光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法
【課題】反射率を低減させて、フレアやゴーストを防ぐことのできる光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法を提供する。
【解決手段】表面と裏面とを有する基板10と、基板10の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り20,30と、基板10の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部42,52と、を有するウエハレンズ1であって、絞り20,30の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸20a,30aが形成されている。
【解決手段】表面と裏面とを有する基板10と、基板10の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り20,30と、基板10の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部42,52と、を有するウエハレンズ1であって、絞り20,30の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸20a,30aが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズの製造分野においては、ガラス平板に熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂からなるレンズ部(光学部材)を設けることで、耐熱性の高い光学部品を得る技術が検討されている。
更に、この技術を適用した光学部品の製造方法としては、ガラス平板の表面に、絞りを形成し、さらに、絞りの表面に硬化樹脂からなるレンズ部を複数設けたいわゆる「ウエハレンズ」を形成する。その後、複数のウエハレンズを別途設けられたガラス基板等のスペーサーをはさんだり光学面と同時成形された突出部を突き当てたりして各ウエハレンズの光学部材間の間隔を調整しながら積み重ねて、接着しウエハレンズ集合体を形成する。
このウエハレンズのような複数のレンズ部が形成された部材に絞りを形成する方法としては、光学基板上に金属膜を蒸着することによって形成する技術が知られている。また特許文献1では、アルミニウムやクロムといった金属膜や黒色レジストで絞りを形成する方法が開示されている。
このようなウエハレンズは、更なる高解像力を得るため、ウエハレンズやウエハレンズ集合体を切断して個片化してレンズ集合体を形成し、それらをセンサーに取り付けること、もしくは、同じくセンサもウエハ化し、ウエハレンズ(集合体)と当該センサウエハとを接合して切断して一挙に個片化する方法によりセンサーを含めた撮像装置を大量生産できるという点でも注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0113273号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に近年、撮像装置に用いられる撮像用のレンズは、撮像装置の小型化に伴い、さらなる小型化及び薄型化が要求されている。そのため、レンズとセンサーとの距離が近づくことから、従来よりも増してフレアやゴーストによる影響が大きくなり、光学性能の劣化が際立つようになってきた。特にウエハレンズにより更なる小型、薄型化を図る場合にはこれらの影響が無視できない要因になってきている。
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、反射率を低減させて、フレアやゴーストを防ぐことのできる光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品であって、
前記絞り部材の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とする光学部品が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品の製造方法であって、
前記基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とする光学部品の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体であって、
前記第1及び第2光学部品に形成される前記絞り部材のうち、いずれか少なくとも一方の絞り部材の表面には、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とするレンズ集合体が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体の製造方法であって、
前記第1基板及び前記第2基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とするレンズ集合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絞りの表面に、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されているので、絞りの表面の凹凸によって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な断面図、(b)は、絞りの拡大図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な分解斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図4】マスターの製造方法を説明するための図面である。
【図5】絞りのアライメントマークとマスターとの位置決めを説明するための図面である。
【図6】絞りのアライメントマークとマスターとの位置決めを説明するための図面である。
【図7】絞りの構成及びその製造方法の変形例を説明するための図面である。
【図8】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の概略的な断面図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な分解斜視図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図11】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズの製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図12】図10の後続の工程を概略的に説明するための図面である。
【図13】本発明の好ましい実施形態(第3の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な断面図である。
【図14】本発明の好ましい実施形態(第3の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、本発明でいう「光学部品」とは、特に限定がない限り、必ずしもウエハレンズから切断、個片化して得られるものには限定されず、最初から基板に単一のレンズ部を備え、切断個片化工程を経ないで得られる部品もこれに含まれる。
同様に、本発明でいう「レンズ集合体」も、特に限定がない限り、後述する詳細な説明からわかるように「ウエハレンズ集合体」から切断個片化して得られるものが含まれることは勿論だが、予め単一のレンズ部を有する基板を複数積層し、切断個片化工程を経ずに得られる集合体も含まれる。
また本発明でいう「レンズ部」は必ずしも屈折パワーを有する球面、非球面レンズ形状を有するものには限定されず、所定のパワーを有する形状部分を有するものはこれに含まれ、所定の凹凸形状からなる回折構造もここでいうレンズ部に含まれるものとする。
また本発明でいう「基板の一方の面に形成された絞り部材」、「基板の一方の面に形成されたレンズ部」は、特に限定がない限り、基板面に直接接触するように絞り部材やレンズ部が形成されない場合も含むものである。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1(a)に示す通り、ウエハレンズ(光学部品)1は主にガラス基板10、絞り20,30、樹脂部40,50で構成されている。図1(a)は図2のI−I線断面図である。ガラス基板10はウエハレンズ1の中央部に配置されており、ガラス基板10の上下には絞り20,30がそれぞれ形成されている。ガラス基板10の上部には樹脂部40が形成されており、樹脂部40は光の通過を許容する光透過部22を覆っている。ガラス基板10の下部には樹脂部50が形成されており、樹脂部50は光の通過を許容する光透過部52を覆っている。
【0013】
図2に示す通り、ガラス基板10は円盤状を呈しており所定の厚みを有している。絞り20,30は通過する光量調整を行う要素である。絞り20,30は遮光性の金属膜20A,30Aで構成されており、ガラス基板10の上面と下面とにそれぞれ成膜されている。
なお、ガラス基板10に代えて、熱硬化性樹脂,光硬化性樹脂,熱可塑性樹脂等の透明なプラスチック基板を用いてもよいし、透明なセラミック基板を用いてもよく、ガラス基板10に相当する基板は光透過性の材料から構成されていれば、その種類は問わない。
【0014】
絞り20,30の表面には、図1(b)に示すような微細な凹凸20a,30aが形成されている。凹凸20a,30aのピッチは可視光領域の波長より短くなっている。図1(b)に示す通り、具体的にピッチは、10nm以上400nm以下であることが好ましいが、さらには50nm以上350nm以下が好ましい。ピッチが10nmより小さいと凹凸形状の形成が難しく、400nmより大きいと反射率低減の効果が小さくなる。凸形状部分の高さ又は凹形状部分の深さhと、凸形状部分又は凹形状部分のピッチdの比率(h/d)は絞りを突き抜けない範囲で1以上が好ましい。1より小さい場合、反射率低減の効果が小さくなる。
絞りの厚みは、その設計や材料によっても異なるが50nm以上3μm以下程度が好ましい。
なお凹凸ピッチは個々に多少のばらつきがある。従って本発明でいう凹凸ピッチは、公
知の測定装置によって個々の測定ピッチを測定し、所定のN数(例えばN=3)での平均値
をここでいう凹凸ピッチとする事が好ましい。
【0015】
絞りの材料は、可視光を遮蔽可能で、反射率が低い材料であれば、何等限定されないが、クロム化合物等の無機材料や黒色レジスト等を含むことが好ましい。
黒色レジストの場合、黒色レジストに含まれる黒色材料としてはカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、ペリレン系色素、アントラキノン系色素があるが、カーボンブラック又はチタンブラックが好ましい。
