説明

光海底伝送システム

【課題】光海底伝送システムにおいて、ビーチマンホールと陸上端局の間の陸上部の回線を冗長構成にすること。
【解決手段】陸上部に主回線ケーブル25と予備回線ケーブル29を異なる経路で敷設する。陸上端局A21には、主回線ケーブル25の破断を検出する破断検出手段31と、陸上部の伝送経路を予備回線ケーブル29に切り替える経路切替手段32を設ける。破断検出手段31は、海中部のケーブル27から送られてくる主信号の受光レベルに基づいて、あるいは、破断検出手段31から監視信号を出力し、ビーチマンホール23で反射されて戻ってくる監視信号の受光レベルに基づいて、ケーブルの破断を検出する。ビーチマンホール23には、主回線ケーブル25と予備回線ケーブル29とで主信号の合分岐を行う光カプラや、監視信号を破断検出手段31へ戻すためのファイバグレーティングや光方向器などの小型受動部品が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光海底伝送システムに関し、特に陸上端局とビーチマンホールの間の陸上区間の回線を冗長構成とした光海底伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。図9に示すように、光海底伝送システムでは、陸上端局1,2とビーチマンホール3,4の間の陸上部に敷設されたケーブル5,6は、ビーチマンホール3,4において、海中部に敷設されたケーブル7に接続される。図9において、ビーチマンホール3,4内の黒丸は、ケーブルの接続点を表す。また、海中部のケーブル7の途中に設けられているのは、中継器8である。なお、図9では、陸上端局A1から陸上端局B2へ信号を送るファイバと、陸上端局B2から陸上端局A1へ信号を送るファイバを1本のケーブルで表している。
【0003】
従来の光海底伝送システムでは、通常使用される回線(以下、主回線とする)の他に予備の回線(以下、予備回線とする)を敷設し、主回線に障害が発生したときに予備回線に切り替えるという冗長構成になっていない。主回線に障害が発生しても滞りなく信号の送受を行えるようにするには、回線を冗長構成にするのが望ましい。
【0004】
また、近年、光アンプ技術の向上により、陸上端局の高出力化が可能となり、陸上部の距離を長くすることができるようになってきている。しかし、陸上部の距離を長くすると、その長くした分、工事等の外的要因により、陸上部のケーブルに障害が発生しやすくなる。このような点からも、回線の冗長化が望まれる。
【0005】
ところで、制御局から基地局への1つの下り回線のみ光送信部と光受信部とその間を結ぶ光ファイバからなる予備光伝送路を準備し、各セクタのうちいずれか1つの光伝送路が故障した際に、自動的に予備光伝送路へ切り替えを行い、光伝送路を救済する光伝送系の自動切替方式が公知である(例えば、特許文献1参照。)。また、現用/予備の光送信部の選択、および現用/予備の光受信部の選択を行う第1の光スイッチ手段と、一方が第1の光スイッチ手段に接続され、他方が光分岐手段を介して第1乃至第4の光伝送路に接続され、通常は第1および第2の光伝送路を使用し、いずれか一方の光伝送路の断時には他方の光伝送路と第3の光伝送路を使用し、第1及び第2の光伝送路のうちのいずれか一方と第3の光伝送路がともに断時には他方の光伝送路と第4の光伝送路を使用して光信号の送受を行うように切替えを行う第2の光スイッチ手段と、前記光分岐手段とを設けた構成の光伝送システムにおける二重障害発生時の救済方式が公知である(例えば、特許文献2参照。)。さらに、複数の加入者装置それぞれに、現用系および予備系の伝送路障害監視部と、加入者装置スターカプラとを備え、現用系および予備系伝送路毎に波長の異なる光信号を受信して障害を検出する光伝送方式が公知である(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−206893号公報
【特許文献2】特開平5−316043号公報
【特許文献3】特開平7−336296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光海底伝送システムにおいて回線を冗長化する方法を図10に示す。図10は、全二重化した光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。図10に示すように、陸上部だけでなく、海中部も含めて、主回線のケーブル(以下、主回線ケーブルとする)5,6,7の他に予備回線のケーブル(以下、予備回線ケーブルとする)9,10,11を敷設し、陸上端局A1と陸上端局B2の間の回線全体を二重化することが考えられる。しかし、この場合には、海中に沈める予備のケーブル11や中継器12が必要になり、また、これらを海中に沈めて敷設する工事にも莫大な費用がかかるため、経済的に問題がある。そこで、ビーチマンホールと陸上端局の間に主回線ケーブルと予備回線ケーブルを敷設することによって、陸上部の回線のみを二重化することが考えられる。その場合、ビーチマンホールと陸上端局のそれぞれに、主回線から予備回線に切り替えるための光スイッチなどが必要になる。
【0008】
しかし、ビーチマンホールの内部は狭く、また、ビーチマンホールには商用電源が供給されていない。そのため、ビーチマンホール内に光スイッチ等の能動部品を設置することができず、ビーチマンホールと陸上端局の間の陸上部の回線を冗長構成にすることができないという問題点がある。なお、図10では、主回線と予備回線のそれぞれについて、陸上端局A1から陸上端局B2へ信号を送るファイバと、陸上端局B2から陸上端局A1へ信号を送るファイバを合わせて1本のケーブルで表している。前記特許文献1〜3に開示された各種方式では、上述したような光海底伝送システムに特有の制限が考慮されていない。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ビーチマンホールと陸上端局の間の陸上部の回線を冗長構成にした光海底伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる光海底伝送システムの一つの実施態様では、図1にその概略構成を示す。図1は、本発明にかかる光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。図1に示すように、陸上端局A21とビーチマンホール23の間の陸上部に、主回線ケーブル25と、予備回線ケーブル29が異なる経路で敷設される。同様に、陸上端局B22とビーチマンホール24の間の陸上部に、主回線ケーブル26と、予備回線ケーブル30が異なる経路で敷設される。ビーチマンホール23,24間の海中部には、ケーブル27と中継器28が敷設され、予備回線ケーブルと中継器は敷設されない。
