説明

光学活性3−置換−4−オキソ酪酸ヒドラジド及びこれを経由する光学活性5−置換−ジヒドロピリダジン−3−オン類の製造方法

【課題】 工業的実施が可能で効率的な光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンの製造方法を提供する。
【解決手段】 光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸類を緩和な反応条件下に光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジド類とし、その光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジド類の分子内脱水反応により、極めて緩和な反応条件下で光学活性な5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジド及びこれを経由する光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロピリダジノン類は各種医薬品、生理活性物質等の構成複素環として重要である。その主な製造方法は、4-オキソ酪酸類とヒドラジンをエタノールなどの溶媒中、加熱条件下に反応させる方法である。この方法を光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸類に適用し、光学活性な5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンを製造する場合、置換基がラセミ化する場合が多いため、この方法は光学活性体の合成方法としては万能ではない。一方この方法において、そのラセミ化をできる限り防ぐ方法として、反応中の水素イオン濃度(pH)を厳密に調整する方法が知られているが(非特許文献1、2)、ラセミ化防止が十分とはいえない。
【非特許文献1】J. Org. Chem. 56, 1963 (1991).
【非特許文献2】Synthesis, 10, 1554 (2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、工業的に実施容易で効率的な光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸類を使用することにより極めて緩和な反応条件下で効率的に光学活性な5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンを製造することができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】
即ち、本発明は、
1)
一般式(1)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジド、
【0008】
2)一般式(1)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドの分子内脱水反応による、一般式(2)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類の製造方法、
【0013】
3)一般式(3)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸から一般式(1)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドの製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、光学活性な3-置換-4-オキソ酪酸から簡便な方法で光学活性な光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類を製造することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明において「置換基を有していてもよい」という場合の置換基とは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、保護基を有していてもよい水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、複素環又はハロゲン原子を示し、例えば、メチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、エテニル基等のアルキニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジルオキシ基等の保護基を有していてもよい水酸基、メトキシ基等のアルコキシ基、フェニルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニルアミノ基等の保護基を有していてもよいアミノ基、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基等のアリールアミノ基、ベンジルスルファニル基等の保護基を有していてもよいスルファニル基、メチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基等のアリールスルファニル基、ベンジルスルフィニル基等の保護基を有していてもよいスルフィニル基、メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基、ベンジルスルフォニル基等の保護基を有していてもよいスルフォニル基、メチルスルフォニル基等のアルキルスルフォニル基、フェニルスルフォニル基等のアリールスルフォニル基、ピリジル基等の複素環、又はフッ素等のハロゲン原子を挙げることができる。
【0020】
