説明

光源装置

【課題】発光素子の発光を効率良く所定の焦点に集光させることができる光源装置を提供する。
【解決手段】円筒面21を有する反射体22と、円筒面21の延びる方向に沿って円筒面21の底部21Cに配列された複数のLED5とを備え、各LED5の発光を反射体22の円筒面21で反射させて照射するLED光源装置1において、円筒面21が照射方向に焦点Yを有する形状とされ、LED5のそれぞれを覆うように延在し、LED5の直射成分5Bを円筒面21の焦点Yに集光するロッドレンズ25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を列状に配列してなる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒面(シリンドリカル面)を有する反射体と、この円筒面の延びる方向に沿って円筒面の底部に配列された複数の発光素子の一例たるLEDを備え、各LEDの発光を反射体の円筒面で反射させてライン状の照射光を得るLED光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−186674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ライン状の照射光を集光する場合、反射体の円筒面の形状を変えて所定の焦点で集光するようにすれば良い。しかしながら、LEDの放射光には、円筒面に当たることなく放射される直射成分が含まれており、単に円筒面の形状を変えただけでは、LEDの直射成分を円筒面の焦点に集光させることができず、LEDの直射成分のエネルギーが無駄になる。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、発光素子の発光を効率良く所定の焦点に集光させることができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、円筒面を有する反射体と、前記円筒面の延びる方向に沿って前記円筒面の底部に配列された複数の発光素子とを備え、各発光素子の発光を前記反射体の円筒面で反射させて照射する光源装置において、前記円筒面が照射方向に焦点を有する形状とされ、前記発光素子のそれぞれを覆うように延在し、前記発光素子の直射成分を前記円筒面の焦点に集光するロッドレンズを備える、ことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記光源装置において、前記反射体の円筒面の両側面に縁部が差し込み固定された平板の片面に、前記ロッドレンズを形成したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記光源装置において、前記反射体を、前記円筒面の延在方向に沿って2分割して成る一方の体と、他方の体とを結合して構成し、前記一方の体、及び前記他方の体のそれぞれの円筒面には、前記平板の縁部が差し込まれる凹部を形成した、ことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記光源装置において、表面に前記発光素子が設けられた基板と、この基板の背面に直接密着して螺旋止めされる冷却モジュールとを有し、前記冷却モジュールは、前記基板の背面側に風路を形成し、当該風路の外側であって、前記冷却モジュールを前記基板に固定する螺子の内側に、前記風路の周囲を囲む溝を形成し、前記溝にパッキンを設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記光源装置において、前記反射体は、角型支持体に支持され、前記角型支持体と前記基板とを結合するL字ブラケットを備え、前記L字ブラケットは、前記円筒面の延びる方向に沿って延在し、前記L字ブラケットで前記基板を前記冷却モジュールに上方から押しつけたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、円筒面を有する反射体と、前記円筒面の延びる方向に沿って前記円筒面の底部に配列された複数の発光素子とを備え、各発光素子の発光を前記反射体の円筒面で反射させて照射する光源装置において、前記円筒面が照射方向に焦点を有する形状とされ、前記発光素子のそれぞれを覆うように延在し、前記発光素子の直射成分を前記円筒面の焦点に集光するロッドレンズを備えるため、各発光素子の発光を円筒面の焦点に集光させることができるとともに、各発光素子の直射成分をロッドレンズで前記円筒面の焦点に集光させることができ、発光素子の直射成分のエネルギーも無駄にすることなく、焦点に集光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るLED光源装置の平面、及び、正面図である。
【図2】LEDユニットの斜視図である。
【図3】LEDユニットの分解斜視図である。
