説明

入場管理システム及び制御装置

【課題】異常状態の来場者による危険の低減に有用な入場管理システムを提供する。
【解決手段】来場者の異常状態を検知する検知装置と、来場者の特定エリアへの入場制限を行うゲート等の入場制限装置と、来場者を隔離用エリアへの誘導を行うための誘導装置
と、制御装置とを含む入場管理システムにおいて、制御装置は、検知装置からの検知信号と来場者から取得した認証用情報とに基づき、入場制限装置に入場制限を解除させるか否かの判断制御を行い、検知信号に基づいて誘導装置に誘導指示信号を出力するか否かの判断制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、権限ない者の特定エリアへの入場を制限する入場管理システムに関し、特に、来場者からの認証用情報等に基づき、扉の鍵を解錠する等の入場制限解除を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入場管理システムは、セキュリティ確保等のために、無権限の来場者が、オフィス、研究施設、製造施設等の特定エリアへ入場することを制限するために用いられている。
入場管理システムにおいては、来場者が所持するICカード等の認証用媒体に記録された情報や来場者の生体情報等の認証用情報を読み取って、権限確認のための認証処理を行い、認証の結果に応じて、特定エリアへの扉の施解錠制御等を行う制御装置が用いられる。
【0003】
これにより、入場権限が有ることと関連付けられた認証用情報を記録した認証用媒体等を所持する来場者、つまり権限の有ることを示す認証用情報を持つ来場者は、特定エリアへの入場が可能になる。
また、権限の有ることを示す認証用情報を持つ来場者の背後に無権限者が付いて来て一緒に入場してしまうこと(いわゆる「共連れ」)を防止するため、権限の有ることを示す認証用情報を持つ来場者であっても、他の者が付いて来ていることを体重センサで検知した場合には扉を解錠状態にしない技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−195881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、他の者が付いて来ているか否かと関係なく、来場者が異常状態にある場合には次の問題が生じる。
即ち、権限の有ることを示す認証用情報を持つ来場者が例えばインフルエンザ等の伝染性のある病気に感染しているような異常状態の場合には、その来場者が特定エリアに入場すると特定エリア内に所在する他者に病気が伝染する危険があり、かつ、その来場者が特定エリアに入場する直前の場所に居ても別の来場者に病気が伝染する危険がある。
【0006】
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、異常状態の来場者により生じる危険の低減に有用な入場管理システム又は制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために本発明に係る制御装置は、第1エリアへの入場制限を行う入場制限装置を、取得した認証用情報に基づく認証の結果に応じて制御する制御装置であって、外部の検知装置からの信号入力用の入力端子と、第2エリアへの誘導を行う外部の誘導装置への信号出力用の出力端子と、認証用情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された認証用情報と前記入力端子からの所定信号入力の有無とに基づいて前記入場制限装置に前記入場制限を解除させるか否かに係る入場制御を行う入場制御手段と、前記入力端子からの所定信号入力の有無に基づいて前記出力端子に前記誘導のための信号を出力するか否かに係る出力制御を行う出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る入場管理システムは、前記制御装置と、前記入場制限装置と、前記入力端子と接続された前記検知装置と、前記出力端子と接続された前記誘導装置とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明に係る制御装置及び入場管理システムは、異常状態の来場者の第1エリアへの侵入を防止するとともにその来場者の滞留を防ぐべく第2エリアへの誘導を行うことが可能になるので、異常状態の来場者により生じる危険を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る入場管理システム100が利用される施設の見取り図である。
【図2】入場管理システム100の構成図である。
