光信号伝播装置
【課題】 障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できる光信号伝播装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 電子機器1と、当該電子機器1を制御するために光制御信号Pを発信するリモコン2との間に配設された光伝播路4を備え、光伝播路4は、リモコン2からの光制御信号Pを受光し、この受光した光制御信号Pを電子機器1に向けて出射するように構成した光信号伝播装置3において、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光面51を有する受光部5、を更に備え、光伝播路は4、一方の端部を光制御信号Pが入射する入射口41とし、他方の端部を光制御信号Pが出射する出射口42となし、入射口41を受光部5に配設するとともに、受光部5は、リモコン2から入射口41に直接向かう光制御信号Pのみが入射されるように構成する。
【解決手段】 電子機器1と、当該電子機器1を制御するために光制御信号Pを発信するリモコン2との間に配設された光伝播路4を備え、光伝播路4は、リモコン2からの光制御信号Pを受光し、この受光した光制御信号Pを電子機器1に向けて出射するように構成した光信号伝播装置3において、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光面51を有する受光部5、を更に備え、光伝播路は4、一方の端部を光制御信号Pが入射する入射口41とし、他方の端部を光制御信号Pが出射する出射口42となし、入射口41を受光部5に配設するとともに、受光部5は、リモコン2から入射口41に直接向かう光制御信号Pのみが入射されるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機(以下単に、リモコンと称す。)との間に配設される光信号伝播装置に関し、特に、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、テレビジョン受像機、ビデオテープレコーダ、カラオケ装置またはエアコンなどの電子機器は、フロントパネルの操作部を除外または簡略化して、リモコンにより遠隔操作できるリモートコントロール方式が採用されている。リモコンからは、例えば、FM変調された制御信号が、赤外線発光ダイオードなどの発光素子による信号光に変換して光制御信号が出力される。電子機器のリモコン受信部では、赤外線などからなる光制御信号を電子機器のフロントパネルに設けられた受光窓を介しフォトダイオードなどの受光素子を有するリモコン受信部で受光して電気信号に光電変換され、その電気信号が受信処理部で増幅および復調されたのちに制御部に対し出力される。
【0003】
一般的に、この種電子機器に用いられているリモートコントロール方式では、上述のように、赤外線などのような光を制御信号として利用しているので、その性格上、リモコンと、電子機器のリモコン受信部との間に、人や他の障害物などがあると、光制御信号がリモコン受信部に確実に到達せず、また、ノイズなどの影響を受け、所望の操作ができないことがあった。
【0004】
この対策として、従来では、例えば、リモコンと、カラオケ装置の受光部との間を、一方の端部に嵌め込み型の受光部、他方の端部に嵌め込み型の発光部が設けられた光ファイバーケーブルにより、直接結合するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、浴室の壁などに光ファイバーケーブルを埋設し、光ファイバーケーブルの一方の端部に鏡面加工が施された椀状の集光器を設け、光ファイバーケーブルの他方の端部にレンズを介して電子機器を配設し、リモコンからの光制御信号を、集光器で集光し、受光部で受光し、光ファイバーケーブルを介して電子機器に伝達するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−285663号公報
【特許文献2】特開2006−174314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の特許文献1記載の構成では、リモコンと嵌め込み型の発光部を直接接続しているので、使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、光ファイバーケーブルを引き回す必要があり、その使用形態が極めて制限される他、光ファイバーケーブルを損傷するなどといった問題があった。また、特許文献2記載の構成では、受光部には、例えば、図15にタイムチャートで示すように、直接受光部で受光した光制御信号Pに、集光器の反射面で反射され、反射時間だけ遅れた反射光制御信号P2、P3などがノイズとして入力される。この結果、光ファイバーケーブルを介して電子機器側で受光される光制御信号Pnは、光制御信号P1に、複数の反射光制御信号P2、P3などが重畳したものとなる。このようにノイズが重畳した光制御信号Pnは、電子機器の信号処理部で判別することができず、リモコン操作が不能になる。また、光ファイバーケーブルが壁に埋設され、受光部およびレンズとの間に空間を介して配設されているので、位置関係が極めて重要となり、これらの関係がずれると、光制御信号を伝達する機能が損なわれる他、設置工事が複雑で、極めて高価となるなどといった問題があった。なお、図15において、横軸は、時間(T)である。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できる光信号伝播装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明では、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に配設された光伝播路を備え、光伝播路は、リモコンからの光制御信号を受光し、この受光した光制御信号を電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光部と、光伝播路の他方の端部に設けられ、光制御信号を電子機器に向けて出射する出射部と、を更に備え、光伝播路は、一方の端部を光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を光制御信号が出射する出射口となし、受光部は、光制御信号に向けて配設される受光面と、当該受光面から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面とを合成樹脂により一体に形成し、反射面の最深部に入射口を配設する。
【0008】
この構成によれば、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に、光信号を伝播する光伝播路と、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光部と、光伝播路の他方の端部に設けられ、光制御信号を電子機器に向けて出射する出射部とを、単に配設すればよいので、上述した従来例のように、リモコンと、光伝播路とを直接接続する必要がない。その結果、その使用形態が制限されることがない。また、光伝播路を使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、引き回す必要がないので、光伝播路を損傷することがない。更には、入射口は、半球状の反射面の最深部に配設されているので入射口には、リモコンから直接入射口に向かう光制御信号のみが入射され、反射面によって反射された反射光制御信号は、反射面によって受光部から外部に反射される。この結果、上述した従来例のように、光制御信号にノイズが重畳することがないので、障害物やノイズの影響を受けることなく、電子機器をリモコンにより確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置のコストの低減を図ることができる。
