説明

光ファイバ電流センサ

【課題】測定誤差を低減する光ファイバ電流センサを提供する。
【解決手段】センサファイバ2の一端より直線偏光を入射させ、該センサファイバ2の近傍に設置された導体Wを流れる被測定電流により生じる磁界によって直線偏光L2に付与されるファラデー回転角を検出することで、被測定電流を測定する光ファイバ電流センサ1において、センサファイバ2の他端を、該センサファイバ2がループ状をなすように固定するファイバ固定部22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ中を伝搬する光の偏波面が磁界により回転するファラデー効果を利用して電流を測定する光ファイバ電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力設備の監視等を行う電流測定装置として、光ファイバをセンサに用いた光ファイバ電流センサが注目されている。
この光ファイバ電流センサでは、磁性媒質中を伝搬する光の偏波面がその伝搬方向における磁界の大きさに比例して回転するといったファラデー効果を利用して電流を測定する。光ファイバも磁性媒質の一種であり、センサとして用いる光ファイバに直線偏光を入射して被測定電流が流れる導体、即ち、磁界発生源の近傍に置くと、ファラデー効果によって光ファイバ中の直線偏光に偏波面の回転(ファラデー回転)が与えられる。この時、電流に比例した磁界が発生しているので、ファラデー効果による偏波面の回転角度(ファラデー回転角)は、被測定電流の大きさに比例することになる。よって、このファラデー回転角を測定することで電流の大きさを求めることができる。
【0003】
上記ファラデー回転角を測定するためには、光ファイバから出力された光をフォトダイオード等で受光して電気信号に変換し、得られた電気信号に所定の信号処理を行なうという手法を採る。このような光ファイバ電流センサの一例として、光ファイバ電流センサが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3685906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1の光ファイバ電流センサは、入射された直線偏光が反射されるセンサファイバの先端部の位置を固定することができず、この位置が不明確となってしまう。従って、センサファイバに完全なループを形成できないため、アンペールの法則の周回積分によって測定値を算出する際、外部の磁界の影響やセンサファイバが波打つことによって生じるセンサファイバと導体との相対位置の変化等により、被測定電流値に測定誤差が発生してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定誤差を低減する光ファイバ電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係る光ファイバ電流センサは、センサファイバの一端より直線偏光を入射させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、前記センサファイバの他端を、該センサファイバがループ状をなすように固定するファイバ固定部を備えることを特徴とする。
【0008】
ファイバ固定部により、センサファイバの他端が固定されることによって、このセンサファイバの他端が電流の測定中に移動することなく、センサファイバをループ状に形成できる。これによって検出したファラデー回転角にアンペールの法則の周回積分を適用することで導体を流れる被測定電流を精度高く算出できる。従って、上記導体の電流測定の際にセンサファイバは外部の磁界の影響を受けず、さらに、センサファイバが波打つ等でこのセンサファイバと導体との相対位置が変化しても被測定電流に誤差が生じることはない
【0009】
また、本発明に係る光ファイバ電流センサにおいて、前記ファイバ固定部は、前記センサファイバの一端における端面に対して、前記センサファイバの他端における端面が同一面上に位置するように該センサファイバの他端を固定することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、上記ファイバ固定部によって、常に同じ位置にセンサファイバの他端を固定することができる。また、センサファイバの一端と他端とを同一面上に位置させることによって、センサファイバに完全なループを形成することができる。従って、導体の電流の測定誤差を低減することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る光ファイバ電流センサにおいては、前記センサファイバは、その他端に金属膜のコーティングを有することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、上記他端に金属膜のコーティングを設けることによって、この先端部に対し上記直線偏光の反射部を安価に形成することができ、また、上記直線偏光の反射率を維持し被測定電流の測定値の誤差を抑えることが可能となる。