「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜20の環状アルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜10の環状アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基などを挙げることができる。アルキル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、ベンジルオキシメチル基、メトキシメチル基、フェニルオキシメチル基、メトキシカルボニルアミノメチル基、メチルアミノメチル基、フェニルアミノメチル基、ベンジルスルファニルメチル基、メチルスルファニルメチル基、フェニルスルファニルメチル基、ベンジルスルフィニルメチル基、メチルスルフィニルメチル基、フェニルスルフィニルメチル基、ベンジルスルフォニルメチル基、メチルスルフォニルメチル基、フェニルスルフォニルメチル基、ピリジルメチル基、フルオロメチル基などを挙げることができる。
【0021】
「置換基を有していてもよいアルケニル基」のアルケニル基は、炭素数2〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基などを挙げることができる。アルケニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルケニル基としては、例えば、フェニルプロペニル基、ベンジルオキシプロペニル基、メトキシプロペニル基、フェニルオキシプロペニル基、メトキシカルボニルアミノプロペニル基、メチルアミノメプロペニル基、フェニルアミノプロペニル基、ベンジルスルファニルプロペニル基、メチルスルファニルプロペニル基、フェニルスルファニルプロペニル基、ベンジルスルフィニルプロペニル基、メチルスルフィニルプロペニル基、フェニルスルフィニルプロペニル基、ベンジルスルフォニルプロペニル基、メチルスルフォニルプロペニル基、フェニルスルフォニルプロペニル基、ピリジルプロペニル基、フルオロプロペニル基などを挙げることができる。
【0022】
「置換基を有していてもよいアルキニル基」のアルキニル基は、炭素数2〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキニル基であり、例えばエテニル基、プロピニル基、ブチニル基などを挙げることができる。アルキニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキニル基としては、例えば、フェニルプロピニル基、ベンジルオキシプロピニル基、メトキシプロピニル基、フェニルオキシプロピニル基、メトキシカルボニルアミノプロピニル基、メチルアミノメプロピニル基、フェニルアミノプロピニル基、ベンジルスルファニルプロピニル基、メチルスルファニルプロピニル基、フェニルスルファニルプロピニル基、ベンジルスルフィニルプロピニル基、メチルスルフィニルプロピニル基、フェニルスルフィニルプロピニル基、ベンジルスルフォニルプロピニル基、メチルスルフォニルプロピニル基、フェニルスルフォニルプロピニル基、ピリジルプロピニル基、フルオロプロピニル基などを挙げることができる。
【0023】
「置換基を有していてもよいアリール基」のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基を挙げることができる。アリール基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリール基としては、例えば、ビフェニル基、ベンジルオキシフェニル基、メトキシフェニル基、フェニルオキシフェニル基、メトキシカルボニルアミノフェニル基、メチルアミノフェニル基、フェニルアミノフェニル基、ベンジルスルファニルフェニル基、メチルスルファニルフェニル基、フェニルスルファニルフェニル基、ベンジルスルフィニルフェニル基、メチルスルフィニルフェニル基、フェニルスルフィニルフェニル基、ベンジルスルフォニルフェニル基、メチルスルフォニルフェニル基、フェニルスルフォニルフェニル基、ピリジルフェニル基、フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0024】
「保護基を有していてもよい水酸基」は、一般的な水酸基の保護基(例えば、「Protective
Groups in Organic Synthesis」3版、Theodora W. Greene,
Peter G. M. Wuts 著、John Wiley & Sons, Inc. 出版に記載の水酸基の保護基)で保護されていてもよい水酸基を示し、例えば、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、アリルオキシ基、t-ブチルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基、t-ブチルジフェニルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ピバロイルオキシ基などを挙げることができる。
【0025】
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」のアルコキシ基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基又は炭素数3〜20の環状アルコキシ基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基又は炭素数3〜10の環状アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基などを挙げることができる。アルコキシ基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルコキシ基としては、例えば、フェニルエトキシ基、ベンジルオキシエトキシ基、フェニルオキシエトキシ基、メトキシカルボニルアミノエトキシ基、メチルアミノエトキシ基、フェニルアミノエトキシ基、ベンジルスルファニルエトキシ基、メチルスルファニルエトキシ基、フェニルスルファニルエトキシ基、ベンジルスルフィニルエトキシ基、フェニルスルフィニルエトキシ基、ベンジルスルフォニルエトキシ基、メチルスルフォニルエトキシ基、フェニルスルフォニルエトキシ基、ピリジルメトキシ基、フルオロメトキシ基などを挙げることができる。
