説明

光学関数決定方法

本発明は、所定の着用者のための眼科用レンズの光学関数に関連する仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムを決定するために計算手段により実行される方法であって、指示データ提供ステップと、光学基準表面データ提供ステップと、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップと、判定基準選択ステップと、目標値定義ステップと、評価ステップと、修正ステップと、を含み、目標値と評価判定基準値との差を最小化するために、眼科用レンズの基本曲線と異なる、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが修正される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、所定の着用者のための眼科用レンズの光学関数に関連する仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムを決定するために計算手段により実行される方法に関する。本発明はさらに、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数を有する眼科用レンズの計算方法および製造方法に関する。
【0002】
一般的な実務に沿い、着用者指示に対応する一対の眼科用レンズを得るために、半分完成された眼科用レンズ素材が、レンズ製造者によって、指示研究室へ提供される。一般に、半分完成された眼科用レンズ素材は、光学基準表面に対応する第1の表面、例えば、累進多焦点レンズの場合には多焦点表面、および、第2の球面を備えている。着用者指示に基づいて、適切な光学特性を有する標準的な半分完成したレンズ素材が選択される。後ろの球面は、最後には、指示研究室によって機械加工されて磨かれ、指示に応じた球−円環表面が得られる。このようにして、指示に応じた光学眼科用レンズが得られる。
【0003】
眼科用レンズの光学特性を改善するために、眼科用レンズのパラメータの最適化法が用いられる。このような最適化法は、所定の目標の光学関数にできるだけ近い眼科用レンズの光学関数を有するように設計される。目標の光学関数は、眼科用レンズが備えるべき光学特性を表す。
【0004】
いくつかのケースでは、眼科用レンズは最適化されるが、最適化された眼科用レンズの光学関数は、目標の光学関数に達しないことがある。いくつかのケースでは、最適化された眼科用レンズの光学関数は、眼科用レンズが最適化されていないケースよりも悪い光学特性を有することもある。
【0005】
本発明は、この状況を改善することを目的としている。
【0006】
この目的のために、本発明は、所定の着用者のための眼科用レンズの光学関数に関連する仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムを決定するために計算手段により実行される方法であって、
着用者の指示を表す指示データが提供される指示データ提供ステップと、
着用者の指示に対応する光学基準表面を表す表面データが提供される光学基準表面データ提供ステップと、
指示データおよび表面データを用いて仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムが決定される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップと、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数の少なくとも一つの判定基準が選択される判定基準選択ステップと、
選択された少なくとも一つの判定基準に対し、その判定基準に関連する目標値が定義される目標値定義ステップと、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数の、選択された少なくとも一つの判定基準の評価値が評価される評価ステップと、
目標値と評価判定基準値との差を最小化するために、眼科用レンズの基本曲線と異なる、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが修正される修正ステップと、を含み、
上記修正ステップにおいて、着用者の指示に対応する光学基準表面を表す表面データが不変である。
【0007】
有利には、本発明に係る方法は、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムを提供し、それゆえ、前もって選択された判定基準に沿って決定されることができるようなシステムに関連した光学関数を提供する。
【0008】
有利には、決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数は、従来の光学関数よりも、光学収差のレベルが低い。
【0009】
さらに、光学基準表面の本発明の方法における使用は、決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数を表す光学レンズを設計することを確実に可能にすることができる。
【0010】
有利には、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムおよびそれゆえこのようなシステムに関連する光学関数は、このような光学関数を表す眼科用レンズを決定することを確実に可能にするように最適化されることができる。または、少なくとも、その光学関数が所望の光学関数に対応するようになるように眼科用レンズのパラメータを最適化するときに眼科用レンズの光学特性が改善されることを確実にするように最適化されることができる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明に係る方法は、以下の特徴を単独または組み合わせて有する:
少なくとも一つの光学判定基準が、
中央視覚の度数、中央視覚の非点収差、中央視覚の高次の収差、中央視覚の鋭敏さ、中央視覚のコントラスト、中央視覚のプリズム偏差、目の偏差、中央視覚の対象視野、中央視覚の画像視野、中央視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物からなる中央視覚判定基準(CVOC)グループ、
周辺視覚の度数、周辺視覚の非点収差、周辺視覚の高次の収差、瞳領域光線偏差、周辺視覚の対象視野、周辺視覚の画像視野、周辺視覚のプリズム偏差、周辺視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物からなる周辺視覚判定基準(PVOC)グループ、
目の倍率およびこめかみの移動からなる全体的光学判定基準(GOC)グループ、からなる3つの判定基準グループのうちの一つまたはいくつかから選択され、
選択された各判定基準に対する目標値定義ステップにおいて、
その判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、一つまたはいくつかの評価領域およびその評価領域に関連する目標値のセットを含む評価区域が定義され、または、
その判定基準が全体的判定基準グループに属する場合は、その判定基準に関連する目標値が定義され、
さらに、評価ステップにおいて、
選択された判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、その評価領域に関連する判定基準値のセットが評価され、
修正ステップにおいて、停止判定基準が満足されるまで評価ステップを繰り返すことによって、目標値を考慮したコスト関数を最小化するために、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが修正され、
コスト関数が、
中央視覚判定基準グループおよび周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対し、評価領域に関連する判定基準値と評価領域に関連する目標値との差の2乗の、評価領域全体の和、および、
全体的光学判定基準グループに属する判定基準に対し、判定基準値と目標値との差の2乗の、
選択された判定基準全体の和であり、
コスト関数Jが、式
【0012】
【数1】