【0013】
さらに、光ファイバ電流センサにおいては、前記センサファイバは、その他端に前記金属膜のコーティングを外側から覆う保護部材をさらに有することが好ましい。
【0014】
この発明によれば、保護部材によって上記金属膜のコーティングを覆うことによって、外環境による影響や金属膜のコーティングの剥離を防ぐことができ、長期間の使用に対しても上記直線偏光の反射率の変動を抑え、測定誤差の低減が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光ファイバ電流センサによれば、上記センサファイバの他端を固定しセンサファイバをループ状に形成することによって、被測定電流の測定誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ電流センサの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ファイバ電流センサにおけるセンサファイバの反射部を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ファイバ電流センサにおける光制御部及びファイバ固定部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ファイバ電流センサにおけるセンサファイバに対して、耐環境試験を行なった際の反射部における反射減衰量の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
この光ファイバ電流センサ1は、例えば電力設備の監視等を目的とした電流測定に用いられるものである。
図1に示すように、光ファイバ電流センサ1は、光源6と、センサファイバ2と、光源6とセンサファイバ2との間に配される光制御部3と、光サーキュレータ4と、信号処理部5とを備えている。また、本実施形態では、光制御部3にファイバ固定部22が設けられている。
【0018】
光源6は、光制御部3へ向け光Lを発光する装置である。また光制御部3とは送光ファイバ41を介して接続されている。
【0019】
センサファイバ2は、センサファイバ本体17と反射部16とを有している。
センサファイバ本体17は、測定対象となる被測定電流が流通する送電線等の導体Wの周囲を周回するようにして配置される。このセンサファイバ本体17としては、ファラデー効果の大きさを決めるベルデ定数が大きい特性を持った光ファイバである鉛ガラスファイバを用いることが好ましい。また、センサファイバ本体17の一端14は光制御部3に接続されるとともに、他端15には反射部16が設けられている。
【0020】
図2に示すように、反射部16は、センサファイバ本体17の他端15においてセンサファイバ2の先端部から被覆を取り除いたガラスファイバ31と、これを覆うジルコニア製パイプ32と、これらをさらに外側から覆う金属パイプ33と、ガラスファイバ31の先端部端面及びジルコニア製パイプ32の端面に設けられた金属膜のコーティング34(本実施形態においては、厚さ10μmの金)とを有する。
【0021】
そして、上記反射部16は、金属パイプ33及び金属膜のコーティング34の全体をさらに外側から覆う一端が開口した円筒の保護部材36(本実施形態においては、ハイトレル(登録商標))を有している。また、この保護部材36は、当該円筒の底面が金属膜コーティング34に接するように反射部16に嵌め込まれ、接着剤35(本実施形態においては、EPO−TEK社製353ND)によって接着固定されている。
【0022】
また、図3に示すように、光制御部3は、筐体21と、該筐体21に収容されたファラデー回転子11と、偏光分離素子12と、プリズム13とを有している。
そして、筺体21は、光Lの伝搬方向に延在する直方体形状を有する内部が空洞の箱となっている。なお、以下ではこの光Lの伝搬方向を長手方向と定義する。
【0023】
ファラデー回転子11は光制御部3内においてセンサファイバ本体17の一端14側に位置し、このセンサファイバ本体17の一端14に接続されている。そして、このファラデー回転子11は、永久磁石とこの永久磁石によって磁気飽和させられた強磁性体結晶である強磁性ガーネットとから構成されており、光が一回透過する度に22.5度のファラデー回転を付与する。