【図4】LEDモジュールの分解斜視図である。
【図5】平板とロッドレンズの構造を示す斜視図である。
【図6】LED光源装置の光路を示す図である。
【図7】金属板材の平面、及び、正面図である。
【図8】別の実施形態の金属板材の平面、及び、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るLED光源装置1の平面、及び、正面を示す図である。LED光源装置1は、例えば、液晶ディスプレイの基板を張り合わせる際に、紫外線硬化樹脂などのシール材を硬化させるための紫外線を放射するためにクリーンルーム内で使用することができる。なお、図1において、正面図は、LED光源装置1の内部構造を示す透視図である。
【0013】
図1に示すように、LED光源装置1は、細長い箱型の金属製の筐体2を有し、この筐体2の上面2Aには、長手方向の細長い矩形状に開口した照射開口4が設けられている。照射開口4には、保護ガラス3が取り付けられている。保護ガラス3は、ガラスの他に、保護フィルムで構成されていても良い。LED光源装置1は、後述する多数のLED5が照射開口4に一列に連続配置されて、ライン光を照射する線状光源として構成されている。筐体2の中には、一列に配置された5個のLED5を備えるLEDユニット20が並べて複数配置されて、上記線状光源が構成されている。LED光源装置1は、例えば、この線上光源のライン光を液晶ディスプレイの横から基板の張り合わせ面に塗布されたシール材に照射することで、シール材を硬化させて、基板を張り合わせるために好適に用いることができる。
【0014】
図2はLEDユニット20の構成を示す斜視図であり、図3はLEDユニット20の分解斜視図である。
図2に示すように、LEDユニット20は、複数のLED5を有するLEDモジュール6と、これらのLED5を冷却する冷却モジュール30と、を備えている。LEDモジュール6は、矩形の金属製の基板7を備え、この基板7の表面7Aには、上記のLED5と、反射体22が設けられている。
基板7の上には、上述の通り、LED5が略等間隔で1列に並んで配置される。基板7は、図示は省略するが、アルミニウムやアルミニウム合金等の高熱伝導性材から形成されたベース金属板と、このベース金属板の面上に形成された絶縁層と、この絶縁層の上に形成された配線パターン回路と、を備える。基板7には、表面7Aから絶縁層を取り除いてベース金属板を露出させた露出面が形成され、LED5は、基板7に対してこの露出面に実装されている。
【0015】
反射体22は、円筒面(シリンドリカル面)21を有し、円筒面21の底部21Cには、5個のLED5が円筒面21の延びる方向に沿って配列されている。円筒面21は、LED5の発光を反射させて照射する照射方向に照射開口4から所定距離の焦点を有する形状に形成される。円筒面21は、装置によって要求される集光幅に応じた形状に適宜形成され、本実施形態では、円筒面21は、断面楕円面の反射面を有する楕円反射鏡である。
LED5の上方には、LED5のそれぞれを覆うように円筒面21の延びる方向に沿って延在する円筒面平凸レンズのロッドレンズ25が凸側をLED5に対向させて備えられる。反射体22には、基板7と略水平に平板26が架け渡されており、平板26には、詳細については後述するが、ロッドレンズ25が一体に設けられている。ロッドレンズ25は、LED5の直射成分5Bを円筒面21の焦点Yに集光するように形成される。
【0016】
冷却モジュール30は、LEDモジュール6に螺子で止められており、基板7の背面に直接密着させて固定されている。LEDモジュール6、及び、冷却モジュール30は、角型支持体23に支持されている。基板7は、反射体22の円筒面21の延びる方向に沿って延在するL字ブラケット24で、この角型支持体23に結合される。L字ブラケット24は、延在方向に沿って設けられた板状部材43によって角型支持体23に対して押し付けられるようにして、不図示の螺子で固定される。また、L字ブラケット24は、基板7の表面7Aに当接される押付部材41を一体に備え、この押付部材41には、図示は省略するが、円筒面21の延在方向に所定間隔で設けられた複数の螺子孔42が形成される。L字ブラケット24は、この螺子孔42を介して挿入される螺子で基板7を冷却モジュール30に対して押し付けられるように固定する。
【0017】
角型支持体23の下部には、L字状のブラケット29が接続される。ブラケット29は、LEDユニット20を筐体2に固定するために設けられるとともに、筐体2と、LEDユニット20との間に、後述する高圧のエアーが流通するチューブが通される空間Rを形成する。
【0018】
またLEDユニット20は、発光量をフィードバック制御することで光出力を一定にするように構成されており、LED5が放射する光を受光する光受光素子50と、光受光素子50の受光量に基づき各LED5の光出力をフィードバック制御する回路基板51とを備えている。