黒色レジストに含まれる光硬化型樹脂としては、不飽和二重結合を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、重合開始剤としては、アセトフェノン系重合開始剤、ベンソイン系重合開始剤等が挙げられる。
黒色レジスト中の黒色材料の含有量としては、4wt%以上50wt%以下が好ましい。含有量が多い方が絞りの遮蔽力が大きくなるが、多すぎると黒色レジスト材料としての安定性が低下する。
【0016】
絞り20,30の形成方法としては、クロム化合物等の場合は、スパッタ、蒸着等のPVD法を利用して、絞り材料のベタ層を形成後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらに絞り表面をフォトリソグラフィー法、電子ビームリソグラフィー法等を利用して、10nm以上400nm以下のピッチの凹凸構造にする。絞り表面の加工方法としては、特に電子ビームリソグラフィー法が好ましい。
黒色レジストの場合は、スピンコート等の公知の方法で塗布、乾燥後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらに、絞り表面をフォトリソグラフィー法、電子ビームリソグラフィー法等を利用して、10nm以上400nm以下のピッチの凹凸構造にする。もしくは、レジスト材料を塗布、乾燥後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらにナノインプリント法等で所望の表面凹凸構造にする。
【0017】
絞り20には円形状を呈する複数の光透過部22が形成されている。光透過部22は金属膜20Aがされていない部位で、光の透過を許容するようになっている。絞り20の周縁部には3対のアライメントマーク24a,24b,24cが形成されている。アライメントマーク24aは絞り20の中心部を通過するライン上において当該中心部に対し対称の位置に配置されている。アライメントマーク24b,24cもアライメントマーク24aと同様の配置を有している。
【0018】
樹脂部40,50は透明な樹脂40A,50Aで構成されている。樹脂40A,40Bは光硬化性樹脂である。樹脂部40には複数のレンズ部42が形成されている。レンズ部42は上側に凸となる部位であり、その表面が光学面となっている。樹脂部50にも複数のレンズ部52が形成されている。レンズ部52は下側に凸となる部位であり、その表面が光学面となっている。
【0019】
以上のウエハレンズ1では、図2において、上から順にレンズ部42,光透過部22,光透過部32,レンズ部52が上下方向において対応した位置に配置されており、これらを平面視した場合にすべてその位置が一致している。絞り20のアライメントマーク24cと絞り30の開口部34cも上下方向において対応した位置に配置されており、これらを平面視した場合にその位置が一致している。
【0020】
続いて、ウエハレンズ1の製造方法について説明する。
図3(a)に示す通り、公知のフォトエッチング技術(フォトリソグラフィー技術)を用いてガラス基板10に絞り20を形成する。詳しくは、ガラス基板10に対し、蒸着、スパッタリング等の方法で金属膜20Aを成膜し、その後ポジ型のフォトレジストを公知の方法で塗布、乾燥する。その後、絞り20に対し光透過部22とアライメントマーク24a,24b,24cとを形成可能なパターンを有するマスクを用い、レジストの露光・現像処理を行った、その後、露光部の金属膜20Aをエッチングで除去し、不要なレジストを除去、加熱して、光透過部22、アライメントマーク24a,24b,24cを有する絞り20を形成した。その後、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸20a(図1(b)参照)が形成されるように絞り20の表面を加工した。
【0021】
その後、図3(b)に示す通り、ガラス基板10上にモノマー状態(硬化前)の樹脂40Aを載置しておいて上方からマスター60を押圧し、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填する。
【0022】
図4に示す通り、マスター60はマザーマスター70(母型)から転写され構成された型であり、透明な光硬化性樹脂で構成されている。マザーマスター70はシリコン,金属,石英等で構成されており、マザーマスター70には、樹脂部40のレンズ部42と同一形状を有する凸部72と、絞り20のアライメントマーク24a,24b,24cに対応する位置決め部74とが、形成されている。マスター60の作製工程においては、マザーマスター70上に透明な光硬化性樹脂を充填して光照射・硬化させる。その結果、マスター60には、マザーマスター70の凸部72に対応するキャビティ62と、マザーマスター70の位置決め部74に対応する位置決め部64とが、形成され、本実施形態ではこれを樹脂部40の成形用の型として用いている。
【0023】
その後、図3(b)に示す通り、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填した状態で上方から光照射する。マスター60は上記の通り透明であるから、その光がマスター60を透過して樹脂40Aに入射し、樹脂40Aが硬化する。その結果、樹脂部40(レンズ部42)が形成される。
【0024】
特に、図3(b)の工程では、絞り20のアライメントマーク24aとマスター60の位置決め部64とを位置決めした状態で、マスター60をガラス基板10に押圧してその後に光照射する。
【0025】
詳しくは、図5に示す通り、上下方向にのみ移動可能な顕微鏡80において、ガラス基板10の上方から絞り20のアライメントマーク24aに焦点を合わせる(図5中(1)参照)。その後、顕微鏡80を上方に移動させて顕微鏡80とガラス基板10との間の位置にマスター60を配置し、顕微鏡80の高さ位置を調整しながら、その焦点位置をマスター60の位置決め部64又はその近傍に合わせる(図5中(2)参照)。
【0026】
この場合に、例えば、先に焦点位置を合わせたアライメントマーク24aと、その後に焦点位置を合わせた位置決め部64とが、図6上段に示すような状態にあると仮定したら、絞り20のアライメントマーク24aに対し位置決め部64が合致するような位置まで、マスター60を水平方向に移動させ(図6下段参照)、この状態でマスター60をガラス基板10に対し押圧して(図5中(3)参照)光照射する。
【0027】
その後、樹脂部40が形成されたガラス基板10をマスター60から離型して裏返し、図3(c)に示す通り、ガラス基板10の他方の面にフォトレジストを塗布、乾燥し、その後にマスクをフォトレジストと露光装置との間に介在させた状態で、フォトレジストに対し露光する。
当該マスクとしては、絞り30に対し光透過部32と開口部34cとを形成可能なパターン形状を有し、かつ、絞り20のアライメントマーク24bに対応するような位置決め部を有するマスクを用いる。そして実際に露光する工程では、図3(b)の工程において、絞り20のアライメントマーク24aに対しマスター60の位置決め部64を合致させたのと同様に、アライメントマーク24bに対し当該マスクの位置決め部を合致させた状態で露光する。
その後、現像を行い、レジスト像を形成する。
その後、蒸着装置を用いて、フォトレジストのない部分に金属膜30Aを成膜し、最終的に残留しているフォトレジストを剥離して光透過部、アライメントマークを有する絞り30を形成した。そして、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸30aが形成されるように絞り30の表面を加工した。
【0028】
その後、図3(d)に示す通り、ガラス基板10上にモノマー状態(硬化前)の樹脂50Aを載置しておいて上方からマスター80を押圧し、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填する。
【0029】
マスター80はマスター60と同様の手法で作製されたものである。すなわち、マスター80も、マザーマスターから転写され構成された型であって、透明な光硬化性樹脂で構成されている。マスター60と同様に、マスター80にも、樹脂部50のレンズ部52に対応する形状を有するキャビティ82と、絞り20のアライメントマーク24cに対応する位置決め部(84)とが、形成されており、本実施形態ではこれを樹脂部50の成形用の型として用いている。
【0030】
その後、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填した状態で上方から光照射する。マスター80もマスター60と同様に透明であるから、その光がマスター80を透過して樹脂50Aに入射し、樹脂50Aが硬化する。その結果、樹脂部50(レンズ部52)が形成される。
【0031】
特に、図3(d)の工程でも、図3(b)の工程において、絞り20のアライメントマーク24aに対しマスター60の位置決め部64を合致させたのと同様に、絞り20のアライメントマーク24cとマスター80の位置決め部(84)とを位置決めした状態で、マスター80をガラス基板10に押圧してその後に光照射する。アライメントマーク24cと位置決め部(84)との位置決めに際しては、図3(c)の工程において絞り30に開口部34cが形成されているから、顕微鏡80の視認性は十分に確保され、ガラス基板10に対しマスター80がずれた状態で押圧されるのが防止される。
【0032】
その後、樹脂部50が形成されたガラス基板10をマスター80から離型し、ウエハレンズ1が製造される。
【0033】
以上の本実施形態では、絞り20,30の表面に、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸20a,30aが形成されているので、絞り20,30の表面の凹凸20a,30aによって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
【0034】
[変形例1]
絞り20にアライメントマーク24a,24b,24cを形成せずに、ガラス基板10の1箇所にアライメントマークを付してこれを絞り20,30,樹脂部40,50の位置決めの基準としてもよい。すなわち、当該アライメントマークに対し、マスクの位置決め部を合致させて絞り20,30を形成し、マスター60,80の位置決め部64,84を合致させて樹脂部40,50を形成すればよい。この場合、絞り20,30には当該アライメントマークを視認可能な開口部を形成する必要があり、その開口部を介して当該アライメントマークとマスター60,80の位置決め部64,84を合致させる。
【0035】
[変形例2]
絞り20,30は金属膜20A,30Aに代えて、プリント(印刷・描画)により構成されてもよい。
