定手段)を構成している。レーザダイオード12aは共用される。
【0028】
制御回路7aは、図1及び図2に示すように、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合に、光受信アラーム回路9aからアラーム信号a2を受け、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号a3を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号a4を供給する。
【0029】
切換回路8aは、レーザダイオード12aを、レーザダイオード駆動回路11a又は信号処理部16aに、制御回路7aの制御によって切り換えて接続する。光受信アラーム回路9aは、フォトダイオード13aに接続され、フォトダイオード13aから所定の出力が得られない場合に、アラーム信号a2を制御回路7aへ供給する。レーザダイオード駆動回路11aは、PCM多重変換部5aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12aを駆動する。波形成形回路15aは、増幅回路14aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5aへ送る。
【0030】
信号処理部16aは、制御回路7aの制御によって、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定して、断心位置情報a5を監視システム21aへ送る。監視システム21aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報a5は、作業員端末へも送られる。なお、光通信装置2aに通信部を設け、断心位置情報a5を信号処理部16aからこの通信部を介して作業員端末へ送るように構成しても良い。
【0031】
光通信装置2bは、図1に示すように、制御回路7bと、切換回路8bと、光受信アラーム回路9bと、レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bと、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bと、信号処理部16bと、光カプラ17bと、受光部18bとを有している。
【0032】
ここで、制御回路7bと、切換回路8bとは、切換手段を構成している。レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bと、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bとは、第2の光信号送信手段を構成している。
【0033】
また、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bとは、第2の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード12bと、信号処理部16bと、光カプラ17bと、受光部18bとは、OTDR(断心位置特定手段)を構成している。レーザダイオード12bは共用される。
【0034】
制御回路7bは、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合に、光受信アラーム回路9bから、アラーム信号が供給されたときに、レーザダイオード12bを、信号処理部16bに切り換えて接続させるためのトリガー信号を切換回路8bへ供給するとともに、信号処理部16bにOTDR機能を起動させるための制御信号を供給する。
【0035】
切換回路8bは、レーザダイオード12bを、レーザダイオード駆動回路11b又は信号処理部16bに、制御回路7bの制御によって切り換えて接続する。光受信アラーム回路9bは、フォトダイオード13bに接続され、フォトダイオード13bから所定の出力が得られない場合に、アラーム信号を制御回路7bへ供給する。レーザダイオード駆動回路11bは、PCM多重変換部5bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12bを駆動する。波形成形回路15bは、増幅回路14bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5bへ送る。
【0036】
信号処理部16bは、制御回路7bの制御によって、レーザダイオード12bを駆動してパルス光を出射させて、受光部18bを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。
【0037】
次に、図1及び図2を参照して、光ファイバ断心検出システム1の動作について説明する。光通信装置2aにおいて、通常時は、切換回路8aは、レーザダイオード12aを、レーザダイオード駆動回路11aに接続する。レーザダイオード駆動回路11aは、PCM多重変換部5aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12aを駆動する。また、フォトダイオード13aは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路14aに送る。波形成形回路15aは、増幅回路14aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5aへ送る。以上の通常時の動作は、光通信装置2bにおいても同様である、
【0038】
図1及び図2に示すように、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合には、光通信装置2aにおいて、光受信アラーム回路9aは、フォトダイオード13aから所定の出力が得られない場合は、アラーム信号a2を制御回路7aへ供給する。
【0039】
制御回路7aは、光受信アラーム回路9aから、アラーム信号a2が供給されると、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号a3を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号a4を供給する。
【0040】
切換回路8aは、レーザダイオード12aを、信号処理部16aに、制御回路7aの制御によって切り換えて接続する。信号処理部16aは、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置(Ka)を特定して、断心位置情報a5を監視システム21aへ送る。
【0041】
以上の断心時の動作は光通信装置2bにおいても同様に、断心位置(Kb)を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。断心位置情報は、作業員が用いる作業員端末へも送られる。作業員は、断心位置情報に基づいて、現場へ出動して断心箇所を復旧した後、再度、断心箇所の正常性を確認する。さらに、復旧した後の通信疎通を確認する。
【0042】
また、光通信装置2aと光通信装置2bとの間の一対の光ファイバ3,4の断心時の断心位置特定について述べたが、単数又は複数の光ケーブルを構成する複数対の又は全部の光ファイバについて、同様に断心位置特定を行っても良い。
【0043】