光受光素子50は、LEDユニット20の長手方向、すなわち、LED5の配列方向の略中央であって、反射体22の円筒面21の出射端52を切欠いた切欠部53に配設されている。光受光素子50は、切欠部53から反射体22に入り込んだ位置に突出した位置に固定され、各LED5の光を受光する。
回路基板51は、ブラケット29に支持されて角型支持体23の下方に配設される。この回路基板51には、LED5に流す駆動電流を光受光素子50の受光量に基づいて可変することでLEDユニット20の光出力を一定に維持するフィードバック回路が設けられている。
このLED光源装置1においては、各LEDユニット20の回路基板51に光量(輝度)の指示が入力され、各LEDユニット20が指示された光量を維持するように独立してフィードバック制御する。このとき、各LEDユニット20にあっては、隣接するLEDユニット20の光量も光受光素子50で受光され、この隣接するLEDユニット20からの光量を含んだ受光量に基づいて、当該受光量が一定となるようにフィードバック制御が行われる。したがって、LED5の寿命等により、あるLEDユニット20が減光した場合には、この減光による光量低下を補うように、隣接するLEDユニット20においてフィードバック制御が行われる。これにより、あるLEDユニット20が減光状態となった場合でも、LED光源装置1の光量は一定に維持されることから、均一な照度が必要な用途に使用したときでも、減光したLEDユニット20を直ぐに交換等せず、そのまま継続してLED光源装置1を使用できる。
【0019】
図4は、LEDモジュール6の分解斜視図である。反射体22は、図4に示すように、円筒面21の延在方向にそって底部21Cで2分割して成る、一方の体22Aと、他方の体22Bとを結合して構成されている。一方の体22A、及び、他方の体22Bは、それぞれアルミニウム材から構成される。各一方の体22A、他方の体22Bには、切削加工によって長手方向に沿って面21A、面21Bが形成され、面21Aと面21Bを結合して円筒面21が形成される。各一方の体22A、他方の体22Bには、円筒面21の両側面の略同じ位置に円筒面21の延びる方向に沿って横長に形成された凹部28が所定間隔で1列に並べて複数設けられている。平板26の縁部27には、凹部28に対応する位置に凸部27Aが形成される。
【0020】
LEDモジュール6の組み立て時で、一方の体22Aと他方の体22Bを組み合わせて反射体22を製作する際に、各凹部28には、平板26の縁部27に形成された凸部27Aが差し込み固定されて、反射体22に、平板26が一体に取り付けられる。ところで、ロッドレンズ25は、LED5からの距離によってロッドレンズ25を通過した光が集光させる位置が変わってくるため、LED5の直射成分5Bを円筒面21の焦点Yに集光させるためには、ロッドレンズ25の位置決めが重要である。本構成によれば、平板26は、円筒面21に対して、ロッドレンズ25をLED5から所定の距離に配置するように幅が設定され、平板26は、ロッドレンズ25の位置決めも兼ねた幅に形成されている。凹部28は、所定の幅に形成された平板26が、底部21Cに対して平行に面21A,21B間に架け渡される位置に予め設けられる。これにより、反射体22を円筒面21の延びる方向に沿って2分割して形成すると共に、反射体22の組み立て時に、予め反射体22に形成された凹部28に平板26の凸部27Aを嵌合させて、ロッドレンズ25を狙った位置に容易に取り付けることができる。また、各一方の体22A、他方の体22Bの底部21Cには、略等間隔で1列に並んで形成された切欠き22Cが設けられ、この切欠き22Cを介してLED5が基板7に実装される。
【0021】
図5は、平板26とロッドレンズ25の構成を示す図である。平板26とロッドレンズ25とは、同じ材料(合成石英)から形成され、平板26とロッドレンズ25の接合面において急激な屈折率の変化が生じないように構成されている。
平板26とロッドレンズ25とは、図5(A)に示すように、一枚の平板26の片面に、円筒面平凸レンズのロッドレンズ25を、ロッドレンズ25の平面側を平板26に当接させて、接着によって固定して一体に設けられる。平板26の両端部には、平板26の裏面に微細なスリット26Aが形成される。このスリット26A内には、平板26、及び、ロッドレンズ25と屈折率が略同じ接着材が流し込まれ、この接着材によってロッドレンズ25は、平板26に接着される。接着材には、例えばエポキシ系の樹脂等を用い得ることができる。
この構成によれば、円筒面平凸レンズのロッドレンズ25を、ロッドレンズ25の平面側を平板26に接着して取り付けるため、平面同士を接着させることができ、ロッドレンズ25の取付を容易に行うことができる。また、この構成によれば、ロッドレンズ25と、平板26と、の接着材が付着する範囲を平板26の両端部に形成されたスリット26Aの限られた範囲に限定することができ、このスリット26Aに流し込んだ接着材で、平板26と、ロッドレンズ25とを接着させることができる。これにより、接着材による、ロッドレンズ25の屈折率への影響を最小限にすることができる。