【0009】
また、本発明においては、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に配設された光伝播路を備え、光伝播路は、リモコンからの光制御信号を受光し、この受光した光制御信号を電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光面を有する受光部、を更に備え、光伝播路は、一方の端部を光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を光制御信号が出射する出射口となし、入射口を受光部に配設するとともに、受光部は、リモコンから入射口に直接向かう光制御信号のみが入射されるように構成する。
【0010】
この構成によれば、上述した従来例のように、電子機器とリモコンとを、光伝播路を介して直接接続する必要がないので、その使用形態が制限されることがない。また、リモコンとともに、光伝播路を引き廻す必要がないので、光伝播路を損傷することがない。更には、入射口には、リモコンから入射口に直接向かう光制御信号のみが入射されるので、上述した従来例のように、光制御信号にノイズが重畳することがない。従って、障害物やノイズの影響を受けることなく、電子機器をリモコンにより確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置のコストの低減を図ることができる。
【0011】
また、本発明においては、受光部は、受光面をリモコン受信部に向けて配設した際、設置面となりうる複数の面を有する断面形状が多角形に形成され、各面のうち少なくとも2つの面は、受光面に対して異なる角度となるように構成する。
【0012】
この構成によれば、受光部は、設置面となりうる複数の面を有し、この面は、受光面が異なる角度となるように設置できるので、使用場所、設置環境などに応じて、受光面がリモコンを操作する操作者に対して最適な角度となるように受光部を設置することができ、都合がよい。
【0013】
また、本発明においては、光伝播路を保持する保持スタンドを、更に備え、出射口の近傍を、保持スタンドにより保持して、出射口が、電子機器に向かうように配置する。
【0014】
この構成によれば、光伝播路の出射口を、保持スタンドにより保持しているので、極めて簡単に、出射口と、電子機器との位置関係を、極めて簡単な構成により調整することができ、都合がよい。
【0015】
また、本発明においては、出射口が内部に配設された差込みプラグを、更に備え、差込みプラグを、電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に構成する。
【0016】
この構成によれば、出射口のみが差込みプラグにより、電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に装着されているので、リモコン側は、フリーであり、その使用形態が制限されることがなく、確実に光制御信号を電子機器に伝達することができ、都合がよい。
【0017】
また、本発明においては、受光部と、出射部とを、同一形状に形成し、受光部を出射部として、また、出射部を受光部として利用可能に構成する。
【0018】
この構成によれば、受光部と、出射部とが、同一形状に形成されているので、殊更、受光部と、出射部とを、意識することなく設置することができ、都合がよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できる光信号伝播装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図9に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図2は、図1に示す受光部の一例を示す概略断面図、図3は、図2に示す受光部の正面図である。図4は、図1に示す出射部の一例を示す概略断面図、図5は、図4に示す出射部の正面図である。図6は、受光部の他の例を示す概略斜視図、図7乃至図9は、図6に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【0021】
図1に示すように、電子機器である、例えば、テレビジョン受像機1は、液晶モジュールなどからなる表示画面を備えている。また、テレビジョン受像機1は、フロントパネル11の所要箇所に、リモコン2からの光制御信号Pを受信する、例えば、フォトダイオードなどの受光素子を有するリモコン受信部12が設けられている。リモコン2は、テレビジョン受像機1を制御するため、電源をオン、オフ切り換え用、チャンネル切り換え用および音量の増減用などの各種操作を行うための操作キー21を備え、操作キー21の操作に基づき、例えば、レーザーダイオードなどの発光素子から赤外線などの光制御信号Pを発光する。テレビジョン受像機1のリモコン受信部12は、受光した光制御信号Pを、受光素子により光電変換し、電気信号として、例えば、図示しない信号処理部に出力する。そして、出力された電気信号は、信号処理部で増幅および復調などの信号処理がなされ、図示しない制御手段に送られ、制御手段は、入力した電気信号に対応する制御、例えば、電源のオン、オフやチャンネル選択などの制御を行う。
【0022】
かかる構成により、使用者は、テレビジョン受像機1から離れてた場所において、リモコン2を用いて、例えば、チャンネル切り換えなどの所望の操作を行う。この操作により、使用者は、テレビジョン受像機1の液晶モジュールなどの表示画面に映し出される、所望の画像を観ることができる。
【0023】
而して、本発明に従い、図1に示すように、テレビジョン受像機1と、リモコン2との間には、障害物やノイズの影響を避けるために、リモコン2からの光制御信号Pを受光し、この受光した光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する光信号伝播装置3が配設されている。この光信号伝播装置3は、光制御信号Pを伝播する光伝播路4と、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光部5と、光伝播路4の他方の端部に設けられ、光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する出射部6と、から構成されている。光伝播路4は、一方の端部を光制御信号Pが入射する入射口41とし、他方の端部を光制御信号Pが出射する出射口42として機能する。この光伝播路4としては、例えば、光ファイバーケーブル、テグス(光を伝播することができる道糸)などを用いることができる。この場合、距離が短いときには、テグスを用いれば、よりコスト低減を図ることができる。
【0024】