【0011】
陸上端局A21には、破断検出手段31と経路切替手段32が設けられている。破断検出手段31は、陸上端局A21側の陸上部に敷設された主回線ケーブル25の破断を検出する。破断検出手段31は、予備回線ケーブル29の破断も検出するようにしてもよい。ケーブルの破断を検出するにあたっては、海中部のケーブル27から送られてくる主信号の受光レベルを閾値と比較することにより、破断を検出するようにしてもよい。あるいは、陸上端局A21から主信号とは波長の異なる監視信号をビーチマンホール23へ向けて出力し、ビーチマンホール23で反射されて戻ってくる監視信号の受光レベルを閾値と比較することにより、ケーブルの破断を検出してもよい。
【0012】
経路切替手段32は、破断検出手段31が主回線ケーブル25の破断を検出したときに、陸上端局A21とビーチマンホール23の間の光伝送経路を予備回線ケーブル29に切り替える。陸上端局B22についても同様であり、陸上端局B22は、陸上端局B22側のケーブル26,30の破断を検出する破断検出手段33と、主回線ケーブル26の破断時に光伝送路を予備回線ケーブル30に切り替える経路切替手段34を備えている。
【0013】
ビーチマンホール23,24には、陸上端局21,22が陸上部のケーブル25,29,26,30の破断を検出するために必要な光カプラやファイバグレーティングや光方向器などの小型受動部品が設けられる。なお、図1では、主回線ケーブル25,26,27および予備回線ケーブル29,30のそれぞれについて、陸上端局A21から陸上端局B22へ信号を送るケーブルと、陸上端局B22から陸上端局A21へ信号を送るケーブルを合わせて1本のケーブルで表している。
【0014】
この発明によれば、光海底伝送システムにおいて、陸上端局の破断検出手段により、陸上部のケーブルの破断が検出される。そして、陸上端局の経路切替手段により、光伝送経路が予備回線ケーブルに切り替えられる。ビーチマンホールには、狭い空間に設置可能な小型で、かつ電源のいらない受動部品を設けるだけで済む。従って、陸上端局のみで、陸上区間のケーブルの監視および切り替えの制御を行うことができる。また、監視信号を用いることにより、主信号に影響を与えることなく、陸上部のケーブルを監視することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる光海底伝送システムによれば、ビーチマンホールと陸上端局の間の陸上部の回線を冗長構成にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光海底伝送システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、陸上端局41とビーチマンホール42の間には、主回線ケーブルの受信側ケーブル43および送信側ケーブル44と、予備回線ケーブルの受信側ケーブル45および送信側ケーブル46が敷設される。以下、それぞれ、主受信側ケーブル43、主送信側ケーブル44、予備受信側ケーブル45および予備送信側ケーブル46とする。主回線ケーブルと予備回線ケーブルは、地理的に異なる経路で敷設される。
【0018】
海中部のケーブル(以下、海中ケーブルとする)47の受信側ケーブルは、ビーチマンホール42に設けられた第1の光カプラ(CPL1)48の入力端子に接続される。主受信側ケーブル43は、第1の光カプラ48の一方の出力端子に接続される。予備受信側ケーブル45は、第1の光カプラ48の他方の出力端子に接続される。第1の光カプラ48は、海中ケーブル47から送られてくる主信号を主受信側ケーブル43と予備受信側ケーブル45に分岐させる光分岐手段としての機能を有する。特に限定しないが、主信号の波長は、光海底伝送システムにおいて一般的に用いられる1.55μmである。
【0019】
主送信側ケーブル44は、ビーチマンホール42に設けられた第2の光カプラ(CPL2)49の一方の入力端子に接続される。予備送信側ケーブル46は、第2の光カプラ49の他方の入力端子に接続される。第2の光カプラ49の出力端子は、海中ケーブル47の送信側ケーブルに接続される。第2の光カプラ49は、主送信側ケーブル44と予備送信側ケーブル46を海中ケーブル47に結合させる光結合手段としての機能を有する。
【0020】
陸上端局41は、端局装置50、スイッチ/制御部51および給電装置(PFE)52を備えている。端局装置50は、受信器(RX)53と送信器(TX)54を有する。スイッチ/制御部51は、第3の光カプラ(CPL3)55、第1のフォトダイオード(PD1)56、第1の光減衰器(ATT1)57、第1の光スイッチ(SW1)58、第4の光カプラ(CPL4)59、第2のフォトダイオード(PD2)60、第2の光減衰器(ATT2)61、第2の光スイッチ(SW2)62、可変光減衰器(VOA)63および制御部64を有する。
【0021】
主受信側ケーブル43は、第3の光カプラ55の入力端子に接続される。第3の光カプラ55の一方の出力端子は、第1のフォトダイオード56の受光面側に接続される。第1のフォトダイオード56の出力電圧は、制御部64に供給される。第3の光カプラ55の他方の出力端子は、第1の光減衰器57を介して、第1の光スイッチ58の主ポートに接続される。この第1の光減衰器57は、主受信側ケーブル43の伝送損失と予備受信側ケーブル45の伝送損失の差を補正するために設けられる。予備受信側ケーブル45は、第4の光カプラ59の入力端子に接続される。
【0022】