【0013】
に従って数学的に表現され、
ここで、
kおよびiは整数の変数であり、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、中央視覚判定基準グループおよび周辺視覚判定基準グループに属する選択された判定基準の数を表し、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、全体的光学判定基準グループに属する選択された判定基準の数を表し、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対する評価領域の数を表し、
vは、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータを定義し、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準と、インデックスiの評価領域とに関連する重みであり、
w’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に関連する重みであり、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に関連する評価区域のインデックスiの評価領域であり、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対する判定基準値と、評価領域Dと、そのパラメータvによって定義される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムとを関連付け、
H’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に対する判定基準値と、そのパラメータvによって定義される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムとを関連付け、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準の、評価領域Dに関連する目標値のセットのインデックスiの目標値であり、
T’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に関連する目標値であり、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが、
瞳径、瞳位置、目の回転中心位置、目の異なるジオプトリーの位置、例えば網膜、目の異なるジオプトリーの湾曲、例えば網膜、目の異なる環境のインデックスからなる目パラメータグループ、
眼科用レンズの所定ポイントでの緊張、眼科用レンズのプリズム、基板のインデックスからなる眼科用レンズパラメータグループ、
頂点距離、広角角度、全巻き角からなる着用パラメータグループ、および、
各目の注視方向の関数としての距離の再区分および/または対象のサイズからなる対象空間パラメータグループ、
からなる4つのパラメータグループの一つまたはいくつかの間から選択され、
眼科用レンズが多焦点眼科用レンズであり、
眼科用レンズのパラメータグループが、さらに、多焦点眼科用レンズの異なる表面の追加を含み、
選択された判定基準が、中央視覚判定基準グループに属し、関連する評価領域が、少なくとも一つの注視方向を含み、この方向が、目の回転中心と関連する基準軸に関して考慮され、判定基準評価に対する目の回転中心からの光線の追跡を実行するのに用いられ、
選択された判定基準が、周辺視覚判定基準グループに属し、関連する評価領域が、少なくとも一つの周辺光線方向を含み、この方向が、決定された注視方向に沿って移動する入射瞳中心と関連する基準軸に関して考慮され、判定基準評価に対する入射瞳中心からの光線の追跡を実行するのに用いられる。
【0014】
本発明はまた、眼科用レンズの計算方法に関し、上記眼科用レンズが、光学関数によって特定され、少なくとも2つの光学表面が、第1の等式によって定義される第1の光学表面と、第2の等式によって定義される第2の光学表面とを含み、
本方法が、
上記光学関数が、本発明によって決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムから決定される、光学関数決定ステップと、
上記第2の等式が、上記光学関数および上記第1の等式から計算される計算ステップとを含んでいる。
【0015】
本発明はまた、眼科用レンズの製造方法に関し、上記眼科用レンズが、光学関数によって特定され、少なくとも2つの光学表面が、第1の等式によって定義される第1の光学表面と、第2の等式によって定義される第2の光学表面とを含み、
本方法が、
上記第2の等式が、上記光学関数および上記第1の等式から計算される、本発明に係る計算ステップと、
第1の表面を有する、半分完成した眼科用レンズが提供される、半分完成眼科用レンズ提供ステップと、
半分完成した眼科用レンズが機械加工され、さらに、第2の等式によって定義される第2の表面を提供されて、眼科用レンズが得られる機械加工ステップとを含んでいる。
【0016】
本発明はまた、プロセッサにアクセス可能な、1つまたはそれより多い格納された一連の指示を含み、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、本発明に係る方法のステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム製品、および、本発明に係るコンピュータプログラム製品の1つまたはそれより多い一連の指示を実行することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0017】
他の説明を特にしない限り、以下の議論から明らかなように、明細書の全体で、「演算」、「計算」、「生成」などの用語を用いる議論は、物理的、例えば電子的な量として表されるデータを動作するおよび/または転送するコンピュータまたはコンピュータシステムまたは同様の電子計算機の動作および/または処理をコンピュータシステムのレジスタおよび/またはメモリの中で、コンピュータシステムのメモリ、レジスタまたは他のこのような情報記憶部、転送または表示装置の中で、物理的な量として同様に表される他のデータに参照する。
【0018】
本発明の実施形態は、ここでの操作を実行する装置を含んでよい。この装置は、所望の目的のために特に構成されてもよく、または、一般目的のコンピュータや、選択的に活性化されたまたはコンピュータ内に格納されたコンピュータプログラムによって再構成されたデジタルシグナルプロセッサ(「DSP」)を備えてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納してよい。例えば、限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM(登録商標))、磁気または光カード、または電子的な指示の格納に適してコンピュータシステムバスに結合可能な他の任意のタイプのメディアである。
【0019】
ここで示す処理と表示は、特定のコンピュータや他の装置に本質的に関係ない。ここでの教示に従い、種々の一般目的のシステムがプログラムとともに使用可能であり、または、所望の方法を実行するのにより特定された装置を構成することも便利であることがわかるであろう。これらの種々のシステムに対する所望の構成が以下の記述から明らかになるであろう。また、本発明の実施形態は、特定のプログラミング言語に関連して記載はしていない。ここに記載するような本発明の教示を実行するためには、種々のプログラミング言語が使用可能であることが理解されるであろう。
【0020】
本発明の意味において、好ましくは、「最適化」は、実際の関数の「最小化」と理解される。もちろん、当業者は、本発明が本質的には最小化に限定されないことを理解するであろう。最適化は、実際の関数の最大化であることもありうる。すなわち実際の関数の最大化はその反対の「最小化」と等価である。
【0021】
本発明の範囲において、前述の用語は、以下の定義に沿って理解される:
−「光学システム」(OS)は、すべてのその表面によって定義され、主に、その表面の等式の係数、ガラスの屈折率、および互いに対する相対的な各表面の位置(オフセット、回転およびチルト)によって定義される。これらの要素は、光学システム(OS)の光学システムパラメータ(OSP)に対して参照される。光学システムの表面は、通常、B−スプライン関数またはゼルニケ多項式に基づくモデルを用いることによって得られる多項式または助変数方程式に沿って表される。これらのモデルは、レンズ全体についての連続的な曲率を与える。表面は、フレネル表面または画素化表面であってもよい。表面は、いくつかの表面の関数であってよい(例えば、関数は、重みを付けた和であってよい)。材料の屈折率は、不均一であってよく、光学システム(OS)のいくつかのパラメータに依存してよい。
−「光学判定基準」は、着用者のおよび/または着用者の観察者の視覚性能に影響を与える判定基準と定義される。光学判定基準は、3つのグループに分類される:
中央視覚の度数、中央視覚の非点収差、中央視覚の高次の収差、中央視覚の鋭敏さ、中央視覚のコントラスト、中央視覚のプリズム偏差、目の偏差、中央視覚の対象視野、中央視覚の画像視野、中央視覚の倍率、または、これらの判定基準の変形物を含む中央視覚光学判定基準(CVOC)グループ、
周辺視覚の度数、周辺視覚の非点収差、周辺視覚の高次の収差、瞳領域光線偏差、周辺視覚の対象視野、周辺視覚の画像視野、周辺視覚のプリズム偏差、周辺視覚の倍率、または、これらの判定基準の変形物を含む周辺視覚光学判定基準(PVOC)グループ、
目の倍率、こめかみの移動を含む全体的光学光学判定基準(GOC)グループ。
【0022】
本発明によれば、「局所的判定基準」は、その判定基準が、少なくとも注視方向または周辺光線方向で定義された評価領域について評価されることを意味する。特に、上記中央視覚光学判定基準(CVOC)と周辺視覚光学判定基準(PVOC)とが局所的判定基準である。
【0023】
本発明によれば、「全体的判定基準」は、その全体的判定基準が、全体として光学システム(OS)を考慮して評価されることを意味する。
【0024】
本発明の範囲において、他の上述の用語は、以下の定義に沿って理解される:
