光モジュール及び信号伝送媒体
【課題】厚さ方向の寸法を小さくし、かつ組み付けが容易な光モジュール、及びその光モジュールを用いた信号伝送媒体を提供する。
【解決手段】光モジュール1は、光ファイバ90と光学的に接続される光電変換素子21と、光電変換素子21が実装された板状の基板3と、基板3の両端部に、光電変換素子21を挟むように固定された第1及び第2の連結部材41,42と、第1及び第2の連結部材41,42によって基板3に連結され、基板3の少なくとも一部を覆う第1及び第2のカバー部材51,52とを備える。
【解決手段】光モジュール1は、光ファイバ90と光学的に接続される光電変換素子21と、光電変換素子21が実装された板状の基板3と、基板3の両端部に、光電変換素子21を挟むように固定された第1及び第2の連結部材41,42と、第1及び第2の連結部材41,42によって基板3に連結され、基板3の少なくとも一部を覆う第1及び第2のカバー部材51,52とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを介して信号の伝送を行う光モジュール、及びこの光モジュールを用いた信号伝送媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギーを光エネルギーに、又は光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子を備え、光ファイバを介して信号の送信又は受信を行う光モジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、光ファイバとの間で光の送信又は受信を行う光素子と、この光素子が実装されたフレキシブル基板と、フレキシブル基板及び光素子を収容する一枚の板金からなるシールドケースとを備え、フレキシブル基板をシールドケースの側壁の内面に沿って折り曲げて、光素子と光ファイバの端面とを対向させた光配線モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−9333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のコンピュータ等の電子機器の高性能化に伴い、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等を搭載した電子回路基板の高密度実装化が求められている。つまり、例えば10ギガbpsを超えるような高速シリアル伝送を行う場合、信号の伝送経路が長いと信号の伝送損失が大きくなり、また差動スキュー(受信側における複数の信号ライン間の信号周期の時間差)の問題も生じやすくなるため、電子回路基板上に実装される各部品間の距離をできるだけ短く、すなわち個々の部品が占める回路基板上の面積を可及的に小さくすることが求められている。
【0006】
特許文献1に記載の光配線モジュールでは、シールドケース内でフレキシブル基板が折り曲げられるため、フレキシブル基板の実装面に沿った各方向の寸法を小さくすることに制約がある。また、内部にフレキシブル基板や光素子を収容した状態でシールドケースを折り曲げ加工する必要があるので、シールドケースの加工に細心の注意を要すると共に作業工数が増大し、コスト上昇の要因となり得る。
【0007】
そこで、本発明は、厚さ方向の寸法を小さくし、かつ組み付けが容易な光モジュール、及びその光モジュールを用いた信号伝送媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、光ファイバと光学的に接続される光電変換素子と、前記光電変換素子が実装された板状の基板と、前記基板の両端部に、前記光電変換素子を挟むように固定された連結部材と、前記連結部材によって前記基板に連結され、前記基板の少なくとも一部を覆うカバー部材と、を備えた光モジュールを提供する。
【0009】
また、前記連結部材は、前記基板の一端部に固定された第1の連結部材と、前記第1の連結部材とは別体で、前記基板の前記一端部に対向する他端部に固定された第2の連結部材とからなるとよい。
【0010】
また、前記光電変換素子は、光の入射又は出射方向が前記基板に直交し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間で前記光の光路を変換する光路変換部材をさらに備え、前記光路変換部材は、前記カバー部材によって前記基板側に押し付けられて固定されているとよい。
【0011】
また、前記カバー部材は、前記光路変換部材に対向する領域の一部を前記基板側に屈曲して形成された一対の押付部を有し、前記光路変換部材は、前記一対の押付部に接触して前記基板側への押し付け力を受ける一対の受け部を有するとよい。
【0012】
また、前記カバー部材には、前記一対の押付部の間の領域に開口が形成されているとよい。
【0013】
また、前記光ファイバを挿通させる挿通孔が形成され、前記光ファイバを弾性的に支持する弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、少なくとも一部が前記連結部材に形成された凹部に収容され、前記カバー部材に対向して支持されているとよい。
【0014】
また、前記カバー部材は、その両端部が前記連結部材に係合するように前記光電変換素子側に折り返して形成され、前記連結部材には、前記カバー部材の前記両端部を係合させる係合部が形成されているとよい。
【0015】
また、前記基板は、その一端部に複数の電気接点が形成されたカードエッジコネクタ部を有し、前記光路変換部材によって変換される前記光ファイバ側の光路が、前記カードエッジコネクタ部の相手側コネクタへの挿入方向と直交するように構成されているとよい。
【0016】
また、前記カバー部材は、前記光電変換素子が実装された側の前記基板の第1の主面に対向する第1のカバー部材、及び前記第1の主面とは反対側の前記基板の第2の主面に対向する第2のカバー部材からなるとよい。
【0017】
また、前記カバー部材は、板状の金属からなるとよい。
【0018】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、光ファイバと、前記光ファイバの両端部にそれぞれ設けられ、前記光ファイバを介して信号の伝送を行う一対の上記光モジュールと、を備えた信号伝送媒体を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、厚さ方向の寸法を小さくし、かつ組み付けが容易な光モジュール、及びその光モジュールを用いた信号伝送媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本実施の形態に係る光モジュールを光ケーブルと共に示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示す光モジュールにおいて、第1のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、光モジュールを図1Aとは反対側から見た状態を示す斜視図である。
【図2B】図2Aに示す光モジュールにおいて、第2のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3A】第1の基板、及び連結部材を示す斜視図である。
【図3B】図3Aにおいて第1の基板の図示を省略した斜視図である。
【図4A】第1の基板及び連結部材を図3Aとは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図4B】図4Aにおいて第1の基板の図示を省略した斜視図である。
【図5A】第1のカバー部材を表面側から見た斜視図である。
【図5B】第1のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
【図5C】第1のカバー部材の側面図である。
【図6A】第2のカバー部材を表面側から見た斜視図である。
【図6B】第2のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
【図6C】図6BのA−A線断面図である。
【図7】レンズブロックを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【図8A】相手側コネクタに光モジュールのカードエッジコネクタ部を挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図8B】相手側コネクタにカードエッジコネクタ部を挿入した状態を示す斜視図である。
【図9】光モジュールの要部断面図である。
【図10】本実施の形態に係る信号伝送媒体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る光モジュール、及び信号伝送媒体の一構成例を、図1A〜図9を参照して説明する。この光モジュール及び信号伝送媒体は、例えば1つのラックに収容された複数の電子回路基板間の信号伝送のために用いられる。
【0022】
(光モジュールの全体構成)
図1Aは、本実施の形態に係る光モジュールを複数の光ファイバからなる光ケーブルと共に示す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す光モジュールにおいて、後述する第1のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。また、図2Aは、本実施の形態に係る光モジュールを図1Aとは反対側から見た状態を示す斜視図、図2Bは、図2Aにおいて、後述する第2カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0023】
