説明

光学式位置検出装置

【課題】2つの空間に位置する対象物体の各々の位置を検出することのできる光学式位置検出装置を提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10には、Z軸方向の一方側Z1に向けて位置検出用光源12が配置され、Z軸方向の一方側Z1に受光部310、320を向けた第1光検出器31および第2光検出器32がZ軸方向で離間した位置に配置されている。第1光検出器31での受光結果から第2光検出器32での受光結果を差し引く等、第1光検出器31での受光結果に対して第2光検出器32での受光結果分を補正すれば、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1で反射した検出光の強度を導出することができ、かかる強度の導出結果を利用すれば、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1の位置を導出することができる。また、第2光検出器32での受光結果に基づいて第2空間10R2に位置する対象物体Ob2の位置を導出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、透光板(光伝播媒体)において対象物体が位置する第1面側とは反対側の第2面側から対象物体に向けて検出光を出射し、対象物体で反射して透光板の第2面側に透過してきた検出光を光検出器で検出する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここに本発明者は、ショーウインドウの内側に位置する客(対象物体)の位置と外側に位置する客(対象物体)の位置や、カバーガラス等で覆われたアミーズメント機器においてカバーガラスの内側に位置する遊技媒体(対象物体)の位置と外側に位置するプレーヤー(対象物体)の位置等、2つの空間の各々に位置する対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置を検討しているものである。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、光検出器での検出結果が、2つの空間に位置する対象物体の各々で反射された検出光の強度を合計したものになってしまうため、2つの空間に位置する対象物体の各々の位置を検出することができないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、2つの空間に位置する対象物体の各々の位置を検出することのできる光学式位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、互いに交差する方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向としたとき、前記Z軸方向の一方側に向けて検出光を出射する位置検出用光源と、前記Z軸方向の一方側に受光部を向けた第1光検出器と、前記位置検出用光源および前記第1光検出器に対して前記Z軸方向の一方側で離間する位置で当該Z軸方向の一方側に受光部を向けた第2光検出器と、前記第1光検出器での受光結果および前記第2光検出器での受光結果に基づいて、前記第1光検出器と前記第2光検出器との間の第1空間に位置する対象物体の位置、および前記第2光検出器より前記Z軸方向の一方側の第2空間に位置する対象物体の位置を検出する導出する位置導出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、Z軸方向の一方側に向けて位置検出用光源が配置され、かつ、Z軸方向の一方側に受光部を向けた第1光検出器および第2光検出器がZ軸方向で離間した位置に配置されている。このため、位置検出用光源がZ軸方向の一方側に向けて検出光を出射した際、第1光検出器と第2光検出器との間の第1空間に位置する対象物体で反射した検出光は第1光検出器で受光され、第2光検出器よりZ軸方向の一方側の第2空間に位置する対象物体で反射した検出光は、第1光検出器および第2光検出器で受光される。従って、第1光検出器での受光結果から第2光検出器での受光結果を差し引く等、第1光検出器での受光結果に対して第2光検出器での受光結果分を補正すれば、第1空間に位置する対象物体で反射した検出光の強度を求めることができ、かかる強度の算出結果を利用すれば、第1空間に位置する対象物体の位置を導出することができる。また、第2光検出器での受光結果に基づいて第2空間に位置する対象物体の位置を導出することができる。それ故、検出光の出射方向で離間する2つの空間(第1空間および第2空間)の各々に位置する対象物体の位置を光学的に検出することができる。
【0008】
本発明において、前記位置導出部は、前記第2光検出器での受光結果に基づいて前記第2空間に位置する対象物体の位置を導出し、前記第1光検出器での受光結果と前記第2光検出器での受光結果との差に基づいて前記第1空間に位置する対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。かかる構成によれば、差を求めるという簡単な処理で、第1光検出器での受光結果に対して第2光検出器での受光結果分の補正を行なうことができる。
【0009】
本発明において、前記位置導出部は、前記対象物体の位置として、前記X軸方向の位置および前記Y軸方向の位置を導出する構成を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記位置導出部は、前記対象物体の位置として、前記Z軸方向の位置を導出する構成を採用してもよい。
【0011】
本発明において、前記位置検出用光源および前記第1光検出器よりも前記Z軸方向の一方側に、前記第2光検出器を保持する透光部材を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、位置検出用光源および第1光検出器に対してZ軸方向の一方側で離間する位置に第2光検出器を配置することができる。また、透光部材であれば、その存在が目立たないという利点がある。
【0012】
