説明

光学用樹脂成形品およびそれからなる導光板および拡散板

【課題】耐熱性および吸湿特性に優れた、高温多湿下での製品のそり・変形の抑制された導光板または拡散板をはじめとする光学用樹脂成形品の提供。
【解決手段】ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上、分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体1〜10重量%および芳香族ビニル系単量体99〜90重量%からなる共重合体(A)5〜95重量%とポリカーボネート樹脂(B)95〜5重量%からなる樹脂組成物を成形してなる光学用樹脂成形品(導光板、拡散板)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性および吸湿性の良好な光学用樹脂成形品に関するものであり、詳しくはそれからなる導光板、拡散板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクリル系樹脂は、透明性、耐光性、表面硬度に優れるため、自動車外装部品、エクステリア用品等の屋外用途に広く使用されている。また、アクリル系樹脂は可視光領域の光線透過率ではガラス並み以上の特性を有し、また成形後の複屈折は小さく、光学的に非常に優れたプラスチックの一つである。そのため、従来からアクリル系樹脂は種々の光学材料として利用されており、光学用プラスチックレンズや光学式ディスク、導光板等の光学用途部品としての応用が進んでいる。
しかしながら、アクリル系樹脂は透明性や成形性に優れるものの、低い衝撃強度や長期使用による吸湿が原因で発生する成形品の反りや寸法変化といった不具合が発生することが知られている。更には耐熱性の不足により、使用条件によっては容易に成形品が変形してしまうという問題があった。
これらの問題点に対して、ポリカーボネート樹脂による代替が提案されているが、価格の上昇や複屈折率の悪化による光学特性の低下あるいは成形性の低下等の問題があるため、十分な問題解決には至っていない。
またアクリル系単量体とスチレン系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を使用する(特許文献1:特開2003−165885号)ことも提案されているが、吸湿による反りの改善が不十分である。
更にはポリカーボネート樹脂とスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のアロイ(特許文献2:特開2004−189805号)も提案されているが、透明性が不足しており、今だ満足されるものは得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開2003−165885号公報
【特許文献2】特開2004−189805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、耐熱性および吸湿性の良好な光学用樹脂成形品(特に導光板、拡散板)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らはかかる課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定の単量体組成からなる特定の共重合体とポリカーボネート樹脂を使用することにより、上記の目的を達成することを見出し本発明に達したものである。
すなわち本発明は、ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上、分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体1〜10重量%および芳香族ビニル系単量体99〜90重量%からなる共重合体(A)5〜95重量%とポリカーボネート樹脂(B)95〜5重量%からなる樹脂組成物を成形して得られた耐熱性および吸湿性に優れる光学用樹脂成形品を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明にて得られた光学用樹脂成形品は、耐熱性および吸湿性に優れているため、高温多湿下での製品のそり・変形を抑制でき、工業的価値の高い光学用樹脂成形品、特に導光板または拡散板として有効に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における光学用樹脂成形品は、ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上、分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体1〜10重量%および芳香族ビニル系単量体99〜90重量%からなる共重合体(A)5〜95重量%とポリカーボネート樹脂(B)95〜5重量%からなる樹脂組成物を成形して得られるものである。
【0007】
本発明における共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルエキシルアクリレート等が、また芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン等が例示され、それぞれ1種または2種以上を選択して使用することが可能である。これらのうち、特に(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはメチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレートが、また芳香族ビニル系単量体としてはスチレンが好ましい。
なお、本発明においては、その目的を阻害しない範囲内で、これら単量体と共重合可能な単量体、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸等の不飽和カルボン酸、グリシジルメタアクリレート等のエポキシ基含有単量体等を1種または2種以上選択して使用することも可能である。
【0008】
本発明における共重合体(A)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体の含有量は1〜10重量%の範囲であることが重要である。この含有量が1重量%未満(芳香族ビニル系単量体が99重量%を越える)、あるいは10重量%を超える場合(芳香族ビニル系単量体が90重量%未満)、ポリカーボネート樹脂(B)と混合した際、本発明の特徴である透明性が大幅に損なわれる。好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体2〜8重量%および芳香族ビニル系単量体98〜92重量%である。
【0009】
また本発明における共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量は10万以上、分子量分布Mw/Mnについては1.8〜3.0の範囲にあることが重要である。ポリスチレン換算重量平均分子量が10万未満である場合、ポリカーボネート樹脂との溶融粘度差が大きいため、最終製品での外観不良が発生しやすく、また分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0の範囲を逸脱すると、製品強度が損なわれる傾向にあるため好ましくない。