この光モジュール1は、光ケーブル9に含まれる複数の光ファイバ90に光学的に接続される光電変換素子21と、光電変換素子21を動作させる制御用IC(Integrated Circuit)22と、光電変換素子21及び制御用IC22が実装された板状の基板3と、基板3の両端部に、光電変換素子21を挟むように固定された連結部材4と、連結部材4によって基板3に連結され、基板3の少なくとも一部を覆うカバー部材5と、光電変換素子21と光ケーブル9の光ファイバとの間で光の光路を変換する光路変換部材としてのレンズブロック6と、レンズブロック6との間に光ケーブル9を保持する板状の保持部材7と、レンズブロック6と保持部材7との間から光モジュール1の外部に導出される光ケーブル9を弾性的に支持する弾性部材としてのゴムブーツ8とを備えている。
【0024】
光ケーブル9は、コア及びクラッドからなる光ファイバ90を複数本(本実施の形態では12本)有している。より具体的には、光ケーブル9は、複数の光ファイバ90を互いに平行となるように一列に配置し、被覆樹脂91により一括して被覆したテープ状に形成されている。この被覆樹脂91としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。
【0025】
(光電変換素子21、制御用IC22、及び基板3の構成)
光電変換素子21は、電気信号を受けて光信号に変換して出力し、又は光信号を受けて電気信号に変換して出力する素子であり、前者の場合は例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)等の発光素子が適用され、後者の場合は例えばフォトダイオード等の受光素子が適用される。また、発光素子及び受光素子の双方の機能を備えた受発光素子を適用してもよい。また、本実施の形態では、光電変換素子21の光の入射又は出射の方向が基板3に直交している。
【0026】
制御用IC22は、光電変換素子21が発光素子として機能する場合には、光電変換素子21に電気信号を出力して、この電気信号に対応した光信号を出力させる。また、光電変換素子21が受光素子として機能する場合には、光電変換素子21が受光した光に応じて信号強度が変化する電気信号を受け付ける。
【0027】
基板3は、全体が矩形状に形成された板状である。この基板3は、一端にカードエッジコネクタ部311が形成された平板状の第1の基板31と、第1の基板31の中央部に形成された開口31aを塞ぐように接合された平板状の第2の基板32とからなる。第1の基板31と第2の基板32とは、両基板の対向面に形成された複数の電極を半田バンプ30によって接合し、この半田バンプ30を介して第1の基板31と第2の基板32との間の信号の授受、及び光電変換素子21ならびに制御用IC22への電源供給が行われる。
【0028】
第1の基板31は、例えばガラスエポキシ基板からなり、第2の基板32よりも大きく形成されている。第1の基板31の一端に形成されたカードエッジコネクタ部311には、その両面に複数の電気接点311aが形成されている。第1の基板31の厚み(電気接点311aや配線パターン等の金属膜が形成された部分を除く厚み)は、例えば0.3mm以上1.0mm未満であり、本実施の形態では、この第1の基板31の厚みが0.5mmに設定されている。
【0029】
また、本実施の形態では、第1の基板31の4つの辺のうち、カードエッジコネクタ部311が形成された辺が、その辺に直交する他の2つの辺よりも長く形成されている。すなわち、光モジュール1に収容された光ケーブル9の延伸方向が、第1の基板31の長手方向と一致している。
【0030】
第2の基板32には、光電変換素子21及び制御用IC22が実装されている。また、第2の基板32は、光ケーブル9を伝送する光の波長に対して透光性を有する基材の表面に、光電変換素子21及び制御用IC22を実装するための複数のパッド、及びこれら複数のパッドに接続された複数の配線パターン等が形成されている。この第2の基板32は、例えばガラス基板からなる。
【0031】
光電変換素子21は、光の入射又は出射の方向が第2の基板32の実装面32aに直交し、第2の基板32を介して光ケーブル9の複数の光ファイバ90と光学的に接続されている。つまり、光電変換素子21は、第2の基板32を厚さ方向に透過した光を入射し、又は第2の基板32に向かって出射した光が第2の基板32を厚さ方向に透過して光ファイバ90に入射する。
【0032】
(ゴムブーツ8の構成)
ゴムブーツ8は、連結部材4に保持される被保持部81と、被保持部81と一体に形成され、光モジュール1の外側に向かって光ケーブル9に沿って形成された導出部82とを有している。また、ゴムブーツ8には、被保持部81及び導出部82に亘って、光ケーブル9を挿通させる挿通孔8aが形成されている。
【0033】
被保持部81には、基板3に平行でかつ光ケーブル9の延伸方向に対して直交する方向に突出した一対の突起81a,81bが形成されている。この一対の突起81a,81bは、後述する第1の連結部材41の凹部413(図3A参照)に形成された一対の係合窪み413a,413bに係合し、光ケーブル9の延伸方向へのゴムブーツ8の移動を規制している。また、被保持部81は、カバー部材52に対向し、凹部413から抜け出す方向のゴムブーツ8の移動が第2のカバー部材52によって規制されている。
【0034】
(連結部材4の構成)
図3Aは、第1の基板31、及び第1の基板31に固定された連結部材4を示す斜視図であり、図3Bは、図3Aにおいて第1の基板31の図示を省略した斜視図である。また、図4Aは、第1の基板31及び連結部材4を、図3Aとは異なる角度から見た状態を示す斜視図であり、図4Bは、図4Aにおいて第1の基板31の図示を省略した斜視図である。
【0035】
連結部材4は、第1の基板31の長手方向の一端部に固定された第1の連結部材41と、第1の連結部材41とは別体で、第1の基板31の長手方向の他端部(第1の連結部材41が固定された側とは反対側の端部)に固定された第2の連結部材42とからなる。第1の連結部材41及び第2の連結部材42は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PEI(Polyetherimide:ポリエーテルイミド)、ナイロン等の樹脂からなる。
【0036】
第1の連結部材41には、第1の基板31の一端部を収容する収容部411が形成されている。また、第2の連結部材42には、第1の基板31の他端部を収容する収容部421が形成されている。収容部411及び収容部421は、第1の基板31の厚さに対応する幅を有する溝状に形成されている。そして、第1の連結部材41及び第2の連結部材42は、収容部411及び収容部421と第1の基板31の長手方向の両端部との嵌合により、第1の基板31に固定されている。
【0037】
また、第1の連結部材41には、収容部411が形成された側とは反対側に、カバー部材5の一端部が係合する係合部412が形成されている。同様に、第2の連結部材42には、収容部421が形成された側とは反対側に、カバー部材5の他端部が係合する係合部422が形成されている。
【0038】
係合部412は、図4A及び図4Bに示すように、第1の基板31の厚さ方向に並列し、かつ第1の基板31の長手方向に直交する方向に延びる突起412a,412bと、突起412aと突起412bとの間に形成された溝部412cとからなる。また、係合部422は、図3A及び図3Bに示すように、第1の基板31の厚さ方向に並列し、かつ第1の基板31の長手方向に直交する方向に延びる突起422a,422bと、突起422aと突起422bとの間に形成された溝部422cとからなる。
【0039】
またさらに、第1の連結部材41には、ゴムブーツ8の被保持部81を収容する凹部413が形成されている。凹部413は、第1の基板31の厚さ方向に開口し、かつ第1の連結部材41を第1の基板31の長手方向に貫通するように形成されている。
【0040】
また、凹部413には、第1の基板31の短手方向に沿った両方向に窪むように、一対の係合窪み413a,413bが形成されている。前述のように、係合窪み413a,413bには、ゴムブーツ8の一対の突起81a,81bが係合する。
【0041】
なお、本実施の形態では、第1の連結部材41と第2の連結部材42とが別体の部材である場合について説明するが、第1の連結部材41と第2の連結部材42とを一体の部材としてもよい。この場合、連結部材4の一部が第1の基板31の長手方向の一端部に固定され、連結部材4の他の一部が第1の基板31の長手方向の他端部に固定されると共に、連結部材4の両端部に係合部412,422が形成される。
【0042】
(カバー部材5の構成)
カバー部材5は、光電変換素子21が実装された側の基板3(第1の基板31及び第2の基板32)の第1の主面3aに対向する第1のカバー部材51と、第1の主面3aとは反対側の第2の主面3bに対向する第2のカバー部材52とからなる。第1のカバー部材51及び第2のカバー部材52は、ぞれぞれが曲げ加工等の加工が施された1枚の板状の金属(板金)から形成されている。
【0043】
図5A〜5Cは第1のカバー部材51を示し、図5Aは表面51a側から見た斜視図、図5Bは裏面51b側から見た斜視図、図5Cは側面図である。また、図6A〜6Cは第2のカバー部材52を示し、図6Aは表面52a側から見た斜視図、図6Bは裏面52b側から見た斜視図、図6Cは図6BのA−A線断面図である。
【0044】