受光部5は、リモコン2から入射口41に直接向かう光制御信号Pのみが入射されるように形成されている。即ち、この受光部5は、例えば、図2および図3に示すように、光制御信号Pに向けて配設される受光面51と、当該受光面51から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面52とを形成し、また、反射面52の最深部には、入射口41が位置するように、合成樹脂により一体に成形されている。
【0025】
出射部6は、例えば、図4および図5に示すように、受光部5と同様に、出射面61と、当該出射面61から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面62とを形成し、また、反射面62の最深部には、出射口42が位置するように、合成樹脂により一体に成形されている。この場合、受光部5と、出射部6とを、同一形状に形成し、受光部5を出射部6として、また、出射部6を受光部5として利用可能に構成してもよい。このように構成すれば、受光部5と、出射部6とが、同一形状に形成されているので、殊更、受光部5と、出射部6とを、意識することなく設置することができ、都合がよい。更には、受光部5および出射部6の標準化が図れるとともに、成形用金型なども共用でき、よりコスト低減が図れる。
【0026】
受光部5は、例えば、図6乃至図9に示すように、断面形状が多角形である三角錐形状とし、受光面51を、リモコン2を操作する操作者に向けて配設した際、当該受光部5を設置する際の設置面となりうる複数の面53a、53b、53cを有するように形成する。そして、各面53a、53b、53cと、受光面51に対する角度が互いに異なる角度となるように形成する。即ち、図7では、面53aを設置面とし、受光面51に対する角度をθ1に、図8では、面53bを設置面とし、受光面51に対する角度をθ2に、図9では、面53cを設置面とし、受光面51に対する角度をθ3になるように形成する。
【0027】
このように、受光部5として設置面となりうる複数の面53a、53b、53cを有する断面形状が多角形に形成し、各面53a、53b、53cのうち少なくとも2つの面は、受光面51に対する角度が互いに異なる角度となるように形成すると、受光面51が異なる角度となるように設置できる。従って、使用場所、設置環境などに応じて、受光面51がリモコン2を操作する操作者に対して最適な角度となるように受光部5を設置することができ、都合がよい。また、図示しないが、出射部6についても同様に形成すれば、同様の効果を得ることができ、都合がよい。また、四角形以上の多角形に形成してもよいのは、勿論である。
【0028】
以上の構成による本実施形態では、テレビジョン受像機1と、当該テレビジョン受像機1を制御するために光制御信号Pを発信するリモコン2との間に、光信号を伝播する光伝播路4と、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光部5と、光伝播路4の他方の端部に設けられ、光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する出射部6とを、単に配設すればよいので、上述した従来例のように、リモコン2と、光伝播路4とを直接接続する必要がない。その結果、その使用形態が制限されることがない。また、使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、光伝播路4を引き廻す必要がないので、光伝播路4を損傷することがない。更には、入射口41は、半球状の反射面52の最深部に配設されているので入射口41には、リモコン2から直接入射口41に向かう光制御信号Pのみが入射され、反射面52によって反射された反射光制御信号は、当該反射面52によって受光部5から外部に反射される。この結果、上述した従来例のように、光制御信号Pにノイズが重畳することがないので、障害物やノイズの影響を受けることなく、テレビジョン受像機1をリモコン2により確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置3のコストの低減を図ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10および図11を参照しながら説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図11は、保持スタンドの一例を示す概略正面図である。なお、図10および図11において、上述した図1乃至図9と同じ符号を付した部分は、略同一のものを示すため、ここでは詳細な説明は省略する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
本実施形態では、図10に示すように、光伝播路4の出射口42側を、図11に示す様な保持スタンド7により保持し、出射口42が、電子機器である、例えば、テレビジョン受像機1のリモコン受信部12に向かうように配置したものである。保持スタンド7は、テレビジョン受像機1を設置する、図示しない設置台の上に設置される基礎部71と、脚部72と、光伝播路4を保持する保持部73を、例えば、合成樹脂などにより一体的に構成する。
【0031】
以上の構成による本実施形態よれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する他、光伝播路4の出射口42を、保持スタンド7により保持しているので、極めて簡単に、出射口42と、テレビジョン受像機1との位置関係を、極めて簡単な構成により調整することができ、都合がよい。
【0032】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12乃至図14を参照しながら説明する。図12は、本発明の第3実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図13は、差込みプラグの一例を示す概略斜視図、図14は、電子機器のリモコン受信部のジャック部に差込みプラグを接続した状態を一部断面して示す側断面図である。なお、図12乃至図14において、上述した図1乃至図11と同じ符号を付した部分は、略同一のものを示すため、ここでは詳細な説明は省略する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
本実施形態では、図12乃至図14に示すように、光伝播路4の出射口42側に、図13に示す様な差込みプラグ8を設け、この差込みプラグ8の内部に出射口42を配設したものである。また、電子機器であるテレビジョン受像機1のリモコン受信部12には、差込みプラグ8が着脱可能なジャック部13が装着されている。差込みプラグ8は、例えば、図13に示すように、直方体形状に形成され、光伝播路4の出射口42が先端部81に露出する形で、その全体が合成樹脂材料などで構成されている。そして、差込みプラグ8は、先端部81の上辺付近から後方に延設されたアーム82を備えている。アーム82は、弾性部83と、段差部84aを有する係止部84とから形成されている。このアーム82は、下方に押し下げても弾性部83の反発作用によって元の状態に戻るようになっている。
【0034】
また、テレビジョン受像機1のリモコン受信部12に装着されているジャック部13も、直方体形状に形成され、その一端面に差込みプラグ8を差し込むプラグ挿入部14が形成されている。プラグ挿入部14の内壁上面には、段差部15aを有する係止部15が形成されている。また、プラグ挿入部14の内壁先端の出射口42と当接する位置には、光制御信号Pを受光する受光素子16或いは集光部などが設けられている。