こうして、この実施の形態の構成によれば、断心時には、制御回路7a(7b)の制御により、信号処理部16a(16b)が断心位置を測定するので、光ファイバの心線の断心位置を確実にかつ迅速に特定することができる。したがって、光通信回線の疎通障害時間を短縮することができる。
【0044】
また、光受信アラーム回路9a(9b)は、フォトダイオード13a(13b)に接続され、フォトダイオード13a(13b)から所定の出力が得られない場合に、アラーム信号を制御回路7a(7b)へ供給するので、制御回路7a(7b)は、アラーム信号に基づいて、切換回路8a(8b)を制御して、迅速に断心位置を特定することができる。また、作業員端末へ断線位置情報が供給されるので、作業員は、断心箇所の復旧を迅速に行うことができる。
【0045】
(実施の形態2)
図3及び図4は、この発明の実施の形態2による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図、図5及び図6は、同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【0046】
図3及び図4に示すように、この実施の形態の光ファイバ断心検出システム1Aは、対応する一方の通信局に配置される光通信装置23aと、他方の通信局に配置された光通信装置23bとが、光ファイバ24,25を含む光ケーブルによって接続されて概略構成されている。ここで、光ファイバ24は、光通信装置23aの送信側と光通信装置23bの受信側とを、光ファイバ25は、光通信装置23aの受信側と光通信装置23bの送信側とを、それぞれ接続している。また、光通信装置23a,23bは、それぞれ、PCM多重変換部26a,26bに接続されている。
【0047】
光通信装置23aは、図3及び図4に示すように、制御回路28aと、第1切換回路29aと、第2切換回路31aと、第3切換回路32aと、光受信アラーム回路33aと、レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aと、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aと、信号処理部39aと、光カプラ41aと、受光部42aとを有している。
【0048】
ここで、制御回路28aと、第1切換回路29aと、第2切換回路31aと、第3切換回路32aとは、切換手段を構成している。レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aと、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aとは、第1の光信号送信手段を構成している。
【0049】
また、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aとは、第1の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード35aと、信号処理部39aと、光カプラ41aと、受光部42aとは、OTDR(断線位置特定手段)を構成している。レーザダイオード35aは共用される。
【0050】
制御回路28aは、図3及び図5に示すように、光ファイバ24が断心箇所Kcで断心した場合に、PCM多重変換部26aからアラーム信号c1が供給されたときに、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c2を供給するとともに、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c3を供給する。また、制御回路28aは、第2の切換回路31aを、送信側に切り換え、第3切換回路32aを、第2の切換回路31a側に切り換える。
【0051】
また、制御回路28aは、図4及び図6に示すように、光ファイバ25が断心箇所Kdで断心した場合に、光受信アラーム回路33aから、アラーム信号c6が供給されたときに、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c7を供給し、第2切換回路31aに、受信側に切り換えるためのトリガー信号c8を供給し、第3切換回路32aに第2切換回路31a側に切り換えるためのトリガー信号c9を供給し、かつ、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c10を供給する。
【0052】
第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、レーザダイオード駆動回路34a又は信号処理部39aに、制御回路28aの制御によって切り換えて接続する。第2切換回路31aは、制御回路28aの制御によって、光カプラ41aを送信側又は受信側に切り換えて接続する。第3切換回路32aは、制御回路28aの制御によって、受信側をフォトダイオード36a又は第2の切換回路31a側に切り換えて接続する。
【0053】
レーザダイオード駆動回路34aは、PCM多重変換部26aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35aを駆動する。波形成形回路38aは、増幅回路37aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26aへ送る。
【0054】
信号処理部39aは、制御回路28aの制御によって、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定し、断心位置情報c11を監視システム44aへ送る。監視システム44aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報c11は、作業員端末へも送られる。
【0055】
光通信装置23bは、レーザダイオード駆動回路34bと、レーザダイオード35bと、フォトダイオード36bと、増幅回路37bと、波形成形回路38bとを有している。ここで、レーザダイオード駆動回路34bと、レーザダイオード35bとは、第2の光信号送信手段を構成している。また、フォトダイオード36bと、増幅回路37bと、波形成形回路38bとは、第2の光信号受信手段を構成している。レーザダイオード駆動回路34bは、PCM多重変換部26bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35bを駆動する。波形成形回路38bは、増幅回路37bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26bへ送る。
【0056】
次に、図3乃至図6を参照して、光ファイバ断心検出システム1Aの動作について説明する。通常時は、光通信装置23aにおいては、第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、レーザダイオード駆動回路34aに接続する。また、第2切換回路31aは、光カプラ41aを送信側と接続状態とする。
【0057】
また、第3切換回路32aは、フォトダイオード36aを受信側と接続状態とする。レーザダイオード駆動回路34aは、PCM多重変換部26aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35aを駆動する。また、フォトダイオード36aは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路37aに送る。波形成形回路38aは、増幅回路37aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26aへ送る。