本発明において、前記透光部材は板状であり、前記第1空間と前記第2空間とは前記透光部材により仕切られている構成を採用することができる。かかる構成によれば、本発明を適用した光学式位置検出装置を、ショーウインドウ(透光部材)の内側に位置する客(対象物体)の位置、および外側に位置する客(対象物体)の位置を光学的に検出するのに利用することができる。また、本発明を適用した光学式位置検出装置を、カバーガラス(透光部材)等で覆われたアミーズメント機器において、カバーガラスの内側に位置する遊技媒体(対象物体)の位置、および外側に位置するプレーヤー(対象物体)の位置を光学的に検出するのに利用することができる。
【0013】
本発明において、前記第2光検出器は、前記透光部材に対して前記第1空間側に配置されていることが好ましい。透光部材に対して第1空間側には、位置検出用光源および第1光検出器が配置されているので、第2光検出器を透光部材に対して第1空間側に配置すれば、位置検出用光源、第1光検出器および第2光検出器の全てを第1空間側に配置することができ、第2空間側には、位置検出用光源、第1光検出器および第2光検出器のいずれをも配置する必要がないので、第2空間の構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明において、前記位置検出用光源は、前記検出光として赤外光を出射することが好ましい。かかる構成によれば、位置検出光が目立たないという利点がある。
【0015】
本発明において、前記位置検出用光源は、互いに異なる位置に中心光軸をもって前記Z軸方向の一方側に前記検出光を出射する複数の発光素子を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、LED等の発光素子によって位置検出用光源を構成でき、位置検出用光源の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した光学式位置検出装置の要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明を適用した光学式位置検出装置における検出用光源や光検出器のZ軸方向における位置関係を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した光学式位置検出装置における位置検出用光源や光検出器のX軸方向およびY軸方向における位置を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した光学式位置検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した光学式位置検出装置で利用される位置検出光の説明図である。
【図6】本発明を適用した光学式位置検出装置で用いたXY座標検出の原理を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した光学式位置検出装置において、対象物体のXY座標を導出する方法を示す説明図である。
【図8】本発明を適用した光学式位置検出装置において差動を利用して対象物体の座標を検出する原理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側とて示してある。
【0018】
[光学式位置検出装置の全体構成]
図1は、本発明を適用した光学式位置検出装置の要部を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出装置の光検出器等をZ軸方向の一方側Z1からみた説明図、および光検出器等をZ軸方向の他方側Z2からみた説明図である。図2は、本発明を適用した光学式位置検出装置における検出用光源や光検出器のZ軸方向における位置関係を示す説明図である。図3は、本発明を適用した光学式位置検出装置における位置検出用光源や光検出器のX軸方向およびY軸方向における位置を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、Z軸方向の他方側Z2に配置された第1光検出器等の位置を示す説明図、およびZ軸方向の一方側Z1に配置された第1光検出器等の位置を示す説明図である。なお、図1および図3では、発光素子の発光部および受光素子の受光部についてはグレー領域で表してある。
【0019】
図1、図2および図3に示すように、本形態の光学式位置検出装置10は、対象物体の位置を光学的に検出する装置であって、Z軸方向の一方側Z1に向けて検出光L2を出射する位置検出用光源12と、Z軸方向の一方側Z1に受光部310を向けた第1光検出器31とを備えている。
【0020】
本形態において、位置検出用光源12は、Z軸方向の一方側Z1に発光部120を向けた複数の発光素子12A、12B、12Cからなる。発光素子12A、12B、12Cの中心光軸はいずれもZ軸方向に延在しており、発光素子12A、12B、12Cは各々、Z軸方向の一方側Z1に向けて検出光L2(検出光L2a、L2b、L2c)を出射する。ここで、発光素子12A、12B、12Cの中心光軸は、互いに平行であるが、互いに異なる位置にある。より具体的には、発光素子12Bの中心光軸は、発光素子12Aの中心光軸に対してX軸方向の他方側X2、かつ、Y軸方向の他方側Y2にずれた位置にある。また、発光素子12Cの中心光軸は、発光素子12Aの中心光軸に対してX軸方向の一方側X1、かつ、Y軸方向の他方側Y2にずれた位置にある。なお、発光素子12Bの中心光軸と発光素子12Cの中心光軸とは、X軸方向においてずれているが、Y軸方向では略同一の位置にある。
【0021】
かかる位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)はいずれも赤外光を出射する発光ダイオードであり、赤外光からなる検出光L2を発散光として出射する。検出光L2は、指やタッチペン等の対象物体Ob1、Ob2により効率的に反射される波長域を有することが好ましいことから、対象物体Ob1、Ob2が人体等であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えばピーク波長が850nm付近)が用いられている。
【0022】