【図3】ゲートユニット110の行う認証処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る入場管理システム200が利用される施設の見取り図である。
【図5】入場管理システム200の構成図である。
【図6】誘導装置150の行う誘導処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
以下、本発明の一実施形態に係る入場管理システム100について説明する。
<概要>
図1は、本実施形態に係る入場管理システム100が利用される施設の見取り図である。
【0012】
同図に示すように建物10は、入口となるエントランスホール11、オフィス12、医務室への通路14等に区画されており、来場者のオフィス12への入場が入場管理システム100により制限されている。
この入場管理システム100は、カードリーダ120による来場者にかざされたICカード20からの認証用情報を読み取って認証処理を行った結果として、扉13の電子錠の施解錠を制御する施解錠装置130を制御するゲートユニット(制御装置)110を備える。
【0013】
このゲートユニット110は、来場者の体温の異常を検知するためのサーモグラフィ140からの入力にも基づいて施解錠装置130を制御し、更に、体温が異常に高い場合には、案内表示装置151に、医務室へ誘導するための表示を行わせる出力をする。体温の異常は、インフルエンザに感染している等、病気の可能性を表す。
これにより、ゲートユニット110に既に登録されたものと同一の認証用情報が記録されたICカード20を所持する来場者であっても異常状態であればオフィス12への入場を防ぐことができるとともに、その者の医務室への隔離も期待できるようになる。
【0014】
<構成>
以下、入場管理システム100の構成について説明する。
図2は、入場管理システム100の構成図である。
同図に示すように、入場管理システム100は、ゲートユニット110、カードリーダ120、施解錠装置130、サーモグラフィ140、案内表示装置151を備える。なお、同図では、入場管理システム100が、ゲートユニット110やカードリーダ120を各1台備える様子を示しているが、図外の各室への入場を制御するためにこれらは別にも備えられ各ゲートユニットはいずれも、建物10内に備えられた1台の管理サーバ101とネットワーク接続されている。
【0015】
ゲートユニット110は、カードリーダ120及び施解錠装置130と接続され、入力端子114及び出力端子115を備え、プロセッサ、メモリ(不揮発性メモリを含む。)等からなる演算処理装置であり、認証処理を行うものである。
カードリーダ120は、扉13付近に配置され、来場者が持つICカード20から認証用情報であるカードIDを読み取り、読み取ったカードIDをゲートユニット110に伝える装置である。ここで、カードIDは、所持する者を識別する利用者識別情報として用いられている。
【0016】
施解錠装置130は、扉13と連結して配置され、ゲートユニット110からの施錠又は解錠の指示信号を受けて、指示信号に応じて扉13の鍵の施解錠を行うための機構を制御する装置である。なお、この施解錠装置130は通常は施錠状態を保持するものであり、来場者がICカード20をカードリーダ120に読み取らせるまでは、オフィス12への扉13の鍵を施錠状態に保っている。
【0017】
サーモグラフィ140は、温度測定機能を有し、カードリーダ120付近に居る者の体温を測定可能な位置に配置され、体温が所定の基準温度(例えば摂氏40度)より高い場合に異常を示す所定信号(例えば特定データを表すディジタル信号)を出力する機能を有する装置である。そのサーモグラフィ140からの出力用信号線は、ゲートユニット110の入力端子114に接続して用いられる。
【0018】
案内表示装置151は、ディスプレイを含み、外部から所定の信号を受けた場合に、医務室に誘導するための表示を行う機能を有する。その外部から所定の信号を受けるための信号線は、ゲートユニット110の出力端子115に接続して用いられる。なお、医務室に誘導するための表示は、例えば、「速やかに左の扉から医務室にお進み下さい」等のメッセージの表示であり、この表示を見た来場者を、扉15を通じて医務室への通路14に入るよう誘導するものである。
【0019】
以下、ゲートユニット110の各機能構成要素の内容について説明する。
図2に示すように、ゲートユニット110は、認証処理を行うために機能的には判定部111、入場制御部112及び出力制御部113を含む。なお、これら各機能部の機能はメモリ自体と、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサに実行されることとにより実現される。
【0020】