絞り20,30は金属膜20A,30Aに代えて、カーボンブラック等の遮光性物質を含有させたフォトレジストにより構成されてもよい。例えば、絞り20を形成する場合を一例として挙げると、図7に示す通り、ガラス基板10に対し、カーボンブラックを含有させたフォトレジスト20Bを塗布して露光・現像し、残存するフォトレジスト20Bをそのまま絞り20として使用する。そして、絞り20の表面に凹凸20aを形成すれば良い。この場合、金属膜20A,20Bに係る工程(スパッタリングや蒸着、エッチング等)を省くことができ、ウエハレンズ1の製造工程を簡素化することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は主には下記の点で第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様である。
図8に示す通り、ウエハレンズ(第1光学部品)1に対しウエハレンズ(第2光学部品)101が、ウエハレンズ1の基板10の表裏面とウエハレンズ101の基板10の表裏面とが互いに略平行となるように積層されており、ウエハレンズ集合体100が構成されている。ウエハレンズ1の樹脂部50の下部には接着層142を介してスペーサー140が接着されている。スペーサー140はガラス又は透明な樹脂で構成された円盤状を呈する部材であり、ウエハレンズ1のレンズ部52に対応する位置に開口部が形成されている(当該開口部からレンズ部52が露出している)。接着層142は光硬化性樹脂製の接着剤142Aで構成されている。
【0037】
ウエハレンズ1とウエハレンズ101との間にも接着層152,154を介してスペーサー150が設けられている。スペーサー150もガラス又は透明な樹脂で構成された円盤状を呈する部材であり、ウエハレンズ1のレンズ部42とウエハレンズ101のレンズ部52とに対応する位置に開口部が形成されている(当該開口部からレンズ部42,52が露出している)。接着層152,154は、接着層142と同様に、光硬化性樹脂製の接着剤152A,154Aで構成されている。
【0038】
ウエハレンズ101では、ウエハレンズ1の絞り20,30に代えて絞り120,130が用いられている。絞り120,130は、ウエハレンズ1の絞り20,30とはパターン形状がやや異なっている。図9に示す通り、絞り120には図2のアライメントマーク24a,24b,24cが形成されておらず、金属膜120Aで構成されている。絞り130は、光透過部32を取り囲むように金属膜130Aが形成されており、図2の開口部34cを有していない。本実施形態では、絞り130が形成されていない部位にスペーサー150(接着層154)が対向するようになっている。なお、絞り120,130は遮光性のレジストやシリコン成膜物,カーボン成膜物等で構成されてもよい。また、絞り120,130の表面には、絞り20,30の凹凸20a,30aと同様に図1(b)に示すような微細な凹凸120a,130aが形成されている。凹凸120a,130aのピッチは可視光領域の波長より短くなっている。
【0039】
続いて、ウエハレンズ集合体100の製造方法について説明する。
【0040】
図3(a)〜(d)の工程に従いウエハレンズ1を製造し、製造したウエハレンズ1に対しスペーサー140を立設する。詳しくは、図10(a)に示す通り、ウエハレンズ1の樹脂部50の上面又はスペーサー140の下面に接着剤142Aを塗布し、ウエハレンズ1に対しスペーサー140を載置する。その後、スペーサー140の上方から光を照射して接着剤142Aを硬化させ、スペーサー140をウエハレンズ1に固定する。
【0041】
その後、スペーサー140を固定したのと同様にして、図10(b)に示す通りにウエハレンズ1の樹脂部40に対しスペーサー150を固定する(これにより製造された製造物を「前駆体160A」という。)。
【0042】
図10の工程とは別に、ウエハレンズ101の一部を製造する。詳しくは、図11(a)に示す通り、公知のフォトエッチング技術やリフトオフ技術を用いてガラス基板10に金属膜130Aを成膜し、絞り130を形成する。この場合、マスクとして、絞り130を形成可能なパターン形状を有するマスクを用いる。
さらに、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸130a(図1(b)参照)が形成されるように絞り130の表面を加工する。
【0043】
その後、ウエハレンズ1の樹脂部50(レンズ部52)を形成したのと同様に、図11(b)に示す通り、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填した状態で光照射し、樹脂部50を形成する(これにより製造された製造物を「前駆体160B」という。)。
【0044】
その後、図12(a)に示す通り、前駆体160Aのスペーサー150の上面、又は前駆体160Bの樹脂部50の下面に接着剤154Aを塗布し、前駆体160A上に前駆体160Bを載置する。その後、前駆体160Bのガラス基板10の上方から光を照射して接着剤154Aを硬化させ、前駆体160A,160B間にスペーサー150を固定する。
【0045】
その後、図12(b)に示す通り、公知のフォトエッチング技術やリフトオフ技術を用いて前駆体160Bのガラス基板10上に金属膜120Aを成膜し、絞り120を形成する。この場合、マスクとして、好ましくは前駆体160Aの絞り20のアライメントマーク24a,24b,24cのいずれかに対応する位置に位置決め部を有するマスクを用い、絞り20に対する絞り120の水平方向における位置ずれを防止する。
また、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸120a(図1(b)参照)が形成されるように絞り120の表面を加工する。
【0046】
なお、図12(a),(b)の工程では、前駆体160Bのガラス基板10の上面(光学面が形成されていない面)には当初から絞り120を形成せずに、前駆体160Bと前駆体160Aとを接着剤154Aで接着してから、その後に絞り120を形成しているが、前駆体160Bと前駆体160Aとを接着する前に当初から、前駆体160Bのガラス基板10の上面であってスペーサー150と接着(対向)する部位に対し、光が入射可能な絞りパターンを、前駆体160Bのガラス基板10に予め形成しておき、当該前駆体160Bをそのまま前駆体160Aに接着するようにしてもよい。
【0047】
その後、ウエハレンズ1の樹脂部40(レンズ部42)を形成したのと同様に、図12(c)に示す通り、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填した状態で光照射し、樹脂部40を形成する。この場合、好ましくは図12(b)の工程において絞り120に対し、前駆体160Aのアライメントマーク24aに対応する位置に開口部を形成しておき、その開口部を介してアライメントマーク24aにマスター60の位置決め部64を合致させれば、絞り20に対する前駆体160B上の樹脂部40の水平方向における位置ずれを防止することができる。
【0048】
その後、樹脂部40が形成されたガラス基板10をマスター60から離型し、ウエハレンズ集合体100が製造される。
【0049】
以上の本実施形態では、ウエハレンズ1に対して積層したウエハレンズ101の絞り120,130の表面にも、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸120a,130aが形成されているので、絞り120,130の表面の凹凸120a,130aによって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
また、前駆体160Bを製造する工程において、スペーサー150に対向する位置に絞り130を形成しないから(図11参照)、前駆体160Aと前駆体160Bとを接着させる場合に、接着剤154Aの硬化用の光が前駆体160Bのガラス基板10を介して直接的に接着剤154Aに入射し(図12(a)参照)、確実に接着剤154Aを硬化させることができる。
【0050】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は主には下記の点で第2の実施形態と異なっており、それ以外は第2の実施形態と同様である。
図13に示す通り、ウエハレンズ(第1光学部品)201及びウエハレンズ(第2光学部品)301において、レンズ部62が上側に窪む部位となっている。なお、これらウエハレンズ201,301の絞り20,30にも上述した図1(b)に示すような所定のピッチの凹凸20a,30aが形成されている。
また、図14に示す通り、ウエハレンズ201,301は、ウエハレンズ201の基板10の表裏面と、ウエハレンズ301の基板10の表裏面とが互いに略平行となるように対向配置し、一方のウエハレンズ201の樹脂部60のレンズ部62を除く箇所に接着剤202が塗布されて、他方のウエハレンズ301を載置することによって両ウエハレンズ201,301同士が固定される。このようにしてスペーサーを使用しないでウエハレンズ集合体400が製造される。
【実施例】
【0051】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
なお、下記に示す実施例1〜12及び比較例1〜2は、上述した第3の実施形態と同様の形状の第1及び第2ウエハレンズを使用して、ウエハレンズ集合体とし、これを個片化した。
[実施例1]
(第1ウエハレンズの作製)
0.6mm厚のガラス基板の一方の面にクロム化合物の金属膜を成膜し、ポジ型フォトレジストを公知の方法で塗布、乾燥した。その後、マスクを用いて、レジストの露光・現像処理を行い、さらに露光部のクロム化合物をエッチングで除去し、不要なレジストを除去、130℃、2分加熱して、光透過部、アライメントマークを有する絞りを形成した。そして、電子ビーム照射により15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。
その後は、ガラス基板上に樹脂を載置し、マスターで押圧してキャビティに樹脂を充填した状態で光照射し、樹脂を硬化させる。
次いで、マスターを離型して、ガラス基板を裏返し、ガラス基板の他方の面にフォトレジストを塗布、乾燥し、その後にマスクをフォトレジストと露光装置との間に介在させた状態で、フォトレジストに対し露光する。その後、現像を行い、レジスト像を形成する。さらに、蒸着装置を用いてフォトレジストのない部分にクロム化合物の膜を成膜し、最終的に残留しているフォトレジストを剥離して絞りを形成した。そして、電子ビームにより15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。
その後は、ガラス基板上に樹脂を載置し、マスターで押圧してキャビティに樹脂を充填した状態で光照射し、樹脂を硬化させる。最後に、マスターを離型して第1ウエハレンズを作製した。