第4の光カプラ59の一方の出力端子は、第2のフォトダイオード60の受光面側に接続される。第2のフォトダイオード60の出力電圧は、制御部64に供給される。第4の光カプラ59の他方の出力端子は、第1の光スイッチ58の予備ポートに接続される。第1の光スイッチ58の主ポートおよび予備ポートは、スイッチの切り替えによって、排他的に受信器53に接続される。制御部64は、第1のフォトダイオード56および第2のフォトダイオード60の出力電圧に基づいて、第1の光スイッチ58の切り替え制御を行う。
【0023】
可変光減衰器63の入力端子は、送信器54に接続される。可変光減衰器63の出力端子は、第2の光スイッチ62の主ポートまたは予備ポートに、スイッチの切り替えによって、排他的に接続される。制御部64は、第1のフォトダイオード56および第2のフォトダイオード60の出力電圧に基づいて、第2の光スイッチ62の切り替え制御と、可変光減衰器63の減衰量の制御を行う。
【0024】
主送信側ケーブル44は、第2の光減衰器61を介して、第2の光スイッチ62の主ポートに接続される。この第2の光減衰器61は、主送信側ケーブル44の伝送損失と予備送信側ケーブル46の伝送損失の差を補正するために設けられる。予備送信側ケーブル46は、第2の光スイッチ62の予備ポートに接続される。第3の光カプラ55、第1のフォトダイオード56、第4の光カプラ59、第2のフォトダイオード60および制御部64は、主受信側ケーブル43および予備受信側ケーブル45の破断を検出する破断検出手段としての機能を有する。
【0025】
また、第1の光スイッチ58、第2の光スイッチ62および制御部64は、破断検出手段が主受信側ケーブル43の破断を検出したときに、陸上部の光伝送経路を、主受信側ケーブル43および主送信側ケーブル44から予備受信側ケーブル45および予備送信側ケーブル46に切り替える経路切替手段としての機能を有する。給電装置52には、電源線65が接続される。この電源線65は、陸上部に敷設され、ビーチマンホール42において光ファイバケーブルとともに海中ケーブル47に束ねられる。
【0026】
実施の形態1の光海底伝送システムの作用について、図2〜図4を参照しながら説明する。図3は、制御部の制御内容を示すフローチャートであり、図4は、制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。主受信側ケーブル43に障害が発生していない場合には、送信器54から出力された主信号は、可変光減衰器63を通って、第2の光スイッチ62の主ポートに供給される。そして、主信号は、第2の光減衰器61および主送信側ケーブル44を通って、ビーチマンホール42の第2の光カプラ49に入力し、海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。
【0027】
一方、海中ケーブル47の受信側ケーブルから出力された主信号は、ビーチマンホール42の第1の光カプラ48において二手に分岐し、主受信側ケーブル43と予備受信側ケーブル45に入力する。主受信側ケーブル43を通る主信号は、陸上端局41の第3の光カプラ55において二手に分岐し、第1のフォトダイオード56と第1の光減衰器57に供給される。第1の光減衰器57に供給された主信号は、第1の光スイッチ58の主ポートを通り、受信器53で受信される。
【0028】
第1のフォトダイオード56は、第3の光カプラ55から供給された主信号を光電変換して電圧を生じる。制御部64は、第1のフォトダイオード56の出力電圧を、予め設定されている閾値電圧と比較する(図3のステップS1)。第1のフォトダイオード56の出力電圧が閾値電圧以上であれば(図3のステップS1:Yes)、主受信側ケーブル43は正常であるとして、制御部64は、第1のフォトダイオード56の出力電圧に基づく主受信側ケーブル43の監視を続ける。
【0029】
第1のフォトダイオード56の出力電圧が閾値電圧よりも低くなった時点で(図3のステップS1:No)、制御部64は、主受信側ケーブル43が破断したと判断して、第1の光スイッチ58と第2の光スイッチ62にスイッチ切替制御信号を出力する(図3のステップS2)。それによって、第1の光スイッチ58は、受信器53の接続先を主ポートから予備ポートに切り替える。また、第2の光スイッチ62は、可変光減衰器63を介した送信器54の接続先を主ポートから予備ポートに切り替える(図4)。図4は、実施の形態1の光海底伝送システムの制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。予備ポートに切り替える際、光サージによって受け手側の端局装置が破壊されるのを防ぐため、制御部64は、可変光減衰器63の減衰量を最大にしてから徐々に小さくしていく。
【0030】
主ポートから予備ポートに切り替えられたことによって、送信器54から出力された主信号は、予備送信側ケーブル46を通って、海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。海中ケーブル47の受信側ケーブルから出力された主信号は、予備受信側ケーブル45を通って、受信器53で受信される。その際、予備受信側ケーブル45を通る主信号は、第4の光カプラ59で分岐して第2のフォトダイオード60にも供給される。
【0031】
第2のフォトダイオード60は、その主信号を光電変換して電圧を生じる。制御部64は、第2のフォトダイオード60の出力電圧を閾値電圧と比較することによって、予備受信側ケーブル45の状態を監視する。第2のフォトダイオード60の出力電圧が閾値電圧以上であれば、予備受信側ケーブル45は正常である。制御部64は、第2のフォトダイオード60の出力電圧が閾値電圧よりも低いことを検出することによって、予備受信側ケーブル45に障害が発生したことを知ることができる。
【0032】
実施の形態1によれば、ビーチマンホール42には、小型の受動部品である光カプラ48,49を付加するだけでよいので、ビーチマンホール42が狭く、かつ商用電源がなくても、陸上端局41の側で陸上部のケーブルの破断を検出し、自動的に光伝送経路を予備回線側に切り替えることができる。従って、陸上部の回線を冗長構成にすることができる。特に、実施の形態1では、主受信側ケーブル43が単独で破断した場合と、予備受信側ケーブル45が単独で破断した場合を、検出することができる。