【0024】
偏光分離素子12は、光制御部3内において光源6側に位置し、光源6からの入射される光Lを電界の振動方向が一方向にそろった直線偏光L2に変換し、また、センサファイバ2から反射される直線偏光L2を偏光方向の互いに直交する二つの偏光成分に分離するものである。
【0025】
プリズム13は、偏光分離素子12の近傍に配置され、分離された二つの偏光成分のうち一方を第二受光ファイバ43を介して信号処理部5へ送光する。
【0026】
光サーキュレータ4は予め決められた方向にのみ光L及び直線偏光L2を透過させる光学部品であり、光源6から入射される光Lと、光制御部3を介してセンサファイバ2から反射されてくる直線偏光L2との混在を回避するものである。即ち、光源6から入射される光Lを送光ファイバ41を介して光制御部3へ送光し、また、光制御部3における偏光分離素子12によって分離された上記二つの偏光成分のうちの一方を第一受光ファイバ42を介して信号処理部5へ送光するように接続されている。
【0027】
信号処理部5は、第一受光素子9と第二受光素子10とを有している。この第一受光素子9は第一受光ファイバ42に接続され、また第二受光素子10は第二受光ファイバ43に接続されており、偏光分離素子12によって分離された上記二つの偏光成分のうちのそれぞれ一方を受光する。
【0028】
次に、ファイバ固定部22について説明する。
図3に示すように、本実施形態ではファイバ固定部22は上記光制御部3の筺体21に一体に設けられ、このファイバ固定部22の長手方向は筺体21の長手方向と比べ短い直方体形状を有しており、筺体21とファイバ固定部22とは全体としてL字のブロック形状を有している。また、このファイバ固定部22には第一嵌合穴23と第二嵌合穴24が形成されている。
【0029】
第一嵌合穴23は、上記長手方向に直交するファイバ固定部22におけるセンサファイバ2側の一端面28からファイバ固定部22内部へ向かって当該長手方向に形成されており、また第二嵌合穴24も同様に、ファイバ固定部22における光源6側の当該一端面28と平行な他端面29からファイバ固定部22内部へ向かって当該長手方向に形成されている。
【0030】
ここで、第一嵌合穴23はファイバ固定部22内部における第一当接面18まで形成され、また、第二嵌合穴24はファイバ固定部22内部における第二当接面19まで形成される。そして、第一当接面18は第二嵌合穴24の中途に設けられ、また、第二当接面19は第一嵌合穴23の中途に設けられている。即ち、第一嵌合穴23と第二嵌合穴24とにおける各々の中心軸線が、長手方向に直交する方向にずれた状態で、第一嵌合穴23と第二嵌合穴24とが結合されている。そして、第一嵌合穴23と第二嵌合穴24とは、ファイバ固定部22内部で一部が連通されている。従って、センサファイバ2における反射部16を第一嵌合穴23又は第二嵌合穴24へ挿入する際、この反射部16がファイバ固定部22を突き抜けることなく、反射部16の先端部がこれら第一当接面18又は第二当接面19に当接されるように、第一嵌合穴23及び第二嵌合穴24が形成されている。
【0031】
また、反射部16を第一嵌合穴23又は第二嵌合穴24へ挿入し、第一当接面18又は第二当接面19に当接させた際には、筺体21内部においてファラデー回転子11に接続されたセンサファイバ本体17の一端14における端面と、反射部16におけるガラスファイバ31の先端部における端面とが同一面上に位置するように、第一当接面18及び第二当接面19の位置が決定されている。
【0032】
そして、上記長手方向に直交する方向に向かってファイバ固定部22の外面から第一嵌合穴23へ連通する第一ネジ穴26、及び第二嵌合穴24に連通する第二ネジ穴27が形成されている。そしてこのネジ穴においては、第一嵌合穴23又は第二嵌合穴24へ挿入された反射部16がファイバ固定部22に対しネジ止めされ、固定される。
【0033】
このような光ファイバ電流センサ1においては、光源6から発せられた光Lが送光ファイバ41及び光サーキュレータ4を介して光制御部3へ入射され、光制御部3においてこの光Lが偏光分離素子12によって直線偏光L2に変換される。そして、この直線偏光L2がファラデー回転子11へ透過され、22.5度のファラデー回転が付与された後に、センサファイバ本体17の一端14へ入射される。その後、センサファイバ2の周回部分において、導体Wに流れる被測定電流の周囲に生じた磁界によってファラデー回転を受け、その偏波面が磁界の大きさに比例したファラデー回転角の分だけ回転する。
【0034】