−「中央視覚」(「中心視覚」とも称する)は、中心くぼみ、豊富に収集された錐体を含んでいる網膜の中心における小さい領域、の働きを記述する。中央視覚状況において、観察者は、注視方向にとどまっている対象を見、そして、観察者の中心くぼみは、対象を追って移動する。中央視覚は、人に、読む、運転する、および、細かく鋭い視覚を要する他の活動を可能にする。
−「注視方向」は、目の回転中心に中心を持つ基準軸に関して測定される2つの角度によって定義される。
−「エルゴラマ」は、注視方向の対象の点の通常の距離を連結する関数である。
−「周辺視覚」は、対象を見る能力と、直接の視線の外方移動とを記載する。周辺視覚状況では、観察者は、固定された注視方向を見て、対象が、この直接の視線からはずれて見える。対象から目へ入る光線の方向は、注視方向とは異なり、周辺光線方向である。周辺視覚は、主に、棒、網膜の中心くぼみの外側に位置する受光細胞の働きである。
−「周辺光線方向」は、目の入射瞳に中心を持つ基準軸に関して測定される2つの角度によって定義され、注視方向の軸に沿って移動する。
−「経度線」は、経度面に位置する対象を異なる距離でまっすぐ前方に見たときに、レンズの前側(対象側)表面と、着用者の平均の視線との交差によって構成される。この場合、経度は、着用者の平均の目の回転の状態点、フレームの位置、フレームが垂直な近い視覚距離との間になす角度の定義などから得られる。これらの種々のパラメータは、経度が、レンズの表面に引かれることを許可する。仏特許出願2,753,805号は、このタイプの方法の例であり、ここでは、プリズム効果同様、読み取り面の近さを考慮に入れて、経度が、光線追跡によって得られる。
−「中央視覚の度数」は、着用者へ指示された度数を考慮に入れることを意味する。各注視方向の度数のエラーを最小化するために、光学関数に関連する光学システムのパラメータが計算される。
−「中央視覚における非点収差」は、着用者に指示される非点収差と、中間的な光学システムによって生成される非点収差との間の差異を最小化するために、光学関数に関連する光学システムのパラメータが計算されることを意味し、これらの非点収差は両方とも、目の回転中心(CRE)に関連する基準軸における振幅とその軸とに関し、また、各注視方向に対しており、この差異は、残留非点収差と称される。
−「中央視覚における高次の収差」は、共通に残留度数と残留非点収差に加えて、中央視覚において着用者により観察される対象の画像の不鮮明さを修正する収差を記述する。例えば球面収差やコマ収差である。収差が参照される次数は、一般に、ゼルニケ多項式表示により表される。
【0025】
光学システムの高次の収差は、以下のパラメータによって特徴付けられる:「高次の収差RMS(2乗平均平方根)値」、「Strehl比」、「瞳比」、「変調伝達関数ボリューム」。
【0026】
「高次の収差2乗平均平方根」は通常HOA RMSと記載され、その単位は通常マイクロメートル(μm)である。
【0027】
収差がなければ、強度は、ガウス画像ポイントで最大になる。「Strehl比」は、収差を特徴付けるのに用いられる:これは、高次の収差がある場合のガウス画像ポイント(基準球の原点は、観察面での最大強度の点である)での強度の、収差がない場合に得られるであろう強度によって割った比である。
【0028】
MTFは、各空間周波数に対する光学システムにより対象から得られる画像における変調の振幅(または正弦波周期的構造のコントラスト)を表す(例えば、Handbook of lens design, Malacara D. & Malacara Z. pages 295 to 303, 1994 Marcel Dekker Inc.を参照されたい)。典型的には0と無限大との間の空間周波数範囲にわたってこの関数を積分することによって、MTFのボリュームを計算することができる。他の多くの典型的なパラメータは、「"Accuracy and precision of objective refraction from wavefront aberrations", Larry N. Thibos, Xin Hong, Arthur Bradley, Raymond A. Applegate, Journal of Vision (2004) 4, see pages 329 to 351"」に記載されている。
【0029】
高次の収差レベルが低くなるほど、HOA RMS値が低くなるが、Strehl比(最大値:1)が高くなり、MTFボリュームが高くなる。
−「中央視覚の視覚の鋭さ」は、視覚の鋭さまたは鮮明さである。これは、シンボルサイズが変動するときに、標準化された距離において白バックに黒いシンボルを確認する能力の量的測定である。視覚の鋭さは、確実に認識できる最も小さいサイズを表し、視覚関数の最も一般的な臨床的な測定である。視覚の鋭さは、FAUQUIER C., BONNIN T., MIEGE C., ROLAND E. : Influence of Combined Power Error and Astigmatism on Visual Acuity, Vision Science and its applications (VSIA), Santa Fe NM (USA), 2-7 fev. 1995に記載されているように、度数エラーまたは非点収差のような、中央視覚判定基準を考慮に入れたモデルから評価されることができる。
−「中央視覚でのコントラスト(感度)」は、輝度コントラストを検知する視覚能力であり、いわば、静止画の異なるレベルの輝度の間を識別する能力である。目のコントラスト感度の測定は、標準的な視覚の鋭さの測定よりも完全な視覚へのアセスメントである。これは、変動する空間周波数(通常は正弦波格子)のおよび変動するコントラストの対象の検知の評価を提供する。また、コントラスト感度関数(CSF)を得る。コントラスト感度はまた、Peter G.J, Barten. "Contrast Sensitivity of the HUMAN EYE and Its Effects on Image Quality". Knegsel, 1999に記載のようなモデルに沿って評価されることもできる。
−「周辺視覚の度数」は、周辺視覚に配置される対象によって光学システムによって生成される度数として定義される。
−「周辺視覚の非点収差」は、周辺視覚に配置される対象によって振幅と軸との両方に関して光学システムによって生成される非点収差として定義される。
−「眼球偏差」は、中央視覚において定義され、同じ対象にピントをとどまらせるためにレンズを追加すると、目に回転を生じさせることを記述する。その角度はプリズムのジオプトリーまたは度で測定することができる。
−「中央視覚における対象視野」は、少なくとも2つの注視方向によって決定されるレンズの角度位置を走査することで目が観察できる空間の位置による対象空間において定義される。例えば、これらの注視方向は、メガネのフレームの形状によって定義されることができ、また、良好で十分なシャープネスを有する対象空間の視覚化を妨げる収差レベルによって定義されることができる。
−「中央視覚における画像視野」は、対象空間の視野を視覚化するために目により走査される角度位置として、画像空間(目の空間)の中央視覚の決定されて固定された視野に対して定義される。
−「周辺視覚における高次の収差」は、共通に残留周辺度数と残留周辺非点収差に加えて、周辺視覚において着用者により観察される対象の画像の不鮮明さを修正する収差を記述する。例えば周辺視覚球面収差や周辺視覚コマ収差である。収差が参照される次数は、一般に、ゼルニケ多項式表示により表される。
−「瞳領域光線偏差」は、周辺視野に配置された対象から来る光線が、目の入射瞳へのその経路上にレンズを追加することによって修正されることを記載する。
−「周辺視覚対象視野」は、対象vにおいて定義される。目の入射瞳の中心からの少なくとも2本の光線により定義された周辺視覚対象(目は固定方向を見ている)で目が観察できるのは空間の一部である。例えば、これらの光線は、メガネのフレームの形状によって定義されることができ、また、良好で十分なシャープネスを有する対象空間の視覚化を妨げる収差レベルによって定義されることができる。
−「周辺視覚画像視野」は、目の周辺視覚により見られる画像空間における対応する角度位置として、決定されて固定される周辺視覚対象視野のために定義される。
−「中央視覚のプリズム偏差」は、レンズのプリズムの量によって導入された目の回転中心から発した光線の角度偏差によって、対象空間で定義される。
−「周辺視覚のプリズム偏差」は、レンズのプリズムの量によって導入された入射瞳の中心から発した光線の角度偏差である。
−「中央視覚/周辺視覚の倍率」は、レンズなしで、中央視覚/周辺視覚で見られる対象のみかけの角度サイズ(または立体角)と、レンズを通した、中央視覚/周辺視覚で見られる対象のみかけの角度サイズ(または立体角)との間の比として定義される。
−「目の倍率」は、観察者により判断される着用者の目の倍率として定義される。
−「こめかみの移動」は、観察者により判断される着用者のオフセットとして定義される。
−「評価区域」は、評価される局所的判定基準に関連する。これは、一つまたはいくつかの評価領域から構成される。評価領域は、中央視覚光学判定基準(CVCC)グループまたは幾何学的局所的判定基準グループに属する判定基準に対する一つまたはいくつかの注視方向、および、周辺視覚光学判定基準グループ(PVOC)に属する判定基準に対する一つまたはいくつかの周辺光線方向から構成される。
−「目標値」は、判定基準によって到達する値である。選択された判定基準が局所的判定基準のとき、目標値は、評価領域に関連する。選択された判定基準が全体的判定基準のとき、目標値は、全体的な光学システム(OS)に関連する。
−「停止判定基準」は、最適化アルゴリズムを停止する反復を見つけるのに用いられる。システムは「平衡」に達したといわれる。
−「コスト関数」は、全体的コスト関数(GCF)の計算に用いられる実際の関数である。
−「全体的コスト関数(GCF)」は、少なくとも一つのコスト関数という関数として定義され、中間的な光学システム(IOS)の性能のレベルを提供する。
−「分野」は、種々のパラメータの同じベクトルが定義されている判定基準のセットである。
−「平衡」は、考慮されたシステムが、特定の方法においてこれ以上最適化できない状態である。平衡の例は、Nash平衡およびStackelberg平衡である。
−特定の注視方向(α,β)においてその注視方向の成分に従って評価関数の結果評価された中央視覚判定基準の変動は、その判定基準の評価関数のその成分に関する導関数として理解される。評価関数Hを考慮して、Hのαに関する偏導関数を、
【0030】
【数2】