判定部111は、カードリーダ120からカードIDが伝えられた時から所定時間内(例えば2秒以内)に、入力端子114から所定信号が入力されたか否かを判定し、判定結果を入場制御部112及び出力制御部113に通知する機能を有する。
入場制御部112は、カードリーダ120から伝えられるカードIDが、オフィス12への入室権限を有する者のカードIDとしてゲートユニット110内に登録されているか否かと、判定部111から所定信号が入力された旨の通知を受けたか否かとに基づき、施解錠装置130に対して、施錠又は解錠の指示信号を送出するか否かの制御を行う機能を有する。なお、建物10内の各室についての入室権限を有する者のカードIDを含むデータベースを格納した管理サーバ101から、オフィス12への入室権限を有する者のカードIDを示す情報が予めゲートユニット110の不揮発性メモリに随時転送されることで、登録が実現されている。
【0021】
出力制御部113は、判定部111から所定信号が入力された旨の通知を受けたか否かに基づき、出力端子115から、案内表示装置151に誘導を行わせるための所定の信号を出力する機能を有する。
<動作>
以下、上述の構成を備える入場管理システム100の動作について説明する。
【0022】
エントランスホール11に来た来場者がオフィス12に入場しようとしてICカード20をカードリーダ120に読み取らせた場合に、ゲートユニット110は認証処理を行う。
図3は、ゲートユニット110の行う認証処理を示すフローチャートである。
ゲートユニット110は、カードリーダ120からカードIDが伝えられる毎に、この認証処理を実行する。
【0023】
まず、ゲートユニット110の入場制御部112は、カードリーダ120からカードIDを伝えられると(ステップS1)、そのカードIDが、ゲートユニット110の不揮発性メモリに登録されているものと一致するか否かを判断する(ステップS2)。
ステップS2においてカードIDが登録されているものと一致すると判断した場合には、入場制御部112は、そのカードIDが伝えられてから所定時間内に入力端子114から所定信号が入力されたか否かという判定結果を判定部111から受ける(ステップS3)。なお、ステップS3では、判定部111は、カードIDが伝えられてから所定時間内に入力端子114から所定信号が入力されたと判定した場合には、出力制御部113にその旨を伝える。
【0024】
入場制御部112は、所定信号が入力されなかったとの判定結果を受けた場合には、オフィス12への扉13の鍵を施解錠装置130に解錠させ、その一定時間後(例えば5秒後)に再び施錠させる(ステップS4)。なお、来場者の体温が所定の基準温度以下であればサーモグラフィ140から入力端子114に所定信号が入力されず、来場者の体温が所定の基準温度より高い場合には、サーモグラフィ140から入力端子114に所定信号が入力される。従って、来場者の体温が所定の基準温度以下であった場合に、ステップS4の処理により一時解錠がなされることになる。
【0025】
また、来場者の体温が所定の基準温度より高かった場合には、判定部111が、所定信号が入力された旨を出力制御部113に伝え、これを受けて出力制御部113は、出力端子115から案内表示装置151に誘導を行わせるための所定の信号を出力する(ステップS5)。
この出力端子115からの所定の信号の出力結果として、案内表示装置151はディスプレイに医務室に誘導するための表示を行うこととなる。この表示を見た来場者は異常状態でない場合(例えば前回来場時)にはオフィス12に入場できたはずの者であるので、もし表示がなければ何かシステムの故障等かと思ってカードリーダ120付近に滞留してしまうおそれがあるのをこの表示により防ぎ得る。即ち、扉15は特に鍵がかけられたものではないので、この表示を見た来場者が扉15を開けて医務室へ向かうことが期待される。
<実施形態2>
以下、本発明の一実施形態に係る入場管理システム200について説明する。
【0026】
<概要>
図4は、本実施形態に係る入場管理システム200が利用される施設の見取り図である。
入場管理システム200は、実施形態1で示した入場管理システム100に、異常状態の来場者が医務室へ隔離されることを更に促進する等のための構成要素を追加したものである。
【0027】
即ち、同図に示すように、入場管理システム200は、入場管理システム100に、制御回路1520、施解錠装置160、人感センサ170及びブザー180を追加したものである。なお、実施形態1とは異なり医務室への通路14への扉15は、施解錠装置160により通常は施錠状態にされている。