【0026】
「置換基を有していてもよいアリールオキシ基」のアリールオキシ基としては、例えばフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基を挙げることができる。アリールオキシ基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリールオキシ基としては、例えば、ビフェニルオキシ基、ベンジルオキシフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、フェニルオキシフェニルオキシ基、メトキシカルボニルアミノフェニルオキシ基、メチルアミノフェニルオキシ基、フェニルアミノフェニルオキシ基、ベンジルスルファニルフェニルオキシ基、メチルスルファニルフェニルオキシ基、フェニルスルファニルフェニルオキシ基、ベンジルスルフィニルフェニルオキシ基、メチルスルフィニルフェニルオキシ基、フェニルスルフィニルフェニルオキシ基、ベンジルスルフォニルフェニルオキシ基、メチルスルフォニルフェニルオキシ基、フェニルスルフォニルフェニルオキシ基、ピリジルフェニルオキシ基、フルオロフェニルオキシ基などを挙げることができる。
【0027】
「保護基を有していてもよいアミノ基」とは、一般的なアミノ基の保護基(例えば、「Protective
Groups in Organic Synthesis」3版、Theodora W. Greene,
Peter G. M. Wuts 著、John Wiley & Sons, Inc. 出版に記載のアミノ基の保護基)で保護されていてもよいアミノ基を示し、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、ベンジルアミノ基、p-メトキシベンジルアミノ基、メトキシメチルアミノ基、アセチルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基、アリルアミノ基、フタロイル基、p−トルエンスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
【0028】
「置換基を有していてもよいアルキルアミノ基」のアルキルアミノ基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜20の環状アルキル基で置換されたアミノ基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜10の環状アルキル基で置換されたアミノ基であり、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、シクロプロピルアミノ基などを挙げることができる。アルキルアミノ基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキルアミノ基としては、例えば、フェニルエチルアミノ基、ベンジルオキシエチルアミノ基、フェニルオキシエチルアミノ基、メトキシカルボニルアミノエチルアミノ基、メチルアミノエチルアミノ基、フェニルアミノエチルアミノ基、ベンジルスルファニルエチルアミノ基、メチルスルファニルエチルアミノ基、フェニルスルファニルエチルアミノ基、ベンジルスルフィニルエチルアミノ基、フェニルスルフィニルエチルアミノ基、ベンジルスルフォニルエチルアミノ基、メチルスルフォニルエチルアミノ基、フェニルスルフォニルエチルアミノ基、ピリジルメチルアミノ基、フルオロメチルアミノ基などを挙げることができる。
【0029】
「置換基を有していてもよいアリールアミノ基」としては、例えばフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アントラセニルアミノ基を挙げることができる。アリールアミノ基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリールアミノ基としては、例えば、ビフェニルアミノ基、ベンジルオキシフェニルアミノ基、メトキシフェニルアミノ基、フェニルオキシフェニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノフェニルアミノ基、メチルアミノフェニルアミノ基、フェニルアミノフェニルアミノ基、ベンジルスルファニルフェニルアミノ基、メチルスルファニルフェニルアミノ基、フェニルスルファニルフェニルアミノ基、ベンジルスルフィニルフェニルアミノ基、メチルスルフィニルフェニルアミノ基、フェニルスルフィニルフェニルアミノ基、ベンジルスルフォニルフェニルアミノ基、メチルスルフォニルフェニルアミノ基、フェニルスルフォニルフェニルアミノ基、ピリジルフェニルアミノ基、フルオロフェニルアミノ基などを挙げることができる。
【0030】
「保護基を有していてもよいスルファニル基」とは、一般的なスルファニル基の保護基(例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」3版、Theodora
W. Greene, Peter G. M. Wuts 著、John Wiley & Sons,