【0052】
(第2ウエハレンズの作製)
1.3mm厚のガラス基板の一方の面に、第1ウエハレンズと同様にクロム化合物でアライメントマークを有する絞りを形成した。そして、電子ビーム照射により、15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。その後、レンズ部を形成し、ガラス基板の他方の面にもアライメントマークを有する絞りと、レンズ部を形成し、第2ウエハレンズを作製した。
【0053】
(ウエハレンズ集合体の個片化)
上記第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを、それぞれ最初に絞り加工した面を上にして、積層し、接着層が40μm厚となるように接着剤で接着した。この際のアライメントは、レンズ自体で行い、レンズ部に接着剤が付着しないように接着した。この後、絞りとレンズ部が形成されていない部分を公知のダイサーで断裁し、ウエハレンズ集合体を個片化した。
【0054】
[実施例2、実施例3]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例1と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0055】
[実施例4〜実施例6]
上述の図7で説明したように、0.6mm厚のガラス基板の一方の面に、カーボンブラックを含むネガ型黒色レジスト材料をスピンコーターで塗布し、黒色のレジストを成膜した。その後、黒色膜に対して光透過部とアライメントマークとを形成可能なパターンを有するマスクを用い、レジストの露光・現像処理を行った。200℃、30分加熱して、光透過部、アライメントマークを有する絞りを形成した。その後、電子ビーム照射により、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。それ以降は、実施例1と同様にレンズ部を形成して、ガラス基板の他方の面にもカーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを用いて、絞りとレンズ部を形成し、第1ウエハレンズを作製した。
また、1.3mm厚のガラス基板の一方の面に上記第1ウエハレンズと同様に、カーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを塗布して、レジスト膜を成膜し、レジストの露光・現像処理を行い、さらに加熱して絞りを形成した。その後、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。さらに、レンズ部を形成して、ガラス基板の他方の面にもカーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを用いて、絞りとレンズ部を形成し、第2ウエハレンズを作製した。
その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0056】
[実施例7〜実施例9]
上記実施例4〜実施例6において、ネガ型黒色レジストとしてチタンブラックを含むものを使用して、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4〜実施例6と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0057】
[実施例10〜実施例12]
実施例1〜9に記載の複数レンズと絞り、アライメントマークからなる構成ではなく、単数レンズと絞り、アライメントマークの構成で、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4〜実施例6と同様の方法で第1光学部品及び第2光学部品を作製した。その後、第1光学部品及び第2光学部品を積層して、接着した。
【0058】
[比較例1]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例1と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0059】
[比較例2]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例4と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0060】
[評価方法]
(反射率)
オリンパス社製反射率測定器USPM−RuIII(380nm〜780nm測定可能)を使用し、絞りを形成した基板の表面の反射率を測定した。そして、550nmの反射率を表1に示した。反射率は1.5%以下であることが好ましい。
なお上記実施例、比較例では基板の両面に絞りが形成されている。従って表1に記載の反射率は、これら各面の絞り表面の反射率を測定し、その平均値で示している。
【0061】
(レンズのゴースト)
レンズユニットをCCDモジュールに積層してカメラモジュール化し、正面に人形、60°上方に光源を置き、正面から光源まで10°おきに撮影して、ゴースト発生レベルを評価した。表1に、正面から光源側に20°上方を撮影した際のゴーストレベルを示した。○:ゴーストなし、△:ゴースト許容レベル、×:ゴースト不可
【0062】
【表1】
表1の結果より、絞りの表面が可視光領域の波長より短いピッチの凹凸構造を有する実施例1〜実施例12では、反射率が1.5%以下でかつゴーストが少ない良好なレンズであることが認められる。
なお上述の説明では、ウエハレンズが形成される基板の表裏面両方に対して絞りが形成されているもので説明しているが、本発明はこれに限定されず、基板の少なくとも一面に絞りが形成されているものであっても良い。
また本発明の絞りには、フレアやゴーストを防ぐ位置に配置された絞り、開口絞りも同様に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1,201 ウエハレンズ(第1光学部品)
10 ガラス基板(第1基板、第2基板)
20,30,120,130 絞り(絞り部材)
20a,30a,120a,130a 凹凸
42,52 レンズ部
100,400 ウエハレンズ集合体(レンズ集合体)
101,301 ウエハレンズ(第2光学部品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズの製造分野においては、ガラス平板に熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂からなるレンズ部(光学部材)を設けることで、耐熱性の高い光学部品を得る技術が検討されている。
更に、この技術を適用した光学部品の製造方法としては、ガラス平板の表面に、絞りを形成し、さらに、絞りの表面に硬化樹脂からなるレンズ部を複数設けたいわゆる「ウエハレンズ」を形成する。その後、複数のウエハレンズを別途設けられたガラス基板等のスペーサーをはさんだり光学面と同時成形された突出部を突き当てたりして各ウエハレンズの光学部材間の間隔を調整しながら積み重ねて、接着しウエハレンズ集合体を形成する。
このウエハレンズのような複数のレンズ部が形成された部材に絞りを形成する方法としては、光学基板上に金属膜を蒸着することによって形成する技術が知られている。また特許文献1では、アルミニウムやクロムといった金属膜や黒色レジストで絞りを形成する方法が開示されている。
このようなウエハレンズは、更なる高解像力を得るため、ウエハレンズやウエハレンズ集合体を切断して個片化してレンズ集合体を形成し、それらをセンサーに取り付けること、もしくは、同じくセンサもウエハ化し、ウエハレンズ(集合体)と当該センサウエハとを接合して切断して一挙に個片化する方法によりセンサーを含めた撮像装置を大量生産できるという点でも注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0113273号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に近年、撮像装置に用いられる撮像用のレンズは、撮像装置の小型化に伴い、さらなる小型化及び薄型化が要求されている。そのため、レンズとセンサーとの距離が近づくことから、従来よりも増してフレアやゴーストによる影響が大きくなり、光学性能の劣化が際立つようになってきた。特にウエハレンズにより更なる小型、薄型化を図る場合にはこれらの影響が無視できない要因になってきている。
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、反射率を低減させて、フレアやゴーストを防ぐことのできる光学部品、光学部品の製造方法、レンズ集合体及びレンズ集合体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品であって、
前記絞り部材の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とする光学部品が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品の製造方法であって、
前記基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とする光学部品の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体であって、
前記第1及び第2光学部品に形成される前記絞り部材のうち、いずれか少なくとも一方の絞り部材の表面には、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とするレンズ集合体が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体の製造方法であって、
前記第1基板及び前記第2基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とするレンズ集合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絞りの表面に、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されているので、絞りの表面の凹凸によって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な断面図、(b)は、絞りの拡大図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な分解斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)に係るウエハレンズの製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図4】マスターの製造方法を説明するための図面である。