第1のカバー部材51は、その裏面51bが基板3の第1の主面3aに対向し、第1の主面3aの全体を覆うように形成されている。第1のカバー部材51は長方形状であり、その長手方向が基板3の長手方向と平行である。また、第1のカバー部材51には、その長手方向の両端部に、基板3の中央部側(光電変換素子21側)に折り返して形成された一対の折り返し部511,512が形成されている。本実施の形態では、折り返し部511,512が断面円弧状であり、表面51aから裏面51bに向かって屈曲して形成されている。
【0045】
第2のカバー部材52には、表面52a及び裏面52b間を貫通する開口52cが中央部に形成されている。この開口52cは、図1Aに示すように、表面52a側からレンズブロック6の一部と保持部材7の全体を臨むことができる位置に形成されている。第2のカバー部材52は、裏面52bが基板3の第2の主面3bに対向し、開口52cが形成された領域を除いて、第2の主面3bの一部を覆うように形成されている。
【0046】
第2のカバー部材52は、第1のカバー部材51と同様の長方形状であり、その長手方向の両端部に、基板3の中央部側に折り返して形成された一対の折り返し部521,522が形成されている。折り返し部521,522は、断面円弧状であり、表面52aから裏面52bに向かって屈曲して形成されている。
【0047】
また、第2のカバー部材52は、レンズブロック6に対向する領域の一部を基板3側に屈曲して形成された一対の押付部523,524を有している。押付部523,524は、第2のカバー部材52の長手方向に沿って互いに平行に、開口52c内に延びるように形成されている。この押付部523,524は、レンズブロック6の一部に接触し、レンズブロック6を基板3側に向かって弾性的に押し付けている。レンズブロック6は、第2の基板32に設けられた一対のガイドピン321,322に係合して第2の基板32に平行な方向への移動が規制されると共に、第2のカバー部材52の押付部523,524によって押し付けられることにより、第2の基板32に固定されている。
【0048】
(レンズブロック6の構成)
図7は、レンズブロック6を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【0049】
レンズブロック6は、透光性を有する例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート(アクリル))等の樹脂からなり、光路変換部61と、光ファイバ支持部62と、一対の受け部631,632と、ガイドピン321,322にそれぞれ係合する切欠き641,642が形成された係合部64とを一体に有している。
【0050】
レンズブロック6は、光路変換部61により、光電変換素子21と複数の光ファイバ90との間で、光電変換素子21に入射する光、又は光電変換素子21から出射した光の光路を変換する。より具体的には、光路変換部61は、第2の基板32の実装面32aに直交する方向の光電変換素子21側の光路と、第2の基板32の実装面32aに平行な方向の光ファイバ90側の光路とを光路変換する。
【0051】
この光路変換は、第2の基板32に対して斜めに交差する角度の傾斜面(仮想面)に沿って光路変換部61に形成された反射面61aにおける光の内部反射によって行われる。本実施の形態では、反射面61aと第2の基板32とがなす角度が45°である。また、レンズブロック6によって変換される光ファイバ90側の光路は、カードエッジコネクタ部311の相手側コネクタ(後述)への挿入方向と直交するように、光路変換部61が構成されている。また、反射面61aは、カードエッジコネクタ部311の相手側コネクタへの挿入方向に沿って延びるように形成されている。
【0052】
また、光ファイバ支持部62には、複数の光ファイバ90を被覆樹脂91と共に収容する凹所621と、被覆樹脂91が除去されて露出した複数の光ファイバ90を支持する複数の溝622とが形成されている。溝622は、第2の基板32と平行かつ反射面61aの延伸方向に対して直交する方向に沿って、複数の光ファイバ90のそれぞれに対応して形成されている。
【0053】
光ケーブル9は、レンズブロック6の光ファイバ支持部62と保持部材7(図1A,図1Bに示す)との間に挟まれて保持されている。保持部材7は、例えば樹脂からなり、接着等によってレンズブロック6に固定されている。
【0054】
一対の受け部631,632は、光ファイバ支持部62を挟むように、レンズブロック6の両端部に形成されている。受け部631は、第2のカバー部材52の押付部523に接触する受け面631aを有し、押付部523による基板3側への押し付け力を受ける。また、受け部632は、第2のカバー部材52の押付部524に接触する受け面632aを有し、押付部524による基板3側への押し付け力を受ける。
【0055】
また、レンズブロック6には、光路変換部61における反射面61aの反対側に、複数のレンズ部61bが形成されている。レンズ部61bは、光電変換素子21側の光路中に形成され、光電変換素子21から出射されて光ファイバ90に入射する光、又は光ファイバ90から出射されて光電変換素子21に入射する光の焦点を合わせるように機能する。
【0056】
(光モジュール1の動作)
図8Aは、電子回路基板100に実装されたコネクタ101(相手側コネクタ)に光モジュール1のカードエッジコネクタ部311を挿入する前の状態を示し、図8Bは、カードエッジコネクタ部311をコネクタ101に挿入した状態を示す斜視図である。
【0057】
光モジュール1は、基板3の長手方向に直交する短手方向に沿って、カードエッジコネクタ部311がコネクタ101に挿入される。光モジュール1からの光ケーブル9の引き出し方向は、コネクタ101へのカードエッジコネクタ部311の挿入方向と直交している。また、光モジュール1内における複数の光ファイバ90の配列方向は、カードエッジコネクタ部311の挿入方向と平行である。即ち、ゴムブーツ8から導出されたテープ状の光ケーブル9の幅方向がコネクタ101へのカードエッジコネクタ部311の挿入方向と平行である。
【0058】
光モジュール1は、カードエッジコネクタ部311の電気接点311aと、コネクタ101の接点101aとの接触により、電子回路基板100に実装された図略の能動素子又は受動素子との信号の受け渡しを行い、また電子回路基板100側からの電源の供給を受ける。
【0059】
図9は、光モジュール1の要部断面図である。光電変換素子21が電気信号を光信号に変換して出力する発光素子である場合、制御用IC22はコネクタ101及び基板3を介して電子回路基板100側から電気信号を入力し、この電気信号に基づいて光電変換素子21を駆動する。光電変換素子21から発した光は、第2の基板32を透過し、レンズ部61bからレンズブロック6内に入射する。この入射光は光路変換部61の反射面61aで内部反射し、光ファイバ90に入射する。
【0060】
また、光電変換素子21が光信号を電気信号に変換して出力する受光素子である場合、光ファイバ90から放射されてレンズブロック6に入射した光が光路変換部61の反射面61aで内部反射し、レンズ部61bから出射される。この出射光は第2の基板32を透過して光電変換素子21に入射して電気信号に変換される。制御用IC22は、光電変換素子21から出力された電気信号を基板3及びコネクタ101を介して電子回路基板100側に出力する。
【0061】
本実施の形態では、光モジュール1が12チャンネルの通信を並行して行うことが可能である。また、送信及び受信で異なる波長の光信号を用い、1本の光ファイバ90で送信と受信を同時に行うようにレンズブロック6,光電変換素子21,及び制御用IC22を構成してもよい。
【0062】
また、図9に示すように、反射面61aよりも光電変換素子21側の第1の光路L1と、反射面61aよりも光ファイバ90側の第2の光路L2とは直交している。つまり、第1の光路L1は、第2の基板32の実装面32aに直交する方向であり、第2の光路L2は、第2の基板32の実装面32aに平行な方向である。本実施の形態では、第2の光路L2が基板3の長手方向と平行、すなわち電子回路基板100と平行となるように、レンズブロック6がガイドピン321,322及び第2の基板32に設けられた支持部323によって支持されている。
【0063】
また、図9に示すように、保持部材7は、その一部が第2のカバー部材52の開口52c内に位置している。つまり、第2のカバー部材52の表面52a及び裏面52bに平行な方向から見た場合に、第2のカバー部材52と保持部材7の一部(保持部材7の厚さ方向における外側の一部)とが重なり、開口52cによって保持部材7と第2のカバー部材52との干渉が回避されている。
【0064】
また、光電変換素子21及び制御用IC22は、第1の基板31の開口31aに少なくとも一部が収容されている。
【0065】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0066】
(1)第1及び第2のカバー部材51,52が、それらの両端部において第1及び第2の連結部材41,42によって基板3に連結されるので、例えばケース状の部材に基板を収容する場合に比較して、光モジュール1の厚さ方向の寸法を小さくすることが可能となる。また、光モジュール1の組み付けも容易となる。
【0067】
(2)第1及び第2のカバー部材51,52によって、光モジュール1のコネクタ101への装着時等に基板3に作用する外力が抑制されるので、第1及び第2のカバー部材51,52を有しない場合に比較して基板3を薄くすることが可能となり、ひいてはコネクタ101を小型化することができる。これにより、電子回路基板100上における光モジュール1のコネクタ101の専有面積を小さくすることができ、電子回路基板100の高密度実装化に寄与できる。
【0068】