【0031】
のように考慮することができる。Hのβに関する偏導関数を、
【0032】
【数3】

【0033】
のように考慮することができる。判定基準の変動は、評価関数の偏導関数のαに関する成分および評価関数の偏導関数のβに関する成分として、例えば、
【0034】
【数4】

【0035】
として、評価される。
−特定の光線方向(α’,β’)においてその光線方向の成分に従って評価関数の結果評価された周辺視覚判定基準の変動は、その判定基準の評価関数のその成分に関する導関数として理解される。評価関数Hを考慮して、Hのα’に関する偏導関数を、
【0036】
【数5】

【0037】
のように考慮することができる。Hのβ’に関する偏導関数を、
【0038】
【数6】

【0039】
のように考慮することができる。判定基準の変動は、評価関数の偏導関数のα’に関する成分および評価関数の偏導関数のβ’に関する成分として、例えば、
【0040】
【数7】

【0041】
として、評価される。
【0042】
本発明の、非限定の実施形態は、以下の図面を参照してここに記載される。
【0043】
図1は、本発明に係る方法のステップのフローチャートを表す。
【0044】
図2は、レンズプラス目システムの概略図を示す。
【0045】
図3は、目の回転中心からの光線の追跡を示す。
【0046】
図4は、目の入射瞳からの光線の追跡を示す。
【0047】
図5は、周辺視覚のプリズム偏差を示す。
【0048】
図6は、眼球偏差を示す。
【0049】
図7は、瞳光線フィールド偏差を示す。
【0050】
図8は、中央視覚の対象視野を示す。
【0051】
図9は、水平な対象視野を示す。
【0052】
図10は、中央視覚の水平なプリズム偏差を示す。
【0053】
図11は、トータルの対象視野を示す。
【0054】
図12は、中央視覚の画像視野を示す。
【0055】
図13は、周辺視覚の対象視野を示す。
【0056】
図14は、周辺視覚の画像視野を示す。
【0057】
図15は、目の倍率を示す。
【0058】
図16aおよび図16bは、こめかみの移動を示す。
【0059】
図17a、図17bおよび図17cはそれぞれ、実施例1で用いられる光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールと、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0060】
図18a、図18bおよび図18cはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0061】
図19a、図19bおよび図19cはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0062】
図20a、図20bおよび図20cはそれぞれ、実施例2で用いられる光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールと、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0063】
図21a、図21bおよび図21cはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0064】
図22a、図22bおよび図22cはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0065】
図23aおよび図23bはそれぞれ、実施例3で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0066】
図24aおよび図24bはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0067】
図25aおよび図25bはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0068】
図26aおよび図26bはそれぞれ、実施例4で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0069】
図27は、従来技術の方法を用いて得られた、実施例4に沿った眼科用レンズの多焦点付加表面の高次の収差RMSプロットを表す。
【0070】
図28は、本発明の方法を用いて得られた、実施例4に沿った眼科用レンズの多焦点付加表面の高次の収差RMSプロットを表す。
【0071】
当業者は、図面の要素は簡素化および明瞭化のために記載されており、一定の比例に拡大して描かれる必要はないことを理解するであろう。例えば、図面の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるために他の要素と比べて誇張されることがある。
【0072】
図17、図20、図23および図26は、考慮された光学表面の幾何学的特徴を与える。図17a、図20aの水平軸は、遠方視覚制御点での主要な球値に関して経度線に沿って主要な球の変動を示す。x軸はジオプトリー目盛りであり、y軸値の単位はmmである。連続的な曲線は、主要な球値に対応する。破線の曲線は、最大および最小の球値に対応する。
【0073】
図17b、図20b,図23a,図26aは、主要な球の等高線プロットである。地図の垂直座標および水平座標の単位はmmである。これらの地図に示される曲線は、同じ主要な球値に対応する位置を結ぶ。曲線の各主要な球値は隣接曲線との間で0.25ジオプトリーずつ増加し、これらの曲線のいくつかのものの上に示される。
【0074】
図17c、図20c、図23b、図26bは、主要な球の等高線プロットのものと同様の座標を持った円筒等高線プロットである。示されるこれらの曲線は、同じ円筒値に対応する位置を結ぶ。
【0075】
図18、図19、図21、図22、図24および図25は、考慮されたレンズの光学分析を与える。図18a、図19a、図21aおよび図22aの図面の水平軸は、遠方視覚制御点に対応する注視方向に対して生成された光学度数値に関して経度線に沿って光学度数の変動を示す。垂直軸は目の下降角度αの値を示し、目の方向が下向きのときに正の値をとる。基準の目の方向は、ふさわしい交差ポイントとして定義される。連続的な曲線は、主要な光学度数に対応し、これは、目の方向を含む平面とこの方向の周りに回転した平面とに対する平均値として計算される。破線の曲線は、これらの平面で生成した最大および最小の光学度数値に対応する。
【0076】
図18b、図19b、図21b、図22b、図24aおよび図25aは、光学度数地図である。地図の垂直座標および水平座標は、目の下降角度αの値および目のアジマス角度βの値である。これらの地図に示される曲線は、同じ光学度数値に対応する目の方向を結ぶ。曲線の各光学度数値は隣接曲線との間で0.25ジオプトリーずつ増加し、これらの曲線のいくつかのものの上に示される。
【0077】
図18c、図19c、図21c、図22c、図24bおよび図25bは、残留非点収差等高線プロットであり、光学度数地図のものと同様の座標を有する。示された曲線は、同じ非点収差値に対応する目の方向を結ぶ。
【0078】
図1に示された本発明の実施形態によれば、メガネのレンズの光学性能を決定する方法は、
指示データ提供ステップS1と、
光学基準表面データ提供ステップS2と、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップS3と、
判定基準選択ステップS4と、
目標値定義ステップS5と、
評価ステップS6と、
修正ステップS7と、を含んでいる。
【0079】
指示データ提供ステップS1において、着用者の指示を表す指示データPDが提供される。
【0080】
光学基準表面データ提供ステップS2において、着用者の指示に適合する光学基準表面を表す表面データSDが提供される。
【0081】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップS3において、少なくとも指示データおよび表面データを用いて仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムWLESが決定される。
【0082】
本発明の実施形態によれば、決定される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムWLESは、着用者の指示の変形から発する指示データを用いて決定してもよい。このような変形の例は米国特許6,382,789号に記載されている。
【0083】
本発明の実施形態によれば、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップS3は、
目の特徴を提供するステップS31と、
メガネのレンズを提供するステップS32と、
エルゴラマを提供するステップS33と、を含んでいる。
【0084】
目の特徴を提供するステップS31において、着用者の右目および/または左目の特徴を表す目の特徴データが提供される。
【0085】
目の特徴データは、測定値、例えば、単眼の瞳孔間距離または瞳高さ、または、着用者の左目と右目の相対位置または右目および/または左目の目の回転中心(CRE)位置を含んでよい。有利には、測定値を有することによって、全体的な方法の正確さが増加する。
【0086】
目の特徴データは、着用者の左目と右目の相対位置の公知の平均値に基づいた平均値を含んでよい。
【0087】
メガネのレンズを提供するステップS32において、メガネのレンズを表すメガネのレンズデータが提供される。
【0088】
本発明の実施形態によれば、メガネのレンズデータは、メガネのレンズの取付けデータを含む。
【0089】
本発明の実施形態によれば、取付けデータは、平均の取付けデータであってよい。
【0090】