【図5】絞りのアライメントマークとマスターとの位置決めを説明するための図面である。
【図6】絞りのアライメントマークとマスターとの位置決めを説明するための図面である。
【図7】絞りの構成及びその製造方法の変形例を説明するための図面である。
【図8】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の概略的な断面図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な分解斜視図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図11】本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)に係るウエハレンズの製造方法を概略的に説明するための図面である。
【図12】図10の後続の工程を概略的に説明するための図面である。
【図13】本発明の好ましい実施形態(第3の実施形態)に係るウエハレンズの概略的な断面図である。
【図14】本発明の好ましい実施形態(第3の実施形態)に係るウエハレンズ集合体の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、本発明でいう「光学部品」とは、特に限定がない限り、必ずしもウエハレンズから切断、個片化して得られるものには限定されず、最初から基板に単一のレンズ部を備え、切断個片化工程を経ないで得られる部品もこれに含まれる。
同様に、本発明でいう「レンズ集合体」も、特に限定がない限り、後述する詳細な説明からわかるように「ウエハレンズ集合体」から切断個片化して得られるものが含まれることは勿論だが、予め単一のレンズ部を有する基板を複数積層し、切断個片化工程を経ずに得られる集合体も含まれる。
また本発明でいう「レンズ部」は必ずしも屈折パワーを有する球面、非球面レンズ形状を有するものには限定されず、所定のパワーを有する形状部分を有するものはこれに含まれ、所定の凹凸形状からなる回折構造もここでいうレンズ部に含まれるものとする。
また本発明でいう「基板の一方の面に形成された絞り部材」、「基板の一方の面に形成されたレンズ部」は、特に限定がない限り、基板面に直接接触するように絞り部材やレンズ部が形成されない場合も含むものである。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1(a)に示す通り、ウエハレンズ(光学部品)1は主にガラス基板10、絞り20,30、樹脂部40,50で構成されている。図1(a)は図2のI−I線断面図である。ガラス基板10はウエハレンズ1の中央部に配置されており、ガラス基板10の上下には絞り20,30がそれぞれ形成されている。ガラス基板10の上部には樹脂部40が形成されており、樹脂部40は光の通過を許容する光透過部22を覆っている。ガラス基板10の下部には樹脂部50が形成されており、樹脂部50は光の通過を許容する光透過部52を覆っている。
【0013】
図2に示す通り、ガラス基板10は円盤状を呈しており所定の厚みを有している。絞り20,30は通過する光量調整を行う要素である。絞り20,30は遮光性の金属膜20A,30Aで構成されており、ガラス基板10の上面と下面とにそれぞれ成膜されている。
なお、ガラス基板10に代えて、熱硬化性樹脂,光硬化性樹脂,熱可塑性樹脂等の透明なプラスチック基板を用いてもよいし、透明なセラミック基板を用いてもよく、ガラス基板10に相当する基板は光透過性の材料から構成されていれば、その種類は問わない。
【0014】
絞り20,30の表面には、図1(b)に示すような微細な凹凸20a,30aが形成されている。凹凸20a,30aのピッチは可視光領域の波長より短くなっている。図1(b)に示す通り、具体的にピッチは、10nm以上400nm以下であることが好ましいが、さらには50nm以上350nm以下が好ましい。ピッチが10nmより小さいと凹凸形状の形成が難しく、400nmより大きいと反射率低減の効果が小さくなる。凸形状部分の高さ又は凹形状部分の深さhと、凸形状部分又は凹形状部分のピッチdの比率(h/d)は絞りを突き抜けない範囲で1以上が好ましい。1より小さい場合、反射率低減の効果が小さくなる。
絞りの厚みは、その設計や材料によっても異なるが50nm以上3μm以下程度が好ましい。
なお凹凸ピッチは個々に多少のばらつきがある。従って本発明でいう凹凸ピッチは、公
知の測定装置によって個々の測定ピッチを測定し、所定のN数(例えばN=3)での平均値
をここでいう凹凸ピッチとする事が好ましい。
【0015】
絞りの材料は、可視光を遮蔽可能で、反射率が低い材料であれば、何等限定されないが、クロム化合物等の無機材料や黒色レジスト等を含むことが好ましい。
黒色レジストの場合、黒色レジストに含まれる黒色材料としてはカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、ペリレン系色素、アントラキノン系色素があるが、カーボンブラック又はチタンブラックが好ましい。
黒色レジストに含まれる光硬化型樹脂としては、不飽和二重結合を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、重合開始剤としては、アセトフェノン系重合開始剤、ベンソイン系重合開始剤等が挙げられる。
黒色レジスト中の黒色材料の含有量としては、4wt%以上50wt%以下が好ましい。含有量が多い方が絞りの遮蔽力が大きくなるが、多すぎると黒色レジスト材料としての安定性が低下する。
【0016】
絞り20,30の形成方法としては、クロム化合物等の場合は、スパッタ、蒸着等のPVD法を利用して、絞り材料のベタ層を形成後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらに絞り表面をフォトリソグラフィー法、電子ビームリソグラフィー法等を利用して、10nm以上400nm以下のピッチの凹凸構造にする。絞り表面の加工方法としては、特に電子ビームリソグラフィー法が好ましい。
黒色レジストの場合は、スピンコート等の公知の方法で塗布、乾燥後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらに、絞り表面をフォトリソグラフィー法、電子ビームリソグラフィー法等を利用して、10nm以上400nm以下のピッチの凹凸構造にする。もしくは、レジスト材料を塗布、乾燥後、フォトレジスト材料等を利用して所望の形状にパターニング後、さらにナノインプリント法等で所望の表面凹凸構造にする。
【0017】
絞り20には円形状を呈する複数の光透過部22が形成されている。光透過部22は金属膜20Aがされていない部位で、光の透過を許容するようになっている。絞り20の周縁部には3対のアライメントマーク24a,24b,24cが形成されている。アライメントマーク24aは絞り20の中心部を通過するライン上において当該中心部に対し対称の位置に配置されている。アライメントマーク24b,24cもアライメントマーク24aと同様の配置を有している。
【0018】
樹脂部40,50は透明な樹脂40A,50Aで構成されている。樹脂40A,40Bは光硬化性樹脂である。樹脂部40には複数のレンズ部42が形成されている。レンズ部42は上側に凸となる部位であり、その表面が光学面となっている。樹脂部50にも複数のレンズ部52が形成されている。レンズ部52は下側に凸となる部位であり、その表面が光学面となっている。
【0019】
以上のウエハレンズ1では、図2において、上から順にレンズ部42,光透過部22,光透過部32,レンズ部52が上下方向において対応した位置に配置されており、これらを平面視した場合にすべてその位置が一致している。絞り20のアライメントマーク24cと絞り30の開口部34cも上下方向において対応した位置に配置されており、これらを平面視した場合にその位置が一致している。
【0020】
続いて、ウエハレンズ1の製造方法について説明する。
図3(a)に示す通り、公知のフォトエッチング技術(フォトリソグラフィー技術)を用いてガラス基板10に絞り20を形成する。詳しくは、ガラス基板10に対し、蒸着、スパッタリング等の方法で金属膜20Aを成膜し、その後ポジ型のフォトレジストを公知の方法で塗布、乾燥する。その後、絞り20に対し光透過部22とアライメントマーク24a,24b,24cとを形成可能なパターンを有するマスクを用い、レジストの露光・現像処理を行った、その後、露光部の金属膜20Aをエッチングで除去し、不要なレジストを除去、加熱して、光透過部22、アライメントマーク24a,24b,24cを有する絞り20を形成した。その後、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸20a(図1(b)参照)が形成されるように絞り20の表面を加工した。
【0021】
その後、図3(b)に示す通り、ガラス基板10上にモノマー状態(硬化前)の樹脂40Aを載置しておいて上方からマスター60を押圧し、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填する。
【0022】
図4に示す通り、マスター60はマザーマスター70(母型)から転写され構成された型であり、透明な光硬化性樹脂で構成されている。マザーマスター70はシリコン,金属,石英等で構成されており、マザーマスター70には、樹脂部40のレンズ部42と同一形状を有する凸部72と、絞り20のアライメントマーク24a,24b,24cに対応する位置決め部74とが、形成されている。マスター60の作製工程においては、マザーマスター70上に透明な光硬化性樹脂を充填して光照射・硬化させる。その結果、マスター60には、マザーマスター70の凸部72に対応するキャビティ62と、マザーマスター70の位置決め部74に対応する位置決め部64とが、形成され、本実施形態ではこれを樹脂部40の成形用の型として用いている。
【0023】
その後、図3(b)に示す通り、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填した状態で上方から光照射する。マスター60は上記の通り透明であるから、その光がマスター60を透過して樹脂40Aに入射し、樹脂40Aが硬化する。その結果、樹脂部40(レンズ部42)が形成される。
【0024】
特に、図3(b)の工程では、絞り20のアライメントマーク24aとマスター60の位置決め部64とを位置決めした状態で、マスター60をガラス基板10に押圧してその後に光照射する。
【0025】
詳しくは、図5に示す通り、上下方向にのみ移動可能な顕微鏡80において、ガラス基板10の上方から絞り20のアライメントマーク24aに焦点を合わせる(図5中(1)参照)。その後、顕微鏡80を上方に移動させて顕微鏡80とガラス基板10との間の位置にマスター60を配置し、顕微鏡80の高さ位置を調整しながら、その焦点位置をマスター60の位置決め部64又はその近傍に合わせる(図5中(2)参照)。