【0058】
光通信装置23bにおいては、レーザダイオード駆動回路34bは、PCM多重変換部26bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35bを駆動する。また、フォトダイオード36bは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路37bに送る。波形成形回路38bは、増幅回路37bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26bへ送る。
【0059】
図3及び図5に示すように、光ファイバ24が断心箇所Kcで断心した場合には、PCM多重変換部26bは、波形成形回路38bから受信信号を得られず、アラームが発生し、アラーム信号を主信号に重畳して、レーザダイオード駆動回路34bへ電気信号を供給する。光通信装置23bからは、光ケーブル25を介してアラーム信号b1を含む信号が、光通信装置23aへ送られ、PCM多重変換部26aは、主信号からアラーム信号b1を抽出し、このアラーム信号をPCM多重変換部26aの警報回路へ転送し、かつ、制御回路28aへアラーム信号c1を送る。
【0060】
制御回路28aは、PCM多重変換部26aからアラーム信号c1が供給されると、第1切換回路29aに、レーザダイオード35aを信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c2を供給するとともに、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c3を供給する。また、制御回路28aは、第2の切換回路31aを、送信側に切り換え、第3切換回路32aを、第2の切換回路31a側に切り換える。
【0061】
第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、信号処理部39aに、制御回路28aの制御によって切り換えて接続する。信号処理部39aは、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光して、OTDR波形を得て、断心位置を特定して、断心位置情報c4を監視システム44aへ送る。
【0062】
図4及び図6に示すように、光ファイバ25が断心箇所Kdで断心した場合には、光通信装置23aにおいて、光受信アラーム回路33aは、フォトダイオード36aから所定の出力が得られず、アラーム信号c6を制御回路28aへ供給する。
【0063】
また、制御回路28aは、光受信アラーム回路33aからアラーム信号c6が供給されると、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c7を供給し、第2切換回路31aに、光カプラ41aを送信側から切り離す側に切り換えるためのトリガー信号c8を供給し、第3切換回路32aに、フォトダイオード36aを受信側から切り離す側に切り換えるためのトリガー信号c9を供給し、かつ、信号処理部39aにOTDR機能を起動させるための制御信号c10を供給する。
【0064】
こうして、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させ、第2切換回路31aは、光カプラ41aを受信側に切り換え、第3切換回路32aは、受信側を第2切換回路31a側に接続する。信号処理部39aは、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定し、断心位置情報c11を監視システム44aへ送る。
【0065】
監視システム44aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報c11は、作業員端末へも送られる。作業員は、断心箇所を復旧し、復旧した後の通信疎通を確認する。また、光ファイバ24,25がともに断心した場合も、第2切換回路31a及び第3の切換回路32aを切り換えることによって、両方の断心位置を特定することができる。なお、OTDR機能は、光通信装置23aと光通信装置23bとの両方が有していてもよい。
【0066】
この実施の形態の構成によれば、第1切換回路29a、第2切換回路31a、第3切換回路32aを切り換えることによって、光ファイバ24,25の断線位置を、確実にかつ迅速に特定することができる。また、心線単位で断線位置を特定することができる。また、断心時には、制御回路28aがOTDR機能に切り換えるとともに、対向局の光通信装置と切り離すので、機器を保護することができる。
【0067】
以上、この発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、複数対の光ファイバに対応させて、OTDR機能を共通化するようにし、対象の光ケーブルを切り換えて接続するようにしても良い。また、例えば、光ファイバの両端側の光通信装置から、対象の同一の光ファイバに時間をずらして光パルスを入射して、光ファイバの両端側からOTDR波形を観測して、光ファイバの断心位置を特定するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
専用線のほか、OPGW等の特に重要回線の光ケーブルに適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 光ファイバ断心検出システム(光ファイバ断心位置特定システム)
2a,23a 光通信装置(第1の光通信装置)
2b,23b 光通信装置(第2の光通信装置)
3,24 光ファイバ(第1の光ファイバ)
4,25 光ファイバ(第2の光ファイバ)
7a,7b,28a 制御回路(切換手段の一部)
9a,9b,33a 光受信アラーム回路(アラーム情報生成手段)
12a,35a レーザダイオード(第1の光信号送信手段の一部)
12b,35b レーザダイオード(第2の光信号送信手段の一部)
13a,36a フォトダイオード(第1の光信号受信手段の一部)
13b,36b フォトダイオード(第2の光信号受信手段の一部)
16a,16b,39a 信号処理部(断心位置特定手段の一部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システム及び光ファイバ断心位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバの断心位置を特定するために、断心している光ファイバから、通信疎通障害が発生している光通信装置を、コネクタを外して切り離し、光ファイバ線路測定器(以下、OTDR(Optical Time Domain Reflector)という。)を接続して、断線位置までの距離を測定していた。
【0003】
図7及び図8に示すように、光通信装置101の光−電気変換部は、レーザダイオード駆動回路102と、レーザダイオード103と、フォトダイオード104と、増幅回路105と、波形成形回路106とを有している。光通信装置101は、例えば、PCM多重変換部に接続され、PCM多重変換部から電気信号を入力部taを介してレーザダイオード駆動回路102に送られ、波形成形回路106からの出力は、出力部tbを介してPCM多重変換部へ送られる。また、図9及び図10に示すように、OTDR107は、信号処理部108と、レーザダイオード109と、光カプラ110と、受光部111と、表示部112とを有している。