(3)光電変換素子21は、光の入射又は出射の方向が基板3(第2の基板32)に直交し、レンズブロック6によってこの光の方向が基板3に平行な方向に変換されるので、光ケーブル9を基板3に平行に引き出すことができ、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。
【0069】
(4)光電変換素子21とレンズブロック6は、透光性を有する第2の基板32を挟んで配置されているので、光電変換素子21及びレンズブロック6を共に第2の基板32に固定することができ、光モジュール1の組み付けが容易となる。
【0070】
(5)光電変換素子21及び制御用IC22は、第1の基板31の中央部に形成された開口31aに一部又は全部が収容されるので、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。
【0071】
(6)レンズブロック6は、第2のカバー部材52の押付部523,524によって基板3側に押し付けられて固定されているので、第2のカバー部材52の組み付けによってレンズブロック6の固定が同時に行われる。これにより、レンズブロック6を例えば接着等によって基板3に固定する必要がなく、光モジュール1の組み付けが容易となる。
【0072】
(7)第2のカバー部材52には開口52cが形成され、この開口52cに保持部材7の一部が位置しているので、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。つまり、第2のカバー部材52と保持部材7とを光モジュール1の厚さ方向にオーバーラップさせて配置することにより、光モジュール1を薄型化することができる。また、開口52cを介した空気の流動により、制御用IC22や光電変換素子21等の発熱を外部に逃がすことが可能となり、放熱性を高めることができる。
【0073】
(8)光ケーブル9は、弾性を有するゴムブーツ8を介して光モジュール1から導出されるので、光ケーブル9が大きな曲率で曲げられて損傷することを抑制することができる。また、ゴムブーツ8は、第1の連結部材41の凹部413に収容され、ゴムブーツ8の凹部413からの抜け出しが、ゴムブーツ8に対向する第2のカバー部材52によって規制されるので、ゴムブーツ8の組み付けを容易に行うことができる。
【0074】
(9)第1及び第2のカバー部材51,52は、単板の板金からなり、折り返し部511,512,521,522が第1及び第2の連結部材41,42の係合部412,422に係合して連結される。つまり、第1及び第2のカバー部材51,52の弾性変形によって、第1及び第2のカバー部材51,52の連結作業を行うことができ、例えばねじ締めや圧着等によって第1及び第2のカバー部材51,52を固定する場合に比較して、第1及び第2のカバー部材51,52の組み付けを容易に行うことが可能となる。
【0075】
(10)基板3(第1の基板31)には、カードエッジコネクタ部311が形成され、このカードエッジコネクタ部311の電子回路基板100に実装されたコネクタ101への挿入方向がレンズブロック6の第2の光路L2と直交するので、電子回路基板100に対して平行に光ケーブル9を引き出すことができる。これにより、光ケーブル9が電子回路基板100に直交する方向に光モジュール1から突出することがなく、光ケーブル9の引き回しが容易となる。
【0076】
(11)第1及び第2のカバー部材51,52は、基板3を両面から挟むように連結されるので、第1及び第2のカバー部材51,52に覆われる各部品を保護することができると共に、例えばコネクタ101への装着時における基板3の外力による変形を適切に抑制することができる。
【0077】
(12)第1及び第2のカバー部材51,52は、板金からなるので、光電変換素子21や制御用IC22で発した熱を熱伝導により効率よく外部に放熱することができる。
【0078】
なお、図10に示すように、一対の光モジュール1を光ケーブル9の両端部に設けて信号伝送媒体10として構成してもよい。この場合、一方の光モジュール1はカードエッジコネクタ部311から入力された電気信号を光信号に変換し、光ケーブル9を介して伝送する。他方の光モジュール1は光ケーブル9を介して伝送された光信号を電気信号に変換し、カードエッジコネクタ部311から出力する。また、送信及び受信で異なる波長の光信号を用いて、一対の光モジュール1間で双方向の通信を行うようにしてもよい。この信号伝送媒体10によって、例えば共通のラックに収容された2つの電子回路基板間の通信を行うことができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0080】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、光ケーブル9が複数(12本)の光ファイバ90を含む場合について説明したが、光ケーブル9に含まれる光ファイバ90の数に限定はなく、光ファイバ90の数は1つでもよい。また、本実施の形態では、基板3が2つの基板(第1の基板31及び第2の基板32)の結合により構成された場合について説明したが、基板3を単板で構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…光モジュール、3…基板、3a…第1の主面、3b…第2の主面、4…連結部材、5…カバー部材、6…レンズブロック(光路変換部材)、7…保持部材、8…ゴムブーツ(弾性部材)、8a…挿通孔、9…光ケーブル、10…信号伝送媒体、21…光電変換素子、22…制御用IC、30…半田バンプ、31…第1の基板、31a…開口、32…第2の基板、32a…実装面、41…第1の連結部材、42…第2の連結部材、51…第1のカバー部材、51a…表面、51b…裏面、52…第2のカバー部材、52a…表面、52b…裏面、52c…開口、61…光路変換部、61a…反射面、61b…レンズ部、62…光ファイバ支持部、64…係合部、81…被保持部、81a,81b…突起、82…導出部、90…光ファイバ、91…被覆樹脂、100…電子回路基板、101…コネクタ、101a…接点、311…カードエッジコネクタ部、311a…電気接点、321,322…ガイドピン、411…収容部、412…係合部、412a,412b…突起、412c…溝部、413…凹部、421…収容部、422…係合部、422a,422b…突起、422c…溝部、511,512,521,522…折り返し部、523,524…押付部、621…凹所、622…溝、631,632…受け部、631a,632a…受け面、L1…第1の光路、L2…第2の光路
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを介して信号の伝送を行う光モジュール、及びこの光モジュールを用いた信号伝送媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギーを光エネルギーに、又は光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子を備え、光ファイバを介して信号の送信又は受信を行う光モジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、光ファイバとの間で光の送信又は受信を行う光素子と、この光素子が実装されたフレキシブル基板と、フレキシブル基板及び光素子を収容する一枚の板金からなるシールドケースとを備え、フレキシブル基板をシールドケースの側壁の内面に沿って折り曲げて、光素子と光ファイバの端面とを対向させた光配線モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−9333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のコンピュータ等の電子機器の高性能化に伴い、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等を搭載した電子回路基板の高密度実装化が求められている。つまり、例えば10ギガbpsを超えるような高速シリアル伝送を行う場合、信号の伝送経路が長いと信号の伝送損失が大きくなり、また差動スキュー(受信側における複数の信号ライン間の信号周期の時間差)の問題も生じやすくなるため、電子回路基板上に実装される各部品間の距離をできるだけ短く、すなわち個々の部品が占める回路基板上の面積を可及的に小さくすることが求められている。
【0006】
特許文献1に記載の光配線モジュールでは、シールドケース内でフレキシブル基板が折り曲げられるため、フレキシブル基板の実装面に沿った各方向の寸法を小さくすることに制約がある。また、内部にフレキシブル基板や光素子を収容した状態でシールドケースを折り曲げ加工する必要があるので、シールドケースの加工に細心の注意を要すると共に作業工数が増大し、コスト上昇の要因となり得る。
【0007】
そこで、本発明は、厚さ方向の寸法を小さくし、かつ組み付けが容易な光モジュール、及びその光モジュールを用いた信号伝送媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、光ファイバと光学的に接続される光電変換素子と、前記光電変換素子が実装された板状の基板と、前記基板の両端部に、前記光電変換素子を挟むように固定された連結部材と、前記連結部材によって前記基板に連結され、前記基板の少なくとも一部を覆うカバー部材と、を備えた光モジュールを提供する。
【0009】
また、前記連結部材は、前記基板の一端部に固定された第1の連結部材と、前記第1の連結部材とは別体で、前記基板の前記一端部に対向する他端部に固定された第2の連結部材とからなるとよい。