これにより、カードリーダ120にICカード20を読み取らせた来場者の体温が所定の基準温度より高い場合に、案内表示装置151により医務室に誘導するための表示を行うのみならず、医務室への通路14への扉15の鍵を解錠して誘導し、一定時間内に来場者が扉15を通過して人感センサ170に感知されなければ、ブザー180を鳴動して危険状態の発生を報知する機能を実現する。
【0028】
<構成>
以下、入場管理システム200の構成について説明する。
図5は、入場管理システム200の構成図である。
同図に示すように、入場管理システム200は、実施形態1で示した入場管理システム100と同一のゲートユニット110、カードリーダ120、施解錠装置130、サーモグラフィ140及び案内表示装置151を備える。ここでは、入場管理システム100と同一の構成要素についての説明は省略する。
【0029】
入場管理システム100においてはゲートユニット110の出力端子115が案内表示装置151と接続されていたが、入場管理システム200においてはゲートユニット110の出力端子115は、誘導装置150と接続されている。
この誘導装置150は、実施形態1で示した案内表示装置151に加えて、プロセッサ及びメモリを含む制御回路1520を含み、案内表示装置151及び制御回路1520を接続して出力端子115からの信号が伝わるよう構成されたものである。
【0030】
制御回路1520は、機能的には誘導制御部1521及び報知制御部1522を有する。これらの各機能部の機能は、制御回路1520において、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することで実現される。
誘導制御部1521は、ゲートユニット110の出力端子115から所定の信号が出力されたか否かに基づいて、施解錠装置160に対して、施錠又は解錠の指示信号を送出するか否かの制御を行う機能を有する。
【0031】
また、報知制御部1522は、誘導制御部1521により解錠の指示信号が送出されてから一定時間内(例えば15秒以内)に、人感センサから人体を検知した旨の信号が通知されなければブザー180を鳴動させるよう制御する機能を有する。
施解錠装置160は、扉15と連結して配置され、制御回路1520の誘導制御部1521による施錠又は解錠の指示信号を受けて、指示信号に応じて扉15の鍵の施解錠を行うための機構を制御する装置である。
【0032】
人感センサ170は、扉15を通って医務室への通路14に来場者が入ったか否かを検知可能な位置に配置され、その検知を人体が放出する赤外線に反応する素子を用いることで行い、来場者が入ったことを検知した場合には、制御回路1520に人体を検知した旨の信号を通知する機能を有する。
<動作>
以下、上述の構成を備える入場管理システム200の動作について説明する。
【0033】
エントランスホール11に来た来場者がオフィス12に入場しようとしてICカード20をカードリーダ120に読み取らせた場合に、ゲートユニット110は実施形態1で説明した認証処理(図3のステップS1〜S5参照)を行う。但し、ゲートユニット110の出力端子115は本実施形態においては、誘導装置150に接続されているため、ステップS5では出力制御部113は、出力端子115から、誘導装置150に、誘導を行わせるための所定の信号を出力することとなる。
【0034】
誘導装置150は、誘導を行わせるための所定の信号を受けた場合に、次の誘導処理を行う。
図6は、誘導装置150の行う誘導処理を示すフローチャートである。
ゲートユニット110の出力端子115から出力される所定の信号は、誘導装置150を構成する案内表示装置151及び制御回路1520に伝達される。なお、所定の信号が通知されるのは、実施形態1で説明したように、オフィス12への入場権限を有することを示すカードIDが記録されたICカード20を所持する来場者の体温が所定の基準温度より高い場合である。
【0035】
この所定の信号を受けると案内表示装置151は、実施形態1で示したように、ディスプレイに医務室に誘導するための表示を行う(ステップS11)。
また、この所定の信号を受けると制御回路1520の誘導制御部1521は、施解錠装置160に、医務室への通路14への扉15の鍵を施解錠装置160に解錠させ、その一定時間後(例えば10秒後)に再び施錠させる(ステップS12)。これにより、所定の基準温度より高い体温の来場者が医務室への通路14に行き、施錠により隔離されることが期待できる。なお、施解錠装置160が通常は施錠しているため、所定の基準温度以下の体温の来場者つまり異常状態でない者が誤って医務室への通路14に入ってしまい異常状態の者と接触するような事態の発生は、防止されている。
【0036】
