説明

光学センサ

【課題】構造を単純かつ小型化にして製造コストを低減でき、かつ外部からの悪影響を受け難い光学センサを提供する。
【解決手段】光を投光する投光部12と、投光部12から投光された光を受光する受光部24と、を有する光学センサ10であって、投光部12又は受光部24の一方を固定して一方の投光領域X又は受光領域Yを固定し、投光部12又は受光部24の他方を可変として他方の投光領域X又は受光領域Yを可変とし、固定した一方の投光領域X又は受光領域Yを、可変とした他方の投光領域X又は受光領域Yよりも広く設定した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動ドアなどの近傍に設けられ、投光素子と受光素子とを備えたいわゆる反射型の光学センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学センサとして、投光素子と受光素子とこれらを制御する制御基板とを備えたものがある。この光学センサによれば、投光素子から投光された光の光量と受光素子で受光される光の光量との関係から所定の場合には制御基板により人が検知エリア内に侵入したと判断し、自動ドアを開けるものである。
【0003】
なお、上記背景技術は公用の技術であり、本発明は公用の技術をもとに開発したものである。このため、出願人は、特許出願の時において本発明に関連する文献公知発明の存在を知らず、文献公知発明の名称その他の文献公知発明に関する情報の所在の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この光学センサは、検知エリアの角度調整時に、光学センサ全体か、あるいは投光素子及び受光素子等の光学系のみを動かしていたために、光学センサの構造が複雑になり、また、その可動範囲を考慮しなければならないため光学センサ自体が大型化し、ひいては製造コストが増大する問題があった。
また、光学系のみを可変構造にしようとすると、投光素子及び受光素子と制御基板との間を電気配線で接続させる必要があり製造コストが増大するとともに、この電気配線を設けることにより電気配線が外部からの悪影響(ノイズ)を受け易くなり制御基板による正確な制御を行うことが困難となる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、構造を単純かつ小型化にして製造コストを低減でき、かつ外部からの悪影響を受け難い光学センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、光を投光する投光部と、前記投光部から投光された光を受光する受光部と、を有する光学センサであって、前記投光部又は前記受光部の一方を固定して前記一方の投光領域又は受光領域を固定し、前記投光部又は前記受光部の他方を可変として前記他方の投光領域又は受光領域を可変とし、固定した前記一方の投光領域又は受光領域を、可変とした前記他方の投光領域又は受光領域よりも広くなるように設定したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、投光部又は受光部の一方が固定されて一方の投光領域又は受光領域が固定され、投光部又は受光部の他方が可変とされて他方の投光領域又は受光領域が可変とされ、かつ固定された一方の投光領域又は受光領域が可変とされた他方の投光領域又は受光領域よりも広くなるように設定されているため、固定された一方の投光領域又は受光領域と他方の投光領域又は受光領域とが重なる領域に人が侵入すると、別途設けた制御部(投光部からの投光と受光部による受光を制御するもの)により人を検知することができる。
ここで、投光部又は受光部の一方が固定され、他方が可変とされているため、双方を可変とした場合と比較して光学センサの構造を単純にすることができ、投光部又は受光部の一方の可動範囲だけを考慮すればよいため光学センサを小型化することができ、ひいては光学センサの製造コストを低減させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学センサにおいて、前記受光部を固定して前記受光部の受光領域を固定し、前記投光部を可変として前記投光部の投光領域を可変としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、受光部を固定して受光部の受光領域を固定し、投光部を可変として投光部の投光領域を可変としたことにより、別途設けた制御部(投光部からの投光と受光部による受光を制御するもの)に固定した受光部を近接させることができ、受光部と制御部とを接続する電気配線を可能な限り短くすることができる。これにより、電気配線が外部からの悪影響(ノイズ)を受け難くなり、制御部による投光部と受光部の制御に悪影響が生じてしまうことを防止できる。また、電気配線が短くなることにより、製造コストも低減させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学センサにおいて、前記受光部を、前記投光部からの投光と前記受光部による受光を制御する制御部に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、受光部を、投光部からの投光と受光部による受光を制御する制御部に設けたことにより、受光部と制御部とを接続する電気配線が不要となり、外部から受ける悪影響(ノイズ)を少なくすることができ、制御部による投光部と受光部の制御に悪影響が生じてしまうことを極力防止できる。また、電気配線が不要となるため、製造コストをさらに低減させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、光を投光する投光素子を有する投光部と、前記投光部から投光された光を受光する受光素子を有する受光部と、を備えた光学センサであって、前記投光部及び前記受光部を固定し、前記投光素子又は前記受光素子の一方を複数設け、複数設けた前記投光素子又は前記受光素子の一方の投光領域又は受光領域を、前記投光素子又は前記受光素子の他方の投光領域又は受光領域よりも狭くなるように設定し、複数設けた前記投光素子又は前記受光素子を投光領域又は受光領域に対応させて個別に点灯させることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数設けた投光素子又は受光素子がそれぞれ対応する投光領域又は受光領域に応じて個別に点灯させることにより、投光領域又は受光領域に応じた投光素子又は受光素子の使用が可能となる。