【0010】
また、前記光電変換素子は、光の入射又は出射方向が前記基板に直交し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間で前記光の光路を変換する光路変換部材をさらに備え、前記光路変換部材は、前記カバー部材によって前記基板側に押し付けられて固定されているとよい。
【0011】
また、前記カバー部材は、前記光路変換部材に対向する領域の一部を前記基板側に屈曲して形成された一対の押付部を有し、前記光路変換部材は、前記一対の押付部に接触して前記基板側への押し付け力を受ける一対の受け部を有するとよい。
【0012】
また、前記カバー部材には、前記一対の押付部の間の領域に開口が形成されているとよい。
【0013】
また、前記光ファイバを挿通させる挿通孔が形成され、前記光ファイバを弾性的に支持する弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、少なくとも一部が前記連結部材に形成された凹部に収容され、前記カバー部材に対向して支持されているとよい。
【0014】
また、前記カバー部材は、その両端部が前記連結部材に係合するように前記光電変換素子側に折り返して形成され、前記連結部材には、前記カバー部材の前記両端部を係合させる係合部が形成されているとよい。
【0015】
また、前記基板は、その一端部に複数の電気接点が形成されたカードエッジコネクタ部を有し、前記光路変換部材によって変換される前記光ファイバ側の光路が、前記カードエッジコネクタ部の相手側コネクタへの挿入方向と直交するように構成されているとよい。
【0016】
また、前記カバー部材は、前記光電変換素子が実装された側の前記基板の第1の主面に対向する第1のカバー部材、及び前記第1の主面とは反対側の前記基板の第2の主面に対向する第2のカバー部材からなるとよい。
【0017】
また、前記カバー部材は、板状の金属からなるとよい。
【0018】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、光ファイバと、前記光ファイバの両端部にそれぞれ設けられ、前記光ファイバを介して信号の伝送を行う一対の上記光モジュールと、を備えた信号伝送媒体を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、厚さ方向の寸法を小さくし、かつ組み付けが容易な光モジュール、及びその光モジュールを用いた信号伝送媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本実施の形態に係る光モジュールを光ケーブルと共に示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示す光モジュールにおいて、第1のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、光モジュールを図1Aとは反対側から見た状態を示す斜視図である。
【図2B】図2Aに示す光モジュールにおいて、第2のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3A】第1の基板、及び連結部材を示す斜視図である。
【図3B】図3Aにおいて第1の基板の図示を省略した斜視図である。
【図4A】第1の基板及び連結部材を図3Aとは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
【図4B】図4Aにおいて第1の基板の図示を省略した斜視図である。
【図5A】第1のカバー部材を表面側から見た斜視図である。
【図5B】第1のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
【図5C】第1のカバー部材の側面図である。
【図6A】第2のカバー部材を表面側から見た斜視図である。
【図6B】第2のカバー部材を裏面側から見た斜視図である。
【図6C】図6BのA−A線断面図である。
【図7】レンズブロックを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【図8A】相手側コネクタに光モジュールのカードエッジコネクタ部を挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図8B】相手側コネクタにカードエッジコネクタ部を挿入した状態を示す斜視図である。
【図9】光モジュールの要部断面図である。
【図10】本実施の形態に係る信号伝送媒体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る光モジュール、及び信号伝送媒体の一構成例を、図1A〜図9を参照して説明する。この光モジュール及び信号伝送媒体は、例えば1つのラックに収容された複数の電子回路基板間の信号伝送のために用いられる。
【0022】
(光モジュールの全体構成)
図1Aは、本実施の形態に係る光モジュールを複数の光ファイバからなる光ケーブルと共に示す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す光モジュールにおいて、後述する第1のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。また、図2Aは、本実施の形態に係る光モジュールを図1Aとは反対側から見た状態を示す斜視図、図2Bは、図2Aにおいて、後述する第2カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0023】
この光モジュール1は、光ケーブル9に含まれる複数の光ファイバ90に光学的に接続される光電変換素子21と、光電変換素子21を動作させる制御用IC(Integrated Circuit)22と、光電変換素子21及び制御用IC22が実装された板状の基板3と、基板3の両端部に、光電変換素子21を挟むように固定された連結部材4と、連結部材4によって基板3に連結され、基板3の少なくとも一部を覆うカバー部材5と、光電変換素子21と光ケーブル9の光ファイバとの間で光の光路を変換する光路変換部材としてのレンズブロック6と、レンズブロック6との間に光ケーブル9を保持する板状の保持部材7と、レンズブロック6と保持部材7との間から光モジュール1の外部に導出される光ケーブル9を弾性的に支持する弾性部材としてのゴムブーツ8とを備えている。
【0024】
光ケーブル9は、コア及びクラッドからなる光ファイバ90を複数本(本実施の形態では12本)有している。より具体的には、光ケーブル9は、複数の光ファイバ90を互いに平行となるように一列に配置し、被覆樹脂91により一括して被覆したテープ状に形成されている。この被覆樹脂91としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。
【0025】
(光電変換素子21、制御用IC22、及び基板3の構成)
光電変換素子21は、電気信号を受けて光信号に変換して出力し、又は光信号を受けて電気信号に変換して出力する素子であり、前者の場合は例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)等の発光素子が適用され、後者の場合は例えばフォトダイオード等の受光素子が適用される。また、発光素子及び受光素子の双方の機能を備えた受発光素子を適用してもよい。また、本実施の形態では、光電変換素子21の光の入射又は出射の方向が基板3に直交している。
【0026】
制御用IC22は、光電変換素子21が発光素子として機能する場合には、光電変換素子21に電気信号を出力して、この電気信号に対応した光信号を出力させる。また、光電変換素子21が受光素子として機能する場合には、光電変換素子21が受光した光に応じて信号強度が変化する電気信号を受け付ける。
【0027】
基板3は、全体が矩形状に形成された板状である。この基板3は、一端にカードエッジコネクタ部311が形成された平板状の第1の基板31と、第1の基板31の中央部に形成された開口31aを塞ぐように接合された平板状の第2の基板32とからなる。第1の基板31と第2の基板32とは、両基板の対向面に形成された複数の電極を半田バンプ30によって接合し、この半田バンプ30を介して第1の基板31と第2の基板32との間の信号の授受、及び光電変換素子21ならびに制御用IC22への電源供給が行われる。
【0028】
第1の基板31は、例えばガラスエポキシ基板からなり、第2の基板32よりも大きく形成されている。第1の基板31の一端に形成されたカードエッジコネクタ部311には、その両面に複数の電気接点311aが形成されている。第1の基板31の厚み(電気接点311aや配線パターン等の金属膜が形成された部分を除く厚み)は、例えば0.3mm以上1.0mm未満であり、本実施の形態では、この第1の基板31の厚みが0.5mmに設定されている。
【0029】
また、本実施の形態では、第1の基板31の4つの辺のうち、カードエッジコネクタ部311が形成された辺が、その辺に直交する他の2つの辺よりも長く形成されている。すなわち、光モジュール1に収容された光ケーブル9の延伸方向が、第1の基板31の長手方向と一致している。
【0030】
第2の基板32には、光電変換素子21及び制御用IC22が実装されている。また、第2の基板32は、光ケーブル9を伝送する光の波長に対して透光性を有する基材の表面に、光電変換素子21及び制御用IC22を実装するための複数のパッド、及びこれら複数のパッドに接続された複数の配線パターン等が形成されている。この第2の基板32は、例えばガラス基板からなる。
【0031】