【0026】
この場合に、例えば、先に焦点位置を合わせたアライメントマーク24aと、その後に焦点位置を合わせた位置決め部64とが、図6上段に示すような状態にあると仮定したら、絞り20のアライメントマーク24aに対し位置決め部64が合致するような位置まで、マスター60を水平方向に移動させ(図6下段参照)、この状態でマスター60をガラス基板10に対し押圧して(図5中(3)参照)光照射する。
【0027】
その後、樹脂部40が形成されたガラス基板10をマスター60から離型して裏返し、図3(c)に示す通り、ガラス基板10の他方の面にフォトレジストを塗布、乾燥し、その後にマスクをフォトレジストと露光装置との間に介在させた状態で、フォトレジストに対し露光する。
当該マスクとしては、絞り30に対し光透過部32と開口部34cとを形成可能なパターン形状を有し、かつ、絞り20のアライメントマーク24bに対応するような位置決め部を有するマスクを用いる。そして実際に露光する工程では、図3(b)の工程において、絞り20のアライメントマーク24aに対しマスター60の位置決め部64を合致させたのと同様に、アライメントマーク24bに対し当該マスクの位置決め部を合致させた状態で露光する。
その後、現像を行い、レジスト像を形成する。
その後、蒸着装置を用いて、フォトレジストのない部分に金属膜30Aを成膜し、最終的に残留しているフォトレジストを剥離して光透過部、アライメントマークを有する絞り30を形成した。そして、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸30aが形成されるように絞り30の表面を加工した。
【0028】
その後、図3(d)に示す通り、ガラス基板10上にモノマー状態(硬化前)の樹脂50Aを載置しておいて上方からマスター80を押圧し、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填する。
【0029】
マスター80はマスター60と同様の手法で作製されたものである。すなわち、マスター80も、マザーマスターから転写され構成された型であって、透明な光硬化性樹脂で構成されている。マスター60と同様に、マスター80にも、樹脂部50のレンズ部52に対応する形状を有するキャビティ82と、絞り20のアライメントマーク24cに対応する位置決め部(84)とが、形成されており、本実施形態ではこれを樹脂部50の成形用の型として用いている。
【0030】
その後、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填した状態で上方から光照射する。マスター80もマスター60と同様に透明であるから、その光がマスター80を透過して樹脂50Aに入射し、樹脂50Aが硬化する。その結果、樹脂部50(レンズ部52)が形成される。
【0031】
特に、図3(d)の工程でも、図3(b)の工程において、絞り20のアライメントマーク24aに対しマスター60の位置決め部64を合致させたのと同様に、絞り20のアライメントマーク24cとマスター80の位置決め部(84)とを位置決めした状態で、マスター80をガラス基板10に押圧してその後に光照射する。アライメントマーク24cと位置決め部(84)との位置決めに際しては、図3(c)の工程において絞り30に開口部34cが形成されているから、顕微鏡80の視認性は十分に確保され、ガラス基板10に対しマスター80がずれた状態で押圧されるのが防止される。
【0032】
その後、樹脂部50が形成されたガラス基板10をマスター80から離型し、ウエハレンズ1が製造される。
【0033】
以上の本実施形態では、絞り20,30の表面に、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸20a,30aが形成されているので、絞り20,30の表面の凹凸20a,30aによって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
【0034】
[変形例1]
絞り20にアライメントマーク24a,24b,24cを形成せずに、ガラス基板10の1箇所にアライメントマークを付してこれを絞り20,30,樹脂部40,50の位置決めの基準としてもよい。すなわち、当該アライメントマークに対し、マスクの位置決め部を合致させて絞り20,30を形成し、マスター60,80の位置決め部64,84を合致させて樹脂部40,50を形成すればよい。この場合、絞り20,30には当該アライメントマークを視認可能な開口部を形成する必要があり、その開口部を介して当該アライメントマークとマスター60,80の位置決め部64,84を合致させる。
【0035】
[変形例2]
絞り20,30は金属膜20A,30Aに代えて、プリント(印刷・描画)により構成されてもよい。
絞り20,30は金属膜20A,30Aに代えて、カーボンブラック等の遮光性物質を含有させたフォトレジストにより構成されてもよい。例えば、絞り20を形成する場合を一例として挙げると、図7に示す通り、ガラス基板10に対し、カーボンブラックを含有させたフォトレジスト20Bを塗布して露光・現像し、残存するフォトレジスト20Bをそのまま絞り20として使用する。そして、絞り20の表面に凹凸20aを形成すれば良い。この場合、金属膜20A,20Bに係る工程(スパッタリングや蒸着、エッチング等)を省くことができ、ウエハレンズ1の製造工程を簡素化することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は主には下記の点で第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様である。
図8に示す通り、ウエハレンズ(第1光学部品)1に対しウエハレンズ(第2光学部品)101が、ウエハレンズ1の基板10の表裏面とウエハレンズ101の基板10の表裏面とが互いに略平行となるように積層されており、ウエハレンズ集合体100が構成されている。ウエハレンズ1の樹脂部50の下部には接着層142を介してスペーサー140が接着されている。スペーサー140はガラス又は透明な樹脂で構成された円盤状を呈する部材であり、ウエハレンズ1のレンズ部52に対応する位置に開口部が形成されている(当該開口部からレンズ部52が露出している)。接着層142は光硬化性樹脂製の接着剤142Aで構成されている。
【0037】
ウエハレンズ1とウエハレンズ101との間にも接着層152,154を介してスペーサー150が設けられている。スペーサー150もガラス又は透明な樹脂で構成された円盤状を呈する部材であり、ウエハレンズ1のレンズ部42とウエハレンズ101のレンズ部52とに対応する位置に開口部が形成されている(当該開口部からレンズ部42,52が露出している)。接着層152,154は、接着層142と同様に、光硬化性樹脂製の接着剤152A,154Aで構成されている。
【0038】
ウエハレンズ101では、ウエハレンズ1の絞り20,30に代えて絞り120,130が用いられている。絞り120,130は、ウエハレンズ1の絞り20,30とはパターン形状がやや異なっている。図9に示す通り、絞り120には図2のアライメントマーク24a,24b,24cが形成されておらず、金属膜120Aで構成されている。絞り130は、光透過部32を取り囲むように金属膜130Aが形成されており、図2の開口部34cを有していない。本実施形態では、絞り130が形成されていない部位にスペーサー150(接着層154)が対向するようになっている。なお、絞り120,130は遮光性のレジストやシリコン成膜物,カーボン成膜物等で構成されてもよい。また、絞り120,130の表面には、絞り20,30の凹凸20a,30aと同様に図1(b)に示すような微細な凹凸120a,130aが形成されている。凹凸120a,130aのピッチは可視光領域の波長より短くなっている。
【0039】
続いて、ウエハレンズ集合体100の製造方法について説明する。
【0040】
図3(a)〜(d)の工程に従いウエハレンズ1を製造し、製造したウエハレンズ1に対しスペーサー140を立設する。詳しくは、図10(a)に示す通り、ウエハレンズ1の樹脂部50の上面又はスペーサー140の下面に接着剤142Aを塗布し、ウエハレンズ1に対しスペーサー140を載置する。その後、スペーサー140の上方から光を照射して接着剤142Aを硬化させ、スペーサー140をウエハレンズ1に固定する。
【0041】
その後、スペーサー140を固定したのと同様にして、図10(b)に示す通りにウエハレンズ1の樹脂部40に対しスペーサー150を固定する(これにより製造された製造物を「前駆体160A」という。)。
【0042】
図10の工程とは別に、ウエハレンズ101の一部を製造する。詳しくは、図11(a)に示す通り、公知のフォトエッチング技術やリフトオフ技術を用いてガラス基板10に金属膜130Aを成膜し、絞り130を形成する。この場合、マスクとして、絞り130を形成可能なパターン形状を有するマスクを用いる。
さらに、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸130a(図1(b)参照)が形成されるように絞り130の表面を加工する。
【0043】
その後、ウエハレンズ1の樹脂部50(レンズ部52)を形成したのと同様に、図11(b)に示す通り、マスター80のキャビティ82に樹脂50Aを充填した状態で光照射し、樹脂部50を形成する(これにより製造された製造物を「前駆体160B」という。)。
【0044】
その後、図12(a)に示す通り、前駆体160Aのスペーサー150の上面、又は前駆体160Bの樹脂部50の下面に接着剤154Aを塗布し、前駆体160A上に前駆体160Bを載置する。その後、前駆体160Bのガラス基板10の上方から光を照射して接着剤154Aを硬化させ、前駆体160A,160B間にスペーサー150を固定する。
【0045】
その後、図12(b)に示す通り、公知のフォトエッチング技術やリフトオフ技術を用いて前駆体160Bのガラス基板10上に金属膜120Aを成膜し、絞り120を形成する。この場合、マスクとして、好ましくは前駆体160Aの絞り20のアライメントマーク24a,24b,24cのいずれかに対応する位置に位置決め部を有するマスクを用い、絞り20に対する絞り120の水平方向における位置ずれを防止する。
また、電子ビーム照射により、上記所定のピッチの凹凸120a(図1(b)参照)が形成されるように絞り120の表面を加工する。
【0046】