本発明の実施形態によれば、メガネのレンズデータは、右のメガネのレンズおよび左のメガネのレンズに対し、メガネのレンズの最高点距離および/または広角角度および/または全巻き角を含む。
【0091】
エルゴラマを提供するステップS33において、エルゴラマデータが提供される。エルゴラマデータは、注視方向の関数として、対象点の距離を与える視覚環境を表す。
【0092】
判定基準選択ステップS4において、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数の少なくとも一つの光学判定基準OCが選択される。
【0093】
光学判定基準は、以下のものからなる中央視覚判定基準グループにて選択されてよい:中央視覚の度数、中央視覚の非点収差、中央視覚の高次の収差、中央視覚の鋭敏さ、中央視覚のコントラスト、中央視覚のプリズム偏差、目の偏差、中央視覚の対象視野、中央視覚の画像視野、中央視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物。
【0094】
本発明の実施形態によれば、中央視覚判定基準グループは、中央視覚の度数、中央視覚の非点収差、中央視覚の高次の収差からなる。
【0095】
本発明の実施形態によれば、光学判定基準は、以下のものからなる周辺視覚判定基準グループにて選択されてよい:周辺視覚の度数、周辺視覚の非点収差、周辺視覚の高次の収差、瞳領域光線偏差、周辺視覚の対象視野、周辺視覚の画像視野、周辺視覚のプリズム偏差、周辺視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物。
【0096】
本発明の実施形態によれば、光学判定基準は、目の倍率およびこめかみの移動からなる全体的光学判定基準グループにて選択されてよい。
【0097】
目標値定義ステップS5において、選択された少なくとも一つの判定基準に対し、少なくとも一つの目標値が定義または提供される。
【0098】
評価ステップS6において、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに関連する光学関数の、選択された少なくとも一つの光学判定基準の評価値が評価される。
【0099】
本発明の実施形態によれば、各選択された判定基準に対する目標値定義ステップS5において、
その判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、一つまたはいくつかの評価領域およびその評価領域に関連する目標値のセットを含む評価区域が定義され、または、
その判定基準が全体的光学判定基準グループに属する場合は、その判定基準に関連する目標値が定義される。
【0100】
さらに、評価ステップにおいて、選択された判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、その評価領域に関連する判定基準値のセットが評価される。
【0101】
修正ステップS7において、目標値と評価判定基準との差異を最小化するために、眼科用レンズの基本曲線と異なる仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが修正される。
【0102】
本発明の実施形態によれば、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが、瞳径、瞳位置、目の回転中心位置、目の異なるジオプトリーの位置、例えば網膜、目の異なるジオプトリーの湾曲、例えば網膜、目の異なる環境のインデックスからなる目パラメータグループから選択される。
【0103】
本発明の実施形態によれば、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが、眼科用レンズの所定ポイントでの緊張、眼科用レンズのプリズム、基板のインデックスからなる眼科用レンズパラメータグループから選択される。
【0104】
本発明の実施形態によれば、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが、頂点距離、広角角度、全巻き角からなる着用パラメータグループから選択される。
【0105】
本発明の実施形態によれば、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが、各目の注視方向の関数としての距離の再区分からなる対象空間パラメータグループから選択される。
【0106】
ここでは、視覚(中央視覚または周辺視覚)状況に従った判定基準評価ステップに注目する。判定基準を計算するために、光線追跡法を用いることができる。光線追跡は、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに従った特別な特徴を有する。
【0107】
図2は、着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの一部となりうるレンズプラス目システムの概略図を示す。図2を参照して、目の位置は、目の回転中心CREと入射瞳中心点Pとによって定義できる。PSは瞳サイズである(一定の比例に拡大して図示してはいない)。CREとレンズ20との間の距離q’は、限定されないが、一般に、25.5mmに設定され、p’は、CREに関して目の入射瞳の位置を定義している。
【0108】
図3は、光線追跡によって中央視覚状況において判定基準を判断することを目的とした中央視覚のモデルを示す。中央視覚状況において、目は、その回転中心の周りに、および、入射瞳の周りに、回転する。注視方向は、CREを中心として基準軸R=(X、Y、Z)に関して測定された2つの角度(α、β)によって定義される。注視方向(α、β)の中央視覚判定基準を判断するために、注視光線1が、注視方向(α、β)に、CREから形成されている。11は、レンズ20を通った後の入射光である。
【0109】
図4は、光線追跡によって周辺視覚状況において判定基準を判断することを目的とした周辺視覚のモデルを示す。周辺視覚状況において、注視方向(α、β)(ここでは図示せず)は固定され、対象は、注視方向とは異なる周辺光線方向で見られる。周辺光線方向は、目の入射瞳を中心として基準軸R’=(X’、Y’、Z’)に関して測定された2つの角度(α’、β’)によって定義され、固定方向(α、β)にて与えられて図4の軸X’で表される注視方向軸に沿って移動する。周辺光線方向(α’、β’)の周辺視覚判定基準を判断するために、周辺光線2が、周辺光線方向(α’、β’)に、瞳Pの中心から形成されている。22は、レンズ20を通った後の入射光である。
【0110】
(中央視覚の)注視光線1または(周辺視覚の)周辺光線2に従い、光線追跡ソフトウエアが、入射光を、図3および図4の基準11および22の下で、二者択一的に計算する。そして、対象空間の光線上に対象点が選ばれ、この点から、細い光線が形成され、最終的な画像を計算する。光線追跡により、選択された判定基準を計算することができる。
【0111】
図5ないし図13は、本発明に係る判定基準の判定基準評価方法を示す。
【0112】
図5は、周辺視覚におけるプリズム偏差PDを評価する光線追跡を示す。周辺視覚におけるプリズム偏差は、入射瞳中心を中心として基準軸に関して与えられる周辺光線方向(α’、β’)に関連する周辺光線の光線追跡を通して評価され、上述したように、注視方向に沿って移動する。周辺光線方向(α’、β’)に注視方向軸X’にて入射瞳中心から発した光線2が追跡される。そして、光線2に対応する入射光22が形成される。プリズム偏差は、入射光22と、光線2の方向の瞳中心から発してレンズ20のプリズムによって逸脱しない仮想光線3との間の角度を表す。
【0113】
図6は、眼球偏差OCDを示す。これは、CREへの経路にレンズがないときに、対象10から来る第1の光線33と、レンズ20の追加によって経路が修正された同じ対象から来る第2の光線120とを示す。光線12は、レンズ20を通った後の画像空間の光線120に対応する。方向(α、β)の眼球偏差OCDは、中央視覚において評価され、以下のものの間の角度として定義される:
−レンズなしで対象を目標とする目の方向(光線33で表す)、および、
−レンズが観察者の目の前に置かれたときに同じ対象を目標とする目の方向(光線12で表す)。
【0114】
図7は、瞳光線フィールド偏差(PRFD)を示し、目の入射瞳への経路にレンズが配置されていないときの周辺視野に配置された対象10から来る第1の光線34と、レンズ20の導入により経路が修正された同じ対象から来る第2の入射光230とを示す。光線23は、画像領域において、入射光230に対応する。瞳光線フィールド偏差(PRFD)は、周辺視覚において評価され、画像空間において、以下のものの間で測定された角度として定義される:
−目の周辺視野に局在する対象から来て瞳中心に入る直線光34、および、
−レンズが着用者の目の位置に置かれたときに同じ対象から来て瞳中心に入る光23。
【0115】
図8は、平面における、CREから発した任意に選択された光線4および5に対する、中央視覚の対象視野を示す。対象視野は、目が対象空間における光線4と光線5によって決定されるレンズの角度位置を走査して観察できる空間の位置を表す。ハッチ部60は、中央視覚における対象視野を表す。
【0116】
図9は、CREから発した2つの光線41および51に対する中央視覚の視野VFの例を示す。レンズ20は、等価非点収差線201−206を有する表面として表される。光線41および51は、方向αで与えられる所定の水平軸と、2つの所定の等価非点収差線201および204との間の交点として定義される。これらの交点により、方向(α、β1)に沿った光線41と、方向(α、β2)に沿った光線51とを追跡することができる。中央視覚における対象視野VFは、プリズム偏差の関数であり、以下のように2つの光線に対して数学的に表現される:
【0117】
【数8】