Inc. 出版に記載のスルファニル基の保護基)で保護されていてもよいスルファニル基を示し、例えば、ベンジルスルファニル基、ジフェニルメチルスルファニル基、p-メトキシベンジルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基、アセチルスルファニル基などを挙げることができる。
【0031】
「置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基」のアルキルスルファニル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜20の環状アルキル基で置換されたスルファニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜10の環状アルキル基で置換されたスルファニル基であり、例えばメチルスルファニル基、エチルスルファニル基、n-プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、シクロプロピルスルファニル基などを挙げることができる。アルキルスルファニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキルスルファニル基としては、例えば、フェニルエチルスルファニル基、ベンジルオキシエチルスルファニル基、フェニルオキシエチルスルファニル基、メトキシカルボニルアミノエチルスルファニル基、メチルアミノエチルスルファニル基、フェニルアミノエチルスルファニル基、ベンジルスルファニルエチルスルファニル基、メチルスルファニルエチルスルファニル基、フェニルスルファニルエチルスルファニル基、ベンジルスルフィニルエチルスルファニル基、フェニルスルフィニルエチルスルファニル基、ベンジルスルフォニルエチルスルファニル基、メチルスルフォニルエチルスルファニル基、フェニルスルフォニルエチルスルファニル基、ピリジルメチルスルファニル基、フルオロメチルスルファニル基などを挙げることができる。
【0032】
「置換基を有していてもよいアリールスルファニル基」のアリールスルファニル基としては、例えばフェニルスルファニル基、ナフチルスルファニル基、アントラセニルスルファニル基を挙げることができる。アリールスルファニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリールスルファニル基としては、例えば、ビフェニルスルファニル基、ベンジルオキシフェニルスルファニル基、メトキシフェニルスルファニル基、フェニルオキシフェニルスルファニル基、メトキシカルボニルアミノフェニルスルファニル基、メチルアミノフェニルスルファニル基、フェニルアミノフェニルスルファニル基、ベンジルスルファニルフェニルスルファニル基、メチルスルファニルフェニルスルファニル基、フェニルスルファニルフェニルスルファニル基、ベンジルスルフィニルフェニルスルファニル基、メチルスルフィニルフェニルスルファニル基、フェニルスルフィニルフェニルスルファニル基、ベンジルスルフォニルフェニルスルファニル基、メチルスルフォニルフェニルスルファニル基、フェニルスルフォニルフェニルスルファニル基、ピリジルフェニルスルファニル基、フルオロフェニルスルファニル基などを挙げることができる。
【0033】
「保護基を有していてもよいスルフィニル基」とは、一般的なスルフィニル基の保護基(例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」3版、Theodora
W. Greene, Peter G. M. Wuts 著、John Wiley & Sons,
Inc. 出版に記載のスルフィニル基の保護基)で保護されていてもよいスルフィニル基を示し、例えば、ベンジルスルフィニル基、ジフェニルメチルスルフィニル基、p-メトキシベンジルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基、アセチルスルフィニル基等を挙げることができる。
【0034】
「置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基」のアルキルスルフィニル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜20の環状アルキル基で置換されたスルフィニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜10の環状アルキル基で置換されたスルフィニル基であり、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、シクロプロピルスルフィニル基などを挙げることができる。アルキルスルフィニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキルスルフィニル基としては、例えば、フェニルエチルスルフィニル基、ベンジルオキシエチルスルフィニル基、フェニルオキシエチルスルフィニル基、メトキシカルボニルアミノエチルスルフィニル基、メチルアミノエチルスルフィニル基、フェニルアミノエチルスルフィニル基、ベンジルスルファニルエチルスルフィニル基、メチルスルファニルエチルスルフィニル基、フェニルスルファニルエチルスルフィニル基、ベンジルスルフィニルエチルスルフィニル基、フェニルスルフィニルエチルスルフィニル基、ベンジルスルフォニルエチルスルフィニル基、メチルスルフォニルエチルスルフィニル基、フェニルスルフォニルエチルスルフィニル基、ピリジルメチルスルフィニル基、フルオロメチルスルフィニル基などを挙げることができる。
【0035】