このように、必要な投光素子又は受光素子を点灯させることにより、必要な投光領域又は受光領域を選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、投光部又は受光部の一方が固定され、他方が可変とされているため、双方を可変とした場合と比較して光学センサの構造を単純にすることができ、投光部又は受光部の一方の可動範囲だけを考慮すればよいため光学センサを小型化することができ、ひいては光学センサの製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る光学センサについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、光学センサ10は、光を投光する投光部12を備えている。この投光部12は、投光素子14と、投光素子14が取り付けられている投光素子取付基板16と、投光素子14及び投光素子取付基板16を収納する投光側筐体18と、投光側筐体18の前方部に取り付けられた投光側集光レンズ20と、を有している。この投光側筐体18にはその幅方向に回転軸22が貫通しており、図示しない駆動手段により投光側筐体18が回転軸22と共に回転軸22の軸回りを回転することができるようになっている。このように、投光側筐体18は、可変可能な構造になっており、投光側筐体18を高さ方向(図1中矢印H方向)に可変とすることにより、投光素子14から投光される投光領域(投光エリア)Xが可変となるように構成されている。
【0017】
また、光学センサ10は、光を受光する受光部24を備えている。この受光部24は、受光素子26と、受光素子26が取り付けられている受光素子取付基板28と、受光素子26及び受光素子取付基板28を収納する受光側筐体30と、受光側筐体30の前方部に取り付けられた受光側集光レンズ32と、を有している。この受光側筐体30は、投光側筐体18と異なり固定されており、受光素子26で受光される受光領域(受光エリア)Yが固定されるように構成されている。
また、受光側集光レンズ32の形状は、受光領域(受光エリア)Yが投光領域(投光エリア)Xよりも広くなるような形状に形成されている。
【0018】
また、光学センサ10は、投光部18からの投光と受光部24での受光とを制御するとともに、投光部18から投光された光の光量と受光部24で受光された光の光量とに基づいて、投光領域Xと受光領域Yとの重複した領域に人や物体が存在するか否かを判断する制御部34を備えている。この制御部34は、受光側筐体30に収納されている受光素子取付基板28に設けられている。換言すれば、受光素子取付基板28が制御基板も兼ねている構成となっており、制御基板に受光素子26が実装されている構成となっている。
【0019】
また、投光部12と受光部24とは電気配線36で接続されており、制御部34により投光素子14の投光を制御できるように構成されている。
【0020】
なお、光学センサ10は、自動ドアやシャッタなどの近傍に配置されており、例えば人の検知の有無により自動ドアやシャッタを開閉するものである。
【0021】
次に、本実施形態に係る光学センサ10の作用について説明する。
【0022】
図1に示すように、受光側筐体30が固定されてその受光領域Yが固定されており、投光側筐体18が回転軸22と共に回転可能に構成されておりその投光領域Xが可変となる。ここで、受光領域Yが投光領域Xよりも広くなるように構成されているため、投光側筐体18が回転軸22と共に回転軸22の軸回りを回転することにより、投光領域Xが受光領域Yの内部を移動する。このとき、投光領域Xと受光領域Yとが重複する領域に人が侵入すると、投光素子14から投光される光の光量と受光素子26で受光される光の光量との差が変化するため、制御部34が人を検知し、自動ドア(図示省略)が制御部34により制御され、自動ドアが開けられる。また、投光領域Xと受光領域Yとが重複する領域に侵入した人がその領域から立ち退くと、投光素子14から投光される光の光量と受光素子26で受光される光の光量との差が当初の差に戻るため、制御部34により人が検知されず、自動ドアが制御部34により制御され、自動ドアが閉められる。
【0023】
ここで、受光側筐体30(あるいは受光部24)が固定され、投光側筐体18(あるいは投光部12)が可変とされているため、双方を可変とした場合と比較して光学センサ10の構造を単純にすることができ、投光側筐体18(あるいは投光部12)の可動範囲だけを考慮すればよいため光学センサ10を小型化することができ、ひいては光学センサ10の製造コストを低減させることができる。
特に、受光素子26を、投光素子14からの投光と受光素子26による受光を制御する制御部34としての機能を有する受光素子取付基板28に実装したことにより、受光部24と制御部34とを接続する電気配線が不要となり、外部からのノイズによる悪影響を少なくすることができ、制御部34により投光素子14と受光素子26の制御が正確に行われる。また、電気配線が不要となるため、光学センサ10の製造コストをさらに低減させることができる。
【0024】
また、本実施形態の光学センサ10では、受光素子26が取り付けられる受光素子取付基板28に制御部としての制御部34の機能を兼ねた構成を例にとり説明したが、この構成に限られるものではなく、図2に示すように、受光素子取付基板28の近傍に別途独立した制御部として機能する制御基板38を設けた構成でもよい。この構成では、受光素子取付基板28と制御基板38との間を電気配線40で接続する必要があるが、電気配線40の長さが比較的短くて済み、電気配線40が外部から受ける悪影響(ノイズ)を低減させることができる。また、この場合、制御基板38と投光素子取付基板16とは、別の電気配線42で接続されている。
【0025】