センサファイバ本体17へ入射され伝搬する直線偏光L2は、センサファイバ本体17の他端15に設けられた反射部16において反射される。そして、直線偏光L2は上記センサファイバ2の周回部分を再度通り、ファラデー回転を受けた後にファラデー回転子11へ入射され、ファラデー回転子11において22.5度のファラデー回転が直線偏光L2に付与される。
【0035】
なおここで、このファラデー回転子11によって、往復で45度のファラデー回転が与えられることになるので、この光ファイバ電流センサ1においては光学バイアスが45度に設定されていることとなる。
【0036】
そして、ファラデー回転子11を透過した直線偏光L2は偏光分離素子12へ導入され、偏光方向の互いに直交する二つの偏光成分に分離される。これら分離された二つの偏光成分のうち一方は光サーキュレータ4と第一受光ファイバ42を介して第一受光素子9へ送光され、もう一方は第二受光ファイバ43を介して第二受光素子10へ送光される。そして信号処理部5においては、これら第一受光素子9及び第二受光素子10が受光した二つの偏光成分が光強度に比例した電気信号に変換され、導体Wの被測定電流が測定される。
【0037】
ここで、上記導体Wに電流が流れていない場合には、直線偏光L2はファラデー回転子11において、上記の光学バイアス分の45度のファラデー回転を受けることとなり、この場合、この直線偏光L2に直交する二つの偏光成分の光強度は同一となる。一方で、導体Wに電流が流れている場合においては、センサファイバ2の周回部分において直線偏光L2が光学バイアス分の45度よりもさらに多くのファラデー回転を受けることとなるので、二つの偏光成分の光強度に差異が発生し、信号処理部5においては、この二つの偏光成分の光強度の差異に応じて導体Wの被測定電流を測定することができる。
【0038】
さらに、ファイバ固定部22の第一嵌合穴23、又は第二嵌合穴24へセンサファイバ2における反射部16が挿入され、ファイバ固定部22外側からネジによって固定される。この時、第一嵌合穴23、又は第二嵌合穴24内に挿入された反射部16は第一当接面18及び第二当接面19よりも先に突き抜けることはなく当接されるため、常に同じ位置に反射部16をセットすることが可能となる。従って、センサファイバ本体17の一端14における端面と、反射部16におけるガラスファイバ31の先端部の端面とを同一面上に位置するよう反射部16をファイバ固定部22へ容易にセットすることができる。この結果、常にこれら二つの端面を同一面上に合わせた状態を保ちながら、センサファイバ2にループを形成することができる。
【0039】
またここで、反射部16を上記ファイバ固定部22へ固定する際には、ネジに代えてマグネット等の他の方法を用いてよい。この場合、固定に要する作業時間を短縮しながら、センサファイバ2にループを容易に形成できる。
【0040】
そして、本実施形態において反射部16における金属膜のコーティング34は厚さ10μmの金となっており、この時の光の反射率は約80%以上となる。そして、この金属膜を外側から覆うように保護部材36を設置することによって、金属膜のコーティング34の外環境による影響や金属膜の剥離を抑制することができ、長期間の使用に対しても、直線偏光L2を反射する際の反射率の変動を抑えることができる。
【0041】
ここで、仮に誘電体多層膜を蒸着する方法によって、反射部16を形成した場合、外環境による影響や剥離は起こりにくい。従って、上記のような保護部材36を設けなくとも長期間の使用において反射率の低下は発生しにくい。しかしながら、この誘電体多層膜の蒸着装置が高価であるため、光ファイバ電流センサ1自体が高価となってしまう恐れがあった。
【0042】
また、仮に接着剤35を用いて反射ミラーを貼り付ける方法によって反射部16を形成した場合においても、ガラスファイバ31の先端部と反射ミラーとの間にこの接着剤が入り込むことによって、反射率の低下を招く恐れがあった。
【0043】
この点、金属膜のコーティング34を用いて反射部16を形成する場合、例えばイオンスパッタリングを用いた試料コーティング装置を使用して、金属膜のコーティング34を安価に施すことができる。また、この金属膜のコーティング34を外側から覆う保護部材36をさらに設けることによって、この金属膜のコーティング34の外環境による影響や金属膜のコーティング34の剥離を抑制することができ、長期間の使用に対しても直線偏光L2を反射する際の反射率の変動を抑えることが可能となる。さらにガラスファイバ31と反射ミラーとの間に接着剤が入り込むことがなく、これによる反射率の低下はない。
【0044】
なお、上記イオンスパッタリングとは、真空中においてこの真空中の僅かな気体を正イオン化し、この正イオンを金属からなる負の電極へ衝突させることによって金属原子を叩き出し、ランダムな方向から試料表面に到達させ、金属膜のコーティング34を行なうものである。