【0022】
或いは、平板26と、ロッドレンズ25とは、図5(B)に示すように、一枚の合成石英などの材料から一体に形成される構成であっても良い。この構成によれば、平板26とロッドレンズ25とを接着する必要がなく、組み立て作業性を向上することができるとともに、平板26とロッドレンズ25との接着面での屈折率の変化による影響を低減させることができる。
【0023】
図6は、LED光源装置1の光路を示す図である。図6に示すように、各LED5の発光は、反射体22の円筒面21に当たる反射成分5Aと、直射成分5Bと、を含む。反射成分5Aは、円筒面21で反射されて、照射開口4から保護ガラス3を介してLED5の照射方向の焦点Yに照射される。円筒面21は、焦点Yが、保護ガラス3からの距離Xが予め設定された所定の距離となるようなに形成されている。
また、各LED5の発光には、円筒面21に当たることなく放射される直射成分5Bが含まれる。このLED5の直射成分5Bは、ロッドレンズ25を通って屈折し、円筒面21の焦点Yに集光される。
【0024】
この構成によれば、円筒面21を有する反射体22と、円筒面21の延びる方向に沿って円筒面21の底部21Cに配列された複数のLED5と、を備え、各LED5の発光を反射体22の円筒面21で反射させて照射するLED光源装置1において、LED5の発光を照射方向の円筒面21の焦点Yにライン上に集光することができると共に、LED5の直射成分5Bをロッドレンズ25で円筒面21の焦点Yに集光させることができるため、LED5の発光を直射成分5Bのエネルギーを無駄にすることなく焦点Yに集めることができる。
【0025】
つまり、LED光源装置1は、並べて配置したLEDユニット20の数に応じて、長く、且つ、幅の狭い照射エリアにライン状にエネルギーを収集させることができる。そのため、近年の大型化されている液晶ディスプレイの基板の張り合わせに用いる場合には、液晶ディスプレイのサイズに応じて紫外線領域で発光するLED5を備えるLEDユニット20を並べて複数配置することで、狙った焦点Yに対して、LED5の直射成分5Bを無駄にすることなく、狭い幅でライン状に紫外線のエネルギーを収集させることができ、効率よくシール材を硬化させることができる。
【0026】
次に、冷却モジュール30について詳述する。図2に示すように、冷却モジュール30は、金属板材31を備える。金属板材31には、L字状の管継手35が取り付けられている。
図7は、金属板材31の構造を示す図である。金属板材31には、基板7と密着する表面31Aに、溝32が形成されている。つまり、金属板材31の表面31AにLEDモジュール6の底面を密接させることで、金属板材31が、基板7の背面に直接当接し、溝32が、基板7の背面に沿って風路32Aを形成する。つまり、風路32Aを流れる空気が直接、高熱伝導性の金属で形成された基板7に当たるため、風路32Aを流れる空気によって基板7を効率よく冷却することができる。
溝32は、風路32A内を流れる空気の流れ方向が突然変わる部分が無いように、空気の流れ方向が変わる部分をRで連続させて形成されている。この構成によれば、風路32A内を流れる空気の空気抵抗を低減させることができ、空気流による良好な冷却性能を維持することができる。
【0027】
溝32の端部にはそれぞれ、吸気口36及び排気口37が開口し、それぞれに上記の管継手35が取り付けられている。吸気口36及び排気口37の管継手35のそれぞれには、図示は省略するが、筐体2の外から引き込まれる高圧のエアーが流通するエアーチューブが接続される。吸気口36及び排気口37の開口面積のそれぞれは、風路32Aの断面積と同程度とされている。これにより、風路32Aへの空気の導入/排出に伴う流路抵抗を小さくすることができるため、風路32A内の空気流が阻害されることなく、空気流による良好な冷却性能が維持される。
【0028】
エアーチューブは、クリーンルームの外に設けられたエアサプライから、LED光源装置1に高圧のエアーを循環させるために、管継手35によって筐体2内に設けられた複数のLEDユニット20に直列に接続されている。各LEDユニット20には、吸気口36の管継手35に接続されたエアーチューブを介して冷却モジュール30の中へ高圧のエアーが導入されることにより、溝32による風路32Aに空気流が生じ、当該空気流によってLEDモジュール6の底面が冷却される。上記のように、基板7と金属板材31とは密着して備えられ、ともに金属材から形成され高熱伝導性を有するため、基板7及び、基板7に実装されたLED5を効率よく冷却することができる。また、溝32は、風路32A内を流れる空気の空気抵抗が小さくなるように、空気の流れ方向が変わる部分をRで連続させて形成されているため、エアーチューブで複数のLEDユニット20を直列に連結しても、各LEDユニット20での圧力損失を少なくすることができ、後ろのユニットまで効率よく空気を流す事ができる。