【0118】
Dp_H(α、β1)は、注視方向(α、β1)における水平なプリズム偏差を示す。水平なプリズム偏差は、図8の水平面基準Pにおけるプリズム偏差の成分である。
【0119】
Dp_H(α、β2)は、注視方向(α、β2)における水平なプリズム偏差を示す。
【0120】
図10は、中央視覚の水平なプリズム偏差HPDを示す。プリズム偏差は、光線130と光線35との間の角度差として定義される。光線130は、対象空間の光線13の画像である。光線13は、図10に示すように、目の回転中心を中心として固定基準軸(X、Y、Z)における方向(α、β)に従って目の回転中心から発する。光線35は、方向(α、β)に従って目の回転中心から発する仮想光線であり、レンズのプリズムによって逸脱しない。水平なプリズム偏差HPDは、平面(XOZ)におけるプリズム偏差の成分であり、以下のように計算されうる:
【0121】
【数9】

【0122】
ここで、
【0123】
【数10】

【0124】
であり、
iniとVfinとは、二者択一的に、光線13と130の方向ベクトルである。
【0125】
図11は、メガネのフレーム形状210を表す注視方向のセットによって定義される中央視覚の対象視野の他の実施形態を示す。レンズ20は、等価非点収差線201−208を有する表面として表される。注視方向の各(αi、βi)に対し、以下のものを含む平面Piを定義する:
−注視方向(αi、βi)によって定義されるベクトル、
−注視方向(0、0)によって定義されるベクトル、および、
−目の回転中心。
(α、β)=(0、0)により与えられる注視方向に対し、Pi上に投影されるプリズム偏差は、Dp_i(0、0)と計算される。
(αi、βi)により与えられる注視方向に対し、Pi上に投影されるプリズム偏差は、Dp_i(αi、βi)と計算される。
この視野は、全体対象視野と称され、以下のように数学的に表現される:
【0126】
【数11】

【0127】
ここで、
Dp_i(αi、βi)は、平面Pi上に投影される注視方向(αi、βi)におけるプリズム偏差を表す。
【0128】
図12は、平面内であって、CREから発した2つの任意の選択光線4および5に対する中央視覚の画像視野を示す。対象視野は、目が対象空間における光線4と光線5によって決定されるレンズの角度位置を走査して観察できる空間の位置を表す。ドット部70は、ハッチ部60に表される中央視覚の視野を考慮して、中央視覚における画像視野を表す。
【0129】
図13は、平面内であって、目の入射瞳Pから発した2つの任意の選択光線6および7に対する周辺視覚の対象視野を示す。ハッチ部80は、周辺視覚における対象視野を表す。
【0130】
図14は、周辺視覚の画像視野を示す。周辺視覚80の対象視野を定義するために光線6および7が用いられ、ドット部90は、ハッチ部80に表される周辺視覚の対象視野を考慮した、周辺視覚の画像視野を示す。
【0131】
図15は、着用者の目の倍率を示す。ΩおよびΩ’はそれぞれ、レンズ20があるときおよび無いときの、着用者の目を観察者が見る、立体角である。観察者は、目が21として参照される着用者の距離dに位置し、観察者の入射瞳の中心はOPとして参照され、着用者の目21とレンズ20との間の最高点距離はq’として参照される。例えば、距離dは、例えば1メートルに等しい。
【0132】
図16aおよび図16bは、こめかみの移動TSを示す。こめかみの移動は、着用者が観察者によって見られるときにレンズ20によって誘導されるプリズム偏差によるものである。OPは、着用者の頭25を見る観察者の瞳中心点である。着用者の目は21として参照され、着用者の鼻は27として参照され、着用者のこめかみは26として参照される。着用者は、メガネのレンズを着用している。こめかみの移動は、レンズ無しで着用者のこめかみを観察者が見たときのこめかみ26から始まる光線100と、レンズを通して着用者のこめかみを観察者が見たときのこめかみ26から始まる光線101との間の角度TSとして定義される。例えば、着用者と観察者との間の距離は、1メートルに等しくすることができる。
【0133】
本発明をよりよく説明するために、コスト関数の、限定されない実施形態について述べる。
【0134】
選択された判定基準が中央視覚グループおよび周辺視覚グループに属し、コスト関数が、各選択された判定基準のコスト関数の選択された判定基準(C、…、C)のセットにわたって、和として定義可能な発明の実施形態について述べる。
【0135】
選択された判定基準C(k∈[1、…、N]、Nは1以上の整数)に対し、判定基準コスト関数を定義するために、判定基準値の表現をさらに発展させる。
【0136】
評価区域Dは、判定基準Cに関連している。評価区域は、1つまたはいくつかの評価領域D(i∈[1、…、M]、Mは判定基準に関連付けられた評価領域の数を表す1以上の整数)を含み、評価領域は、もし判定基準が中央視覚判定基準グループに属する場合は少なくとも一つの注視方向(α、β)として定義され、もし判定基準が周辺視覚判定基準グループに属する場合は少なくとも一つの周辺光線方向(α’、β’)として定義される。
【0137】
判定基準Cと評価区域Dに対し、評価関数Hは、そのパラメータvによって定義されるレンズに対する判定基準値H(D、v)を、評価領域であるDのDに関連付ける。
【0138】
目標値もまた、評価領域に関連付けられる。目標値は、いくつかの方法によって光学設計者によって決定される:
−目標値が、判定基準および、評価領域の対応するセットに対してあらかじめ決められている、データベースを用いる、
−分析的な関数を用いる。
【0139】
判定基準値と対応する目標のセットとが与えられると、判定基準のコスト関数は、以下のように数学的に定義することができる:
【0140】
【数12】

【0141】
ここで、Tは、評価領域Dに関連付けられた目標値であり、wは、所定の重みである。
【0142】
視野に関係する判定基準は、少なくとも2つの方向(周辺または注視)から計算されることに注目できる。これらの判定基準に対し、評価領域Dは、いくつかの方向から構成される(周辺視覚の視野に対する周辺光線方向または中央視覚の視野に対する注視方向)。
【0143】
そして、コスト関数は、以下のように数学的に表現される:
【0144】
【数13】

【0145】
ある実施形態では、以前に選択された判定基準(C、…、CN1)は、さらに、全体的光学判定基準グループに属する(C’、…、C’N2)判定基準を含む。
【0146】
(C’、…、C’N2)に属する判定基準C’(k∈[1、…、N]、Nは1以上の整数)に対し、H’は、パラメータvの光学システムに、単一の判定基準値を関連付ける。そのため、全体的光学判定基準グループに属する判定基準の判定基準コスト関数の数学的表現は以下の通りである:
【0147】
【数14】

【0148】
ここで、T’は、C’に関連付けられた目標値であり、w’は所定の重みである。
【0149】
そのため、選択されたすべての判定基準に関係するコスト関数は、以下のように表現される:
【0150】
【数15】