【0035】
この構成により、差込みプラグ8をジャック部13のプラグ挿入部14に差し込むと、アーム82の弾性部83がプラグ挿入部14の内壁上面に摺接して変形し、アーム82が下方に押し下げられる。そして、差込みプラグ8が正規の位置(図14参照)まで差し込まれると、弾性部83の反発力によりアーム82が上方に変位し、差込みプラグ8の係止部84と、ジャック部13の係止部15とが、互いの段差部84a、段差部15aにより係合する。これにより、差込みプラグ8は、ジャック部13から抜けることが防止され、ジャック部13内に差し込まれた状態で、確実に固定される。この状態で、リモコン2からの光制御信号Pは、受光部5、光伝播路4を介して、リモコン受信部12に伝達される。リモコン受信部12で受光した光制御信号Pは、受光素子16により光電変換し、電気信号として、例えば、図示しない信号処理部に出力される。
【0036】
以上の構成による本実施形態よれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する他、出射口42のみ差込みプラグ8により、テレビジョン受像機1に設けられたリモコン受信部12のジャック部13に着脱可能に装着されているので、リモコン2側は、フリーであり、その使用形態が制限されることがなく、確実に光制御信号Pをテレビジョン受像機1に伝達することができ、都合がよい。
【0037】
なお、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。
【0038】
また、上述の各実施形態では、テレビジョン受像機について詳述したが、ビデオテープレコーダ、カラオケ装置またはエアコンなどの各種の電子機器に適用しても良いのは、勿論である。
【0039】
また、上述の各実施形態では、光伝播路4の出射口42を、出射部6または保持スタンド7により支持、或いは差込みプラグ8内に埋設するようにしたが、このような出射部6、保持スタンド7および差込みプラグ8を用いずに、例えば、電子機器を設置する設置台の上に直接載せ、粘着テープなどで固定するようにしても良いのは、勿論である。
【0040】
更に、本発明によれば、多くの聴衆など集まるデモンストレーションなどの会場において、操作者が電子機器本体から離れた位置に居ても、確実にリモコンによる操作ができ、デモンストレーション効果を向上することがでる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す受光部の一例を示す概略断面図である。
【図3】図2に示す受光部の正面図である。
【図4】図1に示す出射部の一例を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す出射部の正面図である。
【図6】受光部の他の例を示す概略斜視図である。
【図7】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図8】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図9】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図11】保持スタンドの一例を示す概略正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図13】差込みプラグの一例を示す概略斜視図である。
【図14】電子機器のリモコン受信部のジャック部に差込みプラグを接続した状態を一部断面して示す側断面図である。
【図15】従来例を説明するための光制御信号のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0042】
P 光制御信号
1 電子機器(テレビジョン受像機)
2 リモートコントロール送信機(リモコン)
3 光信号伝播装置
4 光伝播路
41 入射口
42 出射口
5 入射部
51 受光面
52 反射面
6 出射部
7 保持スタンド
8 差込みプラグ
12 リモコン受信部
13 ジャック部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機(以下単に、リモコンと称す。)との間に配設される光信号伝播装置に関し、特に、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、テレビジョン受像機、ビデオテープレコーダ、カラオケ装置またはエアコンなどの電子機器は、フロントパネルの操作部を除外または簡略化して、リモコンにより遠隔操作できるリモートコントロール方式が採用されている。リモコンからは、例えば、FM変調された制御信号が、赤外線発光ダイオードなどの発光素子による信号光に変換して光制御信号が出力される。電子機器のリモコン受信部では、赤外線などからなる光制御信号を電子機器のフロントパネルに設けられた受光窓を介しフォトダイオードなどの受光素子を有するリモコン受信部で受光して電気信号に光電変換され、その電気信号が受信処理部で増幅および復調されたのちに制御部に対し出力される。
【0003】
一般的に、この種電子機器に用いられているリモートコントロール方式では、上述のように、赤外線などのような光を制御信号として利用しているので、その性格上、リモコンと、電子機器のリモコン受信部との間に、人や他の障害物などがあると、光制御信号がリモコン受信部に確実に到達せず、また、ノイズなどの影響を受け、所望の操作ができないことがあった。
【0004】
この対策として、従来では、例えば、リモコンと、カラオケ装置の受光部との間を、一方の端部に嵌め込み型の受光部、他方の端部に嵌め込み型の発光部が設けられた光ファイバーケーブルにより、直接結合するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、浴室の壁などに光ファイバーケーブルを埋設し、光ファイバーケーブルの一方の端部に鏡面加工が施された椀状の集光器を設け、光ファイバーケーブルの他方の端部にレンズを介して電子機器を配設し、リモコンからの光制御信号を、集光器で集光し、受光部で受光し、光ファイバーケーブルを介して電子機器に伝達するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−285663号公報