【0029】
金属板材31は、基板7にねじ孔34を介して螺合される不図示の螺子で固定される。また、金属板材31は、溝32の外側であって、金属板材31を基板7に固定する螺子の内側に、溝32の周囲を囲む第2の溝33が形成されている。第2の溝33は、溝32を囲むように、連続して形成され、第2の溝33には、弾性部材により形成されるパッキン38が嵌装されて設けられている。パッキン38は、金属板材31と基板7とを固定する螺子と、風路32Aとの間に設けられる。パッキン38は、金属板材31の風路32Aが形成される表面31Aと、基板7の背面とを直接密着させて取り付けた際には、金属板材31と基板7との間で潰されて、金属板材31の表面31Aと基板7の背面7Bとの間から風路32A内を流れる空気が逃げるのを防止する。
【0030】
図2に示すように、基板7は、薄板形状に形成される。そのため、風路32Aに高圧のエアーを流した際に、基板7は、この高圧のエアーに押し上げられる場合がある。本実施形態では、基板7と金属板材31とを間にパッキン38を介して直接密着させたため、風路32Aに高圧のエアーを流した際にも基板7と金属板材31との間に隙間が生じるのを防ぎ、この隙間を介してエアーが漏れるのを防止することができる。更に、基板7は、L字ブラケット24の押付部材41で金属板材31に対して、押し付けるように固定されるため、風路32Aに高圧のエアーを流した際の基板7が浮き上がりを防止することができる。また、基板7と金属板材31を螺子だけで固定した場合、風路32Aに高圧のエアーを流した際に基板7に係る圧力は螺子で固定されている部分に集中してしまうが、本構成によれば、押付部材41で基板7を金属板材31に対して押し付けた状態で、円筒面21の延在方向に沿って複数箇所固定するため、風路32Aに高圧のエアーを流した際に基板7に係る圧力を、基板7の長手方向に均一にかけることができる。これにより、基板7が風路32A内を流れるエアーの圧力で変形するのを防ぐことができる。また、基板7の背面に多少の凸凹があった場合でも、パッキン38が基板7の形状を吸収するため、基板7の形状による、基板7と金属板材31の間から空気の漏れを防止することができる。
【0031】
図8は、別の実施形態の金属板材31を示す図であり、金属板材31には、同図に示すように、複数本の溝132によって風路132Aが形成される構成であっても良い。吸気口36及び排気口37の開口面積のそれぞれは、風路132Aの断面積の和と同程度とされている。これにより、風路132Aへの空気の導入/排出に伴う流路抵抗を小さくすることができるため、風路132A内の空気流が阻害されることなく、空気流による良好な冷却性能が維持される。また、風路132Aを金属板材31の表面31Aの全面に亘って巡らせるように形成することができ、基板7の背面の広い領域に直接風路132Aを流れる空気を当てることができるため、空気流による冷却性能を高めることができる。なお、この別の実施形態の金属板材31においても、溝132の最も外側であって、金属板材31を基板7に固定する螺子の内側に、溝132の周囲を囲む第2の溝33を備え、この第2の溝33には、パッキン38が嵌装されて設けられる構成である。
【0032】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、円筒面21を有する反射体22と、円筒面21の延びる方向に沿って円筒面21の底部21Cに配列された複数のLED5とを備え、各LED5の発光を反射体22の円筒面21で反射させて照射するLED光源装置1において、円筒面21が照射方向に焦点Yを有する形状とされ、LED5のそれぞれを覆うように延在し、LED5の直射成分5Bを円筒面21の焦点Yに集光するロッドレンズ25を備える。このため、各LED5の直射成分5Bをロッドレンズ25で円筒面21の焦点Yに集光させることができる。よって、LED5の直射成分5Bのエネルギーを無駄にすることなく、複数のLED5の発光を幅の狭い照射エリアにライン状に集光させることができる。
【0033】
また、本発明を適用した実施形態によれば、反射体22の円筒面21の両側面21A,21Bに縁部27が差し込み固定された平板26の片面に、ロッドレンズ25を形成した。これにより、平板26を円筒面21の所定の位置に取り付けることができ、LEDユニット20の個体間の製造誤差を小さくすることができ、また、平板26の取り付け位置によりロッドレンズ25が位置決めされるため、ロッドレンズ25を狙った位置に容易に取り付けることができ、容易に、且つ、高精度に複数のLED5の発光を幅の狭い照射エリアにライン状に集光させることができるLED光源装置1を提供することができる。