第1光検出器31は、赤外光を検出可能なフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態では、フォトダイオードが用いられている。第1光検出器31と位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)とは、Z軸方向の略同一の位置にある。
【0023】
第1光検出器31の側方には、第1光検出器31に向けて発光部120sを向けた参照用第1発光素子12Sが配置されている。かかる参照用第1発光素子12Sも、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)と同様、赤外光を出射する発光ダイオードからなり、参照用第1発光素子12Sから出射された光は、参照光Lr1として利用される。
【0024】
本形態の光学式位置検出装置10において、位置検出用光源12および第1光検出器31に対してZ軸方向の一方側Z1で離間した位置には、Z軸方向の一方側Z1に受光部320を向けた第2光検出器32が配置されている。第1光検出器31と第2光検出器32とは、Z軸方向からみたとき略重なる位置にある。第2光検出器32は、第1光検出器31と同様、赤外光を検出可能なフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、フォトダイオードが用いられている。
【0025】
第2光検出器32の側方には、第2光検出器32に発光部120tを向けた参照用第2発光素子12Tが配置されている。かかる参照用第2発光素子12Tも、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)および参照用第1発光素子12Sと同様、赤外光を出射する発光ダイオードからなり、参照用第2発光素子12Tから出射された光は、参照光Lr2として利用される。
【0026】
このように構成した光学式位置検出装置10では、後述するように、第1光検出器31での受光結果および第2光検出器32での受光結果に基づいて、第1光検出器31と第2光検出器32との間の第1空間10R1に位置する対象物体Ob1の位置、および第2光検出器32よりZ軸方向の一方側Z1の第2空間10R2に位置する対象物体Ob2の位置を検出する。
【0027】
本形態の光学式位置検出装置10では、位置検出用光源12および第1光検出器31に対してZ軸方向の一方側Z1で離間した位置に透光部材16が配置されている。透光部材16は、赤外線を通過可能なガラス板や合成樹脂板からなり、位置検出用光源12および第1光検出器31に対してZ軸方向の一方側Z1に位置する空間を第1空間10R1と第2空間10R2とに仕切っている。透光部材16には、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tが搭載されているとともに、透光部材16には、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tに対する配線層(図示せず)も形成されている。本形態において、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tは、透光部材16の両面のうち、第1空間10R1側に搭載されている。なお、配線層は、細いため、透光部材16の赤外光や可視光の透過を阻害することはない。但し、配線層については目立たないことが好ましいことから、配線については、ITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されていることが好ましい。
【0028】
[光学式位置検出装置10の電気的構成]
図4は、本発明を適用した光学式位置検出装置10の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、光学式位置検出装置10は、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)、参照用第1発光素子12S、および参照用第2発光素子12Tを駆動する光源駆動部14と、第1光検出器31および第2光検出器32から検出結果が出力される位置導出部50とを有している。
【0029】
光源駆動部14は、発光素子12A、12B、12C、参照用第1発光素子12S、および参照用第2発光素子12T等の発光素子を駆動する光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して発光素子の各々の発光強度を制御する光源制御部145とを備えている。光源駆動回路140は、発光素子12Aを駆動する光源駆動回路140aと、発光素子12Bを駆動する光源駆動回路140bと、発光素子12Cを駆動する光源駆動回路140cとを備えている。また、光源駆動回路140は、参照用第1発光素子12Sを駆動する光源駆動回路140sと、参照用第2発光素子12Tを駆動する光源駆動回路140tも備えている。
【0030】
位置導出部50は、信号処理部51、XY座標導出部52およびZ座標導出部53を備えており、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1の位置(XY座標およびZ座標)、および第2空間10R2に位置する対象物体の位置(XY座標およびZ座標)を導出する。位置導出部50は、例えば、マイクロプロセッサーユニット(MPU)からなり、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、位置導出部50は、論理回路等のハードウェアを用いた信号処理部51で処理を行う構成を採用することもできる。なお、光源制御部145と位置導出部50とは、信号線で接続されており、発光素子に対する駆動と、位置導出部50での検出動作とは、連動して行われる。
【0031】
(位置検出光L2の光強度分布の構成)
図5は、本発明を適用した光学式位置検出装置10で利用される位置検出光の説明図であり、図5(a)、(b)、(c)は各々、発光素子12Aが出射する検出光L2aの光強度分布の説明図、発光素子12Bが出射する検出光L2bの光強度分布の説明図、および発光素子12Cが出射する検出光L2cの光強度分布の説明図である。