光電変換素子21は、光の入射又は出射の方向が第2の基板32の実装面32aに直交し、第2の基板32を介して光ケーブル9の複数の光ファイバ90と光学的に接続されている。つまり、光電変換素子21は、第2の基板32を厚さ方向に透過した光を入射し、又は第2の基板32に向かって出射した光が第2の基板32を厚さ方向に透過して光ファイバ90に入射する。
【0032】
(ゴムブーツ8の構成)
ゴムブーツ8は、連結部材4に保持される被保持部81と、被保持部81と一体に形成され、光モジュール1の外側に向かって光ケーブル9に沿って形成された導出部82とを有している。また、ゴムブーツ8には、被保持部81及び導出部82に亘って、光ケーブル9を挿通させる挿通孔8aが形成されている。
【0033】
被保持部81には、基板3に平行でかつ光ケーブル9の延伸方向に対して直交する方向に突出した一対の突起81a,81bが形成されている。この一対の突起81a,81bは、後述する第1の連結部材41の凹部413(図3A参照)に形成された一対の係合窪み413a,413bに係合し、光ケーブル9の延伸方向へのゴムブーツ8の移動を規制している。また、被保持部81は、カバー部材52に対向し、凹部413から抜け出す方向のゴムブーツ8の移動が第2のカバー部材52によって規制されている。
【0034】
(連結部材4の構成)
図3Aは、第1の基板31、及び第1の基板31に固定された連結部材4を示す斜視図であり、図3Bは、図3Aにおいて第1の基板31の図示を省略した斜視図である。また、図4Aは、第1の基板31及び連結部材4を、図3Aとは異なる角度から見た状態を示す斜視図であり、図4Bは、図4Aにおいて第1の基板31の図示を省略した斜視図である。
【0035】
連結部材4は、第1の基板31の長手方向の一端部に固定された第1の連結部材41と、第1の連結部材41とは別体で、第1の基板31の長手方向の他端部(第1の連結部材41が固定された側とは反対側の端部)に固定された第2の連結部材42とからなる。第1の連結部材41及び第2の連結部材42は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PEI(Polyetherimide:ポリエーテルイミド)、ナイロン等の樹脂からなる。
【0036】
第1の連結部材41には、第1の基板31の一端部を収容する収容部411が形成されている。また、第2の連結部材42には、第1の基板31の他端部を収容する収容部421が形成されている。収容部411及び収容部421は、第1の基板31の厚さに対応する幅を有する溝状に形成されている。そして、第1の連結部材41及び第2の連結部材42は、収容部411及び収容部421と第1の基板31の長手方向の両端部との嵌合により、第1の基板31に固定されている。
【0037】
また、第1の連結部材41には、収容部411が形成された側とは反対側に、カバー部材5の一端部が係合する係合部412が形成されている。同様に、第2の連結部材42には、収容部421が形成された側とは反対側に、カバー部材5の他端部が係合する係合部422が形成されている。
【0038】
係合部412は、図4A及び図4Bに示すように、第1の基板31の厚さ方向に並列し、かつ第1の基板31の長手方向に直交する方向に延びる突起412a,412bと、突起412aと突起412bとの間に形成された溝部412cとからなる。また、係合部422は、図3A及び図3Bに示すように、第1の基板31の厚さ方向に並列し、かつ第1の基板31の長手方向に直交する方向に延びる突起422a,422bと、突起422aと突起422bとの間に形成された溝部422cとからなる。
【0039】
またさらに、第1の連結部材41には、ゴムブーツ8の被保持部81を収容する凹部413が形成されている。凹部413は、第1の基板31の厚さ方向に開口し、かつ第1の連結部材41を第1の基板31の長手方向に貫通するように形成されている。
【0040】
また、凹部413には、第1の基板31の短手方向に沿った両方向に窪むように、一対の係合窪み413a,413bが形成されている。前述のように、係合窪み413a,413bには、ゴムブーツ8の一対の突起81a,81bが係合する。
【0041】
なお、本実施の形態では、第1の連結部材41と第2の連結部材42とが別体の部材である場合について説明するが、第1の連結部材41と第2の連結部材42とを一体の部材としてもよい。この場合、連結部材4の一部が第1の基板31の長手方向の一端部に固定され、連結部材4の他の一部が第1の基板31の長手方向の他端部に固定されると共に、連結部材4の両端部に係合部412,422が形成される。
【0042】
(カバー部材5の構成)
カバー部材5は、光電変換素子21が実装された側の基板3(第1の基板31及び第2の基板32)の第1の主面3aに対向する第1のカバー部材51と、第1の主面3aとは反対側の第2の主面3bに対向する第2のカバー部材52とからなる。第1のカバー部材51及び第2のカバー部材52は、ぞれぞれが曲げ加工等の加工が施された1枚の板状の金属(板金)から形成されている。
【0043】
図5A〜5Cは第1のカバー部材51を示し、図5Aは表面51a側から見た斜視図、図5Bは裏面51b側から見た斜視図、図5Cは側面図である。また、図6A〜6Cは第2のカバー部材52を示し、図6Aは表面52a側から見た斜視図、図6Bは裏面52b側から見た斜視図、図6Cは図6BのA−A線断面図である。
【0044】
第1のカバー部材51は、その裏面51bが基板3の第1の主面3aに対向し、第1の主面3aの全体を覆うように形成されている。第1のカバー部材51は長方形状であり、その長手方向が基板3の長手方向と平行である。また、第1のカバー部材51には、その長手方向の両端部に、基板3の中央部側(光電変換素子21側)に折り返して形成された一対の折り返し部511,512が形成されている。本実施の形態では、折り返し部511,512が断面円弧状であり、表面51aから裏面51bに向かって屈曲して形成されている。
【0045】
第2のカバー部材52には、表面52a及び裏面52b間を貫通する開口52cが中央部に形成されている。この開口52cは、図1Aに示すように、表面52a側からレンズブロック6の一部と保持部材7の全体を臨むことができる位置に形成されている。第2のカバー部材52は、裏面52bが基板3の第2の主面3bに対向し、開口52cが形成された領域を除いて、第2の主面3bの一部を覆うように形成されている。
【0046】
第2のカバー部材52は、第1のカバー部材51と同様の長方形状であり、その長手方向の両端部に、基板3の中央部側に折り返して形成された一対の折り返し部521,522が形成されている。折り返し部521,522は、断面円弧状であり、表面52aから裏面52bに向かって屈曲して形成されている。
【0047】
また、第2のカバー部材52は、レンズブロック6に対向する領域の一部を基板3側に屈曲して形成された一対の押付部523,524を有している。押付部523,524は、第2のカバー部材52の長手方向に沿って互いに平行に、開口52c内に延びるように形成されている。この押付部523,524は、レンズブロック6の一部に接触し、レンズブロック6を基板3側に向かって弾性的に押し付けている。レンズブロック6は、第2の基板32に設けられた一対のガイドピン321,322に係合して第2の基板32に平行な方向への移動が規制されると共に、第2のカバー部材52の押付部523,524によって押し付けられることにより、第2の基板32に固定されている。
【0048】
(レンズブロック6の構成)
図7は、レンズブロック6を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【0049】
レンズブロック6は、透光性を有する例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート(アクリル))等の樹脂からなり、光路変換部61と、光ファイバ支持部62と、一対の受け部631,632と、ガイドピン321,322にそれぞれ係合する切欠き641,642が形成された係合部64とを一体に有している。
【0050】
レンズブロック6は、光路変換部61により、光電変換素子21と複数の光ファイバ90との間で、光電変換素子21に入射する光、又は光電変換素子21から出射した光の光路を変換する。より具体的には、光路変換部61は、第2の基板32の実装面32aに直交する方向の光電変換素子21側の光路と、第2の基板32の実装面32aに平行な方向の光ファイバ90側の光路とを光路変換する。
【0051】
この光路変換は、第2の基板32に対して斜めに交差する角度の傾斜面(仮想面)に沿って光路変換部61に形成された反射面61aにおける光の内部反射によって行われる。本実施の形態では、反射面61aと第2の基板32とがなす角度が45°である。また、レンズブロック6によって変換される光ファイバ90側の光路は、カードエッジコネクタ部311の相手側コネクタ(後述)への挿入方向と直交するように、光路変換部61が構成されている。また、反射面61aは、カードエッジコネクタ部311の相手側コネクタへの挿入方向に沿って延びるように形成されている。
【0052】
また、光ファイバ支持部62には、複数の光ファイバ90を被覆樹脂91と共に収容する凹所621と、被覆樹脂91が除去されて露出した複数の光ファイバ90を支持する複数の溝622とが形成されている。溝622は、第2の基板32と平行かつ反射面61aの延伸方向に対して直交する方向に沿って、複数の光ファイバ90のそれぞれに対応して形成されている。
【0053】
光ケーブル9は、レンズブロック6の光ファイバ支持部62と保持部材7(図1A,図1Bに示す)との間に挟まれて保持されている。保持部材7は、例えば樹脂からなり、接着等によってレンズブロック6に固定されている。