【0034】
また、本発明を適用した実施形態によれば、反射体22を、円筒面21の延在方向に沿って2分割して成る一方の体22Aと、他方の体22Bとを結合して構成し、一方の体22A、及び他方の体22Bのそれぞれの円筒面21A,21Bには、平板26の縁部27が差し込まれる凹部28を形成した。これにより、一方の体22Aと、他方の体22Bとを結合する際に、平板26の縁部27を凹部28に差し込んで、平板26を反射体22に一体に固定することができるため、平板26を容易に、狙った円筒面21の狙った位置に取り付けることができ、容易に、且つ、高精度に複数のLED5の発光を幅の狭い照射エリアにライン状に集光させることができるLED光源装置1を提供することができる。
【0035】
また、本発明を適用した実施形態によれば、表面7AにLED5が設けられた基板7と、この基板7の背面に直接密着して螺子止めされる冷却モジュール30とを有し、冷却モジュール30は、基板7の背面側に風路32Aを形成し、当該風路32Aの外側であって、冷却モジュール30を基板7に固定する螺子の内側に、風路32Aを囲む溝33を形成し、溝33にパッキン38を設けたため、パッキン38により、基板7の背面と冷却モジュール30との間から風路32A内を流れる高圧のエアーが漏れ出るのを防止することができる。
【0036】
また、本発明を適用した実施形態によれば、円筒面21の延びる方向に沿って延在し、基板7を冷却モジュール30に押しつける押付部材41を備えたため、風路32A内を流れる高圧のエアーによって基板7が冷却モジュール30から浮き上がるのを防止することができ、さらに、基板7を冷却モジュール30に対して均一な圧力で押し付けることができるため、風路32Aに供給される高圧のエアーが基板7と冷却モジュール30の間から漏れ出るのを防止することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。例えば、本実施形態では、ロッドレンズ25は、円筒面平凸レンズである構成を例示したが、これに限らず、ロッドレンズ25は、両凸レンズである構成であっても良い。
また光源にはLED5に限らず例えば有機EL素子等の他の発光素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 LED光源装置
5 LED(発光素子)
5B 直射成分
7 基板
21 円筒面
21C 底部
22 反射体
23 角型支持体
24 L字ブラケット
25 ロッドレンズ
26 平板
27 凸部
28 凹部
30 冷却モジュール
31 金属板材
32、132 溝
32A、132A 風路
33 第2の溝(溝)
38 パッキン
41 押付部材
Y 焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒面を有する反射体と、前記円筒面の延びる方向に沿って前記円筒面の底部に配列された複数の発光素子とを備え、各発光素子の発光を前記反射体の円筒面で反射させて照射する光源装置において、
前記円筒面が照射方向に焦点を有する形状とされ、
前記発光素子のそれぞれを覆うように延在し、前記発光素子の直射成分を前記円筒面の焦点に集光するロッドレンズを備える、ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記反射体の円筒面の両側面に縁部が差し込み固定された平板の片面に、前記ロッドレンズを形成したことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記反射体を、前記円筒面の延在方向に沿って2分割して成る一方の体と、他方の体とを結合して構成し、前記一方の体、及び前記他方の体のそれぞれの円筒面には、前記平板の縁部が差し込まれる凹部を形成した、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
表面に前記発光素子が設けられた基板と、この基板の背面に直接密着して螺旋止めされる冷却モジュールとを有し、前記冷却モジュールは、前記基板の背面側に風路を形成し、当該風路の外側であって、前記冷却モジュールを前記基板に固定する螺子の内側に、前記風路を囲む溝を形成し、前記溝にパッキンを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記円筒面の延びる方向に沿って延在し、前記基板を前記冷却モジュールに押しつける押付部材を備えたことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48079(P2013−48079A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87705(P2012−87705)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】