【0032】
図1〜図3を参照して説明した発光素子12A、12B、12Cは、各々異なる位置に中心光軸を向けている。また、検出光L2a、L2b、L2cはいずれも発散光であり、かかる発散光では、中心光軸付近で最も強度が大であり、中心光軸から離間するほど、強度が連続的に低下していく。このため、発光素子12Aから出射された検出光L2aは、図5(a)に示す光強度分布L2a0を形成する。かかる光強度分布L2a0においては、Y軸方向の一方側Y1においてX軸方向の略中央で強度が最大となり、かかる最大強度部から離間するに従って強度が単調減少している。本形態の光強度分布L2a0においては、最大強度部から離間するに従って強度が直線的あるいは略直線的に減少している。発光素子12Bから出射された検出光L2bは、図5(b)に示す光強度分布L2b0を形成する。かかる光強度分布L2b0においては、Y軸方向の他方側Y2においてX軸方向の他方側X2で強度が最大となり、かかる最大強度部から離間するに従って強度が単調減少している。本形態の光強度分布L2b0においては、最大強度部から離間するに従って強度が直線的あるいは略直線的に減少している。発光素子12Cから出射された検出光L2cは、図5(c)に示す光強度分布L2c0を形成する。かかる光強度分布L2c0においては、Y軸方向の他方側Y2においてX軸方向の一方側X1で強度が最大となり、かかる最大強度部から離間するに従って強度が単調減少している。本形態の光強度分布L2c0においては、最大強度部から離間するに従って強度が直線的あるいは略直線的に減少している。
【0033】
ここで、光強度分布L2a0の最大強度部分と、光強度分布L2b0の最大強度部分とは、X軸方向およびY軸方向の双方でずれている。また、光強度分布L2a0の最大強度部分と、光強度分布L2c0の最大強度部分とは、X軸方向およびY軸方向の双方でずれている。また、光強度分布L2b0の最大強度部分と、光強度分布L2c0の最大強度部分とは、X軸方向でずれている。すなわち、光強度分布L2a0の最大強度部分、光強度分布L2b0の最大強度部分、および光強度分布L2c0の最大強度部分は、仮想の三角形の角部分に位置する。
【0034】
(位置検出の基本原理)
本形態の光学式位置検出装置10においては、図2に示すように、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)から出射された位置検出光L2(位置検出光L2a〜L2c)が対象物体Ob1、Ob2で反射し、かかる反射光の一部を第1光検出器31および第2光検出器32によって検出し、対象物体Ob1、Ob2の位置を検出する。その際、第1光検出器31および第2光検出器32での検出強度は、対象物体Ob1、Ob2での反射強度と比例関係にあり、かかる対象物体Ob1、Ob2での反射強度は、対象物体Ob1、Ob2が位置する個所での検出光L2(検出光L2a〜L2c)の強度に比例する。従って、第1光検出器31および第2光検出器32での検出強度は、図5に示す光強度分布において、対象物体Ob1、Ob2が位置する個所での検出光L2(検出光L2a〜L2c)の強度に比例することになる。
【0035】
また、本形態の光学式位置検出装置10においては、Z軸方向の一方側Z1に向けて位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)が配置され、かつ、Z軸方向の一方側Z1に向けて受光部を向けた第1光検出器31および第2光検出器32がZ軸方向の一方側Z1で離間した位置に配置されている。
【0036】
このため、第1空間10R1に対象物体Ob1が存在する場合、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)から出射された検出光L2(検出光L2a、L2b、L2c)は、対象物体Ob1で反射し、かかる反射光は、第1光検出器31に到達し、第1光検出器31によって反射光の強度が検出される。
【0037】
また、第2空間10R2に対象物体Ob2が存在する場合、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)から出射された検出光L2(検出光L2a、L2b、L2c)は、対象物体Ob2で反射し、かかる反射光は、第2光検出器32に到達するとともに、第1光検出器31にも到達する。従って、対象物体Ob2で反射した反射光の強度は、第1光検出器31で検出されるとともに、第2光検出器32でも検出される。
【0038】
それ故、第2空間10R2に対象物体Ob2が存在する場合、第1空間10R1に対象物体Ob1が存在するか否かにかかわらず、第2光検出器32での検出結果を用いれば、対象物体Ob2で反射した反射光の強度がわかる。従って、図4に示す位置導出部50は、後述する方法で対象物体Ob2の位置(XYZ座標)を検出することができる。
【0039】
一方、第1空間10R1の対象物体Ob1の位置を検出する際、第2空間10R2に対象物体Ob2が存在しなければ、第1光検出器31での検出結果から対象物体Ob1で反射した反射光の強度がわかる。但し、第2空間10R2に対象物体Ob2が存在する場合、第1光検出器31には、対象物体Ob1で反射した光に加えて、対象物体Ob2で反射した光も入射するため、第1光検出器31での検出結果を用いても、対象物体Ob1で反射した反射光の強度がわからない。そこで、本形態では、図4に示す位置導出部50は、第1空間10R1の対象物体Ob1の位置を検出する際、第2空間10R2に対象物体Ob2が存在するか否かにかかわらず、第1光検出器31の検出結果に対して、第2光検出器32での受光結果分を補正して、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1で反射した光の強度を求める。より具体的には、第1空間10R1の対象物体Ob1の位置を検出する際、第1光検出器31の検出結果から第2光検出器32での受光結果分を減算し、かかる減算結果(第1光検出器31の検出結果と第2光検出器32での受光結果との差)を第1空間10R1に位置する対象物体Ob1で反射した光の強度を求める。それ故、図4に示す位置導出部50は、後述する方法で対象物体Ob1の位置(XYZ座標)を検出することができる。