【0033】
さらに、送信側と受信側で同時にケーブルが破断すると仮定する場合には、主受信側ケーブル43と主送信側ケーブル44が同時に破断した場合と、予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46が同時に破断した場合を検出することができる。また、実施の形態1によれば、陸上端局41の構成、およびビーチマンホール42の構成が簡素であるので、安価に陸上部の冗長構成を実現することができる。なお、既存の光海底伝送システムに対しては、陸上部に予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46を新たに敷設し、ビーチマンホールに第1および第2の光カプラ48,49を付加し、陸上端局に第3および第4の光カプラ55,59と第1および第2のフォトダイオード56,60と第1および第2の光減衰器57,61と第1および第2の光スイッチ58,62と可変光減衰器63と制御部64を付加することにより、実施の形態1の冗長構成を実現することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。図5に示すように、実施の形態2は、主信号とは波長の異なる監視信号を用いて、主受信側ケーブル43の監視を行うものである。実施の形態2が実施の形態1と異なるのは、以下の通りである。
【0035】
陸上端局41において、送信器54と可変光減衰器63の間に波長合分波器(WDM)71が接続されている。この波長合分波器71に監視信号出力レーザダイオード(LD)72が接続されている。そして、送信器54から出力された主信号と監視信号出力レーザダイオード72から出力された監視信号が波長合分波器71において合波されて、ビーチマンホール42へ送られる。特に限定しないが、監視信号出力レーザダイオード72から出力される監視信号の波長は、例えば1.3μmである。
【0036】
また、陸上端局41において、第3の光カプラ55および第4の光カプラ59の代わりに、それぞれ第1の光分離多重器(WDMフィルタ1)73および第2の光分離多重器(WDMフィルタ2)74が設けられている。第1の光分離多重器73および第2の光分離多重器74は、それぞれ主受信側ケーブル43および予備受信側ケーブル45から送られてきた、主信号と監視信号が多重化された信号を、主信号と監視信号に分離する。
【0037】
さらに、ビーチマンホール42においては、第2の光カプラ49と海中ケーブル47の間に、光方向器75とファイバグレーティング(FG)76がこの順に接続されている。ファイバグレーティング76は、第2の光カプラ49および光方向器75を通過した、主信号と監視信号が多重化された信号のうち、監視信号を反射して光方向器75へ戻し、主信号のみを通過させて海中ケーブル47へ入力させる。
【0038】
光方向器75は、ファイバグレーティング76から戻ってきた監視信号を第1の光カプラ48へ入力させる。第1の光カプラ48に入力された監視信号は、海中ケーブル47から送られてきた主信号に合波されて陸上端局41へ送られる。その他の構成は、実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
実施の形態2の光海底伝送システムの作用について、図5および図6を参照しながら説明する。図6は、制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。主受信側ケーブル43に障害が発生していない場合には、送信器54から出力された主信号と監視信号出力レーザダイオード72から出力された監視信号を波長合分波器71で多重化した信号が、可変光減衰器63を通って、第2の光スイッチ62の主ポートに供給される。
【0040】
この多重化された信号は、第2の光減衰器61および主送信側ケーブル44を通って、ビーチマンホール42の第2の光カプラ49に入力し、光方向器75を通過してファイバグレーティング76に至る。多重化された信号のうち、主信号は、ファイバグレーティング76を通過して海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。監視信号は、ファイバグレーティング76で反射されて光方向器75に戻り、第1の光カプラ48に入力する。
【0041】
そして、第1の光カプラ48において、監視信号は、海中ケーブル47の受信側ケーブルから出力された主信号と合波され、主受信側ケーブル43および予備受信側ケーブル45を通って陸上端局41へ送られる。主受信側ケーブル43を通る信号は、陸上端局41の第1の光分離多重器73において主信号と監視信号に分離される。分離された主信号は、第1の光減衰器57および第1の光スイッチ58の主ポートを通り、受信器53で受信される。分離された監視信号は、第1のフォトダイオード56に供給される。第1のフォトダイオード56は、監視信号を光電変換して電圧を生じる。
【0042】
制御部64が、第1のフォトダイオード56の出力電圧と閾値電圧を比較して、第1および第2の光スイッチ58,62の切り替え制御と、可変光減衰器63の減衰量の制御を行うことは、実施の形態1と同様である。従って、制御部64の制御内容は、図3に示すフローチャートの通りである。また、第1および第2のフォトダイオード56,60の出力電圧の変化の様子と第1および第2の光スイッチ58,62の切り替えタイミングの関係は、図6に示す通りである。
【0043】
制御部64により、第1および第2の光スイッチ58,62のポートが主ポートから予備ポートに切り替えられたことによって、送信器54から出力された主信号と監視信号出力レーザダイオード72から出力された監視信号が波長合分波器71において多重化された信号は、予備送信側ケーブル46を通って、ビーチマンホール42へ送られる。そして、ビーチマンホール42において、多重化された信号のうち、主信号は、光方向器75とファイバグレーティング76を通って、海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。