【特許文献2】特開2006−174314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の特許文献1記載の構成では、リモコンと嵌め込み型の発光部を直接接続しているので、使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、光ファイバーケーブルを引き回す必要があり、その使用形態が極めて制限される他、光ファイバーケーブルを損傷するなどといった問題があった。また、特許文献2記載の構成では、受光部には、例えば、図15にタイムチャートで示すように、直接受光部で受光した光制御信号Pに、集光器の反射面で反射され、反射時間だけ遅れた反射光制御信号P2、P3などがノイズとして入力される。この結果、光ファイバーケーブルを介して電子機器側で受光される光制御信号Pnは、光制御信号P1に、複数の反射光制御信号P2、P3などが重畳したものとなる。このようにノイズが重畳した光制御信号Pnは、電子機器の信号処理部で判別することができず、リモコン操作が不能になる。また、光ファイバーケーブルが壁に埋設され、受光部およびレンズとの間に空間を介して配設されているので、位置関係が極めて重要となり、これらの関係がずれると、光制御信号を伝達する機能が損なわれる他、設置工事が複雑で、極めて高価となるなどといった問題があった。なお、図15において、横軸は、時間(T)である。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できる光信号伝播装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明では、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に配設された光伝播路を備え、光伝播路は、リモコンからの光制御信号を受光し、この受光した光制御信号を電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光部と、光伝播路の他方の端部に設けられ、光制御信号を電子機器に向けて出射する出射部と、を更に備え、光伝播路は、一方の端部を光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を光制御信号が出射する出射口となし、受光部は、光制御信号に向けて配設される受光面と、当該受光面から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面とを合成樹脂により一体に形成し、反射面の最深部に入射口を配設する。
【0008】
この構成によれば、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に、光信号を伝播する光伝播路と、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光部と、光伝播路の他方の端部に設けられ、光制御信号を電子機器に向けて出射する出射部とを、単に配設すればよいので、上述した従来例のように、リモコンと、光伝播路とを直接接続する必要がない。その結果、その使用形態が制限されることがない。また、光伝播路を使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、引き回す必要がないので、光伝播路を損傷することがない。更には、入射口は、半球状の反射面の最深部に配設されているので入射口には、リモコンから直接入射口に向かう光制御信号のみが入射され、反射面によって反射された反射光制御信号は、反射面によって受光部から外部に反射される。この結果、上述した従来例のように、光制御信号にノイズが重畳することがないので、障害物やノイズの影響を受けることなく、電子機器をリモコンにより確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置のコストの低減を図ることができる。
【0009】
また、本発明においては、電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモコンとの間に配設された光伝播路を備え、光伝播路は、リモコンからの光制御信号を受光し、この受光した光制御信号を電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、光伝播路の一方の端部に設けられ、リモコンからの光制御信号を受ける受光面を有する受光部、を更に備え、光伝播路は、一方の端部を光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を光制御信号が出射する出射口となし、入射口を受光部に配設するとともに、受光部は、リモコンから入射口に直接向かう光制御信号のみが入射されるように構成する。
【0010】
この構成によれば、上述した従来例のように、電子機器とリモコンとを、光伝播路を介して直接接続する必要がないので、その使用形態が制限されることがない。また、リモコンとともに、光伝播路を引き廻す必要がないので、光伝播路を損傷することがない。更には、入射口には、リモコンから入射口に直接向かう光制御信号のみが入射されるので、上述した従来例のように、光制御信号にノイズが重畳することがない。従って、障害物やノイズの影響を受けることなく、電子機器をリモコンにより確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置のコストの低減を図ることができる。
【0011】
また、本発明においては、受光部は、受光面をリモコン受信部に向けて配設した際、設置面となりうる複数の面を有する断面形状が多角形に形成され、各面のうち少なくとも2つの面は、受光面に対して異なる角度となるように構成する。
【0012】
この構成によれば、受光部は、設置面となりうる複数の面を有し、この面は、受光面が異なる角度となるように設置できるので、使用場所、設置環境などに応じて、受光面がリモコンを操作する操作者に対して最適な角度となるように受光部を設置することができ、都合がよい。
【0013】
また、本発明においては、光伝播路を保持する保持スタンドを、更に備え、出射口の近傍を、保持スタンドにより保持して、出射口が、電子機器に向かうように配置する。
【0014】
この構成によれば、光伝播路の出射口を、保持スタンドにより保持しているので、極めて簡単に、出射口と、電子機器との位置関係を、極めて簡単な構成により調整することができ、都合がよい。
【0015】
また、本発明においては、出射口が内部に配設された差込みプラグを、更に備え、差込みプラグを、電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に構成する。
【0016】
この構成によれば、出射口のみが差込みプラグにより、電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に装着されているので、リモコン側は、フリーであり、その使用形態が制限されることがなく、確実に光制御信号を電子機器に伝達することができ、都合がよい。
【0017】
また、本発明においては、受光部と、出射部とを、同一形状に形成し、受光部を出射部として、また、出射部を受光部として利用可能に構成する。
【0018】
この構成によれば、受光部と、出射部とが、同一形状に形成されているので、殊更、受光部と、出射部とを、意識することなく設置することができ、都合がよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、障害物やノイズの影響を受けないで、リモコン操作により確実に電子機器が操作できる光信号伝播装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図9に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図2は、図1に示す受光部の一例を示す概略断面図、図3は、図2に示す受光部の正面図である。図4は、図1に示す出射部の一例を示す概略断面図、図5は、図4に示す出射部の正面図である。図6は、受光部の他の例を示す概略斜視図、図7乃至図9は、図6に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【0021】