【0040】
[XY座標検出の原理]
図6および図7を参照して、本発明を適用した光学式位置検出装置10において、対象物体のXY座標を検出するための原理を説明する。図6は、本発明を適用した光学式位置検出装置で用いたXY座標検出の原理を示す説明図であり、図6(a)、(b)は、検出光の光強度分布等を示す説明図、および対象物体Ob2で反射した検出光の強度が等しくなるように検出光の光強度分布を調整する様子を示す説明図である。図7は、本発明を適用した光学式位置検出装置10において、対象物体のXY座標を導出する方法を示す説明図である。
【0041】
(XY座標検出の原理の第1例)
本形態の光学式位置検出装置10では、図1〜図5を参照して説明したように、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)は、XY平面内において仮想の三角形の角部分に最大強度部分を備え、各々が異なる光強度分布をしている。そこで、本形態では、まず、発光素子12A、12B、12Cを異なるタイミングで順次点灯させ、その間、第1光検出器31および第2光検出器32は、入射した光の強度を検出する。そして、発光素子12Aを点灯させた際の第1光検出器31および第2光検出器32での検出結果、発光素子12Bを点灯させた際の第1光検出器31および第2光検出器32での検出結果、および発光素子12Cを点灯させた際の第1光検出器31および第2光検出器32での検出結果を比較し、かかる比較結果に基づいて、対象物体Ob1、Ob2の位置を検出する。
【0042】
以下、第2空間10R2の対象物体O2bのXY座標を検出する例を詳細に説明する。まず、XY座標検出用第1期間において、発光素子12Aを点灯させる一方、発光素子12B、12Cを消灯させると、図6(a)に示すように、発光素子12AのXY座標位置と発光素子12BのXY座標位置との間には、発光素子12AのXY座標位置から発光素子12BのXY座標位置に向かって強度が単調減少していく光強度分布L2a0が形成される。従って、第2空間10R2の対象物体Ob2により検出光L2aが反射され、その反射光の一部が第2光検出器32により検出される。
【0043】
次に、XY座標検出用第2期間において、発光素子12Bを点灯させる一方、発光素子12A、12Cを消灯させると、発光素子12AのXY座標位置と発光素子12BのXY座標位置との間には、発光素子12BのXY座標位置から発光素子12AのXY座標位置に向かって強度が単調減少していく光強度分布L2b0が形成される。従って、第2空間10R2の対象物体O2bにより検出光L2bが反射され、その反射光の一部が第2光検出器32により検出される。
【0044】
次に、発光素子12Aのみを点灯させたXY座標検出用第1期間における第2光検出器32での検出結果と、発光素子12Bのみを点灯させたXY座標検出用第2期間における第2光検出器32での検出結果との比を求め、かかる比がd11:d12だった場合、図7(a)に示すXY面上において、対象物体Ob2は、発光素子12AのXY座標位置と発光素子12BのXY座標位置とを結んだ仮想の直線L51をd11:d12で分割した位置を通って直線L51に対して直交する方向に延在する仮想の線L61(第1直線)上に位置することがわかる。
【0045】
同様に、XY座標検出用第3期間において、発光素子12Cを点灯させる一方、発光素子12A、12Bを消灯させる。その結果、第2空間10R2の対象物体O2bにより検出光L2cが反射され、その反射光の一部が第2光検出器32により検出される。従って、発光素子12Aのみを点灯させたXY座標検出用第1期間における第2光検出器32での検出結果と、発光素子12Cのみを点灯させたXY座標検出用第3期間における第2光検出器32での検出結果との比を求め、かかる比がd21:d23だった場合、図7(b)に示すXY面上において、対象物体Ob2は、発光素子12AのXY座標位置と発光素子12CのXY座標位置とを結んだ仮想の直線L52をd21:d23で分割した位置を通って直線L52に対して直交する方向に延在する仮想の線L62(第2直線)上に位置することがわかる。
【0046】
従って、図4に示すXY座標導出部52において、2つの線L61、L62の交点(第1直線と第2直線との交点)を求めれば、対象物体Ob2のXY座標を検出することができる。また、第2光検出器32での検出結果に代えて、第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値を用いれば、図4に示すXY座標導出部52においては、対象物体Ob2の場合と同様な方法で、対象物体Ob1のXY座標を検出することができる。より具体的には、発光素子12Aのみを点灯させた際の第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値と、発光素子12Bのみを点灯させた際の第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値との比がわかれば、対象物体Ob1が位置する線L61(第1直線/図7(a)参照)を求めることができる。また、発光素子12Aのみを点灯させた際の第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値と、発光素子12Cのみを点灯させた際の第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値との比がわかれば、対象物体Ob1が位置する線L62(第2直線/図7(b)参照)を求めることができる。それ故、第1直線と第2直線との交点を求めれば、対象物体Ob1のXY座標を検出することができる。
【0047】
(XY座標検出の原理の第1例)
上記基本原理1では、第1光検出器31での検出結果および第2光検出器32での検出結果を位置検出の導出に直接用いたが、発光素子12Aと発光素子12Bとの差動、および発光素子12Aと発光素子12Cとの差動を利用して、対象物体Ob1、Ob2のXY座標を検出してもよい。
【0048】