【0044】
監視信号は、ファイバグレーティング76で反射され、光方向器75を経由して、第1の光カプラ48において海中ケーブル47から送られてきた主信号に合波され、予備受信側ケーブル45を通って、陸上端局41の第2の光分離多重器74に入力する。第2の光分離多重器74に入力した信号のうち、主信号は、受信器53で受信される。監視信号は、第2のフォトダイオード60で光電変換される。制御部64が、第2のフォトダイオード60の出力電圧に基づいて、予備受信側ケーブル45の状態を監視し、予備受信側ケーブル45に障害が発生したことを知ることは、実施の形態1と同様である。
【0045】
実施の形態2によれば、ビーチマンホール42には、小型の受動部品である光カプラ48,49と光方向器75とファイバグレーティング76を付加するだけでよい。従って、実施の形態1と同様に、陸上部の回線を冗長構成にすることができる。また、監視信号を用いることにより、主信号に影響を与えることなく、陸上部のケーブルを監視することができる。特に、実施の形態2では、主受信側ケーブル43が単独で破断した場合と、主送信側ケーブル44が単独で破断した場合と、予備受信側ケーブル45が単独で破断した場合と、主受信側ケーブル43と主送信側ケーブル44が同時に破断した場合と、予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46が同時に破断した場合を検出することができる。
【0046】
また、既存の光海底伝送システムに対して、実施の形態2の冗長構成を実現することもできる。その場合には、陸上部に予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46を新たに敷設し、ビーチマンホールに第1および第2の光カプラ48,49と光方向器75とファイバグレーティング76を付加し、陸上端局に第1および第2のフォトダイオード56,60と第1および第2の光減衰器57,61と第1および第2の光スイッチ58,62と可変光減衰器63と制御部64と波長合分波器71と監視信号出力レーザダイオード72と第1および第2の光分離多重器73,74を付加すればよい。
【0047】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、実施の形態3は、主信号とは波長が異なり、かつ互いに波長の異なる2つの監視信号を用いて、主受信側ケーブル43と予備受信側ケーブル45の監視を独立して行うものである。実施の形態3が実施の形態1と異なるのは、以下の通りである。
【0048】
陸上端局41において、第2の光減衰器61と主送信側ケーブル44の間に第1の波長合分波器(WDM1)81が接続されている。この第1の波長合分波器81に第1の監視信号出力レーザダイオード(LD)82が接続されている。そして、第2の光スイッチ62において主ポートが選択されている場合には、送信器54から出力された主信号と第1の監視信号出力レーザダイオード82から出力された第1の監視信号が第1の波長合分波器81において合波されて、ビーチマンホール42へ送られる。第2の光スイッチ62において予備ポートが選択されている場合には、第1の監視信号出力レーザダイオード82から出力された第1の監視信号は、第1の波長合分波器81を経由して、ビーチマンホール42へ送られる。特に限定しないが、第1の監視信号の波長は、例えば1.31μmである。
【0049】
また、陸上端局41において、第2の光スイッチ62の予備ポートと予備送信側ケーブル46の間に第2の波長合分波器(WDM2)83が接続されている。この第2の波長合分波器83に第2の監視信号出力レーザダイオード(LD)84が接続されている。そして、第2の光スイッチ62において主ポートが選択されている場合には、第2の監視信号出力レーザダイオード84から出力された第2の監視信号は、第2の波長合分波器83を経由して、ビーチマンホール42へ送られる。第2の光スイッチ62において予備ポートが選択されている場合には、送信器54から出力された主信号と第2の監視信号出力レーザダイオード84から出力された第2の監視信号が第2の波長合分波器83において合波されて、ビーチマンホール42へ送られる。特に限定しないが、第2の監視信号の波長は、例えば1.32μmである。
【0050】
また、陸上端局41において、第3の光カプラ55および第4の光カプラ59の代わりに、それぞれ第1の光分離多重器(WDMフィルタ1)73および第2の光分離多重器(WDMフィルタ2)74が設けられている。第1の光分離多重器73および第2の光分離多重器74は、それぞれ主受信側ケーブル43および予備受信側ケーブル45から送られてきた、主信号と第1の監視信号と第2の監視信号が多重化された信号を、主信号と、第1および第2の監視信号に分離する。
【0051】
さらに、第1の光分離多重器73と第1のフォトダイオード56の間に1.31μm光フィルタ85が接続されている。この1.31μm光フィルタ85は、波長が1.31μmである光のみを通過させる狭帯域のバンドパスフィルタである。従って、第1の光分離多重器73において主信号から分離された第1および第2の監視信号のうち、波長が1.31μmである第1の監視信号のみが1.31μm光フィルタ85を通過して、第1のフォトダイオード56で受光される。
【0052】
予備ポート側についても同様であり、第2の光分離多重器74と第2のフォトダイオード60の間に、波長が1.32μmである光のみを通過させる狭帯域のバンドパスフィルタである1.32μm光フィルタ86が接続されている。この1.32μm光フィルタ86により、第2の光分離多重器74において主信号から分離された第1および第2の監視信号のうち、波長が1.32μmである第2の監視信号のみが第2のフォトダイオード60で受光される。
【0053】