【0010】
本発明における共重合体(A)は、公知の重合法によって製造することができるが、なかでも塊状重合法または溶液重合法が好ましく、さらには連続式の塊状もしくは溶液重合法がより好ましく用いられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、及び必要であればエチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤を混合した原料を重合工程に供給し、該単量体を重合する工程および該工程の後、重合体、未反応単量体および/または溶剤を含む混合液を加熱し、同時にまたは加熱後減圧室に導入して未反応単量体および/または溶剤を重合体から分離する分離回収工程、さらに回収工程から排出された重合体に、必要に応じて着色剤、酸化防止剤、拡散剤などの添加剤を添加し造粒することによりペレット化してなる造粒工程からなることが好ましい。
【0011】
本発明における共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量(10万以上)および分子量分布(Mw/Mn 1.8〜3.0)を調整する方法としては、その重合方法、重合温度、または使用する重合開始剤や分子量調整剤の使用量を適宜設定することにより調整することが可能である。
また、本発明における共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量および分子量分布については、共重合体をテトラヒドロフランに溶解した後、島津高速液体クロマトグラフィー(HSGカラム)を用いて測定することが可能である。
【0012】
さらに、本発明における共重合体(A)のpHは7.0以下であることが導光板または拡散板としての製品強度の点で好ましい。更に好ましくは6.0以下である。尚、このpHは共重合体の重合方法や重合時の添加剤とその量あるいは、共重合体(A)とポリカーボネートを混合する際にリン酸等の酸成分を添加することにより、任意に調整することが可能である。
【0013】
さらに、本発明における共重合体(A)中のアルカリ金属塩は、pHと同様、導光板または拡散板としての製品強度の点で0.1重量%未満であることが好ましい。なお、アルカリ金属塩の含有量については、共重合体(A)の重合方法や重合時の添加剤とその量の調整、あるいは共重合体(A)の洗浄方法等により任意に調整することが可能である。
【0014】
本発明におけるポリカーボネート樹脂(B)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、;“ビスフェノールA”から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0015】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビスビス(4−ヒドロキシジフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3‘−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルファイド、4,4‘−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルファイドのようなジヒドロキシジアリールスルファイド類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4‘−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0016】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4‘−ジヒドロキシジフェニル類等を混合しても良い。
【0017】
さらに、上記のジヒドロキシジアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用しても良い。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−(4,4’−(4,4’−ヒドロキシジフェニル)シクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。なお、これらポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することが出来る。
【0018】
本発明における光学用樹脂成形品は、上述の共重合体(A)5〜95重量%とポリカーボネート樹脂(B)95〜5重量%からなる樹脂組成物を成形して得られるものであり、共重合体(A)が5重量%未満(ポリカーボネート樹脂(B)が95重量%を超える)では、光学特性や成形性に劣る傾向にあり、共重合体(A)が95重量%を超えると(ポリカーボネート樹脂(B)が5重量%未満)耐熱性が不足する傾向にあるため好ましくない。
【0019】
本発明においては、目的に応じてさらにTinuvin P、234、326、329、360(チバスペシャルティケミカルズ社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、スミソーブ100、110、130(住友化学社製)等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、スミソーブ400(住友化学社製)等のベンゾエート系紫外線吸収剤を1種または2種以上添加することが可能である。
これら紫外線吸収剤は、上記樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部の割合で配合することが好ましく、この範囲で添加することにより十分な耐光性が得られるが、その添加量が5重量部を超えると着色や耐熱性の低下、金型汚染などの問題が発生する傾向にあるため好ましくない。
【0020】
さらに本発明の上記樹脂組成物には、拡散剤として、例えば酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子や、メタクリル系樹脂、シリコン樹脂等からなる有機架橋微粒子を使用することができる。これらの拡散剤の平均粒径について特に制限はないが、0.1〜20μmの範囲であることが好ましい。
また、特性を損なわない範囲で、染顔料、滑剤、離型剤および酸化防止剤等を添加することも可能である。
【0021】
本発明の光学用樹脂成形品を成形する際の成形温度は230〜280℃であることが好ましい。成形温度が230℃未満では、残留成形歪により、そり・変形が発生しやすく、280℃を超えるとシルバーストリークや焼けによる外観不良を引き起こす傾向にあるため好ましくない。
【0022】
また本発明の光学用樹脂成形品を得るには、射出成形、押出し成形、異型押出し成形等目的に応じた成形方法にて、各種の光学用樹脂成形品、特に導光板、拡散板に成形することが可能である。