図1に示すように、電子機器である、例えば、テレビジョン受像機1は、液晶モジュールなどからなる表示画面を備えている。また、テレビジョン受像機1は、フロントパネル11の所要箇所に、リモコン2からの光制御信号Pを受信する、例えば、フォトダイオードなどの受光素子を有するリモコン受信部12が設けられている。リモコン2は、テレビジョン受像機1を制御するため、電源をオン、オフ切り換え用、チャンネル切り換え用および音量の増減用などの各種操作を行うための操作キー21を備え、操作キー21の操作に基づき、例えば、レーザーダイオードなどの発光素子から赤外線などの光制御信号Pを発光する。テレビジョン受像機1のリモコン受信部12は、受光した光制御信号Pを、受光素子により光電変換し、電気信号として、例えば、図示しない信号処理部に出力する。そして、出力された電気信号は、信号処理部で増幅および復調などの信号処理がなされ、図示しない制御手段に送られ、制御手段は、入力した電気信号に対応する制御、例えば、電源のオン、オフやチャンネル選択などの制御を行う。
【0022】
かかる構成により、使用者は、テレビジョン受像機1から離れてた場所において、リモコン2を用いて、例えば、チャンネル切り換えなどの所望の操作を行う。この操作により、使用者は、テレビジョン受像機1の液晶モジュールなどの表示画面に映し出される、所望の画像を観ることができる。
【0023】
而して、本発明に従い、図1に示すように、テレビジョン受像機1と、リモコン2との間には、障害物やノイズの影響を避けるために、リモコン2からの光制御信号Pを受光し、この受光した光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する光信号伝播装置3が配設されている。この光信号伝播装置3は、光制御信号Pを伝播する光伝播路4と、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光部5と、光伝播路4の他方の端部に設けられ、光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する出射部6と、から構成されている。光伝播路4は、一方の端部を光制御信号Pが入射する入射口41とし、他方の端部を光制御信号Pが出射する出射口42として機能する。この光伝播路4としては、例えば、光ファイバーケーブル、テグス(光を伝播することができる道糸)などを用いることができる。この場合、距離が短いときには、テグスを用いれば、よりコスト低減を図ることができる。
【0024】
受光部5は、リモコン2から入射口41に直接向かう光制御信号Pのみが入射されるように形成されている。即ち、この受光部5は、例えば、図2および図3に示すように、光制御信号Pに向けて配設される受光面51と、当該受光面51から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面52とを形成し、また、反射面52の最深部には、入射口41が位置するように、合成樹脂により一体に成形されている。
【0025】
出射部6は、例えば、図4および図5に示すように、受光部5と同様に、出射面61と、当該出射面61から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面62とを形成し、また、反射面62の最深部には、出射口42が位置するように、合成樹脂により一体に成形されている。この場合、受光部5と、出射部6とを、同一形状に形成し、受光部5を出射部6として、また、出射部6を受光部5として利用可能に構成してもよい。このように構成すれば、受光部5と、出射部6とが、同一形状に形成されているので、殊更、受光部5と、出射部6とを、意識することなく設置することができ、都合がよい。更には、受光部5および出射部6の標準化が図れるとともに、成形用金型なども共用でき、よりコスト低減が図れる。
【0026】
受光部5は、例えば、図6乃至図9に示すように、断面形状が多角形である三角錐形状とし、受光面51を、リモコン2を操作する操作者に向けて配設した際、当該受光部5を設置する際の設置面となりうる複数の面53a、53b、53cを有するように形成する。そして、各面53a、53b、53cと、受光面51に対する角度が互いに異なる角度となるように形成する。即ち、図7では、面53aを設置面とし、受光面51に対する角度をθ1に、図8では、面53bを設置面とし、受光面51に対する角度をθ2に、図9では、面53cを設置面とし、受光面51に対する角度をθ3になるように形成する。
【0027】
このように、受光部5として設置面となりうる複数の面53a、53b、53cを有する断面形状が多角形に形成し、各面53a、53b、53cのうち少なくとも2つの面は、受光面51に対する角度が互いに異なる角度となるように形成すると、受光面51が異なる角度となるように設置できる。従って、使用場所、設置環境などに応じて、受光面51がリモコン2を操作する操作者に対して最適な角度となるように受光部5を設置することができ、都合がよい。また、図示しないが、出射部6についても同様に形成すれば、同様の効果を得ることができ、都合がよい。また、四角形以上の多角形に形成してもよいのは、勿論である。
【0028】
以上の構成による本実施形態では、テレビジョン受像機1と、当該テレビジョン受像機1を制御するために光制御信号Pを発信するリモコン2との間に、光信号を伝播する光伝播路4と、光伝播路4の一方の端部に設けられ、リモコン2からの光制御信号Pを受ける受光部5と、光伝播路4の他方の端部に設けられ、光制御信号Pをテレビジョン受像機1に向けて出射する出射部6とを、単に配設すればよいので、上述した従来例のように、リモコン2と、光伝播路4とを直接接続する必要がない。その結果、その使用形態が制限されることがない。また、使用者の操作位置に応じて、リモコンとともに、光伝播路4を引き廻す必要がないので、光伝播路4を損傷することがない。更には、入射口41は、半球状の反射面52の最深部に配設されているので入射口41には、リモコン2から直接入射口41に向かう光制御信号Pのみが入射され、反射面52によって反射された反射光制御信号は、当該反射面52によって受光部5から外部に反射される。この結果、上述した従来例のように、光制御信号Pにノイズが重畳することがないので、障害物やノイズの影響を受けることなく、テレビジョン受像機1をリモコン2により確実に操作することができる。しかも、上述した従来例のように、特別な設置工事が必要でないので、この種光信号伝播装置3のコストの低減を図ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10および図11を参照しながら説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図11は、保持スタンドの一例を示す概略正面図である。なお、図10および図11において、上述した図1乃至図9と同じ符号を付した部分は、略同一のものを示すため、ここでは詳細な説明は省略する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
本実施形態では、図10に示すように、光伝播路4の出射口42側を、図11に示す様な保持スタンド7により保持し、出射口42が、電子機器である、例えば、テレビジョン受像機1のリモコン受信部12に向かうように配置したものである。保持スタンド7は、テレビジョン受像機1を設置する、図示しない設置台の上に設置される基礎部71と、脚部72と、光伝播路4を保持する保持部73を、例えば、合成樹脂などにより一体的に構成する。