【0151】
以下の実施例を用いることで本発明をさらに説明する。
【0152】
〔実施例1〕
実施例1は、多焦点眼科用レンズの場合における本発明の方法の応用に対応する。
【0153】
図17a、図17bおよび図17cはそれぞれ、実施例1で用いられる、基本3D、追加2.5Dを有する光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールと、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0154】
着用者の指示は、遠くの視覚での度数−4Dおよび追加2.5Dである。
【0155】
光学関数の選択された判定基準は、判定基準における非点収差および判定基準における度数である。
【0156】
判定基準における非点収差については、目標値は、遠くの視点と近くの視点との間の経度線に沿って0Dに設定される。
【0157】
判定基準における度数については、目標値は、ふさわしい交差ポイントの20°上であって、遠くの視点と近くの視点との間の度数の差異2.88Dに対応する注視方向に沿って、−4Dに設定される。
【0158】
修正されうる仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータは、仮想多焦点眼科用レンズの表面の追加、仮想多焦点眼科用レンズのプリズム、広角角度、および注視方向の関数としての距離の再区分である。
【0159】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの他のパラメータは、標準値に設定される。すなわち、目の回転中心と仮想レンズとの間の距離:25.5mm、仮想眼科用レンズの基本曲線:3.6D、仮想レンズ側の緊張制約:0.3mm、および、仮想レンズの中心の緊張制約:1.9mmである。
【0160】
本発明の方法によって決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムは、仮想多焦点眼科用レンズの表面の追加:2.75D、仮想多焦点眼科用レンズのプリズム:0プリズムジオプトリー、広角角度:7.8°、および、すべての注視方向に対する無限大の対象距離を有する。
【0161】
図18a、図18bおよび図18cはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0162】
図19a、図19bおよび図19cはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0163】
図18と図19とを比較すると、本発明に係る方法を用いることによって、遠くの視点と近くの視点との間の経度に沿った非点収差が減少していることがわかる。例えば、近くの視点では、非点収差は、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの0.39Dから、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの0.08Dへと減少している。
【0164】
〔実施例2〕
実施例2は、多焦点眼科用レンズの場合における本発明の方法の応用に対応する。
【0165】
図20a、図20bおよび図20cはそれぞれ、実施例2で用いられる、基本8D、追加2Dを有する光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールと、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0166】
着用者の指示は、遠くの視覚での度数6Dおよび追加2Dである。
【0167】
光学関数の選択された判定基準は、判定基準における非点収差および判定基準における度数である。
【0168】
判定基準における非点収差については、目標値は、遠くの視点と近くの視点との間のふさわしい交差ポイントで0Dに設定される。
【0169】
判定基準における度数については、目標値は、ふさわしい交差ポイントの20°上であって、遠くの視点と近くの視点との間の度数の差異1.93Dに対応する注視方向に沿って、5.9Dに設定される。
【0170】
修正されうる仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータは、仮想多焦点眼科用レンズのプリズムおよび広角角度である。
【0171】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの他のパラメータは、標準値に設定される。すなわち、表面追加2D、目の回転中心と仮想レンズとの間の距離:25.5mm、仮想眼科用レンズの基本曲線:1.53D、仮想レンズ側の緊張制約:0.3mm、仮想レンズの中心の緊張制約:1.9mm、および、全巻き角0°である。
【0172】
本発明の方法によって決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムは、仮想多焦点眼科用レンズの表面の追加:2D、仮想多焦点眼科用レンズのプリズム:0プリズムジオプトリー、広角角度:7.8°を有する。
【0173】
図21a、図21bおよび図21cはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0174】
図22a、図22bおよび図22cはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールと、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0175】
図21と図22とを比較すると、近くの視点での非点収差は、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの0.08Dから、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの0.02Dへと減少していることがわかる。さらに、ふさわしい交差ポイントでの非点収差は、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの0.10Dから、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの0.05Dへと減少している。
【0176】
〔実施例3〕
実施例3は、多焦点眼科用レンズの場合における本発明の方法の応用に対応する。
【0177】
図23aおよび図23bはそれぞれ、実施例3で用いられる、基本5.5D、追加2.5Dを有する光学基準表面の、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0178】
着用者の指示は、遠くの視点での度数2.5Dおよび追加2.5Dである。
【0179】
光学関数の選択された判定基準は、判定基準における非点収差および判定基準における度数である。
【0180】
判定基準における非点収差については、目標値は、40°の角度に対応する目の下降での非点収差の1Dに対応する等価非点収差線の間で29.5°の角度を持つように設定される。判定基準における度数については、目標値は、40°の角度に対応する目の下降での5Dである近くの視点での度数に対応する等価度数線の間で17.5°の角度を持つように設定される。
【0181】
修正されうる仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータは、追加、仮想多焦点眼科用レンズのプリズム、広角角度、および注視方向の関数としての距離の再区分である。
【0182】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの他のパラメータは、標準値に設定される。すなわち、目の回転中心と仮想レンズとの間の距離:25.5mm、仮想レンズの基本曲線:6.25D、仮想レンズ側の緊張制約:0.3mm、仮想レンズの中心の緊張制約:1.9mm、および、全巻き角0°である。
【0183】
本発明の方法によって決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムは、仮想多焦点眼科用レンズの表面の追加:2.55D、仮想多焦点眼科用レンズのプリズム:0プリズムジオプトリー、広角角度:10°、および、すべての注視方向に対する無限大の対象距離を有する。
【0184】
図24aおよび図24bはそれぞれ、従来技術の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0185】
図25aおよび図25bはそれぞれ、本発明の方法を用いて得られた累進多焦点レンズの、度数等高線プロットと、非点収差等高線プロットとを表す。
【0186】
図24aと図25aとを比較すると、40°の角度に対応する注視方向での5Dに対応する等価度数線20の幅が、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの11°から、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの17.5°へと移動していることがわかる。
【0187】
さらに、図24bと図25bとを比較すると、40°の角度に対応する注視方向での非点収差の1Dに対応する等価非点収差線22の幅が、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの29.5°から、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの29.5°へと、変化がないことがわかる。
【0188】
〔実施例4〕
実施例4は、多焦点眼科用レンズの場合における本発明の方法の応用に対応する。
【0189】
図26aおよび図26bはそれぞれ、実施例4で用いられる、基本4D、追加2.5Dを有する光学基準表面の、球等高線プロットと、円筒等高線プロットとを表す。
【0190】
着用者の指示は、遠くの視点での度数0Dおよび追加2.5Dである。高次収差における目標値は、1.5倍の減少された高次収差の2乗平均平方根RMSの最大値を持つように設定される。
【0191】
修正されうる仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータは、着用者の瞳径である。
【0192】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの他のパラメータは、標準値に設定される。すなわち、目の回転中心と仮想レンズとの間の距離:25.5mm、仮想レンズの基本曲線:6.25D、仮想レンズ側の緊張制約:0.3mm、仮想レンズの中心の緊張制約:1.9mm、および、全巻き角0°である。
【0193】
本発明の方法によって決定される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムは、6mmに設定された瞳径を有する。
【0194】
図27は、本発明の方法を用いないで得られた眼科用レンズの等価高次収差RMSを表す。
【0195】
図28は、本発明の方法によって決定される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムに基づいた最適化方法を用いた後に得られた眼科用レンズの等価高次収差RMSを表す。
【0196】
図27と図28とを比較すると、等価高次収差30の最大値が、従来技術の方法を用いて得られた眼科用レンズの2.4μmから、本発明に係る方法を用いて得られた眼科用レンズの1.3μmへと減少していることがわかる。
【0197】
本発明は、実施形態の補助を用いて、一般的な発明概念を限定することなく、上述された。特に、本発明は、最適化によって仮想光学システムを計算する方法を提供し、この光学システムは全種類の光学レンズであり、特に、眼科用レンズ、例えば、単一視覚(球、円環)、二焦点、多焦点、非球面レンズ(など)である。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明に係る方法のステップのフローチャートを表す。
【図2】レンズプラス目システムの概略図を示す。
【図3】目の回転中心からの光線の追跡を示す。
【図4】目の入射瞳からの光線の追跡を示す。
【図5】周辺視覚のプリズム偏差を示す。
【図6】眼球偏差を示す。
【図7】瞳光線フィールド偏差を示す。
【図8】中央視覚の対象視野を示す。
【図9】水平な対象視野を示す。
【図10】中央視覚の水平なプリズム偏差を示す。
【図11】トータルの対象視野を示す。
【図12】中央視覚の画像視野を示す。
【図13】周辺視覚の対象視野を示す。
【図14】周辺視覚の画像視野を示す。
【図15】目の倍率を示す。
【図16a】こめかみの移動を示す。
【図16b】こめかみの移動を示す。
【図17a】実施例1で用いられる光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールを表す。
【図17b】実施例1で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットを表す。
【図17c】実施例1で用いられる光学基準表面の、円筒等高線プロットを表す。
【図18a】従来技術の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールを表す。
【図18b】従来技術の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図18c】従来技術の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズ、の非点収差等高線プロットを表す。
【図19a】本発明の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールを表す。
【図19b】本発明の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図19c】本発明の方法を用いて得られた、実施例1に沿った累進多焦点レンズの、非点収差等高線プロットを表す。
【図20a】実施例2で用いられる光学基準表面の、経度線に沿った球プロフィールを表す。
【図20b】実施例2で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットを表す。
【図20c】実施例2で用いられる光学基準表面の、円筒等高線プロットを表す。
【図21a】従来技術の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールを表す。
【図21b】従来技術の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図21c】従来技術の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、非点収差等高線プロットを表す。
【図22a】本発明の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、経度線に沿った度数プロフィールを表す。
【図22b】本発明の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図22c】本発明の方法を用いて得られた、実施例2に沿った累進多焦点レンズの、非点収差等高線プロットを表す。
【図23a】実施例3で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットを表す。
【図23b】実施例3で用いられる光学基準表面の、円筒等高線プロットを表す。
【図24a】従来技術の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図24b】従来技術の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、非点収差等高線プロットを表す。
【図25a】本発明の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、度数等高線プロットを表す。
【図25b】本発明の方法を用いて得られた、実施例3に沿った累進多焦点レンズの、非点収差等高線プロットを表す。
【図26a】実施例4で用いられる光学基準表面の、球等高線プロットを表す。
【図26b】実施例4で用いられる光学基準表面の、円筒等高線プロットを表す。
【図27】従来技術の方法を用いて得られた、実施例4に沿った眼科用レンズの多焦点付加表面の高次の収差RMSプロットを表す。
【図28】本発明の方法を用いて得られた、実施例4に沿った眼科用レンズの多焦点付加表面の高次の収差RMSプロットを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の着用者のための眼科用レンズの光学関数に関連する仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムを決定するために計算手段により実行される方法であって、
着用者の指示を表す指示データ(PD)が提供される指示データ提供ステップS1と、
着用者の指示に対応する光学基準表面を表す表面データ(SD)が提供される光学基準表面データ提供ステップS2と、
上記指示データおよび上記表面データを用いて仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム(WLES)が決定される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム決定ステップS3と、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム(WLES)に関連する上記光学関数の少なくとも一つの光学判定基準が選択される判定基準選択ステップS4と、
選択された少なくとも一つの上記光学判定基準に対し、その光学判定基準に関連する目標値が定義される目標値定義ステップS5と、
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステム(WLES)に関連する上記光学関数の、選択された少なくとも一つの上記光学判定基準の評価値が評価される評価ステップS6と、
上記目標値と評価判定基準値との差を最小化するために、眼科用レンズの基本曲線と異なる、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つのパラメータが修正される修正ステップS7と、を含み、
上記修正ステップS7において、着用者の指示に対応する上記光学基準表面を表す上記表面データ(SD)が不変であることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも一つの上記光学判定基準が、
中央視覚の度数、中央視覚の非点収差、中央視覚の高次の収差、中央視覚の鋭敏さ、中央視覚のコントラスト、中央視覚のプリズム偏差、目の偏差、中央視覚の対象視野、中央視覚の画像視野、中央視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物からなる中央視覚判定基準(CVOC)グループ、
周辺視覚の度数、周辺視覚の非点収差、周辺視覚の高次の収差、瞳領域光線偏差、周辺視覚の対象視野、周辺視覚の画像視野、周辺視覚のプリズム偏差、周辺視覚の倍率、および、これらの判定基準の変形物からなる周辺視覚判定基準(PVOC)グループ、
目の倍率およびこめかみの移動からなる全体的光学判定基準(GOC)グループ、からなる3つの判定基準グループのうちの一つまたはいくつかから選択され、
選択された各判定基準に対する上記目標値定義ステップにおいて、
その判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、一つまたはいくつかの評価領域およびその評価領域に関連する目標値のセットを含む評価区域が定義され、または、
その判定基準が全体的光学判定基準グループに属する場合は、その判定基準に関連する目標値が定義され、
さらに、上記評価ステップにおいて、
選択された判定基準が中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する場合は、その評価領域に関連する判定基準値のセットが評価されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記修正ステップにおいて、停止判定基準が満足されるまで上記評価ステップを繰り返すことによって、上記目標値を考慮したコスト関数を最小化するために、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つの上記パラメータが修正されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
コスト関数が、
中央視覚判定基準グループおよび周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対し、評価領域に関連する判定基準値と評価領域に関連する目標値との差の2乗の、評価領域全体の和、および、
全体的光学判定基準グループに属する判定基準に対し、判定基準値と目標値との差の2乗の、
選択された判定基準全体の和であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
コスト関数Jが、式
【数1】