「置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基」のアリールスルフィニル基としては、例えばフェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、アントラセニルスルフィニル基を挙げることができる。アリールスルフィニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリールスルフィニル基としては、例えば、ビフェニルスルフィニル基、ベンジルオキシフェニルスルフィニル基、メトキシフェニルスルフィニル基、フェニルオキシフェニルスルフィニル基、メトキシカルボニルアミノフェニルスルフィニル基、メチルアミノフェニルスルフィニル基、フェニルアミノフェニルスルフィニル基、ベンジルスルファニルフェニルスルフィニル基、メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、ベンジルスルフィニルフェニルスルフィニル基、メチルスルフィニルフェニルスルフィニル基、フェニルスルフィニルフェニルスルフィニル基、ベンジルスルフォニルフェニルスルフィニル基、メチルスルフォニルフェニルスルフィニル基、フェニルスルフォニルフェニルスルフィニル基、ピリジルフェニルスルフィニル基、フルオロフェニルスルフィニル基などを挙げることができる。
【0036】
「保護基を有していてもよいスルフォニル基」とは、一般的なスルフォニル基の保護基(例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」3版、Theodora
W. Greene, Peter G. M. Wuts 著、John Wiley & Sons,
Inc. 出版に記載のスルフォニル基の保護基)で保護されていてもよいスルフォニル基を示し、例えば、ベンジルスルフォニル基、ジフェニルメチルスルフォニル基、p-メトキシベンジルスルフォニル基、メトキシメチルスルフォニル基、アセチルスルフォニル基などを挙げることができる。
【0037】
「置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基」のアルキルスルフォニル基としては、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜20の環状アルキル基で置換されたスルフォニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数3〜10の環状アルキル基で置換されたスルフォニル基であり、例えばメチルスルフォニル基、エチルスルフォニル基、n-プロピルスルフォニル基、イソプロピルスルフォニル基、シクロプロピルスルフォニル基などを挙げることができる。アルキルスルフォニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキルスルフォニル基としては、例えば、フェニルエチルスルフォニル基、ベンジルオキシエチルスルフォニル基、フェニルオキシエチルスルフォニル基、メトキシカルボニルアミノエチルスルフォニル基、メチルアミノエチルスルフォニル基、フェニルアミノエチルスルフォニル基、ベンジルスルファニルエチルスルフォニル基、メチルスルファニルエチルスルフォニル基、フェニルスルファニルエチルスルフォニル基、ベンジルスルフィニルエチルスルフォニル基、フェニルスルフィニルエチルスルフォニル基、ベンジルスルフォニルエチルスルフォニル基、メチルスルフォニルエチルスルフォニル基、フェニルスルフォニルエチルスルフォニル基、ピリジルメチルスルフォニル基、フルオロメチルスルフォニル基などを挙げることができる。
【0038】
「置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基」のアリールスルフォニル基としては、例えばフェニルスルフォニル基、ナフチルスルフォニル基、アントラセニルスルフォニル基を挙げることができる。アリールスルフォニル基は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよく、置換基を有するアリールスルフォニル基としては、例えば、ビフェニルスルフォニル基、ベンジルオキシフェニルスルフォニル基、メトキシフェニルスルフォニル基、フェニルオキシフェニルスルフォニル基、メトキシカルボニルアミノフェニルスルフォニル基、メチルアミノフェニルスルフォニル基、フェニルアミノフェニルスルフォニル基、ベンジルスルファニルフェニルスルフォニル基、メチルスルファニルフェニルスルフォニル基、フェニルスルファニルフェニルスルフォニル基、ベンジルスルフィニルフェニルスルフォニル基、メチルスルフィニルフェニルスルフォニル基、フェニルスルフィニルフェニルスルフォニル基、ベンジルスルフォニルフェニルスルフォニル基、メチルスルフォニルフェニルスルフォニル基、フェニルスルフォニルフェニルスルフォニル基、ピリジルフェニルスルフォニル基、フルオロフェニルスルフォニル基などを挙げることができる。
【0039】
「置換基を有していてもよい複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、ピラン、チオフェン、チオピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリジン、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ピペラジン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジオキソラン、ジオキサン、クロマン環等を挙げることができる。複素環は、上述の「置換基」から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよい。
【0040】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0041】
本発明の一般式(1)
【0042】
【化6】