以下、第2空間10R2の対象物体O2bのXY座標を検出する例を詳細に説明する。まず、発光素子12Cを消灯させたまま、発光素子12Aと発光素子12Bとを交互に標準条件で点灯させる。そして、第2光検出器32における検出結果が、発光素子12Aのみを点灯させたXY座標検出用第1期間と、発光素子12Bのみを点灯させたXY座標検出用第2期間とにおいて等しくなるように発光素子12A、12Bを制御した際の電流値(制御量)や、電流値(制御量)の調整量に基づいて、図7(a)を参照して説明した線L61(第1直線)を求める。かかる方法では、発光素子12Bを消灯させたまま、発光素子12Aと発光素子12Cとを交互に標準条件で点灯させ、第2光検出器32における検出結果が、発光素子12Aのみを点灯させたXY座標検出用第3期間と、発光素子12Cのみを点灯させたXY座標検出用第4期間とにおいて等しくなるように発光素子12A、12Cを制御した際の電流値(制御量)や、電流値(制御量)の調整量に基づいて、図7(b)を参照して説明した線L62(第2直線)を求めることになる。
【0049】
より具体的には、まず、発光素子12Cを消灯させたまま、発光素子12A、12Bを交互に点灯させると、図6(a)に示す光強度分布L2a0と、図6(a)に示す光強度分布L2b0とが交互に形成される。ここで、XY座標検出用第1期間での第2光検出器32での検出結果Laと、XY座標検出用第2期間での第2光検出器32での検出結果Lbとが等しければ、対象物体Ob2は、発光素子12AのXY座標位置と発光素子12BのXY座標位置との中間に位置することになる。これに対して、XY座標検出用第1期間における第2光検出器32での検出結果Laと、XY座標検出用第2期間における第2光検出器32での検出結果Lbとが相違している場合、図6(b)に示すように、検出結果La、Lbが等しくなるように、発光素子12A、12Bに対する制御量(駆動電流)を調整する。そして、XY座標検出用第1期間での発光素子12Aに対する制御量の調整量ΔIaと、XY座標検出用第2期間での発光素子12Bに対する制御量の調整量ΔIbとの比を求めれば、図7(a)を参照して説明した比(d11:d12)を求めることができる。
【0050】
また、発光素子12Bを消灯させる一方、発光素子12B、12Cを交互に点灯させ、上記と同様な方法を実施すれば、図7(b)を参照して説明した比(d21:d23)を求めることができる。
【0051】
それ故、図6(a)、(b)を参照して説明したように、対象物体Ob2のXY座標を検出することができる。また、第2光検出器32での検出結果に代えて、第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値を用いれば、対象物体Ob1のXY座標を検出することができる。また、かかる方法によれば、外光や温度等といった外乱の影響をキャンセルすることができる。
【0052】
[Z座標検出の基本原理]
本形態の光学式位置検出装置10において、複数の発光素子(発光素子12A、12B、12C)を全て点灯すれば、図5を参照して説明した光強度分布が合成されたZ座標検出用の光強度分布が形成され、かかるZ座標検出用の光強度分布では、強度がZ軸方向で単調に変化することになる。例えば、Z座標検出用の光強度分布では、Z軸方向の一方側Z1に向けて強度が直線的あるいは略直線的に低下する。従って、図4に示すZ座標導出部53は、発光素子12A、12B、12Cを全て点灯させた際の第1光検出器31および第2光検出器32での検出結果に基づいて、対象物体Ob1、Ob2のZ座標を検出することができる。より具体的には、発光素子12A、12B、12Cを全て点灯させた際の第2光検出器32での検出結果に基づいて、対象物体Ob2のZ座標を検出することができる。また、発光素子12A、12B、12Cを全て点灯させた際の第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引けば、対象物体Ob1のZ座標を検出することができる。
【0053】
[参照光を利用した座標検出]
本形態の光学式位置検出装置10は、第1光検出器31に発光部120sを向けた参照用第1発光素子12Sと、第2光検出器32に発光部120tを向けた参照用第2発光素子12Tを備えており、参照用第1発光素子12Sおよび参照用第2発光素子12Tから出射された参照光Lr1、Lr2は、対象物体Ob1、Ob2が存在するか否かにかかわらず、一定の強度をもって第1光検出器31および第2光検出器32に入射する。従って、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)から出射された検出光L2(検出光L2a〜L2c)と、参照用第1発光素子12Sおよび参照用第2発光素子12Tから出射された参照光Lr1、Lr2との比較結果を利用すれば、外光や温度等といった外乱の影響をキャンセルすることができる。
【0054】
例えば、発光素子12A、12B、12Cを点灯させ、参照用第1発光素子12Sを消灯させた際の第1光検出器31での検出結果から、発光素子12A、12B、12Cを消灯させ、参照用第1発光素子12Sを点灯させた際の第1光検出器31での検出結果を差し引いた値を第1光検出器31での外乱補正後の値とする。また、発光素子12A、12B、12Cを点灯させ、参照用第2発光素子12Tを消灯させた際の第2光検出器32での検出結果から、発光素子12A、12B、12Cを消灯させ、参照用第2発光素子12Tを点灯させた際の第2光検出器32での検出結果を差し引いた値を第2光検出器32での外乱補正後の値とする。かかる値を用いれば、外光や温度等といった外乱の影響をキャンセルすることができる。
【0055】
また、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)と参照用第1発光素子12Sとの差動、および位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)と参照用第2発光素子12Tとの差動を利用して、対象物体Ob1、Ob2の座標を検出してもよい。
【0056】