に従って数学的に表現され、
ここで、
kおよびiは整数の変数であり、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、中央視覚判定基準グループおよび周辺視覚判定基準グループに属する選択された判定基準の数を表し、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、全体的光学判定基準グループに属する選択された判定基準の数を表し、
は、1に等しいかそれより大きい整数であり、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対する評価領域の数を表し、
vは、仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムのパラメータを定義し、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準と、インデックスiの評価領域とに関連する重みであり、
w’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に関連する重みであり、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に関連する評価区域のインデックスiの評価領域であり、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準に対する判定基準値と、評価領域Dと、そのパラメータvによって定義される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムとを関連付け、
H’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に対する判定基準値と、そのパラメータvによって定義される仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムとを関連付け、
は、インデックスkの中央視覚判定基準グループまたは周辺視覚判定基準グループに属する判定基準の、評価領域Dに関連する目標値のセットのインデックスiの目標値であり、
T’は、インデックスkの全体的光学判定基準グループに属する判定基準に関連する目標値であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムの少なくとも一つの上記パラメータが、
瞳径、瞳位置、目の回転中心位置、目の異なるジオプトリーの位置、例えば網膜、目の異なるジオプトリーの湾曲、例えば網膜、目の異なる環境のインデックスからなる目パラメータグループ、
眼科用レンズの所定ポイントでの緊張、眼科用レンズのプリズム、基板のインデックスからなる眼科用レンズパラメータグループ、
頂点距離、広角角度、全巻き角からなる着用パラメータグループ、および、
各目の注視方向の関数としての距離の再区分からなる対象空間パラメータグループ、
からなる4つのパラメータグループの一つまたはいくつかの間から選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記眼科用レンズが多焦点眼科用レンズであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記眼科用レンズのパラメータグループが、さらに、多焦点眼科用レンズの異なる表面の追加を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
選択された判定基準が、中央視覚判定基準グループに属し、関連する評価領域が、少なくとも一つの注視方向を含み、この方向が、目の回転中心と関連する基準軸に関して考慮され、判定基準評価に対する目の回転中心からの光線の追跡を実行するのに用いられることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
選択された判定基準が、周辺視覚判定基準グループに属し、関連する評価領域が、少なくとも一つの周辺光線方向を含み、この方向が、決定された注視方向に沿って移動する入射瞳中心と関連する基準軸に関して考慮され、判定基準評価に対する入射瞳中心からの光線の追跡を実行するのに用いられることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
眼科用レンズの計算方法であって、上記眼科用レンズが、光学関数によって特定され、少なくとも2つの光学表面が、第1の等式によって定義される第1の光学表面と、第2の等式によって定義される第2の光学表面とを含み、
上記光学関数が、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法によって決定された仮想着用者眼科用レンズエルゴラマシステムから決定される、光学関数決定ステップと、
上記第2の等式が、上記光学関数および上記第1の等式から計算される計算ステップとを含んでいることを特徴とする眼科用レンズの計算方法。
【請求項12】
眼科用レンズの製造方法であって、上記眼科用レンズが、光学関数によって特定され、少なくとも2つの光学表面が、第1の等式によって定義される第1の光学表面と、第2の等式によって定義される第2の光学表面とを含み、
上記第2の等式が、上記光学関数および上記第1の等式から計算される、請求項11に記載の計算方法による計算ステップと、
上記第1の光学表面を有する、半分完成した眼科用レンズが提供される、半分完成眼科用レンズ提供ステップと、
半分完成した眼科用レンズが機械加工され、さらに、上記第2の等式によって定義される上記第2の光学表面を提供されて、眼科用レンズが得られる機械加工ステップとを含んでいることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
プロセッサにアクセス可能な、1つまたはそれより多い格納された一連の指示を含み、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、請求項1ないし12のいずれか1項の方法のステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品の1つまたはそれより多い一連の指示を実行することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図21a】
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【図21b】
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【図21c】
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【図22a】
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【図22b】
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【図22c】
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【図23a】
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【図23b】
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【図24a】
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【図24b】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2013−507649(P2013−507649A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532596(P2012−532596)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065025
【国際公開番号】WO2011/042504
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(507229319)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック) (37)
【Fターム(参考)】