【0023】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0024】
〔実施例〕
−共重合体(A)−
共重合体A−1:容量が20リットルの完全混合型反応槽1基から成る連続的重合装置を用いてアクリル系共重合体を製造した。芳香族ビニル系単量体としてスチレン92重量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としてメチルメタアクリレート8重量部、t−ドデシルメルカプタン0.03重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエ−ト)0.015重量部、エチルベンゼン10重量部から成る重合原料をプランジャーポンプを用いて13kg/hで連続的に該反応槽に供給して重合を行い、重合温度を調節して反応槽出口における重合転化率を53.5重量%にした。このときの重合温度は150℃であった。反応槽の撹拌回転数は150rpmであり、重合温度は反応槽の上部、中部、下部の3か所に熱電対を入れて測定したところ、3か所の温度は平均値±0.2℃の範囲に制御されており、重合液は均一に混合されていると考えられる。重合に続いて、反応槽から連続的に抜き出された重合液を脱揮発分装置に供給して未反応単量体や有機溶剤等の揮発性成分を分離した後、押出機を経て樹脂をペレット化を行い、共重合体A−1を作成した。
得られた共重合体0.02gをTHF10mlに溶解したものを高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製)とシマズゲルHSGカラムを用いてポリスチレン換算平均重量分子量Mwおよび分子量分布Mw/Mnを測定(以下同様の手法にて測定)したところ、それぞれ20万、2.1であった。また、重合体を灰化後、純水に溶解してICP法および原子吸光法により定量(以下同様の手法にて測定)したところアルカリ金属塩の含有量は0.003重量%、さらに共重合体1gをアセトン40mlに溶解した後、メタノール40mlおよび純水40mlを加えて1時間放置して得られた上澄み液のpHを測定(以下同様の手法にて測定)したところ6.3であった。
【0025】
共重合体A−2:メチルメタアクリレート5重量部、スチレン95重量部、t−ドデシルメルカプタン0.01重量部とした以外は共重合体A−1と同様の方法により共重合体A−2を作成した。尚、共重合体A−2のMwは25万、Mw/Mnは2.2、アルカリ金属塩の含有量は0.002重量%、pHは6.4であった。
【0026】
共重合体A−i:メチルメタアクリレート20重量部、スチレン80重量部、t−ドデシルメルカプタン0.02重量部とした以外は共重合体−1と同様の方法により共重合体−iを作成した。尚、共重合体A−iのMwは24万、Mw/Mnは2.2、アルカリ金属塩の含有量は0.003重量%、pHは6.4であった。
【0027】
共重合体A−ii:スチレン100重量部、t−ドデシルメルカプタン0.00重量部とした以外は共重合体A−1と同様の方法により共重合体A−iiを作成した。尚、共重合体A−iiのMwは28万、Mw/Mnは2.1、アルカリ金属塩の含有量は0.002重量%、pHは6.4であった。
【0028】
共重合体A−iii:窒素置換したガラスリアクターに純水110部を仕込み、70℃に昇温した。その後、メチルメタアクリレート5重量部、スチレン95重量部、t−ドデシルメルカプタン0.01重量部からなる単量体混合物および純水20部にオレイン酸カリウム1.0部を溶解した乳化剤水溶液を4時間に亘り連続添加した。その後、重合を3時間継続し、重合を終了した。重合終了後、10%水酸化ナトリウム水溶液を共重合体ラテックス(固形分)100重量部あたり5部添加した後、硫酸マグネシウムを用いて塩析・脱水・乾燥を行い共重合体A−iiiを得た。尚、共重合体A−iiiのMwは26万、Mw/Mnは2.5、アルカリ金属塩の含有量は0.85重量%、pHは8.9であった。
【0029】
−ポリカーボネート樹脂(B)−
B−1:カリバー200−20(住友ダウ(株)製)
【0030】
−紫外線吸収剤(C)−
C−1:TINUVIN P(チバスペシャルティケミカルズ社製)
【0031】
〔実施例、比較例〕
上記各成分につき、表1に示す割合に混合し、シリンダー温度を240℃に設定した2軸押出機(日本製鋼所製 TEM−35)にて所定のペレットを得た。得られたペレットを100℃にて予備乾燥の後、射出成形機(日本製鋼所製J−150EP)を用いてシリンダー温度260℃で各種試験片を得た。結果を表1に示す。なお、各種の試験条件は下記のとおりである。
【0032】
耐熱性:ISO 75に準じ、0.46MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。単位:℃
吸湿性:12インチ用導光板(厚さ2mm)を成形し、55℃ 相対湿度80%の恒温恒湿槽に500時間放置したときの反り量を測定した。単位:mm
透明性:100×50×3の平板を作成し、ヘーズメーター(HM−150 村上色彩技術研究所)を用いてヘイズを測定した。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明における光学用樹脂成形品(特に導光板、拡散板)は、耐熱性および吸湿特性に優れているため、高温多湿下での製品のそり・変形を抑制できることから工業的価値の高い導光板または拡散板をはじめとする各種の光学用樹脂成形品として使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン換算重量平均分子量が10万以上、分子量分布Mw/Mnが1.8〜3.0である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体1〜10重量%および芳香族ビニル系単量体99〜90重量%からなる共重合体(A)5〜95重量%とポリカーボネート樹脂(B)95〜5重量%からなる樹脂組成物を成形してなる光学用樹脂成形品。
【請求項2】
共重合体(A)のpHが7未満である請求項1に記載の光学用樹脂成形品。
【請求項3】
共重合体(A)中のアルカリ金属塩の含有量が0.1重量%未満である請求項1に記載の光学用樹脂成形品。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の樹脂組成物100重量部に対し、さらに紫外線吸収剤(C)0.01〜5重量部配合して得られた樹脂組成物を成形してなる光学用樹脂成形品。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載の光学用樹脂成形品からなる導光板。
【請求項6】
請求項1〜4何れかに記載の光学用樹脂成形品からなる拡散板。

【公開番号】特開2007−204554(P2007−204554A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23330(P2006−23330)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(399034220)日本エイアンドエル株式会社 (186)
【Fターム(参考)】