【0004】
光ファイバ断心に伴って通信回線のサービス停止(通信疎通障害)が発生すると、まず、断心している光ファイバに接続している光通信装置101を、光ファイバコネクタを外して切り離す。対向局の光通信装置においても同様である。次に、光ファイバコネクタにOTDR107を接続して、断心位置までの距離を測定する。次に、測定結果に基づいて、光ファイバの断心箇所を修理する。次に、再度、OTDR107を用いて、断心箇所の正常性を確認する。次に、光ファイバコネクタに光通信装置101を接続して通信疎通を確認する。
【0005】
しかしながら、OTDR107を人手で接続していては測定開始まで時間がかかるため、受信したアラーム信号に基づいて、障害が発生した光ファイバを特定し、この光ファイバを試験対象として選択して光パルスを入射し、OTDR波形を観測して、光ファイバの障害発生位置を判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、光ファイバを特定するためのアラーム信号は、例えば、ネットワーク監視装置から供給される。また、ネットワーク監視装置は、光信号伝送装置内のモニターユニットから出力される機器監視情報に基づいて異常を判定した場合にアラーム信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−71573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術において、例えば、上記モニターユニットは、全ての光信号伝送装置に設けられているとは限らないため、監視システムとして複雑化する上に光ファイバ特定の確実性が問題となる。
【0008】
この発明は、前記の課題を解決し、光ファイバの心線の断心位置を確実にかつ迅速に特定することができる光ファイバ断心位置特定システム及び光ファイバ断心位置特定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明では、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方に設けられた断心位置特定手段は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバが、前記第1の光信号送信手段若しくは前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段若しくは前記第2の光信号受信手段と接続された状態から、前記断心位置特定手段と接続された状態へ、切換手段によって切り換えられることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記切換手段は、前記断心位置特定手段が、断心有りの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに接続している場合に、前記第1の光信号送信手段及び前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段及び前記第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバとは非接続状態とすることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記第1の光信号受信手段又は前記第2の光信号受信手段に接続され、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、前記切換手段に供給するアラーム情報生成手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の光ファイバ断心位置特定システムであって、前記断心位置特定手段にネットワークを介して接続され、作業員が用いる作業員用端末を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項6の発明は第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定方法であって、前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段、第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方に設けられた断心位置特定手段は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定するので、光ファイバの心線の断心位置を、確実にかつ迅速に特定することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、断心位置特定手段は、切換手段によって、第1の光ファイバ又は第2の光ファイバに接続されるので、断心位置特定手段を対象の光ファイバに確実に接続させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第1の光信号送信手段及び第1の光信号受信手段、又は第2の光信号送信手段及び第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの第1の光ファイバ又は第2の光ファイバから切り離すので、機器を保護することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、アラーム情報生成手段は、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、切換手段に供給するので、アラーム情報に基づいて、断心位置特定手段を対象の光ファイバに接続して、迅速に断心位置を特定することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、断心位置特定手段に作業員用端末が接続されるので、作業員は、断心箇所の復旧を迅速に行うことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、第1の光通信装置では、第1の光信号送信手段が第1の光ファイバに接続され、第1の光信号受信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光通信装置では、第2の光信号送信手段が第2の光ファイバに接続され、第2の光信号受信手段が、第1の光ファイバに接続され、第1の光通信装置と第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行するので、光ファイバの心線の断心箇所を、確実にかつ迅速に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図2】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図4】同光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図である。
【図5】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図6】同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【図7】従来技術を説明するための説明図である。