以下、図8を参照して、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)と参照用第1発光素子12Sとの差動、および位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)と参照用第2発光素子12Tとの差動を利用して、対象物体Ob2のZ座標を検出する例を説明する。
【0057】
図8は、本発明を適用した光学式位置検出装置10において差動を利用して対象物体Ob2の座標を検出する原理を示す説明図であり、図8(a)、(b)は、検出光のZ軸方向の光強度分布を示す説明図、および対象物体Ob2で反射した検出光の強度が等しくなるように検出光のZ軸方向の光強度分布を調整した様子を示す説明図である。
【0058】
本形態の光学式位置検出装置10では、検出光検出期間において、発光素子12A、12B、12Cが全て標準条件で点灯すると、図8(a)に示すように、Z軸方向の一方側Z1に向かって強度が単調減少する光強度分布L2z0が形成される。従って、第2空間10R2に対象物体Ob2が配置されると、対象対物Ob2により検出光L2が反射され、その反射光の一部が第2光検出器32により検出される。ここで、第2光検出器32での検出光L2の受光結果L2zは、光強度分布L2z0において対象物体Ob2の位置に対応する強度と一定の関係、例えば、比例関係にある。
【0059】
これに対して、参照光検出期間において発光素子12A、12B、12Cが消灯し、参照用第2発光素子12Tが点灯すると、参照用第2発光素子12Tから出射された参照光Lr2は、その一部が第2光検出器32により検出される。ここで、参照光Lr2は、対象物体Ob2で反射されることがないので、第2光検出器32での参照光Lr2の受光結果Lrは、対象物体Ob2の位置にかかわらず、一定である。
【0060】
次に、図4に示す位置導出部50は、光源制御部145に指令して、検出光検出期間における第2光検出器32での検出結果L2zと、参照光検出期間における第2光検出器32での検出結果Lrとが等しくなるように、発光素子12A、12B、12Cに対する制御量(駆動電流)と、参照用第2発光素子12Tに対する制御量(駆動電流)とを調整する。その結果、図8(b)に示すように、検出光検出期間における第2光検出器32での検出結果L2z、および参照光検出期間における第2光検出器32での検出結果Lrの双方が値Lzになって等しくなれば、発光素子12A、12B、12Cに対する制御量の調整量ΔI2zと、参照用第2発光素子12Tに対する制御量の調整量ΔIr2との比や差から対象物体Ob2のZ座標を検出することができる。
【0061】
また、第2光検出器32での検出結果に代えて、第1光検出器31での検出結果から第2光検出器32での検出結果を差し引いた値を用いれば、第1空間10R1の対象物体Ob1の座標を検出することができる。かかる方法によれば、外光や温度等といった外乱の影響をキャンセルすることができる。
【0062】
なお、位置検出用光源12(発光素子12A、12B、12C)から出射された検出光L2(検出光L2a〜L2c)と、参照用第1発光素子12Sおよび参照用第2発光素子12Tから出射された参照光Lr1、Lr2との差動は、XY座標検出の原理の第1例で説明した方法を実施する場合にも適用することができる。
また、上記の方法では、参照用第1発光素子12Sおよび参照用第2発光素子12Tから出射される参照光Lr1、Lr2の強度を変化させたが、参照用第1発光素子12Sおよび参照用第2発光素子12Tから出射される参照光Lr1、Lr2の強度については固定であってもよい。
【0063】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10では、Z軸方向の一方側Z1に向けて位置検出用光源12が配置され、かつ、Z軸方向の一方側Z1に受光部310、320を向けた第1光検出器31および第2光検出器32がZ軸方向で離間した位置に配置されている。このため、位置検出用光源12がZ軸方向の一方側Z1に向けて検出光を出射した際、第1光検出器31と第2光検出器32との間の第1空間10R1に位置する対象物体Ob1で反射した検出光は第1光検出器31で受光され、第2光検出器32よりZ軸方向の一方側Z1の第2空間10R2に位置する対象物体Ob2で反射した検出光は、第1光検出器31および第2光検出器32で受光される。
【0064】
従って、第1光検出器31での受光結果から第2光検出器32での受光結果を差し引く等、第1光検出器31での受光結果に対して第2光検出器32での受光結果分を補正すれば、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1で反射した検出光の強度を導出することができ、かかる強度の導出結果を利用すれば、第1空間10R1に位置する対象物体Ob1の位置を導出することができる。また、第2光検出器32での受光結果に基づいて第2空間10R2に位置する対象物体Ob2の位置を導出することができる。それ故、検出光の出射方向で離間する2つの空間(第1空間10R1および第2空間10R2)の各々に位置する対象物体Ob1、Ob2の位置を光学的に検出することができる。
【0065】
また、本形態において、位置導出部50は、第1光検出器31での受光結果と第2光検出器32での受光結果との差に基づいて第1空間10R1に位置する対象物体Ob1の位置を検出しており、かかる構成によれば、差を求めるという簡単な処理で、第1光検出器31での受光結果に対して第2光検出器32での受光結果分の補正を行なうことができる。
【0066】
また、位置検出用光源12および第1光検出器31よりもZ軸方向の一方側Z1に、第2光検出器32を保持する透光部材16を備えているため、位置検出用光源12および第1光検出器31よりもZ軸方向の一方側Z1で離間する位置に第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tを保持することができる。また、透光部材16であれば、その存在が目立たないという利点がある。また、本形態では、透光部材16は板状であり、第1空間10R1と第2空間10R2とは透光部材16により仕切られている。それ故、本発明を適用した光学式位置検出装置10を、ショーウインドウ(透光部材16)の内側(第1空間10R1)に位置する客(対象物体Ob1)の位置、および外側(第2空間10R2)に位置する客(対象物体Ob2)の位置を光学的に検出するのに利用することができる。また、本発明を適用した光学式位置検出装置10を、カバーガラス(透光部材16)等で覆われたパチンコ台のようなアミーズメント機器において、カバーガラスの内側(第1空間10R1)で移動する玉あるいはコイン状の遊技媒体(対象物体Ob1)の位置、および外側(第2空間10R2)に位置するプレーヤー(対象物体Ob2)の位置を光学的に検出するのに利用することができる。