ビーチマンホール42においては、実施の形態2と同様に、光方向器75とファイバグレーティング(FG)76が設けられている。ファイバグレーティング76は、主信号と第1および第2の監視信号が多重化された信号のうち、第1の監視信号と第2の監視信号を反射して光方向器75へ戻し、主信号のみを通過させて海中ケーブル47へ入力させる。
【0054】
光方向器75は、ファイバグレーティング76から戻ってきた第1および第2の監視信号を第1の光カプラ48へ入力させる。第1の光カプラ48に入力された第1および第2の監視信号は、海中ケーブル47から送られてきた主信号に合波されて陸上端局41へ送られる。その他の構成は、実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
実施の形態3の光海底伝送システムの作用について、図7および図8を参照しながら説明する。図8は、制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。主受信側ケーブル43に障害が発生していない場合には、送信器54から出力され、可変光減衰器63と第2の光スイッチ62の主ポートを通った主信号と、第1の監視信号出力レーザダイオード82から出力された第1の監視信号が、第1の波長合分波器81において多重化される。
【0056】
この多重化された信号は、主送信側ケーブル44を通って、ビーチマンホール42の第2の光カプラ49に入力する。また、第2の監視信号出力レーザダイオード84から出力された第2の監視信号は、予備送信側ケーブル46を通って第2の光カプラ49に入力し、主信号および第1の監視信号と合波される。主信号と第1の監視信号と第2の監視信号が多重化された信号は、光方向器75を通過してファイバグレーティング76に至る。多重化された信号のうち、主信号は、ファイバグレーティング76を通過して海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。第1の監視信号と第2の監視信号は、ファイバグレーティング76で反射されて光方向器75に戻り、第1の光カプラ48に入力する。
【0057】
そして、第1の光カプラ48において、第1の監視信号と第2の監視信号は、海中ケーブル47の受信側ケーブルから出力された主信号と合波され、主受信側ケーブル43および予備受信側ケーブル45を通って陸上端局41へ送られる。主受信側ケーブル43を通る信号は、陸上端局41の第1の光分離多重器73において主信号と第1および第2の監視信号に分離される。分離された主信号は、第1の光減衰器57および第1の光スイッチ58の主ポートを通り、受信器53で受信される。分離された第1および第2の監視信号は、1.31μm光フィルタ85に入力し、第1の監視信号のみがこのフィルタを通過して第1のフォトダイオード56に供給される。第1のフォトダイオード56は、第1の監視信号を光電変換して電圧を生じる。
【0058】
制御部64が、第1のフォトダイオード56の出力電圧と閾値電圧を比較して、第1および第2の光スイッチ58,62の切り替え制御と、可変光減衰器63の減衰量の制御を行うことは、実施の形態1と同様である。従って、制御部64の制御内容は、図3に示すフローチャートの通りである。また、第1および第2のフォトダイオード56,60の出力電圧の変化の様子と第1および第2の光スイッチ58,62の切り替えタイミングの関係は、図8に示す通りである。
【0059】
制御部64により、第1および第2の光スイッチ58,62のポートが主ポートから予備ポートに切り替えられたことによって、送信器54から出力された主信号と第2の監視信号出力レーザダイオード84から出力された第2の監視信号が第2の波長合分波器83において多重化される。この多重化された信号は、予備送信側ケーブル46を通って、ビーチマンホール42の第2の光カプラ49に入力する。また、主送信側ケーブル44に障害が発生していない場合には、第1の監視信号出力レーザダイオード82から出力された第1の監視信号は、主送信側ケーブル44を通って第2の光カプラ49に入力し、主信号および第2の監視信号と合波される。
【0060】
主信号と第1の監視信号と第2の監視信号が多重化された信号は、光方向器75を通過してファイバグレーティング76に至る。多重化された信号のうち、主信号は、ファイバグレーティング76を通過して海中ケーブル47の送信側ケーブルに入力する。第1の監視信号と第2の監視信号は、ファイバグレーティング76で反射されて光方向器75に戻り、第1の光カプラ48において、海中ケーブル47の受信側ケーブルから出力された主信号と合波される。
【0061】
主信号と第1の監視信号と第2の監視信号が多重化された信号は、予備受信側ケーブル45を通って陸上端局41の第2の光分離多重器74に入力し、主信号と第1および第2の監視信号に分離される。分離された主信号は、第1の光スイッチ58の予備ポートを通り、受信器53で受信される。分離された第1および第2の監視信号は、1.32μm光フィルタ86に入力し、第2の監視信号のみがこのフィルタを通過して第2のフォトダイオード60に供給される。第2のフォトダイオード60は、第2の監視信号を光電変換して電圧を生じる。制御部64が、第2のフォトダイオード60の出力電圧に基づいて、予備受信側ケーブル45の状態を監視し、予備受信側ケーブル45に障害が発生したことを知ることは、実施の形態1と同様である。
【0062】
実施の形態3によれば、ビーチマンホール42には、小型の受動部品である光カプラ48,49と光方向器75とファイバグレーティング76を付加するだけでよい。従って、実施の形態1と同様に、陸上部の回線を冗長構成にすることができる。また、監視信号を用いることにより、主信号に影響を与えることなく、陸上部のケーブルを監視することができる。特に、実施の形態3では、主受信側ケーブル43が単独で破断した場合と、主送信側ケーブル44が単独で破断した場合と、予備受信側ケーブル45が単独で破断した場合と、予備送信側ケーブル46が単独で破断した場合と、主受信側ケーブル43と主送信側ケーブル44が同時に破断した場合と、予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46が同時に破断した場合を検出することができる。
【0063】