【0043】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドは、
一般式(3)
【0044】
【化7】

【0045】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸とヒドラジン一水和物から製造することができる(工程−A)。
【0046】
反応は、一般式(3)で表される化合物とヒドラジン一水和物に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC.HCl)、ベンゾトリアゾール-1-イル-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(BOP)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、などの縮合剤を作用させて、行うことができる。反応は、−30℃〜60℃にて行うことが好ましく、さらに好ましくは0℃〜40℃である。
【0047】
また、一般式(3)で表される化合物を4−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル又は3-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジンエステルなどの、いわゆる活性エステルとした後、ヒドラジン一水和物を作用させて反応を行うこともできる。反応は、−30℃〜60℃にて行うことが好ましく、さらに好ましくは0℃〜40℃である。また、反応pHは、3〜10であることが好ましく、さらに好ましくは4〜9である。
【0048】
反応溶媒としては、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、又はスルホランなどを用いることができる。
【0049】
本発明の一般式(1)
【0050】
【化8】

【0051】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドを分子内脱水反応することにより、一般式(2)
【0052】
【化9】

【0053】
(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類を、効率的に製造することができる(工程−B)。
【0054】
本反応を円滑に進める上には、酸を添加することが好ましい。本反応に用いる酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、又はトリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。
【0055】
本反応に用いられる溶媒としては、反応に関与しない不活性な溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t-ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、又はスルホランなどを用いることができる。
【0056】
本反応は、−30℃〜60℃で行なうことが好ましく、さらに好ましくは−15〜40℃、特に好ましくは常温である。
【0057】
更に、一般式(2)で表される光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類は、一般式(3)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸から、一般式(1)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドを経由し、これを単離することなく連続した工程で製造することもできる。
反応は、一般式(3)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸を、上記の工程−Aに付した後に、同一の反応容器に上記の工程−Bで使用する酸を添加して行うことができる。
【0058】
<実施例>
以下の実施例により本発明の有用性を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
(+)−4−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸ヒドラジド
【0060】
【化10】

【0061】
(+)−4−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸(50.0 mg)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(28.0 mg)の塩化メチレン(1.7 mL)溶液に常温でN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(47.7 mg)を加えて常温で30分攪拌した。反応液に常温でヒドラジン一水和物(0.0194
mL)を加えて常温で30分攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=7:1)で精製し、無色シロップ状の表題化合物(48.1 mg)を得た。
旋光度:[α]D25 +111 (c
0.56, CHCl3).
HREIMS (+) : 315.1622 (C17H21N3O3として計算値 315.1583).
【0062】
<実施例2>
(+)6−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロピリダジン−3(2H)−オン
【0063】
【化11】

【0064】
4−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸(2.41 g, 96 %ee)のジクロロメタン(72 mL)溶液に、常温で1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(1.35 g)およびN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.48 g)を加えて常温で1時間攪拌した後、常温でヒドラジン一水和物(0.934 mL)を加えて常温で2時間攪拌した。反応液に氷冷下、トリフルオロ酢酸(3.0 mL)を加えて常温で4時間攪拌後、反応液を氷冷した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、30分間激しく攪拌し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=20:1)で精製し、白色アモルファス状の表題化合物(1.68
g, 95 %ee)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.21 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.41
(3H, t, J = 7.3 Hz), 2.54 (1H, dd, J = 17.1, 3.1 Hz), 2.89 (1H, dd, J = 17.1, 6.9
Hz), 3.09 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.25-3.29 (1H, m), 4.12 (3H, s), 7.05 (1H, d, J
= 8.6 Hz), 7.43 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.49 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.56 (1H,
brs), 8.57 (1H, d, J = 8.6 Hz).
光学純度の検定;高速液体クロマトグラフィーによる
カラム;DAICEL CHIRALPAK IA
展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=1:9
流速;0.5 mL/min
検出;293 nm
保持時間;(+)体:28.7min、(−)体:35.9min.
【0065】
<比較例1>
(+)6−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロピリダジン−3(2H)−オン
【0066】
【化12】

【0067】
4−(2−エチル−8−メトキシキノリン−5−イル)−3−メチル−4−オキソ酪酸(50.0 mg, 96 %ee)のエタノール(2.0 mL)溶液に、常温で酢酸(0.020 mL)およびヒドラジン一水和物(41.5
mg)を加えて4時間加熱還流した。反応液を減圧下に濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=20:1)で精製し、白色アモルファス状の表題化合物(35.2
mg, 47.7 %ee)を得た。
【0068】
実施例2記載の方法は、比較例1記載の方法と比べ、緩和な反応条件下で効率的に光学活性な5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンを製造可能であることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
各種医薬品、生理活性物質等の構成複素環として重要な、光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オンを極めて緩和な反応条件かつ工業的に実施容易な製造方法を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジド。

【請求項2】
一般式(1)
【化2】


(式中、式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドの分子内脱水反応による、一般式(2)
【化3】


(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性5-置換-ジヒドロピリダジン-3-オン類の製造方法。

【請求項3】
一般式(3)
【化4】


(式中、式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、保護基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、保護基を有していてもよいスルファニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファニル基、置換基を有していてもよいアリールスルファニル基、保護基を有していてもよいスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、保護基を有していてもよいスルフォニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフォニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフォニル基、置換基を有していてもよい複素環又はハロゲン原子を、
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環を示す。)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸から一般式(1)
【化5】


(式中、R及びRは前述の通り)で表される光学活性3-置換-4-オキソ酪酸ヒドラジドの製造方法。

【公開番号】特開2008−297254(P2008−297254A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145721(P2007−145721)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】