【0054】
一対の受け部631,632は、光ファイバ支持部62を挟むように、レンズブロック6の両端部に形成されている。受け部631は、第2のカバー部材52の押付部523に接触する受け面631aを有し、押付部523による基板3側への押し付け力を受ける。また、受け部632は、第2のカバー部材52の押付部524に接触する受け面632aを有し、押付部524による基板3側への押し付け力を受ける。
【0055】
また、レンズブロック6には、光路変換部61における反射面61aの反対側に、複数のレンズ部61bが形成されている。レンズ部61bは、光電変換素子21側の光路中に形成され、光電変換素子21から出射されて光ファイバ90に入射する光、又は光ファイバ90から出射されて光電変換素子21に入射する光の焦点を合わせるように機能する。
【0056】
(光モジュール1の動作)
図8Aは、電子回路基板100に実装されたコネクタ101(相手側コネクタ)に光モジュール1のカードエッジコネクタ部311を挿入する前の状態を示し、図8Bは、カードエッジコネクタ部311をコネクタ101に挿入した状態を示す斜視図である。
【0057】
光モジュール1は、基板3の長手方向に直交する短手方向に沿って、カードエッジコネクタ部311がコネクタ101に挿入される。光モジュール1からの光ケーブル9の引き出し方向は、コネクタ101へのカードエッジコネクタ部311の挿入方向と直交している。また、光モジュール1内における複数の光ファイバ90の配列方向は、カードエッジコネクタ部311の挿入方向と平行である。即ち、ゴムブーツ8から導出されたテープ状の光ケーブル9の幅方向がコネクタ101へのカードエッジコネクタ部311の挿入方向と平行である。
【0058】
光モジュール1は、カードエッジコネクタ部311の電気接点311aと、コネクタ101の接点101aとの接触により、電子回路基板100に実装された図略の能動素子又は受動素子との信号の受け渡しを行い、また電子回路基板100側からの電源の供給を受ける。
【0059】
図9は、光モジュール1の要部断面図である。光電変換素子21が電気信号を光信号に変換して出力する発光素子である場合、制御用IC22はコネクタ101及び基板3を介して電子回路基板100側から電気信号を入力し、この電気信号に基づいて光電変換素子21を駆動する。光電変換素子21から発した光は、第2の基板32を透過し、レンズ部61bからレンズブロック6内に入射する。この入射光は光路変換部61の反射面61aで内部反射し、光ファイバ90に入射する。
【0060】
また、光電変換素子21が光信号を電気信号に変換して出力する受光素子である場合、光ファイバ90から放射されてレンズブロック6に入射した光が光路変換部61の反射面61aで内部反射し、レンズ部61bから出射される。この出射光は第2の基板32を透過して光電変換素子21に入射して電気信号に変換される。制御用IC22は、光電変換素子21から出力された電気信号を基板3及びコネクタ101を介して電子回路基板100側に出力する。
【0061】
本実施の形態では、光モジュール1が12チャンネルの通信を並行して行うことが可能である。また、送信及び受信で異なる波長の光信号を用い、1本の光ファイバ90で送信と受信を同時に行うようにレンズブロック6,光電変換素子21,及び制御用IC22を構成してもよい。
【0062】
また、図9に示すように、反射面61aよりも光電変換素子21側の第1の光路L1と、反射面61aよりも光ファイバ90側の第2の光路L2とは直交している。つまり、第1の光路L1は、第2の基板32の実装面32aに直交する方向であり、第2の光路L2は、第2の基板32の実装面32aに平行な方向である。本実施の形態では、第2の光路L2が基板3の長手方向と平行、すなわち電子回路基板100と平行となるように、レンズブロック6がガイドピン321,322及び第2の基板32に設けられた支持部323によって支持されている。
【0063】
また、図9に示すように、保持部材7は、その一部が第2のカバー部材52の開口52c内に位置している。つまり、第2のカバー部材52の表面52a及び裏面52bに平行な方向から見た場合に、第2のカバー部材52と保持部材7の一部(保持部材7の厚さ方向における外側の一部)とが重なり、開口52cによって保持部材7と第2のカバー部材52との干渉が回避されている。
【0064】
また、光電変換素子21及び制御用IC22は、第1の基板31の開口31aに少なくとも一部が収容されている。
【0065】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0066】
(1)第1及び第2のカバー部材51,52が、それらの両端部において第1及び第2の連結部材41,42によって基板3に連結されるので、例えばケース状の部材に基板を収容する場合に比較して、光モジュール1の厚さ方向の寸法を小さくすることが可能となる。また、光モジュール1の組み付けも容易となる。
【0067】
(2)第1及び第2のカバー部材51,52によって、光モジュール1のコネクタ101への装着時等に基板3に作用する外力が抑制されるので、第1及び第2のカバー部材51,52を有しない場合に比較して基板3を薄くすることが可能となり、ひいてはコネクタ101を小型化することができる。これにより、電子回路基板100上における光モジュール1のコネクタ101の専有面積を小さくすることができ、電子回路基板100の高密度実装化に寄与できる。
【0068】
(3)光電変換素子21は、光の入射又は出射の方向が基板3(第2の基板32)に直交し、レンズブロック6によってこの光の方向が基板3に平行な方向に変換されるので、光ケーブル9を基板3に平行に引き出すことができ、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。
【0069】
(4)光電変換素子21とレンズブロック6は、透光性を有する第2の基板32を挟んで配置されているので、光電変換素子21及びレンズブロック6を共に第2の基板32に固定することができ、光モジュール1の組み付けが容易となる。
【0070】
(5)光電変換素子21及び制御用IC22は、第1の基板31の中央部に形成された開口31aに一部又は全部が収容されるので、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。
【0071】
(6)レンズブロック6は、第2のカバー部材52の押付部523,524によって基板3側に押し付けられて固定されているので、第2のカバー部材52の組み付けによってレンズブロック6の固定が同時に行われる。これにより、レンズブロック6を例えば接着等によって基板3に固定する必要がなく、光モジュール1の組み付けが容易となる。
【0072】
(7)第2のカバー部材52には開口52cが形成され、この開口52cに保持部材7の一部が位置しているので、光モジュール1の厚さ方向の寸法をさらに小さくすることができる。つまり、第2のカバー部材52と保持部材7とを光モジュール1の厚さ方向にオーバーラップさせて配置することにより、光モジュール1を薄型化することができる。また、開口52cを介した空気の流動により、制御用IC22や光電変換素子21等の発熱を外部に逃がすことが可能となり、放熱性を高めることができる。
【0073】
(8)光ケーブル9は、弾性を有するゴムブーツ8を介して光モジュール1から導出されるので、光ケーブル9が大きな曲率で曲げられて損傷することを抑制することができる。また、ゴムブーツ8は、第1の連結部材41の凹部413に収容され、ゴムブーツ8の凹部413からの抜け出しが、ゴムブーツ8に対向する第2のカバー部材52によって規制されるので、ゴムブーツ8の組み付けを容易に行うことができる。
【0074】
(9)第1及び第2のカバー部材51,52は、単板の板金からなり、折り返し部511,512,521,522が第1及び第2の連結部材41,42の係合部412,422に係合して連結される。つまり、第1及び第2のカバー部材51,52の弾性変形によって、第1及び第2のカバー部材51,52の連結作業を行うことができ、例えばねじ締めや圧着等によって第1及び第2のカバー部材51,52を固定する場合に比較して、第1及び第2のカバー部材51,52の組み付けを容易に行うことが可能となる。
【0075】
(10)基板3(第1の基板31)には、カードエッジコネクタ部311が形成され、このカードエッジコネクタ部311の電子回路基板100に実装されたコネクタ101への挿入方向がレンズブロック6の第2の光路L2と直交するので、電子回路基板100に対して平行に光ケーブル9を引き出すことができる。これにより、光ケーブル9が電子回路基板100に直交する方向に光モジュール1から突出することがなく、光ケーブル9の引き回しが容易となる。
【0076】
(11)第1及び第2のカバー部材51,52は、基板3を両面から挟むように連結されるので、第1及び第2のカバー部材51,52に覆われる各部品を保護することができると共に、例えばコネクタ101への装着時における基板3の外力による変形を適切に抑制することができる。
【0077】
(12)第1及び第2のカバー部材51,52は、板金からなるので、光電変換素子21や制御用IC22で発した熱を熱伝導により効率よく外部に放熱することができる。
【0078】