また、既存の光海底伝送システムに対して、実施の形態3の冗長構成を実現することもできる。その場合には、陸上部に予備受信側ケーブル45と予備送信側ケーブル46を新たに敷設し、ビーチマンホールに第1および第2の光カプラ48,49と光方向器75とファイバグレーティング76を付加し、陸上端局に第1および第2のフォトダイオード56,60と第1および第2の光減衰器57,61と第1および第2の光スイッチ58,62と可変光減衰器63と制御部64と第1および第2の光分離多重器73,74と第1および第2の波長合分波器81,83と第1および第2の監視信号出力レーザダイオード82,84と1.31μm光フィルタ85と1.32μm光フィルタ86を付加すればよい。
【0064】
(付記1)陸上端局とビーチマンホールの間の陸上部に敷設され、かつ前記ビーチマンホールにて海中部のケーブルに接続される主回線ケーブルと、
前記陸上端局と前記ビーチマンホールの間の陸上部に前記主回線ケーブルと異なる経路で敷設され、かつ前記ビーチマンホールにて前記海中部のケーブルに接続される予備回線ケーブルと、
前記陸上端局に設けられた、前記主回線ケーブルの破断を検出する破断検出手段と、
前記陸上端局に設けられた、前記破断検出手段が前記主回線ケーブルの破断を検出したときに、前記陸上端局と前記ビーチマンホールの間の光伝送経路を前記主回線ケーブルから前記予備回線ケーブルに切り替える経路切替手段と、
を備えることを特徴とする光海底伝送システム。
【0065】
(付記2)前記主回線ケーブルおよび前記予備回線ケーブルは、それぞれ前記ビーチマンホールから前記陸上端局へ主信号を伝送する受信側ケーブルと、前記陸上端局から前記ビーチマンホールへ主信号を伝送する送信側ケーブルの対で構成されていることを特徴とする付記1に記載の光海底伝送システム。
【0066】
(付記3)前記ビーチマンホールには、前記海中のケーブルから送られてくる主信号を前記主回線ケーブルの受信側ケーブルと前記予備回線ケーブルの受信側ケーブルに分岐させる光分岐手段と、前記主回線ケーブルの送信側ケーブルと前記予備回線ケーブルの送信側ケーブルを前記海中のケーブルに結合させる光結合手段が設けられていることを特徴とする付記2に記載の光海底伝送システム。
【0067】
(付記4)前記破断検出手段は、前記海中のケーブルから前記主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して送られてくる主信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする付記3に記載の光海底伝送システム。
【0068】
(付記5)前記破断検出手段は、前記海中のケーブルから前記予備回線ケーブルの受信側ケーブルを介して送られてくる主信号の受光レベルに基づいて、同予備回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする付記4に記載の光海底伝送システム。
【0069】
(付記6)前記破断検出手段は、前記主回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号とは波長の異なる監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記監視信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする付記3に記載の光海底伝送システム。
【0070】
(付記7)前記破断検出手段は、前記ビーチマンホールで反射されて前記予備回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記監視信号の受光レベルに基づいて、同予備回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする付記6に記載の光海底伝送システム。
【0071】
(付記8)前記ビーチマンホールには、主信号を通過させ、前記監視信号を反射するファイバグレーティングが設けられていることを特徴とする付記6または7に記載の光海底伝送システム。
【0072】
(付記9)前記ビーチマンホールには、前記ファイバグレーティングで反射された前記監視信号を前記光分岐手段に入力させる光方向器が設けられていることを特徴とする付記8に記載の光海底伝送システム。
【0073】
(付記10)前記破断検出手段は、前記主回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号とは波長の異なる第1の監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記第1の監視信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出するとともに、前記予備回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号および前記第1の監視信号とは波長の異なる第2の監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同予備回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記第2の監視信号の受光レベルに基づいて、同予備回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする付記3に記載の光海底伝送システム。
【0074】
(付記11)前記ビーチマンホールには、主信号を通過させ、前記第1の監視信号と前記第2の監視信号を反射するファイバグレーティングが設けられていることを特徴とする付記10に記載の光海底伝送システム。
【0075】
(付記12)前記ビーチマンホールには、前記ファイバグレーティングで反射された前記第1の監視信号および前記第2の監視信号を前記光分岐手段に入力させる光方向器が設けられていることを特徴とする付記11に記載の光海底伝送システム。
【0076】