【0031】
以上の構成による本実施形態よれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する他、光伝播路4の出射口42を、保持スタンド7により保持しているので、極めて簡単に、出射口42と、テレビジョン受像機1との位置関係を、極めて簡単な構成により調整することができ、都合がよい。
【0032】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12乃至図14を参照しながら説明する。図12は、本発明の第3実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図、図13は、差込みプラグの一例を示す概略斜視図、図14は、電子機器のリモコン受信部のジャック部に差込みプラグを接続した状態を一部断面して示す側断面図である。なお、図12乃至図14において、上述した図1乃至図11と同じ符号を付した部分は、略同一のものを示すため、ここでは詳細な説明は省略する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
本実施形態では、図12乃至図14に示すように、光伝播路4の出射口42側に、図13に示す様な差込みプラグ8を設け、この差込みプラグ8の内部に出射口42を配設したものである。また、電子機器であるテレビジョン受像機1のリモコン受信部12には、差込みプラグ8が着脱可能なジャック部13が装着されている。差込みプラグ8は、例えば、図13に示すように、直方体形状に形成され、光伝播路4の出射口42が先端部81に露出する形で、その全体が合成樹脂材料などで構成されている。そして、差込みプラグ8は、先端部81の上辺付近から後方に延設されたアーム82を備えている。アーム82は、弾性部83と、段差部84aを有する係止部84とから形成されている。このアーム82は、下方に押し下げても弾性部83の反発作用によって元の状態に戻るようになっている。
【0034】
また、テレビジョン受像機1のリモコン受信部12に装着されているジャック部13も、直方体形状に形成され、その一端面に差込みプラグ8を差し込むプラグ挿入部14が形成されている。プラグ挿入部14の内壁上面には、段差部15aを有する係止部15が形成されている。また、プラグ挿入部14の内壁先端の出射口42と当接する位置には、光制御信号Pを受光する受光素子16或いは集光部などが設けられている。
【0035】
この構成により、差込みプラグ8をジャック部13のプラグ挿入部14に差し込むと、アーム82の弾性部83がプラグ挿入部14の内壁上面に摺接して変形し、アーム82が下方に押し下げられる。そして、差込みプラグ8が正規の位置(図14参照)まで差し込まれると、弾性部83の反発力によりアーム82が上方に変位し、差込みプラグ8の係止部84と、ジャック部13の係止部15とが、互いの段差部84a、段差部15aにより係合する。これにより、差込みプラグ8は、ジャック部13から抜けることが防止され、ジャック部13内に差し込まれた状態で、確実に固定される。この状態で、リモコン2からの光制御信号Pは、受光部5、光伝播路4を介して、リモコン受信部12に伝達される。リモコン受信部12で受光した光制御信号Pは、受光素子16により光電変換し、電気信号として、例えば、図示しない信号処理部に出力される。
【0036】
以上の構成による本実施形態よれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する他、出射口42のみ差込みプラグ8により、テレビジョン受像機1に設けられたリモコン受信部12のジャック部13に着脱可能に装着されているので、リモコン2側は、フリーであり、その使用形態が制限されることがなく、確実に光制御信号Pをテレビジョン受像機1に伝達することができ、都合がよい。
【0037】
なお、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。
【0038】
また、上述の各実施形態では、テレビジョン受像機について詳述したが、ビデオテープレコーダ、カラオケ装置またはエアコンなどの各種の電子機器に適用しても良いのは、勿論である。
【0039】
また、上述の各実施形態では、光伝播路4の出射口42を、出射部6または保持スタンド7により支持、或いは差込みプラグ8内に埋設するようにしたが、このような出射部6、保持スタンド7および差込みプラグ8を用いずに、例えば、電子機器を設置する設置台の上に直接載せ、粘着テープなどで固定するようにしても良いのは、勿論である。
【0040】
更に、本発明によれば、多くの聴衆など集まるデモンストレーションなどの会場において、操作者が電子機器本体から離れた位置に居ても、確実にリモコンによる操作ができ、デモンストレーション効果を向上することがでる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す受光部の一例を示す概略断面図である。
【図3】図2に示す受光部の正面図である。
【図4】図1に示す出射部の一例を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す出射部の正面図である。
【図6】受光部の他の例を示す概略斜視図である。
【図7】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図8】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図9】図5に示す受光部を異なる面を設置面とした状態を示す概略側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図11】保持スタンドの一例を示す概略正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る光信号伝播装置の構成を示す概念図である。
【図13】差込みプラグの一例を示す概略斜視図である。
【図14】電子機器のリモコン受信部のジャック部に差込みプラグを接続した状態を一部断面して示す側断面図である。
【図15】従来例を説明するための光制御信号のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0042】
P 光制御信号
1 電子機器(テレビジョン受像機)
2 リモートコントロール送信機(リモコン)
3 光信号伝播装置
4 光伝播路
41 入射口
42 出射口
5 入射部
51 受光面
52 反射面
6 出射部
7 保持スタンド
8 差込みプラグ
12 リモコン受信部
13 ジャック部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機との間に配設された光伝播路を備え、前記光伝播路は、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受光し、この受光した前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、