【図8】従来技術を説明するための説明図である。
【図9】従来技術を説明するための説明図である。
【図10】従来技術を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図、図2は、同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【0025】
図1に示すように、この実施の形態の光ファイバ断心検出システム1は、対応する一方の通信局に配置される光通信装置2aと、他方の通信局に配置された光通信装置2bとが、光ファイバ3,4を含む光ケーブルによって接続されて概略構成されている。ここで、光ファイバ3は、光通信装置2aの送信側と光通信装置2bの受信側とを、光ファイバ4は、光通信装置2aの受信側と光通信装置2bの送信側とを、それぞれ接続している。また、光通信装置2a,2bは、それぞれ、PCM多重変換部5a,5bに接続されている。
【0026】
光通信装置2aは、図1に示すように、制御回路7aと、切換回路8aと、光受信アラーム回路9aと、レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aと、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aと、信号処理部16aと、光カプラ17aと、受光部18aとを有している。
【0027】
ここで、制御回路7aと、切換回路8aとは、切換手段として機能する。レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aと、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路11aと、レーザダイオード12aとは、第1の光信号送信手段を構成している。また、フォトダイオード13aと、増幅回路14aと、波形成形回路15aとは、第1の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード12aと、信号処理部16aと、光カプラ17aと、受光部18aとは、OTDR(断線位置特定手段)を構成している。レーザダイオード12aは共用される。
【0028】
制御回路7aは、図1及び図2に示すように、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合に、光受信アラーム回路9aからアラーム信号a2を受け、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号a3を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号a4を供給する。
【0029】
切換回路8aは、レーザダイオード12aを、レーザダイオード駆動回路11a又は信号処理部16aに、制御回路7aの制御によって切り換えて接続する。光受信アラーム回路9aは、フォトダイオード13aに接続され、フォトダイオード13aから所定の出力が得られない場合に、アラーム信号a2を制御回路7aへ供給する。レーザダイオード駆動回路11aは、PCM多重変換部5aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12aを駆動する。波形成形回路15aは、増幅回路14aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5aへ送る。
【0030】
信号処理部16aは、制御回路7aの制御によって、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定して、断心位置情報a5を監視システム21aへ送る。監視システム21aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報a5は、作業員端末へも送られる。なお、光通信装置2aに通信部を設け、断心位置情報a5を信号処理部16aからこの通信部を介して作業員端末へ送るように構成しても良い。
【0031】
光通信装置2bは、図1に示すように、制御回路7bと、切換回路8bと、光受信アラーム回路9bと、レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bと、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bと、信号処理部16bと、光カプラ17bと、受光部18bとを有している。
【0032】
ここで、制御回路7bと、切換回路8bとは、切換手段を構成している。レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bと、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路11bと、レーザダイオード12bとは、第2の光信号送信手段を構成している。
【0033】
また、フォトダイオード13bと、増幅回路14bと、波形成形回路15bとは、第2の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード12bと、信号処理部16bと、光カプラ17bと、受光部18bとは、OTDR(断心位置特定手段)を構成している。レーザダイオード12bは共用される。
【0034】
制御回路7bは、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合に、光受信アラーム回路9bから、アラーム信号が供給されたときに、レーザダイオード12bを、信号処理部16bに切り換えて接続させるためのトリガー信号を切換回路8bへ供給するとともに、信号処理部16bにOTDR機能を起動させるための制御信号を供給する。
【0035】
切換回路8bは、レーザダイオード12bを、レーザダイオード駆動回路11b又は信号処理部16bに、制御回路7bの制御によって切り換えて接続する。光受信アラーム回路9bは、フォトダイオード13bに接続され、フォトダイオード13bから所定の出力が得られない場合に、アラーム信号を制御回路7bへ供給する。レーザダイオード駆動回路11bは、PCM多重変換部5bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12bを駆動する。波形成形回路15bは、増幅回路14bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5bへ送る。
【0036】
信号処理部16bは、制御回路7bの制御によって、レーザダイオード12bを駆動してパルス光を出射させて、受光部18bを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。
【0037】
次に、図1及び図2を参照して、光ファイバ断心検出システム1の動作について説明する。光通信装置2aにおいて、通常時は、切換回路8aは、レーザダイオード12aを、レーザダイオード駆動回路11aに接続する。レーザダイオード駆動回路11aは、PCM多重変換部5aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード12aを駆動する。また、フォトダイオード13aは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路14aに送る。波形成形回路15aは、増幅回路14aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部5aへ送る。以上の通常時の動作は、光通信装置2bにおいても同様である、