誘導制御部1521が鍵を解錠させた後の所定時間内(例えば15秒以内)に人感センサ170から、人体を検知した旨の信号が通知されなかった場合には(ステップS13)、報知制御部1522はブザー180を鳴動させるよう制御する(ステップS14)。
このステップS14によるブザー180の鳴動により、異常状態の来場者が医務室へ向かわなかった可能性つまり危険の可能性があることを周囲に通知することができる。
<補足>
以上、本発明に係る入場管理システムの実施形態として、実施形態1、2を例として説明したが、例示した入場管理システムを以下のように変形することも可能であり、本発明は上述の実施形態で示した通りの入場管理システムに限られないことは勿論である。
【0037】
(1)上述の実施形態では、ICカード20に記録されたカードID(利用者識別情報)を認証用情報の一例とし、カードリーダ120によりその認証用情報を取得することとしたが、ICカードとカードリーダとの組は、非接触型、接触型のいずれであってもよく、或いは、ICタグやメモリカードや光ディスク等の利用者識別情報を記録した記録媒体と、タグリーダやメモリカードリーダや光ディスクドライブ等の読取装置に置き換えてもよい。また、認証用情報として、生体情報(指紋、虹彩パターン、静脈パターン等)を用いることとしてこれらの生体情報の読取装置に置き換えてもよい。
即ち、カードリーダ120は、来場者が持つ認証用情報を取得する取得装置であれば他の物であってもよく、これに対応して、ゲートユニット110はその取得装置から認証用情報を取得するためのインタフェースとなる取得手段を有するものであればよい。
【0038】
(2)上述の実施形態で示したサーモグラフィ140からゲートユニット110の入力端子114に入力される所定信号は、特定データを表すディジタル信号でなくても、特定の波形の信号であることとしてもよい。また、サーモグラフィ140を、非接触式温度センサ等の温度検出用のセンサを含み予め定めた基準温度より高いか低いかを区別して高い場合に所定信号を出力する装置に置き換えてもよい。
【0039】
(3)上述の実施形態で示したサーモグラフィ140を、予め定めた基準より大きな金属を有する場合に異常状態である旨を出力するような金属探知機に置き換えてもよい。これにより、刃物等の危険物を所持した状態の来場者を上述の実施形態で示した高熱の来場者と同様に扱い、オフィス12への入場防止や隔離を行うことが可能になる。即ち、来場者が異常状態にあることを検知して所定信号を出力するような検知装置を、ゲートユニット110の入力端子114に接続して利用することで、異常状態の来場者の入場禁止や隔離のための制御を行うことができるようになる。
【0040】
(4)上述の実施形態では、オフィス12への入場を制限するためのものとして、施解錠装置130を示したが、この代わりに、フラッパーゲートを用いてもよい。この場合、実施形態で示した鍵を解錠した状態は、フラッパーゲートを開いた状態に相当し、鍵を施錠した状態は、フラッパーゲートを閉じた状態に相当する。つまり、ゲートユニット110の入場制御部112は、施解錠装置やフラッパーゲート等の入場制限装置を制御するものであればよい。
【0041】
(5)実施形態1では、ゲートユニット110の出力端子115は案内表示装置151と接続されているものとしたが、この場合の案内表示装置は、来場者を誘導するための表示を行うものであって誘導装置とも言える。実施形態2では誘導装置150として、案内表示装置と、誘導制御部及び報知制御部を含む制御回路とから構成されるものを示したが、出力端子115に接続される誘導装置は、少なくとも来場者のその場への滞留を防ぐためのものであれば例えば案内表示装置を含まず、扉15の開閉を行う装置や扉15の施解錠を行う装置等で構成されるものとしてもよい。
また、案内表示装置は、ディスプレイを有し、誘導のための表示を行うものとしたが、その代わりに電光掲示板に表示を行うものであってもよく、また、誘導のための音声を出力する装置であってもよい。また誘導は、医務室(医務室への通路14)への誘導としたが、来場者がカードリーダ120付近に滞留させないようにするものであれば、他の部屋や建物外部のエリアを誘導先とするものであってもよい。
【0042】
(6)実施形態2で示した人感センサ170は、赤外線を検知するセンサであるものとしたが、超音波或いは可視光を検知するセンサとしてもよく、また人感センサの代わりに重量検出用のセンサを用いる等により、来場者が誘導に従って移動を行ったか否かを判定できるように構成した検出装置であればよい。
【0043】
(7)実施形態2で示した人感センサ170、報知制御部1522、ブザー180を有さないようにして、図6のステップS13、S14の処理を省略することとしてもよい。但し、実施形態2で示したような構成にする方が、異常状態の来場者のカードリーダ120付近への滞留による危険を防止できる可能性が高まる。