【0067】
さらに、本形態において、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tは、透光部材16に対して第1空間10R1側に配置されており、かかる第1空間10R1側には、位置検出用光源12、第1光検出器31および参照用第1発光素子12Sが配置されている。それ故、位置検出用光源12、第1光検出器31、参照用第1発光素子12S、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tの全てを第1空間10R1側に配置することができ、第2空間側10R2には、位置検出用光源12、第1光検出器31および第2光検出器32等を一切配置する必要がない。それ故、第2空間10R2の構成を簡素化することができる。
【0068】
また、位置検出用光源12は、検出光として赤外光を出射するため、検出光が目立たないという利点がある。また、位置検出用光源12は、互いに異なる位置に中心光軸をもってZ軸方向の一方側Z1に検出光L2を出射するLEDからなる複数の発光素子12A、12B、12Cを備えているため、位置検出用光源12の構成を簡素化することができる。
【0069】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tが透光部材16に対して第1空間10R1側に配置されていたが、第2光検出器32および参照用第2発光素子12Tが透光部材16に対して第2空間10R2側に配置されている構成を採用してもよい。
【0070】
上記実施の形態において、位置検出用光源12は3つの発光素子12A、12B、12Cを備えていたが、2つあるいは4つ以上の発光素子を備えている構成であってもよい。
【0071】
上記実施の形態において、位置検出用光源12は、互いに異なる位置に中心光軸をもってZ軸方向の一方側Z1に検出光L2を出射する複数の発光素子12A、12B、12Cを備えていたが、XY座標の検出に用いる光強度分布を順次形成可能な面状の光源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10・・光学式位置検出装置、10R1・・第1空間、10R2・・第2空間、12・・位置検出用光源、12A、12B、12C・・発光素子、12S・・参照用第1発光素子、12T・・参照用第2発光素子、16・・透光部材、31・・第1光検出器、32・・第2光検出器、50・・位置導出部、51・・信号処理部、52・・XY座標導出部、53・・Z座標導出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
互いに交差する方向をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向としたとき、
前記Z軸方向の一方側に向けて検出光を出射する位置検出用光源と、
前記Z軸方向の一方側に受光部を向けた第1光検出器と、
前記位置検出用光源および前記第1光検出器に対して前記Z軸方向の一方側で離間する位置で当該Z軸方向の一方側に受光部を向けた第2光検出器と、
前記第1光検出器での受光結果および前記第2光検出器での受光結果に基づいて、前記第1光検出器と前記第2光検出器との間の第1空間に位置する対象物体の位置、および前記第2光検出器より前記Z軸方向の一方側の第2空間に位置する対象物体の位置を検出する導出する位置導出部と、
を有することを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記位置導出部は、前記第2光検出器での受光結果に基づいて前記第2空間に位置する対象物体の位置を導出し、前記第1光検出器での受光結果と前記第2光検出器での受光結果との差に基づいて前記第1空間に位置する対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記位置導出部は、前記対象物体の位置として、前記X軸方向の位置および前記Y軸方向の位置を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記位置導出部は、前記対象物体の位置として、前記Z軸方向の位置を導出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出用光源および前記第1光検出器よりも前記Z軸方向の一方側に、前記第2光検出器を保持する透光部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記透光部材は板状であり、
前記第1空間と前記第2空間とは前記透光部材により仕切られていることを特徴とする請求項5に光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記第2光検出器は、前記透光部材に対して前記第1空間側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記位置検出用光源は、前記検出光として、通赤外光を出射することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記位置検出用光源は、互いに異なる位置に中心光軸をもって前記Z軸方向の一方側に前記検出光を出射する複数の発光素子を備えていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図3】
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