前記光伝播路の一方の端部に設けられ、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受ける受光部と、前記光伝播路の他方の端部に設けられ、前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射する出射部と、を更に備え、前記光伝播路は、一方の端部を前記光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を前記光制御信号が出射する出射口となし、前記受光部は、前記光制御信号に向けて配設される受光面と、当該受光面から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面とを合成樹脂により一体に形成し、前記反射面の最深部に前記入射口を配設したことを特徴とする光信号伝播装置。
【請求項2】
電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機との間に配設された光伝播路を備え、前記光伝播路は、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受光し、この受光した前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、
前記光伝播路の一方の端部に設けられ、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受ける受光面を有する受光部、を更に備え、前記光伝播路は、一方の端部を前記光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を前記光制御信号が出射する出射口となし、前記入射口を前記受光部に配設するとともに、前記受光部は、前記リモートコントロール送信機から前記入射口に直接向かう前記光制御信号のみが入射されるように構成したことを特徴とする光信号伝播装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記受光面をリモコン受信部に向けて配設した際、設置面となりうる複数の面を有する断面形状が多角形に形成され、前記各面のうち少なくとも2つの面は、前記受光面に対して異なる角度となるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項4】
前記光伝播路を保持する保持スタンドを、更に備え、前記出射口の近傍を、前記保持スタンドにより保持して、前記出射口が、前記電子機器に向かうように配置したことを特徴とする請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項5】
前記出射口が内部に配設された差込みプラグを、更に備え、前記差込みプラグを、前記電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項6】
前記受光部と、前記出射部とを、同一形状に形成し、前記受光部を前記出射部として、また、前記出射部を前記受光部として利用可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光信号伝播装置。
【請求項1】
電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機との間に配設された光伝播路を備え、前記光伝播路は、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受光し、この受光した前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、
前記光伝播路の一方の端部に設けられ、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受ける受光部と、前記光伝播路の他方の端部に設けられ、前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射する出射部と、を更に備え、前記光伝播路は、一方の端部を前記光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を前記光制御信号が出射する出射口となし、前記受光部は、前記光制御信号に向けて配設される受光面と、当該受光面から内部に向かって窪むように形成された半球状の反射面とを合成樹脂により一体に形成し、前記反射面の最深部に前記入射口を配設したことを特徴とする光信号伝播装置。
【請求項2】
電子機器と、当該電子機器を制御するために光制御信号を発信するリモートコントロール送信機との間に配設された光伝播路を備え、前記光伝播路は、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受光し、この受光した前記光制御信号を前記電子機器に向けて出射するように構成した光信号伝播装置において、
前記光伝播路の一方の端部に設けられ、前記リモートコントロール送信機からの前記光制御信号を受ける受光面を有する受光部、を更に備え、前記光伝播路は、一方の端部を前記光制御信号が入射する入射口とし、他方の端部を前記光制御信号が出射する出射口となし、前記入射口を前記受光部に配設するとともに、前記受光部は、前記リモートコントロール送信機から前記入射口に直接向かう前記光制御信号のみが入射されるように構成したことを特徴とする光信号伝播装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記受光面をリモコン受信部に向けて配設した際、設置面となりうる複数の面を有する断面形状が多角形に形成され、前記各面のうち少なくとも2つの面は、前記受光面に対して異なる角度となるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項4】
前記光伝播路を保持する保持スタンドを、更に備え、前記出射口の近傍を、前記保持スタンドにより保持して、前記出射口が、前記電子機器に向かうように配置したことを特徴とする請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項5】
前記出射口が内部に配設された差込みプラグを、更に備え、前記差込みプラグを、前記電子機器に設けられたリモコン受信部のジャック部に着脱可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の光信号伝播装置。
【請求項6】
前記受光部と、前記出射部とを、同一形状に形成し、前記受光部を前記出射部として、また、前記出射部を前記受光部として利用可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光信号伝播装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−99150(P2008−99150A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280797(P2006−280797)
【出願日】平成18年10月14日(2006.10.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月14日(2006.10.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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