【0044】
(8)実施形態2で示した報知制御部1522は、ブザー180の鳴動を制御するものとしたが、ブザー180は、報知を行う報知装置の一例にすぎず、赤色回転灯等の発光装置又は建物10の管理者等に対して電話による発呼若しくは電子メール送信を行う機能を有する装置等にブザー180を置き換えてもよい。
【0045】
(9)実施形態2で示した制御回路1520による施解錠装置160及びブザー180の制御処理(図6のステップS12〜S14)は、例えば扉15の鍵を一時的に解錠している期間を少し長めにして(例えば20秒)、その期間より短い一定時間(例えば5秒)待っても来場者が扉15を通過したことを人感センサ170が検知しなかったときにはブザー180の鳴動を開始し、ブザーの音を聞いてから来場者が扉15を通過することを許容するようにしてもよい。これにより、ブザーの音を聞いた管理者等が、来場者に扉15を通過するよう呼び掛ける等により、来場者が医務室への通路14へと隔離される可能性が高まることが期待できるようになる。
【0046】
(10)上述の実施形態では、認証処理(図3)においてカードIDが登録されたものでなければ、つまり入場権限を有することを示すものでなければ、何も処理しないこととしたが、ステップS5の誘導指示を行うこととしても差し支えない。
【0047】
(11)上述の実施形態で示した入場管理システムではゲートユニット110の入力端子114及び出力端子115にそれぞれサーモグラフィ、誘導装置等の各装置が接続されている例を示したが、これらの端子に装置が接続されていない場合は、図3に示すステップS3の判断ブロックにおいて、必ず入力端子からの所定信号はないという判断がなされ、ステップS4が実行されるようになり、従来同様の入場制御は実現されるようになる。従って、インフルエンザが流行する等、異常状態の発生の危険性が高まったときにのみ、サーモグラフィ等の異常状態の検知装置や、案内表示装置等の誘導装置を設置して、これらをゲートユニット110と接続するように入場管理システムを運用することもできる。これによれば、逆にインフルエンザが流行していない場合等においては不要な装置を取り外すことができる。
【0048】
但し、検知装置や誘導装置を予めゲートユニット110と常に接続して運用されることが想定された入場管理システムにおいては、サーモグラフィ等の検知装置が、来場者が異常状態にあるか否かを識別可能な入力を行いさえすればよい。この場合は、ゲートユニット110は、ステップS3〜S5の処理を、異常状態である場合には誘導指示を行い(ステップS5)、異常状態でなければオフィス12への扉13の一時的な解錠のための制御を行う(ステップS4)ように変更する必要がある。
【0049】
(12)以下、更に本発明の一実施形態に係る制御装置及び入場管理システムの構成及びその変形例と各効果について説明する。
【0050】
(a)本発明の一実施形態に係る制御装置は、第1エリアへの入場制限を行う入場制限装置を、取得した認証用情報に基づく認証の結果に応じて制御する制御装置であって、外部の検知装置からの信号入力用の入力端子と、第2エリアへの誘導を行う外部の誘導装置への信号出力用の出力端子と、認証用情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された認証用情報と前記入力端子からの所定信号入力の有無とに基づいて前記入場制限装置に前記入場制限を解除させるか否かに係る入場制御を行う入場制御手段と、前記入力端子からの所定信号入力の有無に基づいて前記出力端子に前記誘導のための信号を出力するか否かに係る出力制御を行う出力制御手段とを備える。従ってこの制御装置は、オフィス12等といった第1エリアに入場を望む来場者が、体温が異常に高い等の異常状態である場合には第1エリアへの入場を自動的に防ぐとともに、医務室や建物外部等といった第2エリアへと退出させるよう自動的に誘導することで認証のための場所に滞留するのを防ぎ得るようなシステムを構築する上で有効に機能する。
【0051】
(b)前記制御装置は、前記取得手段により認証用情報が取得された際に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報と前記判定手段による前記判定の結果とに基づいて、前記入場制御を行い、前記出力制御手段は、前記判定手段による前記判定の結果に基づいて、前記出力制御を行うこととしてもよい。これにより、過去に正常な状態であったとしても、入場のための認証を行おうとする際に異常状態になっている場合には、第2エリアに誘導し得るようになる。
【0052】