(付記13)前記経路切替手段は、前記主回線ケーブルの受信側ケーブルおよび送信側ケーブルをそれぞれ前記予備回線ケーブルの受信側ケーブルおよび送信側ケーブルに切り替える光スイッチを有することを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の光海底伝送システム。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明は、光海底伝送システムを利用した通信技術に有用であり、特に、通信事業者間を結ぶ大容量の基幹通信回線網に適している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明にかかる光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の光海底伝送システムの制御部の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の光海底伝送システムの制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。
【図5】実施の形態2の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2の光海底伝送システムの制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。
【図7】実施の形態3の光海底伝送システムの陸上部の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態3の光海底伝送システムの制御部による光スイッチの切り替えタイミングを説明する図である。
【図9】従来の光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。
【図10】全二重化した光海底伝送システムの全体の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0079】
21,22,41 陸上端局
23,24,42 ビーチマンホール
25,26 主回線ケーブル
27,47 海中部のケーブル
29,30 予備回線ケーブル
31,33 破断検出手段
32,34 経路切替手段
43 主回線ケーブルの受信側ケーブル
44 主回線ケーブルの送信側ケーブル
45 予備回線ケーブルの受信側ケーブル
46 予備回線ケーブルの送信側ケーブル
48 光分岐手段
49 光結合手段
55 第3の光カプラ
56 第1のフォトダイオード
58 第1の光スイッチ
59 第4の光カプラ
60 第2のフォトダイオード
62 第2の光スイッチ
64 制御部
75 光方向器
76 ファイバグレーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上端局とビーチマンホールの間の陸上部に敷設され、かつ前記ビーチマンホールにて海中部のケーブルに接続される主回線ケーブルと、
前記陸上端局と前記ビーチマンホールの間の陸上部に前記主回線ケーブルと異なる経路で敷設され、かつ前記ビーチマンホールにて前記海中部のケーブルに接続される予備回線ケーブルと、
前記陸上端局に設けられた、前記主回線ケーブルの破断を検出する破断検出手段と、
前記陸上端局に設けられた、前記破断検出手段が前記主回線ケーブルの破断を検出したときに、前記陸上端局と前記ビーチマンホールの間の光伝送経路を前記主回線ケーブルから前記予備回線ケーブルに切り替える経路切替手段と、
を備えることを特徴とする光海底伝送システム。
【請求項2】
前記破断検出手段は、前記海中のケーブルから前記主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して送られてくる主信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする請求項1に記載の光海底伝送システム。
【請求項3】
前記破断検出手段は、前記主回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号とは波長の異なる監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記監視信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする請求項1に記載の光海底伝送システム。
【請求項4】
前記破断検出手段は、前記主回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号とは波長の異なる第1の監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同主回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記第1の監視信号の受光レベルに基づいて、同主回線ケーブルの破断を検出するとともに、前記予備回線ケーブルの送信側ケーブルを介して前記ビーチマンホールへ主信号および前記第1の監視信号とは波長の異なる第2の監視信号を送るとともに、前記ビーチマンホールで反射されて同予備回線ケーブルの受信側ケーブルを介して戻ってくる前記第2の監視信号の受光レベルに基づいて、同予備回線ケーブルの破断を検出することを特徴とする請求項1に記載の光海底伝送システム。
【請求項5】
前記経路切替手段は、前記主回線ケーブルの受信側ケーブルおよび送信側ケーブルをそれぞれ前記予備回線ケーブルの受信側ケーブルおよび送信側ケーブルに切り替える光スイッチを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光海底伝送システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−173943(P2007−173943A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365000(P2005−365000)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】