なお、図10に示すように、一対の光モジュール1を光ケーブル9の両端部に設けて信号伝送媒体10として構成してもよい。この場合、一方の光モジュール1はカードエッジコネクタ部311から入力された電気信号を光信号に変換し、光ケーブル9を介して伝送する。他方の光モジュール1は光ケーブル9を介して伝送された光信号を電気信号に変換し、カードエッジコネクタ部311から出力する。また、送信及び受信で異なる波長の光信号を用いて、一対の光モジュール1間で双方向の通信を行うようにしてもよい。この信号伝送媒体10によって、例えば共通のラックに収容された2つの電子回路基板間の通信を行うことができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0080】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、光ケーブル9が複数(12本)の光ファイバ90を含む場合について説明したが、光ケーブル9に含まれる光ファイバ90の数に限定はなく、光ファイバ90の数は1つでもよい。また、本実施の形態では、基板3が2つの基板(第1の基板31及び第2の基板32)の結合により構成された場合について説明したが、基板3を単板で構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…光モジュール、3…基板、3a…第1の主面、3b…第2の主面、4…連結部材、5…カバー部材、6…レンズブロック(光路変換部材)、7…保持部材、8…ゴムブーツ(弾性部材)、8a…挿通孔、9…光ケーブル、10…信号伝送媒体、21…光電変換素子、22…制御用IC、30…半田バンプ、31…第1の基板、31a…開口、32…第2の基板、32a…実装面、41…第1の連結部材、42…第2の連結部材、51…第1のカバー部材、51a…表面、51b…裏面、52…第2のカバー部材、52a…表面、52b…裏面、52c…開口、61…光路変換部、61a…反射面、61b…レンズ部、62…光ファイバ支持部、64…係合部、81…被保持部、81a,81b…突起、82…導出部、90…光ファイバ、91…被覆樹脂、100…電子回路基板、101…コネクタ、101a…接点、311…カードエッジコネクタ部、311a…電気接点、321,322…ガイドピン、411…収容部、412…係合部、412a,412b…突起、412c…溝部、413…凹部、421…収容部、422…係合部、422a,422b…突起、422c…溝部、511,512,521,522…折り返し部、523,524…押付部、621…凹所、622…溝、631,632…受け部、631a,632a…受け面、L1…第1の光路、L2…第2の光路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと光学的に接続される光電変換素子と、
前記光電変換素子が実装された板状の基板と、
前記基板の両端部に、前記光電変換素子を挟むように固定された連結部材と、
前記連結部材によって前記基板に連結され、前記基板の少なくとも一部を覆うカバー部材と、
を備えた光モジュール。
【請求項2】
前記連結部材は、前記基板の一端部に固定された第1の連結部材と、前記第1の連結部材とは別体で、前記基板の前記一端部に対向する他端部に固定された第2の連結部材とからなる、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光電変換素子は、光の入射又は出射方向が前記基板に直交し、
前記光電変換素子と前記光ファイバとの間で前記光の光路を変換する光路変換部材をさらに備え、
前記光路変換部材は、前記カバー部材によって前記基板側に押し付けられて固定されている、
請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記光路変換部材に対向する領域の一部を前記基板側に屈曲して形成された一対の押付部を有し、
前記光路変換部材は、前記一対の押付部に接触して前記基板側への押し付け力を受ける一対の受け部を有する、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記一対の押付部の間の領域に開口が形成されている、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記光ファイバを挿通させる挿通孔が形成され、前記光ファイバを弾性的に支持する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、少なくとも一部が前記連結部材に形成された凹部に収容され、前記カバー部材に対向して支持されている、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記カバー部材は、その両端部が前記連結部材に係合するように前記光電変換素子側に折り返して形成され、
前記連結部材には、前記カバー部材の前記両端部を係合させる係合部が形成された、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記基板は、その一端部に複数の電気接点が形成されたカードエッジコネクタ部を有し、
前記光路変換部材によって変換される前記光ファイバ側の光路が、前記カードエッジコネクタ部の相手側コネクタへの挿入方向と直交するように構成された、
請求項3乃至7の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記光電変換素子が実装された側の前記基板の第1の主面に対向する第1のカバー部材、及び前記第1の主面とは反対側の前記基板の第2の主面に対向する第2のカバー部材からなる、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記カバー部材は、板状の金属からなる、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項11】
光ファイバと、
前記光ファイバの両端部にそれぞれ設けられ、前記光ファイバを介して信号の伝送を行う一対の請求項1乃至10の何れか1項に記載の光モジュールと、
を備えた信号伝送媒体。
【請求項1】
光ファイバと光学的に接続される光電変換素子と、
前記光電変換素子が実装された板状の基板と、
前記基板の両端部に、前記光電変換素子を挟むように固定された連結部材と、
前記連結部材によって前記基板に連結され、前記基板の少なくとも一部を覆うカバー部材と、
を備えた光モジュール。
【請求項2】
前記連結部材は、前記基板の一端部に固定された第1の連結部材と、前記第1の連結部材とは別体で、前記基板の前記一端部に対向する他端部に固定された第2の連結部材とからなる、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光電変換素子は、光の入射又は出射方向が前記基板に直交し、
前記光電変換素子と前記光ファイバとの間で前記光の光路を変換する光路変換部材をさらに備え、
前記光路変換部材は、前記カバー部材によって前記基板側に押し付けられて固定されている、
請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記光路変換部材に対向する領域の一部を前記基板側に屈曲して形成された一対の押付部を有し、
前記光路変換部材は、前記一対の押付部に接触して前記基板側への押し付け力を受ける一対の受け部を有する、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記一対の押付部の間の領域に開口が形成されている、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記光ファイバを挿通させる挿通孔が形成され、前記光ファイバを弾性的に支持する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、少なくとも一部が前記連結部材に形成された凹部に収容され、前記カバー部材に対向して支持されている、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記カバー部材は、その両端部が前記連結部材に係合するように前記光電変換素子側に折り返して形成され、
前記連結部材には、前記カバー部材の前記両端部を係合させる係合部が形成された、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記基板は、その一端部に複数の電気接点が形成されたカードエッジコネクタ部を有し、
前記光路変換部材によって変換される前記光ファイバ側の光路が、前記カードエッジコネクタ部の相手側コネクタへの挿入方向と直交するように構成された、
請求項3乃至7の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記光電変換素子が実装された側の前記基板の第1の主面に対向する第1のカバー部材、及び前記第1の主面とは反対側の前記基板の第2の主面に対向する第2のカバー部材からなる、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記カバー部材は、板状の金属からなる、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項11】
光ファイバと、
前記光ファイバの両端部にそれぞれ設けられ、前記光ファイバを介して信号の伝送を行う一対の請求項1乃至10の何れか1項に記載の光モジュールと、
を備えた信号伝送媒体。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−97225(P2013−97225A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240852(P2011−240852)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]