なお、本実施形態の光学センサ10は、図1に示すように高さ方向(垂直方向)に投光領域Xが移動していく構成を例にとり説明したが、この構成に限られることはなく、例えば、図3に示すように、横方向(水平方向、図3中矢印L方向)に投光領域Xが移動するように構成してもよい。
【0026】
また、本実施形態の光学センサ10は、図1に示すように、投光素子取付基板16に取り付けられる投光素子14と受光素子取付基板28に取り付けられる受光素子26の個数をそれぞれ1個にした構成を例にとり説明したが、これに限られることはなく、図4に示すように、例えば、投光部12の投光素子取付基板16に複数の投光素子14A、14B、14Cを取り付けてもよい。この場合、投光部12と受光部24を共に固定し、投光部12の投光領域(図4ではX1+X2+X3)を受光部24の受光領域Yをよりも狭くなるように設定しておく必要がある。複数の投光素子14A、14B、14Cがそれぞれ対応する投光領域X1、X2、X3に応じて個別に点灯するように制御部34により投光素子取付基板16を制御することにより、必要な投光素子14A、14B、14Cを点灯させることにより、必要な投光領域X1、X2、X3を選択することができる。
なお、同様にして、受光素子取付基板28に取り付けられる受光素子26を複数個としてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、図示しない駆動手段により投光側筐体18を回転軸22と共に回転軸22の回りに回転させる構成を例にとり説明したが、この構成に限られるものではなく、投光側筐体18を固定し投光側集光レンズ20のみを図示しない駆動手段により移動させることにより投光領域Xを移動(可変)させるように構成してもよい。
【0028】
また、本実施形態では、制御部34と投光部12を別個独立に設けた構成を例にとり説明したが、この構成に限られるものではなく、投光部12を制御部34に設けてもよい。換言すれば、投光素子14を制御部34としても機能する受光素子取付基板28に実装させることにより、制御部34として機能を有する1つの基板に投光素子14と受光素子26の両方を実装させることができる。かかる構成によれば、複数の投光素子14や受光素子26を実装させ、投光領域Xに対応した投光素子14や受光領域Yに対応した受光素子26を個別に点灯させるように制御することにより、投光素子14や受光素子26が実装される基板を固定した場合でも、投光領域Xや受光領域Yを可変にすることができ、双方が重複する領域に人が侵入すれば、人を検知することができる。この光学センサでは、基板を回転させる必要がないため、光学センサ自体を単純・小型化でき製造コストを低減させることができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、投光側筐体18(あるいは投光部12)を可変とし、受光側筐体30(あるいは受光部24)を固定とした構成を例にとり説明したが、受光側筐体30(あるいは受光部24)を可変とし、投光側筐体18(あるいは投光部12)を固定とした構成でもよい。この場合、投光領域Xが受光領域Yよりも広くなるように、投光側集光レンズ20の形状を設定する必要がある。この構成によっても、上記実施形態の光学センサ10と同様に、光学センサの構造を単純にすることができ、受光側筐体30(あるいは受光部24)の可動範囲だけを考慮すればよいため光学センサを小型化することができ、ひいては光学センサの製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係る光学センサの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る光学センサの変形例となる光学センサの概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る光学センサの変形例となる光学センサによる投光領域と受光領域を示した図である。
【図4】本実施形態に係る光学センサの変形例となる光学センサの概略構成図である。
【符号の説明】
【0031】
10 光学センサ
12 投光部
14 投光素子
24 受光部
26 受光素子
34 制御部
X 投光領域
Y 受光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光部と、前記投光部から投光された光を受光する受光部と、を有する光学センサであって、
前記投光部又は前記受光部の一方を固定して前記一方の投光領域又は受光領域を固定し、前記投光部又は前記受光部の他方を可変として前記他方の投光領域又は受光領域を可変とし、
固定した前記一方の投光領域又は受光領域を、可変とした前記他方の投光領域又は受光領域よりも広くなるように設定したことを特徴とする光学センサ。
【請求項2】
前記受光部を固定して前記受光部の受光領域を固定し、前記投光部を可変として前記投光部の投光領域を可変としたことを特徴とする請求項1に記載の光学センサ。
【請求項3】
前記受光部を、前記投光部からの投光と前記受光部による受光を制御する制御部に設けたことを特徴とする請求項2に記載の光学センサ。
【請求項4】
光を投光する投光素子を有する投光部と、前記投光部から投光された光を受光する受光素子を有する受光部と、を備えた光学センサであって、
前記投光部及び前記受光部を固定し、
前記投光素子又は前記受光素子の一方を複数設け、
複数設けた前記投光素子又は前記受光素子の一方の投光領域又は受光領域を、前記投光素子又は前記受光素子の他方の投光領域又は受光領域よりも狭くなるように設定し、
複数設けた前記投光素子又は前記受光素子を投光領域又は受光領域に対応させて個別に点灯させることを特徴とする光学センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−112924(P2006−112924A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300788(P2004−300788)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】