なお、図12(a),(b)の工程では、前駆体160Bのガラス基板10の上面(光学面が形成されていない面)には当初から絞り120を形成せずに、前駆体160Bと前駆体160Aとを接着剤154Aで接着してから、その後に絞り120を形成しているが、前駆体160Bと前駆体160Aとを接着する前に当初から、前駆体160Bのガラス基板10の上面であってスペーサー150と接着(対向)する部位に対し、光が入射可能な絞りパターンを、前駆体160Bのガラス基板10に予め形成しておき、当該前駆体160Bをそのまま前駆体160Aに接着するようにしてもよい。
【0047】
その後、ウエハレンズ1の樹脂部40(レンズ部42)を形成したのと同様に、図12(c)に示す通り、マスター60のキャビティ62に樹脂40Aを充填した状態で光照射し、樹脂部40を形成する。この場合、好ましくは図12(b)の工程において絞り120に対し、前駆体160Aのアライメントマーク24aに対応する位置に開口部を形成しておき、その開口部を介してアライメントマーク24aにマスター60の位置決め部64を合致させれば、絞り20に対する前駆体160B上の樹脂部40の水平方向における位置ずれを防止することができる。
【0048】
その後、樹脂部40が形成されたガラス基板10をマスター60から離型し、ウエハレンズ集合体100が製造される。
【0049】
以上の本実施形態では、ウエハレンズ1に対して積層したウエハレンズ101の絞り120,130の表面にも、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸120a,130aが形成されているので、絞り120,130の表面の凹凸120a,130aによって可視光領域の反射率を低減させることができ、フレアやゴーストを防ぐことができる。
また、前駆体160Bを製造する工程において、スペーサー150に対向する位置に絞り130を形成しないから(図11参照)、前駆体160Aと前駆体160Bとを接着させる場合に、接着剤154Aの硬化用の光が前駆体160Bのガラス基板10を介して直接的に接着剤154Aに入射し(図12(a)参照)、確実に接着剤154Aを硬化させることができる。
【0050】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は主には下記の点で第2の実施形態と異なっており、それ以外は第2の実施形態と同様である。
図13に示す通り、ウエハレンズ(第1光学部品)201及びウエハレンズ(第2光学部品)301において、レンズ部62が上側に窪む部位となっている。なお、これらウエハレンズ201,301の絞り20,30にも上述した図1(b)に示すような所定のピッチの凹凸20a,30aが形成されている。
また、図14に示す通り、ウエハレンズ201,301は、ウエハレンズ201の基板10の表裏面と、ウエハレンズ301の基板10の表裏面とが互いに略平行となるように対向配置し、一方のウエハレンズ201の樹脂部60のレンズ部62を除く箇所に接着剤202が塗布されて、他方のウエハレンズ301を載置することによって両ウエハレンズ201,301同士が固定される。このようにしてスペーサーを使用しないでウエハレンズ集合体400が製造される。
【実施例】
【0051】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
なお、下記に示す実施例1〜12及び比較例1〜2は、上述した第3の実施形態と同様の形状の第1及び第2ウエハレンズを使用して、ウエハレンズ集合体とし、これを個片化した。
[実施例1]
(第1ウエハレンズの作製)
0.6mm厚のガラス基板の一方の面にクロム化合物の金属膜を成膜し、ポジ型フォトレジストを公知の方法で塗布、乾燥した。その後、マスクを用いて、レジストの露光・現像処理を行い、さらに露光部のクロム化合物をエッチングで除去し、不要なレジストを除去、130℃、2分加熱して、光透過部、アライメントマークを有する絞りを形成した。そして、電子ビーム照射により15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。
その後は、ガラス基板上に樹脂を載置し、マスターで押圧してキャビティに樹脂を充填した状態で光照射し、樹脂を硬化させる。
次いで、マスターを離型して、ガラス基板を裏返し、ガラス基板の他方の面にフォトレジストを塗布、乾燥し、その後にマスクをフォトレジストと露光装置との間に介在させた状態で、フォトレジストに対し露光する。その後、現像を行い、レジスト像を形成する。さらに、蒸着装置を用いてフォトレジストのない部分にクロム化合物の膜を成膜し、最終的に残留しているフォトレジストを剥離して絞りを形成した。そして、電子ビームにより15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。
その後は、ガラス基板上に樹脂を載置し、マスターで押圧してキャビティに樹脂を充填した状態で光照射し、樹脂を硬化させる。最後に、マスターを離型して第1ウエハレンズを作製した。
【0052】
(第2ウエハレンズの作製)
1.3mm厚のガラス基板の一方の面に、第1ウエハレンズと同様にクロム化合物でアライメントマークを有する絞りを形成した。そして、電子ビーム照射により、15nmピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。その後、レンズ部を形成し、ガラス基板の他方の面にもアライメントマークを有する絞りと、レンズ部を形成し、第2ウエハレンズを作製した。
【0053】
(ウエハレンズ集合体の個片化)
上記第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを、それぞれ最初に絞り加工した面を上にして、積層し、接着層が40μm厚となるように接着剤で接着した。この際のアライメントは、レンズ自体で行い、レンズ部に接着剤が付着しないように接着した。この後、絞りとレンズ部が形成されていない部分を公知のダイサーで断裁し、ウエハレンズ集合体を個片化した。
【0054】
[実施例2、実施例3]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例1と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0055】
[実施例4〜実施例6]
上述の図7で説明したように、0.6mm厚のガラス基板の一方の面に、カーボンブラックを含むネガ型黒色レジスト材料をスピンコーターで塗布し、黒色のレジストを成膜した。その後、黒色膜に対して光透過部とアライメントマークとを形成可能なパターンを有するマスクを用い、レジストの露光・現像処理を行った。200℃、30分加熱して、光透過部、アライメントマークを有する絞りを形成した。その後、電子ビーム照射により、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。それ以降は、実施例1と同様にレンズ部を形成して、ガラス基板の他方の面にもカーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを用いて、絞りとレンズ部を形成し、第1ウエハレンズを作製した。
また、1.3mm厚のガラス基板の一方の面に上記第1ウエハレンズと同様に、カーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを塗布して、レジスト膜を成膜し、レジストの露光・現像処理を行い、さらに加熱して絞りを形成した。その後、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った。さらに、レンズ部を形成して、ガラス基板の他方の面にもカーボンブラックを含むネガ型黒色レジストを用いて、絞りとレンズ部を形成し、第2ウエハレンズを作製した。
その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0056】
[実施例7〜実施例9]
上記実施例4〜実施例6において、ネガ型黒色レジストとしてチタンブラックを含むものを使用して、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4〜実施例6と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0057】
[実施例10〜実施例12]
実施例1〜9に記載の複数レンズと絞り、アライメントマークからなる構成ではなく、単数レンズと絞り、アライメントマークの構成で、表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4〜実施例6と同様の方法で第1光学部品及び第2光学部品を作製した。その後、第1光学部品及び第2光学部品を積層して、接着した。
【0058】
[比較例1]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例1と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例1と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0059】
[比較例2]
表1に記載のピッチの凹凸構造を持つように絞りの表面加工を行った以外は、実施例4と同様の方法で第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを作製した。その後、実施例4と同様に、第1ウエハレンズ及び第2ウエハレンズを積層して、接着し、断裁個片化を行った。
【0060】
[評価方法]
(反射率)
オリンパス社製反射率測定器USPM−RuIII(380nm〜780nm測定可能)を使用し、絞りを形成した基板の表面の反射率を測定した。そして、550nmの反射率を表1に示した。反射率は1.5%以下であることが好ましい。
なお上記実施例、比較例では基板の両面に絞りが形成されている。従って表1に記載の反射率は、これら各面の絞り表面の反射率を測定し、その平均値で示している。
【0061】
(レンズのゴースト)
レンズユニットをCCDモジュールに積層してカメラモジュール化し、正面に人形、60°上方に光源を置き、正面から光源まで10°おきに撮影して、ゴースト発生レベルを評価した。表1に、正面から光源側に20°上方を撮影した際のゴーストレベルを示した。○:ゴーストなし、△:ゴースト許容レベル、×:ゴースト不可
【0062】
【表1】
表1の結果より、絞りの表面が可視光領域の波長より短いピッチの凹凸構造を有する実施例1〜実施例12では、反射率が1.5%以下でかつゴーストが少ない良好なレンズであることが認められる。
なお上述の説明では、ウエハレンズが形成される基板の表裏面両方に対して絞りが形成されているもので説明しているが、本発明はこれに限定されず、基板の少なくとも一面に絞りが形成されているものであっても良い。
また本発明の絞りには、フレアやゴーストを防ぐ位置に配置された絞り、開口絞りも同様に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1,201 ウエハレンズ(第1光学部品)