【0038】
図1及び図2に示すように、光ファイバ3が断心箇所Kaで、光ファイバ4が断心箇所Kbでともに断心した場合には、光通信装置2aにおいて、光受信アラーム回路9aは、フォトダイオード13aから所定の出力が得られない場合は、アラーム信号a2を制御回路7aへ供給する。
【0039】
制御回路7aは、光受信アラーム回路9aから、アラーム信号a2が供給されると、切換回路8aにレーザダイオード12aを、信号処理部16aに切り換えて接続させるためのトリガー信号a3を供給するとともに、信号処理部16aにOTDRとして起動させるための制御信号a4を供給する。
【0040】
切換回路8aは、レーザダイオード12aを、信号処理部16aに、制御回路7aの制御によって切り換えて接続する。信号処理部16aは、レーザダイオード12aを駆動してパルス光を出射させて、受光部18aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て、断心位置(Ka)を特定して、断心位置情報a5を監視システム21aへ送る。
【0041】
以上の断心時の動作は光通信装置2bにおいても同様に、断心位置(Kb)を特定して、断心位置情報を監視システムへ送る。断心位置情報は、作業員が用いる作業員端末へも送られる。作業員は、断心位置情報に基づいて、現場へ出動して断心箇所を復旧した後、再度、断心箇所の正常性を確認する。さらに、復旧した後の通信疎通を確認する。
【0042】
また、光通信装置2aと光通信装置2bとの間の一対の光ファイバ3,4の断心時の断心位置特定について述べたが、単数又は複数の光ケーブルを構成する複数対の又は全部の光ファイバについて、同様に断心位置特定を行っても良い。
【0043】
こうして、この実施の形態の構成によれば、断心時には、制御回路7a(7b)の制御により、信号処理部16a(16b)が断心位置を測定するので、光ファイバの心線の断心位置を確実にかつ迅速に特定することができる。したがって、光通信回線の疎通障害時間を短縮することができる。
【0044】
また、光受信アラーム回路9a(9b)は、フォトダイオード13a(13b)に接続され、フォトダイオード13a(13b)から所定の出力が得られない場合に、アラーム信号を制御回路7a(7b)へ供給するので、制御回路7a(7b)は、アラーム信号に基づいて、切換回路8a(8b)を制御して、迅速に断心位置を特定することができる。また、作業員端末へ断線位置情報が供給されるので、作業員は、断心箇所の復旧を迅速に行うことができる。
【0045】
(実施の形態2)
図3及び図4は、この発明の実施の形態2による光ファイバ断心検出システムの構成及び機能を説明するためのブロック図、図5及び図6は、同光ファイバ断心検出システムの機能を説明するための説明図である。
【0046】
図3及び図4に示すように、この実施の形態の光ファイバ断心検出システム1Aは、対応する一方の通信局に配置される光通信装置23aと、他方の通信局に配置された光通信装置23bとが、光ファイバ24,25を含む光ケーブルによって接続されて概略構成されている。ここで、光ファイバ24は、光通信装置23aの送信側と光通信装置23bの受信側とを、光ファイバ25は、光通信装置23aの受信側と光通信装置23bの送信側とを、それぞれ接続している。また、光通信装置23a,23bは、それぞれ、PCM多重変換部26a,26bに接続されている。
【0047】
光通信装置23aは、図3及び図4に示すように、制御回路28aと、第1切換回路29aと、第2切換回路31aと、第3切換回路32aと、光受信アラーム回路33aと、レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aと、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aと、信号処理部39aと、光カプラ41aと、受光部42aとを有している。
【0048】
ここで、制御回路28aと、第1切換回路29aと、第2切換回路31aと、第3切換回路32aとは、切換手段を構成している。レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aと、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aとは、光通信装置の光−電気変換部を構成している。このうち、レーザダイオード駆動回路34aと、レーザダイオード35aとは、第1の光信号送信手段を構成している。
【0049】
また、フォトダイオード36aと、増幅回路37aと、波形成形回路38aとは、第1の光信号受信手段を構成している。また、レーザダイオード35aと、信号処理部39aと、光カプラ41aと、受光部42aとは、OTDR(断線位置特定手段)を構成している。レーザダイオード35aは共用される。
【0050】
制御回路28aは、図3及び図5に示すように、光ファイバ24が断心箇所Kcで断心した場合に、PCM多重変換部26aからアラーム信号c1が供給されたときに、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c2を供給するとともに、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c3を供給する。また、制御回路28aは、第2の切換回路31aを、送信側に切り換え、第3切換回路32aを、第2の切換回路31a側に切り換える。
【0051】
また、制御回路28aは、図4及び図6に示すように、光ファイバ25が断心箇所Kdで断心した場合に、光受信アラーム回路33aから、アラーム信号c6が供給されたときに、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c7を供給し、第2切換回路31aに、受信側に切り換えるためのトリガー信号c8を供給し、第3切換回路32aに第2切換回路31a側に切り換えるためのトリガー信号c9を供給し、かつ、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c10を供給する。
【0052】
第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、レーザダイオード駆動回路34a又は信号処理部39aに、制御回路28aの制御によって切り換えて接続する。第2切換回路31aは、制御回路28aの制御によって、光カプラ41aを送信側又は受信側に切り換えて接続する。第3切換回路32aは、制御回路28aの制御によって、受信側をフォトダイオード36a又は第2の切換回路31a側に切り換えて接続する。
【0053】
レーザダイオード駆動回路34aは、PCM多重変換部26aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35aを駆動する。波形成形回路38aは、増幅回路37aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26aへ送る。
【0054】