(c)前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報が所定条件を満たし、かつ、前記判定手段により前記所定信号が入力されていないと判定された場合には、前記入場制限装置を制御して前記入場制限を解除させ、前記出力制御手段は、前記判定手段により前記所定信号が入力されたと判定された場合には、前記出力端子に、前記誘導のための信号を出力することとしてもよい。これにより、入力端子に検出装置を接続しない運用形態であっても権限の有無に基づいて第1エリアへの入場制御を行うための基本的な機能を発揮できかつ、入力端子に検出装置が接続された場合には異常状態が検出されたことに対応した入場制御や誘導表示を行うことができるようになる。
【0053】
(d)前記認証用情報は、記録媒体に記録された利用者識別情報であり、前記取得手段は、前記記録媒体から利用者識別情報を受信することにより、前記認証用情報を取得し、前記判定手段は、前記取得手段により前記認証用情報が取得されてから所定時間内に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定することとしてもよい。これにより、入場権限を有する利用者を示す利用者識別情報が記録された記録媒体を所持した来場者であっても異常状態であれば、入場制限や他のエリアへの誘導が行われることになり、また、そのような入場制限や誘導が行われた後であっても、入場権限を有する利用者を示す別の利用者識別情報が記録された記録媒体を所持して正常状態の来場者が来た場合には、入場が許容されるようになる。
【0054】
(e)本発明の一実施形態に係る入場管理システムは、前記制御装置と、前記入場制限装置と、前記入力端子と接続された前記検知装置と、前記出力端子と接続された前記誘導装置とを含む。これにより、オフィス12等といった第1エリアに入場を望む来場者が、体温が異常に高い等の異常状態である場合には第1エリアへの入場を自動的に防ぐとともに、医務室や建物外部等といった第2エリアへと退出させるよう自動的に誘導することで認証のための場所に滞留するのを防ぎ得るようになる。
【0055】
(f)前記誘導装置は、前記第2エリアへ入場すべき旨を提示するための提示手段と、前記第2エリアへの入場制限を行う制限手段とを備え、前記制御装置は、前記取得手段により認証用情報が取得された際に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報が所定条件を満たし、かつ、前記判定手段により前記所定信号が入力されていないと判定された場合には、前記入場制限装置を制御して前記入場制限を解除させ、前記出力制御手段は、前記判定手段により前記所定信号が入力されたと判定された場合には、前記出力端子に、前記誘導のための信号を出力し、前記誘導装置は、前記誘導のための信号を受信した場合に、前記制限手段を制御して前記入場制限を解除させて前記提示手段に前記第2エリアへ入場すべき旨を提示させる誘導制御手段を備えることとしてもよい。これにより、異常状態でない者が入場できない第2エリアへ異常状態の来場者を導き隔離し得るようになる。
【0056】
(g)前記入場管理システムは、更に、前記第2エリアへの入場がなされたことを検出すると前記誘導装置に入場検出の旨を伝達する検出装置と、第2エリアへの入場がなされていない旨の報知を行うための報知装置とを含み、前記誘導装置は、更に、前記出力端子から前記誘導のための信号を受けた後、所定時間内に前記検出装置から前記入場検出の旨の伝達を受けていなければ、前記報知装置に前記報知を行わせる報知制御手段を備えることとしてもよい。これにより異常状態の者を隔離できていない事態の発生を周囲の者或いは管理者等に通知することが可能となる。
(h)前記検知装置は、認証用情報を持つ来場者の体温を測定するための温度センサを有し、測定した体温が所定閾値より高い場合に前記所定信号を前記入力端子に入力することとしてもよい。これにより所定閾値を例えば摂氏40度程度等と定めておくことによりインフルエンザ等の病気が来場者から他者に伝染する危険を低減し得るようになる。
【符号の説明】
【0057】
20 ICカード
100、200 入場管理システム
101 管理サーバ
110 ゲートユニット
111 判定部
112 入場制御部
113 出力制御部
114 入力端子
115 出力端子
120 カードリーダ
130、160 施解錠装置
140 サーモグラフィ
150 誘導装置
151 案内表示装置
170 人感センサ
180 ブザー
1520 制御回路
1521 誘導制御部
1522 報知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エリアへの入場制限を行う入場制限装置を、取得した認証用情報に基づく認証の結果に応じて制御する制御装置であって、