10 ガラス基板(第1基板、第2基板)
20,30,120,130 絞り(絞り部材)
20a,30a,120a,130a 凹凸
42,52 レンズ部
100,400 ウエハレンズ集合体(レンズ集合体)
101,301 ウエハレンズ(第2光学部品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品であって、
前記絞り部材の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記絞り部材のピッチは、10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記絞り部材は、クロム又はクロム化合物、黒色レジストから選ばれた材料、又はそれら材料の複合材料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記絞り部材は黒色レジストであり、その黒色レジストが、カーボンブラック又はチタンブラックを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品。
【請求項5】
前記レンズ部を形成する硬化性樹脂は前記絞り部材上に形成されており、前記レンズ部は周辺部が前記絞り部材と直接接し、中央部は前記絞りが形成された基板に直接接するように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項6】
前記レンズ部及び前記絞り部材は前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記光学部品は複数のレンズ部を基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成される事を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項8】
表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品の製造方法であって、
前記基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とする光学部品の製造方法。
【請求項9】
前記光学部品は複数のレンズ部を基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成されることを特徴とする請求項8に記載の光学部品の製造方法。
【請求項10】
表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合積層体であって、
前記第1及び第2光学部品に形成される前記絞り部材のうち、いずれか少なくとも一方の絞り部材の表面には、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とするレンズ集合体。
【請求項11】
前記絞り部材に形成されるピッチは、10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項10に記載のレンズ集合体。
【請求項12】
前記絞り部材は、クロム又はクロム化合物、黒色レジストから選ばれた材料、又はそれら材料の複合材料を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のレンズ集合体。
【請求項13】
前記絞り部材は黒色レジストであり、その黒色レジストが、カーボンブラック又はチタンブラックを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のレンズ集合体。
【請求項14】
前記レンズ部を形成する硬化性樹脂は前記絞り部材上に形成されると共に、前記レンズ部は周辺部が前記絞り部材と直接接し、中央部は前記絞り部材が形成された基板に直接接するように形成されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載のレンズ集合体。
【請求項15】
前記レンズ部及び前記絞り部材は前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載のレンズ集合体。
【請求項16】
表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体の製造方法であって、
前記第1基板及び前記第2基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とするレンズ集合体の製造方法。
【請求項17】
前記レンズ集合体は複数のレンズ部を前記第1基板又は前記第2基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成されることを特徴とする請求項16に記載のレンズ集合体の製造方法。
【請求項1】
表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品であって、
前記絞り部材の表面には可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記絞り部材のピッチは、10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記絞り部材は、クロム又はクロム化合物、黒色レジストから選ばれた材料、又はそれら材料の複合材料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記絞り部材は黒色レジストであり、その黒色レジストが、カーボンブラック又はチタンブラックを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品。
【請求項5】
前記レンズ部を形成する硬化性樹脂は前記絞り部材上に形成されており、前記レンズ部は周辺部が前記絞り部材と直接接し、中央部は前記絞りが形成された基板に直接接するように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項6】
前記レンズ部及び前記絞り部材は前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記光学部品は複数のレンズ部を基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成される事を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項8】
表面と裏面とを有する基板と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、絞り部材と、
前記基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂からなるレンズ部と、を有する光学部品の製造方法であって、
前記基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とする光学部品の製造方法。
【請求項9】
前記光学部品は複数のレンズ部を基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成されることを特徴とする請求項8に記載の光学部品の製造方法。
【請求項10】
表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合積層体であって、
前記第1及び第2光学部品に形成される前記絞り部材のうち、いずれか少なくとも一方の絞り部材の表面には、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸が形成されていることを特徴とするレンズ集合体。
【請求項11】
前記絞り部材に形成されるピッチは、10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項10に記載のレンズ集合体。
【請求項12】
前記絞り部材は、クロム又はクロム化合物、黒色レジストから選ばれた材料、又はそれら材料の複合材料を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のレンズ集合体。
【請求項13】
前記絞り部材は黒色レジストであり、その黒色レジストが、カーボンブラック又はチタンブラックを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のレンズ集合体。
【請求項14】
前記レンズ部を形成する硬化性樹脂は前記絞り部材上に形成されると共に、前記レンズ部は周辺部が前記絞り部材と直接接し、中央部は前記絞り部材が形成された基板に直接接するように形成されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載のレンズ集合体。
【請求項15】
前記レンズ部及び前記絞り部材は前記基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載のレンズ集合体。
【請求項16】
表面と裏面とを有する第1基板と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第1基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第1光学部品と、
表面と裏面とを有する第2基板と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された絞り部材と、
前記第2基板の表裏面のいずれか少なくとも一方の面に形成された、硬化性樹脂製のレンズ部と、を備えた第2光学部品と、を有し、
前記第1基板の表裏面と第2基板の表裏面とが互いに略平行となるように積層してなるレンズ集合体の製造方法であって、
前記第1基板及び前記第2基板の表面に絞り部材の材料層を所望の形状にパターニングした後、前記材料層の表面に、リソグラフィー法を用いて、可視光領域の波長より短いピッチの凹凸を形成することを特徴とするレンズ集合体の製造方法。
【請求項17】
前記レンズ集合体は複数のレンズ部を前記第1基板又は前記第2基板上に形成したウエハレンズを、レンズ部毎に切断されて形成されることを特徴とする請求項16に記載のレンズ集合体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−27867(P2011−27867A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171767(P2009−171767)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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