信号処理部39aは、制御回路28aの制御によって、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定し、断心位置情報c11を監視システム44aへ送る。監視システム44aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報c11は、作業員端末へも送られる。
【0055】
光通信装置23bは、レーザダイオード駆動回路34bと、レーザダイオード35bと、フォトダイオード36bと、増幅回路37bと、波形成形回路38bとを有している。ここで、レーザダイオード駆動回路34bと、レーザダイオード35bとは、第2の光信号送信手段を構成している。また、フォトダイオード36bと、増幅回路37bと、波形成形回路38bとは、第2の光信号受信手段を構成している。レーザダイオード駆動回路34bは、PCM多重変換部26bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35bを駆動する。波形成形回路38bは、増幅回路37bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26bへ送る。
【0056】
次に、図3乃至図6を参照して、光ファイバ断心検出システム1Aの動作について説明する。通常時は、光通信装置23aにおいては、第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、レーザダイオード駆動回路34aに接続する。また、第2切換回路31aは、光カプラ41aを送信側と接続状態とする。
【0057】
また、第3切換回路32aは、フォトダイオード36aを受信側と接続状態とする。レーザダイオード駆動回路34aは、PCM多重変換部26aからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35aを駆動する。また、フォトダイオード36aは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路37aに送る。波形成形回路38aは、増幅回路37aから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26aへ送る。
【0058】
光通信装置23bにおいては、レーザダイオード駆動回路34bは、PCM多重変換部26bからの電気信号に基づいて、レーザダイオード35bを駆動する。また、フォトダイオード36bは、受信した光信号を電気信号に変換して増幅回路37bに送る。波形成形回路38bは、増幅回路37bから受け取った電気信号を成形して、PCM多重変換部26bへ送る。
【0059】
図3及び図5に示すように、光ファイバ24が断心箇所Kcで断心した場合には、PCM多重変換部26bは、波形成形回路38bから受信信号を得られず、アラームが発生し、アラーム信号を主信号に重畳して、レーザダイオード駆動回路34bへ電気信号を供給する。光通信装置23bからは、光ケーブル25を介してアラーム信号b1を含む信号が、光通信装置23aへ送られ、PCM多重変換部26aは、主信号からアラーム信号b1を抽出し、このアラーム信号をPCM多重変換部26aの警報回路へ転送し、かつ、制御回路28aへアラーム信号c1を送る。
【0060】
制御回路28aは、PCM多重変換部26aからアラーム信号c1が供給されると、第1切換回路29aに、レーザダイオード35aを信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c2を供給するとともに、信号処理部39aにOTDRとして起動させるための制御信号c3を供給する。また、制御回路28aは、第2の切換回路31aを、送信側に切り換え、第3切換回路32aを、第2の切換回路31a側に切り換える。
【0061】
第1切換回路29aは、レーザダイオード35aを、信号処理部39aに、制御回路28aの制御によって切り換えて接続する。信号処理部39aは、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光して、OTDR波形を得て、断心位置を特定して、断心位置情報c4を監視システム44aへ送る。
【0062】
図4及び図6に示すように、光ファイバ25が断心箇所Kdで断心した場合には、光通信装置23aにおいて、光受信アラーム回路33aは、フォトダイオード36aから所定の出力が得られず、アラーム信号c6を制御回路28aへ供給する。
【0063】
また、制御回路28aは、光受信アラーム回路33aからアラーム信号c6が供給されると、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させるためのトリガー信号c7を供給し、第2切換回路31aに、光カプラ41aを送信側から切り離す側に切り換えるためのトリガー信号c8を供給し、第3切換回路32aに、フォトダイオード36aを受信側から切り離す側に切り換えるためのトリガー信号c9を供給し、かつ、信号処理部39aにOTDR機能を起動させるための制御信号c10を供給する。
【0064】
こうして、第1切換回路29aにレーザダイオード35aを、信号処理部39aに切り換えて接続させ、第2切換回路31aは、光カプラ41aを受信側に切り換え、第3切換回路32aは、受信側を第2切換回路31a側に接続する。信号処理部39aは、レーザダイオード35aを駆動してパルス光を出射させて、受光部42aを介して後方散乱光を受光し、OTDR波形を得て断心位置を特定し、断心位置情報c11を監視システム44aへ送る。
【0065】
監視システム44aは、保守作業を行う作業員が用いる作業員端末を含み、断心位置情報c11は、作業員端末へも送られる。作業員は、断心箇所を復旧し、復旧した後の通信疎通を確認する。また、光ファイバ24,25がともに断心した場合も、第2切換回路31a及び第3の切換回路32aを切り換えることによって、両方の断心位置を特定することができる。なお、OTDR機能は、光通信装置23aと光通信装置23bとの両方が有していてもよい。
【0066】
この実施の形態の構成によれば、第1切換回路29a、第2切換回路31a、第3切換回路32aを切り換えることによって、光ファイバ24,25の断線位置を、確実にかつ迅速に特定することができる。また、心線単位で断線位置を特定することができる。また、断心時には、制御回路28aがOTDR機能に切り換えるとともに、対向局の光通信装置と切り離すので、機器を保護することができる。
【0067】
以上、この発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、複数対の光ファイバに対応させて、OTDR機能を共通化するようにし、対象の光ケーブルを切り換えて接続するようにしても良い。また、例えば、光ファイバの両端側の光通信装置から、対象の同一の光ファイバに時間をずらして光パルスを入射して、光ファイバの両端側からOTDR波形を観測して、光ファイバの断心位置を特定するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
専用線のほか、OPGW等の特に重要回線の光ケーブルに適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 光ファイバ断心検出システム(光ファイバ断心位置特定システム)
2a,23a 光通信装置(第1の光通信装置)
2b,23b 光通信装置(第2の光通信装置)