外部の検知装置からの信号入力用の入力端子と、
第2エリアへの誘導を行う外部の誘導装置への信号出力用の出力端子と、
認証用情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された認証用情報と前記入力端子からの所定信号入力の有無とに基づいて前記入場制限装置に前記入場制限を解除させるか否かに係る入場制御を行う入場制御手段と、
前記入力端子からの所定信号入力の有無に基づいて前記出力端子に前記誘導のための信号を出力するか否かに係る出力制御を行う出力制御手段とを備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記取得手段により認証用情報が取得された際に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、
前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報と前記判定手段による前記判定の結果とに基づいて、前記入場制御を行い、
前記出力制御手段は、前記判定手段による前記判定の結果に基づいて、前記出力制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報が所定条件を満たし、かつ、前記判定手段により前記所定信号が入力されていないと判定された場合には、前記入場制限装置を制御して前記入場制限を解除させ、
前記出力制御手段は、前記判定手段により前記所定信号が入力されたと判定された場合には、前記出力端子に、前記誘導のための信号を出力する
ことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記認証用情報は、記録媒体に記録された利用者識別情報であり、
前記取得手段は、前記記録媒体から利用者識別情報を受信することにより、前記認証用情報を取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により前記認証用情報が取得されてから所定時間内に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の制御装置と、
前記入場制限装置と、
前記入力端子と接続された前記検知装置と、
前記出力端子と接続された前記誘導装置とを含む
ことを特徴とする入場管理システム。
【請求項6】
前記誘導装置は、
前記第2エリアへ入場すべき旨を提示するための提示手段と、
前記第2エリアへの入場制限を行う制限手段とを備え、
前記制御装置は、前記取得手段により認証用情報が取得された際に前記入力端子から所定信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、
前記入場制御手段は、前記取得手段により取得された認証用情報が所定条件を満たし、かつ、前記判定手段により前記所定信号が入力されていないと判定された場合には、前記入場制限装置を制御して前記入場制限を解除させ、
前記出力制御手段は、前記判定手段により前記所定信号が入力されたと判定された場合には、前記出力端子に、前記誘導のための信号を出力し、
前記誘導装置は、前記誘導のための信号を受信した場合に、前記制限手段を制御して前記入場制限を解除させて前記提示手段に前記第2エリアへ入場すべき旨を提示させる誘導制御手段を備える
ことを特徴とする請求項5記載の入場管理システム。
【請求項7】
前記入場管理システムは、更に、
前記第2エリアへの入場がなされたことを検出すると前記誘導装置に入場検出の旨を伝達する検出装置と、
第2エリアへの入場がなされていない旨の報知を行うための報知装置とを含み、
前記誘導装置は、更に、前記出力端子から前記誘導のための信号を受けた後、所定時間内に前記検出装置から前記入場検出の旨の伝達を受けていなければ、前記報知装置に前記報知を行わせる報知制御手段を備える
ことを特徴とする請求項6記載の入場管理システム。
【請求項8】
前記検知装置は、認証用情報を持つ来場者の体温を測定するための温度センサを有し、測定した体温が所定閾値より高い場合に前記所定信号を前記入力端子に入力する
ことを特徴とする請求項7記載の入場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−204057(P2011−204057A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71397(P2010−71397)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】