【0045】
ここで図4は、センサファイバ2の他端15の反射部16が金のコーティングと保護部材36とによって構成された場合に、85℃×85%RHの環境下において、2000時間の長期耐環境試験を行なった際の経過時間と反射率の変動値を示したグラフである。試験に用いた三つの試料は全て同一構成のセンサファイバ2である。またこの試験において、保護部材36を反射部16に嵌め込み固定する際に用いる接着剤35には、EPO−TEK社製353NDを使用した。
【0046】
試験結果によると、2000時間の試験時間の間に三つの試料すべてについて、反射率の変動を±2dB以下に抑えることができており、金のコーティング34と保護部材36とによって構成された反射部16が問題なく長期の使用に対応できることを確認できた。
【0047】
以上のように本実施形態の光ファイバ電流センサ1によれば、光制御部3の筺体21にファイバ固定部22を設けることによって、センサファイバ本体17の一端14における端面と、反射部16におけるガラスファイバ31の先端部における端面とが同一面上に位置するように、センサファイバ2における反射部16を固定することができ、センサファイバ2に対し容易にループを形成することができる。従って、信号処理部5においてアンペールの法則の周回積分を用い、検出したファラデー回転角から電流値の算出をより正確に行うことができ、測定誤差の低減を図ることができる。
【0048】
そして、反射部16に金属膜のコーティング34を適用し、さらにこの反射部16に保護部材36を設けることによって、コスト削減を図りながら長期の使用に対しても反射率の低下を抑制することができ、測定誤差の低減を図ることができる。
【0049】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、ファイバ固定部22は光制御部3の筺体21に一体で設けられる必要はなく、センサファイバ本体17の一端14における端面と、反射部16におけるガラスファイバ31の先端部における端面とが同一面上に位置するように別途設けてもよい。またネジやマグネット以外の固定方法を用いてもよい。
【0050】
また、センサファイバ2における反射部16に設けられた保護部材36は金属膜コーティング34を保護できればよい。従って円筒形状である必要はなく、例えば一端が開口した箱型形状を有していてもよい。このとき、上記第一嵌合穴23及び第二嵌合穴24はこの箱型形状の保護部材36が嵌合可能なように、直方体形状の穴とする必要がある。
【符号の説明】
【0051】
1…光ファイバ電流センサ、2…センサファイバ、3…光制御部、4…光サーキュレータ、5…信号処理部、6…光源、9…第一受光素子、10…第二受光素子、11…ファラデー回転子、12…偏光分離素子、13…プリズム、14…一端、15…他端、16…反射部、17…センサファイバ本体、18…第一当接面、19…第二当接面、21…筺体、22…ファイバ固定部、23…第一嵌合穴、24…第二嵌合穴、26…第一ネジ穴、27…第二ネジ穴、28…一端面、29…他端面、31…ガラスファイバ、32…ジルコニア製パイプ、33…金属性パイプ、34…金属膜のコーティング、35…接着剤、36…保護部材、41…送光ファイバ、42…第一受光ファイバ、43…第二受光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサファイバの一端より直線偏光を入射させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、
前記センサファイバの他端を、該センサファイバがループ状をなすように固定するファイバ固定部を備えることを特徴とする光ファイバ電流センサ。
【請求項2】
前記ファイバ固定部は、
前記センサファイバの一端における端面に対して、前記センサファイバの他端における端面が同一面上に位置するように該センサファイバの他端を固定することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ電流センサ。
【請求項3】
前記センサファイバは、その他端に金属膜のコーティングを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ電流センサ。
【請求項4】
前記センサファイバは、その他端に前記金属膜のコーティングを外側から覆う保護部材をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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