3,24 光ファイバ(第1の光ファイバ)
4,25 光ファイバ(第2の光ファイバ)
7a,7b,28a 制御回路(切換手段の一部)
9a,9b,33a 光受信アラーム回路(アラーム情報生成手段)
12a,35a レーザダイオード(第1の光信号送信手段の一部)
12b,35b レーザダイオード(第2の光信号送信手段の一部)
13a,36a フォトダイオード(第1の光信号受信手段の一部)
13b,36b フォトダイオード(第2の光信号受信手段の一部)
16a,16b,39a 信号処理部(断心位置特定手段の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システムであって、
前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、
前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、
前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定手段を有する
ことを特徴とする光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項2】
前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバが、前記第1の光信号送信手段若しくは前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段若しくは前記第2の光信号受信手段と接続された状態から、前記断心位置特定手段と接続された状態へ、切換手段によって切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項3】
前記切換手段は、前記断心位置特定手段が、断心有りの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに接続している場合に、前記第1の光信号送信手段及び前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段及び前記第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバとは非接続状態とすることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項4】
前記第1の光信号受信手段又は前記第2の光信号受信手段に接続され、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、前記切換手段に供給するアラーム情報生成手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項5】
前記断心位置特定手段にネットワークを介して接続され、作業員が用いる作業員用端末を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項6】
第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定方法であって、
前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、
前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、
前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行する
ことを特徴とする光ファイバ断心位置特定方法。
【請求項1】
第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定システムであって、
前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、
前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、
前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定手段を有する
ことを特徴とする光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項2】
前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバが、前記第1の光信号送信手段若しくは前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段若しくは前記第2の光信号受信手段と接続された状態から、前記断心位置特定手段と接続された状態へ、切換手段によって切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項3】
前記切換手段は、前記断心位置特定手段が、断心有りの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバに接続している場合に、前記第1の光信号送信手段及び前記第1の光信号受信手段、又は前記第2の光信号送信手段及び前記第2の光信号受信手段のうち、少なくとも一部を、断線無しの前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバとは非接続状態とすることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項4】
前記第1の光信号受信手段又は前記第2の光信号受信手段に接続され、受信信号無しの場合に、アラーム情報を生成して、前記切換手段に供給するアラーム情報生成手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項5】
前記断心位置特定手段にネットワークを介して接続され、作業員が用いる作業員用端末を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の光ファイバ断心位置特定システム。
【請求項6】
第1の光通信装置と第2の光通信装置とを接続する光ファイバの断心位置を特定するための光ファイバ断心位置特定方法であって、
前記第1の光通信装置は、前記光ファイバのうち第1の光ファイバに接続された第1の光信号送信手段と、前記光ファイバのうち第2の光ファイバに接続された第1の光信号受信手段とを有し、
前記第2の光通信装置は、前記第2の光ファイバに接続された第2の光信号送信手段と、前記第1の光ファイバに接続された第2の光信号受信手段とを有し、
前記第1の光通信装置と前記第2の光通信装置とのうち、少なくとも一方は、前記光ファイバに光パルスを入射し、OTDR波形を観測して断心位置を特定する断心位置特定処理を実行する
ことを特徴とする光ファイバ断心位置特定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−159303(P2012−159303A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17176(P2011−17176)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】
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